説明

情報処理装置および動作速度制御方法

【課題】第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソースの動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で電力消費を低減することができる、情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置100は、動作速度に応じて電力を消費するリソース200を有する装置であって、リソース200の動作速度が、リソース200の動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別する影響度判別部300と、影響度が低いほど、リソース200の動作速度をより低くする動作速度制御部400とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作速度に応じて電力を消費するリソースを有する情報処理装置および当該情報処理装置における動作速度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンと呼ばれる種類の携帯電話機のシェアが、世界的に高まりつつある。
【0003】
スマートフォンは、従来の携帯電話機に比べて、オープン性、汎用性、拡張性、および操作性などに優れる。しかしその一方で、スマートフォンには、消費電力が従来の携帯電話機に比べて高いという問題がある。スマートフォンは、一般的に、大きい液晶ディスプレイ(LCD)を有し、センサ等の周辺デバイスを頻繁に動作させ、多くの計算処理を行うからである。
【0004】
携帯電話機などの情報処理装置の消費電力を抑制する手法は、CPU(central processing unit)など、動作速度に応じて電力を消費するリソースの動作速度を、動的に変更する技術が知られている。なお、動作速度に応じて電力を消費するリソースは、以下単に「リソース」という。
【0005】
例えば、特許文献1に記載の技術は、アプリケーションソフトウェア(以下「アプリ」という)起動時などに、アプリの負荷特性や処理精度に応じて、クロック周波数に制限を設けることで、CPUの動作周波数を動的に変更する。また、特許文献2に記載の技術は、プリインストールされたアプリ毎に、周波数および動作電圧を記憶するポリシテーブルを持ち、該当アプリが実行されたときに、指定されたクロック、動作電圧でCPU制御を行う。これらの技術によれば、アプリの稼動状態に応じてCPUの動作速度を制御し、情報処理装置の消費電力の抑制を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−355599号公報
【特許文献2】特開2008−77563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、スマートフォンでは、通常、プリインストールされているアプリに加えて、ユーザが端末購入後に追加できる第3者作成のアプリ(以下「サードパーティアプリ」という)が利用されることが多い。すなわち、スマートフォンでは、第三者作成のアプリが使用されることが多い。
【0008】
ところが、上述の従来技術は、このような不特定のアプリが使用される情報処理装置では、リソースの動作に対するユーザの体感速度を大きく低下させ得るという課題を有する。スマートフォンでは、このように不特定のアプリの全てに対して上述の負荷特性や処理精度などの情報やポリシテーブルを用意することが、非常に困難である。つまり、従来技術は、CPUの動作速度を的確に制御することができないという課題を有している。
【0009】
本発明の目的は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソースの動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で電力消費を低減することができる、情報処理装置および動作速度制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置は、動作速度に応じて電力を消費するリソースを有する情報処理装置であって、前記リソースの前記動作速度が、前記リソースの動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別する影響度判別部と、前記影響度が低いほど、前記リソースの前記動作速度をより低くする動作速度制御部とを有する。
【0011】
本発明の動作速度制御方法は、動作速度に応じて電力を消費するリソースを有する情報処理装置における動作速度制御方法であって、前記リソースの前記動作速度が、前記リソースの動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別するステップと、前記影響度が低いほど、前記リソースの前記動作速度がより低くなるように、前記リソースの前記動作速度を制御するステップとを有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソースの動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で電力消費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態2に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態2におけるフォーカスアプリ特定手法の例を示す図
【図4】本発明の実施の形態2におけるテーブル選択ルールの内容の一例を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における第1の使用率−周波数テーブルの内容の一例を示す図
【図6】本発明の実施の形態2における第2の使用率−周波数テーブルの内容の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における第3の使用率−周波数テーブルの内容の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態2に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態3に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態3に係る情報処理装置の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1は、本発明に係る情報処理装置の基本的態様の一例である。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1において、情報処理装置100は、リソース200、影響度判別部300、および動作速度制御部400を有する。
【0018】
リソース200は、例えば、CPUおよびCPUにより動作を制御されるディスプレイを含み、動作速度に応じて電力を消費する。
【0019】
影響度判別部300は、リソース200の動作速度が、リソース200の動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別する。
【0020】
動作速度制御部400は、上述の影響度が低いほど、リソース200の動作速度をより低くする。
【0021】
情報処理装置100は、例えば、リソース200に含まれるCPUと、RAM(random access memory)などの記憶媒体とを有する。この場合、影響度判別部300および動作速度制御部400は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0022】
このような情報処理装置100は、リソース200がそのリソース200の動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合い(影響度)が低い場合、リソース200の動作速度を低くする。逆にいえば、情報処理装置100は、リソース200がそのリソース200の動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合い(影響度)が高い場合、リソース200の動作速度を低くしない。
【0023】
すなわち、情報処理装置100は、体感速度への影響度を判別し、アプリの特性に応じてではなく、判別した影響度に応じて、リソース200の動作速度を変化させる。これにより、情報処理装置100は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソースの動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で、電力消費を低減することができる。
【0024】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、ディスプレイ上のユーザの注目対象の構成プロセスのCPU占有率から、影響度を判別するようにした例である。本実施の形態に係る情報処理装置は、例えば、スマートフォンである。
【0025】
まず、本実施の形態に係る各装置およびシステムの構成について説明する。
【0026】
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0027】
図2において、情報処理装置100は、リソース200と、影響度判別部300と、動作速度制御部400とを有する。
【0028】
リソース200は、動作速度に応じて電力を消費する。
【0029】
より具体的には、リソース200は、CPUおよびそのCPUにより動作が制御されるディスプレイを含む、マルチタスクシステムであるものとする。すなわち、リソース200は、CPUの動作により、複数のアプリおよび複数のサービスを、時分割処理などによって並列実行し、この並列実行の結果の1つとして、ディスプレイにおける画像表示を行う。一般的には、CPUの動作速度が高いほど、より多くの電力が消費され、ディスプレイの動作もより速い。
【0030】
なお、リソース200が消費する電力は、例えば、情報処理装置100に設けられたバッテリ(図示せず)に蓄積された電力である。
【0031】
影響度判別部300は、リソース200の動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度(以下、単に「影響度」という)を判別する。影響度判別部300は、注目対象検出部310、構成プロセス解析部320、およびリソース占有率算出部330を有する。
【0032】
注目対象検出部310は、ディスプレイ上のユーザの注目対象を特定する。注目対象検出部310は、フォーカスアプリ検出部311および参照サービス検出部312を有する。
【0033】
フォーカスアプリ検出部311は、上述の複数のアプリのうち、注目対象に対応するアプリであるフォーカスアプリを検出する。
【0034】
より具体的には、フォーカスアプリ検出部311は、所定のフォーカスアプリ特定手法により、フォーカスアプリの有無、およびフォーカスアプリの特定を行う。そして、フォーカスアプリ検出部311は、フォーカスアプリの有無と、フォーカスアプリが存在する場合、フォーカスアプリを示す情報とを、参照サービス検出部312および構成プロセス解析部320へ出力する。
【0035】
図3は、フォーカスアプリ検出部311が用いるフォーカスアプリ特定手法の例を示す図である。
【0036】
図3に示すように、フォーカスアプリ特定手法510としては、例えば、「最前面に表示されているウィンドウの情報を、ウィンドウ表示を管理するウィンドウマネージャから取得する」ことを採用することができる。この手法を採用する場合、フォーカスアプリ検出部311は、階層化して複数のウィンドウが表示されているディスプレイにおいて、最前面に表示されているウィンドウの情報を、例えば、ウィンドウマネージャから取得する。そして、フォーカスアプリ検出部311は、取得したウィンドウを表示させているアプリを、フォーカスアプリとする。
【0037】
他にも、フォーカスアプリ特定手法510としては、例えば、ユーザが注目しているグラフィックパーツを、視線検知センサやタッチセンサによって特定することを採用することができる。また、フォーカスアプリ特定手法510としては、例えば、スリープモードになっていることや、情報処理装置100(端末)の頭が垂れていることを、どのオブジェクトにも注目していないこととして検知することを採用することができる。
【0038】
フォーカスアプリ検出部311は、単一のフォーカスアプリ特定手法のみを用いてもよい。また、フォーカスアプリ検出部311は、複数のフォーカスアプリ特定手法の中から、予め定められた選択ルールに従って、採用するフォーカスアプリ特定手法を選択してもよい。選択ルールは、例えば、フォーカスアプリの数が所定の上限値に達するまで、各手法に設定された優先度に従って各手法により順次選択を行っていくルールである。また、フォーカスアプリ検出部311は、ユーザ操作により選択されたフォーカスアプリ特定手法を用いるようにしてもよい。
【0039】
図2の参照サービス検出部312は、上述の複数のサービスのうち、フォーカスアプリが参照するサービスである参照サービスを検出する。
【0040】
より具体的には、参照サービス検出部312は、フォーカスアプリを示す情報を入力されるごとに、その1つまたは複数のフォーカスアプリが参照するサービスの全てを、検出して列挙する。なお、フォーカスアプリが参照するサービスは、デーモンなどとも呼ばれ、以下「参照サービス」という。ここで、参照サービスは、アプリ(アプリケーションプログラム)により、IPC(inter process communication)や共有メモリ等を用いて、その機能が利用されているサービスをいう。そして、参照サービス検出部312は、参照サービスを示す情報を、構成プロセス解析部320へ出力する。なお、参照サービスの検出は、サービスが提供する機能をアプリが利用しようとする際の登録または登録解除API(application program interface)にて、参照関係を記憶するなどの方法により行うことができる。
【0041】
構成プロセス解析部320は、注目対象の構成プロセスを特定する。
【0042】
より具体的には、構成プロセス解析部320は、入力されたフォーカスアプリおよび参照サービスを示す情報から、フォーカスアプリの実行に必要なプロセスの全てを検出し、注目対象の構成プロセスとして列挙する。そして、構成プロセス解析部320は、注目対象の構成プロセスを示す情報を、リソース占有率算出部330へ出力する。なお構成プロセスの検出は、プロセスの親子関係を取得するOS(operating system)機能を利用して、該当アプリの子プロセスを構成プロセスとみなすなどの方法により行うことができる。
【0043】
リソース占有率算出部330は、CPUの処理全体に対する、注目対象の構成プロセスの占有率を、上述の影響度として算出する。
【0044】
より具体的には、リソース占有率算出部330は、入力された構成プロセスを示す情報から、各構成プロセスのCPU時間を検出し、検出したCPU時間から、構成プロセス全体のCPU使用率を算出する。そして、リソース占有率算出部330は、算出したCPU使用率を、動作速度制御部400へ出力する。
【0045】
あるアプリの構成プロセスのCPU占有率が高いほど、そのアプリの動作は、CPUが実行する処理に対するユーザの体感速度に、より高い影響を与える。したがって、フォーカスアプリの構成プロセスのCPU占有率は、上述の影響度として扱うことができる。
【0046】
なお、リソース占有率算出部330は、フォーカスアプリが存在しないことを示す情報が入力された場合、CPU占有率が0である旨を示す情報を、動作速度制御部400へ出力する。
【0047】
動作速度制御部400は、上述の影響度が低いほど、リソース200の動作速度をより低くする。動作速度制御部400は、周波数範囲変更部410、リソース使用率監視部420、周波数決定部430、および周波数制御部440を有する。
【0048】
周波数範囲変更部410は、上述の影響度に基づいて、影響度が低いほどCPUの動作周波数(以下「CPU周波数」という)の上限値がより低くなるように、CPU周波数の範囲を決定する。
【0049】
より具体的には、周波数範囲変更部410は、テーブル選択ルールを予め格納する。テーブル選択ルールは、CPU占有率から、後述の複数の使用率−周波数テーブルの中から1つを選択する際のルールである。本実施の形態においては、第1〜第3の使用率−周波数テーブルが存在するものとする。周波数範囲変更部410は、このテーブル選択ルールに従って、影響度判別部300から入力されたCPU占有率に対応する使用率−周波数テーブルを選択する。そして、周波数範囲変更部410は、選択した使用率−周波数テーブル(以下「選択テーブル」)を示す情報を、周波数決定部430へ出力する。
【0050】
図4は、テーブル選択ルールの内容の一例を示す図である。
【0051】
図4に示すように、テーブル選択ルール520は、CPU占有率zの区分521ごとに、選択テーブルとすべき(つまり選択すべき)使用率−周波数テーブル522を規定する。例えば、テーブル選択ルール520は、CPU占有率zが0よりも大きく0.1未満である場合、第2の使用率−周波数テーブルを選択することを規定する。
【0052】
図2のリソース使用率監視部420は、CPUの使用率(CPU使用率)を監視する。
【0053】
より具体的には、リソース使用率監視部420は、リソース200のシステム全体のCPU使用率を監視し、現在のCPU使用率を示す情報を、周波数決定部430へ出力する。
【0054】
周波数決定部430は、決定された上述の範囲(CPU周波数の範囲)において、上述の使用率(CPU使用率)が低いほど、CPU周波数をより低く決定する。
【0055】
より具体的には、周波数決定部430は、CPU占有率の区分ごとに用意した複数の使用率−周波数テーブルを、予め格納する。使用率−周波数テーブルは、現在のCPU周波数とCPU使用率との組み合わせごとに、設定すべき新たなCPU周波数を記述したテーブルである。なお、記述される新たなCPU周波数の上限値は、使用率−周波数テーブルごとに異なっている。周波数決定部430は、入力された情報が示す選択テーブルを使用して、現在のCPU周波数と入力されたCPU使用率との組み合わせに対応するCPU周波数を、新たなCPU周波数として決定する。そして、周波数決定部430は、決定した新たなCPU周波数を示す情報を、周波数制御部440へ出力する。
【0056】
図5〜図7は、第1〜第3の使用率−周波数テーブルの内容の例をそれぞれ示す図である。
【0057】
図5〜図7に示すように、第1〜第3の使用率−周波数テーブル530−1〜530−3は、それぞれ、現在の周波数y[MHz]531とCPU使用率x532との組み合わせごとに、新たなCPU周波数y'[MHz]533を記述している。
【0058】
但し、ここでは、テーブル選択ルール520(図4参照)で説明したように、第1の使用率−周波数テーブル530−1は、CPU占有率が低い場合に選択される。また、第3の使用率−周波数テーブル530−3は、CPU占有率が高い場合に選択される。そして、図5〜図7に示すように、新たなCPU周波数y'533の上限値は、第1の使用率−周波数テーブル530−1において最も低く、第3の使用率−周波数テーブル530−3において最も高い。したがって、上述の周波数範囲変更部410は、結果的に、CPU占有率(影響度)が低いほどCPU周波数の上限値がより低くなるように、CPU周波数の範囲を決定することになる。
【0059】
また、第1〜第3の使用率−周波数テーブル530−1〜530−3のそれぞれにおいて、現在の周波数y531ならびに使用率x532が高いほど、より高い新たなCPU周波数y'533が対応付けられている。この理由は、一般的に、使用率が高くなるほど、CPU処理時間がシステム全体の応答速度のボトルネックになるからである。
【0060】
図2の周波数制御部440は、決定されたCPU周波数で、リソース200のCPUを動作させる。
【0061】
より具体的には、周波数制御部440は、例えば、CPUに供給されるクロック信号を発生するPLL(phase locked loop)を制御して、CPU周波数を、入力された情報が示す新たなCPU周波数に一致させる。
【0062】
情報処理装置100は、例えば、リソース200に含まれるCPUと、RAMなどの記憶媒体を有する。この場合、影響度判別部300および動作速度制御部400の各部は、CPUにより制御プログラムが実行することにより実現される。
【0063】
このような情報処理装置100は、フォーカスアプリの構成プロセスのCPU占有率(影響度)が低い場合に、リソース200の動作速度を低くする。これにより、情報処理装置100は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソース200の動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で、電力消費を低減することができる。
【0064】
以上で、情報処理装置100の構成についての説明を終える。
【0065】
次に、情報処理装置100の動作について説明する。
【0066】
図8は、情報処理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、ステップS1100において、フォーカスアプリ検出部311は、所定のフォーカスアプリ特定手法により(図3参照)、フォーカスアプリを検出する。
【0068】
そして、ステップS1200において、参照サービス検出部312は、フォーカスアプリの参照サービスを列挙する。
【0069】
そして、ステップS1300において、構成プロセス解析部320は、フォーカスアプリおよび参照サービスの構成プロセスを列挙する。
【0070】
そして、ステップS1400において、リソース占有率算出部330は、各構成プロセスのCPU時間から、構成プロセス全体のCPU占有率を算出する。
【0071】
そして、ステップS1500において、周波数範囲変更部410は、算出されたCPU占有率から、使用する使用率−周波数テーブルを選択する。
【0072】
そして、ステップS1600において、リソース使用率監視部420は、リソース200のCPU使用率を測定する。
【0073】
そして、ステップS1700において、周波数決定部430は、選択された使用率−周波数テーブルとCPU使用率とから、CPU周波数を決定する。
【0074】
そして、ステップS1800において、周波数制御部440は、決定されたCPU周波数でCPUが動作するように、リソース200を制御する。
【0075】
そして、ステップS1900において、フォーカスアプリ検出部311は、ユーザ操作などにより、フォーカスアプリの検出結果に基づくCPU周波数の制御処理の終了を指示されたか否かを判断する。フォーカスアプリ検出部311は、かかる制御処理の終了を指示されていない場合(S1900:NO)、ステップS1100へ戻る。また、フォーカスアプリ検出部311は、かかる制御処理の終了を指示された場合(S1900:YES)、一連の動作を終了する。
【0076】
このような動作により、情報処理装置100は、フォーカスアプリの構成プロセスのCPU占有率(影響度)が低い場合に、リソース200の動作速度を低くすることができる。また、情報処理装置100は、フォーカスアプリやその有無が変化するごとに、その変化に追従して、リソース200の動作速度を変化させることができる。
【0077】
例えば、CPU占有率zが0.05であった場合、図4に示すテーブル選択ルールにより、第2の使用率−周波数テーブルが、選択される。そして、現在のCPU周波数yが600MHzで、CPU使用率xが0.9であったとする。この場合、新たなCPU周波数y’として、900MHzが決定される。
【0078】
以上で、情報処理装置100の動作についての説明を終える。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係る情報処理装置100は、フォーカスアプリの構成プロセスのCPU占有率(影響度)が低い場合に、リソース200の動作速度を低くする。これにより、情報処理装置100は、使用アプリの負荷特性や処理精度などの情報やポリシテーブルに依存することなく、リソース200の動作に対するユーザの体感速度を低下させずに、リソース200の動作速度を低減することができる。すなわち、情報処理装置100は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソース200の動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で、電力消費を低減することができる。
【0080】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、ディスプレイが点灯しているか否かに基づいて、影響度を判別するようにした例である。
【0081】
図9は、本実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図であり、実施の形態2の図2に対応するものである。図2と同一部分には、同一符号を付し、これについての説明を省略する。
【0082】
図9において、情報処理装置100aは、図2の影響度判別部300に代えて、影響度判別部300aを有する。
【0083】
影響度判別部300aは、図2のフォーカスアプリ検出部311、参照サービス検出部312、構成プロセス解析部320、およびリソース占有率算出部330に代えて、ディスプレイ点灯監視部340aを有する。
【0084】
ディスプレイ点灯監視部340aは、リソース200に含まれるディスプレイが点灯しているか否かを判断する。
【0085】
より具体的には、ディスプレイ点灯監視部340aは、例えば、ディスプレイの表示制御部(図示せず)に問い合わせることにより、ディスプレイが点灯しているか点灯していないか(つまり消灯しているか)を判断する。そして、ディスプレイ点灯監視部340aは、ディスプレイが消灯しているとき、上述のCPU占有率が0である事を示す情報を、動作速度制御部400へ出力する。また、ディスプレイ点灯監視部340aは、ディスプレイが点灯しているとき、上述のCPU占有率が0を超える所定の値(たとえば1)である事を示す情報を、動作速度制御部400へ出力する。
【0086】
ディスプレイが点灯していないということは、つまり、フォーカスアプリが存在しておらず、フォーカスアプリのCPU占有率(影響度)が0であるということである。したがって、本実施の形態においても、後段の周波数範囲変更部410は、結果的に、CPU占有率(影響度)が低いほどCPU周波数の上限値がより低くなるように、CPU周波数の範囲を決定することになる。
【0087】
図10は、本実施の形態に係る情報処理装置100aの動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態2の図8に対応するものである。図8と同一部分には同一ステップ番号を付し、これについての説明を省略する。
【0088】
まず、ステップS1400aにおいて、ディスプレイ点灯監視部340aは、ディスプレイが点灯しているか否かを判断する。
【0089】
そして、ステップS1500aにおいて、周波数範囲変更部410は、ディスプレイの点灯の有無に基づいて、使用率−周波数テーブルを選択する。すなわち、周波数範囲変更部410は、ディスプレイが消灯している場合には、ディスプレイ点灯監視部340aからCPU占有率が0であることを示す情報が入力され、CPU周波数の上限値が低いテーブルを選択する。
【0090】
このように、本実施の形態に係る情報処理装置100aは、ディスプレイが点灯しているとき、上述の影響度が高いと判断し、ディスプレイが点灯していないとき、上述の影響度が低いと判断する。これにより、情報処理装置100aは、第三者作成のアプリが使用される場合でも、簡単な判断処理により、リソース200の動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で、電力消費を低減することができる。また、これにより、情報処理装置100aは、装置の簡素化、小型化、軽量化、および低コスト化だけでなく、更なる電力消費の低減を図ることができる。
【0091】
なお、新たなCPU周波数の決定手法は、以上説明した実施の形態2および実施の形態3では、テーブルを用いた手法としたが、これに限定されない。例えば、情報処理装置は、CPU占有率zに応じて、CPU使用率xからCPU周波数y’を決定する、計算式やプログラム等のアルゴリズムを用いて、新たなCPU周波数を決定してもよい。また、情報処理装置は、かかるテーブルや計算式などを、動的に変更してもよい。
【0092】
また、動作速度に応じて電力を消費するリソースおよび動作速度制御の対象は、以上説明した実施の形態2および実施の形態3において、CPU(CPU時間)およびCPU周波数としたが、これに限定されない。本願発明におけるリソースおよび動作速度制御対象は、例えば、バス帯域およびバスクロック周波数、メモリ帯域およびメモリクロック周波数、ネットワーク通信帯域および出力パワー、画面更新要求回数およびフレーム周波数である。また、これらの場合には、情報処理装置は、バスやメモリなどの使用帯域や、マルチプロセッサシステムの場合の使用プロセッサ数に基づいて、動作速度を制御してもよい。
【0093】
また、実施の形態3は、実施の形態2の図3に示したフォーカスアプリ特定手法のうち、フォーカスアプリが存在しないことの検出手法を、適用してもよい。
【0094】
また、情報処理装置の各機能部は、例えば、集積回路により構成されてもよい。情報処理装置の各機能部は、個別に1チップ化されていてもよいし、複数で1チップ化されても良い。集積回路は、集積度の違いにより、LSI(large scale integration)、IC(integrated circuit)、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSI等とすることができる。また、集積回路は、専用回路または汎用プロセッサにより実現されるものであっても良い。また、集積回路は、その製造後にプログラムすることが可能なFPGA(field programmable gate array)や、内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なコンフィギュラブル・プロセッサとしても良い。更には、情報処理装置の各機能部は、半導体技術の進歩または派生する別技術に応じて、LSIに置き換わる他の集積回路化の技術(たとえばバイオ技術)により集積化されたものにより実現されても良い。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、第三者作成のアプリが使用される場合でも、リソースの動作に対するユーザの体感速度の低下を抑えた状態で電力消費を低減することができる、情報処理装置および動作速度制御方法として有用である。すなわち、本発明は、スマートフォンなど、サードパーティアプリがインストールされる情報処理装置に好適である。
【符号の説明】
【0096】
100、100a 情報処理装置
200 リソース
300、300a 影響度判別部
310 注目対象検出部
311 フォーカスアプリ検出部
312 参照サービス検出部
320 構成プロセス解析部
330 リソース占有率算出部
340a ディスプレイ点灯監視部
400 動作速度制御部
410 周波数範囲変更部
420 リソース使用率監視部
430 周波数決定部
440 周波数制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作速度に応じて電力を消費するリソースを有する情報処理装置であって、
前記リソースの前記動作速度が、前記リソースの動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別する影響度判別部と、
前記影響度が低いほど、前記リソースの前記動作速度をより低くする動作速度制御部と、を有する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記リソースは、
CPUと、
前記CPUにより動作を制御されるディスプレイと、を含み、
前記影響度判別部は、
前記ディスプレイの動作が、前記CPUが実行する処理に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いを、前記影響度として判別する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記リソースは、
前記CPUの動作により、複数のアプリケーションおよび複数のサービスを並列実行し、前記並列実行の結果の1つとして前記ディスプレイにおける画像表示を行うマルチタスクシステムであり、
前記動作速度制御部は、
前記影響度に基づいて、前記影響度が低いほど前記CPUの動作周波数の上限値がより低くなるように、前記動作周波数の範囲を決定する周波数範囲変更部と、
前記CPUの使用率を監視するリソース使用率監視部と、
決定された前記範囲において、前記使用率が低いほど、前記動作周波数をより低く決定する、周波数決定部と、
決定された前記動作周波数で、前記CPUを動作させる周波数制御部と、を有する、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記影響度判別部は、
前記ディスプレイ上の前記ユーザの注目対象を特定する注目対象検出部と、
前記注目対象の構成プロセスを特定する構成プロセス解析部と、
前記CPUの処理全体に対する、前記注目対象の構成プロセスの占有率を、前記影響度として算出するリソース占有率算出部と、を有する、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記注目対象検出部は、
前記複数のアプリケーションのうち、前記注目対象に対応するアプリケーションであるフォーカスアプリを検出するフォーカスアプリ検出部と、
前記複数のサービスのうち、前記フォーカスアプリが参照するサービスである参照サービスを検出する参照サービス検出部と、を有し、
前記構成プロセス解析部は、
前記フォーカスアプリおよび前記参照サービスのプロセスを、前記注目対象の構成プロセスとする、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記影響度判別部は、
前記ディスプレイが点灯しているか否かを判断するディスプレイ点灯監視部を有し、
前記周波数範囲変更部は、
前記ディスプレイが点灯しているとき、前記影響度が高いと判断し、前記ディスプレイが点灯していないとき、前記影響度が低いと判断する、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項7】
動作速度に応じて電力を消費するリソースを有する情報処理装置における動作速度制御方法であって、
前記リソースの前記動作速度が、前記リソースの動作に対するユーザの体感速度に与える影響の度合いである、影響度を判別するステップと、
前記影響度が低いほど、前記リソースの前記動作速度がより低くなるように、前記リソースの前記動作速度を制御するステップと、を有する、
動作速度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−252493(P2012−252493A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124266(P2011−124266)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】