説明

情報処理装置及び情報処理方法並びに情報処理用プログラム

【課題】全体としての消費電力を低下させることが可能な配信システムを提供する。
【解決手段】インデックス情報により示されるコンテンツホルダからコンテンツをダウンロードするに当たり、現在配信中のコンテンツについての配信開始時刻、終了予測時刻、追加の配信可能数及び現配信数をコンテンツホルダから取得し(ステップS14乃至S16)、その中から、終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHを選択して(ステップS17)、コンテンツの配信を受ける(ステップS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法並びに情報処理用プログラムの技術分野に属し、より詳細には、ネットワークを介して配信されるべき映画等のコンテンツ(配信情報)を、当該配信用に蓄積する蓄積装置及び当該蓄積装置からの当該配信情報の配信等を行う情報処理装置及び当該情報処理装置における情報処理方法並びに当該情報処理用プログラムの技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等のネットワーク技術は著しく進歩しつつあり、その中で、例えば下記特許文献1に開示されている如きコンテンツ配信システムに関する研究が行われている。
【0003】
ここで、当該コンテンツ配信システムにおいて、例えば映画等のコンテンツは、その製作者又は管理者(当該製作者又は管理者を、以下単に管理者等と称する)により当該コンテンツ配信システム内のいずれかのコンテンツノードに対してネットワークを介して最初に配信され、当該各コンテンツノードにおいて蓄積/記憶される。なお、上記管理者等によりコンテンツ配信システム内に最初にコンテンツが配信されることを、以下、「コンテンツの投入」と称する。
【0004】
そして、当該投入されたコンテンツをコンテンツ配信システム内において配信する場合には、当該コンテンツに相当する動画情報等を蓄積/記憶している上記コンテンツノードから、当該コンテンツの視聴を希望する者により操作されるリクエストノードに対して当該動画情報等が配信(伝送)される。
【0005】
なお、当該「コンテンツノード」の定義付けについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0071]を参照することができ、また当該「リクエストノード」の定義付けについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0064]及び[0065]を参照することができる。
【0006】
また、上記コンテンツ配信システムにおいては、一旦投入されたコンテンツは、初期投入の後、最初に投入先となったコンテンツノードだけではなく、例えば分散ハッシュテーブル(いわゆるDHT(Distributed Hash Table))アルゴリズムに則って他のノード内にそのコンテンツの複製(レプリカ)が作成される。そして、当該レプリカが暫増的に作成されることで、最初に投入されたコンテンツノード以外にも、同一のコンテンツを蓄積/記憶するコンテンツノードがコンテンツ配信システム内に複数存在することとなる。これにより、配信元の分散が実現され、リクエストノードへの配信の迅速化及び安定化が図られることとなる。
【0007】
なお、上記レプリカが作成されたノードを、以下、適宜「レプリカノード」と称する。また、上記DHTアルゴリズムについては、例えば下記特許文献1の明細書段落番号[0039]乃至[0072]並びに図1乃至図5の記載を参照することができる。
【0008】
ここで、下記特許文献1に記載された上記DHTアルゴリズムに用いられるDHT内においては、各コンテンツノード又はレプリカノードについて相対的な重み付けがされていることがなかったため、配信が所望されているコンテンツを蓄積しているコンテンツノード又はレプリカノードについては、各ノードがほぼ均等の機会でもってそのコンテンツの配信の用に供されることとなっていた。
【特許文献1】特開2006−197400公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1記載のコンテンツ配信システムでは、上述した如く配信が所望されるコンテンツを蓄積しているコンテンツノード又はレプリカノードの各々がほぼ均等にそのコンテンツの配信の用に供されることとなっていたため、コンテンツ配信システム全体としてみた場合に稼働しているコンテンツノード又はレプリカノードの数が増加することとなる。
【0010】
この結果、多数のコンテンツノードやレプリカノードが一カ所に集められている例えば配信事業者等を想定する場合、その配信事業者等に係るコンテンツ配信システム全体としての消費電力が大きくなるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、上記の各問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、全体としての消費電力を低下させることが可能なコンテンツ配信システムに含まれるノード、当該ノードにおける情報処理方法及び当該ノード用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ネットワークを介して複数の情報処理装置が接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、配信用の配信情報を蓄積している前記情報処理装置である蓄積装置の所在を示す所在情報を取得する通信部等の所在情報取得手段と、前記取得した所在情報に対応する各前記蓄積装置に対して、前記配信状態を問い合わせるための問い合わせ情報を送信する通信部等の第1送信手段と、各前記蓄積装置における前記配信状態を示す配信状態情報であって前記送信された問い合わせ情報に対応して各前記蓄積装置から送信されて来る配信状態情報を受信する通信部等の受信手段と、前記受信した配信状態情報に基づき、各前記蓄積装置内に蓄積されている前記配信情報の配信を最も遅い時刻まで行うと予測される前記蓄積装置を検索する制御部等の検索手段と、前記検索された蓄積装置に対して、前記配信情報の配信を要求する配信要求情報を送信する通信部等の第2送信手段と、前記送信された配信要求情報を受信した前記蓄積装置から当該配信要求情報に対応して送信されて来る前記配信情報を取得する制御部部等の配信情報取得手段と、を備える。
【0013】
よって、いずれかの配信情報の配信を最も遅い時刻まで行っていると予想される蓄積装置から新たな配信情報の配信を受けるので、現在配信中の蓄積装置から同時並行的に更に新たな配信を受けることができる可能性が高くなることで、新たな蓄積装置において配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を抑制することができる。
【0014】
上記の課題を解決するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報処理装置において、前記配信状態情報には、当該配信状態情報が対応する前記蓄積装置に蓄積されている各前記配信情報についての配信完了予定時刻を示す予定時刻情報が含まれており、前記検索手段は、複数の前記蓄積装置の中から、前記配信完了予定時刻が最も遅い前記予定時刻情報を送信して来た前記蓄積装置を検索するように構成される。
【0015】
よって、配信状態情報として各蓄積装置から送信されて来る予定時刻情報に基づき、配信完了予定時刻が最も遅い配信情報を配信している蓄積装置を検索して配信要求情報を送信するので、各蓄積装置における配信状態を正確に把握して配信要求情報を送信することができる。
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報処理装置において、前記検索手段は、予め設定された待機時間の間に前記受信手段が受信した前記配信状態情報に対して検索を実行するように構成される。
【0017】
よって、予め設定されている待機時間の間に受信した配信状態情報内から検索を実行するので、無駄な待ち時間を要することなく迅速に必要な蓄積装置を検索して配信情報を取得することができる。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、前記配信状態情報には、当該配信状態情報が対応する前記蓄積装置において、追加して配信が可能な前記配信情報の数を示す配信可能数情報が含まれており、前記検索手段は、前記追加配信が可能な配信情報の数が零より大きい配信可能数を示す前記配信可能数情報を送信して来た前記蓄積装置に対して検索を実行するように構成される。
【0019】
よって、追加配信が可能な蓄積装置から検索を実行するので、例えば、更なる配信が不可能な蓄積装置に対して配信要求情報を送信する等の無駄な処理を行うことなく迅速に必要な蓄積装置を検索して配信情報を取得することができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、ネットワークを介して複数の情報処理装置が接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において実行される情報記録方法において、配信用の配信情報を蓄積している前記情報処理装置である蓄積装置の所在を示す所在情報を取得する所在情報取得工程と、前記取得した所在情報に対応する各前記蓄積装置に対して、前記配信状態を問い合わせるための問い合わせ情報を送信する第1送信工程と、各前記蓄積装置における前記配信状態を示す配信状態情報であって前記送信された問い合わせ情報に対応して各前記蓄積装置から送信されて来る配信状態情報を受信する受信工程と、前記受信した配信状態情報に基づき、各前記蓄積装置内に蓄積されている前記配信情報の配信を最も遅い時刻まで行うと予測される前記蓄積装置を検索する検索工程と、前記検索された蓄積装置に対して、前記配信情報の配信を要求する配信要求情報を送信する第2送信工程と、前記送信された配信要求情報を受信した前記蓄積装置から当該配信要求情報に対応して送信されて来る前記配信情報を取得する配信情報取得工程と、を含む。
【0021】
よって、いずれかの配信情報の配信を最も遅い時刻まで行っていると予想される蓄積装置から新たな配信情報の配信を受けるので、現在配信中の蓄積装置から同時並行的に更に新たな配信を受けることができる可能性が高くなることで、新たな蓄積装置において配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を抑制することができる。
【0022】
上記の課題を解決するために、請求項6に記載の発明は、コンピュータを、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させる。
【0023】
よって、いずれかの配信情報の配信を最も遅い時刻まで行っていると予想される蓄積装置から新たな配信情報の配信を受けるようにコンピュータが機能するので、現在配信中の蓄積装置から同時並行的に更に新たな配信を受けることができる可能性が高くなることで、新たな蓄積装置において配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、いずれかの配信情報の配信を最も遅い時刻まで行っていると予想される蓄積装置から新たな配信情報の配信を受けるので、現在配信中の蓄積装置から同時並行的に更に新たな配信を受けることができる可能性が高くなることで、新たな蓄積装置において配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を抑制することができる。
【0025】
従って、コンテンツ配信システム全体としての消費電力を低下させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、インターネット等のネットワークを用いて上記コンテンツの配信を行う配信システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。更に具体的には、当該ネットワークに属する端末装置間で、当該コンテンツが相互に直接授受される(換言すれば、コンテンツを複数の端末装置間で共有する)配信システム、すなわちいわゆるP2P(Pear to Pear)型の配信システムに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。なお、以下の説明においては、上記端末装置を一般的に「ノード」と称することとする。
(I)本発明の原理
初めに、本発明の実施形態について具体的に説明する前に、本発明の原理につき、実施形態に係るP2P型配信システム(以下、単に配信システムと称する)の概要と共に説明する。
【0027】
(A)配信システムの概要
先ず、実施形態に係る配信システムの概要につき、図1及び図2を用いて一般的に説明する。なお、図1及び図2は当該配信システムの概要を示す模式図である。
【0028】
上記特許文献1に記載されているDHTを用いた配信システムでは、上記特許文献1にも一部記載されているが、その配信システムによって配信されるコンテンツ自体にも、他のコンテンツとは異なるユニークなコンテンツIDを付与する。このコンテンツIDのビット長も上記ノードIDのビット長と同一とされる。そして、当該コンテンツIDとして一般的には、そのコンテンツのタイトルを示すタイトルデータ、コンテンツを構成するデータの属性を示す属性データ、コンテンツを構成するデータのうち先頭から数バイト分のデータ等に対してハッシュ関数を適用して得られる値を用いる。
【0029】
ここで、対応するノードID及びコンテンツIDが相互に同じビット長で表現されていることも関連して、上記ノード及びコンテンツは、同一のリング状の仮想的なID空間上に点在するものとして考えることができる。すなわち、一のノードを●で表示し且つ一のコンテンツを○で表示する図1(a)に示すように、コンテンツが属するリングRcとノードが属するリングRnとを仮想的に同心円状に想定する。そして更に、各リングRc及びRnにおいて反時計回りに各IDの値が増加すると規定すると、各ノード又は各コンテンツは、各リングRc及びRn上に重なることなく存在すると仮定できるのである。なお、各IDを上記の例のように128ビット長で表現すると桁数が多くなりすぎるので、図1(a)においては、説明の簡略化のために、各IDのビット長を32ビットとして表現している(以下、同様)。そして、上述したように各IDの値を決めるに当たってハッシュ関数を用いたことに起因して、各ノード及び各コンテンツは、上記各リングRc及びRn上に偏ることなく概ね分散して存在することとなる。
【0030】
一方、上記DHTを用いた配信システムでは、「あるコンテンツIDが付与されているコンテンツを管理するノードは、そのコンテンツIDの値に一番近い値を有するノードIDが付与されているノード」とされている。
【0031】
ここで、「近い」とは、その配信システムに関する各種規定等において一貫してさえいればどのような定義付けでも良い。具体的には例えば、「そのコンテンツIDの値を超えない値であって且つIDとしての値同士の差が最も小さいもの」というように定義付けられる。
【0032】
より具体的には、例えば図1(a)に例示するように、ノードIDの値が「A0334055」であるノードとノードIDの値が「A03340FF」であるノードとがリングRn上で隣り合って存在しているとする。この場合において、コンテンツIDの値が「A0334080」であるコンテンツは、ノードIDの値が「A0334055」であるノードが管理することになる。なお、図1(a)では、○のコンテンツを管理する端末情報を、当該各○から伸びた矢印で示している。このようにすると、多数のノードで分散して様々なコンテンツを管理することができる。
【0033】
このとき、「管理」とは、そのコンテンツIDが付与されているコンテンツをその中に記録しているという意味ではなく、そのコンテンツが記録されているノードの所在(例えばIPアドレス等)を認識しているとの意味である。実際にコンテンツが記録されているノードと管理するノードとが異なっても良いし、或いは管理するノード内にその管理対象であるコンテンツが記録されていても良い。
【0034】
そして、上述したコンテンツ管理用のノードを「ルートノード」と称する。ルートノードは、それが管理することとされているコンテンツを示すコンテンツIDと、当該コンテンツIDにより示されるコンテンツが記録されているノードのIPアドレスと、の対からなるインデックス情報を記録し、これを配信システム内の他のノードから参照可能に記録する。このインデックス情報内に、そのコンテンツのタイトルやその属性(ジャンル)等が含まれる場合もある。
【0035】
また、異なるコンテンツを夫々示すコンテンツIDが偶然に近い値となり、その値に近い値のノードIDを有するノードが他に存在しない場合には、一つのルートノードが複数のコンテンツに対応する複数のインデックス情報を記録することとなる。更に、同一のコンテンツが異なる複数のノード内に記録されている場合であって、その同一のコンテンツを記録しているノードが偶然に一つのルートノードに近い場合、当該ルートノードには、同一のコンテンツが夫々に記録されている複数のノードのインデックス情報が記録されることとなる。上述してきたルートノード内のインデックス情報EXの一例を図1(b)に示す。
【0036】
更に、実際に各コンテンツ自体を記録しているノードを「コンテンツホルダ」と称する。このとき、当該コンテンツホルダ自体はノードであるから、そのノードIDは、図1(a)におけるリングRn上に存在していることになる。
【0037】
次に、上記DHTを用いた配信システムにおいて、上述したように全てのノードのIPアドレスを各ノード夫々が記録する必要性を排除するための工夫の一つであるDHT(ルーティングテーブル)自体について説明する。
【0038】
実施形態に係るDHTには、図1に例示したID空間を段階的なレベル毎にレベル数を上げつつ細分化(例えば、レベル1の場合は当該ID空間を四分割)していき、そのレベル毎(段階的に細分化した領域毎)に、任意のノードのノードIDとそのIPアドレスとを対としたルーティング情報が記述されている。そして、例えばコンテンツの配信元情報を要求するための配信元問い合わせ情報をそのインデックス情報が記録されているルートノードに転送する場合、このルーティング情報を参照しつつ当該問い合わせ情報を目的のルートノードまで転送する。すなわち、DHTにおけるレベルが上がる度に、ルーティング先のノードIDが到達しようとするルートノードのノードIDに一桁ずつ合致していき、最終的に当該到達しようとするルートノードに上記要求情報が到達することになる。
【0039】
なお、DHTを用いた配信システムにおいては、上述した如き問い合わせ情報(クエリ)や、そのコンテンツの配信自体を要求する配信要求情報、及び後述する登録メッセージ及びダウンロード要求メッセージなどを「メッセージ」と称している。そして、上述した仕組みのDHTを使うと、上記メッセージを図1に例示する如き上記ID空間内で効率よく目的のノードまで転送することができる。なお、以下の説明においては、コンテンツホルダにおいて新たにコンテンツが記録された場合に、それを他のノードから発見可能にする(公開する)ために、当該コンテンツホルダにおいて生成されるメッセージを登録メッセージと称し、後述するリクエスタからルートノード又は後述するキャッシュノードに対して送信するメッセージを配信元問い合わせメッセージと称する。
【0040】
ここで、上述したようにルートノードのノードIDの値は、そのルートノードがコンテンツを管理しているコンテンツホルダのノードIDの値に最も近いのであるから、上記配信元問い合わせメッセージは、当該配信要求メッセージにより要求されているコンテンツホルダに到達する直前に、配信要求対象のコンテンツを管理するルートノードに到達することになる。そして、当該配信元問い合わせメッセージを受け取ったルートノードは、その配信元問い合わせメッセージにより要求されているコンテンツを蓄積しているコンテンツホルダのIPアドレス等を、当該配信元問い合わせメッセージの発信元まで返信する。すなわち、ルートノード内に記録されているインデックス情報(図1(b)参照)の中から、当該配信元問い合わせメッセージにより要求されているコンテンツを示すタイトル、属性情報及びそのコンテンツホルダとしてのノードのIPアドレス等が配信元問い合わせメッセージの発信元であるノードまで返信される。このようなDHTの活用により、効率的に所望のコンテンツの所在が例えば配信要求元において認識できるのである。なお、上述したコンテンツの配信要求元であるノードを、以下「リクエスタ」と称する。
【0041】
次に、あるノードに新たなコンテンツが蓄積された場合における当該コンテンツの登録処理について説明する。
【0042】
新しいコンテンツがノード、すなわちそのコンテンツのコンテンツホルダに蓄積されると、そのコンテンツホルダは、配信システム内の他のノードに対してそのコンテンツが蓄積されたことを公開することになる。
【0043】
すなわち、あるノードに新たなコンテンツが蓄積されたとき、当該蓄積されたコンテンツに対するコンテンツホルダとなるそのノードは、蓄積されたコンテンツのタイトル等に基づき、当該コンテンツに対応するコンテンツIDを算出する。
【0044】
次に、当該コンテンツホルダは、算出されたコンテンツIDと同じ値を有するノードIDを有するノードを到達先として(そのノードIDを有するノードが実在するかどうかに拘わらず)、登録メッセージを送信する。この登録メッセージは、そのコンテンツを示すタイトル、属性情報及びそのコンテンツホルダとしてのノードのIPアドレス等を含むものであり、上記DHTの記述に従って各ルーティング先を介して各レベルの到達先としてのノードに順次転送される。
【0045】
そして、最も近い値のノードIDを有するノードに到達すると、そのノードはその後にその登録メッセージを転送すべきノードがID空間内に存在しないことが認識して(DHTで桁合わせをすると、次に転送すべきノードが自分自身であることを認識する)、この時点で当該登録メッセージが到達しているノードが新たなコンテンツを管理するルートノードとなることになる。これにより、当該ルートノードとなったノードは、登録メッセージ含まれているコンテンツID及びコンテンツホルダを示すIPアドレス並びに属性情報等を図1(b)に例示するインデックス情報EXとして記録する。
【0046】
次に、実施形態に係る配信システムにおける「キャッシュノード」なる概念について、図2を用いて説明する。なお、図2においては、ルートノードを二重丸で示し、コンテンツホルダを内部に×が記された○で示し、リクエスタを内部に|が記された○で示し、後述するキャッシュノードを内部に+が記された○で示し、他の一般のノードは●で示す。
【0047】
上述したDHTを用いたルーティングによりリクエスタRQ1乃至RQ3からの配信元問い合わせメッセージQrをルートノードRN(又はコンテンツホルダCH)に転送する場合、その転送経路(図2(a)及び図2(b)において破線で示す)は、図2(a)に示すように上述した登録メッセージQpが辿った経路(図2(a)及び図2(b)において実線で示す)と似た経路となるので、この経路上にある各ノード(図2(a)において符号CNで示す)においても図1(b)に例示するインデックス情報EXを記録しておけば、当該経路を経る配信元問い合わせメッセージQrに対応して、その到達先であるルートノードRN又はコンテンツホルダCHに当該配信元問い合わせメッセージQrが到達する前に、早い段階で当該配信元問い合わせメッセージQrに対応する回答としての返信情報RT(図2(b)参照)をリクエスタRQ1乃至RQ3まで返信することができる。
【0048】
すなわち、配信システム内に公開されたコンテンツの配信を要求するリクエスタRQ1乃至RQ3が、そのコンテンツが記録されているノード(すなわちコンテンツホルダCH)のIPアドレスを要求する旨の配信元問い合わせメッセージQrを送信する。そして、当該送信された配信元問い合わせメッセージQrは各ノード内のDHTに記述されているルーティング先を転送されルートノードRNに近づいていく。その後、最終的には、その経路がコンテンツホルダCHからの登録メッセージQpの経路と合流して、ルートノードRNに到達する。
【0049】
ここで、図2(a)に示したリングRc上の経路を木構造に置き換えると図2(b)に示した如きものとなるが、これを、以下「スパニングツリー」と称する。
【0050】
図2(a)に示したように、各リクエスタRQから送信された配信元問い合わせメッセージQrの経路とコンテンツホルダCHから送信された登録メッセージQpの経路とは、それら経路上のいずれかのノードにおいていずれ交わる。そこで、公開用の登録メッセージQpをルートノードRNまで到達させる経路上にあるノード夫々に当該登録メッセージQpに含まれているインデックス情報EXを、一時的に記録可能な一時記録領域に記録させつつ(すなわち、一時的にキャッシュさせつつ)当該登録メッセージQpの転送を行う。そうすれば、リクエスタRQからの配信元問い合わせメッセージQrに対する返信を、ルートノードRNに至る経路上の配信元問い合わせメッセージQrが到達したノードから、配信元問い合わせメッセージQrがルートノードRNに到達する前に行うことができるのである。このようにルートノードRN以外のノードであってインデックス情報EXを一時的に記録しているノードを、以下「キャッシュノード」CNと称する。
【0051】
そして、上記ルートノードRN及びキャッシュノードCNに夫々記録されているインデックス情報EXを参照することで、図2(b)に示すように、リクエスタRQからの配信元問い合わせメッセージQrをルートノードRNまで到達させずとも、キャッシュノードCNから、当該配信元問い合わせメッセージQrに対応する返信情報RTを各リクエスタRQまで返信することができる。
【0052】
(B)本発明の原理
次に、概要を上述した配信システムを前提とする本発明に原理について説明する。
【0053】
従来では、上述した返信情報RTを受信したリクエスタRQでは、当該受信した返信情報RTに含まれているインデックス情報EXに対応するコンテンツホルダCHのいずれかを選択する。そして、当該選択したコンテンツホルダCHに対して、配信を所望するコンテンツを示すコンテンツIDを含むダウンロード要求メッセージを送信する。そして、当該送信されたダウンロード要求メッセージに対応して、当該ダウンロード要求メッセージを受信したコンテンツホルダCHから必要なコンテンツをリクエスタRQに送信することとされていた。
【0054】
これに対し、本発明では、返信情報RTを受信したリクエスタRQは、先ず、当該受信した返信情報RTに含まれているインデックス情報EXに対応するコンテンツホルダCHの夫々に対して、本発明に係るインデックス情報(以下、本発明に係るインデックス情報を、単に追加インデックス情報と称する)の送信を改めて要求する旨のインデックス要求メッセージを送信する。
【0055】
そして、当該インデックス要求メッセージを受信した各コンテンツホルダCHは、返信用の追加インデックス情報として、従来の上記インデックス情報EX(対応するコンテンツホルダCHのIPアドレス等を含むインデックス情報EX(図1(b)参照))の内容に追加して、当該コンテンツホルダCHにおける他のコンテンツの配信状態を示す配信状態情報を含ませてリクエスタRQに返信する。このとき、当該配信状態情報には、配信開始時刻情報と、終了予測時刻情報と、配信可能数情報と、現配信数情報と、が含まれている。
【0056】
ここで、当該配信開始時刻情報とは、そのインデックス情報EXが対応するコンテンツホルダCHから現在配信している各コンテンツの配信開始時刻を夫々示す情報である。
【0057】
また、終了予測時刻情報とは、当該配信中の各コンテンツにおける配信の終了予測時刻を夫々示す情報である。このとき、当該終了予測時刻は、対応する配信開始時刻情報により示される配信開始時刻及び配信対象たるコンテンツのデータ量を用いてその配信所要時間を算出し、その算出された配信所要時間を配信開始時刻に加算して得られる時刻である。
【0058】
更に、配信可能数情報は、対応するコンテンツホルダCHから、現在配信している各コンテンツに追加して更に配信可能なコンテンツの数を示す情報である。
【0059】
更にまた、現配信数情報とは、そのコンテンツホルダCHから現在配信しているコンテンツの総数を示す情報である。
【0060】
なお、上記配信開始時刻情報及び配信可能数情報における「現在配信している各コンテンツ」並びに上記現配信数情報における「現在配信しているコンテンツ」とは、夫々、上記インデックス要求メッセージを受信したコンテンツホルダCHが現在いずれかのリクエスタRQに配信している全てのコンテンツをいう。
【0061】
そして、追加インデックス情報を一又は複数受信した本発明に係るリクエスタRQは、その追加インデックス情報に夫々対応するコンテンツホルダCHのうち、上記終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHを選択する。
【0062】
その後、当該選択したコンテンツホルダCHに対してダウンロード要求メッセージを改めて送信することで、所望されるコンテンツの配信をその選択したコンテンツホルダCHから受ける。
【0063】
このように、他のリクエスタRQに対する配信の終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHから並列して所望のコンテンツの配信を受けることで、現在配信を行っているコンテンツホルダCH以外の他のコンテンツホルダCHが新たなコンテンツの配信のための稼働を開始することがない。そして、そのコンテンツホルダCHから並行していずれかのコンテンツの配信を受けることで、結果として配信システム全体として稼働中のコンテンツホルダCHの数を減らし(換言すれば増加させないようにし)、当該全体としての消費電力及び騒音の低減を実現することができるのである。
(II)実施形態
次に、上述した原理に則った本発明に係る実施形態について、具体的に図3及び図4を用いて説明する。
【0064】
初めに、実施形態に係るノードの概要構成について図3を用いて説明する。なお、図3は実施形態に係るノードの概要構成を示すブロック図である。また、本実施形態においては、上記コンテンツホルダCH、リクエスタRQ、ルートノードRN、キャッシュノードCN及びその他のノードNは、基本的に全て同一のハードウエア構成を有するものであるので、それらを代表して一般のノードNの構成について、図3を用いてその概要を説明する。
【0065】
図3に示すように、実施形態に係る配信システムに含まれているノードNは、制御部11と、記憶部12と、バッファメモリ13と、デコーダ部14と、映像処理部15と、CRT(Cathode Ray Tube)又は液晶ディスプレイ等よりなる表示部16と、音声処理部17と、スピーカ18と、通信部20と、例えばキーボード及びマウス或いは操作パネル等を含む入力部21と、により構成されている。
【0066】
この構成において、制御部11は、演算機能を有するCPU、作業用RAM(Random Access Memory)、各種データ及びプログラムを記録するROM(Read Only Memory)等から構成されている。
【0067】
また、記憶部12は、上記コンテンツ自体としてのコンテンツデータ、上記インデックス情報EX、上記DHT及びその他の必要なプログラム等を記録保存(格納)するためのHDD等から構成されている。なお、上記コンテンツデータは、その配信前はコンテンツホルダCHとしてのノードN内の記憶部12内にのみ記録されている。
【0068】
更に、バッファメモリ13は、受信されたコンテンツデータを一時蓄積する。そして、デコーダ部14は、コンテンツデータに含まれるエンコード(符号化)されたビデオデータ(映像情報)及びオーディオデータ(音声情報)等をデコード(データ伸張や復号化等)する。その後、映像処理部15は、当該デコードされたビデオデータ等に対して所定の描画処理を施しビデオ信号として出力する。そして、表示部16は、当該映像処理部15から出力されたビデオ信号に基づき映像表示する。
【0069】
一方、音声処理部17は、上記デコードされたオーディオデータをアナログオーディオ信号にD/A(Digital/Analog)変換した後これを増幅器等により増幅して出力する。そして、スピーカ18は、当該音声処理部17から出力されたオーディオ信号を音波として出力する。
【0070】
他方、通信部20は、ネットワーク8を通じて他のノード装置1との間の情報の通信制御を行なうために用いられる。
【0071】
更に、入力部21は、夫々の使用者からの指示を受け付け当該指示に応じた指示信号を制御部11に出力する。
【0072】
更にまた、制御部11、記憶部12、バッファメモリ13、デコーダ部14、及び通信部20はバス22を介して相互にデータの授受が可能に接続されている。
【0073】
そして、制御部11におけるCPUが記憶部12等に記録された各種プログラムを実行することにより、当該制御部11が、リクエスタRQ、キャッシュノードCN、ルートノードRN、コンテンツホルダCH又はそれら以外の一般のノードNとしての全体動作を統括制御する。
【0074】
なお、上記ノードNが本発明に係る情報処理装置としてのリクエスタRQである場合は、制御部11が本発明に係る検索手段及び配信情報取得手段として機能し、通信部20が本発明に係る所在情報取得手段、第1送信手段、第2送信手段及び受信手段として機能する。
【0075】
次に、コンテンツホルダCH及びリクエスタRQに分けて、実施形態に係る各ノードNの動作について説明する。なお、実施形態に係るルートノードRN及びキャッシュノードCNとしてのノードNの動作は、基本的に従来のもの同様であるので、細部の説明は省略する。
【0076】
(A)コンテンツホルダにおける動作
先ず、実施形態に係るコンテンツホルダCHにおける動作について、図4(a)を用いて説明する。なお、図4(a)は、実施形態に係るコンテンツホルダCHにおける動作を示すフローチャートである。
【0077】
また、実施形態に係るコンテンツホルダCHにおける動作のうち、新たなコンテンツの登録動作は従来と同様であるのでその説明を省略する。図4(a)に示す動作は、いずれかのリクエスタRQから上記インデックス要求メッセージを受信した以降の実施形態に係るコンテンツホルダCHの動作のみを示すものである。
【0078】
先ず、実施形態に係るコンテンツホルダCHの動作は、いずれかのメッセージを受信したときに開始される。
【0079】
次に、当該コンテンツホルダCH内の制御部11は、図4(a)に示すように、その受信したメッセージが上記インデックス要求メッセージであるか、或いはダウンロード要求メッセージであるか、を確認する(ステップS1)。
【0080】
そして、受信したメッセージがインデックス要求メッセージである場合は(ステップS1;インデックス要求メッセージ)、当該制御部11は、従来の上記インデックス情報EXの他に、その時点での上記配信開始時刻情報、終了予測時刻情報、配信可能数情報及び現配信数情報を含む上記追加インデックス情報を生成する。
【0081】
その後、当該制御部11は、当該生成された追加インデックス情報を上記インデックス要求メッセージを送信して来たリクエスタRQに送信し(ステップS2)、実施形態に係るコンテンツホルダCHとしての動作を終了する。
【0082】
一方、ステップS1の判定において、受信したメッセージがダウンロード要求メッセージである場合は(ステップS1;ダウンロード要求メッセージ)、当該制御部11は、当該ダウンロード要求メッセージにより示されるコンテンツを、当該ダウンロード要求メッセージを送信して来たリクエスタRQにネットワークを介して送信し(ステップS3)、実施形態に係るコンテンツホルダCHとしての動作を終了する。
【0083】
(B)リクエスタにおける動作
次に、実施形態に係るリクエスタRQにおける動作について、図4(b)を用いて説明する。なお、図4(b)は実施形態に係るリクエスタRQにおける動作を示すフローチャートである。
【0084】
実施形態に係るリクエスタRQの動作は、使用者による所望のコンテンツの配信を要求する旨の操作が当該リクエスタRQ内の入力部21において実行されることにより開始される。
【0085】
そして、リクエスタRQ内の制御部11は、図4(b)に示すように、当該配信要求されたコンテンツを示すコンテンツIDを算出し、配信元問い合わせメッセージQrを生成する(ステップS11)。
【0086】
次に、当該制御部11は、実施形態に係る配信システム内のネットワークにおけるスパニングツリー上でルートノードRNに向けて当該生成された配信元問い合わせメッセージQrを送信し(ステップS12)、その送信結果として所望するインデックス情報EXを、一又は複数リスト形式にて取得する(ステップS13)。
【0087】
次に、当該制御部11は、インデックス情報EXを受信した場合、当該受信したインデックス情報EXに夫々対応するコンテンツホルダCHに対して、各々、上記インデックス要求メッセージを送信する(ステップS14)。
【0088】
その後、当該制御部11は、当該インデックス要求メッセージに対する上記追加インデックス情報の返信を待機する。この間、予め設定された待機時間Tを経過しても追加インデックス情報が返信されてこないコンテンツホルダCHについては、例えばその電源がオフとされている等の原因によりコンテンツの配信が不可能となっているとして、当該制御部11は、上記ステップS13において受信したリストの中から削除する(ステップS15)。
【0089】
次に、インデックス要求メッセージを送信した各コンテンツホルダCHから夫々追加インデックス情報が返信されて来たら、当該制御部11は、当該返信されて来た各追加インデックス情報に含まれている上記配信開始時刻情報、終了予測時刻情報、配信可能数情報及び現配信数情報の内容を確認する。
【0090】
そして、配信可能数情報が零であるコンテンツホルダCHについて、当該制御部11は、更なるコンテンツの追加配信が不可能であるとして、上記ステップS13において受信したリストの中から削除する(ステップS16)。
【0091】
そして、当該制御部11は、当該リストに残っているコンテンツホルダCHの中から、終了予測時刻情報により示されるコンテンツ配信の終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHに接続して(ステップS17)、所望するコンテンツの配信を受ける(ステップS18)。以上の動作により、実施形態に係るリクエスタRQとしての処理を完了する。
【0092】
以上夫々説明したように、実施形態に係るノードNとしてのコンテンツホルダCH及びリクエスタRQの動作によれば、いずれかのコンテンツの配信を最も遅い時刻まで行っていると予想されるコンテンツホルダCHから新たなコンテンツの配信を受けるので、現在配信中のコンテンツホルダCHから同時並行的に更に新たな配信を受けることができる可能性が高くなることで、新たなコンテンツホルダCHにおいて配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を抑制することができる。特に、リクエスタRQにおいて配信を所望するコンテンツ以外の他のコンテンツをも対象として追加インデックス情報が送信されて来るので、全てのコンテンツを対象として、現在配信中且つ終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHを検索することができる。
【0093】
従って、配信システム全体としての消費電力を低下させることが可能となる。
【0094】
また、追加インデックス情報として各コンテンツホルダCHから送信されて来る終了予測時刻情報に基づき、配信の終了予測時刻が最も遅いコンテンツを配信しているコンテンツホルダCHを検索してダウンロード要求メッセージを送信するので、各コンテンツホルダCHにおける配信状態を正確に把握してダウンロード要求メッセージを送信することができる。
【0095】
更に、予め設定されている待機時間Tの間に受信した追加インデックス情報内から検索を実行するので、無駄な待ち時間を要することなく迅速に必要なコンテンツホルダCHを検索してコンテンツを取得することができる。
【0096】
更にまた、追加配信が可能なコンテンツホルダCHから検索を実行するので、例えば、更なる配信が不可能なコンテンツホルダCHに対してダウンロード要求メッセージを送信する等の無駄な処理を行うことなく迅速に必要なコンテンツホルダCHを検索してコンテンツを取得することができる。
【0097】
なお、上述した実施形態において、終了予測時刻が最も遅いコンテンツホルダCHが複数存在するときには、配信可能数情報により示される配信可能数が最も多いコンテンツホルダCHから、次に配信が所望されている他の配信情報を配信させるように構成すればよい。
【0098】
この構成によれば、新たなコンテンツホルダCHにおいて配信処理が開始されることに起因する消費電力の増大等を更に抑制することができる。
【0099】
また、上述した実施形態では、配信状態情報として配信開始時刻情報、終了予測時刻情報、配信可能数情報及び現配信数情報が含まれている追加インデックス情報について説明したが、これ以外に、例えば、コンテンツホルダCHにおける記憶部12の累積稼働時間を示す情報、コンテンツホルダCHからリクエスタRQまでの間のネットワークにおけるホップ数又は回線の周波数帯域(回線速度)を示す情報、コンテンツホルダCHにおける電源スイッチのオン/オフの頻度を示す情報等を、追加インデックス情報に含ませても良い。
【0100】
そしてリクエスタRQの制御部11では、これらの累積稼働時間情報等を含めて、他のコンテンツを含めた配信を最も遅くまで行っており、且つ最も高速且つ安定的にコンテンツの配信を受け得るコンテンツホルダCHを選択して上記ダウンロード要求メッセージを送信する構成とすることができる。
【0101】
なお、上記の「高速且つ安定的」か否かの判断に当たっては、例えば、累積稼働時間がより少なく、ホップ数がより少なく、回線の周波数帯域がより広く、或いは電源スイッチのオン/オフの頻度がより少ないコンテンツホルダCHを選択することで、高速且つ安定的なコンテンツの配信を受けることができる。
【0102】
この構成によれば、より確実に消費電力の増大等を抑制することができる。
【0103】
なお、上述した図4(a)及び(b)に夫々示すフローチャートに対応するプログラムを、フレキシブルディスク又はハードディスク等の情報記録媒体に記録しておき、又はインターネット等を介して取得して記録しておき、これらを汎用のコンピュータで読み出して実行することにより、当該コンピュータを実施形態に係る制御部11として機能させることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上夫々説明したように、本発明はネットワークを介したコンテンツの配信の分野に利用することが可能であり、特にダウンロード形式によるコンテンツの配信の分野に適用すれば特に顕著な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】各実施形態に係る配信システムの概要を示す模式図(I)であり、(a)は当該配信システムにおけるID空間を示す模式図であり、(b)はインデックス情報を例示する図である。
【図2】各実施形態に係る配信システムの概要を示す模式図(II)であり、(a)は当該配信システムにおけるメッセージの伝送状態を示す模式図であり、(b)はスパニングツリーとして表した当該メッセージの伝送状態を示す図である。
【図3】実施形態に係るノードの概要構成をコンテンツホルダ等について共通的に示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るコンテンツホルダ及びリクエスタにおける動作を示すフローチャートであり(a)は当該コンテンツホルダにおける動作を示すフローチャートであり、(b)は当該リクエスタにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
11 制御部
12 記憶部
13 バッファメモリ
14 デコーダ部
15 映像処理部
16 表示部
17 音声処理部
18 スピーカ
20 通信部
21 入力部
22 バス
Rc、Rn リング
EX インデックス情報
CH コンテンツホルダ
RQ、RQ1、RQ2、RQ3 リクエスタ
RN ルートノード
CN キャッシュノード
Qp 登録メッセージ
Qr 配信元問い合わせメッセージ
N ノード
RT 返信情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の情報処理装置が接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において、
配信用の配信情報を蓄積している前記情報処理装置である蓄積装置の所在を示す所在情報を取得する所在情報取得手段と、
前記取得した所在情報に対応する各前記蓄積装置に対して、前記配信状態を問い合わせるための問い合わせ情報を送信する第1送信手段と、
各前記蓄積装置における前記配信状態を示す配信状態情報であって前記送信された問い合わせ情報に対応して各前記蓄積装置から送信されて来る配信状態情報を受信する受信手段と、
前記受信した配信状態情報に基づき、各前記蓄積装置内に蓄積されている前記配信情報の配信を最も遅い時刻まで行うと予測される前記蓄積装置を検索する検索手段と、
前記検索された蓄積装置に対して、前記配信情報の配信を要求する配信要求情報を送信する第2送信手段と、
前記送信された配信要求情報を受信した前記蓄積装置から当該配信要求情報に対応して送信されて来る前記配信情報を取得する配信情報取得手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記配信状態情報には、当該配信状態情報が対応する前記蓄積装置に蓄積されている各前記配信情報についての配信完了予定時刻を示す予定時刻情報が含まれており、
前記検索手段は、複数の前記蓄積装置の中から、前記配信完了予定時刻が最も遅い前記予定時刻情報を送信して来た前記蓄積装置を検索することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置において、
前記検索手段は、予め設定された待機時間の間に前記受信手段が受信した前記配信状態情報に対して検索を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置において、
前記配信状態情報には、当該配信状態情報が対応する前記蓄積装置において、追加して配信が可能な前記配信情報の数を示す配信可能数情報が含まれており、
前記検索手段は、前記追加配信が可能な配信情報の数が零より大きい配信可能数を示す前記配信可能数情報を送信して来た前記蓄積装置に対して検索を実行することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
ネットワークを介して複数の情報処理装置が接続されてなるネットワークシステムに含まれる当該情報処理装置において実行される情報記録方法において、
配信用の配信情報を蓄積している前記情報処理装置である蓄積装置の所在を示す所在情報を取得する所在情報取得工程と、
前記取得した所在情報に対応する各前記蓄積装置に対して、前記配信状態を問い合わせるための問い合わせ情報を送信する第1送信工程と、
各前記蓄積装置における前記配信状態を示す配信状態情報であって前記送信された問い合わせ情報に対応して各前記蓄積装置から送信されて来る配信状態情報を受信する受信工程と、
前記受信した配信状態情報に基づき、各前記蓄積装置内に蓄積されている前記配信情報の配信を最も遅い時刻まで行うと予測される前記蓄積装置を検索する検索工程と、
前記検索された蓄積装置に対して、前記配信情報の配信を要求する配信要求情報を送信する第2送信工程と、
前記送信された配信要求情報を受信した前記蓄積装置から当該配信要求情報に対応して送信されて来る前記配信情報を取得する配信情報取得工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータを、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させることを特徴とする情報処理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−93460(P2009−93460A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264214(P2007−264214)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】