説明

情報処理装置及びそれに用いるベクトルレジスタアドレス制御方法

【課題】 演算命令処理を停止させずに、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とを抑えることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】 温度検出手段1はベクトルプロセッサの温度が予め設定された閾値を超えたことを検出した場合、ベクトルレジスタ読出し制御手段2への温度検出フラグ101を点灯する。ベクトルレジスタ読出し制御手段2ではベクトルレジスタ3への読出しアドレスを生成し、かつ演算実行指示信号を生成している。ベクトルレジスタ読出し制御手段2は温度検出手段1からの温度検出フラグ101が点灯した時に、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス105及び演算実行指示信号104の発行を一定間隔nT間抑えて発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及びそれに用いるベクトルレジスタアドレス制御方法に関し、特にベクトルプロセッサを備える情報処理装置における消費電力低減手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の消費電力低減手法においては、主に対象となる回路やプロセッサへのクロック供給停止や電源供給停止を行うことによって実現している(例えば、特許文献1〜3参照)。クロック供給停止や電源供給停止が行われた場合には、対象となる回路に命令発行が停止することによって処理の継続が図れないという問題がある。
【0003】
他方、ベクトルプロセッサにおいては、ベクトルレジスタから演算器に対して可能な限り間断なくベクトルデータを送出し続けて演算処理を行っている。デバイスの進歩によって、ベクトルプロセッサの高集積化と動作クロックの高速化とが図られていくにしたがって、主に演算器の高消費電力化と熱密度の上昇とが顕著になっている。つまり、ベクトルプロセッサでは、高熱によるプロセッサ内部破壊が発生する要因が増加することで、プロセッサの信頼性が低下するという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−076539号公報
【特許文献2】特開平03−167615号公報
【特許文献3】特開平07−271554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のベクトルプロセッサでは、デバイスの進歩によって、プロセッサの高集積化と動作クロックの高速化とが図られていくにしたがって、主にプロセッサ内演算器の高消費電力化と熱密度の上昇とが顕著になり、プロセッサの高消費電力化と高熱によって、プロセッサ内部破壊が発生する要因が増加し、プロセッサの信頼性が低下するという課題がある。これに加えて、ベクトルプロセッサでは、装置を運用する上で高性能なプロセッサ冷却機構が必要となる。
【0006】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、演算命令処理を停止させずに、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とを抑えることができる情報処理装置及びそれに用いるベクトルレジスタアドレス制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による情報処理装置は、指定されたアドレスにしたがってベクトルデータの読出しと演算結果の書込みとを行うベクトルレジスタと、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータを演算して前記演算結果を出力する演算器とからなるベクトルプロセッサを含む情報処理装置であって、
設定可能な閾値にしたがって前記ベクトルプロセッサの温度検出を行う温度検出手段と、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータの読出しを制御するベクトルレジスタ読出し制御手段と、前記ベクトルレジスタへの前記演算結果の書込みを制御するベクトルレジスタ書込み制御手段とを備え、
前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記ベクトルレジスタ読出し制御手段にて前記ベクトルレジスタの読出しアドレスと演算実行タイミングとを制御して前記演算器にベクトルデータを供給し、前記ベクトルレジスタ書込み制御手段にて前記演算結果の書込みアドレスを制御して前記演算結果を前記ベクトルレジスタに格納とともに、
前記ベクトルレジスタ読出し制御手段は、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス及び演算実行指示信号の発行を一定間隔間抑えて発行している。
【0008】
本発明によるベクトルレジスタアドレス制御方法は、指定されたアドレスにしたがってベクトルデータの読出しと演算結果の書込みとを行うベクトルレジスタと、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータを演算して前記演算結果を出力する演算器とからなるベクトルプロセッサを含む情報処理装置に用いるベクトルレジスタアドレス制御方法であって、
前記情報処理装置が、設定可能な閾値にしたがって前記ベクトルプロセッサの温度検出を行う温度検出処理と、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータの読出しを制御するベクトルレジスタ読出し制御処理と、前記ベクトルレジスタへの前記演算結果の書込みを制御するベクトルレジスタ書込み制御処理とを実行し、
前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記ベクトルレジスタ読出し制御処理にて前記ベクトルレジスタの読出しアドレスと演算実行タイミングとを制御して前記演算器にベクトルデータを供給し、前記ベクトルレジスタ書込み制御処理にて前記演算結果の書込みアドレスを制御して前記演算結果を前記ベクトルレジスタに格納するとともに、
前記ベクトルレジスタ読出し制御処理において、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス及び演算実行指示信号の発行を一定間隔間抑えて発行している。
【0009】
すなわち、本発明の情報処理装置は、ベクトルレジスタからのベクトルデータを演算して演算結果を出力する演算器と、指定されたアドレスにしたがってベクトルデータの読出しと演算結果の書込みとを行うベクトルレジスタとを含むベクトルプロセッサを備えている。
【0010】
本発明の情報処理装置では、上記のベクトルプロセッサにおいて、ベクトルレジスタからのベクトルデータの読出しを制御するベクトルレジスタ読出し制御手段と、ベクトルレジスタへの演算結果の書込みを制御するベクトルレジスタ書込み制御手段と、設定可能な閾値にしたがってベクトルプロセッサの温度検出を行う温度検出手段とを有し、この温度検出手段でベクトルプロセッサの温度が閾値を超えたことが検出された場合、ベクトルレジスタ読出し制御手段にてベクトルレジスタの読出しアドレスと演算実行タイミングとを制御して演算器にベクトルデータを供給し、ベクトルレジスタ書込み制御手段にて演算結果の書込みアドレスを制御して演算結果をベクトルレジスタに格納している。これによって、本発明の情報処理装置では、ベクトルプロセッサへの命令を停止することなく、処理を継続することが可能となる。
【0011】
また、本発明の情報処理装置では、温度検出手段の値に応じてベクトルレジスタの書込みアドレス及び読出しアドレスの生成を制御してベクトルデータを演算器に供給しているので、命令処理を停止することなく、演算器の消費電力を抑えることが可能となる。
【0012】
したがって、本発明の情報処理装置では、ベクトルプロセッサの温度が閾値を超えたことを示す温度検出フラグの点灯時に、演算器の動作率を1/n(nは正の整数)に低減することによって、演算命令処理を停止させずに、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とを抑えることが可能となる。これによって、本発明の情報処理装置では、高性能な冷却機構を必要とすることなく、ベクトルプロセッサ内部の故障率を低減させ、ベクトルプロセッサ自体の信頼性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、演算命令処理を停止させずに、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とを抑えることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施例による情報処理装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の一実施例による情報処理装置は、温度検出手段1とベクトルレジスタ読出し制御手段2とベクトルレジスタ書込み制御手段5とからなるベクトルレジスタアドレス制御手段と、ベクトルレジスタ3と演算器4とレジスタ6−1〜6−nとを備えるベクトルプロセッサとから構成されている。
【0015】
ここで、ベクトルレジスタ読出し制御手段2は、通常時演算実行信号生成手段21と、温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段22と、選択手段23と、ベクトルレジスタ読出しアドレス生成カウンタ24とから構成されている。
【0016】
本実施例では、温度検出手段1が、ベクトルプロセッサの温度が予め設定された閾値を超えたことを検出した場合、ベクトルレジスタ読出し制御手段2が、ベクトルレジスタ3の読出しアドレスと、そのベクトルレジスタ3からのベクトルデータに付随させる演算実行指示信号との一定時間停止と発行とを繰り返し行って、ベクトルレジスタ3からのベクトルデータと演算実行指示信号とを演算器4に出力するようにしている。
【0017】
この図1を参照して本発明の一実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御の処理動作について説明する。
【0018】
温度検出手段1はベクトルプロセッサの温度が予め設定された閾値を超えたことを検出した場合、ベクトルレジスタ読出し制御手段2への温度検出フラグ101を点灯する。
【0019】
ベクトルレジスタ読出し制御手段2ではベクトルレジスタ3への読出しアドレスを生成し、かつ演算実行指示信号を生成している。ベクトルレジスタ読出し制御手段2は温度検出手段1からの温度検出フラグ101が点灯した時に、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス105及び演算実行指示信号104の発行を一定間隔nT(タイム)(nは正の整数)間抑えて発行する。
【0020】
つまり、通常時演算実行信号生成手段21は通常時に演算実行を指示するための通常時演算実行信号102を生成して選択手段23に出力し、温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段22は温度検出フラグ101の点灯時に演算実行を指示するための温度検出フラグ点灯時演算実行信号103を生成して選択手段23に出力している。
【0021】
選択手段23は温度検出手段1からの温度検出フラグ101が点灯しなければ、通常時演算実行信号生成手段21からの通常時演算実行信号102を選択して演算実行指示信号104として出力し、温度検出手段1からの温度検出フラグ101が点灯すると、温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段22からの温度検出フラグ点灯時演算実行信号103を選択して演算実行指示信号104として出力する。ここで、温度検出フラグ点灯時演算実行信号103は、通常時演算実行信号102に対して、一定間隔nT間抑えられて発行される演算実行指示信号104となる。
【0022】
ベクトルレジスタ読出しアドレス生成カウンタ24は選択手段23で通常時演算実行信号102が選択されると、それに同期してベクトルレジスタ読出しアドレス105を連続発行し、選択手段23で温度検出フラグ点灯時演算実行信号103が選択されると、それに同期してベクトルレジスタ読出しアドレス105を一定間隔nT間抑えて発行する。
【0023】
温度検出フラグ101が点灯した場合、ベクトルレジスタ3はnT間隔で発行されたベクトルレジスタ読出しアドレス105にしたがって、nT毎に同一のベクトルデータ106を読出し、演算器4に対して出力する。
【0024】
演算器4では演算実行指示信号104にしたがって、nT間に1回、演算処理を実行するので、演算器4の動作率は通常動作時の1/nに低減され、消費電力と発熱量とが通常動作時の1/nに低減される。
【0025】
演算器4から出力されたnT間に1回の有効な演算結果107は、付随するnT間に1回の演算実行指示信号104をトリガにベクトルレジスタ書込み制御手段5で生成されるnT間に1回更新されるベクトルレジスタ書込みアドレス108の値にしたがってベクトルレジスタ3に格納される。
【0026】
上記の処理動作によって、ベクトルプロセッサの温度が温度検出手段1の閾値を下回った際には、温度検出フラグ101が消灯する。検出フラグ101が消灯した際、ベクトルレジスタ読出し制御手段2ではnT毎に発行していたベクトルレジスタ読出しアドレス105及び演算実行指示信号104の発行を通常の連続発行に戻し、演算処理を継続する。
【0027】
図2は本発明の一実施例による情報処理装置の動作を示すフローチャートである。これら図1及び図2を参照して本発明の一実施例による情報処理装置の動作について説明する。
【0028】
まず、本発明の一実施例による情報処理装置では、温度検出手段1にベクトルプロセッサの温度閾値を設定する(図2ステップS1)。温度検出手段1はその設定閾値を超えてベクトルプロセッサの温度が上昇すると(図2ステップS2)、温度検出フラグ101を点灯させる(図2ステップS3)。
【0029】
ベクトルレジスタ読出し制御手段2は温度検出フラグ101が点灯すると、ベクトルレジスタ読出し105のアドレス生成間隔をnT間おきに変更し、演算実行指示信号104の発行をnT間おきに変更する(図2ステップS4)。
【0030】
演算器4はその演算実行指示信号104にしたがって、nT間おきに演算を実行し、その動作率を1/nに低減する(図2ステップS5)。ベクトルレジスタ書込み制御手段5は、演算実行指示信号104にしたがって演算器3でnT間おきに演算された結果をベクトルレジスタ3に格納する(図2ステップS6)。
【0031】
一方、ベクトルレジスタ読出し制御手段2は温度検出手段1の設定閾値を超えてベクトルプロセッサの温度が上昇しなければ(図2ステップS2)、ベクトルレジスタ読出し105のアドレス生成間隔を連続にするとともに、演算実行指示信号104を連続して発行する(図2ステップS7)。
【0032】
演算器4はその演算実行指示信号104にしたがって、連続して演算を実行し、その動作率を100%とする(図2ステップS8)。ベクトルレジスタ書込み制御手段5は、演算実行指示信号104にしたがって演算器3で連続して演算された結果をそれぞれベクトルレジス3に格納する(図2ステップS9)。
【0033】
上記のように、本実施例では、温度検出手段1の閾値を設定した後、ベクトルプロセッサの温度上昇を検知していない通常時に、ステップS2のNO側のループを繰り返し実行する(図2のステップS7〜S9)。また、本実施例では、ステップS2のNO側のループを継続している最中で温度上昇を検知した場合、ステップS2のYES側のループに入る(図2のステップS3〜S6)。
【0034】
ステップS2のYES側のループは、ステップS2のNO側のループに対して、演算器4の動作率が1/nであるため、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とが抑えられ、数ループ後に閾値以下の温度になり次第、ステップS2のNO側のループに移る。つまり、本実施例では、ベクトルプロセッサを停止することなく、処理を継続することができる。
【0035】
このように、本実施例では、温度検出フラグ101の点灯時に演算器4の動作率を1/nに低減することによって、演算命令処理を停止させずに、ベクトルプロセッサの消費電力と発熱とを抑えることができる。これによって、本実施例では、ベクトルプロセッサ内部の故障率を低減させ、ベクトルプロセッサ自体の信頼性を向上させることができ、高性能な冷却機構が不要となる。
【0036】
図3は本発明の他の実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御手段の構成を示すブロック図である。図3において、本発明の他の実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御手段では、上記の本発明の一実施例のベクトルレジスタ読出し制御手段2とベクトルレジスタ書込み制御手段3とを、異なる構成で実現している。
【0037】
本発明の他の実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御手段は、ベクトルレジスタ読出しアドレス205である任意のmbit幅(mは正の整数)のmbitレジスタ12と、任意のnbit幅(nは正の整数、m>n)のnbitレジスタ13と、(m+n)bit幅の加算カウンタ14と、温度検出フラグ212の値によって加算カウンタ出力結果下位nbit210またはnbit全てが1である値nbitオール1値211との一方を選択する選択手段15と、演算実行指示信号202の値によって加算カウンタ出力結果上位mbit209と選択手段結果nbit213とを結合した(m+n)bit幅の結果値214または初期値201を選択する選択手段11とを有している。
【0038】
このベクトルレジスタアドレス制御手段においては、温度検出フラグ212の無効時に演算実行指示信号202が有効となった場合、連続してベクトルアドレスを更新し、温度検出フラグ212が有効時に演算実行指示信号202が有効となった場合、2のn乗間隔でベクトルレジスタ読出しアドレスを更新している。
【0039】
この図3を参照して本発明の他の実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御の処理動作について説明する。尚、以下の説明ではベクトルレジスタ読出し制御について述べるが、ベクトルレジスタ書込み制御についても、同様の構成で実現するものとする。
【0040】
演算実行指示信号202が点灯しない場合、選択手段11は任意の値の上位mbitとオール1値である下位nbitとの初期値201を選択する。選択手段11の選択結果から、mbitレジスタ12には初期値201の上位mbitが入力され、nbitレジスタ13には初期値201の下位nbitが入力される。
【0041】
mbitレジスタ12から出力されたベクトルレジスタ読出しアドレス205を上位mbitとし、nbitレジスタ13から出力されたnbitレジスタ出力値206を下位nbitとして、(m+n)bit幅をもつ加算カウンタ入力値207とする。加算カウンタ入力値207は、(m+n)bitの加算カウンタ14に入力され、加算カウンタ結果値208を得る。加算カウンタ結果値208は加算カウンタ上位mbit209と加算カウンタ下位nbit210とに分割される。
【0042】
設定した閾値を超えず、温度検出フラグ212が無効の場合には、選択手段15がnbitオール1値211を選択する。また、温度が閾値を超えることによって温度検出フラグ212が有効となった場合には、選択手段15が加算カウンタ下位nbit210を選択して、nbitの選択結果213として出力する。これによって、加算カウンタ上位mbit209を上位mbit、nbitの選択結果213を下位nbitとする結果値214が選択手段11に出力される。
【0043】
演算実行指示信号202が有効となった場合、選択手段11は上記の結果値214を選択する。mbitレジスタ12には、結果値214の上位mbitが入力され、nbitレジスタ13には結果値214の下位nbitが入力される。このmbitレジスタ12からの出力値はベクトルレジスタ読出しアドレス205としてベクトルレジスタ(図示せず)に出力する。
【0044】
ここで、本実施例の動作の説明を平易にするため、m=2,n=1の場合の加算カウンタ14の値に着目して説明する。
【0045】
初期値201が0の場合、演算実行指示信号202が無効の時には、mbitレジスタ12とnbitレジスタ13とにはそれぞれ2bitの0値と1bit幅の値の1値が格納される。このとき、加算カウンタ入力値207の値は“001”である。
【0046】
加算カウンタ入力値207をm+n=3ビットの加算カウンタ14に入力すると、加算カウンタ結果値208の値は“010”となる。加算カウンタ結果下位1bit210は温度検出フラグ212が無効の場合に1値であるnbitオール1値211を選択するが、温度検出フラグ212が有効の場合に加算カウンタ結果下位1bit210を選択する。
【0047】
これによって、結果値214の値は温度検出フラグ212が有効の場合に“011”となるが、温度検出フラグ212が無効の場合に“010”となる。演算実行指示信号202が有効となった場合、結果値214の上位2bit“01”をmbitレジスタ12に、下位1bitをnbitレジスタ13にそれぞれ格納する。
【0048】
温度検出フラグ212が無効の場合にはnbitレジスタ13に値“1”が入力されているため、次のクロックサイクル時にはmbitレジスタ12にカウントアップされた値“10”が、nbitレジスタ13に値“1”が入力される。
【0049】
温度検出フラグ212が有効の場合には、nbitレジスタ13に値“0”が入力されているため、次のクロックサイクル時にはmbitレジスタ12にカウントアップされない値“01”が、nbitレジスタ13に値“1”が入力される。
【0050】
すなわち、ベクトルレジスタ読出しアドレス205は、温度検出フラグ212が有効の場合、2クロックサイクルに1回カウントアップされる。したがって、温度検出フラグ121が有効な期間は、2のn乗間隔でベクトルレジスタ読出しアドレス205が更新される。
【0051】
図4は本発明の他の実施例による情報処理装置の動作を示すフローチャートである。これら図3及び図4を参照して本発明の他の実施例による情報処理装置の動作について説明する。
【0052】
まず、本発明の他の実施例による情報処理装置では、選択手段11が初期値201を選択し、選択手段結果上位mbit203がmbitレジスタ12に入力され、選択手段結果下位nbit204がnbitレジスタ13に入力される(図4ステップS11)。
【0053】
(m+n)bitの加算カウンタ14は上位mbit+下位nbitレジスタ値(加算カウンタ入力値207)を計算し(図4ステップS12)、加算カウンタ結果値208を出力する。この場合、加算カウンタ14は上位mbitを、温度検出フラグ212の点灯時にT+1加算し、温度検出フラグ212の非点灯時に2のn乗T毎に+1加算する(図4ステップS13)。
【0054】
温度検出フラグ212が点灯すると(図4ステップS14)、選択手段15は加算カウンタ下位nbit210を選択する(図4ステップS15)。また、温度検出フラグ212が点灯しなければ(図4ステップS14)、選択手段15はnbitオール1値211を選択する(図4ステップS16)。
【0055】
演算実行指示信号202が点灯すると(図4ステップS17)、選択手段11は加算カウンタ結果mbit209と選択手段結果nbit213とからなる結果値214を選択し、選択手段結果上位mbit203をmbitレジスタ12に入力し、選択手段結果下位nbit204をnbitレジスタ13に入力する(図4ステップS18)。この時、mbitレジスタ12の値はベクトルレジスタ読出しアドレスmbit205としてベクトルレジスタに出力される(図4ステップS19)。
【0056】
一方、演算実行指示信号202が点灯しなければ(図4ステップS17)、上記のステップS11の処理に戻って、選択手段11が初期値201を選択し、選択手段結果上位mbit203がmbitレジスタ12に入力され、選択手段結果下位nbit204がnbitレジスタ13に入力される。また、ステップ18の処理が終了すると、上記のステップS12に戻って、(m+n)bitの加算カウンタ14が上位mbit+下位nbitレジスタ値(加算カウンタ入力値207)を計算し、加算カウンタ結果値208を出力する。
【0057】
尚、本実施例では加算カウンタ14を用いる例について述べたが、nbit幅のオール1値211をnbit幅のオール0値とすれば、加算カウンタ14を減算カウンタとする場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施例による情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例による情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の他の実施例による情報処理装置のベクトルレジスタアドレス制御手段の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施例による情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
1 温度検出手段
2 ベクトルレジスタ読出し制御手段
3 ベクトルレジスタ
4 演算器
5 ベクトルレジスタ書込み制御手段
6−1〜6−n レジスタ
11,15 選択手段
12 mbitレジスタ
13 nbitレジスタ
14 加算カウンタ
21 通常時演算実行信号生成手段
22 温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段
23 選択手段
24 ベクトルレジスタ読出しアドレス生成カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定されたアドレスにしたがってベクトルデータの読出しと演算結果の書込みとを行うベクトルレジスタと、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータを演算して前記演算結果を出力する演算器とからなるベクトルプロセッサを含む情報処理装置であって、
設定可能な閾値にしたがって前記ベクトルプロセッサの温度検出を行う温度検出手段と、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータの読出しを制御するベクトルレジスタ読出し制御手段と、前記ベクトルレジスタへの前記演算結果の書込みを制御するベクトルレジスタ書込み制御手段とを有し、
前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記ベクトルレジスタ読出し制御手段にて前記ベクトルレジスタの読出しアドレスと演算実行タイミングとを制御して前記演算器にベクトルデータを供給し、前記ベクトルレジスタ書込み制御手段にて前記演算結果の書込みアドレスを制御して前記演算結果を前記ベクトルレジスタに格納するとともに、
前記ベクトルレジスタ読出し制御手段は、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス及び演算実行指示信号の発行を一定間隔間抑えて発行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ベクトルレジスタ読出し制御手段は、通常時に演算実行を指示するための通常時演算実行信号を生成する通常時演算実行信号生成手段と、前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記演算実行を指示するための温度検出フラグ点灯時演算実行信号を生成する温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段と、前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えない時に前記通常時演算実行信号生成手段からの通常時演算実行信号を選択して前記演算実行指示信号として出力しかつ前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段からの温度検出フラグ点灯時演算実行信号を選択して前記演算実行指示信号として出力する選択手段とを含むことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ベクトルレジスタ読出し制御手段は、前記ベクトルレジスタの読出しアドレスである任意のmbit幅(mは正の整数)の第1のレジスタと、任意のnbit幅(nは正の整数、m>n)の第2のレジスタと、(m+n)bit幅の演算カウンタと、前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えたか否かに応じて前記演算カウンタの出力結果下位nbit及びnbit全てが予め設定された所定値である値のいずれかを選択する第1の選択手段と、前記演算実行指示信号の値に応じて前記演算カウンタの出力結果上位mbitと前記第1の選択手段の選択結果nbitとを結合した(m+n)bit幅の結果値及び予め設定された初期値のいずれかを選択する第2の選択手段とを含み、
前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えずかつ前記演算実行指示信号が有効となった時に連続して前記ベクトルレジスタの読出しアドレスを更新し、前記温度検出手段にて検出された温度が前記閾値を超えかつ前記演算実行指示信号が有効となった時に2のn乗間隔で前記ベクトルレジスタの読出しアドレスを更新することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
指定されたアドレスにしたがってベクトルデータの読出しと演算結果の書込みとを行うベクトルレジスタと、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータを演算して前記演算結果を出力する演算器とからなるベクトルプロセッサを含む情報処理装置に用いるベクトルレジスタアドレス制御方法であって、
前記情報処理装置が、設定可能な閾値にしたがって前記ベクトルプロセッサの温度検出を行う温度検出処理と、前記ベクトルレジスタからのベクトルデータの読出しを制御するベクトルレジスタ読出し制御処理と、前記ベクトルレジスタへの前記演算結果の書込みを制御するベクトルレジスタ書込み制御処理とを実行し、
前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記ベクトルレジスタ読出し制御処理にて前記ベクトルレジスタの読出しアドレスと演算実行タイミングとを制御して前記演算器にベクトルデータを供給し、前記ベクトルレジスタ書込み制御処理にて前記演算結果の書込みアドレスを制御して前記演算結果を前記ベクトルレジスタに格納するとともに、
前記ベクトルレジスタ読出し制御処理において、ベクトル演算命令時に同期して連続発行されるベクトルレジスタ読出しアドレス及び演算実行指示信号の発行を一定間隔間抑えて発行することを特徴とするベクトルレジスタアドレス制御方法。
【請求項5】
前記ベクトルレジスタ読出し制御処理を実行するために、前記情報処理装置に、通常時に演算実行を指示するための通常時演算実行信号を生成する通常時演算実行信号生成手段と、前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記演算実行を指示するための温度検出フラグ点灯時演算実行信号を生成する温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段と、前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えない時に前記通常時演算実行信号生成手段からの通常時演算実行信号を選択して前記演算実行指示信号として出力しかつ前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えた時に前記温度検出フラグ点灯時演算実行信号生成手段からの温度検出フラグ点灯時演算実行信号を選択して前記演算実行指示信号として出力する選択手段とを設けたことを特徴とする請求項4記載のベクトルレジスタアドレス制御方法。
【請求項6】
前記ベクトルレジスタ読出し制御処理を実行するために、前記情報処理装置に、前記ベクトルレジスタの読出しアドレスである任意のmbit幅(mは正の整数)の第1のレジスタと、任意のnbit幅(nは正の整数、m>n)の第2のレジスタと、(m+n)bit幅の演算カウンタと、前記温度検出手段の温度が閾値を超えたか否かに応じて前記演算カウンタの出力結果下位nbit及びnbit全てが予め設定された所定値である値のいずれかを選択する第1の選択手段と、前記演算実行指示信号の値に応じて前記演算カウンタの出力結果上位mbitと前記第1の選択手段の選択結果nbitとを結合した(m+n)bit幅の結果値及び予め設定された初期値のいずれかを選択する第2の選択手段とを設け、
前記温度検出処理にて検出された温度が前記の温度が閾値を超えずかつ前記演算実行指示信号が有効となった時に連続して前記ベクトルレジスタの読出しアドレスを更新し、前記温度検出処理にて検出された温度が前記閾値を超えかつ前記演算実行指示信号が有効となった時に2のn乗間隔で前記ベクトルレジスタの読出しアドレスを更新することを特徴とする請求項4記載のベクトルレジスタアドレス制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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