説明

情報処理装置の認証システム

【課題】高い機密性を有すると共に簡便に構築することができる情報処理装置の認証システムを提供することを課題とする。
【解決手段】カード2の表面に認証データAを表すバーコード3が表示されており、このカード2を権限所有者が所持している。権限所有者がカード2のバーコード3を在庫管理コンピュータ1のバーコードリーダー4で読み込ませると、在庫管理コンピュータ1はメモリ5から予め格納されている照合用データBを呼び出し、バーコードリーダー4で読み込んだ認証データAと照合用データBとを照合する。照合の結果、認証データAが照合用データBに一致する場合には、在庫管理コンピュータ1は権限所有者であることを認証し、ログインを行い、これにより権限所有者が在庫管理システムの設定やメンテナンス等の機能を実行することが可能なモードとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理装置の認証システムに係り、特に情報処理装置に対して機能実行の権限を有する権限所有者を認証するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動倉庫の在庫管理システム等では、情報処理装置としての在庫管理コンピュータにおけるシステムの設定や在庫データのメンテナンス等、所定の権限所有者が実行する必要がある機能については、キーボード等によるパスワードの入力や、特許文献1に開示されているような個人IDカードからのIDの読み込み等を行い、そのパスワードまたはIDと在庫管理コンピュータに予め格納されている照合用のデータとを照合することにより権限所有者の認証を行っている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−91266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のパスワード入力による認証方法では、パスワードが漏洩すると、権限所有者以外の人でも容易に機能実行が可能になり、機密性が低いという問題があった。
また、特許文献1のような個人IDカード読み込みによる認証方法でも、IDが漏洩すると、漏れたIDに基づいて容易に個人IDカードを複製することができ、パスワード入力による方法と同様に機密性が低いという問題があった。
また、個人IDカードを用いる場合には、在庫管理コンピュータ等に専用のID読み取り部等の構成を新たに追加する必要があり、複雑な構成になると共に設備費が嵩んでしまう。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、高い機密性を有すると共に簡便に構築することができる情報処理装置の認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る情報処理装置の認証システムは、バーコードリーダーによりバーコードを読み込んで情報の授受を行う情報処理装置に対して機能実行の権限を有する権限所有者を認証するための認証システムにおいて、権限所有者は認証データを表すバーコードが表示された携帯物を所持すると共に携帯物のバーコードを情報処理装置のバーコードリーダーで読み込ませ、情報処理装置はバーコードリーダーで読み込んだバーコードの認証データを予め格納されている照合用データと照合することにより権限所有者であることを認証するものである。
【0007】
携帯物に認証データを表すバーコードが表示されると共にこの携帯物を権限所有者が所持しており、権限所有者が携帯物のバーコードを情報処理装置のバーコードリーダーで読み込ませると、情報処理装置は予め格納されている照合用データを呼び出し、バーコードリーダーで読み込んだ認証データと照合用データとを照合し、照合の結果、認証データが照合用データに一致する場合に、情報処理装置は権限所有者であることを認証する。
【0008】
情報処理装置に既に備え付けられているバーコードリーダーを用いて携帯物のバーコードの読み込みを行うことが好ましい。例えば、自動倉庫の在庫管理システムに使用され、荷物の品番等の読み取りのためにこの在庫管理システムの情報処理装置に備え付けられたバーコードリーダーを利用することができる。
携帯物は、プラスチック製のカードから形成することが好ましい。この携帯物として個人IDカードを用いることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、権限所有者は認証データを表すバーコードが表示された携帯物を所持すると共に携帯物のバーコードを情報処理装置のバーコードリーダーで読み込ませ、情報処理装置はバーコードリーダーで読み込んだバーコードの認証データを予め格納されている照合用データと照合することにより権限所有者であることを認証するようにしたので、権限所有者であることを証明する認証データがバーコード表示されることにより、そのデータが漏洩しにくいだけでなく、データが漏洩しても複製することは難しいため、高い機密性を確保することができる。また、バーコードシステムを有する情報処理装置に幅広く適用され、これにより簡便にシステムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に自動倉庫の在庫管理システムに適用された、この発明の実施の形態に係る情報処理装置の認証システムを示す。この認証システムは、情報処理装置としての在庫管理コンピュータ1に対して在庫管理システムの設定や在庫データのメンテナンス等、所定の権限所有者が行う必要のある機能を実行する際に、権限所有者であることを認証するためのものである。この認証システムでは、権限所有者が所持するためのプラスチック製のカード2が設けられており、カード2の表面にバーコード3が表示されている。このバーコード3は権限所有者であることを証明するための情報である認証データAを表している。
【0011】
また、在庫管理コンピュータ1には、バーコード3からデータを読み込むためのバーコードリーダー4が取り付けられている。また、在庫管理コンピュータ1は、バーコード3により表されている認証データAと同一の照合用データBが格納される共にデータの照合を行って認証するための認証プログラムが格納されたメモリ5を有している。
【0012】
次に、図2のフローチャートを参照してこの実施の形態に係る情報処理装置の認証システムの動作について説明する。権限所有者はバーコード3が表示されたカード2を所持している。権限所有者が在庫管理コンピュータ1において在庫管理システムの設定やメンテナンス等の機能を実行する際に、ステップS1でカード2のバーコード3を在庫管理コンピュータ1のバーコードリーダー4で読み込ませると、ステップS2で在庫管理コンピュータ1は、メモリ5から予め格納されている照合用データBを呼び出す。次にステップS3で、在庫管理コンピュータ1はバーコードリーダー4で読み込んだ認証データAと照合用データBとを照合する。
【0013】
照合の結果、認証データAが照合用データBに一致する場合には、在庫管理コンピュータ1は権限所有者であることを認証し、ステップS4でログインを行い、これにより権限所有者が在庫管理システムの設定やメンテナンス等の機能を実行することが可能なモードとなる。
一方、認証データAが照合用データBと異なる場合には、権限所有者ではないと判断して、ログインを行うことなく、ステップS5で在庫管理コンピュータ1のモニタにエラー表示等を行う。
【0014】
以上のように、権限所有者であることを証明する認証データAはバーコード表示されるため、そのデータが漏洩しにくいだけでなく、データが漏洩しても複製することは難しいため、高い機密性を確保することができる。
また、一般に、自動倉庫の在庫管理システムでは、自動倉庫に入出庫される荷物の品番を在庫管理コンピュータに入力する際の入力ミス等を防止するために、その品番等が記載されたバーコードをバーコードリーダー4で読み取る方式がとられている。したがって在庫管理コンピュータ1にはバーコードリーダー4が備え付けられている。この発明の認証システムでは、このような既設のバーコードリーダー4を利用して、権限所有者であることを証明する情報であるバーコード3の認証データAを読み取ることができるため、単純な構成となると共に設備費も低く抑えられ、これにより簡便にシステムを構築することができる。
【0015】
なお、図2のステップS4でログインした後に通常のモードに戻る場合には、ログアウトが選択されたときに戻る、或いはメニュー画面に戻ったときに自動的に戻るように構成することができる。
【0016】
なお、上述の実施の形態において、バーコード3により表される認証データAの内容はカード2に記載しないことが好ましい。
また、バーコード3は、印刷したシート等をカード2に貼り付けたり、カード2表面に直接印刷するなどして表示することができる。
【0017】
また、上述の実施の形態のように、バーコード3はプラスチック製のカード2に表示されているため、高い耐久性を有すると共に権限所有者が容易に携帯することができる。
また、個人IDカードにバーコード3を表示して用いることもできる。このようにすれば、通常携帯している個人IDカードだけで、個人IDの確認及び権限所有者の認証の双方を行うことができると共に、携帯する必要のあるカードの枚数を削減することもできる。
またバーコード3は、カードだけでなく、権限所有者が携帯可能な物に表示して用いることができる。
【0018】
また、在庫管理コンピュータ1は、漏洩したコードを権限所有者以外の人がキーボードで入力してログインすることなどを防止するため、キー入力で代用できないような構成を有することが好ましい。
また、機密性強化のため、バーコード3のコード種類を特殊なものに選定すると共に、バーコードリーダー4は、自動倉庫へ入出庫される荷物の品番予約作業等、通常の運用で使用されているコード種類と、認証データAを表すバーコード3のコード種類だけを読み込めるように設定されていることが好ましい。
【0019】
また、バーコード3のチェックディジットを通常使用されない特殊な計算式に選定することが好ましい。さらに、この場合、チェックディジットの桁数を2桁以上とすることが好ましい。このようにすることにより、バーコード3の認証データAが他のバーコードシステムでは容易に読み込めないようになり、その結果、複製が抑制されて機密性をより向上させることができる。
また、在庫管理コンピュータ1のメモリ5に予め格納されている照合用データBについても、上述したバーコード3と同様に、特殊な計算式に選定されたチェックディジットを使用することが好ましく、これにより在庫管理コンピュータ1から照合用データBが漏洩しても容易に複製できないようにし、機密性をさらに向上させることができる。
【0020】
また、認証データAとしては、パスワードや、ID等の情報をバーコード3により表すことができる。また、操作レベルに応じて異なる複数のパスワード等を設定することもできる。
また、在庫管理コンピュータ1は、バーコードリーダー4によりバーコード3を読み込んだ際に、そのときの日時や、どの権限所有者により機能が実行されたか等を記録するように構成することもできる。
【0021】
なお、この発明の認証システムは、上述の実施の形態のような自動倉庫の在庫管理コンピュータ1に限らず、バーコードシステムを有する情報処理装置に幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態に係る情報処理装置の認証システムを示す図である。
【図2】実施の形態における認証システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
1 在庫管理コンピュータ、2 カード、3 バーコード、4 バーコードリーダー、5 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードリーダーによりバーコードを読み込んで情報の授受を行う情報処理装置に対して機能実行の権限を有する権限所有者を認証するための認証システムにおいて、
権限所有者は認証データを表すバーコードが表示された携帯物を所持すると共に携帯物のバーコードを情報処理装置のバーコードリーダーで読み込ませ、
情報処理装置はバーコードリーダーで読み込んだバーコードの認証データを予め格納されている照合用データと照合することにより権限所有者であることを認証する
ことを特徴とする情報処理装置の認証システム。
【請求項2】
情報処理装置に既設のバーコードリーダーにより前記携帯物のバーコードの読み込みを行う請求項1に記載の情報処理装置の認証システム。
【請求項3】
前記携帯物は、プラスチック製のカードである請求項1または2に記載の情報処理装置の認証システム。
【請求項4】
前記携帯物は、個人IDカードである請求項3に記載の情報処理装置の認証システム。
【請求項5】
自動倉庫の在庫管理システムに使用され、荷物の品番等の読み取りのために前記在庫管理システムの情報処理装置に備え付けられたバーコードリーダーを利用する請求項2に記載の情報処理装置の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−4336(P2006−4336A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182444(P2004−182444)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】