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情報処理装置およびユーザ端末
説明

情報処理装置およびユーザ端末

【課題】ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共にその代謝結果を評価するための第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置において、ユーザ端末が第1生体成分に基づいて第1指標値を精度よく取得することを可能とする技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値を第1生体成分に基づいて取得し、取得した第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置であって、第1指標値の取得に使用するための検量線データをユーザ端末に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびユーザ端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、糖尿病患者の数が世界的に増加傾向にある。糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血中グルコース濃度)を示す血糖値が高い状態、すなわち高血糖が慢性的に続く疾病である。人体内でエネルギー源であるブドウ糖を細胞に取り込む際、インスリンと呼ばれるホルモンが必要であり、このインスリンの分泌量が減少したり、細胞のインスリンに対する感受性が低下することにより、ブドウ糖が血液中にあふれ、高血糖となる。
【0003】
日本国内において、現在、糖尿病患者は数百万人ともいわれ、糖尿病の予備軍といわれる潜在的な境界型糖尿病患者を含めると全国で数千万人にのぼるともいわれている。糖尿病患者はもとより、糖尿病の予備軍である境界型糖尿病患者にとっては、日々の血糖値管理が極めて重要である。
【0004】
現在、自己の血糖値を測定するための様々な血糖値測定装置が市販されている。例えば、このような血糖値測定装置として、血糖自己測定(SMBG:self-monitoring of blood glucose)を行うためのSMBG測定装置や、持続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)を行うCGM測定装置が知られている。SMBGは、穿刺器具を用いて
指先などから採取した血液を、測定器に装着した試験片に付着させて血糖値の測定を測定する方法である。また、CGMでは、電極とグルコースに反応する酵素を含む微小センサを皮下に留置し、皮下間質液中のブドウ糖濃度を持続的に測定する方法である。一般に、CGM測定装置では数日〜数週間程度のスパンに亘りグルコースセンサを皮下に留置し、数十秒〜数分間隔毎に血糖値を連続的に測定する。
【0005】
体液中(血液又は間質液中)のグルコースの代謝の能力を評価するための指標として、例えば、空腹時血糖値(FPG)、経口ブドウ糖負荷試験による血糖値(以下、「OGTT」ともいう)などが挙げられる。これらFPG、OGTTは、境界型糖尿病であるかどうかの診断判定に用いられる。
【0006】
一方、一定期間における体液中のグルコースの代謝結果を評価するための指標としてグリコヘモグロビン(HbA1c)が知られている。グリコヘモグロビンは、グルコースと結びついたヘモグロビン(血色素)で、現時点より過去2〜3ヶ月間の血糖状態を反映する。そのため、グリコヘモグロビンは、患者の生活や症状を把握するために糖尿病ケアに有用な指標となる。現在、グリコヘモグロビンは、血糖値とは別の測定原理を用いて測定する必要がある。しかしながら、近年、CGM測定装置から求めた、過去から現在までの血糖値の平均値である、平均血糖値(AG:Average Glucose)とグリコヘモグロビン(
HbA1c)とは密な相関が見出され、平均血糖値から現在のグリコヘモグロビンを推定する、或いは現在のグリコヘモグロビンから平均血糖値を推定可能であることが報告されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0007】
その他、例えば特許文献1では、事前に測定したグルコースレベルを使用した患者の血液中におけるグリコヘモグロビン(HbA1c)のレベルを予測する方法が提案されている。この方法においては、前もって測定された血中グルコースレベル及びグリコヘモグロビンレベルを使用して血中グルコースレベルに対するグリコヘモグロビンレベルの挙動の数理モデルを導出しておき、新たにグリコヘモグロビンレベルが測定されたときには上記数理モデルを更新する。次にこの更新された数理モデルと、今後新たに測定される血中グ
ルコースレベルとを用いて、グリコヘモグロビンレベルを予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−332704号公報
【特許文献2】特許4523082号公報
【特許文献3】国際公開第2007/091654号
【特許文献4】特表2003−528330号公報
【特許文献5】特表2005−535885号公報
【特許文献6】特開2009−210549号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Diabetes Care Volume 31 Number 8 August 2008, 'Translating the A1c assay into Estimated Average Glucose Values', David M. Nathan (ADAG Study Group)
【非特許文献2】Diabetes Care Volume 33 Number 8 August 2010, '2010 Consensus Statement on the Worldwide Standardization of the Hemoglobin A1c Measurement'
【非特許文献3】Diabetes Care Volume 33 Number 9 September 2010, 'Postchallenge Glucose, A1c, and Fasting Glucose as Predictors of Type 2 Diabetes and Cardiovascular Diseases'
【非特許文献4】Diabetes Care Volume 33 Number 10 October 2010, 'Impact of A1c Screening Criterion on the Diagnosis of Pre-Diabetes Among U.S. Adults'
【非特許文献5】The Lancet, 25 June 2011 (Early Online Publication), 'HbA1c 5・7-6・4% and impaired fasting plasma glucose for diagnosis of prediabetes and risk of progression to diabetes in Japan (TOPICS 3): a longitudinal cohort study'
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、ユーザの第1生体成分の測定値に基づいて、第1生体成分の状態を反映すると共にその代謝結果を評価するための第1指標値を取得し、第1指標値の取得結果をユーザに提供するユーザ端末においては、第1生体成分に基づいて第1指標値を精度よく求めることが要求される。本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共にその代謝結果を評価するための第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置において、ユーザ端末が第1生体成分に基づいて第1指標値を精度よく取得することを可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、本発明に係る情報処理装置は、ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値を前記第1生体成分に基づいて取得し、取得した前記第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置であって、前記第1指標値の取得に使用するための検量線データを前記ユーザ端末に配信する。上記構成によれば、ユーザ端末が第1生体成分の測定値に基づいて第1指標値を取得に使用する際に用いる検量線データが情報処理装置からユーザ端末へと配信されるので、この検量線データの配信を受けたユーザ端末は第1指標値を精度よく取得することができる。
【0012】
情報処理装置は、前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関
関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置を備え、ユーザの検体から実測した前記第1指標値の測定値、および該ユーザの前記第1生体成分の測定値のいずれか一方を第1測定値として取得し、前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1測定値を代入して、前記第1指標値の測定値および前記第1生体成分の測定値のうち前記第1測定値として取得しなかった方の未取得測定値に対応する対応値を夫々取得し、各検量線データから取得した夫々の対応値の乖離量が所定の第1の基準値を超えているか否かを判定し、前記乖離量が前記第1の基準値を超えていると判定した場合に前記未取得測定値を要求する測定値要求情報を発信し、前記測定値要求情報の発信後に取得した前記未取得測定値を第2測定値とし、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新し、更新後の前記固有検量線データを前記ユーザ端末に送信するように構成されていても良い。
【0013】
情報処理装置が第1生体成分の測定値を第1測定値として取得した場合、記憶装置に記憶されている共通検量線データとユーザに固有の固有検量線データの夫々に、取得した上記第1測定値を代入し、第1測定値に対応する第1指標値(未取得測定値)の対応値を夫々求める。一方、情報処理装置が第1指標値の測定値を第1測定値として取得した場合、共通検量線データと固有検量線データの夫々に取得した第1指標値を代入し、対応する第1生体成分(未取得測定値)の値を夫々求める。このようにして、2種類の検量線データから取得した対応値の乖離量が大きいほど、固有検量線データに格納されている検量線と、共通検量線データに格納されている検量線との間に大きな開きが存在することを意味する。
【0014】
そこで、本発明に係る情報処理装置においては、上記乖離量が第1の基準値を超えている場合に、例えば、ユーザ端末に測定値要求情報を発信する。ここで、ユーザ端末が第1生体成分を測定する測定器と分離している場合には、当該測定器に対して上記測定値要求情報を発信してもよい。ここで、各対応値の乖離量が第1の基準値を超えている場合、それぞれの値には有意差が認められ、例えばこの有意差はユーザの体質の変化に拠るものと判断される。上述の測定値要求情報は、未取得生体成分の測定値(未取得測定値)を要求する内容の情報である。情報処理装置が第1測定値として第1生体成分を取得した場合には、測定値要求情報において第1指標値の測定が要求される。一方、情報処理装置が第1測定値として第1指標値を取得した場合には、測定値要求情報において第1生体成分の測定値が要求される。
【0015】
測定値要求情報が例えばユーザ端末に発信されると、前者のケースでは、例えばユーザ端末が未取得測定値である第1指標値の測定を要求する内容の情報をユーザに報知する。この情報を受け取ったユーザは、例えば測定装置を利用して第1指標値を実測する。情報処理装置は、このようにして測定された第1指標値の測定値を第2測定値として取得する。一方、後者のケースでは、例えばユーザ端末は第1生体成分を測定する測定器から第1生体成分の測定値を取得して、その測定値を情報処理装置に送信する。
【0016】
情報処理装置が新たに取得した第2測定値は、既に取得済みの第1測定値と共に、対応するユーザに係る固有検量線データにおいて規定されている第1生体成分と第1指標値に関する一組の実測データを形成する。そこで、情報処理装置においては、第1測定値および第2測定値を用いて、ユーザ端末を使用するユーザに対応する固有検量線データを更新する。そうすることで、例えば固有検量線データに規定されている第1生体成分と第1指標値との相関関係が、共通検量線データに規定されている同様の相関関係に近づくこととなる。また、このように更新された固有検量線データは、対応するユーザのユーザ端末へと送信されるので、例えばユーザ端末側では新たに受信したデータによって固有検量線データを更新することができる。これにより、ユーザ端末は、最新の固有検量線データを使用して第1生体成分の測定値から第1指標値を求めることが可能となる。また、情報処理
装置によれば、ユーザに固有の固有検量線データが、本来あるべき適切な状態になっているのか否かを判別することのでき、必要に応じてその固有検量線データを更新することができる。
【0017】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記第1測定値として前記第1生体成分の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、前記第1生体成分の修正要求情報を発信しても良い。第1生体成分の修正要求情報とは、例えばユーザ端末や上記第1生体成分の測定器に対して修正処理を施した第1生体成分のデータを再度送信するように要求する内容の指令情報である。この修正要求情報を受信したユーザ端末は第1生体成分の測定データに対して下記の修正処理を施し、その結果得られた修正済み測定値を情報処理装置に送信する。なお、その場合に、情報処理装置は、前記修正要求情報の発信後に取得した前記第1生体成分の修正済み測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新するように構成されていても良い。
【0018】
また、第1生体成分の測定値は、所定の基準期間において連続的に該第1生体成分を測定することにより取得された複数の測定データの平均値であってもよい。例えば、第1生体成分がグルコースである場合に、ある基準期間において測定したグルコース濃度に係る複数の測定データを平均して求めた平均グルコース濃度を第1生体成分の測定値として採用しても良い。また、第1指標値としては、グリコヘモグロビンの濃度であっても良い。
【0019】
ここで、前記第1生体成分の測定値が、所定の基準期間において連続的に前記第1生体成分を測定することにより取得された複数の測定データの平均値である場合、前記第1生体成分の前記修正済み測定値は、前記基準期間を短縮する基準期間短縮処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値、または、前記基準期間において所定の測定値変化幅が許容値を超えた測定データを除去する異常値除去処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値として算出されても良い。
【0020】
また、本発明に係る情報処理装置は、前記第1測定値として前記第1指標値の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、ユーザの検体から前記第1指標値を実測する測定装置に異常または故障が生じていると判定するように構成されても良い。
【0021】
また、前記共通検量線データは、複数の被験者における検体から測定された前記第1生体成分の測定値および該検体から測定された前記第1指標値の測定値の相関関係に基づいて構築されても良い。また、情報処理装置は、ユーザの検体から第1指標値を測定する測定装置に組み込まれていてもよい。もちろん、この測定装置と独立したサーバ装置の形態で情報処理装置が実現されてもよい。また、ユーザ端末は、ユーザの検体から第1生体成分を測定する測定器と一体に設けられてもよいし、分離していてもよい。後者の場合、ユーザ端末および測定器は、無線または有線により通信可能であっても良い。
【0022】
ここで、本発明は、上述までの何れかの情報処理装置に通信可能なユーザ端末として捉えることも可能である。例えば、ユーザ端末は、情報処理装置から配信される固有検量線データおよび第1生体成分の測定値に基づいて取得した第1指標値の取得結果、および第1生体成分の測定値に関する情報を表示可能であっても良い。
【0023】
また、本発明に係るユーザ端末は、ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値を前記第1生体成分に基づいて取得し、取得した前記第1指標値をユーザに提供するユーザ端末である。また、ユーザ端末は、前記第1指標値の取得に使用するための検量線データを所定の条件下
において更新するように構成されていても良い。
【0024】
例えば、ユーザ端末は、前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置を備え、ユーザの検体から実測した前記第1指標値の測定値、および該ユーザの前記第1生体成分の測定値のいずれか一方を第1測定値として取得し、前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1測定値を代入して、前記第1指標値の測定値および前記第1生体成分の測定値のうち前記第1測定値として取得しなかった方の未取得測定値に対応する対応値を夫々取得し、各検量線データから取得した夫々の対応値の乖離量が所定の第1の基準値を超えているか否かを判定し、前記乖離量が前記第1の基準値を超えていると判定した場合に、前記未取得測定値を新たに第2測定値として取得すると共に、新たに取得した第2測定値と前記第1測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新するように構成されても良い。
【0025】
また、ユーザ端末は、前記第1測定値として前記第1生体成分の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、前記第1生体成分の測定値に関する修正処理を実施し、前記修正処理の実施後における前記第1生体成分の修正済み測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新するように構成されても良い。
【0026】
ユーザ端末は、前記第1測定値として前記第1指標値の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、ユーザの検体から前記第1指標値を実測する測定装置に異常または故障が生じていると判定するように構成されても良い。
【0027】
ユーザ端末は、前記第1生体成分の代謝能を評価するための第2指標値を取得するように構成されていても良い。この場合、ユーザ端末は、前述の第1指標値および第2指標値に関する取得結果をディスプレイに表示可能に構成されても良い。その場合、ディスプレイは、第1指標値および第2指標値を同時にディスプレイ表示しても良い。
【0028】
また、ユーザ端末は、前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置と、取得した前記第1指標値および前記第2指標値のそれぞれに対して、前記指標値ごとに設定された所定の閾値との大小関係を判定する判定部と、を更に備えていても良い。そして、前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1生体成分の測定値を代入し、代入した前記第1生体成分の測定値に対応する夫々の前記第1指標値である固有検量線対応値と共通検量線対応値とを取得し、前記判定部において、取得した前記固有検量線対応値と前記共通検量線対応値の夫々に対して、前記第1指標値に設定された所定の閾値との大小関係を判定し、前記固有検量線対応値および前記共通検量線対応値に対する判定結果が相違する場合に、前記固有検量線データの更新について要求する所定の更新要求情報を出力するように構成されていても良い。この更新要求情報は、例えばユーザに第1指標値の実測を要求する所定の実測要求情報を含むものである。
【0029】
ここで、ユーザ端末の記憶装置には、ユーザによる入力操作、可搬記録媒体、外部装置からの通信の少なくとも何れかの手段を介して取得した第1指標値の実測値が記憶されるように構成されており、記憶装置に新たな第1指標値の実測値が追加された場合に、記憶装置における固有検量線データが当該追加された第1指標値に基づいて更新されても良い。
【0030】
また、本発明は情報提供方法としても捉えることができる。本発明は、ユーザの第1生
体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値を前記第1生体成分に基づいて取得し、取得した前記第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置が、前記ユーザ端末に、前記第1指標値の取得に使用するための検量線データを配信する情報提供方法を提供することができる。
【0031】
ここで、情報処理装置の記憶装置に、前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとが記憶されている場合、本発明に係る情報提供方法は、ユーザの検体から実測した前記第1指標値の測定値、および該ユーザの前記第1生体成分の測定値のいずれか一方を第1測定値として取得する第1ステップと、前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1測定値を代入して、前記第1指標値の測定値および前記第1生体成分の測定値のうち前記第1測定値として取得しなかった方の未取得測定値に対応する対応値を夫々取得する第2ステップと、各検量線データから取得した夫々の対応値の乖離量が所定の第1の基準値を超えているか否かを判定する第3ステップと、前記乖離量が前記第1の基準値を超えていると判定した場合に前記未取得測定値を要求する測定値要求情報を発信する第4ステップと、前記測定値要求情報の発信後に取得した前記未取得測定値を第2測定値とし、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新する第5ステップと、更新後の前記固有検量線データを前記ユーザ端末に送信する第6ステップとを有していても良い。
【0032】
また、第1ステップにおいて前記第1測定値として前記第1生体成分の測定値を取得した場合であって、かつ、第3ステップにおいて、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、前記第1生体成分の修正要求情報を発信する第7ステップと、前記修正要求情報の発信後に取得した前記第1生体成分の修正済み測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新する第8ステップと、を更に有していても良い。
【0033】
また、本発明は、ユーザ端末におけるディスプレイの表示方法として捉えることもできる。本発明は、ユーザの第1生体成分の測定値をユーザ端末のディスプレイに表示させる表示方法であって、前記第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値と、前記第1生体成分の代謝能を評価するための第2指標値とを取得する指標値取得ステップと、前記指標値取得ステップにおいて取得した前記第1指標値と前記第2指標値とに関する取得結果を、ディスプレイに同時に表示させる表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0034】
そして、本発明に係るディスプレイの表示方法は、前記指標値取得ステップにおいて取得した前記第1指標値および前記第2指標値の夫々に対して、指標値ごとに設定された所定の閾値との大小関係を判定する判定ステップを更に有し、前記表示ステップでは、前記第1指標値および前記第2指標値の夫々についての前記判定ステップの判定結果を特定可能に表示させるべく、ディスプレイの表示領域を複数の領域に分け、且つ、前記表示領域のうち、前記各指標値についての判定結果に合致する特定の領域を他の領域と識別可能な表示状態としても良い。
【0035】
また、本発明に係るディスプレイの表示方法は、前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとの夫々に前記第1生体成分の測定値を代入し、代入した前記第1生体成分の測定値に対応する夫々の前記第1指標値である固有検量線対応値と共通検量線対応値とを取得し、取得した前記固有検量線対応値と前記共通検量線対応値の夫々に対して、前記第1指標値に設定された所定の閾値との大小関係を判定し、前記固有検量線対応値および前記共通
検量線対応値に対する判定結果が相違する場合に前記固有検量線データの更新について要求する所定の更新要求情報を出力しても良い。
【0036】
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共にその代謝結果を評価するための第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置において、ユーザ端末が第1生体成分に基づいて第1指標値を精度よく取得することを可能とする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第一実施形態に係る情報提供システムのシステム構成図である。
【図2】第一実施形態に係るユーザ端末の構成ブロック図である。
【図3】第一実施形態に係るサーバ装置の構成ブロック図である。
【図4】固有検量線データを説明する説明図である。
【図5】血糖値の時間推移を例示する図である。
【図6】第一実施形態に係るサーバ装置と複数のクライアント端末との接続状態を説明する説明図である。
【図7】共通検量線データSCpを説明するための説明図である。
【図8】第一実施形態に係る第一制御を説明するための説明図である。
【図9】第一実施形態に係る第一制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図10】第一実施形態に係る固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図11】第一実施形態に係る異常値除去処理を説明するための説明図である。
【図12】第一実施形態に係る第二制御を説明するための説明図である。
【図13】第一実施形態に係る第二制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図14】第一実施形態に係る第二固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図15】第一実施形態に係る情報提供システムにおける他のシステム構成例を示す図である。
【図16】第一実施形態に係るユーザ端末の基本表示モードを説明する説明図である。
【図17】第一実施形態に係るユーザ端末の基本表示モードを説明する第二の説明図である。
【図18】第一実施形態に係るユーザ端末のAG表示モードを説明する説明図である。
【図19】第一実施形態に係るユーザ端末の分析表示モード(分析基本画面)を説明する説明図である。
【図20】第一実施形態に係るユーザ端末の分析表示モード(詳細情報画面)を説明する説明図である。
【図21】第一実施形態に係るユーザ端末の第二分析表示モードを説明する説明図である。
【図22】第一実施形態に係るユーザ端末のお知らせ表示モードを説明する説明図である。
【図23】第一実施形態に係るFPG測定制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図24】第一実施形態に係るユーザ端末のFPG測定モード(FPG初期画面)を説明する説明図である。
【図25】第一実施形態に係るユーザ端末のFPG測定モード(FPG継続中画面)を説明する説明図である。
【図26】第一実施形態に係るユーザ端末のFPG測定モード(FPG結果出力画面)を説明する説明図である。
【図27】第一実施形態に係るOGTT測定制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図28】第一実施形態に係るユーザ端末のOGTT測定モード(OGTT初期画面)を説明する説明図である。
【図29】第一実施形態に係るユーザ端末のOGTT測定モード(OGTT継続中画面)を説明する説明図である。
【図30】第一実施形態に係るユーザ端末のOGTT測定モード(OGTT結果出力画面)を説明する説明図である。
【図31】第二実施形態に係る情報提供システムのシステム構成図である。
【図32】第二実施形態に係る第三制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図33】第二実施形態に係る第三固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図34】第二実施形態に係る第四制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。
【図35】第三実施形態に係るユーザ端末の同時表示モードを説明する説明図である。
【図36】第三実施形態に係るユーザ端末の表示モードを同時表示モードとする場合の処理フローを示すフローチャートである。
【図37】第三実施形態に係る同時表示モードを説明する第2の説明図である。
【図38】第三実施形態に係る第一の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。
【図39】第三実施形態に係る第二の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。
【図40】第三実施形態に係るSMBG測定装置の概略構成図である。
【図41】第四実施形態に係る第一の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。
【図42】第四実施形態に係る第二の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る実施形態にについて、図面に基づいて例示的に説明する。なお、本実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、各図において共通する構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0040】
<第一実施形態>
[システム概略構成]
図1は、第一実施形態に係る情報提供システムSのシステム構成図である。1はCGM測定器、2はユーザ端末、3はネットワーク、4はサーバ装置(情報処理装置)、5は測定装置である。CGM測定器1およびユーザ端末2は、協働してユーザ(患者)の間質液に含まれるグルコース(ブドウ糖)の濃度、すなわち血糖値を連続的に測定(実測)する。なお、本実施形態において、CGM測定器1およびユーザ端末2は別々の機器として構成されているが、これらが一体に構成されていても良い。
【0041】
[ユーザ側]
〈CGM測定器〉
CGM測定器1には、ユーザの皮下に植え込んで使用するグルコースセンサ11、CGM測定器1の所定の動作(例えば、電圧の印加或いは外部との通信など)に必要なプロセッサや、メモリなどの電子部品が搭載された制御コンピュータ(図示せず)が設けられている。CGM測定器1は、粘着テープ等によってユーザの皮膚に貼り付けられ、あるいはベルト等に取付けられることで、ユーザに装着されることができる。本実施形態では体液中のグルコース成分が本発明における第1生体成分に対応する。グルコースセンサ11は、電気化学的反応を利用して特定の成分を検出する電気化学センサである。グルコースセンサ11の先端側には、グルコースオキシダーゼ(GOD)、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)等のグルコース酸化還元酵素、作用極や対極、参照極など複数の電極からなるセンサ部が形成されている。グルコースセンサ11は、このセンサ部が皮下に植え込まれ、電極への印加電圧を制御コンピュータが制御することで連続的な血糖測定(CGM)が実施される。
【0042】
〈ユーザ端末〉
図2は、第一実施形態に係るユーザ端末2の構成ブロック図である。ユーザ端末2は、CGM測定器1の測定結果を表示するためのディスプレイを有する、ユーザ(クライアント)側の情報処理装置である。ユーザ端末2は以下に説明するようにコンピュータの構成を含む。すなわち、ユーザ端末2は、プロセッサ21、主記憶装置22、操作部23、ディスプレイ24、可搬記録媒体駆動装置25、ネットワークインタフェース26、補助記憶装置27、時計28等を備え、これらがバス線により互いに接続されている。
【0043】
操作部23は、例えば、操作ボタン等であるが、例えば接触式のタッチパネルであってもよい。操作部23から入力されたデータは、プロセッサ21に出力される。ネットワークインタフェース26は、ネットワーク3との情報の入出力を行うインタフェースである。ネットワーク3は、例えばインターネット、電話回線網、衛星回線網などを適宜含めた通信回線網である。ネットワークインタフェース26は、有線や無線のネットワークと接続し、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード、携帯電話網に接続するための無線回路等である。ネットワークインタフェース26で受信されたデータ等は、プロセッサ21に出力される。
【0044】
主記憶装置22は、補助記憶装置27に格納されているプログラムをロードする記憶領域及び作業領域を提供したり、バッファとして用いられる。主記憶装置22は、例えば、RAM(Random Access Memory)のような半導体メモリであるが、これには限定されない。補助記憶装置27は、種々のプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ21が使用するデータを格納する。補助記憶装置27は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク(Hard Drive Disc)、フラッシュメモリ等であるが、これらには限定されない。
【0045】
補助記憶装置27は、測定データ記憶部30、第一検量線記憶部31、第二検量線記憶部32、識別情報記憶部33、イベント履歴記憶部34、AG値記憶部35、HbA1c値記憶部36等を有する。可搬記録媒体駆動装置25は、フラッシュメモリカード等のような可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す。読み出されたデータはプロセッサ21に出力される。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)や、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ21は、
補助記憶装置27に保持されたOSや様々なアプリケーションプログラムを主記憶装置22にロードして実行することによって、様々な処理を実行する。
【0046】
ディスプレイ24は、第一ディスプレイ24A、第二ディスプレイ24Bを有し、これ
ら各ディスプレイは、例えば液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、Cathode Ray Tube(CRT)又はエレクトロルミネッセンスパネル等である。また、ユーザ端末2とCGM測定器1は、無線又は有線によりデータ通信を行うことが可能である。このデータ通信は、例えば無線通信手段(赤外線を使ったIrDA、あるいは2.4GHzの周波数帯を使ったブルートゥース等)を利用したり、USB(Universal Serial Bus)等のケーブルを介してデータ通信を行うようにしてもよい。
【0047】
[医療機関側]
〈サーバ装置〉
サーバ装置4は、医療機関側に設けられた汎用のホストコンピュータである。サーバ装置4は、ネットワーク3を介してユーザ端末2と通信可能に接続されている。図3は、第一実施形態に係る情報処理装置としてのサーバ装置4の構成ブロック図である。サーバ装置4は、プロセッサ41、主記憶装置42、入力装置43、出力装置(モニタ)44、可搬記録媒体駆動装置45、ネットワークインタフェース46、補助記憶装置47、時計48などを備え、これらがバス線により互いに接続されている。なお、本実施形態では、本発明に係る情報処理装置を測定装置5と独立したサーバ装置4によって実現しているが、この情報処理装置を測定装置5に組み込むようにしてもよい。つまり、図3に示すサーバ装置4を測定装置5に組み込むことで、後述するグリコヘモグロビンを実測する測定機能とサーバ機能とを備える装置として実現してもよい。後者の構成例については他の実施形態として後で詳しく説明する。
【0048】
入力装置43は、例えば、キーボードや、マウス等のポインティングデバイスであり、入力装置43から入力されたデータは、プロセッサ41に出力される。ネットワークインタフェース46は、ネットワーク3との情報の入出力を行うインタフェースであり、ユーザ端末2におけるネットワークインタフェース26と同等である。ネットワークインタフェース46で受信されたデータ等は、プロセッサ41に出力される。
【0049】
主記憶装置42は、補助記憶装置47に格納されているプログラムをロードする記憶領域及び作業領域を提供したり、バッファとして用いられる。主記憶装置42は、例えば、RAMのような半導体メモリである。また、プロセッサ41は、例えば、CPUやDSPであり、ユーザ端末2におけるプロセッサ21と同等である。補助記憶装置47は、様々なプログラムや、各プログラムの実行に際してプロセッサ41が使用するデータ等を格納する。補助記憶装置47は、例えば、EPROM、ハードディスク等である。補助記憶装置47は、例えば、オペレーティングシステム(OS)、その他様々なアプリケーションプログラムを保持する。補助記憶装置47は、サーバ側検量線記憶部52(第2の検量線記憶部)、AG値記憶部53、HbA1c値記憶部54等を有する。可搬記録媒体駆動装置45は、可搬記録媒体を駆動し、可搬記録媒体に記録されたデータを読み出す。読み出されたデータはプロセッサ41に出力される。可搬記録媒体は、例えば、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、フラッシュメモリカード、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などのような記録媒体である。
【0050】
出力装置44は、プロセッサ41の処理結果などを出力するモニタである。また、サーバ装置4は、測定装置5と無線又は有線によりデータ通信可能である。データ通信は、例えば無線通信手段(赤外線を使ったIrDA或いは2.4GHzの周波数帯を使ったブルートゥース)を利用したり、USB(Universal Serial Bus)等のケーブルを介してデータ通信を行うようにしてもよい。
【0051】
〈測定装置〉
測定装置5は、例えば医療機関(例えば病院やクリニック等)に設けられ、患者の血液(検体)中に含まれるグリコヘモグロビン(HbA1c)の濃度を測定(実測)する装置
である。この測定装置5は、例えば高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を利用した高速液体クロマトグラフィ装置(HPLC装置)であって、例えば特許文献3に開示されているHPLC装置を援用することができる。測定装置5には、光学的手法によって被験者(患者)の血液からグリコヘモグロビン(HbA1c)の濃度(以下、「HbA1c濃度」という。)を測定する測定ユニット(図示せず)や、HbA1cに関する測定処理、各種演算処理、測定結果の記憶など、測定装置全体の動作を制御するためのプロセッサや、メモリなどの電子部品が搭載された制御コンピュータ(図示せず)などを備えている。また、測定装置5は、試料としての血液を収容した採血管、採血管から採取した試料を調製するための試料調製ユニット、測光ユニットなど、グリコヘモグロビン濃度を測定するために必要な各種装置を備えている。
【0052】
測定装置5によるグリコヘモグロビン濃度の測定結果は、有線又は無線、あるいはUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、フラッシュメモリカード、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などのような可搬記録媒体を介してサーバ装置4に入力される。サーバ装置4が取得した各種データは補助記憶装置47に記憶される。なお、測定装置5からの各種データが通信によって送られる場合には、サーバ装置4のネットワークインタフェース46にて受信され、各種データが可搬記録媒体に記録されている場合には可搬記録媒体駆動装置45によって可搬記録媒体からデータが読み出される。このようにして測定装置5から取得した各種データは、補助記憶装置47に記憶される。
【0053】
[ユーザ端末の表示態様]
CGM測定器1は、例えば数日〜数週間程度の連続測定期間に亘ってグルコースセンサ11を皮下に留置させ、連続的に体液中(血液又は間質液中)のグルコースの濃度(以下、単に「グルコース濃度」という)を測定する。この「連続的」との意味は、グルコースセンサ11を皮下に留置させた状態で継続的にグルコース濃度を測定することを意味し、言うまでも無く所定時間毎にグルコース濃度を測定する態様が含まれる。グルコース濃度の測定頻度は任意に設定することができるが、本実施形態では数十秒〜数分間に一回の頻度でグルコース濃度を測定するように設定されている。体液中のグルコースは、第1生体成分に対応する。
【0054】
ユーザ端末2は、第一ディスプレイ24Aおよび第二ディスプレイ24Bを有する。第一ディスプレイ24Aには、CGM測定器1が測定したグルコース濃度に関する情報(以下、Glu情報ともいう)が表示される(図1を参照)。また、第一ディスプレイ24Aに表示されるGlu情報は、操作部23を介してユーザからのマニュアル操作を受け付け、あるいは予め設定された条件が揃った場合に、その表示態様が変更されるように設定されている。なお、ユーザ端末2におけるディスプレイの数は特定の数に限定されるものではなく、単一の画面が複数の表示領域に分割される態様であってもよい。第一ディスプレイ24Aには、現在のグルコース濃度だけでなく、ある基準期間におけるグルコース濃度の平均値である平均グルコース濃度(AG:Average Glucose)を表示させてもよい。デ
ィスプレイ24の表示態様に関するバリエーションについては後から詳しく説明する。
【0055】
例えば、図1に示す表示態様では、第一ディスプレイ24Aの上段に現在のグルコース濃度が表示され、下段にグルコース濃度の推移を示すグラフが表示されている。なお、現在のグルコース濃度については、直近に測定されたグルコース濃度、すなわち最新のグルコース濃度を第一ディスプレイ24Aに表示させている。
【0056】
次に、CGM測定器1の基本動作について説明する。CGM測定器1はグルコースセンサ11のセンサ部を形成する電極間(作用極および対極との間、または作用極と参照極との間)に印加させる電圧を制御して、その応答電流値を測定する。作用極および対極との
間、または作用極と参照極との間に電圧が印加されると、酸化還元酵素によって患者の体液中のブドウ糖が酸化され、これによって取り出された電子が作用極に供給される。CGM測定器1の制御コンピュータ(プロセッサ)は、作用極に供給された電子の電荷量を応答電流として測定する。
【0057】
ユーザ(患者)の体液中に含まれるグルコース濃度に相関する応答電流値を測定したCGM測定器1は、その応答電流値をユーザ端末2に順次データ送信する。ユーザ端末2におけるプロセッサ21は、送信されてきた応答電流値を、補助記憶装置27における第一検量線記憶部31に記憶されている第一検量線データを参照して、グルコース濃度に変換する。第一検量線データは、グルコースセンサ11によって測定される応答電流値と体液中のグルコース濃度との相関関係(対応関係)を示す検量線(標準曲線)が記憶されたデータである。この第一検量線データは、例えば、数式や対応テーブルとして、第一検量線記憶部31に記憶されている。
【0058】
プロセッサ21は、上記のようにして演算したグルコース濃度の現在値を、第一ディスプレイ24Aの上段に表示する。また、プロセッサ21は、時計28から日時情報を取得し、その日時情報と関連付けられたグルコース濃度(測定値)を、補助記憶装置27の測定値記憶部30に記憶させる。更に、プロセッサ21は、補助記憶装置27に記憶されているグルコース濃度と日時情報(測定日時)に基づいて、グルコース濃度の時間推移を第一ディスプレイ24Aの下段に表示する。グルコース濃度の時間推移を第一ディスプレイ24Aに表示させる時間軸は任意に定めることができる。例えば、図1の例では過去数時間から現在に至るまでの範囲でグルコース濃度の時間推移を表示させている。また、ユーザによる操作部23のマニュアル操作を受け付けることによって、ディスプレイ24の表示モードは適宜変更することができる。
【0059】
第一ディスプレイ24Aに表示されるGlu情報は、比較的短期的な糖尿病ケアに関する情報をユーザに提供することに適する一方、長期的な糖尿病ケアに関する情報を提供することには不向きである。そこで、本実施形態に係るユーザ端末2は、長期的な血糖状態を反映する指標であるグリコヘモグロビン(HbA1c)に関する情報(以下、「HbA1c情報」という)を、Glu情報と併せてディスプレイ24に表示させる。
【0060】
グリコヘモグロビンは、ブドウ糖(グルコース)と結びついたヘモグロビンであり、現在を基準にして過去2〜3ヶ月間の血糖状態、より詳しくはブドウ糖の代謝結果を反映する指標である。ユーザ端末2では、第一ディスプレイ24AにGlu情報を、第二ディスプレイ24BにHbA1c情報を同時表示させることで、ユーザに短期的な糖尿病ケアに関する情報と長期的な糖尿病ケアに関する情報を同時に提供する。ユーザがHbA1c濃度を把握するには、図1に示される測定装置5を用いて測定を行う必要がある。従来はHbA1c濃度をユーザに手軽に提供することは難しかったが、近年では、例えば先述した非特許文献1に記載されているように、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関が明らかになりつつある。本実施形態では、HbA1c濃度が第1指標値に対応する。HbA1c濃度は、グルコースの一定期間における代謝の結果を評価するための指標値として用いることができる。
【0061】
本実施形態におけるユーザ端末2のプロセッサ21は、CGM測定器1によって、現在から過去の一定期間に取得したグルコース濃度を平均することによって平均グルコース濃度AGを算出する。また、平均グルコース濃度AGと相関のあるHbA1c濃度を平均グルコース濃度AGに基づいて推定し、その推定結果をHbA1c情報として第二ディスプレイ24Bに表示させる。
【0062】
〈固有検量線データSCu〉
図4は、固有検量線データSCuの内容を説明するための説明図である。固有検量線データSCuは、ユーザ固有(特定ユーザ)の平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係(対応関係)が規定されている(反映されている)検量線データである。固有検量線データSCuは、ユーザ端末2の補助記憶装置27における第二検量線記憶部32に記憶されている。図中の破線は、ユーザ端末2を使用するユーザに固有の平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係を示す。図中のプロット(四角形)は、ユーザが測定機器5によってHbA1c濃度を実測した場合に、そのHbA1c濃度の実測値(以下、「HbA1c実測濃度」という)を、対応する平均グルコース濃度AGと共に一組のペアデータ(以下、「実測ペアデータ」という)としてプロットしたものである。固有検量線データSCuには、この実測ペアデータが、少なくとも2つ以上含まれていることが好ましい。ユーザの固有検量線データSCuは、後述する標準モデル方程式に対して、ユーザ固有の実測ペアデータを順次、加味することで構築される。
【0063】
標準モデル方程式は、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との標準的な相関関係を表す標準モデルであり、種々の公知モデルを適宜採用することができる。標準モデル方程式は、例えば線形方程式であってよいし、非線形方程式であってもよい。ここでは、例示的に、非特許文献1に開示されている下記数式(1)を標準モデル方程式として適用している。また、数式(1)を変形して下記数式(2)を導き、これを標準モデル方程式として適用してもよい。
平均グルコース濃度AG(mg/dL)=28.7*HbA1c(%)−46.7・・・(1)
HbA1c濃度(%)=0.0348*AG(mg/dL)+1.63・・・(2)
【0064】
平均グルコース濃度AGの算出、およびHbA1c濃度の推定に関する処理は以下の通りである。ユーザ端末2のプロセッサ21は、測定値記憶部30に記憶されているグルコース濃度のデータのうち、現在から過去一定期間(以下、「AG算出基準期間」という)に取得したグルコース濃度を平均することによって平均グルコース濃度AGを算出する。AG算出基準期間は、平均グルコース濃度AGを算出する際の基準となる期間である。AG算出基準期間は、特定の期間に限定されるものではなく、適宜変更することができる。本実施形態では、およそ数日間〜3ヶ月間の範囲で設定されている。例えば、図5には、過去120時間(5日間)におけるグルコース濃度の推移が示されており、この期間における平均グルコース濃度AGは189mg/dLである例が示されている。プロセッサ21が算出した平均グルコース濃度AGは、そのAG算出基準期間に係る日時情報と関連付けられた上で、補助記憶装置27のAG値記憶部35に記憶される。また、ユーザ端末2が算出した平均グルコース濃度AGはネットワーク3を介してサーバ装置4に送信され、補助記憶装置47におけるAG値記憶部53に記憶されてもよい。
【0065】
HbA1c濃度の推定に際して、ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27におけるAG値記憶部35に記憶されているAG値記憶部35を読み出す。そして、プロセッサ21は、第二検量線記憶部32における固有検量線データSCuにアクセスすることで、HbA1c濃度の推定値(以下、「HbA1c推定濃度」という)を求めることができる。
【0066】
このように求めたHbA1c推定濃度は、例えば、図1に示すように第2ディスプレイ24Bに表示される。HbA1c推定濃度は、ユーザにおける、2〜3ヶ月程度先の血糖状態を示す指標となる。また、HbA1c推定濃度は、一定期間におけるグルコースの代謝結果を反映する指標といえる。本実施形態の情報提供システムSでは、ユーザ装置2に現在のグルコース濃度(血糖値)Glu、一定期間におけるグルコース濃度の時間推移、将来的な血糖状態を表すHbA1c情報を同時に表示させることができる。これにより、現在の血糖状態と将来的な血糖状態の相対的な関係をユーザが直感的にも把握しやすく、
自身の血糖状態の管理に役立つ情報をユーザに提供することができる。なお、本実施形態では、最近(例えば、数週間程度の過去〜現在)の平均グルコース濃度が今後も続くと仮定した場合に、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度に関する同じ相関を用いて、現在から2〜3ヶ月程度先の将来のHbA1c濃度を推定する。
【0067】
図6に示すように、医療機関側に備えられるサーバ装置4は、ネットワーク3を介して多数のユーザ端末2と通信可能に接続されている。なお、図1においては、作図上、ユーザ端末2を一つのみ示したに過ぎず、実際には、図6のように複数のユーザ端末2がネットワーク3を介してサーバ装置4に接続されている。
【0068】
図6において、ユーザA、B、C、・・・が夫々使用(所有)するユーザ端末を、2A、2B、2C、・・・と表記している。各ユーザは、例えば医療機関にCGM測定器1を処方された際に、例えば情報提供システムSの状況提供サービスにユーザ登録することで、固有のユーザ識別情報番号が付与される。ユーザ端末2の補助記憶装置27における識別情報記憶部33には、このユーザ識別情報番号を含むユーザ識別情報が記憶されている。
【0069】
図4に示した固有検量線データSCuは、ユーザ毎の体質などの特性が反映されており、その内部に格納されている検量線が修正される。また、ユーザ端末2の補助記憶装置27に記憶されている固有検量線データSCuは、新たな固有検量線データSCuがサーバ装置4からユーザ端末2へと逐次配信される度に、更新される。サーバ装置4のサーバ側検量線記憶部52には、各ユーザに共通の検量線データである共通ユーザ検量線データSCpと、ユーザ端末2毎に配信するべく用意されている固有検量線データSCuとが記憶されている。固有検量線データSCuについては、図4において説明した通りであり、ユーザ毎に固有の検量線データとして構築されている。固有検量線データSCuは、上記のようにその内容が更新される度に、対応するユーザへとネットワーク3を介して配信される。
【0070】
ここで、各ユーザが測定装置5によって測定したHbA1c濃度は、測定装置5から無線又は有線による通信、あるいは可搬記録媒体などを介して、ユーザを識別するためのユーザ識別情報や、その測定日時(データ取得日時情報)と関連付けられた上でHbA1c値記憶部54に記憶される。また、各ユーザのユーザ端末2において算出された平均グルコース濃度AGは、ネットワーク3を介してサーバ装置4に送信されることで、各ユーザの平均グルコース濃度AGがサーバ装置4に集約される。また、各ユーザのユーザ端末2から送信されてくるデータ(以下、ユーザ送信データという)には、平均グルコース濃度AGのほかに、ユーザ識別情報、平均グルコース濃度AGを算出する際に基礎となったAG算出基準期間を含むデータ取得日時情報などが含まれる。
【0071】
このようにして、サーバ装置4が何れかのユーザからユーザ送信データを受信(取得)すると、プロセッサ41はユーザ識別情報に基づいてデータの送信元(この送信元とは、ユーザ送信データを送信したユーザ、あるいは当該ユーザが使用するユーザ端末2を指す)を特定する。次に、プロセッサ41は、ユーザ識別情報に対応するユーザの平均グルコース濃度AGを、ユーザ識別情報およびデータ取得日時情報と関連付けてAG値記憶部53に記憶する。例えば、ユーザAが医療機関にて測定装置5を用いてHbA1c濃度を測定すると、サーバ装置4はそのHbA1c実測濃度を取得する。HbA1c実測濃度を取得したサーバ装置4は、そのHbA1c実測濃度をHbA1c値記憶部54に記憶する。
【0072】
次いで、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54に追加されたHbA1c実測濃度に対応するデータ取得日時情報およびユーザ識別情報に基づき、新たに追加されたHbA1c実測濃度が、ユーザAに関するデータであることと、HbA1cの測定日時を特定す
る。次に、プロセッサ41はAG値記憶部53にアクセスし、ユーザAの所有するユーザ端末2Aから受信して蓄積されている過去の平均グルコース濃度AGに関するデータから、HbA1c実測濃度とデータ取得日時が近似している平均グルコース濃度AGを読み出す。これにより、互いにデータ取得日時が対応する一組のHbA1c実測濃度と平均グルコース濃度AGからなる実測ペアデータが形成される。次に、プロセッサ41は、このように形成したユーザAに関する実測ペアデータを、ユーザAの固有検量線データSCuに加え、補助記憶装置47のサーバ側検量線記憶部52に記憶されている固有検量線データSCuを更新する。なお、実測ペアデータに用いる一組のHbA1c実測濃度と平均グルコース濃度AGは、そのデータ取得日時が近いことが好ましいが、HbA1cは長期的な血糖状態を表す指標であり、短期的にはその値が敏感に変化しにくいという性格上、双方のデータ取得日時が過度にずれていなければ特に問題は無い。
【0073】
ここでは、便宜上、ユーザAに固有の固有検量線データSCuの更新について説明したが、他のユーザB、C、・・・の固有検量線データSCuについても同様である。すなわち、他のユーザB、C、・・・の使用するユーザ端末2B、2C、・・・からサーバ装置4がユーザ送信データを受信(取得)し、また、測定装置5から他のユーザB、C、・・・のHbA1c実測濃度を取得することで、その取得データに対応するユーザの固有検量線データSCuが、ユーザAの場合と同様に更新される。このようにして構築された各ユーザの固有検量線データSCuは、標準モデル方程式に対してユーザ本人のみの特性(体質など)が反映された検量線データといえる。
【0074】
〈共通検量線データSCp〉
次に、共通検量線データSCpについて説明する。図7は、第一実施形態に係るサーバ装置4の補助記憶装置47に記憶されている共通検量線データSCpを説明するための説明図である。図示の共通検量線データSCpは、上述した標準モデル方程式に対して、全ユーザA、B、C・・・の実測ペアデータ(図中のプロット)を加味することで標準モデル方程式を修正した検量線データである。ここでの実測ペアデータについては上記の通りである。すなわち、サーバ装置4のプロセッサ41がいずれかのユーザに関する実測ペアデータ、例としてユーザAにおける実測ペアデータを形成した場合、この実測ペアデータは、ユーザAにおける固有検量線データSCuと共通ユーザ検量線データSCpの双方にプロットされる。このようにして、固有検量線データSCuと同様に共通検量線データSCpにも新たなプロット(実測ペアデータ)が追加される。そのため、ユーザAの固有検量線データSCuと同様に、新たに追加された実測ペアデータを加味して、補助記憶装置47のサーバ側検量線記憶部52に記憶されている共通検量線データSCpが更新される。また、共通検量線データSCpと固有検量線データSCuとの相違点は、特定のユーザではなく複数のユーザに関する実測ペアデータが反映されている点にある。このように構築される共通検量線データSCpによれば、個々のユーザの特性が均されて、ユーザ全体の平均的な平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係が反映される。
【0075】
なお、本実施形態では、共通検量線データSCpを、各ユーザの実測ペアデータを用いて逐次、更新する態様を例示的に説明するが、必ずしも当該ユーザの実測ペアデータを用いて更新される必要はない。例えば、測定装置5が設置される病院などの医療機関において、多数の被験者(患者)がその医療機関で測定したグルコース濃度とHbA1c濃度に関する測定データを用いて、共通検量線データSCpを逐次更新してもよい。医療機関においては、膨大な数の上記測定データを保有しており、一般的な被験者のグルコース濃度とHbA1c濃度との相関関係を反映した共通検量線データSCpを構築するのに都合がよい。更には、共通検量線データSCpは、一般的な学術論文から引用したデータを用いてグルコース濃度とHbA1c濃度との相関関係が規定されている検量線データであってもよい。例えば、非特許文献1のFigure.1に記載の回帰線にて規定された相関関係を利
用してもよい。
【0076】
サーバ装置4は、補助記憶装置47のサーバ側検量線記憶部52に記憶されている何れかのユーザに関する固有検量線データSCuが更新される度に、更新された固有検量線データSCuに対応するユーザの使用するユーザ端末2に、更新後の固有検量線データSCuを、ネットワーク3を介して配信する。サーバ装置4から新たな固有検量線データSCuを受信したユーザ端末2は、補助記憶装置27の第二検量線記憶部32に記憶している固有検量線データSCuを更新する(上書きする)。このようにして、各ユーザのユーザ端末2は、サーバ装置4から固有検量線データSCuの配信を受ける度に、逐次、固有検量線データSCuを最新バージョンに更新する。これにより、ユーザ端末2は、使用するユーザの最新の体質などが反映された状態の固有検量線データSCuを用いてHbA1c濃度を推定できる。
【0077】
ところが、ユーザの体質は時間の経過とともに変化する場合があり、何らかの外部的要因によるエラー(外的要因エラー)の影響を受けた実測ペアデータによって固有検量線データSCuが更新される場合がある。外的要因エラーの典型例としては、CGM測定器1(グルコースセンサ11を含む)の故障、異常に起因する平均グルコース濃度AGの算出誤差や、測定装置5の故障、異常などに起因するHbA1c濃度の測定誤差などによるものが挙げられる。
【0078】
そのような場合、固有検量線データSCuが本来あるべきライン(状態)から大きく外れてしまう場合がある。そのような固有検量線データSCuを用いて将来的なHbA1c濃度を推定すると、その推定誤差が大きくなることで、ユーザが自己の血糖状態を誤って認識する虞がある。そこで、本実施形態に係る情報提供システムSにおいては、固有検量線データSCuに含まれる実測ペアデータに異常値が含まれている可能性が高いかどうかチェックする機能を備える。そして、情報提供システムSは、現在の固有検量線データSCuが個々のユーザにおける平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係をある程度の妥当な範囲内で規定できているのか否かを判定する。
【0079】
〈第一制御〉
以下、本実施形態に係る第一制御について説明する。図8は、第一実施形態に係る第一制御を説明するための説明図である。第一制御では、いずれかのユーザのユーザ端末2から、平均グルコース濃度AGに関する情報を含むユーザ送信データをサーバ装置4が受信した場合の制御例について説明する。なお、第一制御は、サーバ装置4のプロセッサ41が補助記憶装置47に格納されているプログラムを主記憶装置42にロードすることで実行される。
【0080】
ここで、図8は、図4に示した固有検量線データSCuと図7に示した共通検量線データSCpを重ね合わせたものに等価である。例えば、サーバ装置4があるユーザのユーザ端末2からユーザ送信データを受信し、図8の破線で示す値の平均グルコース濃度AG(図中、C)を取得したとする。この場合、サーバ装置4のプロセッサ41は、上記ユーザに対応する固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に取得した平均グルコース濃度AG(値C)を代入して、実測ペアデータを構成する残りの生体成分であるグリコヘモグロビン(HbA1c)の対応値(図中、Vd1とVd2)を夫々導出する。ここでは、固有検量線データSCuに代入した平均グルコース濃度AGに対応するHbA1c濃度(第1指標値)を固有検量線対応値Vd1とし、共通検量線データSCpに代入した平均グルコース濃度AGに対応するHbA1c濃度(第1指標値)を共通検量線対応値Vd2とする。
【0081】
第一制御においては、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2との乖離量である対応値乖離量ΔVdを求める。この対応値乖離量ΔVdは、固有検量線データSCu
Aおよび共通検量線データSCpにおいて、同一の平均グルコース濃度AGに対応するHbA1c濃度の推定結果にどの程度の差異が生じているのかを表す指標として位置づけられる。そこで、第一制御では、対応値乖離量ΔVdの大きさに基づいて、固有検量線データSCuに含まれる実測ペアデータに異常値が含まれている可能性が高いかどうかをチェックし、現在の固有検量線データSCuが適切な状態であるのか否かを判定する。
【0082】
以下、図9を参照して、第一制御の具体的な処理内容について説明する。図9は、本実施形態に係る第一制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本制御ルーチンは、サーバ装置4のプロセッサ41が補助記憶装置47に格納されているプログラムを主記憶装置42にロードして実行される。また、本制御ルーチンは、所定の期間毎に繰り返し実行される。
【0083】
まず、ステップS101では、プロセッサ41は、AG値記憶部53にアクセスし、いずれかのユーザから新たな平均グルコース濃度AGが追加されているかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定されると、プロセッサ41は、補助記憶装置47が平均グルコース濃度AGを第1測定値として新たに取得したことを検出することとなり、この場合にはステップS102に進む。一方、本ステップにおいて否定判定された場合には本制御ルーチンを一旦終了する。
【0084】
なお、各ユーザ端末2がサーバ装置4に平均グルコース濃度AGを送信する間隔、頻度は、ユーザが任意に設定することができる。また、AG算出基準期間は、例えば数日〜3か月程度の範囲で適宜設定されるが、この範囲には限定されない。また、ステップS101において、プロセッサ41はユーザ送信データに係るユーザ識別情報およびデータ取得日時情報に基づいてデータの取得元である取得元ユーザを特定してもよい。そして、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54に記憶されている当該発信元ユーザに関する実測HbA1c値のうち、測定時期が比較的に近い実測HbA1c値を読み出して実測ペアデータを作成してもよい。
【0085】
ステップS102において、プロセッサ41は、ユーザ送信データに係るユーザ識別情報およびデータ取得日時情報に基づいてデータの取得元である取得元ユーザ(あるいは、取得元ユーザが使用するユーザ端末2)を特定し、その取得元ユーザに対応するサーバ側検量線記憶部52にアクセスする。次に、プロセッサ41は、取得元ユーザに対応する固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に、取得した平均グルコース濃度AGである第1測定値を代入して、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2を夫々導出する。
【0086】
ステップS103において、プロセッサ41は、対応値乖離量ΔVdが所定の第1基準量A1を超えているか否かを判定する。この対応値乖離量ΔVdは、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2との差の絶対値として定義される(ΔVd=|Vd1−Vd2|)。本ステップにおいて否定判定(ΔVd≦A1)された場合には、対応値乖離量ΔVdが十分に少ない値に維持されており、取得元ユーザのユーザ端末2における固有検量線データSCuには何ら問題が無いと判断され、ステップS104に進む。すなわちこの場合には、取得元ユーザに関する固有検量線データSCuが規定している平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係が、現在適切な状態にあると判断できる。
【0087】
そのため、ステップS104において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に所定の第1情報を送信した後、本制御ルーチンを一旦終了する。ここで、第1情報を受信したユーザ端末2は、「正常状態です」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させる。ここで、上記のようにステップS103において否定判定された場合には、ユーザに対して何らかの積極的なアクションを起こしてもらう必要が無いため、上
記した第1情報を必ずしもユーザ端末2に送信する必要はない。従って、その場合にはステップS104の処理を省くことも可能である。一方、上記ステップS103において、肯定判定された場合(ΔVd>A1)には、ステップS105に進む。ステップS105では、プロセッサ41は、対応値乖離量ΔVdが所定の第2基準値A2を超えているか否かを判定する。第2基準値A2は、第1基準値A1よりも大きな値に設定される閾値である。本ステップにおいて、否定判定(ΔVd≦A2)された場合にはステップS106に進み、肯定判定された場合(ΔVd>A2)には、ステップS107に進む。
【0088】
ステップS106に進んだ場合には、対応値乖離量ΔVdが第1基準値A1を超えて且つ第2基準値A2以下であることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1と共通
検量線対応値Vd2に有意差が認められ、この有意差は、取得元ユーザの体質の変化に拠るものと判定される。そこで、ステップS106において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に第2情報を送信し、且つ、固有検量線データ更新フラグをオンに設定した後(F←オン)、本制御ルーチンを一旦終了する。なお、固有検量線データ更新フラグがオフからオンに切り替わると、後述する固有検量線データ更新制御ルーチンが行われるトリガとなる。
【0089】
また、第2情報は、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度のうち、ステップS101においてAG値記憶部53に追加されたなかった(取得されなかった)方の未取得測定値の実測を要求する測定値要求情報である。ここでは、HbA1c濃度が未取得測定値に該当する。取得元ユーザのユーザ端末2が第2情報(測定値要求情報)を受信すると、そのプロセッサ21は、「指定の医療機関にてグリコヘモグロビンの濃度を実測して下さい」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させる。
【0090】
次いで、ステップS107での処理を説明する。ステップS107に進むということは、対応値乖離量ΔVdが第2基準値A2を超えていることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2に有意差が認められ、この有意差は、CGM
測定器1(グルコースセンサ11を含む)の故障、異常などの外的要因エラーに拠るものと判定される。この場合、ステップS107において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に第3情報を送信した後、本制御ルーチンを一旦終了する。
【0091】
なお、取得元ユーザのユーザ端末2が第3情報を受信すると、ユーザ端末2のプロセッサ21は、「CGM測定器やセンサに異常がある可能性がありますので、センサを新品に交換するかCGM測定器をメンテナンスしてください」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させる。
【0092】
なお、上記した第一制御ルーチンにおいて、ユーザ端末2への第1情報〜第3情報の送信および報知については上記態様に限定されるものではなく、例えばユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から上述した各メッセージを音声出力させてもよい。
【0093】
次に、固有検量線データ更新制御ルーチンの具体的処理について説明する。図10は、本実施形態に係る固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本ルーチンにおいても、第一制御ルーチンと同様にサーバ装置4のプロセッサ41によって実行される。また、本制御ルーチンは、固有検量線データ更新フラグがオンの状態の場合に、所定期間毎に繰り返し実行される。ここで、ユーザ端末2の第二ディスプレイ24Bに第2情報(測定値要求情報)に係るメッセージ表示を見た取得元ユーザが、医療機関における測定装置5において体液中におけるHbA1c濃度を実測していれば、その測定結果がサーバ装置4における補助記憶装置47のHbA1c値記憶部54に新たに記憶される。
【0094】
ステップS201において、サーバ装置4のプロセッサ41は、HbA1c値記憶部54にアクセスする。次に、先述の第一制御において第2情報を取得元ユーザのユーザ端末2に送信した後、その取得元ユーザに関するHbA1c実測濃度が新たに追加(更新)されているか否かを判定する。本ステップにおいて、新たなHbA1c実測濃度が更新されていないと判定された場合には、本ルーチンを終了する。この場合には、所定期間経過後に本制御ルーチンが再び実行される。一方、本ステップにおいて新たなHbA1c実測濃度が更新されていると判定された場合、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54がHbA1c実測濃度を第2測定値として新たに取得したことを検出することとなり、ステップS202に進む。
【0095】
新たに追加されたHbA1c実測濃度(第2測定値)は、ユーザ識別情報、およびデータ取得日時情報と関連付けられてHbA1c値記憶部54に記憶されている。そこで、ステップS202において、サーバ装置4のプロセッサ41は、このHbA1c実測濃度(第2測定値)と、第一制御におけるステップS101で取得した平均グルコース濃度AG(第1測定値)とのペアを実測ペアデータとして使用して、取得元ユーザの固有検量線データSCuを更新する。次いで、ステップS203において、サーバ装置4のプロセッサ41は、ステップS202において更新された固有検量線データSCuを、対応する取得元ユーザにおけるユーザ端末2に配信する。その後、サーバ装置4のプロセッサ41は、固有検量線データ更新フラグをオフに設定し、本ルーチンを終了する。
【0096】
次に、本実施形態の変形例を説明する。この変形例としては、図9に示した第一制御ルーチンのステップS107において、第3情報に加えて平均グルコース濃度AGに対する修正要求情報を取得元ユーザのユーザ端末2に送信する。この修正要求情報とは、ユーザ端末2に対して第一変形例に係る異常値除去処理、あるいは第二変形例に係る基準期間短縮処理の実施を経て平均グルコース濃度AGについて再計算した修正平均グルコース濃度AG´を送信することを要求する指令情報である。
【0097】
図11は、本実施形態に係る異常値除去処理を説明するための説明図である。異常値除去処理は、AG算出基準期間において取得したグルコース濃度の測定データから異常値を除去する処理をいう。図示のグラフは、CGM測定器1が測定したグルコース濃度の時間推移を示す。この図においては1分毎にグルコース濃度を測定する設定となっている。異常値除去処理では、単位時間当たりのグルコース濃度変化幅(以下、グルコース濃度単位変化量という)が所定の許容値を超えている場合に、そのプロットが異常値(飛び値)を示すものとして除去される。図11においては、例えば測定データ(プロット)A,Bが異常値として除去される。そうすると、AG算出基準期間において、異常値(測定データA,B)を除いた後の測定データを用いて平均血糖値AGが再計算される。なお、グルコース濃度単位変化量に関する許容値は、例えば実験などの経験則に基づいて予め適正な値を求めておくとよい。
【0098】
図11において説明した異常値除去処理は、ユーザ端末2のプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを主記憶装置22にロードすることで実行される。プロセッサ21は、異常値除去処理後を経て取得されたグルコース濃度の測定データ(以下、異常値除去済み測定データという)の平均値を算出することで修正平均グルコース濃度AG´を求め、サーバ装置4に再び送信する。この修正平均グルコース濃度AG´は、本発明における第1生体成分の修正済み測定値に対応している。
【0099】
上記のように、ユーザ端末2のプロセッサ21によって修正平均グルコース濃度AG´がサーバ装置4に送信されると、これをトリガとして、図9において説明した第一制御ルーチンが再び開始される。その結果、修正平均グルコース濃度AG´を用いて、図9に示した各処理が行われることになる。修正平均グルコース濃度AG´は、グルコース濃度の
測定データに含まれていた異常値が除去されているので、第一制御において算出される対応値乖離量ΔVdが低減される結果、対応値乖離量ΔVdが第2基準値A2を超えにくくなると考えられる。
【0100】
次に、第二変形例に係る基準期間短縮処理について説明する。この基準期間短縮処理は、AG算出基準期間を短縮する処理である。ユーザ端末2のプロセッサ21は、基準期間短縮処理を経て取得したグルコース濃度の測定データに基づいて修正平均グルコース濃度AG´を算出する。例えば、AG算出基準期間が初期設定において3ヶ月程度に設定されている場合、基準期間短縮処理の実施によって、AG算出基準期間を1ヶ月程度まで短縮するようにしても良い。また、基準期間短縮処理に係る他のバリエーションとしては、AG算出基準期間におけるグルコース濃度の測定データにおいて、グルコース濃度単位変化量が許容値を超える頻度が所定の閾値を超えて頻発する期間(以下、異常値頻出期間という)を求め、AG算出基準期間からこの異常値頻出期間を除外することによってAG算出基準期間を短縮してもよい。
【0101】
このようにして、ユーザ端末2のプロセッサ21は、基準期間短縮処理を経て取得した修正平均グルコース濃度AG´をサーバ装置4に再送する。次にこれをトリガとして、図9において説明した第一制御ルーチンが開始される。この場合、修正平均グルコース濃度AG´に基づいて図9に示した各処理が行われる。その際、修正平均グルコース濃度AG´の算出には、AG算出基準期間のうち、異常値頻出期間を除いた残りの期間で取得したグルコース濃度の測定データに基づいて算出される。そのため、第一制御において算出される対応値乖離量ΔVdが低減される結果、対応値乖離量ΔVdが第二基準値A2を超えにくくなる。
【0102】
なお、第一変形例に係る異常値除去処理と第二変形例係る基準期間短縮処理は、それぞれ一方を択一的に実施してもよいし、双方を実施されてもよい。例えば、まず異常値除去処理(基準期間短縮処理)を実施しても尚、その後における第一制御ルーチンの実施によって得られた対応値乖離量ΔVdが第2基準値A2を超えた場合に、基準期間短縮処理(異常値除去処理)を行うようにしても良い。
【0103】
〈第二制御〉
次に、本実施形態の第二制御について説明する。図12は、第一実施形態に係る第二制御を説明するための説明図である。図12は、図8と同様に、固有検量線データSCuと共通検量線データSCpを重ね合わせたグラフである。第二制御では、測定装置5からいずれかのユーザに関するHbA1c実測濃度をサーバ装置4が取得した場合の制御例について説明する。なお、第二制御においても、サーバ装置4のプロセッサ41が補助記憶装置47に格納されているプログラムを主記憶装置42にロードすることで実行される。
【0104】
例えば、サーバ装置4が、あるユーザのHbA1c実測濃度(図12中、D)を測定装置5から取得したとする。この場合、サーバ装置4のプロセッサ41は、上記ユーザに対応する固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に対して、取得したHbA1c濃度(値D)を代入する。その結果、HbA1c濃度とともに実測ペアデータを構成する残りの生体成分である平均グルコース濃度AGに対応する対応値(図中、Vd1´とVd2´)を夫々導出する。ここでは、固有検量線データSCuに代入したHbA1c実測濃度に対応する平均グルコース濃度AGを固有検量線対応値Vd1´とする。そして、共通検量線データSCpに代入したHbA1c実測濃度に対応する平均グルコース濃度AGを、共通検量線対応値Vd2´とする。次に、第二制御においても第一制御と同様、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´との乖離量である対応値乖離量ΔVd´を求める。そして、求めた対応値乖離量ΔVd´の大きさに基づいて、固有検量線データSCuに含まれる実測ペアデータに異常値が含まれている可能性が高いかどう
かをチェックし、現在の固有検量線データSCuが適切な状態であるのか否かを判定する。
【0105】
以下、図13を参照して、第二制御の具体的な処理内容について説明する。図13は、本実施形態における第二制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本制御ルーチンは、サーバ装置4のプロセッサ41が補助記憶装置47に格納されているプログラムを主記憶装置42にロードして実行される。また、本制御ルーチンは、所定の期間毎に繰り返し実行される。
【0106】
まず、ステップS301では、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54にアクセスし、いずれかのユーザからHbA1c実測濃度が新たに追加されているかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定された場合には、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54がHbA1c実測濃度を第1測定値として新たに取得したことを検出することとなる。この場合には、ステップS302に進む。一方、本ステップにおいて否定判定された場合には、本制御ルーチンを一旦終了する。ステップS302においては、プロセッサ41はHbA1c値記憶部54にHbA1c実測濃度と関連付けられて記憶されているユーザ識別情報に基づいて、HbA1c実測濃度の取得元である取得元ユーザ(或いは、取得元ユーザのユーザ端末2)を特定する。そして、プロセッサ41は、取得元ユーザに対応するサーバ側検量線記憶部52にアクセスし、取得元ユーザに対応する固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に、取得したHbA1c実測濃度を第一測定値として代入することで、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´を夫々導出する。なお、ステップS302において、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54にHbA1c実測濃度と関連付けられて記憶されているデータ取得日時情報に基づき、測定時期が近似している平均グルコース濃度AGをAG値記憶部53から読み出して実測ペアデータを作成してもよい。
【0107】
ステップS303において、プロセッサ41は、対応値乖離量ΔVd´が所定の第1基準量A1´を超えているか否かを判定する。この対応値乖離量ΔVd´は、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´との差の絶対値として定義される(ΔVd´=|Vd1´−Vd2´|)。本ステップにおいて否定判定(ΔVd´≦A1´)された場合には、対応値乖離量ΔVd´が十分に少ない値に維持されており、取得元ユーザのユーザ端末2における固有検量線データSCuには何ら問題が無いと判断され、ステップS304に進む。この場合には、取得元ユーザに関する固有検量線データSCuが規定している平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度との相関関係が、現在適切な状態にあると判断できる。
【0108】
そのため、ステップS304において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に第1情報を送信した後、本制御ルーチンを一旦終了する。ここで、第1情報を受信したユーザ端末2は、「正常状態です」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させる。
【0109】
なお、第一制御と同様、本ステップではユーザに何らかの積極的なアクションを起こしてもらう必要が無い。そのため、第1情報をユーザ端末2に送信するというステップS304の処理を省き、そのまま本制御ルーチンを終了させてもよい。また、ユーザ端末2への第1情報の送信および報知については上記態様に限定されず、例えばユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から上記メッセージを音声出力させてもよい。
【0110】
一方、上記ステップS303において、肯定判定された場合(ΔVd´>A1´)には、ステップS305に進む。このステップS305では、更に、対応値乖離量ΔVd´が所定の第2基準値A2´を超えているか否かを判定する。第2基準値A2´は、第1基準
値A1´よりも大きな値に設定される閾値である。本ステップにおいて、否定判定(ΔVd´≦A2´)された場合にはステップS306に進む。一方、本ステップにおいて、肯定判定された場合(ΔVd´>A2´)には、ステップS307に進む。
【0111】
ステップS306に進んだ場合には、対応値乖離量ΔVd´が第1基準値A1´を超えて且つ第2基準値A2´以下であることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´に有意差が認められ、この有意差は、取得元ユーザの体質の変化に拠るものと判定される。そこで、ステップS306において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に第4情報を送信し、且つ、第二固有検量線データ更新フラグをオンに設定した後(F←オン)、本制御ルーチンを一旦終了する。
【0112】
なお、第二固有検量線データ更新フラグがオフからオンに切り替わると、後述する第二固有検量線データ更新制御ルーチンが行われるトリガとなる。また、第4情報は、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度のうち、ステップS301においてHbA1c値記憶部54が取得していない方の平均グルコース濃度AGを算出して送信するように要求する内容の指令情報である。
【0113】
次いで、ステップS307での処理を説明する。ステップS307に進んだという事は、対応値乖離量ΔVd´が第二基準値A2´を超えていることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´に有意差が認められ、この有意差は、測定装置5の故障、異常などの外的要因エラーに拠るものと判定される。この場合、サーバ装置4のプロセッサ41は、例えば出力装置44に係るモニタ(ディスプレイ)に、「測定装置に異常、故障がないかどうか点検してください」とのメッセージを表示出力する。あるいは、出力装置44のスピーカ(図示せず)から上記メッセージを音声にて出力させてもよい。本ステップの処理が終了すると、本制御ルーチンを一旦終了する。なお、本制御において、測定装置5に異常、故障がないと確認された場合には、ステップ306の処理を行うようにしてもよい。
【0114】
次に、第二固有検量線データ更新制御ルーチンについて説明する。図14は、第一実施形態に係る第二固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本ルーチンにおいても、第二制御ルーチンと同様にサーバ装置4のプロセッサ41によって実行される。また、本制御ルーチンは第二固有検量線データ更新フラグがオンの状態の場合に、所定期間毎に繰り返し実行される。
【0115】
まず、第二制御ルーチンのステップS306でサーバ装置4が送信した第4情報を受信した取得元ユーザのユーザ端末2で行われる処理について説明する。第4情報は、上記の如く平均グルコース濃度AGの算出および算出結果の送信を要求する内容の指令情報である。この第4情報には、第二制御ルーチンのステップS301でサーバ装置4が取得したHbA1c実測濃度のデータ取得日時情報が含まれている。第4情報を受信したユーザ端末2のプロセッサ21は、HbA1c実測濃度の測定時期がそのAG算出基準期間に含まれるようにして平均グルコース濃度AGの算出処理を実行する。なお、その際のAG算出基準期間は適宜の期間に設定することができる。算出された平均グルコース濃度AGは第2測定値として、サーバ装置4へと送信される。
【0116】
次に、第二固有検量線データ更新制御ルーチンが開始されると、まずステップS401において、サーバ装置4のプロセッサ41は、補助記憶装置47におけるAG値記憶部53にアクセスする。次に、プロセッサ41は、先述の第二制御において第4情報を取得元ユーザのユーザ端末2に送信した後、その取得元ユーザに関する平均グルコース濃度AGが第2測定値として新たに追加(更新)されているか否かを判定する。これにより、プロセッサ41は、AG値記憶部53が平均グルコース濃度AGを第2測定値として新たに取
得したかどうかを判別する。因みに、第4情報に係る指令を受けた取得元ユーザのユーザ端末2によって演算された平均グルコース濃度AGがサーバ装置4に送信されていれば、その算出結果がサーバ装置4の補助記憶装置47におけるAG値記憶部53に新たに記憶されていることになる。
【0117】
本ステップにおいて、新たな平均グルコース濃度AGが第2測定値として更新されていないと判定された場合には、そのまま本ルーチンを終了する。この場合には、所定期間経過後に本制御ルーチンが再び実行される。一方、本ステップにおいて新たな平均グルコース濃度AGが第2測定値として更新されていると判定された場合、ステップS402に進む。
【0118】
新たにAG値記憶部53に追加された平均グルコース濃度AG(第2測定値)は、ユーザ識別情報およびデータ取得日時情報と関連付けて記憶されている。そこで、ステップS402において、サーバ装置4のプロセッサ41は、この平均グルコース濃度AG(第2測定値)と、第二制御ルーチンにおけるステップS301で取得したHbA1c実測濃度(第1測定値)とのペアを実測ペアデータとして使用して、取得元ユーザの固有検量線データSCuを更新する。
【0119】
次いで、ステップS403において、サーバ装置4のプロセッサ41は、ステップS402において更新された固有検量線データSCuを、対応する取得元ユーザにおけるユーザ端末2に送信する。その後、サーバ装置4のプロセッサ41は、第二固有検量線データ更新フラグをオフに設定し、本ルーチンを終了する。
【0120】
以上のように、本実施形態における情報提供システムSによれば、ユーザ端末2のディスプレイ24に短期的な糖尿病ケアに資するGlu情報と、体液中のグルコースに関する長期的な代謝結果の把握に資するHbA1c情報の双方を同時に表示させることにより、使い勝手の優れた情報端末をユーザに提供することができる。その際、ユーザ端末2においてHbA1c濃度の推定に用いるための固有検量線データSCuは、随時サーバ装置4から配信されるため、ユーザ端末2における固有検量線データSCuを常に良好な状態に維持することができる。そして、平均グルコース濃度AGに基づくHbA1c濃度の推定に際しては、各ユーザに固有の固有検量線データSCuを使用することを前提としつつも、各ユーザに共通の共通検量線データSCpと個々のユーザに個別の固有検量線データSCuとの相対関係に基づいて、固有検量線データSCuがユーザの現在の体質に見合った検量線として妥当かどうかを判断できる。すなわち、各ユーザにおける現在の固有検量線データSCuが本来あるべき状態かどうかを判別し、必要に応じてこの固有検量線データSCuを更新し、外的要因エラーの可能性がある場合には注意を喚起することが可能である。
【0121】
また、本実施形態においては、第一制御および第二制御の制御内容を適宜組み合わせて実行しても良い。例えば、サーバ装置4は、ユーザ端末2からの平均グルコース濃度AGとHbA1c実測濃度の何れか一方を第1測定値として取得した場合であって、かつ、対応値乖離量が第1基準量を超えている場合に、他方の測定値を第2測定値として取得すると共に、この第2測定値と既に取得済みの第1測定値とを用いて対応するユーザの固有検量線データSCuを更新しても良い。
【0122】
[その他のシステム構成例]
次に、情報提供システムSに係るシステム構成例のバリエーションについて説明する。本実施形態に係る情報提供システムSは、本発明の本旨を逸脱しない範囲で種々の形態を採用することができる。
【0123】
図15は、第一実施形態に係る情報提供システムSにおける他のシステム構成例を示す図である。上述までのシステム構成例では、本発明に係る情報処理装置を汎用コンピュータのサーバ装置4として独立して備えるシステム構成例を採用しているが、図15に示すように測定装置5A内に組み込まれるようにしてもよい。この場合、図3に示す構成ブロック図は、測定装置5Aが備える構成の一部を示すブロック図として援用することができる。以上のように、本発明に係る情報処理装置は、HbA1c濃度を測定する測定装置とは独立したサーバ装置4として実現されてもよいし、当該測定装置内に組み込まれるコンピュータとして実現されてもよい。後者の場合においても、上述までの各種制御を適用することができる。
【0124】
[ユーザ端末の表示モード]
次に、情報提供システムSに係るユーザ端末2の表示モードについて説明する。ユーザ端末2は、上記のようにディスプレイ24(第一ディスプレイ24Aおよび第二ディスプレイ24B)を有しており、第一ディスプレイ24AにはGlu情報を表示させ、第二ディスプレイ24BにはHbA1c情報を表示させる。ユーザ端末2のディスプレイ24へのGlu情報およびHbA1c情報に関する表示モードは様々なモードが用意されており、具体的には補助記憶装置27に記憶されている各種データを使用して種々のプログラムをプロセッサ21が実行することにより実現される。
【0125】
《基本表示モード》
図16および図17は、ユーザ端末2の基本表示モードを説明する説明図である。この基本表示モードでは、第一ディスプレイ24Aに比較的短期間(図16の例では、過去2時間)におけるグルコース濃度の推移曲線(履歴曲線)、および現在のグルコース濃度を表示する。グルコース濃度の推移曲線を表示させる時間軸の範囲は特に限定されず、また、ユーザによる操作部23のマニュアル操作を受け付けることによっても適宜変更できる。
【0126】
本実施形態に係るユーザ端末2は、CGM測定器1の測定データから算出した平均グルコース濃度AGに基づいて、例えば数ヶ月先の将来の血糖状態を反映するHbA1c推定濃度を求める。言い換えると、現在のHbA1c推定濃度は、例えば数ヶ月前に測定したグルコース濃度の測定結果に基づいて推定されることになる。
【0127】
第二ディスプレイ24Bにおいて、過去のHbA1c推定濃度を示すプロットと現在のHbA1c推定濃度を示すプロットを実線で結び、現在のHbA1c推定濃度を示すプロットと将来のHbA1c推定濃度を示すプロットを破線で結ぶ態様で表示させている。更に、図17に示す例では、過去および現在のHbA1c推定濃度を示すプロットを点灯表示態様とし、将来のHbA1c推定濃度を示すプロットを点滅表示態様とすることで、双方の表示態様を異なるようにしている。これにより、第二ディスプレイ24Bに表示されている各プロットが現在までのHbA1c推定濃度を表しているのか、あるいは、将来のHbA1c推定濃度を表しているのかを、直感的に素早く把握するのに役立つ。
【0128】
日本国内における糖尿病の診断基準としては、(1)空腹時血糖値(FPG)が126mg/dL以上、(2)75g経口ブドウ糖負荷試験による血糖値(OGTT)が200mg/dL以上、(3)随時血糖値が200mg/dL以上、(4)ヘモグロビンA1c濃度が6.5%以上、のうち、何れか一つの条件を満たせば「糖尿病型」と判定し、別の日に再検査を行い、再検査においても上記(1)〜(4)のうち何れかの条件を満たせば「糖尿病」と診断される。また、(1)〜(3)の何れかの条件と、(5)糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿など)、(6)糖尿病網膜症の存在のうち、何れかの条件を満たせば、再検査を経ずに「糖尿病」と診断される。また、(1)が110mg/dL未満、かつ(2)が140mg/dL未満を満たせば「正常型」とし、「糖尿病型」でも「正
常型」でもないものを「境界型」として分類される。また、糖尿病の予備軍といわれる「境界型」は、更に以下の3つのタイプ(型)に分類されている。「境界型」は一般的に境界型糖尿病(正式な疾病ではない)とも称呼され、「糖尿病型」に移行する率が高く、現在糖尿病でなくても将来的な糖尿病の発症リスクが高いグループと考えられる。
【0129】
<IFG型(空腹時血糖異常型)>
IFG型は、空腹時血糖値(FPG)が110mg/dL以上、126mg/dL未満の範囲にある場合にこのタイプに該当すると判断される。このFPGは、食後から時間が経過しており空腹状態の血糖値と定義することができ、例えば、食後8〜12時間程度経過した後の血糖値が採用される。
【0130】
<IGT型(負荷時耐糖能異常型)>
IGT型は、75g経口ブドウ糖負荷試験による血糖値(OGTT)が140mg/dL以上、200mg/dL未満の範囲にある場合にこのタイプに該当すると判断される。75g経口ブドウ糖負荷試験は、75gのブドウ糖(例えば、ブドウ糖水溶液)を摂取した後、例えば、30分後、60分後、90分後、120分後の血糖値を測定する試験である。なお、ブドウ糖摂取後の血糖値の測定タイミング、測定回数などは上記と異なる場合もある。
【0131】
<IFG+IGT型(合併型)>
IFG+IGT型は、上記IFG型およびIGT型の双方に該当するタイプであり、空腹時血糖値(FPG)が110mg/dL以上126mg/dL未満の範囲にあり、かつ、75g経口ブドウ糖負荷試験による血糖値(OGTT)が140mg/dL以上200mg/dL未満の範囲にある場合にこの合併型に該当する。なお、このような糖尿病の診断基準に関する記載は、本願の発明者らが発明の創作時において日本国内で日本糖尿病学会により制定された糖尿病診断の診断基準を例に挙げたものであり、時間の経過とともに診断基準が改正されたり、国ごとによってその診断基準が相違することは十分に想定されるものの、当該診断基準の具体的内容は本発明の適用やその技術的範囲になんら影響を及ぼさない。
【0132】
上記のように、HbA1c濃度においては、6.5%という数値が糖尿病ケアに関して重要な意義を有する。そこで、ユーザ端末2においては、プロセッサ21によって求められたHbA1c推定濃度が所定の基準濃度Vsh以上である場合に、第二ディスプレイ24BへのHbA1c推定濃度の出力表示態様を強調表示させる。
【0133】
本実施形態において、基準濃度Vshは6.5%に設定されているが、適宜変更しても良い。また、HbA1c推定濃度が基準濃度Vsh以上になった場合の強調表示の態様としては、通常表示態様で使用する色(例えば、黒色)に比べて目立つ色(例えば、赤色)を使用することが好適に挙げることができる。例えば、本実施形態では、平均グルコース濃度AGを固有検量線データSCuに代入して得られたHbA1c推定濃度が基準濃度Vsh(6.5%)未満である場合には通常表示態様として黒色でプロットし、基準濃度Vsh(6.5%)以上である場合には強調表示態様として赤色でプロットする。このようにして、ユーザは、HbA1c濃度の推定結果が基準濃度Vsh(6.5%)以上であるかどうかを、第二ディスプレイ24Bから一見して明瞭に把握することができる。但し、強調表示の態様は例示的なものであり、その他の態様を採用してもよい。
【0134】
なお、ユーザ端末2のプロセッサ21がHbA1c推定濃度を求める頻度は、ユーザ端末2の仕様に応じて変更できる設計事項である。ユーザ端末2のプロセッサ21は、新たなHbA1c推定濃度を求める毎に、第二ディスプレイ24BにおけるHbA1c情報を更新する。
【0135】
《AG表示モード》
図18は、ユーザ端末2のAG表示モードを説明する説明図である。このAG表示モードは、平均グルコース濃度AG、およびAG算出基準期間に対応するグルコース濃度の推移曲線(履歴曲線)を第一ディスプレイ24Aに表示させるモードである。ここで、AG表示モードは、HbA1c推定濃度が基準濃度Vsh以上の値になったことをトリガとして基本表示モードから自動で切り替えられる。具体的には、ユーザ端末2のプロセッサ21は、HbA1c推定濃度を算出する毎にその値が基準濃度Vsh以上であるか否かを判定する。ここで、否定判定された場合(HbA1c推定濃度<Vsh)には表示モードが基本表示モードに維持される。一方、肯定判定された場合(HbA1c推定濃度≧Vsh)にはプロセッサ21からディスプレイ24へと指令が出力され、表示モードが基本表示モードからAG表示モードに切り替えられる。これによれば、HbA1c推定濃度が基準濃度Vsh以上となった際に、HbA1c推定濃度を求める基礎となった平均グルコース濃度AGとAG算出基準期間に対応するグルコース濃度の推移が把握しやすく、便利である。
【0136】
ところで、ユーザ端末2における各ディスプレイ24A、24Bは接触式のタッチパネルになっている。AG表示モードにおいて、ユーザ端末2のプロセッサ21は、第二ディスプレイ24Bの所定領域に、アイコンA、アイコンB、アイコンCを表示させる。このアイコンA、B、Cは、後述する分析表示モード、第二分析表示モード、お知らせ表示モードの夫々に対応するアイコンである。ユーザがいずれかのアイコンをタッチしたことをプロセッサ21が検出すると、ユーザ端末2の表示モードをユーザが選択したアイコンに対応する表示モードへと切り替える制御を行う。なお、上記のようにタッチパネルではなく、ユーザがカーソルボタンの操作によってカーソルを何れかのアイコンに合わせた上で決定ボタンを押すなど、ユーザからの操作部23の入力操作を受け付けることをトリガとして上記表示モードの切り替えを行ってもよい。
【0137】
《分析表示モード》
図19および図20は、ユーザ端末2の分析表示モードを説明する説明図である。図19は、分析表示モードにおける分析基本画面と称し、図20は分析表示モードにおける詳細情報画面と称する。上記のように、AG表示モードにおいて、プロセッサ21はユーザがアイコンAをタッチしたことを検知すると、第一ディスプレイ24Aを図19に示す画面に切り替える。なお、分析表示モードにおける第二ディスプレイ24Bの表示態様は、例えば基本表示モードと同様である。また、図19に示す分析表示モードにおける分析基本画面では、AG表示モードにおいて第一ディスプレイ24Aに表示されていたAG算出基準期間に対応するグルコース濃度のうち、所定の閾値Vsh2よりもグルコース濃度が高くなる領域(以下、「高血糖領域」という)を、例えば塗りつぶし表示することで強調表示することとした。これにより、過去において特にグルコース濃度が高かった期間を一見して把握することができる。なお、高血糖領域を規定する閾値Vsh2の具体的数値は、ユーザ端末2の仕様などによって適宜設定することができる。
【0138】
更にこの分析表示モードにおいて、プロセッサ21は、第一ディスプレイ24Aにおける高血糖領域のいずれかの部分をユーザがタッチしたことを検出すると、ユーザがタッチした部分に対応する時期の詳細情報画面を第一ディスプレイ24Aに表示させる。ユーザがタッチした部分に対応する時期とは、グルコース濃度の推移グラフにおける時間軸上の時期を意味する。以下、図20を参照して詳細情報画面について説明する。
【0139】
図20に示すように、詳細情報画面には、日時、イベント種別、グルコース濃度が一セットの情報として時系列に表示されている。図中、“MEAL”とのイベントは「食事」を意味し、“EXER”とのイベントは「運動」を意味する。また、「11/20 ME
AL 280」とは、11/20の食後におけるグルコース濃度が280mg/dLであったことを意味する。また、「11/20 EXER 110」とは、11/20の運動後におけるグルコース濃度が110mg/dLであったことを意味する。なお、イベント種別は、上記“MEAL”(食事)、“EXER”(運動)に限られず、例えば“BATH”(入浴)などの適宜のイベントを追加することができる。
【0140】
ユーザは、各種イベントを経験(実行)する際に、各イベント種別に対応するように操作部23を操作する。例えば、ユーザ端末2には、各イベント毎に対応するイベントボタン(例えば、食事ボタン、運動ボタンなど)が設けられており、ユーザがイベントに対応するボタンを押下するようにしてもよい。もしくは、ユーザが各種イベントを経験する毎にカーソルボタンと、決定ボタンを用いたボタン操作をユーザから受け付けるようにしてもよい。ユーザ端末2のプロセッサ21は、イベントに関連するユーザからのボタン操作を検出すると、ボタン操作がなされた日時情報、そのときのグルコース濃度、およびイベント種別を関連付けてイベント履歴情報として補助記憶装置27のイベント履歴記憶部34に記憶させておく。
【0141】
一方、分析表示モードの分析基本画面から詳細情報画面へのユーザによる切り替え要求を受け付けた場合(つまり、ユーザが高血糖領域のいずれかの部分をタッチした場合)、ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27のイベント履歴記憶部34から、ユーザがタッチした部分に対応する時期が含まれる所定期間におけるイベント履歴情報を読み出す。次に、プロセッサ21は、イベント履歴記憶部34から読み出したイベント履歴情報を第一ディスプレイ24Aへと時系列に表示させる。
【0142】
一般にグルコース濃度は、食事を摂取することで上昇し、運動を行うことによって降下する。分析表示モードの詳細情報画面では、このようにグルコース濃度の変動を顕著に引き起こす各種イベントと、そのイベントに対応するグルコース濃度の詳細データを対比可能な態様でユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、過去の高血糖領域に対応する詳細情報データに基づいて、推測HbA1c値が上昇した原因を自ら分析することが可能となる。これにより、ユーザの糖尿病ケアのために有用な情報を使い勝手のよい態様で提供することができる。
【0143】
《第二分析表示モード》
図21は、ユーザ端末2の第二分析表示モードを説明する説明図である。ユーザ端末2のプロセッサ21は、AG表示モードにおいてユーザがアイコンBをタッチしたことを検知すると、第一ディスプレイ24Aを図21に示す画面に切り替える。図21に示す第二分析表示モードでは、AG算出基準期間においてFPG(空腹時血糖値)と判断できるグルコース濃度の測定データ、またはOGTTに近い状態でのグルコース濃度の測定データをプロット表示する。具体的には、プロセッサ21は、グルコース濃度の推移パターンが予め規定されているFPGやOGTTに対応する推移パターンに近似または一致しているか否かという点や、ユーザによって食事ボタンが押下されてからの経過時間などに基づいて、FPGまたはOGTTに該当すると判断できるグルコース濃度の測定データを特定する。そして、プロセッサ21は、上記特定した測定データを、第一ディスプレイ24Aにおけるグルコース濃度のグラフ上にプロット表示させる。これにより、ユーザは、過去のFPGやOGTTを容易に把握することができる。
【0144】
《お知らせ表示モード》
図22は、ユーザ端末2のお知らせ表示モードを説明する説明図である。このお知らせ表示モードでは、ユーザに報知すべき情報が表示される。プロセッサ21は、上記のAG表示モードにおいてユーザがアイコンCをタッチしたことを検知すると、図22に示す表示態様に切り替える。お知らせ表示モードにおいては、第一ディスプレイ24Aには、基
本表示モードと同様、グルコース濃度の推移曲線および現在のグルコース濃度を表示させ、第二ディスプレイ24Bを図示のお知らせ画面に切り替える。この状況としては、HbA1c推定濃度が基準濃度Vshである6.5%以上となっている状況であるため、このお知らせ画面には、例えば「医療機関で空腹時血糖値の測定又は経口ブドウ糖負荷試験を実施する事をお勧めします。」とのメッセージを表示させ、ユーザに上記検査の実施を促す。なお、このような画面表示に併せて、あるいは画面表示に代えて、上記メッセージをユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から音声にて出力してもよい。また、ユーザ端末2のプロセッサ21は、第二ディスプレイ24Bに表示されているお知らせ画面のうち、上述したユーザへの報知メッセージの下方に、「FPG測定モード」、「OGTT測定モード」の文字を表示させる。次に、ユーザによって、操作部23に係る操作ボタンが操作されたり、タッチパネルにおける「FPG測定モード」または「OGTT測定モード」の表示部分がユーザによってタッチされると、プロセッサ21はユーザによって選択された測定モードに係る制御の実行を開始する。
【0145】
<FPG測定モード>
お知らせ表示モードにおいて、ユーザが「FPG測定モード」を選択すると、それをトリガとしてユーザ端末2のプロセッサ21はFPG測定制御の実行を開始する。図23は、本実施形態に係るFPG測定制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ユーザ端末2のプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを主記憶装置22にロードすることで実行される。
【0146】
FPG測定制御は、CGM測定器1を用いてFPG(空腹時血糖値)を測定する制御である。本制御ルーチンが開始されると、ステップS501において、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24BにFPG初期画面を表示させる。例えば、図25に示すように、第二ディスプレイ24Bに「FPG(空腹時血糖値)の測定を開始します。」、「食事は済みましたか?」、「はい」、「いいえ」などのメッセージを表示させる(FPG初期画面)。
【0147】
ユーザは、操作ボタンやタッチパネルによる操作部23の操作によって、「はい」、「いいえ」を選択(決定)する。ステップS502において、プロセッサ21が、ユーザにより「いいえ」が選択されたことを検出した場合、プロセッサ21は第二ディスプレイ24Bに「食事をおとり下さい。」とのメッセージを一定時間表示させる。そして、プロセッサ21は、上記一定期間の経過後に、例えば図24に示すFPG初期画面を表示させることで、ユーザによる操作部23の操作を受け付ける。
【0148】
また、ステップS502において、プロセッサ21が、ユーザによって「はい」が選択されたことを検出した場合、ステップS503に進む。なお、ステップS502において所定の期間が経過してもユーザによる操作部23の操作を受け付けなかった場合には、本ルーチンを一旦抜けて、上述の基本表示モードに戻るようにしてもよい。
【0149】
ステップS503において、プロセッサ21は、時計28から現在の日時情報を受け取り、FPGの試験終了時刻(以下、FPG試験終了時刻という)を算出する。この試験終了時刻は、FPGが開始されてからFPGの検査に要する時間(以下、FPG所要時間という)が経過した後の時刻であり、例えば現在の時刻を基準にFPG所要時間経過後の時刻としてFPG試験終了時刻を算出することができる。なお、本実施形態においては、FPG所要時間を例えば8〜12時間程度の範囲で設定しているが、この範囲には限定されない。また、変形例として、FPG初期画面において、例えば「最後に食事を済ませた時刻を入力して下さい。」とのメッセージを第二ディスプレイ24Bに表示させ、ユーザからの操作部23の操作による時刻入力を受け付けてもよい。この場合、ステップS503においては、ユーザが入力した時刻(直近の食事時刻)にFPG所要時間を加算してFP
Gの試験終了予定時刻を求めるとよい。この変形例においては、FPG初期画面で一定時間以上待機してもユーザからの時刻入力操作を受け付けなかった場合に、本制御ルーチンを一旦終了させてもよい。
【0150】
続くステップS504において、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24BにFPG継続中画面を表示させる。このFPG継続中画面は、図25に示すように、例えば「FPG(空腹時血糖値)の測定中です。」、「試験終了時刻は○時□分です。それまでは食事を摂らないで下さい。」とのメッセージを表示させる。なお、ここでの試験終了時刻はステップS503で算出した時刻を表示させる。次に、一定時間の経過後、ステップS505の処理に進む。
【0151】
ステップS505において、プロセッサ21は、時計28から現在の日時情報を受け取り、FPG試験終了時刻となったか否かを判定する。本ステップにおいて、未だFPG試験終了時刻になっていないと判定された場合には、ステップS504に戻る。次に、一定期間の経過後、再びステップS505の判定処理に進む。ステップS505において、既にFPG試験終了時刻が到来していると判定された場合には、ステップS506に進む。
【0152】
ステップS506において、プロセッサ21は、補助記憶装置27における測定データ記憶部30から最新のグルコース濃度の測定データを読み出し、FPGとして出力するFPG結果出力画面を第二ディスプレイ24Bに表示させる。例えば、図26に示すように、プロセッサ21は「FPG(空腹時血糖値)の測定が終了しました。」、「FPGは○○mg/dLです。」とのメッセージを第二ディスプレイ24Bに表示させる(FPG結果出力画面)。なお、本ステップにおいて、得られたFPG(空腹時血糖値)が110mg/dL未満であった場合には「FPG(空腹時血糖値)の値に問題はありません」とのメッセージを表示してもよい。また、FPGが110mg/dL以上〜126mg/dL未満の範囲にあった場合には「境界型糖尿病に該当する可能性が高いので、医療機関にてFPGを再検査することをお勧めします。」とのメッセージを表示してもよい。また、FPGが126mg/dL以上であった場合には「糖尿病に該当する可能性が高いので、医療機関にてFPGを再検査することを強くお勧めします。」とのメッセージを表示してもよい。
【0153】
本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。なお、プロセッサ21は、本制御ルーチンの終了時に、ユーザ端末2の表示モードを基本表示モードに復帰させてもよい。また、本制御ルーチンにおいて説明したようなディスプレイ24への表示メッセージは、ユーザ端末2のスピーカ(図示せず)からの音声出力を併せて行うようにしてもよい。
【0154】
<OGTT測定モード>
次に、上述の「OGTT測定モード」について説明する。お知らせ表示モードにおいて、ユーザによって「OGTT測定モード」が選択されると、プロセッサ21はOGTT測定制御の実行を開始する。図27は、本実施形態に係るOGTT測定制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本制御ルーチンは、ユーザ端末2のプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを主記憶装置22にロードすることで実行される。OGTT測定制御は、CGM測定器1を用いてOGTTの測定を実施する制御である。本制御ルーチンが開始されると、ステップS601において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、第二ディスプレイ24BにOGTT初期画面を表示させる。例えば、図28に示すように、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24Bに「経口ブドウ糖負荷試験を開始します。」、「はい」、「いいえ」などのメッセージを表示させる(OGTT初期画面)。
【0155】
ユーザは、操作ボタンやタッチパネルによる操作部23の操作によって、「はい」、「いいえ」を選択(決定)する。ステップS602において、プロセッサ21は、ユーザによって「いいえ」が選択されたことを検出した場合には、ステップS601に戻る。この場合、図28に示すOGTT初期画面を表示させて、ユーザによる操作部23の操作を受け付ける。また、ステップS602において、プロセッサ21が、ユーザによって「はい」が選択されたことを検出した場合、ステップS603に進む。なお、ステップS602において所定の期間が経過してもユーザによる操作部23の操作を受け付けなかった場合には、本ルーチンを一旦抜けて、上述の基本表示モードに戻るようにしてもよい。
【0156】
ステップS603においては、ブドウ糖が経口投与済みであるか否かが判定される。具体的には、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24Bに「ブドウ糖を経口投与しましたか?」とのメッセージを表示させる。ユーザは、操作ボタンやタッチパネルによる操作部23の操作によって、「はい」、「いいえ」を選択(決定)する。ステップS603において、プロセッサ21は、ユーザによって「いいえ」が選択されたことを検出した場合には、第二ディスプレイ24Bに「ブドウ糖を経口投与して下さい。」とのメッセージを一定時間表示させた後、再びステップS603に「ブドウ糖を経口投与しましたか?」とのメッセージを表示させる。その後は、上記判定処理が行われる。プロセッサ21が、ユーザによって「はい」が選択されたことを検出した場合に、ブドウ糖が経口投与済みであると判断され、ステップS604に進む。
【0157】
ステップS604において、プロセッサ21は時計28に指令を出し、経過時間ΔTmの計測を開始させる。プロセッサ21は、時計28から現在の日時情報を受け取り、それから2時間(120分)経過後の時刻をOGTTの終了予定時刻として算出する。続くステップS605において、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24BにOGTT継続中画面を表示させる。このOGTT継続中画面は、図29に示すように、例えば「経口ブドウ糖負荷試験を継続中です。」、「試験の終了時刻は○時□分です。それまでは食事を摂らないで下さい。」とのメッセージを表示させる。ここでの試験終了時刻はステップS604で算出した時刻を表示させる。次に、プロセッサ21は、一定時間の経過後、ステップS606の処理に進む。
【0158】
ステップS606において、プロセッサ21は、経過時間ΔTmがOGTT所要時間ΔTmbを経過したか否かを判定する。OGTT所要時間ΔTmbとは、経口ブドウ糖負荷試験に要する時間であり、ここでは2時間(120分)に設定されているが必ずしもこれに限定されない。本ステップにおいて否定判定された場合(ΔTm<ΔTmb)には、ステップS605に戻る。そして、一定期間の経過後、再びステップS606の判定処理に進む。ステップS606において、肯定判定された場合(ΔTm≧ΔTmb)、すなわち経過時間ΔTmがOGTT所要時間ΔTmb(120分)を経過したと判定された場合には、ステップS606に進む。
【0159】
ステップS607において、プロセッサ21は、補助記憶装置27における測定データ記憶部30から、経口ブドウ糖負荷試験が開始されてから30分、60分、90分、120分経過したときのグルコース濃度の測定データを読み出す。そして、プロセッサ21は、読み出した測定データを、第二ディスプレイ24BにOGTT結果出力画面として表示させる。このOGTT結果出力画面は、図30に示すように、例えば「経口ブドウ糖負荷試験が終了しました。」とのメッセージと、「負荷後30分:○○mg/dL、負荷後60分:○○mg/dL、負荷後90分:○○mg/dL、負荷後120分:○○mg/dL」との測定結果を第二ディスプレイ24Bに表示させる。
【0160】
本ステップにおいて、負荷後120分のグルコース濃度(2h−PG値)が140mg/dL未満であった場合、プロセッサ21は、「経口ブドウ糖負荷試験の結果に問題はあ
りません」とのメッセージを第二ディスプレイ24Bに表示させてもよい。また、2h−PG値が140mg/dL以上〜200mg/dL未満の範囲にあった場合、プロセッサ21は、「境界型糖尿病に該当する可能性が高いので、医療機関にて経口ブドウ糖負荷試験を再検査することをお勧めします。」とのメッセージを第二ディスプレイ24Bに表示させてもよい。また、2h−PG値が200mg/dL以上であった場合、プロセッサ21は、「糖尿病に該当する可能性が高いので、医療機関にて経口ブドウ糖負荷試験を再検査することを強くお勧めします。」とのメッセージを第二ディスプレイ24Bに表示させてもよい。なお、本ステップにおける他の態様として、例えば負荷後120分のグルコース濃度(2h−PG値)のみを表示させてもよい。
【0161】
本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。なお、プロセッサ21は、本制御ルーチンの終了時に、ユーザ端末2の表示モードを基本表示モードに復帰させてもよい。また、本制御ルーチンにおいて説明したようなディスプレイ24への表示メッセージは、ユーザ端末2のスピーカ(図示せず)からの音声出力を併せて行うようにしてもよい。
【0162】
<第二実施形態>
次に、本発明に係る第二実施形態について説明する。上述までの第一実施形態では、ユーザ端末2の補助記憶装置27における第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuを更新するための同検量線データが測定装置5に組み込まれ、或いはこれと独立したサーバ装置4から配信される態様を説明した。これに対し、第二実施形態では、ユーザ端末2がCGM測定器1から取得したグルコース濃度(第1生体成分の測定値)、或いはユーザによる実測データ入力操作等によって取得したHbA1c実測濃度に基づいて、自身の補助記憶装置27に格納されている固有検量線データSCuが妥当であるかどうかの判定をユーザ端末2のプロセッサ21が行う。そして、固有検量線データSCuが妥当でないと判定された場合、固有検量線データSCuが更新される。
【0163】
図31は、第二実施形態に係る情報提供システムSのシステム構成図である。図示のCGM測定器1、測定装置5は第一実施形態におけるものと同等である。第二実施形態に係るユーザ端末2の基本態様は第一実施形態と共通しており、Glu情報やHbA1c情報をディスプレイ24に表示可能である点は共通である。また、第一実施形態において説明したユーザ端末2の表示態様は、第二実施形態においても適用することが可能である。
【0164】
本実施形態のユーザ端末2では、補助記憶装置27の第二検量線記憶部32に、固有検量線データSCu(図4を参照)の他、共通検量線データSCp(図7を参照)が記憶されている。固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpについては、第一実施形態において説明した通りである。なお、本実施形態における共通検量線データSCpは、複数の被験者(例えば、医療機関における患者)における検体から測定された血糖値および実測されたグリコヘモグロビン(HbA1c)の測定値の組み合わせからなる多数の実測ペアデータに基づいて構築されている。
【0165】
〈第三制御〉
図32は、第三制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。第三制御ルーチンは、ユーザ端末2におけるプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを所定の期間毎に主記憶装置22にロードして実行される。
【0166】
ステップS701において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27のAG値記憶部35にアクセスし、AG値記憶部35に新たな平均グルコース濃度AGが追加されているかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定されると、プロセッサ21は、AG値記憶部35が平均グルコース濃度AGを第1測定値として新たに取得したこと
を検出することとなり、ステップS702に進む。一方、本ステップにおいて否定判定された場合には本制御ルーチンを一旦終了する。ステップS702において、プロセッサ21は、第二検量線記憶部32にアクセスする。そして、プロセッサ21は、第二検量線記憶部32に格納されている固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に、上記取得した平均グルコース濃度AGを第1測定値として代入する。これにより、プロセッサ21は、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2を夫々導出する。固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2については、第一実施形態において説明した通りである。
【0167】
ステップS703において、プロセッサ21は、対応値乖離量ΔVdが所定の第1基準量A1を超えているか否かを判定する。この対応値乖離量ΔVdは、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2との差の絶対値として定義される(ΔVd=|Vd1−Vd2|)。本ステップにおいて否定判定(ΔVd≦A1)された場合には、対応値乖離量ΔVdが十分に少ない値に維持されており、ユーザ端末2の第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuには何ら問題が無いと判断される。この場合、本制御ルーチンをそのまま終了する。或いは、プロセッサ21は、「正常状態です」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させたり、当該メッセージをユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から音声で出力させてから、本制御ルーチンを終了させてもよい。
【0168】
一方、上記ステップS703において、肯定判定された場合(ΔVd>A1)には、ステップS704に進む。ステップS704では、更に、対応値乖離量ΔVdが所定の第2基準値A2を超えているか否かを判定する。第2基準値A2は、第1基準値A1よりも大きな値に設定される閾値である。本ステップにおいて、否定判定(ΔVd≦A2)された場合にはステップS705に進み、肯定判定された場合(ΔVd>A2)には、ステップS706に進む。ステップS705に進んだ場合には、対応値乖離量ΔVdが第1基準値A1を超えて且つ第2基準値A2以下であることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2に有意差が認められ、この有意差は、ユーザ端末2を使用するユーザの体質の変化に拠るものと判定される。
【0169】
そこで、ステップS705において、プロセッサ21は、平均グルコース濃度とHbA1c濃度のうち、ステップS701においてAG値記憶部35が取得しなかった方の生体成分、ここではHbA1c濃度の測定結果の入力を要求する測定値要求信号を出力する。プロセッサ21によって測定値要求信号が出力されると、ユーザ端末2からユーザに向けて第1報知情報が出力されると共に第三固有検量線データ更新フラグがオンに設定される(F←オン)。
【0170】
この第1報知情報は、例えば第二ディスプレイ24Bに表示される「指定の医療機関にてグリコヘモグロビンの濃度を実測し、その測定結果を入力して下さい」とのメッセージである。また、第三固有検量線データ更新フラグがオフからオンに切り替わると、後述する第三固有検量線データ更新制御ルーチンが行われるトリガとなる。本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS706の処理に進んだ場合、対応値乖離量ΔVdが第2基準値A2を超えていることを意味する。この場合、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2に有意差が認められ、この有意差はCGM測定器1(グルコースセンサ11を含む)の故障、異常などの外的要因エラーに拠るものと判定される。この場合、ステップS706において、ユーザ端末2からユーザに向けて第2報知情報が出力される。この第2報知情報は、例えば第二ディスプレイ24Bに表示される「CGM測定器やセンサに異常がある可能性がありますので、センサを新品に交換するかCGM測定器をメンテナンスしてください」とのメッセージである。本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。なお、上述の第1報知情報、第2報知情報は、例えばユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から上述した各メッセージを音声出力
させてもよい。
【0171】
次に、第三固有検量線データ更新制御ルーチンの具体的処理について説明する。図33は、本実施形態に係る第三固有検量線データ更新制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。本ルーチンにおいても、第三制御ルーチンと同様にユーザ端末2のプロセッサ21によって実行される。また、本制御ルーチンは、第三固有検量線データ更新フラグがオンの状態の場合に、所定期間毎に繰り返し実行される。ユーザ端末2の第二ディスプレイ24Bに表示された第1報知情報のメッセージを見たユーザは、医療機関における測定装置5を用いて自己のHbA1c濃度を測定する。このようにして得られたHbA1c実測濃度は、操作部23によるボタン入力操作を介して入力され、第2測定値としてHbA1c値記憶部36に記憶される。なお、HbA1c値記憶部36は、ユーザによる操作部23の入力操作、可搬記録媒体、外部装置からの通信、の少なくとも何れかの手段を介して取得したHbA1c実測濃度を記憶する。ここでの外部装置とは、サーバ装置4や測定装置5等が挙げられる。また、可搬記録媒体とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリ、フラッシュメモリカードなどが例示できる。
【0172】
ステップS801において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、HbA1c値記憶部36にアクセスする。次に、先述の第三制御において測定値要求信号(第1報知情報)を出力した後、HbA1c値記憶部36におけるHbA1c実測濃度が新たに追加(更新)されているか否かを判定する。本ステップにおいて、新たなHbA1c実測濃度が更新されていないと判定された場合にはそのまま本ルーチンを終了する。この場合は、所定期間経過後に本制御ルーチンが再び実行される。一方、本ステップにおいて新たなHbA1c実測濃度が更新されていると判定された場合、プロセッサ21は、HbA1c値記憶部36がHbA1c実測濃度を第2測定値として新たに取得したことを検出することとなる。この場合、プロセッサ21はステップS802に進む。ステップS802において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、このHbA1c実測濃度(第2測定値)と、図32の第三制御におけるステップS701で取得した平均グルコース濃度AG(第1測定値)とのペアを実測ペアデータとして用い、第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuを更新する。本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。
【0173】
なお、上述した第三制御のステップS704において対応値乖離量ΔVdが第2基準値A2を超えていると判定された場合、プロセッサ21は、補助記憶装置27のAG値記憶部35が第1測定値として取得した平均グルコース濃度AGに関する修正処理を実施してもよい。この修正処理としては、例えば第一実施形態で説明した異常値除去処理(第一変形例)、または基準期間短縮処理(第二変形例)が挙げられる。これらの各処理の内容については第一実施形態で述べた処理内容と同様であり、その詳しい説明は割愛する。次に、ユーザ端末2のプロセッサ21は、異常値除去処理や基準期間短縮処理などの修正処理を実施して修正平均血糖値AG´(第1生体成分の修正済み測定値)を算出する。この算出した結果に基づいて、プロセッサ21は、第1生体成分の修正済み測定値(第1測定値)と上記HbA1c実測濃度(第2測定値)に基づいて固有検量線データSCuを更新する。なお、異常値除去処理と基準期間短縮処理は何れか一方が択一的に実施されてもよいし、双方が順番に実施されてもよい。
【0174】
〈第四制御〉
次に、第二実施形態における第四制御について説明する。第四制御は、第一実施形態に係る第二制御に対応する制御である。図34は、第四制御ルーチンの手順を示すフローチャートである。この第四制御ルーチンは、ユーザ端末2におけるプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを所定の期間毎に主記憶装置22にロードして実行される。
【0175】
本制御ルーチンが開始されると、まずステップS901において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27のHbA1c値記憶部36にアクセスし、HbA1c実測濃度が新たに追加(更新)されているか否かを判定する。本ステップで肯定判定がなされた場合には、HbA1c値記憶部36がHbA1c実測濃度を第1測定値として新たに取得したことが検出され、ステップS902に進む。一方、本ステップにおいて否定判定された場合には本制御ルーチンを一旦終了する。
【0176】
次に、ステップS902において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、第二検量線記憶部32にアクセスする。そして、プロセッサ21は、第二検量線記憶部32に格納されている固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpの夫々に、上記取得したHbA1c実測濃度を第1測定値として代入し、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´を夫々導出する。
【0177】
次に、ステップS903において、プロセッサ21は、対応値乖離量ΔVd´が所定の第1基準量A1´を超えているか否かを判定する。この対応値乖離量ΔVd´は、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´との差の絶対値として定義される(ΔVd´=|Vd1´−Vd2´|)。本ステップにおいて否定判定(ΔVd´≦A1´)された場合には、対応値乖離量ΔVd´が十分に少ない値に維持されており、ユーザ端末2の第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuには何ら問題が無いと判断される。この場合、本制御ルーチンをそのまま終了する。或いは、プロセッサ21は、「正常状態です」とのメッセージを例えば第二ディスプレイ24Bに表示させたり、当該メッセージをユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から音声で出力させてから、本制御ルーチンを終了させてもよい。
【0178】
一方、ステップS903において、肯定判定された場合(ΔVd´≦A1´)には、ステップS904に進む。ステップS904では、更に、対応値乖離量ΔVd´が所定の第2基準値A2´を超えているか否かを判定する。第2基準値A2´は、第1基準値A1´よりも大きな値に設定される閾値である。本ステップにおいて、否定判定(ΔVd´≦A2´)された場合にはステップS905に進む。一方、本ステップで肯定判定された場合(ΔVd´>A2´)には、ステップS906に進む。ステップS904からステップS905に進んだ場合には、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´に有意差が認められると判断される。この有意差は、例えばユーザの体質の変化に拠るものと判定される。そこで、プロセッサ21は、平均グルコース濃度AGとHbA1c濃度のうち、ステップS901においてHbA1c値記憶部36が第1測定値として取得しなかった方の測定値である平均グルコース濃度AG(未取得測定値)を補助記憶装置27のAG値記憶部35から読み出し、第2測定値として取得する。ここでAG値記憶部35から取得する平均グルコース濃度AGのAG算出基準期間は、ステップS901で検出されたHbA1c実測濃度の測定日時を含むようにするのがよい。本ステップの処理が終了するとステップS907に進む。
【0179】
一方、ステップS904からステップS906に進んだ場合には、固有検量線対応値Vd1´と共通検量線対応値Vd2´に有意差が認められると判断される。この有意差は、測定装置5の故障、異常などの外的要因エラーに拠るものと判定される。そこで、本ステップにおいては、ユーザ端末2からユーザに向けて第3報知情報が出力される。この第3報知情報は、例えば第二ディスプレイ24Bに表示される「測定装置に異常、故障があった可能性があります。グリコヘモグロビンを再測定することをお勧めします」とのメッセージや、ユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から出力される上記メッセージの音声出力である。
【0180】
ステップS907において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、AG値記憶部35から
第2測定値として読み出した平均グルコース濃度AGと、ステップS901でHbA1c値記憶部36が第1測定値として取得したHbA1c実測濃度とのペアに基づいて、ユーザ端末2の補助記憶装置27に格納されている固有検量線データSCuを更新する。本ステップの処理が終了すると本制御ルーチンを一旦終了する。
【0181】
以上の第二実施形態では、第三制御と第四制御の制御内容を適宜組み合わせて実行しても良い。例えば、ユーザ端末2は、平均グルコース濃度AGとHbA1c実測濃度の何れか一方を第1測定値として取得した場合であって、かつ、対応値乖離量が第1基準量を超えている場合に、他方の測定値を第2測定値として取得すると共に、この第2測定値と既に取得済みの第1測定値とのペアを用いて固有検量線データSCuを更新しても良い。
【0182】
<第三実施形態>
次に、本発明に係る第三実施形態について説明する。本実施形態に係る情報提供システムSのシステム構成は、第一実施形態と同様である(図1を参照)。本実施形態では、ユーザ端末2の表示モードの一つとして用意される「同時表示モード」について説明する。
【0183】
ユーザ端末2は、例えば、操作部23を介してユーザの操作を受け付けると、表示モードが同時表示モードに変更される。例えば、操作部23の何れかのボタンが、同時表示モードを選択する同時表示モードボタンとして割り当てられていてもよい。この同時表示モードは、ユーザの血糖状態を反映する複数の指標値をディスプレイ24に同時に表示させる表示モードである。複数の指標値とは、例えば、グルコースの一定期間における代謝の結果を評価するための第1指標値と、グルコースの代謝の能力を評価するための第2指標値である。第1指標値としては、長期的な血糖状態を反映する指標値、例えば、過去数ヶ月間におけるグルコースの代謝結果を反映する指標値であるHbA1c濃度を採用する。一方、第2指標値としては、FPG、OGTT等を挙げることができる。本実施形態では、FPG、OGTTの少なくとも何れか一方を第2指標値として採用することとした。但し、第2指標値として、FPG、OGTT以外の指標を採用することは妨げられない。
【0184】
近年、HbA1c濃度を、FPGOGTT等と同様に、境界型糖尿病であるかどうかを判定する際に考慮すべきこと、FPGやOGTT等の第2指標値と、HbA1c濃度のような第1指標値とを組み合わせることで、「境界型」から「糖尿病型」への将来的な進行を精度よく予想できることが、提唱されている。例えば、第2指標値としてのFPGが110mg/dL以上126mg/dL未満の範囲にあるかどうかという条件と、第1指標値としてのHbA1c濃度が高めの範囲(5.7〜6.4%)にあるかどうかという条件のうち、何れか一方の条件を満たす場合に比べて、双方の条件を満たす場合の方が、将来的に糖尿病を発症する確率が高くなるとの報告がある。したがって、血糖状態に関する第1指標値と、第2指標値とを組み合わせることによって、将来的に「境界型」から「糖尿病型」に進行するリスク、すなわち糖尿病の発症リスクが高いかどうかを精度よく予想できる。
【0185】
そこで、ユーザ端末2は、「同時表示モード」が選択されているときには、血糖状態に関連する第1指標値と第2指標値の双方を、第二ディスプレイ24Bに同時に表示させるようにする。図35は、ユーザ端末2の同時表示モードを説明する説明図である。図36は、ユーザ端末2の表示モードを同時表示モードとする場合の処理フローを示すフローチャートである。本フローチャートの各ステップの処理は、ユーザ端末2のプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを主記憶装置22にロードすることで実現される。なお、本フローチャートでは、FPGを第2指標値として採用する場合を例に説明する。
【0186】
ステップS1001において、プロセッサ21は、補助記憶装置27のAG値記憶部5
3に記憶されている平均グルコース濃度AGの最新値を読み出す。次に、ステップS1002において、第1指標値としてのHbA1c濃度を、ステップS1001で読み出した平均グルコース濃度AGに基づいて取得する。具体的には、プロセッサ21は、ステップS1001で読み出した平均グルコース濃度AGを、補助記憶装置27の第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuに代入することで、HbA1c推定濃度を求める。更に、プロセッサ21は、補助記憶装置27の測定値記憶部30にアクセスし、FPGを読み出す。CGM測定器1は、数日〜数週間程度の測定期間に亘って連続的に血糖値Gluを測定するため、FPGについても測定値記憶部30に記憶されている。そこで、プロセッサ21は、FPGに対応するグルコース濃度の測定データを、測定値記憶部30から読み出す。これによって、プロセッサ21は、HbA1c濃度とFPGとを取得することができる。
【0187】
なお、FPGは、食事前(直前の食事から、例えば8〜12時間後)の空腹時に測定したグルコース濃度である。ユーザ端末2において、操作部23の何れかのボタンには、食事を摂取した際に押下する食事ボタンが割り当てられている。プロセッサ21は、ユーザによって食事ボタンが押下される度に、“食事”とのイベント情報を日時情報と関連付けてイベント履歴情報としてイベント履歴記憶部34に記憶させる。これにより、プロセッサ21は、イベント履歴記憶部34にアクセスすることで、ユーザが食事を摂った日時を取得することが可能となる。したがって、例えば、食事摂取日時から所定時間(例えば、8〜12時間程度)経過後の血糖値Gluを測定値記憶部30から読み出すことで、FPGを取得することができる。あるいは、ユーザ端末2は、自動的にFPGを検出する機能を備えていてもよい。例えば、経時的に推移するグルコース濃度がピーク値(極大値)を迎えた後、グルコース濃度が所定の閾値より低い値まで低下してから所定時間(例えば、8〜12時間程度)以上その状態が維持された場合に、当該期間中におけるグルコース濃度の測定値をFPGとして採用してもよい。例えば、プロセッサ21は、補助記憶装置27の測定値記憶部30にアクセスし、上記条件が成立する測定データを読み出すことでFPGを取得できる。具体的には、プロセッサ21は、測定値記憶部30に記憶されているグルコース濃度の測定データから、ピーク値(極大値)以後に所定の閾値よりも低い値を示す測定データをFPG候補データとして特定する。そして、プロセッサ21は、FPG候補データの測定日時から上記所定時間の間に測定された各測定データの値が、上記閾値未満であるかどうかを判定する。そして、当該各測定データの値が閾値未満であった場合に、上記FPG候補データの値を正式にFPGとして取得してもよい。
【0188】
次に、ステップS1003において、プロセッサ21は、ステップS1002で取得したHbA1c濃度(第1指標値)およびFPG(第2指標値)のそれぞれの、指標値ごとに設定された所定の閾値との大小関係を判定する。ここでは、例示として、HbA1c濃度に対する閾値を5.7%、6.4%に設定し、FPGに対する閾値を110mg/dL、126mg/dLに設定している。本ステップを実行するプロセッサ21は、判定部39として機能する。但し、上記閾値については適宜変更することができる。
【0189】
ステップS1004において、第1指標値としてのHbA1c推定濃度、および第2指標値としてのFPGのそれぞれについての上記判定結果を特定可能に表示させるべく、第二ディスプレイ24Bの表示領域を複数の領域に分け、且つ、この表示領域のうち、各指標値についての判定結果に合致する特定の領域を他の領域と識別可能な表示状態とする。これは同時に、ステップS1002で取得したHbA1c推定濃度(第1指標値)とFPG(第2指標値)とに関する取得結果を、第二ディスプレイ24Bに同時に表示させることを意味する。
【0190】
図35に示すように、第二ディスプレイ24Bの表示領域は、領域A〜Dの4つの領域に分割されている。ここで、領域Aは、FPGが110mg/dL未満であり、且つ、H
bA1c推定濃度が5.7%未満となる領域である。領域Bは、FPGが110mg/dL未満であり、且つ、HbA1c推定濃度が5.7%以上6.4%未満となる領域である。領域Cは、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満であり、且つ、HbA1c推定濃度が5.7%未満となる領域である。領域Dは、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満であり、且つ、HbA1c推定濃度が5.7%以上6.4%未満となる領域である。
【0191】
具体例を挙げると、例えば、ステップS1002で取得したFPGが105mg/dLであり、HbA1c推定濃度が6.0%であったとする。この場合、HbA1c推定濃度とFPGのそれぞれに対する判定結果に合致する特定の領域として、領域Bが該当する。そこで、プロセッサ21は、特定領域Bを、他の領域A、C、Dと識別可能な表示状態となるように、第二ディスプレイ24Bの表示態様を制御する。例えば、領域Bだけを明るく表示し、他の領域A、C、Dを暗く表示してもよい。但し、第二ディスプレイ24Bにおける表示領域のうち、HbA1c濃度とFPGについての各判定結果に合致する特定の領域を他の領域と識別可能な態様であれば、他の識別方法を採用してもよい。ステップS1004の処理が終了すると、本処理フローを終了する。
【0192】
上記のように、本制御に係るディスプレイの表示方法によれば、体液中のグルコースに関する長期的な代謝結果の把握に有用なHbA1c濃度(第1指標値)と、体液中のグルコースの代謝能の把握に有用なFPG(第2指標値)を同時にディスプレイ表示させることができる。そのため、双方の指標値が、現在どのような状態におかれているのかについて、ユーザは容易に把握することが可能となる。そして、ディスプレイ24の表示領域を複数の領域に分け、各指標値に対する判定結果に合致する特定の領域を他の領域と識別可能な態様で表示させるので、将来的に境界型から糖尿病へ移行するリスクの程度を、ユーザは視覚的に且つ直感的に把握することができる。つまり、ユーザは、糖尿病を発症する確率を簡単に予測することができるので、使い勝手の優れた情報端末装置(ユーザ端末)をユーザに提供することができる。
【0193】
〈同時表示モードの変形例〉
図37は、ユーザ端末2の同時表示モードを説明する第2の説明図である。図37に示す変形例では、第2指標値として、FPGおよびOGTTを採用している。本変形例では、第2指標値に複数の指標値を採用する点で、上記実施形態と相違する。本変形例を適用する場合、図36のステップS1002において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、HbA1c濃度とFPGに加えて、OGTTを取得するとよい。より具体的には、プロセッサ21は、補助記憶装置27の測定値記憶部30から、直近に記憶されたOGTTを読み出すとよい。
【0194】
本変形例において、ユーザ端末2は、操作部23の何れかのボタンに、経口ブドウ糖負荷試験を開始する際に押下するためのOGTTボタンが割り当てられている。ユーザは、75gのブドウ糖を経口投与した時点で、OGTTボタンを押下する。プロセッサ21は、ユーザによるOGTTボタンの押下を検出すると、“OGTT”とのイベント情報を日時情報と関連付けたイベント履歴情報としてイベント履歴記憶部34に記憶させる。ユーザ端末2のプロセッサ21は、イベント履歴記憶部34にアクセスして、直近にOGTTボタンが押下された日時情報を取得する。そして、OGTTボタンが押下された日時から120分経過した後に対応するグルコース濃度の測定データを測定値記憶部30から読み出すことで、OGTTを取得することができる。
【0195】
また、本変形例の場合、図36のステップS1003において、プロセッサ21は、OGTTが予め定めておいた閾値以上であるか否かを判断する。OGTTに対する閾値は、例えば140mg/dL、200mg/dLが例示できる。そして、プロセッサ21は、
HbA1c濃度とFPGに加えて、OGTTについても、その取得値と閾値との大小関係を判定する。そして、ステップS1004では、取得したHbA1c濃度、FPG、OGTTに関する取得結果を、第二ディスプレイ24Bに同時に表示させる。そして、第二ディスプレイ24Bへの各指標への表示態様として、図37に示す例ではベン図形式を採用するようにした。
【0196】
第二ディスプレイ24Bの表示領域は、まず、領域X、Y、Zの領域に分割されてい
る領域Xは、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満という各指標値の判定結果に対応する領域である。領域Yは、OGTTが140mg/dL以上200mg/dL未満という各指標値の判定結果に対応する領域である。領域Zは、HbA1c濃度が5.7%以上6.4%未満という各指標値の判定結果に対応する領域である。
【0197】
更に、領域X〜Zの相互の重なり合う部分には、領域xy、yz、zx、xyzが設
けられている。領域xyは、領域XとYのみが重なり合う部分に対応する。したがって、領域xyは、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満、OGTTが140mg/dL以上200mg/dL未満、HbA1c濃度が5.7%未満という、各指標値の判定結果に対応する領域である。領域yzは、領域YとZのみが重なり合う部分に対応する。したがって、領域yzは、OGTTが140mg/dL以上200mg/dL未満、HbA1c濃度が5.7%以上6.4%未満、FPGが110mg/dL未満という、各指標値の判定結果に対応する領域である。領域zxは、領域ZとXのみが重なり合う部分に対応する。したがって、領域zxは、HbA1c濃度が5.7%以上6.4%未満、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満、OGTTが140mg/dL未満という、各指標値の判定結果に対応する領域である。領域xyzは、領域X、Y、Zの全てが重なり合う部分に対応する。したがって、領域xyzは、FPGが110mg/dL以上126mg/dL未満、OGTTが140mg/dL以上200mg/dL未満、HbA1c濃度が5.7%以上6.4%未満という、各指標値の判定結果に対応する領域である。
【0198】
ここで、具体例を挙げると、例えば、ステップS1002で取得したFPGが115mg/dL、OGTTが150mg/dL、HbA1c濃度が6.0%であったとする。この場合、各指標値に対するステップS1003での判定結果に合致する特定の領域として、領域xyzが該当する。そこで、ステップS1004では、プロセッサ21は、第二ディスプレイ24Bの表示領域のうち、領域xyzを、他の領域と識別可能な表示状態となるように、第二ディスプレイ24Bの表示態様を制御する。例えば、図37に示す例では、領域xyzの内部にプロット表示をすることにより、領域xyzを他の領域と識別可能にしている。これにより、ユーザは、現在の各指標値の状態が、領域xyzに対応する状態であることを、視覚的に一目で把握することができる。本変形例によれば、体液中におけるグルコースの代謝能を反映する第2指標値として、複数種の指標値を採用しているので、将来的な糖尿病の発症リスクに関する情報を、ユーザにより精度良く提供することができる。つまり、ユーザの糖尿病ケアに有用な情報を、ユーザにとってより利便性の高い態様で提供することができる。
【0199】
〈固有検量線データSCuの更新〉
次に、本実施形態におけるユーザ端末2に格納されている固有検量線データSCuの更新について説明する。図38は、本実施形態に係る第一の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。ここでは、いずれかのユーザに係るユーザ端末2から、平均グルコース濃度AGに関する情報を含むユーザ送信データをサーバ装置4が受信した場合の制御例について説明する。なお、第一の検量線更新ルーチンは、サーバ装置4のプロセッサ41が補助記憶装置47に格納されているプログラムを主記憶装置42にロードすることで、所定の期間毎に繰り返し実行される。
【0200】
ステップS1101では、サーバ装置4のプロセッサ41は、AG値記憶部53にアクセスし、いずれかのユーザから新たな平均グルコース濃度AGが追加されているかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定された場合にはステップS1102に進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了する。
【0201】
ステップS1102において、プロセッサ41は、ユーザ送信データに係るユーザ識別情報およびデータ取得日時情報に基づいてデータの取得元である取得元ユーザを特定する。プロセッサ41は、特定した取得元ユーザが使用するユーザ端末2に対応するサーバ側検量線記憶部52にアクセスする。また、プロセッサ41は、取得元ユーザに対応する固有検量線データSCuおよび共有検量線データSCpの夫々に、取得した平均グルコース濃度AGを代入する。そして、固有検量線データSCuおよび共有検量線データSCpの夫々において、代入した平均グルコース濃度AGに対応するHbA1c濃度(第1指標値)を、固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2としてそれぞれ導出する(
図8を参照)。固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2については、第一
実施形態において述べた通りである。
【0202】
ステップS1103において、プロセッサ41は、固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2のそれぞれに対して、HbA1c濃度に設定されている閾値との大小関係を判定する。ここでの閾値は、図36において説明したように、例えば5.7%、6.4%に設定されている。そして、続くステップ1104において、プロセッサ41は、固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2のそれぞれに対する判定結果が相
違するかどうかを判定する。固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2のそ
れぞれに対する判定結果が相違する場合にはステップS1105に進み、そうでない場合には本ルーチンを終了する。
【0203】
上述したステップS1103において、固有検量線対応値Vd1および共通検量線対応値Vd2に対する各判定結果が互いに相違する状況について説明する。例えば、固有検量線対応値Vd1が5.5%として取得され、共通検量線対応値Vd2が5.9%として取得された場合、各対応値Vd1,Vd2に対する判定結果が互いに相違することになる。ここで、固有検量線対応値Vd1と、共通検量線対応値Vd2の夫々を、第2指標値であるFPGと組み合わせて作成した組み合わせデータA(Vd1,FPG)、組み合わせデータB(Vd2,FPG)について考える。このような組み合わせデータA,Bを用いて、図36に係る処理フローに従い、ユーザ端末2を同時表示モードで制御するならば、第二ディスプレイ24Bにおいて複数に分けられた表示領域のうち、各組み合わせデータA,Bが属する領域が互いに異なることになる。よって、この場合には、固有検量線データSCuと共通検量線データSCpとの間に有意差があると認めることができる。この有意差は、例えば、ユーザの体質の変化に拠るもの、或いは、CGM測定器1(グルコースセンサ11を含む)の故障、異常などの外的要因エラーに拠るものと判断することができる。
【0204】
そこで、ステップS1105において、プロセッサ41は、取得元ユーザのユーザ端末2に所定の更新要求情報を送信する。更新要求情報は、取得元ユーザに第1指標値、すなわち、HbA1c濃度の実測を要求する実測要求情報である。取得元ユーザのユーザ端末2が更新要求情報(実測要求情報)を受信すると、プロセッサ21は、「指定の医療機関にてグリコヘモグロビン濃度を実測して下さい」とのメッセージM1を、例えば第二ディスプレイ24Bに表示させる。また、このメッセージと併せて「CGM測定器やセンサに異常がある可能性がありますので、センサを新品に交換するかCGM測定器をメンテナンスしてください」とのメッセージM2を表示させてもよい。あるいは、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2との差Xが閾値α以上であるか否かに応じて、メッセー
ジの種類を選択してもよい。例えば、差Xが閾値α未満である場合にメッセージM1を出力し、差Xが閾値α以上である場合にメッセージM2を出力するようにしてもよい。なお、これらのメッセージは、ディスプレイへの表示に代えて、ユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から音声で出力してもよい。更に、本ステップでは、固有検量線データ更新フラグがオンに設定される(F←オン)。固有検量線データ更新フラグがオフからオンに切り替わると、後述する第二の検量線更新ルーチンを実行するトリガーとなる。
なお、本制御例では、組み合わせデータA(Vd1,FPG)および組み合わせデータB(Vd2,FPG)においては、第2指標値としてのFPGが一致する場合を例示しているが、組み合わせデータAのFPGと組み合わせデータBのFPGの示す値が夫々相違していても良い。この場合、ステップS1103において、プロセッサ41は、FPG(第2指標値)に対して定められた所定の閾値と、各組み合わせデータに含まれるFPGとの大小関係を判定すると良い。そして、ステップS1104において、プロセッサ41は、各組み合わせデータA(Vd1,FPG1),組み合わせデータB(Vd2,FPG2)に含まれる第1指標値と第1指標値に対応する閾値との大小関係に関する判定結果、および、第2指標値と第2指標値に対応する閾値との大小関係に関する判定結果が、一部でも相違すると判定した場合には、ステップS1105に進み、ユーザ端末2に更新要求情報を送信する処理を行うと良い。なお、上記一連の処理内容は、後述する第四実施形態において、ユーザ端末2のプロセッサ21が実行する第一の検量線更新ルーチン(図41を参照)においても適用することができる。すなわち、上述した図38のステップS1103〜S1105に関する変形処理例は、後述する図41のステップS1303〜S1305に関する変形処理例として援用することができる。
【0205】
なお、共通ユーザ検量線データSCpは、例えば、性別、年齢層等の条件によって分類されていてもよい。例えば、共通ユーザ検量線データSCpにおいて、男性のみの実測ペアデータを用いて構築した検量線データSCpA、女性のみの実測ペアデータを用いて構築した検量線データSCpB、30代の被験者の実測ペアデータを用いて構築した検量線データSCpC、40代の被験者の実測ペアデータを用いて構築した検量線データSCpD、・・・等というように、複数の共通ユーザ検量線データSCpを、サーバ装置4の補助記憶装置47に格納しておいてもよい。この場合、上記制御のステップS1103において、複数の共通ユーザ検量線データSCpに対応する数だけ共通検量線対応値Vd2(Vd2A、Vd2B、Vd2C、Vd2D、・・・)を導出するとよい。そして、ステップS1104では、Vd2A、Vd2B、Vd2C、Vd2D、・・・における何れかに係る判定結果が、固有検量線対応値Vd1における判定結果と相違する場合、ステップS1105においてユーザ端末2に更新要求情報を送信し、ユーザに固有検量線データSCuの更新について喚起するとよい。
【0206】
次に、第二の検量線更新ルーチンの具体的処理について説明する。図39は、本実施形態に係る第二の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。本ルーチンにおいても、第一の検量線更新ルーチンと同様にサーバ装置4のプロセッサ41によって実行される。また、本制御ルーチンは、固有検量線データ更新フラグがオンの状態の場合に、所定期間毎に繰り返し実行される。ここで、ユーザ端末2の第二ディスプレイ24Bに更新要求情報(測定要求情報)に係るメッセージ表示を確認したユーザが、医療機関における測定装置5を用いて、HbA1c濃度を実測した場合、その実測結果は、サーバ装置4における補助記憶装置47のHbA1c値記憶部54に新たに記憶される。
【0207】
ステップS1201において、サーバ装置4のプロセッサ41は、HbA1c値記憶部54にアクセスする。そして、プロセッサ41は、HbA1c値記憶部54に記憶されているHbA1c実測濃度のデータが、新たに追加(更新)されているか否かを判定する。本ステップにおいて、HbA1c実測濃度のデータが追加(更新)されていないと判定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、HbA1c実測濃度のデータが追加(更新
)されている場合、ステップS1202に進む。
【0208】
ここで、HbA1c値記憶部54に追加されたHbA1c実測濃度のデータは、ユーザ識別情報、及びデータ取得日時情報と関連付けられて記憶されている。そこで、ステップS1202において、プロセッサ41は、このHbA1c実測濃度と、図38のステップS1101で取得した平均グルコース濃度AGとのペアを実測ペアデータとして使用して、サーバ側検量線記憶部52に記憶されている取得元ユーザの固有検量線データSCuを更新する。次に、ステップS1203において、プロセッサ41は、ステップS1202において更新した固有検量線データSCuを、対応する取得元ユーザにおけるユーザ端末2に配信する。その後、プロセッサ41は、固有検量線データ更新フラグをオフに設定し、本ルーチンを終了する。
【0209】
ここで、上述した第二の検量線更新ルーチンの変形例について説明する。ステップS1202において、サーバ装置4のプロセッサ41は、HbA1c値記憶部54に新たなHbA1c実測濃度のデータが追加されている場合に、新たに追加されたHbA1c実測濃度のデータを、取得元ユーザのユーザ端末2に送信する。
【0210】
サーバ装置4から、ネットワークインターフェース26を介してHbA1c実測濃度のデータを受信したユーザ端末2は、HbA1c実測濃度のデータを補助記憶装置27の実測値記憶部36に記憶する。ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27の第二検量線記憶部32に記憶されている固有検量線データSCuを、サーバ装置4から受信したHbA1c実測濃度と、これに対応する平均グルコース濃度AGとの実測ペアデータに基づいて更新することができる。
【0211】
以上のように、情報提供システムSに係る固有検量線データSCuの更新方法によれば、HbA1c濃度の推定に、各ユーザに固有の固有検量線データSCuを使用することを基本としつつも、固有検量線データSCuが本来あるべき状態かどうかを、共通検量線データSCpと固有検量線データSCuとの相対関係に基づいて判断することができる。そして、必要に応じて、ユーザ端末2の固有検量線データSCuを更新することが可能である。
【0212】
[その他のシステム構成例]
本実施形態に係るユーザ端末2は、血糖自己測定(SMBG:self-monitoring of blood glucose)を行うためのSMBG測定装置であってもよい。図40は、SMBG測定装置200の概略構成図である。SMBG測定装置200は、バイオセンサ205を用いて電気化学的手法により血液の測定を行う。SMBG測定装置200は、筐体201、ディスプレイ202、操作ボタン203、センサ挿入口204を備えている。また、図示を省略しているが、SMBG測定装置200は、SMBG測定装置200の所定の動作(例えば、電圧の印加或いは外部との通信など)に必要なCPU、RAM、ROM等の電子部品が搭載された回路基板を有している。
【0213】
図40に示すように、筐体201に、ディスプレイ202及び複数の操作ボタン203が設けられている。複数の操作ボタン203は、各種の設定や、測定の開始、終了等の動作を行うために使用される。複数の操作ボタン203は、接触式のタッチパネルであってもよい。ディスプレイ202は、測定結果やエラーを表示するとともに、設定時における操作手順や操作状況等を表示する。SMBG測定装置200は、試料としての血液を保持させたバイオセンサ205を、センサ挿入口204に装着させることで、グルコース濃度を測定することができる。例えば、数時間おきにバイオセンサ205を用いてグルコース濃度を測定し、少なくとも2ポイントの測定データを選択して平均することで平均グルコース濃度AGを算出することができる。従って、上述のユーザ端末2と同様に、SMBG
測定装置200の記憶装置内にユーザ固有の固有検量線データSCuを記憶しておくことで、測定したグルコース濃度からHbA1c濃度を好適に推定することが可能である。そして、ディスプレイ202の表示モードの一つとして、図35、図37で示したような同時表示モードを用意することができる。また、上述した固有検量線データSCuの更新に係る制御も、SMBG測定装置200において適用することができる。
<第四実施形態>
【0214】
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態では、ユーザ端末2の補助記憶装置27に格納されている固有検量線データSCuが妥当であるかどうかの判定を、ユーザ端末2のプロセッサ21が行い、妥当でないと判定された場合に固有検量線データSCuを更新する構成について説明する。本実施形態に係る情報提供システムSのシステム構成は、第二実施形態と同様である(図31を参照)。
【0215】
図41は、本実施形態に係る第一の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。第一の検量線更新ルーチンは、ユーザ端末2におけるプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを所定の期間毎に主記憶装置22にロードして実行される。ステップS1301において、ユーザ端末2のプロセッサ21は、補助記憶装置27のAG値記憶部35にアクセスし、AG値記憶部35に新たな平均グルコース濃度AGが追加されているかどうかを判定する。本ステップにおいて肯定判定された場合ステップS1302に進み、本ステップにおいて否定判定された場合には本制御ルーチンを終了する。ステップS1302において、プロセッサ21は、第二検量線記憶部32にアクセスし、第二検量線記憶部32に格納されている固有検量線データSCuおよび共通検量線データSCpのそれぞれに、上記取得した平均グルコース濃度AGを代入して、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2とを取得する。
【0216】
ステップS1303において、プロセッサ21は、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2のそれぞれに対して、HbA1c濃度に係る所定の閾値との大小関係を判定する。ここで、HbA1c濃度に対する閾値は、例えば5.7%、6.4%に設定されている。ステップS1304において、プロセッサ21は、固有検量線対応値Vd1と共
通検量線対応値Vd2における判定結果が互いに相違するかどうかを判定する。ここで、ユーザ端末2のプロセッサ21が補助記憶装置27に格納されているプログラムを実行し、本ステップにおける上記判定を行うことにより、プロセッサ21が判定部として機能する。本ステップにおいて、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2の判定結果
が互いに相違する場合にはステップS1305に進み、そうでない場合には本ルーチンを終了する。
【0217】
ステップS1305において、プロセッサ21は、固有検量線データの更新について要求する更新要求情報を出力する。この更新要求情報は、ユーザに第1指標値、すなわち、HbA1c濃度の実測を要求する実測要求情報である。本ステップにおいて、プロセッサ21は、第三実施形態において説明したメッセージM1を、第二ディスプレイ24Bに表示させる。また、このメッセージと併せて上記メッセージM2を表示させてもよい。また、第三実施形態と同様に、固有検量線対応値Vd1と共通検量線対応値Vd2との差Xが閾値α以上であるか否かに応じて、メッセージの種類を選択してもよい。なお、これらのメッセージは、ディスプレイへの表示に代えて、ユーザ端末2のスピーカ(図示せず)から音声で出力してもよい。更に、本ステップでは、固有検量線データ更新フラグがオンに設定される(F←オン)。固有検量線データ更新フラグがオフからオンに切り替わると、後述する第二の検量線更新ルーチンを実行するトリガーとなる。
【0218】
次に、本実施形態に係る第二の検量線更新ルーチンについて説明する。図42は、本実施形態に係る第二の検量線更新ルーチンの処理フローを示すフローチャートである。本ル
ーチンにおいても、第一の検量線更新ルーチンと同様にプロセッサ21によって実行される。また、本制御ルーチンは、固有検量線データ更新フラグがオンの状態の場合に、所定期間毎に繰り返し実行される。ここで、ユーザ端末2の第二ディスプレイ24Bに更新要求情報(測定要求情報)に係るメッセージ表示を確認したユーザが、医療機関における測定装置5を用いて、HbA1c濃度を実測した場合、その実測結果は、サーバ装置4における補助記憶装置47のHbA1c値記憶部54(実測値取得部)に新たに記憶される。また、HbA1c値記憶部36は、ユーザによる操作部23の入力操作、可搬記録媒体、サーバ装置4や測定装置5等といった外部装置からの通信、の少なくとも何れかの手段を介して取得したHbA1c実測濃度が記憶されている。
【0219】
ステップS1401において、プロセッサ21は、HbA1c値記憶部36にアクセスする。そして、プロセッサ21は、HbA1c値記憶部36に記憶されているHbA1c実測濃度に係るデータが、新たに追加されているか否かを判定する。本ステップにおいて、HbA1c実測濃度のデータが追加(更新)されていないと判定された場合には、本ルーチンを終了する。一方、HbA1c実測濃度のデータが追加(更新)されている場合、ステップS1402に進む。ここで、HbA1c値記憶部36に追加されたヘモグロビンA1c実測濃度のデータは、ユーザ識別情報、及びデータ取得日時情報と関連付けられて記憶されている。そこで、ステップS1402において、プロセッサ21は、このHbA1c実測濃度と、そのデータ取得日時情報に対応する平均グルコース濃度AGとの組み合わせを実測ペアデータとし、補助記憶装置27に格納されている固有検量線データSCuを更新する。その後、プロセッサ21は、固有検量線データ更新フラグをオフに設定し、本ルーチンを終了する。
【0220】
以上のように、第四実施形態に係る固有検量線データSCuの更新方法においても、第三実施形態と同様に、共通検量線データSCpと固有検量線データSCuとの相対関係に基づいて、固有検量線データSCuが本来あるべき状態かどうかを判断することができる。そして、必要に応じて、ユーザ端末2の固有検量線データSCuを更新することが可能となる。
【0221】
[コンピュータ可読媒体に関する説明]
以上に説明した本実施形態における何れかの機能は、コード化されてコンピュータ可読媒体の記憶領域に格納されていても良い。この場合、その機能を実現するためのプログラムが、このコンピュータ可読媒体を介して、コンピュータ、又は、機械若しくは装置に組み込まれたコンピュータに、提供され得る。コンピュータ、又は、機械若しくは装置に組み込まれたコンピュータは、コンピュータ可読媒体の記憶領域からプログラムを読み出してそのプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0222】
ここで、コンピュータ可読媒体とは、電気的、磁気的、光学的、化学的、物理的又は機械的な作用によって、プログラム及びデータ等の情報を蓄積するとともに、コンピュータに読み取られ得る状態でその情報を保持する記録媒体をいう。このような記録媒体のうち、コンピュータから取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、DAT、8mmテープ、メモリカード等がある。また、コンピュータに固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。また、本発明を実施する形態については、可能な限り各実施形態の組合せを含むことができる。また、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記した実施形態には種々の変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0223】
1・・・CGM測定器
2・・・ユーザ端末
3・・・ネットワーク
4・・・サーバ装置
5・・・測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代謝結果を評価するための第1指標値を前記第1生体成分に基づいて取得し、取得した前記第1指標値をユーザに提供するユーザ端末と通信可能な情報処理装置であって、
前記ユーザ端末に、前記第1指標値の取得に使用するための検量線データを配信する、情報処理装置。
【請求項2】
前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置を備え、
ユーザの検体から実測した前記第1指標値の測定値、および該ユーザの前記第1生体成分の測定値のいずれか一方を第1測定値として取得し、
前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1測定値を代入して、前記第1指標値の測定値および前記第1生体成分の測定値のうち前記第1測定値として取得しなかった方の未取得測定値に対応する対応値を夫々取得し、
各検量線データから取得した夫々の対応値の乖離量が所定の第1の基準値を超えているか否かを判定し、
前記乖離量が前記第1の基準値を超えていると判定した場合に前記未取得測定値を要求する測定値要求情報を発信し、
前記測定値要求情報の発信後に取得した前記未取得測定値を第2測定値とし、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新し、
更新後の前記固有検量線データを前記ユーザ端末に送信する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1測定値として前記第1生体成分の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、前記第1生体成分の修正要求情報を発信し、
前記修正要求情報の発信後に取得した前記第1生体成分の修正済み測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1生体成分の測定値は、所定の基準期間において連続的に前記第1生体成分を測定することにより取得された複数の測定データの平均値であって、
前記第1生体成分の前記修正済み測定値は、前記基準期間を短縮する基準期間短縮処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値、または、前記基準期間において所定の測定値変化幅が許容値を超えた測定データを除去する異常値除去処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値として算出される、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1測定値として前記第1指標値の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、ユーザの検体から前記第1指標値を実測する測定装置に異常または故障が生じていると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記共通検量線データは、複数の被験者における検体から測定された前記第1生体成分の測定値および該検体から測定された前記第1指標値の測定値の相関関係に基づいて構築される、
請求項2から5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの第1生体成分の状態を反映すると共に一定期間における前記第1生体成分の代
謝結果を評価するための第1指標値を前記第1生体成分に基づいて取得し、取得した前記第1指標値をユーザに提供するユーザ端末。
【請求項8】
前記第1指標値の取得に使用するための検量線データを所定の条件下において更新する、請求項7に記載のユーザ端末。
【請求項9】
前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されている固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置を備え、
ユーザの検体から実測した前記第1指標値の測定値、および該ユーザの前記第1生体成分の測定値のいずれか一方を第1測定値として取得し、
前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1測定値を代入して、前記第1指標値の測定値および前記第1生体成分の測定値のうち前記第1測定値として取得しなかった方の未取得測定値に対応する対応値を夫々取得し、
各検量線データから取得した夫々の対応値の乖離量が所定の第1の基準値を超えているか否かを判定し、
前記乖離量が前記第1の基準値を超えていると判定した場合に、前記未取得測定値を新たに第2測定値として取得すると共に、新たに取得した第2測定値と前記第1測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新する、
請求項8に記載のユーザ端末。
【請求項10】
前記第1測定値として前記第1生体成分の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、前記第1生体成分の測定値に関する修正処理を実施し、
前記修正処理の実施後における前記第1生体成分の修正済み測定値と前記第2測定値とに基づいて前記固有検量線データを更新する、
請求項9に記載のユーザ端末。
【請求項11】
前記第1生体成分の測定値は、所定の基準期間において連続的に前記第1生体成分を測定することにより取得された複数の測定データの平均値であって、
前記第1生体成分の前記修正済み測定値は、前記基準期間を短縮する基準期間短縮処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値、または、前記基準期間において所定の測定値変化幅が許容値を超えた測定データを除去する異常値除去処理を経て取得された前記第1生体成分に係る複数の測定データの平均値として算出される、
請求項10に記載のユーザ端末。
【請求項12】
前記第1測定値として前記第1指標値の測定値を取得し、前記乖離量が前記第1の基準値よりも大きい所定の第2の基準値を超えていると判定した場合に、ユーザの検体から前記第1指標値を実測する測定装置に異常または故障が生じていると判定する、
請求項9に記載のユーザ端末。
【請求項13】
前記共通検量線データは、複数の被験者における検体から測定された前記第1生体成分の測定値および該検体から測定された前記第1指標値の測定値の相関関係に基づいて構築される、
請求項9から12のいずれか一項に記載のユーザ端末。
【請求項14】
前記ユーザ端末は、前記第1生体成分の代謝能を評価するための第2指標値を取得する、
請求項7に記載のユーザ端末。
【請求項15】
前記第1生体成分と前記第1指標値とに関する、ユーザに固有の相関関係が反映されて
いる固有検量線データと、共通検量線データとを記憶する記憶装置と、
取得した前記第1指標値および前記第2指標値のそれぞれに対して、前記指標値ごとに設定された所定の閾値との大小関係を判定する判定部と、を更に備え、
前記共通検量線データと前記固有検量線データとの夫々に前記第1生体成分の測定値を代入し、代入した前記第1生体成分の測定値に対応する夫々の前記第1指標値である固有検量線対応値と共通検量線対応値とを取得し、
前記判定部において、取得した前記固有検量線対応値と前記共通検量線対応値の夫々に対して、前記第1指標値に設定された所定の閾値との大小関係を判定し、
前記固有検量線対応値および前記共通検量線対応値に対する判定結果が相違する場合に、前記固有検量線データの更新について要求する所定の更新要求情報を出力する、
請求項14に記載のユーザ端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−99499(P2013−99499A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29658(P2012−29658)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】