説明

情報処理装置及び映像再生方法

【課題】再生停止を抑制しつつ、高解像度化処理を施した映像再生を行うことのできる情報処理装置及び映像再生方法を提供する。
【解決手段】この情報処理装置は、記録媒体から読み出される圧縮ストリームデータから圧縮ビデオデータと圧縮サブピクチャデータとを分離するストリームデータ分離部200と、前記圧縮ビデオデータと前記圧縮サブピクチャデータとを格納するメモリと、前記光記録媒体の再生を制御する主制御部とバス119を介して接続されて前記メモリから伝送される前記圧縮ビデオデータをデコードしたデータを高解像度化して変換ビデオデータを生成する第1の変換処理部112と、前記メモリから伝送される前記圧縮サブピクチャデータをデコードしたデータを高解像度化して変換サブピクチャデータを生成する第2の変換処理部204と、前記変換ビデオデータと前記変換サブピクチャデータとを合成して表示部に出力する描画部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び映像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのマルチメディア化に伴い、最近では、DVD(Digital Versatile Disk)の再生が可能なDVDドライブを搭載したコンピュータが普及しつつある。1枚のDVD−ROMメディアには、片面で現在のCD−ROMの約7倍にあたる4.7Gバイト程度のデータを記録することができ、両面記録では9.4Gバイト程度のデータを記録できる。このDVD−ROMメディアを使用することにより、大量の映像情報を含む映画等の動画像をコンピュータ上で高品質に再生することが可能となる。
【0003】
DVD−ROMメディアに記録されるビデオ情報のデータ構造はDVDビデオ規格で定められている。ビデオ情報は、大別すると、プレゼンテーションデ
ータとナビゲーションデータの2種類のデータに分けられる。
【0004】
プレゼンテーションデータは再生されるビデオオブジェクトの集合であり、ビデオ、サブピクチャ、及びオーディオから構成されている。ビデオデータはMPEG−2方式で圧縮符号化される。サブピクチャはビットマップデータであり、映画の字幕や、メニュー画面上の選択肢の表示などに用いられる。1つのビデオオブジェクトには、1チャネルのビデオデータ、最大8チャネルまでのオーディオデータ、最大32チャネルまでのサブピクチャデータを含ませることができる。
【0005】
近年、動画像のデジタル圧縮符号化技術の進展に伴い、HD(High Definition)規格の高精細映像を扱うことが可能な再生装置(プレーヤ)が普及し始めている。また、最近では、このHD規格の高精細映像をパーソナルコンピュータで扱えるようにするためのソフトウェア開発も進められている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載される情報処理装置では、カーソルが定義されたコンテンツをマルチウインドウ環境下で再生する際に並存する2つのカーソルを、ポインティングデバイス操作に応じて適切に操作できるとしている。
【特許文献1】特開2008−40826号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の情報処理装置では、DVDの再生動作中もバックグランドで様々な内部処理を行っている。特にDVDの再生時は通常動作時よりも内部処理の負荷が大になることから、SD(Standard Definition)規格の映像を高精細なHD規格の映像に変換して再生し、さらに字幕表示やメニュー操作を行なわせようとすると、内部処理の負荷がさらに大になり、状況によっては動画の再生が途切れて不連続になる等の問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、再生停止を抑制しつつ、高解像度化処理を施した映像再生を行うことのできる情報処理装置及び映像再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、記録媒体から読み出される圧縮ストリームデータから圧縮ビデオデータと圧縮サブピクチャデータとを分離するストリームデータ分離部と、前記圧縮ビデオデータと前記圧縮サブピクチャデータとを格納するメモリと、前記記録媒体の再生を制御する主制御部とバスを介して接続されて前記メモリから伝送される前記圧縮ビデオデータをデコードしたデータを高解像度化して変換ビデオデータを生成する第1の変換処理部と、前記メモリから伝送される前記圧縮サブピクチャデータをデコードしたデータを高解像度化して変換サブピクチャデータを生成する第2の変換処理部と、前記変換ビデオデータと前記変換サブピクチャデータとを合成して表示部に出力する描画部と、を具備することを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0010】
また、本発明は上記目的を達成するため、記録媒体から読み出される圧縮ストリームデータから圧縮ビデオデータと圧縮サブピクチャデータとを分離するステップと、前記圧縮ビデオデータと前記圧縮サブピクチャデータとを格納するステップと、前記記録媒体の再生を制御する主制御部とバスを介して接続されて前記メモリから伝送される前記圧縮ビデオデータをデコードしたデータを高解像度化して変換ビデオデータを生成するステップと、前記メモリから伝送される前記圧縮サブピクチャデータをデコードしたデータを高解像度化して変換サブピクチャデータを生成するステップと、前記変換ビデオデータと前記変換サブピクチャデータとを合成して表示部に出力するステップと、を含むことを特徴とする映像再生方法を提供する。
【0011】
また、本発明は上記目的を達成するため、記憶媒体から、主映像データ及び副映像データが多重化されたストリームデータを読み込む読込手段と、前記記憶媒体から読み込んだ前記ストリームデータから、前記主映像データと前記副映像データとを分離する分離手段と、CPU又はGPU上で、前記副映像データをデコードした副映像の高解像度化処理を行う第1の変換手段と、前記CPUとバスを介して接続されるプロセッサ上で、前記主映像データをデコードした主映像の高解像度化処理を行う第2の変換手段と、前記第1の変換手段で高解像度化処理を施した副映像と、前記第2の変換手段で高解像度化処理を施した主映像とを、前記CPU又は前記GPU上で合成して表示装置に出力する描画手段とを備える情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再生停止を抑制しつつ、高解像度化処理を施した映像再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置を示す斜視図である。
【0014】
(本発明の実施の形態)
この情報処理装置1は、ノートブック型パーソナルコンピュータであり、コンピュータ本体11と、ディスプレイユニット12とから構成されている。ディスプレイユニット12には、LCD(Liquid Crystal Display)13から構成される表示装置が組み込まれている。
【0015】
ディスプレイユニット12は、コンピュータ本体11に対して開放位置と閉塞位置との間を回動自在に取り付けられている。コンピュータ本体11は、薄い箱形の筐体を有し、その上面にはキーボード14、情報処理装置1をパワーオン/パワーオフするための電源スイッチ15、タッチパッド16などが配置されている。
【0016】
また、コンピュータ本体11の側面には、光学メディアドライブとしてDVDドライブ17が設けられている。DVDドライブ17は、CD(Compact Disc)やDVD18等の記録媒体に対して記録、再生を行うことができる。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0018】
情報処理装置1は、図2に示されているように、CPU101、ノースブリッジ102、主メモリ103、サウスブリッジ104、グラフィクスプロセッシングユニット(GPU)105、ビデオメモリ(VRAM)105A、サウンドコントローラ106、BIOS−ROM109、LANコントローラ110、ハードディスクドライブ(HDD)111、DVDドライブ17、マルチメディアプロセッサ112、カードコントローラ113、無線LANコントローラ114、IEEE1394コントローラ115、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116、TVチューナ117、及びリモコンユニットインターフェース118等を備えている。
【0019】
CPU101は、情報処理装置1の動作を制御する主制御部としてのプロセッサであり、ハードディスクドライブ(HDD)111から主メモリ103にロードされる、オペレーティングシステム(OS)及びDVDアプリケーションプログラムのような各種アプリケーションプログラムを実行する。DVDアプリケーションプログラムは、DVDに対する記録再生機能を実行するためのソフトウェアである。また、CPU101は、BIOS−ROM109に格納されたBIOS(Basic Input Output System)も実行する。BIOSはハードウェア制御のためのプログラムである。
【0020】
ノースブリッジ102は、CPU101のローカルバスとサウスブリッジ104との間を接続するブリッジデバイスである。ノースブリッジ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラも内蔵されている。また、ノースブリッジ102は、PCI Express規格のシリアルバス等を介してGPU105との通信を実行する機能も有している。
【0021】
GPU105は、情報処理装置1のディスプレイモニタとして使用されるLCD13を制御する表示コントローラである。GPU105によって生成される表示信号はLCD13に送られる。また、GPU105は、TV端子119を介して外部のテレビ装置(TV)120にデジタル映像信号を送出することもでき、HDMI制御回路121及びHDMI端子122を介してHDMIモニタ123にデジタル映像信号を送出することもできる。
【0022】
サウスブリッジ104は、LPC(Low Pin Count)バス上の各デバイス、及びPCI(Peripheral Component Interconnect)バス上の各デバイスを制御する。また、サウスブリッジ104は、ハードディスクドライブ(HDD)111及びDVDドライブ17を制御するためのIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラを内蔵している。さらに、サウスブリッジ104は、サウンドコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0023】
またさらに、サウスブリッジ104には、PCI Express規格のシリアルバスであるPCI Expressバス135を介してマルチメディアプロセッサ112が接続されている。
【0024】
マルチメディアプロセッサ112は、読込手段としてのDVDドライブ17でDVDを再生することに基づくDVD再生データとしての圧縮ストリームデータに含まれるビデオデータを変換ビデオデータとしてHD(High Definition)規格のデータ(HD画質データ)へアップコンバートする第1の変換処理部としてのプロセッサである。
【0025】
本実施の形態では、映画等の映像コンテンツが記録されたDVD再生時にアップコンバート機能が選択されると、MPEG(Moving Picture Experts Group)2方式に従ってエンコードされたビデオデータ(主映像データ)、オーディオデータ、及び字幕データ等のサブピクチャデータ(副映像データ)を多重化してなる圧縮ストリームデータがDVDアプリケーションプログラムによってDVDからDVD再生データとして読み出される。圧縮ストリームデータの解像度は、例えば、720×480又は720×576である。DVDから読み出された圧縮ストリームデータに含まれるビデオデータは、転送速度が高速なPCI Expressバス135を介してマルチメディアプロセッサ112に転送されてデコード処理及びHD画質のビデオデータとして、例えば、1920×1080の解像度にアップコンバート処理された後、ビデオデータとは別にアップコンバート処理されたサブピクチャデータと合成されて描画処理される。
【0026】
本実施の形態においては、CPU101とは異なる専用のプロセッサであるマルチメディアプロセッサ112がバックエンドプロセッサとして使用され、このマルチメディアプロセッサ112によって圧縮ストリームデータのデコード処理及びビデオデータのアップコンバート処理が実行される。よって、CPU101の負荷の増加を招くことなく、アップコンバート処理を実行することができる。
【0027】
サウンドコントローラ106は音源デバイスであり、再生対象のオーディオデータをスピーカ19又はHDMI制御回路121に出力する。
【0028】
カードコントローラ113は、PCカード、SD(Secure Digital)カードのようなカードを制御する。無線LANコントローラ114は、たとえばIEEE802.11規格の無線通信を実行する無線通信デバイスである。IEEE1394コントローラ115は、IEEE1394規格のシリアルバスを介して外部機器との通信を実行する。
【0029】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、電力管理のためのエンベデッドコントローラと、キーボード(KB)14及びタッチパッド16を制御するためのキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。このエンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、ユーザによる電源スイッチ15の操作に応じて情報処理装置1をパワーオン/パワーオフする機能を有している。さらに、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)116は、リモコンユニットインターフェース118との通信を実行する機能を有している。
【0030】
TVチューナ117は、テレビジョン放送信号によって放送される放送番組データを受信する受信装置であり、例えば、地上波デジタルTV放送のようなデジタル放送番組データを受信可能なデジタルTVチューナとして実現されている。
【0031】
図3は、DVD再生時のデータの流れについて説明する図である。
【0032】
DVDを再生することに基づくDVD再生データは、ビデオデータ、オーディオデータ、及び字幕データ等のサブピクチャデータを含む圧縮ストリームデータである。以下の説明では、DVDから読み出した圧縮ストリームデータをHD画質データとして出力するにあたって、ビデオデータ及びサブピクチャデータの流れについて説明する。
【0033】
圧縮ストリームデータは、PCIバス130、サウスブリッジ104、DMI(Direct Media Interface)バス131、ノースブリッジ102、データバス132を介して主メモリ103に転送される。
【0034】
主メモリ103に転送された圧縮ストリームデータに含まれるビデオデータは、DVDアプリケーションプログラムの実行に基づいて主メモリ103から読み出され、データバス132、ノースブリッジ102、DMIバス131、サウスブリッジ104、PCI Expressバス135を介してマルチメディアプロセッサ112に転送される。
【0035】
マルチメディアプロセッサ112に転送された圧縮ストリームデータは、MPEG2デコード処理及びアップコンバート処理の後、HD画質データとしてPCI Expressバス135、サウスブリッジ104、DMIバス131、ノースブリッジ102、データバス132を介して主メモリ103に再び転送される。
【0036】
主メモリ103に転送されたアップコンバート済みHD画質データであるビデオデータは、DVDアプリケーションプログラムの実行に基づいて主メモリ103から再び読み出され、データバス132、ノースブリッジ102、及びデータバス134を介してGPU105に転送され、GPU105からVRAM105Aに転送される。
【0037】
また、主メモリ103に転送された圧縮ストリームデータに含まれるサブピクチャデータは、DVDアプリケーションプログラムの実行に基づいて主メモリ103から読み出され、データバス132、ノースブリッジ102、及びFSB(Front Side Bus)133を介してCPU101に転送され、CPU101でHD規格に準じたアップコンバート処理の後にFSB133、ノースブリッジ102、及びデータバス132を介してGPU105に転送され、GPU105からVRAM105Aに転送される。なお、サブピクチャデータのアップコンバート処理は、GPU105で行うことも可能であり、情報処理装置1の稼動状況に応じてCPU101又はGPU105で行われる。
【0038】
VRAM105Aに転送されたビデオデータ及びサブピクチャデータは、フレーム毎に合成された後にGPU105に転送され、GPU105で描画処理される。なお、ビデオデータ及びサブピクチャデータは、CPU101又はGPU105で合成してもよい。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置でDVDを再生する際の再生処理を示す図である。
【0040】
DVDの再生は、情報処理装置1の主メモリ103にロードされるDVDアプリケーションプログラムによって実行される。このDVDアプリケーションプログラムは、圧縮ストリームデータを分離するストリームデータ分離部(分離手段)として機能するとともに、分離された圧縮ストリームデータの転送を制御するナビゲーションフィルタ200と、圧縮ストリームデータに含まれる圧縮されたサブピクチャデータをデコードするサブピクチャデコーダ202、圧縮されたビデオデータのマルチメディアプロセッサ112への転送を制御するマルチメディアプロセッサ制御部203とを有するビデオデコーダ201とを有する。
【0041】
ナビゲーションフィルタ200は、圧縮ストリームデータに含まれる圧縮されたビデオデータと圧縮されたサブピクチャデータとを分離し、ビデオデコーダ201に出力する。
【0042】
ビデオデコーダ201は、ナビゲーションフィルタ200から送信される圧縮されたサブピクチャデータをデコードするサブピクチャデコーダ202と、アップコンバート処理が指定されている場合にナビゲーションフィルタ200から送信される圧縮されたビデオデータをマルチメディアプロセッサ112に送信するマルチメディアプロセッサ制御部203とを有する。
【0043】
マルチメディアプロセッサ112は、マルチメディアプロセッサ制御部203から送信された圧縮されたビデオデータをデコードするデコーダ112Aと、デコードされたベースバンドのビデオデータをアップコンバート処理するアップコンバータ112Bとを有する。
【0044】
また、マルチメディアプロセッサ制御部203は、ビデオデータのデコーダを有しており、アップコンバート処理が指定されていない場合、圧縮されたビデオデータをベースバンドのSDデータに変換する機能を有する。
【0045】
また、ビデオデコーダ201から出力されるベースバンドのサブピクチャデータは、後段に設けられるアップコンバータ204を介してミキサー205に送信される。このミキサー205にはマルチメディアプロセッサ制御部203からベースバンドのビデオデータが送信される。
【0046】
アップコンバータ204は、サブピクチャデコーダ202でデコードされた字幕等のサブピクチャデータを変換サブピクチャデータにアップコンバート処理する第2の変換処理部である。
【0047】
ミキサー205は、アップコンバート処理されたビデオデータとアップコンバート処理されたサブピクチャデータとを合成する。
【0048】
レンダラー206は、ビデオデータとサブピクチャデータとが合成された映像データの画質改善処理を行うと共に、表示させる画像の描画処理を行う。尚ここで、画質改善処理とは、合成された映像データの色合いの調整等の処理である。
【0049】
以下に、本発明の情報処理装置におけるDVDの再生動作について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明は、アップコンバート処理を有効にしてDVD再生を行う場合についてである。
【0050】
図5は、本発明の実施の形態に係る情報処理装置でDVDを再生する際の再生処理の流れを示すフローチャートである。
【0051】
まず、情報処理装置1のオペレーティングシステム(OS)が起動している状態で、ユーザがキーボード14及びタッチパッド16を操作することにより、DVDアプリケーションプログラムを起動する(S1)。
【0052】
続いて、情報処理装置1のDVDドライブ17に映画等の映像コンテンツの記録されたDVD18をセットし、ディスプレイユニット12のLCD13に表示されるDVDアプリケーションプログラムの画面表示を見ながらアップコンバート処理を有効にする(S2)。
【0053】
CPU101は、DVDドライブ17で再生された圧縮ストリームデータをPCIバス130、サウスブリッジ104、DMIバス131、ノースブリッジ102、及びデータバス132を介して主メモリ103に転送させる(S3)。
【0054】
主メモリ103に転送された圧縮ストリームデータは、主メモリ103でロードされているDVDアプリケーションプログラムで暗号化解除処理された後、ナビゲーションフィルタ200で圧縮されたビデオデータと圧縮されたサブピクチャデータとに分離され、ビデオデコーダ201にそれぞれ出力される。
【0055】
圧縮されたビデオデータは、ビデオデコーダ201のマルチメディアプロセッサ制御部203に送信される。この圧縮されたビデオデータは、DVDの再生動作に同期して主メモリ103から読み出され、データバス132、ノースブリッジ102、DMIバス131、サウスブリッジ104、及びPCI Expressバス135を介してマルチメディアプロセッサ112に転送される(S4)。
【0056】
マルチメディアプロセッサ112は、圧縮されたビデオデータをデコーダ112Aでデコードしてベースバンドのビデオデータとし、このビデオデータをアップコンバータ112Bで高解像度のHD画質データにアップコンバートする(S5)。
【0057】
アップコンバートされた高解像度のHD画質データは、PCI Expressバス135、サウスブリッジ104、DMIバス131、ノースブリッジ102、及びデータバス132を介して、主メモリ103でロードされているDVDアプリケーションプログラムのマルチメディアプロセッサ制御部203に再度転送される。(S6)
【0058】
DVDアプリケーションプログラムは、アップコンバート処理されたビデオデータをGPU105に転送する。GPU105は、ビデオデータをVRAM105Aに転送する(S7)。
【0059】
また、DVDアプリケーションプログラムは、サブピクチャデータをCPU101に転送する(S8)。
【0060】
CPU101は、サブピクチャデータをアップコンバートし、アップコンバートされたサブピクチャデータをGPU105に転送する(S9)。
【0061】
GPU105は、転送されたサブピクチャデータをVRAM105Aに転送する。GPU105は、VRAM105Aに一時的に格納されているHD画質データのビデオデータ及びサブピクチャデータをミキサー205で合成して描画手段としてのレンダラー206に転送する(S10)。
【0062】
レンダラー206はビデオデータ及びサブピクチャデータを合成した映像データを描画処理してディスプレイドライバに出力し、ディスプレイドライバはLCD13を駆動して映像データを画面表示させる(S11)。
【0063】
(本発明の実施の形態の効果)
上記した本発明の実施の形態によると、ビデオデータのデコードやアップコンバート等の変換処理をPCI Expressバス等の高速な伝送路で接続されたマルチメディアプロセッサ112で行い、変換処理されたビデオデータを高速な伝送路を介して後段の処理回路に転送するので、デコード処理や、計算量が多く処理時間を要するHD画質データへのアップコンバート処理をサブピクチャデータと分離して効率良く行うことができ、そのことによってDVDを再生しながらHD規格の高画質動画を再生させる場合であっても、再生動作を途切れさせることなく、リアルタイム性を有する高速で安定したデータ変換処理が行える。
【0064】
特に、ベースバンドのデータは、符号化されているビットストリーム信号形式のデータよりも情報量が多く、高画質動画であるHD規格の動画であればなおさらである。ビデオデータのデータ及びサブピクチャデータのアップコンバート処理をマルチメディアプロセッサ112で行い、それらの合成をCPU101又はGPU105で行うこととすると、HD画質のベースバンドのデータが2つのストリームとしてバス上を流れることとなるので、帯域幅を圧迫し、再生遅延の原因となりかねない。そこで本実施の形態では、サブピクチャデータはCPU101又はGPU105上で(アップコンバータ204が)アップコンバートすることとし、バス上を流れるHD画質のベースバンドのデータはマルチメディアプロセッサ112でアップコンバートしたビデオデータのみとしている。これにより、バス上を流れる情報量を抑制し、これによりリアルタイム性を確保することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、アップコンバート処理のみならず、デコード処理もマルチメディアプロセッサ112で行っている。これにより、デコード処理をCPU101又はGPU105で行ってアップコンバート処理のみをマルチメディアプロセッサ112で行う場合と比べ、バス131上を流れる情報量を抑制することができ、これによりリアルタイム性を確保することができる。
【0066】
更に、サブピクチャとして表示される字幕等の画面表示は、ON/OFFの切替や、日本語字幕と他国語字幕との表示切替が再生中に発生する頻度が高いことから、マルチメディアプロセッサ112で行うよりもCPU101やGPU105でデコードすることで、ユーザのニーズに応じて柔軟に対応することができる。
【0067】
また、ビデオデータを解像度の高いHD画質データに変換する場合、変換処理部の情報処理負荷は飛躍的に増大するが、上記した実施の形態の情報処理装置1ではサブピクチャの変換処理についてはマルチメディアプロセッサ112では行わないので、マルチメディアプロセッサ112を高解像度化に特定して用いることができ、そのことによってDVD再生に基づく映像再生と同期したリアルタイム性を確保できるとともに、高解像度化処理にあたってより計算量の多いアルゴリズムを選択することが可能になる。
【0068】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る情報処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る情報処理装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】DVD再生時のデータの流れについて説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る情報処理装置でDVDを再生する際の再生処理を示す図である。
【図5】。本発明の実施の形態に係る情報処理装置でDVDを再生する際の再生処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…情報処理装置、11…コンピュータ本体、12…ディスプレイユニット、14…キーボード、15…電源スイッチ、16…タッチパッド、17…DVDドライブ、18…DVD、19…スピーカ、102…ノースブリッジ、103…主メモリ、104…サウスブリッジ、106…サウンドコントローラ、110…LANコントローラ、112…マルチメディアプロセッサ、112A…デコーダ、112B…アップコンバータ、113…カードコントローラ、114…無線LANコントローラ、115…IEEE1394コントローラ、117…TVチューナ、118…リモコンユニットインターフェース、119…TV端子、121…HDMI制御回路、122…HDMI端子、123…HDMIモニタ、130…PCIバス、131…DMIバス、132…データバス、133…FSB、134…データバス、135…PCI Expressバス、200…ナビゲーションフィルタ、201…ビデオデコーダ、202…サブピクチャデコーダ、203…マルチメディアプロセッサ制御部、204…アップコンバータ、205…ミキサー、206…レンダラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体から読み出される圧縮ストリームデータから圧縮ビデオデータと圧縮サブピクチャデータとを分離するストリームデータ分離部と、
前記圧縮ビデオデータと前記圧縮サブピクチャデータとを格納するメモリと、
前記記録媒体の再生を制御する主制御部とバスを介して接続されて前記メモリから伝送される前記圧縮ビデオデータをデコードしたデータを高解像度化して変換ビデオデータを生成する第1の変換処理部と、
前記メモリから伝送される前記圧縮サブピクチャデータをデコードしたデータを高解像度化して変換サブピクチャデータを生成する第2の変換処理部と、
前記変換ビデオデータと前記変換サブピクチャデータとを合成して表示部に出力する描画部と、
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の変換処理部は、前記圧縮ビデオデータをデコードするデコーダを有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の変換処理部は、前記バスを介してビットストリーム信号形式の前記圧縮ビデオデータを受信し、前記圧縮ビデオデータをデコード及びアップコンバートにより得られるベースバンド信号形式の前記変換ビデオデータを前記バスを介して送信することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の変換処理部は、前記主制御部又はグラフィクスプロセッシングユニットであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
記録媒体から読み出される圧縮ストリームデータから圧縮ビデオデータと圧縮サブピクチャデータとを分離するステップと、
前記圧縮ビデオデータと前記圧縮サブピクチャデータとを格納するステップと、
前記記録媒体の再生を制御する主制御部とバスを介して接続されて前記メモリから伝送される前記圧縮ビデオデータをデコードしたデータを高解像度化して変換ビデオデータを生成するステップと、
前記メモリから伝送される前記圧縮サブピクチャデータをデコードしたデータを高解像度化して変換サブピクチャデータを生成するステップと、
前記変換ビデオデータと前記変換サブピクチャデータとを合成して表示部に出力するステップと、
を含むことを特徴とする映像再生方法。
【請求項6】
前記変換ビデオデータを生成するステップは、前記バスを介してビットストリーム信号形式の前記圧縮ビデオデータを受信し、前記圧縮ビデオデータをデコード及びアップコンバートして得られるベースバンド信号形式の前記変換ビデオデータを前記バスを介して送信することを特徴とする請求項5に記載の映像再生方法。
【請求項7】
記憶媒体から、主映像データ及び副映像データが多重化されたストリームデータを読み込む読込手段と、
前記記憶媒体から読み込んだ前記ストリームデータから、前記主映像データと前記副映像データとを分離する分離手段と、
CPU又はGPU上で、前記副映像データをデコードした副映像の高解像度化処理を行う第1の変換手段と、
前記CPUとバスを介して接続されるプロセッサ上で、前記主映像データをデコードした主映像の高解像度化処理を行う第2の変換手段と、
前記第1の変換手段で高解像度化処理を施した副映像と、前記第2の変換手段で高解像度化処理を施した主映像とを、前記CPU又は前記GPU上で合成して表示装置に出力する描画手段と
を備える情報処理装置。
【請求項8】
前記分離手段により分離された前記主映像データは前記バスを介して前記プロセッサへ送信され、前記プロセッサ上で、前記主映像データのデコードを行うと共に、該デコードにより得られた主映像の高解像度処理を行う、請求項7記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−302904(P2009−302904A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155154(P2008−155154)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】