説明

情報処理装置および画像形成装置

【課題】制御装置と処理装置との間の通信が高速伝送線のみで行われる情報処理装置において、制御装置から処理装置への低速なアクセスが連続した場合でも、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにする。
【解決手段】制御装置1は、処理装置2における複数のデバイスへのアクセスを発行するマイクロプロセッサ11を有する。そして、処理装置2は、高速伝送線3を介して複数のデバイスへのアクセスを受信するブリッジ21と、複数のデバイスのうちの低速な制御レジスタ25に対するアクセスが受信されると、そのアクセスをバッファリングする制御キュー24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速伝送技術が発達し、専用の伝送線を設けずに、異なる用途のために高速伝送線を共用してデータ通信が行われている。高速伝送線を有効に利用していくと、多くの用途により高速伝送線が使用される傾向にある。
【0003】
例えばチップ間伝送の分野では、RapidIO、HyperTransport、PCI−Expressなどの高速なシリアル伝送方式が実用化されており、そのような伝送方式を使用することにより、1つの伝送経路でチップ間の伝送をすべて行うことができる。高速データ通信、コンフィグレーション設定などの低速データ通信、割り込み信号などが1つの高速伝送線で行われる。
【0004】
また、プロセッサなどの制御回路が接続されている高速なバスと、周辺デバイスが接続されている低速なバスとを接続するものとして、バスブリッジがある(例えば特許文献1〜3参照)。制御回路は、高速なバスを介してバスブリッジへ、周辺デバイスへのアクセス(周辺デバイスの制御レジスタへ書き込むためのデータとアドレスとコマンド)を送信する。
【0005】
図4は、従来の情報処理装置の一例を示すブロック図である。図4に示す情報処理装置では、制御装置101と処理装置102とが高速伝送線103で接続されており、制御装置101が処理装置102にアクセスする。処理装置102は、高速アクセスが可能なメモリ123と、低速アクセスしか可能ではない制御レジスタ124とを有する。制御装置101では、マイクロプロセッサ111がバス112に接続されている。メモリ113、ブリッジ114およびデコーダ115がバス112に接続されており、マイクロプロセッサ111がメモリ113または処理装置102にアクセスする際には、デコーダ115が、マイクロプロセッサ111により発行されたアドレスをバス112から取得しアドレス変換して、メモリ113またはブリッジ114に対してアドレスを指定する。
【0006】
マイクロプロセッサ111がメモリ113へアクセスする場合には、デコーダ115により指定されたメモリ113のアドレスに対するアクセス(リードまたはライト)が行われる。
【0007】
マイクロプロセッサ111が処理装置102へアクセスする場合には、デコーダ115により指定されたアドレスを含むアクセスが、ブリッジ114により高速伝送線103を介して処理装置102のブリッジ121へ伝送される。
【0008】
ブリッジ121は、バス122に対してそのアクセスを送出し、デコーダ125は、アドレスをバス122から読み取り、アドレス変換して、制御レジスタ124またはメモリ123に対してアドレスを指定する。
【0009】
これにより、制御装置101のマイクロプロセッサ111は、処理装置102のメモリ123からデータを読み出したり、制御レジスタ124へ値を設定したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−231164号公報
【特許文献2】特開2006−113689号公報
【特許文献3】特許第3061106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、処理装置102側におけるブリッジ121は、低速な制御レジスタ124へのアクセスと、高速なメモリ123へのアクセスとを受信して、バス122を介してデコーダ125に供給する。低速な制御レジスタ124へのアクセスが短時間で連続すると、ブリッジ121およびデコーダ125は、それらのアクセスを逐次的に処理していくが、制御レジスタ124へのアクセス速度以上の数のアクセスが発生すると、ブリッジ121およびデコーダ125がストールしてしまい、高速なメモリ123へのアクセスを含む後続のアクセスを受け付けることができなくなってしまう。このため、低速な制御レジスタ124へのアクセスが処理されるまで、マイクロプロセッサ111が、処理装置102のメモリ123へアクセスできなくなったり、処理装置102内のダイレクトメモリアクセスコントローラ126が制御装置101のメモリ113にアクセスできなくなったりする。
【0012】
このように、本来、ブリッジ114,121間では高速なデータ転送が可能であるにも拘わらず、低速なアクセスの渋滞で高速なデータ転送が阻害されてしまうことがある。
【0013】
なお、低速なアクセス用に信号線を別途設けることにより、低速なアクセスの渋滞で高速なデータ転送が阻害されないようにすることができるが、その信号線、およびその信号線のための通信回路を別途設ける必要があり、コストや回路規模の観点から好ましくない。
【0014】
また、ブリッジ114,121が伝送線を介して複数の論理チャネルを確立し、それらの論理チャネルを完全に独立して制御するようにすることも考えられるが、そのようにした場合、ブリッジ114,121の処理や構成が複雑になるため、コストや回路規模の観点から好ましくない。
【0015】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、制御装置から処理装置への低速なアクセスが連続した場合でも、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる情報処理装置および画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0017】
本発明に係る情報処理装置は、複数のデバイスを有する処理装置と、処理装置と伝送線で接続された制御装置とを備える。制御装置は、処理装置における複数のデバイスへのアクセスを発行する処理回路を有する。そして、処理装置は、伝送線を介して複数のデバイスへのアクセスを受信する通信回路と、複数のデバイスのうちの所定の低速デバイスに対するアクセスが受信されると、そのアクセスをバッファリングするキューとを有する。
【0018】
これにより、制御装置から処理装置への低速なアクセスが連続した場合でも、アクセスがキューに滞留していくので、通信回路などがストールせずに済み、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。また、通信回路に従来と同様のものを使用することができるため、大幅な設計変更を行う必要がない。
【0019】
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置に加え、次のようにしてもよい。この場合、処理装置は、キューの利用率を監視し、キューの容量の所定の割合を超えて所定の低速デバイスに対するアクセスが蓄積されると、制御装置へ通知を送信する通知回路を有する。そして、制御装置は、通知を受信すると、所定の低速デバイスに対するアクセスの発行を禁止する。
【0020】
これにより、キューからアクセスが溢れて通信回路がストールする前に、制御装置から処理装置の低速デバイスへのアクセスが抑制されるため、通信回路などがストールせずに済み、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。
【0021】
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、制御装置の処理回路は、通知を受信すると、所定の低速デバイスに対するアクセスの発行を禁止する。
【0022】
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、制御装置は、通知を受信すると、複数のデバイスへのアクセスのうち、所定の低速デバイスに対するアクセスのみを遮断する遮断回路を有する。
【0023】
また、本発明に係る情報処理装置は、上記の情報処理装置のいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、情報処理装置は、メインメモリを備える。そして、処理装置は、キューが所定の低速デバイスに対するアクセスで満たされているときに複数のデバイスのうちの所定の低速デバイスに対するアクセスが受信されると、そのアクセスをメインメモリにキューイングするキューイング回路を有する。
【0024】
これにより、キューがアクセスで満たされた場合でも通信回路がストールせずに済み、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置は、上述の情報処理装置のいずれかを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、制御装置から処理装置への低速なアクセスが連続した場合でも、アクセスがキューに滞留していくので、通信回路などがストールせずに済み、制御装置と処理装置との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態2に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態3に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、従来の情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1において、制御装置1は、処理装置2におけるデバイスを使用する装置であり、高速伝送線3で処理装置2に接続されている。処理装置2は、高速アクセス可能なデバイスと、低速アクセスのデバイスを有する。高速伝送線3は、高速なデータ転送が可能な伝送媒体である。なお、低速アクセスと高速アクセスとの速度比は、例えば10〜100倍程度である。
【0031】
なお、制御装置1および処理装置2は、それぞれ別々の筐体の装置としてもよいし、それぞれ別々の半導体チップとしてもよい。また、制御装置1および処理装置2がそれぞれ半導体チップである場合、同一基板上にあってもよいし、別々の基板に設けられていてもよい。
【0032】
制御装置1は、マイクロプロセッサ11、バス12、メモリ13、ブリッジ14、デコーダ15および信号線16を有する。マイクロプロセッサ11、メモリ13、ブリッジ14およびデコーダ15は、バス12に接続されている。
【0033】
マイクロプロセッサ11は、プログラムに従って動作し、所定の制御や処理のための演算を行う回路である。マイクロプロセッサ11は、制御装置1内においてバス12に接続されたデバイス(メモリ13、ブリッジ14など)、および処理装置2内においてバス22に接続されたデバイスに対してアクセスを発行する処理回路である。なお、バス12は、データバス、アドレスバスおよびコントロールバスを含み、マイクロプロセッサ11によるアクセスには、データ、アドレスおよびコマンド(制御信号)が含まれる。
【0034】
メモリ13は、例えば、高速にアクセス可能なRAM(Read Only Memory)といった記憶デバイスである。なお、メモリ13は、制御装置1の外部に存在していてもよい。
【0035】
ブリッジ14は、バス12と高速伝送線3との間でデータを中継するデバイスである。
【0036】
デコーダ15は、バス12におけるアドレスバスに接続され、マイクロプロセッサ11から発行されたアクセスにおけるアドレスを変換し、そのアドレス値に応じてメモリ13またはブリッジ14へ変換後のアドレスを供給する回路である。
【0037】
信号線16は、マイクロプロセッサ11に対する割り込み信号線である。信号線16はブリッジ14に接続されており、処理装置2からの例外処理を受け付けるために使用される。
【0038】
処理装置2は、ブリッジ21、バス22、メモリ23、制御キュー24、制御レジスタ25、デコーダ26、通知回路27、信号線28およびダイレクトメモリアクセスコントローラ29を有する。ブリッジ21、メモリ23、制御キュー24、デコーダ26およびダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMAC)29は、バス22に接続されている。
【0039】
ブリッジ21は、バス22と高速伝送線3との間でデータを中継するデバイスである。
【0040】
メモリ23は、例えば、高速にアクセス可能なRAMといった記憶デバイスである。メモリ23は、処理装置2におけるメインメモリである。なお、メモリ23は、処理装置2の外部に存在していてもよい。
【0041】
制御キュー24は、FIFO(First-In First-Out)を有し、制御装置1から受信された、制御レジスタ25に対するアクセスを順番にバッファリングし、制御レジスタ25へ順番にそのアクセスを供給するデバイスである。
【0042】
制御レジスタ25は、処理装置2内に設置された図示せぬデバイス、あるいは処理装置2に接続された図示せぬデバイスに対するコマンドに対応する値を記憶する記憶素子である。マイクロプロセッサ11は、この制御レジスタ25に値を書き込んで、そのようなデバイスの制御を行う。
【0043】
デコーダ26は、バス22におけるアドレスバスに接続され、ブリッジ21により受信されたアクセスにおけるアドレスを変換し、そのアドレス値に応じてメモリ23または制御キュー24へ変換後のアドレスを供給する回路である。
【0044】
通知回路27は、制御キュー24の利用率を監視し、制御キュー24の容量の所定の割合を超えて、制御レジスタ25に対するアクセスが蓄積されると、制御装置1へ通知を送信する回路である。この通知は、信号線28、ブリッジ21、高速伝送線3、ブリッジ14および信号線16を介してマイクロプロセッサ11へ伝送され、マイクロプロセッサ11に対する割り込みで実現される。
【0045】
DMAC29は、バス22、ブリッジ21、高速伝送線3、ブリッジ14およびバス12を介して、制御装置1のメモリ13に対してアクセスを行い高速なデータ転送を行う制御回路である。ダイレクトメモリアクセスコントローラ29は、マイクロプロセッサ11から独立して動作する。
【0046】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0047】
マイクロプロセッサ11は、書き込みアクセスまたは読み出しアクセスをバス12へ送出する。メモリ13へのアクセスの場合、マイクロプロセッサ11は、バス12を介してメモリ13にアクセスする。一方、制御レジスタ25へのアクセスの場合、アクセスがブリッジ14から高速伝送線3を介してブリッジ21へ伝送され、バス22を介して、制御キュー24へキューイングされる。制御キュー24は、FIFOの順序で、制御レジスタ25へのアクセスを実行する。また、メモリ23へのアクセスの場合、アクセスがブリッジ14から高速伝送線3を介してブリッジ21へ伝送され、バス22を介して、メモリ23へ供給される。
【0048】
書き込みアクセスの場合、マイクロプロセッサ11は、ストア・アンド・フォワードで動作する。つまり、マイクロプロセッサ11は、書き込むべきデータをバス12に送出したら直ちに次の命令に進む。一方、読み出しアクセスの場合、マイクロプロセッサ11は、読み出した結果を次ぎの命令で利用するときには命令実行を停止し、読み出し結果が到着するまで待つ。マイクロプロセッサ11は、アクセスを順次発行し、処理や制御を行う。
【0049】
処理装置2では、通知回路27は、制御キュー24のFIFOに蓄積されているアクセスの数を監視しており、FIFOに蓄積可能な数と現在の蓄積数との割合が所定の第1閾値(例えば80パーセント)を超えると、第1通知を出力する。この第1通知は、割り込みとしてマイクロプロセッサ11に到達し、マイクロプロセッサ11は、この割り込みが発生すると、制御レジスタ25へのアクセスを禁止する。これにより、マイクロプロセッサ11は、現在のタスクを別のタスクまたはアイドルタスクに切り替える。その後、通知回路27は、FIFOに蓄積可能な数と現在の蓄積数との割合が所定の第2閾値(例えば20パーセント)より低くなると、第2通知を出力する。この第2通知は、割り込みとしてマイクロプロセッサ11に到達し、マイクロプロセッサ11は、この割り込みが発生すると、制御レジスタ25へのアクセスの禁止を解除し、現在のタスクを元のタスクへ切り替える。
【0050】
制御キュー24のFIFO段数は制御レジスタ25へのアクセス頻度を考慮して決定されるため、通常、制御キュー24のFIFOが満杯になる可能性は低いが、通知回路27からの通知により、FIFOが満杯になる前に、制御レジスタ25へのアクセスが抑制されるため、FIFOが満杯になることがない。
【0051】
以上のように、上記実施の形態1によれば、制御キュー24は、低速な制御レジスタ25へのアクセスをバッファリングする。これにより、制御装置1から処理装置2への低速なアクセスが連続した場合でも、アクセスが制御キュー24に滞留していくので、ブリッジ21などがストールせずに済み、制御装置1と処理装置2との間の高速なデータ転送(マイクロプロセッサ11によるメモリ23へのアクセス、DMAC29によるメモリ13へのアクセスなど)が阻害されないようにすることができる。また、ブリッジ21に従来と同様のものを使用することができるため、大幅な設計変更を行う必要がない。
【0052】
また、上記実施の形態1によれば、通知回路27は、制御キュー24の利用率を監視し、制御キュー24の容量の所定の割合を超えて、制御レジスタ25に対するアクセスが蓄積されると、制御装置1へ通知を送信する。そして、制御装置1は、その通知を受信すると、制御レジスタ25に対するアクセスの発行を禁止する。これにより、制御キュー24からアクセスが溢れてブリッジ21がストールする前に制御装置1から処理装置2への、制御レジスタ25に対するアクセスが抑制されるため、ブリッジ21などがストールせずに済み、制御装置1と処理装置2との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。
【0053】
実施の形態2.
図2は、本発明の実施の形態2に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。実施の形態2では、制御装置1に制御レセプタ41および信号線42が追加されている。なお、図2におけるその他の構成要素について実施の形態1のもの(図1)と同様であるので、その説明を省略する。
【0054】
制御レセプタ41は、信号線42を介して、上述の第1および第2の通知をブリッジ14から受信し、第1の通知を受信すると、デコーダ15とブリッジ14との間で、制御レジスタ25へのアクセスの遮断を開始し、その後、第2の通知を受信すると、制御レジスタ25へのアクセスの遮断を解除する。このとき、メモリ23へのアクセスは遮断されない。
【0055】
実施の形態3.
図3は、本発明の実施の形態3に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3では、通知回路27の代わりに通知回路61が使用され、デコーダ62およびキューイング回路63が追加されている。なお、図3におけるその他の構成要素について実施の形態1のもの(図1)と同様であるので、その説明を省略する。
【0056】
実施の形態3では、制御キュー24のFIFOが満杯になると、制御レジスタ25へのアクセスが、大容量であるメモリ23に一時的に保存される。
【0057】
通知回路61は、制御キュー24のFIFOが満杯になると、デコーダ62およびキューイング回路63に第1通知を送信する。デコーダ62は、その第1通知を受信すると、制御レジスタ25へのアクセスがキューイング回路63により受信されるようにアドレスを変換する。キューイング回路63は、第1通知を受信した後に、制御レジスタ25へのアクセスを受信すると、メモリ23の所定の記憶領域に順番に格納する。その後、制御キュー24のFIFOに蓄積可能な数と現在の蓄積数との割合が所定の閾値(例えば20パーセント)より低くなると、通知回路61は、キューイング回路63へ第2通知を送信する。キューイング回路63は、第2通知を受信すると、メモリ23に格納しているアクセスを順番に読み出して制御キュー24へ書き込んでいく。
【0058】
そして、メモリ23に格納しているアクセスがなくなると、キューイング回路63は、第3通知をデコーダ62へ送信する。デコーダ62は、第3通知を受信すると、制御レジスタ25へのアクセスが制御キュー24により受信されるようにアドレスを変換する。
【0059】
以上のように、上記実施の形態3によれば、キューイング回路63は、制御キュー24が制御レジスタ25に対するアクセスで満たされているときに、制御レジスタ25に対するアクセスが受信されると、そのアクセスをメモリ23にキューイングする。これにより、制御キュー24がアクセスで満たされた場合でもブリッジ21がストールせずに済み、制御装置1と処理装置2との間の高速なデータ転送が阻害されないようにすることができる。
【0060】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0061】
例えば、上記実施の形態1,2において、通知回路27から制御装置1への通知は、別の経路を介してもよい。
【0062】
また、上記各実施の形態において、制御キュー24における利用段数の最大値を保持するデータを記憶する記憶部を設けてもよい。例えば、あるアプリケーションの実行前にそのデータの値をゼロにリセットしておき、アプリケーション実行後に、そのデータの値を参照することにより、制御キューのFIFO段数が十分であるか、およびアプリケーションによる制御レジスタ25へのアクセスが適切であるかなどを事後的にチェックするようにしてもよい。
【0063】
また、上記各実施の形態において、処理装置2は低速なデバイスとして制御レジスタ25を有するが、低速なデバイスとして低速なシリアル通信回路を有するようにしてもよい。その場合にも、そのシリアル通信回路とバス22との間に制御キュー24を設けることにより同様の効果が得られる。
【0064】
また、上記各実施の形態において、処理装置2に、低速なバスに接続するためのブリッジを設けるようにしてもよい。その場合にも、そのブリッジとバス22との間に制御キュー24を設けることにより同様の効果が得られる。これにより、処理装置2はバスブリッジ装置として機能する。
【0065】
また、上記実施の形態1,2において、通知回路27は、定期的に、制御キュー24の利用率を通知するようにしてもよい。
【0066】
また、上記各実施の形態に係る情報処理装置は、プリンタ、複合機などの画像形成装置に適用可能である。例えば、処理装置2を新規設計して追加することで、画像形成装置の機能を追加する場合などに有効である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、例えば、画像形成装置内部の情報処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 制御装置
2 処理装置
3 高速伝送線(伝送線の一例)
11 マイクロプロセッサ(処理回路の一例)
21 ブリッジ(通信回路の一例)
23 メモリ(デバイスの一例,メインメモリの一例)
24 制御キュー(キューの一例)
25 制御レジスタ(デバイスの一例)
27 通知回路
41 制御レセプタ(遮断回路の一例)
63 キューイング回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデバイスを有する処理装置と、
前記処理装置と伝送線で接続された制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記処理装置における前記複数のデバイスへのアクセスを発行する処理回路を有し、
前記処理装置は、前記伝送線を介して前記複数のデバイスへのアクセスを受信する通信回路と、前記複数のデバイスのうちの所定の低速デバイスに対するアクセスが受信されると、そのアクセスをバッファリングするキューとを有すること、
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理装置は、前記キューの利用率を監視し、前記キューの容量の所定の割合を超えて前記所定の低速デバイスに対するアクセスが蓄積されると、前記制御装置へ通知を送信する通知回路を有し、
前記制御装置は、前記通知を受信すると、前記所定の低速デバイスに対するアクセスの発行を禁止すること、
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御装置の前記処理回路は、前記通知を受信すると、前記所定の低速デバイスに対するアクセスの発行を禁止することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記通知を受信すると、前記複数のデバイスへのアクセスのうち、前記所定の低速デバイスに対するアクセスのみを遮断する遮断回路を有することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
メインメモリを備え、
前記処理装置は、前記キューが前記所定の低速デバイスに対するアクセスで満たされているときに前記複数のデバイスのうちの所定の低速デバイスに対するアクセスが受信されると、そのアクセスを前記メインメモリにキューイングするキューイング回路を有すること、
を特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の情報処理装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−271874(P2010−271874A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122423(P2009−122423)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】