説明

情報処理装置およびプログラム

【課題】顧客へのサービスの向上および情報処理装置の保守費用の削減に貢献できる情報処理装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】LANチップ301による他のPOS端末との通信障害が検知された場合に、PWRoff信号を電源スイッチ304aに出力してLANチップ301への電力の供給をオフした後、PWRoff信号の電源スイッチ304aへの出力を停止してLANチップ301への電力の供給をオンすることにより、POS端末1全体の電源をオフすることなく、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害を解消することができるので、顧客へのサービスの向上および情報処理装置の保守費用の削減に貢献できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network)により接続された他のPOS(Point Of Sales)端末と通信するLANチップを搭載した市場のPOS端末は、当該POS端末周辺のホコリや静電気などにより発生するノイズにより、LANチップによる接続Hubや他のPOS端末との間での通信に障害を引き起こし易い。
【0003】
そこで、LANチップによる外部装置との通信障害が発生した場合に、POS端末全体の電源を落として、POS端末をリブートさせることにより、LANチップによる外部装置との通信障害を解消する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に開示された技術では、LANチップによる外部装置との通信障害が発生してPOS端末全体の電源が落とされている間、POS端末を使用することができないため、POS端末を利用する顧客へのサービスが滞ってしまう、という課題がある。
【0005】
特に、POS端末が1台しか設置されていない店舗においては、代わりのPOS端末がないため、LANチップによる外部装置との通信障害が発生してPOS端末全体の電源が落とされてしまうと、顧客へのサービスが完全に滞ってしまう。さらに、LANチップによる外部装置との通信障害が発生する度に、サービスマン等が原因を探してPOS端末のリブートが行われると、POS端末の保守費用が増大する。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顧客へのサービスの向上および情報処理装置の保守費用の削減に貢献できる情報処理装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電力を供給する電源と、前記電源からの電力の供給を受けて、LANにより接続された外部装置と通信するLANチップと、前記LANチップへの電力の供給のオフを指示する制御信号に従って、前記LANチップへの電力の供給をオフする電源スイッチと、前記LANチップによる前記外部装置との通信障害を検知する検知手段と、前記検知手段により通信障害が検知された場合に、前記制御信号を前記電源スイッチに出力して前記LANチップへの電力の供給をオフした後、前記制御信号の前記電源スイッチへの出力を停止して前記LANチップへの電力の供給をオンする制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、電力を供給する電源と、前記電源からの電力の供給を受けて、LANにより接続された外部装置と通信するLANチップと、前記LANチップへの電力の供給のオフを指示する制御信号に従って、前記LANチップへの電力の供給をオフする電源スイッチと、を備えた情報処理装置を制御するコンピュータを、前記LANチップによる前記外部装置の通信障害を検知する検知手段と、前記検知手段により通信障害が検知された場合に、前記制御信号を前記電源スイッチに出力して前記LANチップへの電力の供給をオフした後、前記制御信号の前記電源スイッチへの出力を停止して前記LANチップへの電力の供給をオンする制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる情報処理装置およびプログラムは、顧客へのサービスの向上および情報処理装置の保守費用の削減に貢献できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態にかかるPOS端末の概観構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかるPOS端末の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、通信制御回路の具体的な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、CPUチップセットに搭載された部品によるハードウェア構成を示した図である。
【図5】図5は、通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すタイミングチャートである。
【図7】図7は、従来の通信制御回路の具体的に構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、従来の通信制御回路において通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下に示す実施の形態では、情報処理装置の一実施の形態としてPOS(Point Of Sales)端末を例示する。但し、本発明を適用可能な情報処理装置をPOS端末に限定することはなく、LAN(Local Area Network)により接続された外部装置と通信する情報処理装置であれば、あらゆる機器に適用することができる。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかるPOS端末の概観構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態にかかるPOS端末1は、現金等を収容するドロワ2の上に載置され、ドロワ2の引出し2aの開閉を制御する。POS端末1の正面側にはキーボード3とモードスイッチ4が設けられている。キーボード3は、オペレータが預かり金額等を入力するための操作部である。モードスイッチ4は、登録,点検,精算,設定等の各種業務モードを選択するための操作部であり、鍵により操作される。
【0013】
POS端末1の正面側にはオペレータ用のメインディスプレイ5が接続され、背面側には客用のサブディスプレイ6が接続されている。メインディスプレイ5及びサブディスプレイ6は、バックライトを備えた液晶カラーディスプレイ等で構成され、販売登録された商品の品名及び価格や1取引の合計金額や釣銭額等を表示する。
【0014】
POS端末1はレシート及びジャーナルを印字するR/Jプリンタ7を有し、R/Jプリンタ7により印字されたレシートはPOS端末1の正面側に形成されたレシート発行口8から発行される。POS端末1には、商品の販売登録の際に商品ラベルに印刷されたバーコードを読取るためのコードスキャナ9が接続されている。このようなPOS端末1の構成は、例えば特開2000−194940号公報に開示されているため、その詳細な説明は省略する。
【0015】
図2は、本実施の形態にかかるPOS端末の制御系の構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるPOS端末1は、制御系として、CPUチップセット201と、制御I/O202と、電源回路203と、通信制御回路204と、を備える。さらに、POS端末1は、制御I/O202を介して、キーボード3と、メインディスプレイ5と、サブディスプレイ6と、コードスキャナ9等を備える。
【0016】
電源回路203(AC電源)は、CPUチップセット201を含むPOS端末1全体に対して、駆動電力を供給する回路である。
【0017】
通信制御回路204は、ネットワークを介して接続された他のPOS端末との通信を司る回路である。
【0018】
図3は、通信制御回路の具体的な構成を示すブロック図である。通信制御回路204は、LANチップ301、PHYチップ302、コネクタ303、電源スイッチ回路304などを備えている。
【0019】
LANチップ301は、電源回路203からの電力の供給を受けて、LANにより接続された他のPOS端末(外部装置)と通信する。本実施の形態では、LANチップ301は、後述する電源スイッチ304aを介して、電圧Vb_LAN(3.3V)が印加されることにより、電源回路203からの電力の供給を受ける。
【0020】
また、LANチップ301は、制御I/O202を介して、CPUチップセット201から入力されるCLOCK信号に従って他のPOS端末と通信するものとする。さらに、LANチップ301は、制御I/O202を介してCPUチップセット201からRESET♯信号が入力されると、他のPOS端末との通信をリセットする。
【0021】
PHYチップ302は、他のPOS端末との通信によりやり取りする信号のD/A変換を行うものである。
【0022】
コネクタ303は、POS端末1と他のPOS端末とを接続するケーブルを接続する8芯のモジュラ式コネクタ(例えば、RJ45など)である。
【0023】
電源スイッチ回路304は、電源スイッチ304aおよびワンショット回路304bを備えている。
【0024】
ワンショット回路304bは、制御I/O202を介してCPUチップセット201から入力されるPWRoff信号をトリガにして、予め設定された時間、PWRoff信号を電源スイッチ304aに出力する。ここで、PWRoff信号は、LANチップ301への電力の供給のオフを指示する制御信号である。本実施の形態では、ワンショット回路304bは、電源回路203から電圧(3.3V)が印加されることにより、当該電源回路203からの電力の供給を受ける。
【0025】
電源スイッチ304aは、ワンショット回路304bから入力されるPWRoff信号に従って、電源回路203からLANチップ301に印加される電圧Vb_LAN(3.3V)の印加を遮断することにより、LANチップ301への電力の供給をオフする。
【0026】
図2に戻り、CPUチップセット201は、POS端末1の全体を制御する。具体的には、CPUチップセット201は、制御I/O202を介して接続された、キーボード3と、メインディスプレイ5と、サブディスプレイ6と、コードスキャナ9と、通信制御回路204と、の制御を行う。
【0027】
図4は、CPUチップセットに搭載された部品によるハードウェア構成を示した図である。図4に示すように、POS端末1は、CPUチップセット201内部に、CPU401と、メモリコントローラ402と、IOコントローラ403と、メインメモリ404と、を備えている。
【0028】
本実施の形態では、POS端末1に電源を投入されると、これらCPUチップセット201の構成に基づいて、電源回路203からPOS端末1全体への電力の供給の制御を行うこととする。
【0029】
CPU401は、図示しない記憶領域に格納されたプログラムに従って、POS端末1に関する処理をおこなう。その際、CPU401は、メインメモリ304を作業領域として用いる。
【0030】
その際、CPU401は、図示しない記憶領域から読み出されたプログラムを実行することで、検知部401aおよび制御部401bを実現する。
【0031】
検知部401aは、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害を検知するものであり、例えば、LANチップ301による他のPOS端末とのデータのやり取りの際に、他のPOS端末から応答がなくLANチップ301がタイムアウトした場合に、通信障害を検知する。
【0032】
制御部401bは、検知部401aにより通信障害が検知された場合に、制御I/O202を介して、PWRoff信号を電源スイッチ回路304(電源スイッチ304a)に出力してLANチップ301への電力の供給をオフした後、PWRoff信号の電源スイッチ回路304への出力を停止してLANチップ301への電力の供給をオンする。
【0033】
なお、本実施の形態では、上述したように、ワンショット回路304bが、制御部401bから出力されたPWRoff信号をトリガにして、PWRoff信号を電源スイッチ304aに出力してLANチップ301への電力の供給をオフした後、PWRoff信号の電源スイッチ304への出力を停止してLANチップ301への電力の供給をオンする。そのため、制御部401bは、検知部401aにより通信障害が検知された場合に、一度、PWRoff信号を電源スイッチ回路304に出力すれば良く、LANチップ301への電力の供給がオフするまで、PWRoff信号を出力し続ける必要はない。
【0034】
また、制御部401bは、POS端末1の電源が投入された際に、制御I/O202を介して、RESET♯信号をLANチップ301に出力して、LANチップ301をリセットする。さらに、制御部401bは、LANチップ301をリセットした後、制御I/O202を介して、CLOCK信号をLANチップ301に出力する。
【0035】
メインメモリ404は、CPU401の作業領域として用いられるメモリ領域である。また、本実施の形態においては、メインメモリ404として、DDR2(Double Data Rate 2 SDRAM)を用いることとする。なお、メインメモリ404は、DDR2に制限するものではなく、例えばメインメモリとして、DDR3(Double Data Rate 3 SDRAM)を適用しても良い。
【0036】
メモリコントローラ402は、メインメモリ404と、CPU401と、を接続するコントローラとする。また、メモリコントローラ402は、CPU401からのコマンドに従って、メインメモリ404に対するコマンドを出力する。なお、メモリコントローラ402は、例えばIntel(登録商標)社のMCHに相当する。
【0037】
IOコントローラ403は、メモリコントローラ402と(図示しない)PCIバスやUSB等の他の構成要素を接続するためコントローラとする。IOコントローラ403は、メモリコントローラ402と高速なデータ転送が可能なインターフェースで接続されている。なお、IOコントローラ403は、例えばIntel(登録商標)社のICHに相当する。
【0038】
図5は、通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すフローチャートである。図6は、通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すタイミングチャートである。
【0039】
POS端末1の電源投入後、制御部401bからLANチップ301にCLOCK信号が出力されている間、検知部401aは、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害を検知する(ステップS501:No)。検知部401aによって通信障害が検知されると(ステップS501:Yes)、制御部401bは、ワンショット回路304bにPWRoff信号を出力する(ステップS502)。
【0040】
ワンショット回路304bは、制御部401bからPWRoff信号を受けるのを待つ(ステップS503:No)。制御部401bからPWRoff信号を受けると(ステップS503:Yes)、ワンショット回路304bは、制御部401bから受けたPWRoff信号をトリガにして、電源スイッチ304aにPWRoff信号を出力してLANチップ301への電圧Vb_LAN(3.3V)の印加を停止する(ステップS504)。ワンショット回路304bは、予め設定された時間、PWRoff信号を電源スイッチ304aに出力する(ステップS505:No)。そして、予め設定された時間経過すると(ステップS505:Yes)、ワンショット回路304bは、PWRoff信号の出力を停止して、LANチップ301を再起動させる(ステップS506)。
【0041】
図7は、従来の通信制御回路の具体的に構成を示すブロック図である。図8は、従来の通信制御回路において通信障害が発生した場合にLANチップへの電力の供給をオフする処理の流れを示すタイミングチャートである。従来の通信制御回路700は、LANチップ301が、電源スイッチ304aを介さずに、電源回路203から電圧(3.3V)が印加されている点において、図3に示す通信制御回路204と異なる。
【0042】
従来の通信制御回路700においては、図8に示すように、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害が発生した場合、ユーザが手動にてPOS端末1の電源をオフした後、再度、POS端末1の電源をオンすることにより、LANチップ301を再起動させていた。そのため、通信障害が発生してからPOS端末1の電源がオンするまでの間、POS端末1を利用した顧客へのサービスが滞っていた。
【0043】
しかし本実施の形態にかかるPOS端末1によれば、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害が検知された場合に、PWRoff信号を電源スイッチ304aに出力してLANチップ301への電力の供給をオフした後、PWRoff信号の電源スイッチ304aへの出力を停止してLANチップ301への電力の供給をオンすることにより、POS端末1全体の電源をオフすることなく、LANチップ301による他のPOS端末との通信障害を解消することができるので、顧客へのサービスの向上および情報処理装置の保守費用の削減に貢献できる。
【0044】
なお、本実施の形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0045】
また、本実施の形態のPOS端末1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態のPOS端末1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態のPOS端末1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 POS端末
203 電源回路
301 LANチップ
304 電源スイッチ回路
304a 電源スイッチ
304b ワンショット回路
401 CPU
401a 検知部
401b 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開平09−198334号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電源と、
前記電源からの電力の供給を受けて、LANにより接続された外部装置と通信するLANチップと、
前記LANチップへの電力の供給のオフを指示する制御信号に従って、前記LANチップへの電力の供給をオフする電源スイッチと、
前記LANチップによる前記外部装置との通信障害を検知する検知手段と、
前記検知手段により通信障害が検知された場合に、前記制御信号を前記電源スイッチに出力して前記LANチップへの電力の供給をオフした後、前記制御信号の前記電源スイッチへの出力を停止して前記LANチップへの電力の供給をオンする制御手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記外部装置からの応答がなくタイムアウトした場合に通信障害を検知することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御手段から前記電源スイッチへの前記制御信号の出力をトリガにして予め設定された時間、前記制御信号を出力する信号出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
電力を供給する電源と、前記電源からの電力の供給を受けて、LANにより接続された外部装置と通信するLANチップと、前記LANチップへの電力の供給のオフを指示する制御信号に従って、前記LANチップへの電力の供給をオフする電源スイッチと、を備えた情報処理装置を制御するコンピュータを、
前記LANチップによる前記外部装置の通信障害を検知する検知手段と、
前記検知手段により通信障害が検知された場合に、前記制御信号を前記電源スイッチに出力して前記LANチップへの電力の供給をオフした後、前記制御信号の前記電源スイッチへの出力を停止して前記LANチップへの電力の供給をオンする制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
前記検知手段は、前記外部装置からの応答がなくタイムアウトした場合に通信障害を検知することを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、さらに、
前記制御手段から前記電源スイッチへの前記制御信号の出力をトリガにして予め設定された時間、前記制御信号を出力する信号出力手段として機能させことを特徴とする請求項4または5に記載のプログラム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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