説明

情報処理装置およびテープ印刷装置

【課題】電源オフ時に、入力されている情報を保存するか否かを設定し、当該編集中の情報の保護および漏洩の防止を簡単に行うことができる情報処理装置およびテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】情報を入力する入力手段3と、装置の電源オフ時点において入力されている情報を、電源オフ時に保存するか否かを設定する保存設定手段と、情報を不揮発に記憶する記憶手段44と、電源オフ時における電源オフ処理を制御する制御手段41と、を備え、制御手段41は、電源オフ時に、保存設定手段の設定に従って、情報の保存または消去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置電源のオン/オフ時に、所定の処理を実行する情報処理装置およびテープ印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザのキー入力等により入力された情報(例えば、テキストや画像等)をテープに印刷するテープ印刷装置(情報処理装置)が知られている。このテープ印刷装置は、ユーザによる電源キーの押下により電源オフが指示されると、あるいは何も操作がないまま所定時間が過ぎて自動的に電源オフ(オートパワーオフ)されると、各種制御フラグの内容などの各種設定情報を退避(記録)して電源をオフする。一方、電源オンが指示されると、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各種制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い、続いて、前回の表示画面を初期画面として表示する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−122381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のテープ印刷装置は、例えば、職場等で複数のユーザで共有して使用される場合が往往にしてある。このように複数のユーザで共有して使用する場合、上記のテープ印刷装置では、前使用者(前ユーザ)が入力した情報(テキストデータや画像データ等)が残ったままとなるため、他のユーザがテープ印刷装置の電源をオンした時に、前使用者が入力した情報が画面に表示される。このため、他の使用者が、表示された情報の重要性を認識していない場合、当該情報(前使用者が入力した情報)を保存しておくべきか否か(消去して良いか否か)の判断に悩むことが考えられる。
また、一般的にテープ印刷装置では、個人名のラベルや住所ラベルを作成することが多く、これらのラベルを作成した後に、名前データや住所など個人情報が残ることは、個人情報保護の観点からみて問題がある。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みたものであり、電源オフ時に、入力されている情報を保存するか否かを設定し、当該情報の保護および漏洩の防止を簡単に行うことができる情報処理装置およびテープ印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の情報処理装置は、情報を入力する入力手段と、装置の電源オフ時点において入力されている情報を、電源オフ時に保存するか否かを設定する保存設定手段と、情報を不揮発に記憶する記憶手段と、電源オフ時における電源オフ処理を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、電源オフ時に、保存設定手段の設定に従って、情報の保存または消去を行うことを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、情報処理装置の電源オフ時に、その時点で入力されている情報(テキストデータや画像データ等)を保存するか否かを設定する。そして、装置の電源オフ時に、この設定に従って、当該情報を記憶手段に記憶、あるいは当該情報の消去を実行する。つまり、装置の電源オフ時に、ユーザが入力した情報を、上記の設定に応じて(ユーザの好みに応じて)、自動的に保存、または消去することができる。
「保存する」と設定されている場合、ユーザが入力した情報は確実に保護されるため、例えば、情報の編集途中に電源をオフした場合でも、前の状態から作業を継続できるため、利便性が良い。一方、「保存しない」と設定されている場合、次に情報処理装置を使用するユーザは、前使用者の使用状況に関わらず、初期状態で使用することができる。これにより、従来のように、ユーザが当該情報処理装置を使用する場合に、前使用者が入力した情報を保存しておくべきか否か(削除して良いか否か)の判断に悩むことなく、情報処理装置を使用する事ができる。
また、電源オフ時に、自動的に入力されている情報を消去するように設定することで、例えば、個人名のラベルや住所ラベルを作成する際に入力した個人情報が、他のユーザに漏洩することがなくなり、個人情報保護の観点からみて有効である。
なお、装置の電源オフは、人為的な操作によるもの(例えば、電源ボタンの押下)でも良いし、オートパワーオフ機能等による自動的電源オフでも良い。また、電源オフ時に、当該情報を記憶手段に記憶した場合、次回の電源オン時に当該情報を画面に表示するようにしても良いし、表示しないようにしても良い。
また、保存設定手段では、入力されている情報を「保存する」と「保存しない」のいずれかを設定するようにしても良いし、あるいは、「保存する」をデフォルト設定とし、「保存しない」のみを設定するようにしても良い。
【0007】
本発明の情報処理装置において、記憶手段は、保存設定手段による設定を、デフォルトの設定として記憶する保存設定記憶領域をさらに有しており、制御手段は、保存設定記憶領域に記憶されたデフォルトの設定に基づいて、電源オフ処理を制御することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、保存設定手段で設定した情報をデフォルトの設定として記憶し、情報処理装置は、このデフォルト設定に基づいて電源オフ処理を制御する。つまり、「保存する」に設定するとこれがデフォルト設定になり、以後は電源オフ時に、その時点で入力されている情報が常に保存される。また、「保存しない」に設定するとこれがデフォルト設定になり、以後は電源オフ時に、その時点で入力されている情報が常に削除される。これにより、電源オフに際して、ユーザは、入力した情報を保存するか否かをその都度設定しなくても良いため、利便性が良い。
【0009】
本発明の情報処理装置において、情報を表示する表示手段と、保存設定手段により、電源オフ操作時に情報を「保存する」と設定されている場合、次回の電源オン時に、表示手段に情報を表示するか否かを設定する表示設定手段と、をさらに備えたことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、電源オフ時に保存した情報を、次回の電源オン時に、表示手段に表示するか否かを設定することができる。これにより、「表示しない」に設定することで、ユーザにより入力された情報を保存することで当該情報を保護しつつ、他のユーザに対して情報が漏洩することを防止することができる。また、他のユーザには、前使用者の使用状況に関わらず、初期状態の入力環境を提供することができ、従来のように、前使用者が入力した情報を保存しておくべきか否かの判断に悩むことなく、情報処理装置を使用する事ができる。
一方、「表示する」に設定することで、ユーザの意に反して電源がオフになった場合でも、電源オン時に当該情報を表示することができるため、ユーザは引き続き作業を続行でき、利便性が良い。
【0011】
本発明の情報処理装置において、所望のタイミングで装置電源をオフにする電源オフ操作手段と、自動的に装置電源をオフにするオートパワーオフ手段と、をさらに備え、表示設定手段は、電源オフ操作手段に伴う電源オフ時およびオートパワーオフ手段による電源オフ時のそれぞれに対して、個別に設定することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザが所望のタイミングで装置電源をオフする場合(例えば、電源ボタンを押すことによる電源オフ)、およびオートパワーオフ機能により自動的に電源オフする場合のそれぞれに対して、個別に表示設定を行えるため、ユーザのニーズに合った設定をすることができ、利便性がよい。
【0013】
本発明の情報処理装置において、記憶手段は、情報をファイルとして記憶するファイル記憶領域をさらに有しており、ファイル記憶領域に記憶されたファイルを、所望のタイミングで呼び出すファイル呼出手段をさらに備えたことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、入力されている情報をファイルとして記憶し、ユーザは、これを所望のタイミングで呼び出すことができる。これにより、以前に作成した情報の再利用が可能となり、同じ情報を何度も入力する手間が省け、作業効率を向上させることができる。また、ファイルとして記憶することで、例えば、ユーザが情報処理装置の電源をオンした時に、前使用者が入力した情報が画面に表示されている場合でも、当該ユーザは、前使用者が入力した情報は削除しても構わないと判断することができる。これにより、従来のように、ユーザが当該情報処理装置を使用する場合に、前使用者が入力した情報を保存しておくべきか否か(削除して良いか否か)の判断に悩むことなく、情報処理装置を使用する事ができる。
【0015】
本発明のテープ印刷装置は、上記に記載の情報処理装置における各手段と、情報をテープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、装置の電源オフ時に、その時点で入力されている情報を自動的に保存するか否か(消去するか否か)を、ユーザの好みに応じて設定することが可能なテープ印刷装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、情報処理装置として、テープ状媒体に印刷を行うことによってラベルを作成するテープ印刷装置を例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係るテープ印刷装置1の開閉蓋4を開いた状態の外観斜視図である。図1に示すようにテープ印刷装置1は、装置ケース2により外装が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーを備えたキーボード3(入力手段)が配置されると共に、後部上面には、その左部に開閉蓋4が取り付けられ、その右部には表示画面5(表示手段)が配設されている。開閉蓋4の内側にはテープカートリッジCを装着するためのカートリッジ装着部6が窪入形成されており、テープカートリッジCは、開閉蓋4を開放した状態でカートリッジ装着部6に着脱可能に装着される。また、開閉蓋4にはこれを閉じた状態でテープカートリッジCの装着/非装着を視認するための覗き窓7が形成されている。
【0019】
キーボード3には、文字キー群3a、および各種動作モード等を指定するための機能キー群3bが配列されている。文字キー群3aは、JIS配列に基づいたフルキー構成であり、操作するキー数の増加を抑えるためのシフトキーを備えるなど、一般のワードプロセッサ等と同様である。また、機能キー群3bには、印刷実行を指示するための[印刷]キー11、電源オン/オフ(電源の投入/切断)を操作する[電源]キー12(電源オフ操作手段)、カーソル移動やスクロール操作を行うためのカーソルキー([↓],[↑],[←],[→])13、装置の環境設定を行うための[環境設定]キー14、ファイルの操作(ファイルの呼び出しや削除等)を行うための[ファイル]キー15、選択候補(選択肢)の選択および確定操作を行うための[選択]キー16、選択候補の選択をキャンセルする[キャンセル]キー([取消し]キー)17などが含まれる。なお、これらのキー入力は、一般的なキーボードと同様に、キー入力毎に個別にキーを設けても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力するようにしても良い。
【0020】
表示画面5は、液晶ディスプレイで形成されている。表示画面5は、ユーザがキーボード3により所望の情報(テキストや画像等)を入力して、テキストデータや画像データ等の印刷データを作成・編集したり、その結果等を視認(確認)したりする際に用いられる。また、表示画面5は、装置の電源オフ処理(電源切断処理)に伴う確認メッセージを表示する際にも用いられる。なお、本実施形態の表示画面5のサイズは一例であり、これに限るものではなく、例えば、一般的な96ドット(X方向)×64ドット(Y方向)の表示画像データが表示可能な中型液晶パネルでも良いし、さらに大きな表示画像データが表示可能な大型液晶パネルであっても良い。
【0021】
装置ケース2の左側部には、カートリッジ装着部6と外部とを連通するテープ排出口21が形成され、このテープ排出口21には、送り出した印刷テープTを切断するためのテープカッタ22が臨んでいる。そして、テープ排出口21から印刷済みの印刷テープTが所定長さだけ送り出され、送りを一旦停止させた状態で、この印刷済みの印刷テープTをテープカッタ22により切断することにより、短冊状のラベルを作成する。なお、切断処理については、自動カットをするまたはしないの選択肢によりカッタモータ23(図2参照)の駆動を設定できる。
【0022】
一方、カートリッジ装着部6には、ヘッドカバー25内にサーマルタイプの印刷ヘッド26が内蔵されたヘッドユニット24と、印刷ヘッド26に対峙するプラテン駆動軸27と、後述のインクリボンRを巻き取る巻き取り駆動軸28と、後述のテープリール32の位置決め突起29とを備えている。また、カートリッジ装着部6の下側には、プラテン駆動軸27および巻き取り駆動軸28を回転させるテープ送りモータ30(図2参照)が内蔵されている。
【0023】
テープカートリッジCは、カートリッジケース31内部の上部中央部に、一定の幅(4.5mm〜48mm程度)の印刷テープTを巻回したテープリール32と、右下部にインクリボンRを巻回したリボンリール33とを収容して構成されており、印刷テープTとインクリボンRは同じ幅で構成されている。また、テープリール32の左下部には前記ヘッドユニット24を覆うヘッドカバー25に差し込まれるための貫通孔34が形成されている。さらに、貫通孔34に差し込まれたヘッドユニット24は印刷テープTとインクリボンRとが重なる部分に対応して、前記プラテン駆動軸27に嵌合されて回転駆動するプラテンローラ35が配置されている。一方、前記リボンリール33に近接してリボン巻き取りリール36が配置され、リボンリール33から繰り出されたインクリボンRは、ヘッドカバー25を周回するように配置され、リボン巻き取りリール36に巻き取られるようになっている。
【0024】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部6に装着されると、ヘッドカバー25に貫通孔34が、位置決め突起29にテープリール32の中心孔が、巻き取り駆動軸28にリボン巻き取りリール36の中心孔がそれぞれ差し込まれ、印刷テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド26がプラテンローラ35に当接して印刷が可能になる。その後、ユーザが表示画面5の編集結果を確認しながらキーボード3により所望のテキスト(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)や画像を入力し、印刷を指示すると、テープ印刷装置1は、テープ送りモータ30によりテープカートリッジCから印刷テープTを繰り出し、印刷ヘッド26の発熱素子を選択的に発熱させることにより印刷テープTに所望の印刷を行う。印刷テープTの印刷済み部分はテープ排出口21から随時外部に送り出され、印刷を完了すると、テープ送りモータ30は、余白分を含むテープ長さの位置まで印刷テープTの送りを行った後、その送りを停止する(その後、切断処理に移行する)。
【0025】
一方、印刷テープTは、裏面に粘着剤層が形成された記録テープTaと、この粘着剤層により記録テープTaに貼り付けられた剥離テープTbとから構成されている。そして、印刷テープTは、記録テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてロール状に巻回されてカートリッジケース31内に収容されている。また、印刷テープTは、テープ種別(テープ幅、テープの地色、地模様、材質(質感)など)が異なる複数種のものが用意されており、各カートリッジケース31には、このうち1種類の印刷テープTおよびインクリボンRが収容されている。また、カートリッジケース31の裏面にはテープカートリッジCの種別を特定する複数の孔(図示省略)が設けられている。また、複数の孔に対応してカートリッジ装着部6には、これらを検出するテープ識別センサ(マイクロスイッチ等)37(図2参照)が、複数設けられており、このテープ識別センサ37により複数の孔の状態を検出することで、テープ種別を判別できるようになっている。
【0026】
次に、図2の制御ブロック図を参照し、テープ印刷装置1の制御構成について説明する。テープ印刷装置1は、中央処理装置であるCPU(Central Processing Unit,制御手段)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、フラッシュROM44(記憶手段)、表示画面5、キーボード3、カッタモータ23、テープカッタ22、テープ送りモータ30、印刷ヘッド26、テープ識別センサ37、および電源制御部45を備えている。また、CPU41は、ROM43、フラッシュROM44、表示画面5、キーボード3、カッタモータ23、テープ送りモータ30、印刷ヘッド26、テープ識別センサ37および電源制御部45とバス46を介して接続されている。
【0027】
RAM42は、CPU41と直接接続されており、CPU41が各種制御を行う際のワークエリアとして用いられる。ROM43は、CPU41が各種制御を行うための制御プログラムおよび制御データを記憶している。
【0028】
フラッシュROM44は、表示データ記憶領域51、ファイル記憶領域52、およびデフォルト設定記憶領域53(保存設定記憶領域)を有している。表示データ記憶領域51は、現時点で表示画面5に表示されている表示内容(テキストや画像等)のデータ(テキストデータや画像データ。以下、「表示データ」と称す。)を記憶する領域である。つまり、この表示データ記憶領域51の表示データは、ユーザが文字等を入力するたびに、随時更新される。また、表示データは、特定の場合を除き、テープ印刷装置1の電源オン時に呼び出され、当該表示データに基づく表示内容が初期画面として表示される。
【0029】
ファイル記憶領域52は、上記の表示データをファイルとして記憶する(保存する)領域である。このファイル記憶領域52に記憶されたファイルは、ユーザにより所望のタイミングで呼び出され、表示画面5に表示することが可能である(詳細は後述する)。表示データをファイルとして記憶することで、例えば、ユーザがテープ印刷装置1の電源をオンした時に、前回の使用者が入力したテキスト等の情報が表示画面5に表示されている場合でも、当該ユーザは、前回の使用者が入力した情報は削除しても構わないと判断することができる。なお、表示データをファイルとして記憶するか否か(保存するか否か)は、後述する「電源オフ設定」により、ユーザの好みに応じて設定することが可能となっている。
【0030】
デフォルト設定記憶領域53は、後述する「電源オフ設定」で設定した情報を、テープ印刷装置1の電源オフ処理におけるデフォルトの設定として記憶する(詳細は後述する)。
【0031】
カッタモータ23は、テープカッタ22と接続され、切断手段として機能する。また、テープ送りモータ30および印刷ヘッド26は、印刷テープT上に印刷を行うための印刷手段として機能する。上記のとおり、印刷ヘッド26およびテープ識別センサ37は、カートリッジ装着部6に設けられ、テープ識別センサ37は、テープカートリッジCに収容された印刷テープTの種別を検出する。
【0032】
電源制御部45は、[電源]キー12の操作(押下)により、装置電源のオン/オフを行う。また、本実施形態のテープ印刷装置1は、オートパワーオフ機能(オートパワーオフ手段)を有しており、所定時間、ユーザによる操作が行われなかった場合(例えば、5分間、キー入力がなかった場合)、CPU41は電源制御部45に電源オフ指示を出し、電源制御部45は、この指示に基づいて電源オフを行う。これら[電源]キー12による電源オフ、およびオートパワーオフによる電源オフに際し、CPU41は、ユーザにより設定された「電源オフ設定」の設定内容に基づいて、電源オフ処理を実行する。
【0033】
次に、図3を参照して、「電源オフ設定」の設定内容について説明する。「電源オフ設定」は、環境設定メニュー([環境設定]キー14の押下)で設定することができ、「常に保存(保存設定手段)」と「常に消去(保存設定手段)」の選択候補を有している。「常に保存」は、「表示データの保存(表示設定手段)」と「表示データの消去(表示設定手段)」との2つの選択候補で構成されており、前者は、オートパワーオフ機能による電源オフ時に参照され、後者は、ユーザによる電源オフ時(例えば、[電源]キー12が押されたことによる電源オフ時)に参照される。また、「表示データの保存」および「表示データの消去」は、それぞれ「する」/「しない」を設定するための選択候補を有している。このように、オートパワーオフ機能による電源オフ時、およびユーザによる電源オフ時のそれぞれに対して、個別に表示データの保存/消去の設定をすることができるため、ユーザのニーズに合った設定をすることができ、利便性がよい。
【0034】
なお、「電源オフ設定」で設定した情報は、デフォルト設定記憶領域53にデフォルト設定として記憶され、テープ印刷装置1は、これ以降の電源オフ時において、このデフォルト設定に基づいて電源オフ処理を制御する。これにより、電源オフに際して、ユーザは、入力した情報を保存するか否かをその都度設定しなくても良いため、利便性が良い。
【0035】
ここで、図4のフローチャートを参照して、電源オフ時の処理の流れについて説明する。まず、テープ印刷装置1は電源オフ処理を開始すると(S01)、「電源オフ設定」を確認し、「常に保存」が設定(選択)されているか、あるいは「常に消去」が設定(選択)されているかを判定する(S02)。「常に保存」が設定されている場合(S03)、テープ印刷装置1は、当該電源オフ処理が、オートパワーオフ機能による電源オフか、またはユーザによる電源オフかを判定する。
【0036】
オートパワーオフ機能による電源オフの場合(S04)、テープ印刷装置1は、「表示データの保存」の設定内容を確認する(S05)。「表示データの保存」で「する」が設定されている場合(S06)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52にファイルとして保存し、且つ、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをそのまま記憶した(保存した)状態に保つ(S07)。そして、装置の電源をオフにする(S08)。
【0037】
一方、「表示データの保存」で「しない」が選択されている場合(S09)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52に保存した後、表示データ記憶領域51から表示データを消去する(表示データを保存しない,S10)。そして、装置の電源をオフにする(S08)。
【0038】
一方、当該電源オフ処理が、ユーザによる電源オフの場合(S11)、テープ印刷装置1は、「表示データの消去」の設定内容を確認する(S12)。「表示データの消去」で「する」が設定されている場合(S13)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52に保存した後、表示データ記憶領域51から表示データを消去する(S14)。そして、装置の電源をオフにする(S08)。
【0039】
一方、「表示データの消去」で「しない」が設定されている場合(S15)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52にファイルとして保存し、且つ、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをそのまま記憶した状態に保つ(表示データを消去しない,S16)。そして、装置の電源をオフにする(S08)。
【0040】
なお、上述の「表示データの保存」で「する」が設定されている場合、および「表示データの消去」で「しない」が設定されている場合には、装置の電源オフ後、再度、装置の電源をオンすると、表示画面5には、電源オフ前に表示されていた内容(表示データの内容)が、再度、表示される。
【0041】
一方、「表示データの保存」で「しない」が設定されている場合、および「表示データの消去」で「する」が設定されている場合には、装置の電源オフ後、再度、装置の電源をオンすると、初期状態の表示画面5(何も入力されていない表示画面5)が表示される。また、上述のいずれの場合においても、後述するファイル呼出手順により、ユーザが所望するタイミングでファイルを呼び出し、表示画面5に表示することができる。
【0042】
上述のように、装置の電源オン時に、表示データを表示画面5に表示するように設定することで、ユーザの意に反して電源がオフになった場合でも、電源オン時に当該情報を表示することができるため、ユーザは引き続き作業を続行でき、利便性が良い。また、装置の電源オン時に、表示データを表示画面5に表示しない(初期状態の表示画面5を表示する)ように設定することで、他のユーザに対して情報が漏洩することを防止することができる。また、他のユーザには、前使用者の使用状況に関わらず、初期状態の入力環境を提供することができ、従来のように、前使用者が入力した情報を保存しておくべきか否かの判断に悩むことなく、テープ印刷装置1を使用する事ができる。
【0043】
また、「電源オフ設定」において、「常に消去」が設定されている場合(S17)、テープ印刷装置1は、当該電源オフ処理が、オートパワーオフ機能による電源オフか、またはユーザによる電源オフかに関わらず、表示データをファイル記憶領域52に保存せず、表示データ記憶領域51から表示データを消去する(S18)。この場合、再度、装置の電源をオンすると、初期状態の表示画面5(何も入力されていない表示画面5)が表示される。
【0044】
次に、図5のフローチャートを参照して、ファイル記憶領域52に保存したファイルを呼び出すための手順(ファイル呼出手順)について説明する。まず、所望のタイミングで、ユーザにより[ファイル]キー15が押されると、テープ印刷装置1は、ファイル画面を表示する(S21)。このファイル画面において、ユーザにより「一時保存」が選択されると、テープ印刷装置1は、一時保存画面を表示する(S22)。この画面では、上述の電源オフ処理において、ファイル記憶領域52に保存したファイルを呼び出す「呼出(ファイル呼出手段)」、および当該ファイルを消去(削除)する「消去」の選択肢が表示される。
【0045】
この画面で、ユーザにより「呼出」が選択されると(S23)、テープ印刷装置1は、保存されているファイル、つまり、呼び出し可能なファイルを画面(呼出画面)に表示する(S24)。この画面では、ユーザによりカーソルキー13が押される度に、テープ印刷装置1は、保存したファイルを順次表示する。そして、ユーザにより対象となるファイルが選択されると、テープ印刷装置1は、該当するファイルを呼び出し(S25)、表示画面5に当該ファイルの内容を表示する(S26)。これにより、以前に作成したテキストや画像等の再利用が可能となり、同じものを何度も入力する手間が省け、作業効率を向上させることができる。
【0046】
一方、ユーザにより「消去」が選択されると(S27)、テープ印刷装置1は、消去対象となるファイルを画面(消去画面)に表示する(S28)。この状態で、ユーザによりカーソルキー13が押される度に、テープ印刷装置1は、消去対象となるファイルを順次表示する。そして、ユーザにより消去対象となるファイルが選択されると、テープ印刷装置1は、該当するファイルを消去する(S29)。
【0047】
[第2実施形態]
次に、図6および図7を参照し、本発明の第2実施形態に係るテープ印刷装置1について説明する。なお、第2実施形態のテープ印刷装置1の構造は、第1実施形態と同一であるため(図1および図2参照)、ここでは、異なる部分のみ説明する。
【0048】
図6は、第2実施形態の「電源オフ設定」の設定内容について説明する図である。「電源オフ設定」は、環境設定メニュー([環境設定]キー14の押下)で設定することができ、「常に保存」と「常に消去」の選択候補を有している。さらに、「常に保存」は、「表示データの保存」と「表示データの消去」との2つの選択候補で構成されており、この選択候補は、ユーザによる電源オフ時に参照される。
【0049】
ここで、図7のフローチャートを参照して、電源オフ時の処理の流れについて説明する。まず、テープ印刷装置1は電源オフ処理を開始すると(S31)、「電源オフ設定」を確認し、「常に保存」が設定されているか、あるいは「常に消去」が設定されているかを判定する(S32)。「常に保存」が設定されている場合(S33)、テープ印刷装置1は、当該電源オフ処理が、オートパワーオフ機能による電源オフか、またはユーザによる電源オフかを判定する。
【0050】
オートパワーオフ機能による電源オフの場合(S34)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52にファイルとして保存し、且つ、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをそのまま記憶した(保存した)状態に保つ(S35)。そして、装置の電源をオフにする(S36)。つまり、第2実施形態では、オートパワーオフ機能による電源オフ時には、選択肢はなく、常に、自動的に表示データ記憶領域51およびファイル記憶領域52に表示データを保存する。
【0051】
一方、ユーザによる電源オフの場合(S37)、テープ印刷装置1は、「表示データの保存」、または「表示データの消去」のどちらが設定されているかを判定する。「表示データの保存」が設定されている場合(S38)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52にファイルとして保存し、且つ、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをそのまま記憶した(保存した)状態に保つ(S39)。そして、装置の電源をオフにする(S36)。
【0052】
一方、「表示データの消去」が設定されている場合(S40)、テープ印刷装置1は、表示データ記憶領域51に記憶された表示データをファイル記憶領域52に保存した後、表示データ記憶領域51から表示データを消去する(S41)。そして、装置の電源をオフにする(S36)。
【0053】
なお、上述のオートパワーオフ機能による電源オフ時、および「表示データの保存」が設定されている場合は、装置の電源オフ後、再度、装置の電源をオンすると、表示画面5には、電源オフ前に表示されていた内容(表示データの内容)が、再度、表示される。一方、「表示データの消去」が設定されている場合は、装置の電源オフ後、再度、装置の電源をオンすると、初期状態の表示画面5(何も入力されていない表示画面5)が表示される。また、いずれの場合においても、上述のファイル呼出手順により、ユーザが所望するタイミングでファイルを呼び出し、表示画面5に表示することができる。
【0054】
また、「電源オフ設定」において、「常に消去」が選択されている場合(S42)、テープ印刷装置1は、当該電源オフ処理が、オートパワーオフ機能による電源オフか、またはユーザによる電源オフかに関わらず、表示データをファイル記憶領域52に保存せず、表示データ記憶領域51から表示データを消去する(S43)。この場合、再度、装置の電源をオンすると、初期状態の表示画面5(何も入力されていない表示画面5)が表示される。
【0055】
以上のように、本実施形態(第1実施形態および第2実施形態)によれば、テープ印刷装置1の電源オフ時に、その時点で入力されている情報(テキストや画像等)を、「電源オフ設定」の設定内容に応じて(ユーザの好みに応じて)、自動的に保存、または消去することができる。「保存する」に設定されている場合、ユーザが入力した情報は確実に保護されるため、例えば、情報の編集途中に電源をオフした場合でも、前の状態から作業を継続できるため、利便性が良い。一方、「保存しない(消去する)」に設定されている場合、例えば、次にテープ印刷装置1を使用するユーザは、前使用者の使用状況に関わらず、初期状態で使用することができる。これにより、従来のように、ユーザが当該テープ印刷装置1を使用する場合に、前使用者が入力した情報を保存しておくべきか否か(削除して良いか否か)の判断に悩むことなく、テープ印刷装置1を使用する事ができる。
【0056】
また、電源オフ時に、自動的に入力されている情報を消去するように設定することで、例えば、個人名のラベルや住所ラベルを作成する際に入力した個人情報が、他のユーザに漏洩することがなくなり、個人情報保護の観点からみて有効である。
【0057】
なお、表示データの保存や消去の処理を行う際に、ユーザに対して、これら処理を実行しても良いか否かを確認するための確認画面を表示するようにしても良い。例えば、表示データを消去する場合には、「表示データを消去してから電源をオフします。[はい]/[いいえ]」のように選択肢付きの確認画面を表示し、ユーザが[はい]を選択した場合に、表示データを消去して装置の電源をオフし、[いいえ]を選択した場合、表示データを消去せずに(つまり、表示データを保存して)装置の電源をオフする。あるいは、ユーザが[いいえ]を選択した場合、電源オフ処理を中断し、電源オフ処理をする前の状態に戻るようにしても良い。これにより、ユーザは電源オフ処理の状態を把握することができると共に、ユーザの意図しない処理が行われることを、防止することができる。
【0058】
また、テープ印刷装置1に「電源オフ設定」の設定状況を示すインジケータ等の報知手段を設けるようにしても良い。これにより、ユーザは現在の設定状況を容易に把握することができる。
【0059】
また、上述した実施例によらず、テープ印刷装置1の装置構成や電源オフ処理の各工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態における外観斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る「電源オフ設定」の設定内容について説明する図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る電源オフ時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ファイルを呼び出すための手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る「電源オフ設定」の設定内容について説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る電源オフ時の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1…テープ印刷装置 3…キーボード 5…表示画面 12…[電源]キー 41…CPU 44…フラッシュROM 51…表示データ記憶領域 52…ファイル記憶領域 53…デフォルト設定記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を入力する入力手段と、
装置の電源オフ時点において入力されている前記情報を、前記電源オフ時に保存するか否かを設定する保存設定手段と、
前記情報を不揮発に記憶する記憶手段と、
前記電源オフ時における電源オフ処理を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記電源オフ時に、前記保存設定手段の設定に従って、前記情報の保存または消去を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、
前記保存設定手段による設定を、デフォルトの設定として記憶する保存設定記憶領域をさらに有しており、
前記制御手段は、
前記保存設定記憶領域に記憶された前記デフォルトの設定に基づいて、前記電源オフ処理を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報を表示する表示手段と、
前記保存設定手段により、電源オフ操作時に前記情報を「保存する」と設定されている場合、次回の電源オン時に、前記表示手段に前記情報を表示するか否かを設定する表示設定手段と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
所望のタイミングで装置電源をオフにする電源オフ操作手段と、
自動的に前記装置電源をオフにするオートパワーオフ手段と、をさらに備え、
前記表示設定手段は、
前記電源オフ操作手段に伴う電源オフ時および前記オートパワーオフ手段による電源オフ時のそれぞれに対して、個別に設定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、
前記情報をファイルとして記憶するファイル記憶領域をさらに有しており、
前記ファイル記憶領域に記憶された前記ファイルを、所望のタイミングで呼び出すファイル呼出手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の情報処理装置における各手段と、
前記情報をテープ上に印刷する印刷手段と、を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−276887(P2009−276887A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125748(P2008−125748)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】