説明

情報処理装置及びブート制御方法

【課題】所望のブートデバイスを装置に接続するだけで確実にそのブートデバイスからブート処理を実行させることができるようにする。
【解決手段】ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を予め記憶する。そして、記憶しているデバイス固有の情報が設定されたブートデバイスを最優先のブートデバイスとして決定する。検索順位に従いブートデバイスを検索して、検出されたブートデバイスからオペレーティングシステムを起動するためのブート処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブートデバイスを接続可能な情報処理装置及びこの装置のブート制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置、たとえばパーソナルコンピュータやPOS(Point Of Sales)ターミナル等は、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略称する)をはじめとして、フロッピーディスク(登録商標)ドライブ(以下、FDDと略称する)、光ディスクドライブ(以下、ODDと略称する)等の記憶デバイスを、ブートデバイスとして接続できるようになっている。
【0003】
この種の情報処理装置は、一般に、ブートデバイスの検索順位が予め設定されている。例えば、FDD→ODD→HDDの順に検索順位が設定されていたとする。この場合、情報処理装置の電源をオンして起動させると、情報処理装置のシステム制御部は、先ず、FDDにオペレーティング・システム(以下、OSと略称する)を記憶したフロッピーディスク(登録商標)が装着されているか否かを判断する。装着されていた場合には、FDDがブートデバイスであると認識する。そして、フロッピーディスクからOSを読み込み起動させるためのブート処理を実行する。
【0004】
装着されていない場合には、次に、ODDにOSを記憶した光ディスク(CD−ROM,DVD−ROM等)が装着されているか否かを判断する。装着されていた場合には、ODDがブートデバイスであると認識する。そして、光ディスクからOSを読み込み起動させるためのブート処理を実行する。
【0005】
装着されていない場合には、次に、HDDにOSが記憶されているか否かを判断する。記憶されている場合には、HDDがブートデバイスであると認識する。そして、HDDからOSを読み込み起動させるためのブート処理を実行する。
【0006】
このように、従来より、予め決められた順番に記憶デバイスを検索し、OSを記憶した記憶媒体が検出されると、その記憶デバイスをブートデバイスと認識してブート処理を実行する情報処理装置が知られている。
【0007】
ところで昨今では、フラッシュメモリの大容量化や、USB(Universal Serial Bus)等の周辺機器インターフェイスの高速化等に伴い、メモリカードや外付けメモリ等をブートデバイスとして使用する場合がある。メモリカードは、専用のメモリカードドライブでアクセス可能な可搬式記憶媒体である。外付けメモリは、周辺機器インターフェイスに準拠してデータの書込み及び読出しが可能な可搬式記憶媒体である。この種の可搬式記録媒体は、情報処理装置側から見るとHDDとして認識される。
【0008】
前述したように、情報処理装置は、起動時に、HDDがブートデバイスであるか否かを検索する。このとき、複数のHDDを認識した場合には、予め設定された順番にブートデバイスであるか否かを検索する。そして、ブートデバイスが検出されると、そのブートデバイスからブート処理を実行する。このときの検索の順番は、周辺機器インターフェイスなどの信号入出力部に対して予め割り当てられているポート番号の順というようにハード的に決まっている。
【0009】
したがって、ユーザが、所望の機能で情報処理装置を立ち上げるためにその機能用のOSが記憶された可搬式記憶媒体を情報処理装置に接続して電源をオンしたとしても、この可搬式記憶媒体よりも検索順位の早い記憶デバイスに他のOSが記憶されていたとすると、その記憶デバイスからOSが読み込まれて起動されるので、ユーザが所望する機能で情報処理装置を立ち上げることはできなかった。
【0010】
なお、特許文献1には、複数のブートデバイスの中から最優先でブート処理を実行するデバイスを、キー入力等の人為的な操作によって選択できるようにした情報処理装置が開示されている。このような情報処理装置であれば、ユーザがブートデバイスを任意に指定することができる。
【特許文献1】特開2001−188627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、ユーザがブートデバイスを任意に指定できるようにした従来の情報処理装置では、所望のブートデバイスからブート処理を実行させる際にはその都度必ずキー入力等の人為的な操作が必要となるため手間がかかる上、誤操作により所望のブートデバイス以外のブートデバイスからブート処理が実行されてしまう蓋然性があった。
【0012】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、所望のブートデバイスを装置に接続するだけで確実にそのブートデバイスからブート処理を実行させることができ、人的負荷を軽減できる上、誤作動がなく実用性に優れた情報処理装置及びこの装置のブート制御方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数のブートデバイスを接続可能な情報処理装置において、ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を記憶する記憶手段と、ブートデバイスの検索順位を決定する検索順位決定手段と、この検索順位決定手段により決定される検索順位に従いブートデバイスを検索して、検出されたブートデバイスからオペレーティングシステムを起動するためのブート処理を実行するブート処理実行手段とを備える。検索順位決定手段は、記憶手段で記憶しているデバイス固有の情報が設定されたブートデバイスを最優先のブートデバイスとして決定する。
【発明の効果】
【0014】
かかる手段を講じた本発明によれば、所望のブートデバイスを装置に接続するだけで確実にそのブートデバイスからブート処理を実行させることができ、人的負荷を軽減できる上、誤作動がなく実用性に優れた情報処理装置及びこの装置のブート制御方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
本発明の一実施の形態である情報処理装置1の要部構成を、図1のブロック図で示す。この情報処理装置1は、本体10に、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、バックアップ用バッテリを備えたRTC(Real Time Clock)14、キーボードコントローラ15、表示コントローラ16を内蔵している。そしてCPU11と、ROM12,RAM13,RTC14,キーボードコントローラ15及び表示コントローラ16とを、アドレスバス,データバス等のバスライン17で接続している。キーボードコントローラ15は、キーボード20を制御し、操作キーに対応したキー信号を取り込んで処理する。表示コントローラ16は、ディスプレイ30を制御し、表示データに対応した文字,画像等を表示させる。
【0016】
また、この情報処理装置1は、ODD41、FDD42、プリンタインターフェイス43、LAN(Local Area Network)インターフェイス44、メモリカードインターフェイス45及び複数(図では3個)の周辺機器インターフェイス46−1,46−2,46−3を備えている。これらは、いずれもバスライン17を介してCPU11と接続している。
【0017】
上記FDD42、プリンタインターフェイス43、LANインターフェイス44、メモリカードインターフェイス45及び各周辺機器インターフェイス46−1,46−2,46−3は、信号入出力部として機能する。これらの信号入出力部には、一連のポート番号が割り当てられている。プリンタインターフェイス43、LANインターフェイス44、メモリカードインターフェイス45、第1の周辺機器インターフェイス46−1、第2の周辺機器インターフェイス46−2、第3の周辺機器インターフェイス46−3の順番に、ポート番号「1」〜「6」が割り当てられている。
【0018】
ODD41は、光ディスク(CD−ROM,DVD−ROM等)を駆動して、データの読取りや書込みを行う。光ディスクは、ODD41に対して着脱自在な記憶媒体である。FDD42は、フロッピーディスクを駆動して、データの読取りや書込みを行う。フロッピーディスクは、FDD42に対して着脱自在な記憶媒体である。
【0019】
プリンタインターフェイス43は、プリンタケーブルを介してプリンタとの間でデータ信号を授受する。LANインターフェイス44は、LANケーブルを介して他の電子機器との間でデータ信号を授受する。メモリカードインターフェイス45は、メモリカードとの間でデータ信号を授受して、メモリカードのデータを読み取ったり、メモリカードにデータを書き込んだりする。メモリカードは、メモリカードインターフェイス45に対して着脱自在な記憶媒体である。
【0020】
各周辺機器インターフェイス46(46−1,46−2,46−3)は、それぞれ当該インターフェイスに対応した各種の周辺機器との間でデータ信号を授受する。USB、SCSI等が、これらのインターフェイスとして該当する。周辺機器には、外付けHDD、外付けFDD、外付けODD、外付けメモリ等の可搬式の記憶デバイスや、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイス、プリンタ、スキャナ、カードリーダ・ライタ等の入出力デバイス等がある。
【0021】
かかる構成の情報処理装置1は、不揮発性メモリであるROM12に、BIOS(Basic Input Output System)を記憶している。また、バックアップ用バッテリを備えたRTC14に、BIOSを実行する上で必要な各種の設定情報を記憶している。
【0022】
CPU11は、情報処理装置1の起動と同時にBIOSを起動する。そして、BIOSに従い、パワーオン処理及びブート処理を実行する。パワーオン処理については後述する。
【0023】
ブート処理は、ブートデバイスとして認識した記憶デバイスからOSを読み込み、RAM13のプログラムエリアに展開して起動する処理である。RTC14、ODD41、FDD42は、OSを起動するためのブートデバイスとして機能する。また、メモリカードインターフェイス45に接続されるメモリカードや、各周辺機器インターフェイス46にそれぞれ接続される可搬式の記憶デバイスも、ブートデバイスとして機能する。ただし、情報処理装置1は、周辺機器インターフェイス46に外付けFDDが接続された場合は、その外付けFDDをFDDと認識する。外付けHDDが接続された場合は、その外付けHDDをHDDと認識する。メモリカードや外付けメモリ等が接続された場合も、これらをHDDと認識する。したがって、ブートデバイスとなり得る記憶デバイスは、情報処理装置1側から見ると、HDD、ODD、FDDの3種類となる。
【0024】
情報処理装置1は、これら3種類の記憶デバイスについて、ブート処理の順番を予め設定している。これに関連して、情報処理装置1では、図2に示すように、ブート処理の順番を示すブート順位に対応して、各記憶デバイスの種別名(FDD0,ODD0,HDD0)を設定した記憶デバイスファイル50をRTC14に保存している。本実施の形態では、種別名FDD0で識別される記憶デバイスFDD42のブート順位を1位とし、種別名ODD0で識別される記憶デバイスODD41のブート順位を2位とし、種別名HDD0で識別される記憶デバイスHDDのブート順位を3位としている。
【0025】
また、ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を記憶する記憶手段として、情報処理装置1は、図3に示すように、特定デバイス名ファイル60をRTC14に保存している。本実施の形態では、記憶デバイスが有するデバイスディスクリプタのデバイス名(文字列)を、デバイス固有の情報として使用する。
【0026】
さらに、情報処理装置1は、ブート処理を最優先で実行するブートデバイスの順位を決定するために用いるワークエリアとして、図4に示すように、上記デバイス名等の文字列を記憶可能なデバイス名テーブル70をRAM13上に形成可能である。
【0027】
次に、前記パワーオン処理について、図5〜図7の流れ図を用いて説明する。電源スイッチの投入により情報処理装置1が起動すると、CPU11は、図5の流れ図に示すパワーオン処理を開始する。
【0028】
先ず、CPU11は、ST(ステップ)1としてキーボード20からBIOSセットアップを宣言する特定キーのキー信号が入力されているか否かを判断する。特定キーのキー信号が入力されている場合、すなわちユーザが、電源スイッチの投入と同時に特定キーを入力した場合には(ST1のYES)、CPU11は、BIOSセットアップ処理に移行する。
【0029】
情報処理装置1では、このBIOSセットアップ処理において、前記ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を、前記特定デバイス名ファイル60に設定することができる。この設定手順について、図7の流れ図を用いて説明する。
【0030】
BIOSセットアップ処理に移行すると、CPU11は、ST41としてディスプレイ30にBIOSセットアップメニューを表示させる。そして、ST42としていずれかのメニュー項目が選択されるのを待機する。そして、キーボード20のキー入力により、いずれかのメニュー項目が選択されると、CPU11は、そのメニュー項目に応じた処理を実行する。ここでは、特定デバイス名設定メニューが選択された場合について説明する。
【0031】
すなわち、ST43として特定デバイス名設定メニューが選択されると、CPU11は、ST44として文字列情報が入力されるのを待機する。キーボード20のキー入力により、文字列情報が入力されると、CPU11は、ST45として入力された文字列情報を特定デバイス名ファイル60に上書き保存する(設定手段)。その後、CPU11は、BIOSセットアップメニューの画面表示に戻る。
【0032】
なお、BIOSセットアップメニューには、終了メニューがある。終了メニューが選択されると、CPU11は、BIOSセットアップ処理を終了する。
【0033】
図5の説明に戻る。
特定キーのキー信号が入力されることなく電源スイッチが投入された場合には(ST1のNO)、CPU11は、ST3としてブート順位カウンタBを一旦“0”にリセットする。しかる後、ST4として上記ブート順位カウンタBを“1”だけカウントアップしたならば、ST5として記憶デバイスファイル50からブート順位B位(BはブートカウンタBのカウント値)に設定されている記憶デバイスの種別名を取得する。そして、取得した種別名で識別される記憶デバイスを当該情報処理装置から探し出す。
【0034】
CPU11は、ST6として該当する記憶デバイスを当該情報処理装置から探し出せたか否かを判定する。種別名FDD0については、FDD42または外付けFDDにフロッピーディスクが装着されている場合に記憶デバイス有りと判定し、装着されていない場合には記憶デバイス無しと判定する。種別名ODD0については、ODD41または外付けODDに光学ディスクが装着されている場合に記憶デバイス有りと判定し、装着されていない場合には記憶デバイス無しと判定する。種別名HDD0については、外付けHDD,メモリカード,外付けメモリ等が接続されているか否かにかかわらず、必ず記憶デバイス有りと判定する。
【0035】
記憶デバイス無しと判定した場合には(ST6のNO)、CPU11は、ST4に戻る。すなわち、ブート順位カウンタBをさらに“1”だけカウントアップし、記憶デバイスファイル50からブート順位B位に設定されている記憶デバイスの種別名を取得して、この種別名で識別される記憶デバイスを当該情報処理装置から探し出す。
【0036】
記憶デバイス有りと判定した場合には(ST6のYES)、CPU11は、ST7として最優先決定処理を実行する。この決定処理は、図6の流れ図に示す手順によって具体的に示される。
【0037】
先ず、CPU11は、ST21としてポート番号カウンタpを“0”にリセットする。次いで、ST22としてポート番号カウンタpを“1”だけカウントアップする。
【0038】
次に、CPU11は、ST23としてポート番号カウンタpが最大値に達したか否かを判断する。最大値に達していない場合には(ST23のNO)、CPU11は、ST24としてポート番号pの信号入出力部を検索する。そして、ST25として当該信号入出力部に、ブート順位B位の種別名で識別される記憶デバイスが接続されているか否かを判断する。当該記憶デバイスが接続されていない場合には、ST22の処理に戻る。すなわち、ポート番号カウンタpを「1」だけカウントアップし、ポート番号pの信号入出力部を検索して、ブート順位B位の種別名で識別される記憶デバイスが接続されているか否かを判断する。
【0039】
ポート番号pの信号入出力部に、ブート順位B位の種別名で識別される記憶デバイスが接続されていた場合には(ST25のYES)、CPU11は、ST26としてこの記憶デバイスから、デバイスディスクリプタのデバイス名を取得する。そして、ST27としてこのデバイス名が、特定デバイス名ファイル60に設定されているデバイス名と一致するか否かを判断する。
【0040】
一致しない場合には(ST27のNO)、CPU11は、1回に限りデバイス名テーブル70のデバイス名エリアに、この記憶デバイスから取得したデバイス名をセットする。すなわち、CPU11は、ST28として1回目の処理か否かを判断する。1回目の処理の場合には(ST28のYES)、CPU11は、ST29としてデバイス名テーブル70のデバイス名エリアに、この記憶デバイスから取得したデバイス名をセットする。そして、ST22に戻り、ポート番号カウンタpを“1”だけカウントアップする。これに対し、2回目以降の処理の場合には(ST8のNO)は、デバイス名エリアにデバイス名をセットすることなくST22の処理に戻り、ポート番号カウンタpを“1”だげカウントアップする。
【0041】
記憶デバイスから取得したデバイス名が特定デバイス名ファイル60に設定されているデバイス名と一致する場合には(ST27のYES)、CPU11は、ST30としてデバイス名テーブル70のデバイス名エリアに、この記憶デバイスから取得したデバイス名をセットする。以上で、最優先決定処理を終了する。
【0042】
なお、ポート番号カウンタpがポート番号の最大値に達した場合には(ST23のYES)、その時点で最優先決定処理を終了する。
【0043】
説明を図5に戻す。
最優先判定処理が終了すると、CPU11は、ST8としてデバイス名テーブル70のデバイス名または種別名で特定される記憶デバイスをブートデバイスとして選択する。そしてCPU11は、ST9としてこのブートデバイスを用いたブート処理の開始を指令する(ブート処理実行手段)。このとき、ブートデバイスにOSが記憶されていなければ、CPU11は、ブート失敗を表わすエラー表示を表示して終了する。
【0044】
このように構成された本実施の形態においては、所望の記憶デバイスに記録されたOSで情報処理装置を起動させたいユーザは、その記憶デバイスが有するデバイスディスクリプタのデバイス名を特定デバイス名ファイル60に設定する。すなわちユーザは、情報処理装置1のBIOSセットアップを宣言する特定キーを押下した状態で電源スイッチを投入する。そうすると、BIOSセットアップメニューの画面がディスプレイ30に表示されるので、ユーザは、特定デバイス名設定メニューを選択し、該当するデバイス名をキー入力する。そうすることにより、キー入力されたデバイス名が特定デバイス名ファイル60に上書き保存される。ユーザは、情報処理装置の電源を一旦オフする。なお、既に特定デバイス名ファイル60に所望のデバイス名が設定されている場合は、この設定作業を省略する。
【0045】
次に、ユーザは、該当する記憶デバイスを情報処理装置1に接続する。記憶デバイスがUSBフラッシュメモリ等の外付けメモリであるとすると、ユーザは、この外付けメモリをいずれかの周辺機器インターフェイス46に接続する。例えば第3の周辺機器インターフェイス46−3に外付けメモリを接続したとする。ここで、第1の周辺機器インターフェイス46−1には所定のデータファイルを記憶した外付けメモリが接続されており、メモリカードインターフェイス45には、別のOSが記憶されたメモリカードが接続されていたとする。なお、ODD41及びFDD42には、OSを記憶した光ディスクまたはフロッピーディスクが装着されていないものとする。
【0046】
次に、ユーザは、情報処理装置1の電源スイッチを再度投入する。このとき、特定キーは押下しない。そうすると、パワーオン処理のST3以降の処理が実行される。この場合、ブート順位1位の記憶デバイス種別名FDD0で識別される記憶デバイスは無いと判定される。同様に、ブート順位2位の記憶デバイス種別名ODD0で識別される記憶デバイスも無いと判定される。
【0047】
一方、ブート順位3位の記憶デバイス種別名HDD0で識別される記憶デバイスは有ると判定される。すなわち、RTC14の他、メモリカードインターフェイス45に接続されているメモリカードと、第1及び第3の周辺機器インターフェイス46−1,46−3にそれぞれ接続されている2つの外付けメモリの計3つの可搬式記憶媒体も、それぞれHDDと認識される。
【0048】
次に、情報処理装置1では、最優先決定処理が実行される。先ず、ポート番号の小さい順に信号入出力部が検索され、記憶デバイスが検出されると、その記憶デバイス名が1回に限りデバイス名テーブル70にセットされる。
【0049】
具体的には、はじめに、ポート番号「3」が割り当てられたメモリカードインターフェイス45のメモリカードが記憶デバイスとして検索され、そのデバイス名が、デバイス名テーブル70にセットされる。
【0050】
次に、ポート番号「4」が割り当てられた第1の周辺機器インターフェイス46−1の外付けメモリが記憶デバイスとして検索される。ただし、このデバイス名は、デバイス名テーブル70にセットされない。
【0051】
次に、ポート番号「6」が割り当てられた第3の周辺機器インターフェイス46−3の外付けメモリが記憶デバイスとして検索される。このデバイス名は、特定デバイス名ファイル60に設定された特定デバイス名と一致する。したがって、デバイス名テーブル70に当該第3の周辺機器インターフェイス46−3の外付けメモリのデバイス名が、ポート番号「4」が割り当てられた第1の周辺機器インターフェイス46−1の外付けメモリのデバイス名に替わってセットされる。
【0052】
その後、情報処理装置1では、デバイス名テーブル70のブートデバイスを選択する。すなわち、特定デバイス名ファイル60に設定された特定デバイス名の記憶デバイスが接続されていれば、最優先でブートデバイスとして選択される。一方、特定デバイス名ファイル60に設定された特定デバイス名の記憶デバイスが接続されていなければ、第3の周辺機器インターフェイス46−3に接続された外付けメモリがブートデバイスとして選択される。この外付けメモリにOSが記憶されていれば、そのOSで起動する。
【0053】
因みに、上述した具体例を従来の情報処理装置に当て嵌めてみると、ポート番号の小さいメモリカードインターフェイス45に装着されたメモリカードのデバイスがブートデバイスとして選択され、ブート処理が実行される。かくして、情報処理装置は所望以外のOSで起動してしまうことになる。
【0054】
本実施の形態によれば、予め所望のOSが記憶された外付けメモリのデバイス名を特定デバイス名ファイル60に設定しておくだけで、当該外付けメモリをどの周辺機器インターフェイス46−1〜46−3に接続しても優先的にブート処理が実行されるので、上記のような従来の不具合を解消することができる。その結果、ユーザは、外付けメモリを接続する周辺機器インターフェイス46のポート番号を意識する必要が無いので、ユーザの手間が軽減される。
【0055】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0056】
例えば、情報処理装置1のCPU11が実行するBIOSセットアップ処理において、ST44にて、入力された文字列情報が、デバイスディスクリプタのデバイス名として有効な情報か否かを判定し、有効な情報であると判断した場合のみ、ST45の処理を実行するように構成してもよい。
【0057】
また、前記実施の形態では、ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を、記憶デバイスが有するデバイスディスクリプタのデバイス名としたが、デバイス固有の情報はこれに限定されるものではない。例えば外付けメモリの場合、製品IDや製造番号等であってもよい。
【0058】
また、前記実施の形態では、特定デバイス名ファイル60に記憶するデバイス名を1つとしたが、複数のデバイス名を記憶可能としてそれぞれに優先順位を付し、必要に応じて優先順位を変更することで、適宜所望のOSで起動できるようにしてもよい。
【0059】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態である情報処理装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施の形態において、情報処理装置が有する記憶デバイスファイルの一例を示す図。
【図3】同実施の形態において、情報処理装置が有する特定デバイス名ファイルの一例を示す図。
【図4】同実施の形態において、情報処理装置が有するデバイス名テーブルの一例を示す図。
【図5】同実施の形態において、情報処理装置のCPUが実行するパワーオン処理の要部手順を示す流れ図。
【図6】図5における検索順位決定処理の要部手順を示す流れ図。
【図7】図5におけるBIOSセットアップ処理の要部手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0061】
1…情報処理装置、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…RTC、20…キーボード、30…ディスプレイ、41…ODD、42…FDD、43…プリンタインターフェイス、44…LANインターフェイス、45…メモリカードインターフェイス、46−1〜46−3…周辺機器インターフェイス、50…記憶デバイスファイル、60…特定デバイス名ファイル、70…デバイス名テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブートデバイスを接続可能な情報処理装置において、
ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を記憶する記憶手段と、
ブートデバイスの検索順位を決定する検索順位決定手段と、
この検索順位決定手段により決定される検索順位に従いブートデバイスを検索して、検出されたブートデバイスからオペレーティングシステムを起動するためのブート処理を実行するブート処理実行手段と、を具備し、
前記検索順位決定手段は、前記記憶手段で記憶しているデバイス固有の情報が設定されたブートデバイスを最優先のブートデバイスとして決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段に前記デバイス固有の情報を設定する設定手段、
をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数のブートデバイスを接続可能な情報処理装置のブート制御方法であって、
ブート処理を最優先で実行するブートデバイスを識別するデバイス固有の情報を記憶手段で記憶し、
起動時に、ブートデバイスの検索順位を決定し、
この検索順位を決定する際に、前記記憶手段で記憶しているデバイス固有の情報が設定されたブートデバイスを最優先のブートデバイスとして決定し、
決定された検索順位に従いブートデバイスを検索して、検出されたブートデバイスからオペレーティングシステムを起動するためのブート処理を実行することを特徴とする情報処理装置のブート制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−49412(P2010−49412A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211946(P2008−211946)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】