説明

情報処理装置および情報処理プログラム

【課題】 誤操作に伴う不適当な動作を低減する。
【解決手段】 表示デバイス6,7と、表示デバイス6,7の表示画面中における操作者による指定位置を判定するポインティングデバイス8,9と、ポインティングデバイス8,9が指定位置を判定可能な領域の一部として設定される有効エリアを表す有効エリア情報を記憶する記憶デバイス4と、ユーザインタフェイス画像を表示するように表示デバイス6,7を制御する表示制御手段1と、制限状態においては有効エリア内についてポインティングデバイス8,9により判定された指定位置のみを有効指定位置として選出し、条件が成立しない無制限状態においてはポインティングデバイス6,7により判定された指定位置の全てを有効指定位置として選出する選出手段1と、選出手段1により選出された有効指定位置に応じた情報処理を実行する処理手段1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
伝票作成装置などの情報処理装置では、GUI(graphical user interface)を使用して操作者による指示を入力し、当該指示に応じた情報処理を実行する。操作者による指示の入力には、タッチパネルなどのポインティングデバイスが利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−71286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような情報処理装置では一般的に、ポインティングデバイスが操作者による指示位置を判定したならば、その全てを操作者による指示として受け入れている。
【0005】
このため、操作者が意図する位置とは異なる位置を指定するように操作者が操作してしまった場合にも、この操作は操作者による正規の指示として受け入れられていた。具体的には、タッチパネルにて第1の処理を指示すべく第1の位置をタッチしようとしている操作者が意図せずに第2の位置をタッチしてしまうと、第2の位置に応じた、第1の処理とは異なる第2の処理が実行されてしまう。
【0006】
そして、このような不適当な動作が低減されることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の情報処理装置は、表示デバイスと、前記表示デバイスの表示画面中における操作者による指定位置を判定するポインティングデバイスと、前記ポインティングデバイスが前記指定位置を判定可能な領域の一部として設定される有効エリアを表す有効エリア情報を記憶する記憶デバイスと、ユーザインタフェイス画像を表示するように前記表示デバイスを制御する表示制御手段と、予め定められた条件が成立する制限状態においては前記有効エリア情報が表す有効エリア内について前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置のみを有効指定位置として選出し、前記条件が成立しない無制限状態においては前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置の全てを有効指定位置として選出する選出手段と、前記選出手段により選出された前記有効指定位置に応じた情報処理を実行する処理手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係る伝票作成装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】図1中の補助記憶ユニットに設けられる有効エリアテーブルの構造例を模式的に示す図。
【図3】図1中のCPUによる処理のフローチャート。
【図4】図1中のCPUによる処理のフローチャート。
【図5】ユーザインタフェイス画像を表したウィンドウの一例を示す図。
【図6】ユーザインタフェイス画像を表したウィンドウの一例を示す図。
【図7】ユーザインタフェイス画像を表したウィンドウの一例を示す図。
【図8】図7に示す始点および終点が設定されたことに応じての有効エリアテーブルの記述例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、情報処理装置として伝票作成装置を例に説明する。
【0010】
図1は本実施形態に係る伝票作成装置100の要部構成を示すブロック図である。
【0011】
伝票作成装置100は、CPU(central processing unit)1、ROM(read-only memory)2、RAM(random-access memory)3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、表示デバイス6、表示コントローラ7、タッチセンサ8、タッチセンサコントローラ9、キーボード10、キーボードコントローラ11、プリンタ12、プリンタコントローラ13、可搬媒体ドライブ14、ドライブコントローラ15および通信デバイス16を含む。これらの各部のうちのCPU1、ROM2、RAM3、補助記憶ユニット4、時計ユニット5、表示コントローラ7、タッチセンサコントローラ9、キーボードコントローラ11、プリンタコントローラ13、ドライブコントローラ15および通信デバイス16は、システムバス17にそれぞれ接続されている。
【0012】
CPU1は、ROM2、RAM3および補助記憶ユニット4に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、伝票作成装置100としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0013】
ROM2は、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0014】
RAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM3は、CPU1が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM3は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0015】
補助記憶ユニット4は、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU1が各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU1での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット4に記憶されるデータには、各種伝票のフォームを表すデータ、複数の得意先のそれぞれについての名称や所在地などが記述されたデータベース、さらには伝票に記載するために入力済みの各種の情報などが含まれる。補助記憶ユニット4は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット4の記憶領域の一部は、有効エリアテーブルとして使用される。
【0016】
図2は有効エリアテーブルの構造例を模式的に示す図である。
【0017】
図2に示すように有効エリアテーブルは、ウィンドウコードを記憶するためのデータフィールドと有効エリア情報を記憶するためのデータフィールドとが互いに関連付けて設定されている。有効エリア情報を記憶するためのデータフィールドはさらに、始点座標および終点座標をそれぞれ記憶するための2つのデータフィールドを含む。
【0018】
ROM2、RAM3または補助記憶ユニット4に記憶されるアプリケーションプログラムには、後述する伝票作成処理に関して記述した伝票作成プログラムを含む。この伝票作成プログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶される場合、伝票作成装置100の譲渡は、一般的に伝票作成プログラムがRAM3または補助記憶ユニット4に記憶された状態にて行われる。しかし、伝票作成装置100を伝票作成プログラムがRAM3に記憶されない状態で譲渡されるとともに、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいは通信ネットワーク200を介して上記の伝票作成プログラムを譲渡され、この伝票作成プログラムが上記の別途に譲渡された伝票作成装置100のRAM3または補助記憶ユニット4に書き込まれても良い。
【0019】
上記のような伝票作成プログラムに基づいた処理を実行することによってCPU1は、次のような各種の処理手段として機能する。上記の処理手段の1つは、複数のユーザインタフェイス画像のうちから、操作者の操作などに応じて1つを有効インタフェイス画像として選択する。上記の処理手段の1つは、有効インタフェイス画像を表示するように表示コントローラ7を介して表示デバイス6を制御する。上記の処理手段の1つは、予め定められた条件が成立する状態においては制限モードを設定し、当該制限モードの設定中には有効エリアテーブルに記述された有効エリア情報が表す有効エリア内についてのタッチセンサ8により検知された指定位置のみを有効指定位置として選出し、制限モードを設定していないときにはタッチセンサ8により検知された指定位置の全てを有効指定位置として選出する。なお本実施形態においては、有効インタフェイス画像に関連付けて有効エリアが設定されていることを制限モードを設定する条件とする。上記の処理手段の1つは、上記のように選出した有効指定位置に応じて情報処理を実行する。なお上記の情報処理は、本実施形態においては伝票の作成に関わる処理を含む。上記の処理手段の1つは、操作者による指示に応じて有効エリアを設定し、当該有効エリアを表す有効エリア情報を有効エリアテーブルに書き込む。
【0020】
時計ユニット5は、定常的に計時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。
【0021】
表示デバイス6は、例えばLCD(liquid crystal display)であり、CPU1の制御の下に任意の画像を表示可能である。表示デバイス6は、操作者に対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0022】
表示コントローラ7は、CPU1の制御の下に表示デバイス6の動作を制御する。
【0023】
タッチセンサ8は、表示デバイス6の表示面に重ねて配置され、表示デバイス6の表示面に対して指やタッチペンなどによるタッチがなされた場合に、そのタッチ位置を検知し、そのタッチ位置に応じた検知信号を出力する。具体的にはタッチセンサ8は、表示デバイス6の表示面にほぼ匹敵する検知範囲を有する。そしたタッチセンサ8は、検知範囲内にマトリクス状に設定された多数の検知位置のそれぞれに応じた検知信号を出力する。
【0024】
タッチセンサコントローラ9は、CPU1の制御の下にタッチセンサ8の動作を制御するとともに、タッチセンサ8が出力する検知信号を座標情報に変換し、この座標情報をRAM3に書き込む。
【0025】
キーボード10は、多数のキーと、これら多数のキーの押下をそれぞれ検出するスイッチとを含む。キーボード10は、キーが押下されたことに応じて、そのキーに応じたコマンドを出力する。キーボード10としては、例えばOADG(the PC open architecture developers' group)に準拠した日本語キーボードなどを用いることができる。
【0026】
キーボードコントローラ11は、CPU1の制御の下にキーボード10の動作を制御するとともに、キーボード10が出力したコマンドをRAM3に書き込む。
【0027】
プリンタ12は、例えばドットインパクトプリンタなどであり、伝票を印刷する。
【0028】
プリンタコントローラ13は、CPU1の制御の下にプリンタ12の動作を制御する。
【0029】
可搬媒体ドライブ14は、上記のようなリムーバブルな記録媒体の少なくともいずれか1つに対応している。そして可搬媒体ドライブ14は、そのような対応する記憶媒体に記憶されているプログラムやデータを読み出す。可搬媒体ドライブ14は、記憶媒体に対してデータを書き込み可能なものであっても良い。
【0030】
ドライブコントローラ15は、CPU1の制御の下に可搬媒体ドライブ14の動作を制御する。
【0031】
通信デバイス16は、通信ネットワーク200を介して別の装置と通信する。
【0032】
次に以上のように構成された伝票作成装置100の動作について説明する。なお、伝票の作成や、伝票作成に使用する情報の管理などに関わる動作については、既存の伝票作成装置と同様であって良いので、ここではその詳細な説明を省略する。そして以下においては、本実施形態の特徴的な動作に関して詳細に説明する。
【0033】
伝票作成装置100が起動されるとCPU1は、メインメニューを表したユーザインタフェイス画像の表示を表示コントローラ7に指示する。この指示に応じて表示コントローラ7は、該当するユーザインタフェイス画像を表示するように表示デバイス6を制御する。こののちにCPU1は、タッチセンサ8やキーボード10を使用しての操作者による操作に応じて、新たなユーザインタフェイス画像を表示する必要が生じたならば、図3に示すような処理を実行する。この処理は、伝票作成プログラムに基づいて行われる。
【0034】
ステップSa1においてCPU1は、表示するべきユーザインタフェイス画像を表示するための新たなウィンドウを展開するように表示コントローラ7に指示する。この指示に応じて表示コントローラ7は、新たなウィンドウを開いて、そこに該当するユーザインタフェイス画像を表示するように表示デバイス6を制御する。
【0035】
ステップSa2においてCPU1は、上記のように展開したウィンドウのウィンドウコードが有効エリアテーブルに存在するか否かを確認する。
【0036】
伝票作成装置100の初期状態においては、有効エリアテーブルはクリアされている。そして後述する有効エリア設定処理によって有効エリアの設定がなされたウィンドウ以外のウィンドウのウィンドウコードは有効エリアテーブルに書き込まれない。このため、今回展開したウィンドウが有効エリアの設定がなされたものでない場合には、そのウィンドウコードは有効エリアテーブルに存在しない。そしてこの場合(ステップSa2のNO)にCPU1は、ステップSa3をパスしてステップSa4へ進む。
【0037】
ステップSa4においてCPU1は、操作者による操作がなされるのを待ち受ける。すなわち、操作者による操作がなされたことが確認できない場合(ステップSa4のNO)には、CPU1はステップSa4を繰り返す。そして操作者による操作がなされたことが確認できたならば(ステップSa4のYES)、CPU1はステップSa5へ進む。
【0038】
ステップSa5においてCPU1は、上記の操作の内容を確認する。そして、操作者による操作が有効エリアの設定を要求するものであったならば(ステップSa5の有効エリア設定)、CPU1はステップSa5からステップSa6へ進む。
【0039】
ステップSa6においてCPU1は、図4に示すような有効エリア設定処理を実行する。
【0040】
ステップSb1においてCPU1は、展開中のウィンドウ(複数のウィンドウが展開されている場合にはアクティブとなっているウィンドウ)のウィンドウコードを有効エリアテーブルに書き込む。ただし、該当するウィンドウコードが既に有効エリアテーブルに存在する場合、CPU1はこの処理を行わないか、あるいはウィンドウコードを上書きする。
【0041】
ステップSb2においてCPU1は、操作者によるタッチがタッチセンサ8により検知されるのを待ち受ける。すなわち、操作者によるタッチがなされたことがタッチセンサ8により検知されない場合(ステップSb2のNO)には、CPU1はステップSb2を繰り返す。そして操作者によるタッチがなされたことがタッチセンサ8により検知されたならば(ステップSb2のYES)、CPU1はステップSb3へ進む。
【0042】
ステップSb3においてCPU1は、タッチセンサ8により最初に検知された座標を、ステップSb1で書き込んだウィンドウコードに関連する始点座標として有効エリアテーブルに書き込む。なお、ステップSb1で書き込んだウィンドウコードに関連する始点座標を表す有意な情報が既に有効エリアテーブルに存在する場合には、CPU1は当該情報をタッチセンサ8により最初に検知された座標によって上書きする。
【0043】
ステップSb4においてCPU1は、操作者によるリリースがなされるのを待ち受ける。すなわち、操作者によるタッチがタッチセンサ8により検知され続けている場合(ステップSb4のNO)には、CPU1はステップSb4を繰り返す。そして、操作者によるタッチがタッチセンサ8により検知されなくなったならば、CPU1は操作者によるリリースがなされたと判断し(ステップSb4のYES)、ステップSb5へ進む。
【0044】
ステップSb5においてCPU1は、タッチセンサ8により最後に検知された座標を、ステップSb1で書き込んだウィンドウコードに関連する終点座標として有効エリアテーブルに書き込む。なお、ステップSb1で書き込んだウィンドウコードに関連する終点座標を表す有意な情報が既に有効エリアテーブルに存在する場合には、CPU1は当該情報をタッチセンサ8により最後に検知された座標により上書きする。
【0045】
そして以上をもって、CPU1は有効エリア設定処理を終了する。
【0046】
かくして、操作者が指やペンなどによって、表示デバイス6の画面上を触れながらなぞった上で、表示デバイス6から指やペンなどを離す動作を行うと、その動作で最初に触れられた位置および最後に触れられた位置のそれぞれの座標が、そのときに展開されているウィンドウに関する有効エリアの始点座標および終点座標として登録される。
【0047】
有効エリア設定処理を終了したならばCPU1は、図3のステップSa3に移行する。
【0048】
さて、ステップSa1で展開したウィンドウに対して過去に有効エリアの設定が行われているのであるならば、当該ウィンドウのウィンドウコードが有効エリアテーブルに書き込まれている。そしてこのような場合(ステップSa2のYES)には、CPU1はステップSa3へ進む。
【0049】
ステップSa3においてCPU1は、制限モードをオンする。こののちにCPU1は、ステップSa4へ進む。
【0050】
さて、CPU1がステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作が、有効エリアの設定を要求するものおよびステップSa1で展開したウィンドウを使用した情報処理の終了を要求するもののいずれでもない場合(ステップSa5のその他)には、CPU1はステップSa7へ進む。
【0051】
ステップSa7においてCPU1は、ステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作が、タッチ操作であったか否かを確認する。そしてタッチ操作であった場合(ステップSa7のYES)には、CPU1はステップSa8へ進む。
【0052】
ステップSa8においてCPU1は、制限モードがオンであるか否かを確認する。そして制限モードがオンである場合(ステップSa8のYES)には、CPU1はステップSa9へ進む。
【0053】
ステップSa9においてCPU1は、ステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作に関するタッチセンサ8での検知座標が、展開中のウィンドウに対して登録された有効エリア内であるか否かを確認する。具体的にはCPU1は、展開中のウィンドウのウィンドウコードに有効エリアテーブルにて関連付けられている始点座標および終点座標を読み出し、これらの始点座標および終点座標でそれぞれ特定される2点を対角とする矩形領域として有効エリアを判定する。そしてCPU1は、上記の検知座標が当該有効エリア内であるか否かを確認する。
【0054】
検知座標が有効エリア内であった場合(ステップSa9のYES)においてCPU1は、ステップSa10へ進む。なお、ステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作がタッチ操作ではない場合(ステップSa7のNO)、あるいは制限モードがオフである場合(ステップSa8のNO)には、CPU1はステップSa9をパスしてステップSa10へ進む。
【0055】
ステップSa10においてCPU1は、ステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作に応じた処理を実行する。なお、ここで実行する処理には、伝票の作成に関わる周知の情報処理を含む。そして当該処理を実行し終えたならばCPU1は、ステップSa4に戻る。
【0056】
なお、検知座標が有効エリア外であった場合(ステップSa9のNO)においてCPU1は、ステップSa10をパスしてそのままステップSa4に戻る。
【0057】
以上のようにして、有効エリア設定または終了を要求するものではない操作が操作者によって行われる限りは、その操作に応じた処理が繰り返し行われる。そして、CPU1がステップSa4での待ち受け状態にあるときになされた操作が、処理の終了を要求するものであった場合(ステップSa5の終了)には、CPU1はステップSa11へ進む。そしてステップSa11においてCPU11は、展開中のウィンドウを閉じた上で、図3の処理を終了する。
【0058】
この図3の処理は、複数のウィンドウのそれぞれに関して並列的に実行することも可能である。ただしこの場合、複数のウィンドウのうちの1つのみがアクティブとされ、アクティブではないウィンドウに関する図3の処理は休止される。従って、有効エリアはアクティブとされているウィンドウに対する設定に応じて決められる。
【0059】
次に、以上のような処理により実現される機能の使用例について具体的に説明する。
【0060】
図5はユーザインタフェイス画像を表したウィンドウの一例を示す図である。
【0061】
このウィンドウW1では、図5において「○」が示された各欄に操作者が情報を入力することができる。ただし、図5における「○」はこのような入力可能欄を示すために付したものであって、実際のウィンドウW1には表示されない。
【0062】
操作者が情報を入力したい欄をタッチしたのちに、その欄に応じた情報を入力する操作を行うと、当該情報が上記のタッチされた欄に関する情報とされる。そしてこのようなユーザ操作の結果として、例えば図6に示すようなウィンドウW2へと更新される。
【0063】
さて、ウィンドウW1からウィンドウW2へと更新される途上にある例えば図7に示すようなウィンドウW3の保存が操作者により要求され、これがウィンドウコード「W901」のウィンドウとして保存される。かくして、このような図7に示すウィンドウを呼び出すことにより、当該ウィンドウで既に入力されている情報の再度の情報を省略できる。
【0064】
ウィンドウW3に対して有効エリアが設定されていない場合、既に情報が入力済みである欄についてのタッチ操作も有効とされるから、誤ったタッチ操作によって操作者の意図に反して、入力済みであった情報が変更されてしまうことがある。
【0065】
そこで操作者がウィンドウW3を展開したのちに、有効エリア設定を要求した上で、例えば図7に示す始点P1(座標は「X11,Y11」)および終点P2(座標は「X12,Y12」)を指定する操作を行うと、有効エリアテーブルには図8に示すような情報が新たに書き込まれる。そして、図7に示すような有効エリアA1内についてのタッチ操作のみが有効とされることになる。
【0066】
かくしてこの後においては、ウィンドウW3における有効エリアA1内の各欄に情報を追加入力するためのタッチ操作は有効とされるが、既に情報が入力済みである欄についてのタッチ操作は無効とされ、上記のような誤操作に伴って情報が変更されてしまうことが防止できる。
【0067】
以上のように、基本的には操作者による操作に応じた処理を繰り返し行うのであるが、展開中のウィンドウに対して有効エリアが設定されていて、かつ当該有効エリア外で操作者によるタッチ操作が行われた場合には、その操作は無視され、対応する処理は実行されない。有効エリア内のタッチ操作や、キーボード10での操作のようなタッチ操作以外の操作に関しては、その操作に応じた処理が実行される。さらに有効エリアは、ウィンドウ毎に操作者が指定したエリアとされる。従って、あるウィンドウが展開されている状態で操作のためにタッチする必要があるエリアが限定される場合には、そのようなエリアを有効エリアとして設定しておくことにより、操作のためにタッチする必要のないエリアを誤ってタッチしてしまったとしても、それに応じた処理が実行されてしまうことがなく、上記のような誤操作が防止される。
【0068】
なお、有効エリアは、ウィンドウとは無関係に設定する可能である。このため、ウィンドウの一部のみのエリアを有効エリアとしたり、ウィンドウが表示デバイス6の表示可能エリアの一部のみに展開されているときには当該ウィンドウからはみ出すようなエリアを有効エリアとするなどのように、操作者のニーズに応じたエリアを有効エリアとすることができる。
【0069】
また、操作エリアを有効エリアに制限するか否かと、有効エリアとするエリアとを、ウィンドウ毎に設定することができるので、タッチ操作に使用されるべきエリアのウィンドウ毎での違いを反映した有効エリアをそれぞれ用いての適正な操作制限を行うことができる。
【0070】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0071】
ポインティングデバイスとしては、マウスなどのタッチセンサ8以外のデバイスを使用しても良く、そのような別のポインティングデバイスを用いる場合にも上記実施形態と同様に実施が可能である。なお、タッチセンサ8とそれ以外のポインティングデバイスとを併用可能とする場合には、タッチセンサ8により検知された操作のみに上記実施形態のような制限を行い、その他のポインティングデバイスでの操作は制限しないようにしても良い。
【0072】
1つのウィンドウに関連付けて複数の有効エリアを登録可能としても良い。この場合、複数の有効エリアが関連付けられたウィンドウの展開中には、当該複数の有効領域のいずれにおけるタッチ操作をも有効とする。
【0073】
操作者による操作に応じて実行する情報処理は伝票の作成に関わる処理には限らず任意であって良く、従って上記実施形態は伝票作成装置以外の情報処理装置を対象とするように変形が可能である。
【0074】
制限モードのオン/オフを、例えばキーボード10に含まれる所定のキーの操作などによる操作者による要求に応じて切り替えても良い。このようにすれば、あるウィンドウに関する操作の制限を、操作者の希望に応じて一時的に解除するなどの運用が可能となり、利便性が向上する。
【0075】
有効エリアは、1つのみを設定可能としても良い。
【0076】
有効エリアの始点座標は固定とし、終点座標のみを操作者の指示に応じて設定しても良い。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…補助記憶ユニット、5…時計ユニット、6…表示デバイス、7…表示コントローラ、8…タッチセンサ、9…タッチセンサコントローラ、10…キーボード、11…キーボードコントローラ、12…プリンタ、13…プリンタコントローラ、14…可搬媒体ドライブ、15…ドライブコントローラ、16…通信デバイス、17…システムバス、100…伝票作成装置、200…通信ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイスと、
前記表示デバイスの表示画面中における操作者による指定位置を判定するポインティングデバイスと、
前記ポインティングデバイスが前記指定位置を判定可能な領域の一部として設定される有効エリアを表す有効エリア情報を記憶する記憶デバイスと、
ユーザインタフェイス画像を表示するように前記表示デバイスを制御する表示制御手段と、
予め定められた条件が成立する制限状態においては前記有効エリア情報が表す有効エリア内について前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置のみを有効指定位置として選出し、前記条件が成立しない無制限状態においては前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置の全てを有効指定位置として選出する選出手段と、
前記選出手段により選出された前記有効指定位置に応じた情報処理を実行する処理手段とを具備した情報処理装置。
【請求項2】
複数のユーザインタフェイス画像のうちの1つを有効インタフェイス画像として選択する選択手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記選択手段により選択された前記有効インタフェイス画像を表示するように前記表示デバイスを制御し、
前記選出手段は、前記複数のユーザインタフェイス画像のうちの少なくとも1つである特定インタフェイス画像が前記有効インタフェイス画像として選択されている状態を前記制限状態とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ポインティングデバイスは、前記表示デバイスの表示面への物体の近接位置または接触位置を前記指定位置として判定するタッチセンサである請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
操作者による指示に応じて前記有効エリアを設定し、当該有効エリアを表す有効エリア情報を前記記憶デバイスに記憶させる設定手段をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
表示デバイスと、前記表示デバイスの表示画面中における操作者による指定位置を判定するポインティングデバイスと、前記表示デバイスの表示画面中における操作者による指定位置をポインティングデバイスが判定可能な領域の一部として設定される有効エリアを表す有効エリア情報を記憶する記憶デバイスとが接続されたコンピュータを、
ユーザインタフェイス画像を表示するように前記表示デバイスを制御する表示制御手段と、
予め定められた条件が成立する制限状態においては前記有効エリア情報が表す有効エリア内について前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置のみを有効指定位置として選出し、前記条件が成立しない無制限状態においては前記ポインティングデバイスにより判定された指定位置の全てを有効指定位置として選出する選出手段と、
前記選出手段により選出された前記有効指定位置に応じた情報処理を実行する処理手段として機能させる情報処理プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、複数のユーザインタフェイス画像のうちの1つを有効インタフェイス画像として選択する選択手段として機能させるとともに、
前記表示制御手段を、前記選択手段により選択された前記有効インタフェイス画像を表示するように前記表示デバイスを制御するものとし、
前記選出手段を、前記複数のユーザインタフェイス画像のうちの少なくとも1つである特定インタフェイス画像が前記有効インタフェイス画像として選択されている状態を前記制限状態とするものとする請求項5に記載の情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−257962(P2011−257962A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131481(P2010−131481)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】