説明

情報処理装置

【課題】情報処理装置内のスキャナと、これに対向する押圧部材(例えばローラ)を十分にクリーニングすることができ、かつ、ハーフロック状態になる又は移行するのを防止することができ、更には装置全体のコンパクト化を図ることが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】走行路10と、スキャナ(密着型イメージスキャナ14)を有する第1フレーム11と、第1フレーム11と対向し、押圧部材(ローラ16)を有する第2フレーム12と、一端を第2フレーム12に軸支されるとともに、押圧部材を走行路10に臨ませた固定位置とスキャナ(密着型イメージスキャナ14)の読取面14aを露出させた開放位置との間で移動可能に支持する支持板15と、固定位置で、第2フレーム12に対して支持板15を固定する固定部と、を備え、支持板15を第2フレーム12に対して固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の情報を記録する紙やプラスチックなどの情報記録媒体に記録された情報を読み取って処理する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガイド(カード走行路)内においてカードを手動でスワイプさせて、カードに記録された情報を読み取る手動スワイプ式の情報処理装置が知られている。なお、本明細書でいう「スワイプ」とは、カード状の情報記録媒体を情報処理装置のガイド(カード走行路)に沿って手動でさっと走らせる動作をいう。
【0003】
手動スワイプ式の情報処理装置には、二次元バーコードなど、カード表面の模様を撮像して画像データを取得するイメージスキャナが設けられている。イメージスキャナとしては、例えば、縮小光学型イメージスキャナがある(例えば特許文献1参照)。縮小光学型イメージスキャナが採用されている理由は、被写界深度が深いことから、カードを移動(スワイプ)させることに起因して、読み取り面に対するカードの相対的な距離が多少変位したとしても、焦点を合わせることが容易だからである。
【0004】
ところが、この縮小光学型イメージスキャナを採用した場合には、ある程度の光路長を確保する必要があるため、装置全体が大型化する傾向にある。特に、持ち運び可能な携帯型の情報処理装置に搭載するイメージスキャナとして採用を考えた場合には、不向きである。また、縮小光学型イメージスキャナは、例えば密着型イメージスキャナなど他のスキャナと比べて高価であるため、製品単価が廉価な携帯型の情報処理装置に搭載するイメージスキャナとしては、好ましいものではない。
【0005】
このような観点から、縮小光学型イメージスキャナではなく、密着型イメージスキャナを搭載した携帯型の情報処理装置が見直されつつある。密着型イメージスキャナは、縮小光学型イメージスキャナよりも奥行きが少なく小型であるため、携帯型の情報処理装置には適している。
【0006】
ところで、携帯型の情報処理装置は、携帯型という利便性を生かして、使用場所を移したり、外出先に持ち出したりすることが可能なことから、携帯型の情報処理装置に搭載された密着型イメージスキャナの読み取り面(ガラス面)は、屋内設置型の情報処理装置と比べて汚れやすい環境で使用する場合が多い。そのため、密着型イメージスキャナのガラス面のクリーニングは、極めて重要な作業となる。
【0007】
密着型イメージスキャナのガラス面をクリーニングする第1の手法としては、例えば、携帯型の情報処理装置にクリーニングカードをスワイプさせることが考えられる。クリーニングカードとは、例えば、PETP(ポリエチレンテレフタレート)からなる基板の表面に、アクリル樹脂やガラス繊維を貼り付けたもの等をいう。このようなクリーニング方法によれば、密着型イメージスキャナのガラス面に付着したゴミや塵を、アクリル樹脂やガラス繊維に絡めて取り除くことができる。
【0008】
しかし、この第1の手法は、密着型イメージスキャナのガラス面を直接目視しながらクリーニングするものではないため、そのガラス面に付着したゴミや塵が除去されたか否かを十分に視認することができないばかりか、仮に、ゴミや塵が除去されていないことを視認できたとしても、付着力の大きいゴミや塵であった場合、それらを上述したクリーニングカードのみで効果的に取り除くのは困難である。
【0009】
そこで、密着型イメージスキャナのガラス面を直接目視しながらクリーニングできる第2の手法として、密着型イメージスキャナが設けられたフレームとは反対側のフレームの一部を、情報記録媒体の搬送方向にスライド可能に構成することを考える。このような構成にすれば、フレームをスライドさせることによって密着型イメージスキャナのガラス面が視認できるようになり、ガラス面に付着したゴミや塵を確実に除去することができる。
【0010】
【特許文献1】特開2002−259902号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した第2のクリーニング手法では、次のような問題がある。
【0012】
まず、密着型イメージスキャナのフレームの一部をスライドさせるとなると、スライドさせる分だけ情報記録媒体の搬送方向に大きなスペースが必要になる。従って、近年の情報処理装置業界におけるコンパクト化の流れに反することになる。
【0013】
また、密着型イメージスキャナのガラス面はクリーニングできたとしても、一般的にこのガラス面に対向する位置に設けられるローラのクリーニングは困難である。すなわち、単にフレームの一部をスライドさせただけだと、ガラス面は視認しえても、ガラス面と対向するローラは視認しにくい。そのため、このローラを十分にクリーニングすることは困難である。
【0014】
さらに、フレームのスライド操作によって開閉を行う手法だと、ユーザによってはハーフロック状態(完全に閉まっていない状態)になっていることを気付かない場合がある。また、クリーニング終了後は完全に閉まっている状態でも、情報処理装置に長時間の振動が加わる等したとき、完全に閉まっている状態からハーフロック状態に移行してしまう場合もある。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少なくとも情報処理装置内のスキャナと、これに対向する押圧部材(例えばローラ)とを十分にクリーニングすることができ、かつ、ハーフロック状態になる又は移行するのを防止することができ、更には装置全体のコンパクト化を図ることが可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以上のような課題を解決するために、本発明は、以下のものを提供する。
【0017】
(1) 情報記録媒体を走行させる走行路と、情報記録媒体に記録された情報を読み取るスキャナを有する第1フレームと、前記走行路を挟んで前記第1フレームと対向し、前記スキャナの読取面に対して情報記録媒体を押圧する押圧部材を有する第2フレームと、前記押圧部材を支持する支持板であって、一端を前記第2フレームに軸支されるとともに、前記押圧部材を前記走行路に臨ませた固定位置と前記スキャナの読取面を露出させた開放位置との間で移動可能に支持する支持板と、前記固定位置で、前記第2フレームに対して前記支持板を固定する固定部と、を備え、前記支持板を前記第2フレームに対して固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構を設けたことを特徴とする情報処理装置。
【0018】
本発明によれば、スキャナを有する第1フレームと、走行路を挟んで第1フレームと対向し、スキャナの読取面に対して情報記録媒体を押圧する押圧部材を有する第2フレームと、一端が第2フレームに軸支されるとともに、押圧部材を走行路に臨ませた固定位置とスキャナの読取面を露出させた開放位置との間で、押圧部材を移動可能に支持する支持板と、固定位置において第2フレームに対して支持板を固定する固定部と、が設けられた情報処理装置に、支持板を第2フレームに対して固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構を設けることとしたので、上述した様々な問題を解決することができる。
【0019】
すなわち、まず、スキャナの読取面をクリーニングする際には、支持板を回動して、スキャナの読取面を露出させ、スキャナの読取面を視認できる状態にすればよい。これにより、読取面に付着したゴミや塵を確実に除去することができる。加えて、この支持板を回動すると、押圧部材は、上述した固定位置から開放位置へと移動され、視認可能となるので、スキャナの読取面だけでなく、例えばローラなどの押圧部材に付着したゴミや塵も確実に除去することができる。
【0020】
なお、押圧部材に付着したゴミや塵が除去できれば、これらのゴミや塵がスキャナの読取面に転写されることもなく、スキャナの読取面が新たに汚れるのを防ぐことができる。また、例えば、スキャナのガラス面を傷つけないようにするため或いは焦点距離を一定に保つために、情報記録媒体とスキャナのガラス面との距離を一定に保つ構造となった情報処理装置の場合には、そもそもクリーニングカードでガラス面をクリーニングすることは困難である。しかし、本発明に係る情報処理装置によれば、支持板を回動してスキャナの読取面(ガラス面)を露出させるだけで、容易にクリーニングすることが可能になる。
【0021】
また、本発明は、上述した従来のクリーニング手法(第2の手法)のように、フレームの一部をスライドさせる、といったものではないため、情報記録媒体の搬送方向において大きなスペースを必要としない。従って、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0022】
さらにまた、本発明に係る情報処理装置には、上述したように、押圧部材を走行路に臨ませた固定位置で、第2フレームに対して支持板を固定する固定部と、支持板を固定位置に固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構と、が設けられているので、本発明は、ハーフロック防止機能を奏するものとして、実用性を高めることができる(メンテナンス作業の信頼性を高めることができる)。
【0023】
なお、従来の第2の手法では、フレームのスライド操作が何度も繰り返されると、密着型イメージスキャナの読取面(ガラス面)とローラ間の隙間が大きくなってしまう虞があった。また、スライド操作時に読取面とローラとが接触して、読取面に傷が付いてしまう虞があった。従って、隙間が大きくなったり、読取面に傷がついたりしてしまうと、情報処理装置の認識精度低下に繋がってしまう。この点、本発明によれば、フレームのスライド操作を経ることなく、スキャナの読取面をクリーニングすることができるので、読取面を特に傷つけず、情報処理装置の認識精度低下を防ぐことができる。
【0024】
ここで、「開放位置」とは、スキャナの読取面を露出させて、汚れを視認しながらクリーニングすることができる程度まで、支持板を移動させた位置をいう。すなわち、クリーニングすることができる程度であることを条件に、支持板を回動可能な範囲で最大限移動させた位置のみならず、支持板を回動可能な範囲で途中まで移動させた位置も含まれるものとする。
【0025】
また、「固定部」は、第2フレームに対して支持板を固定するものであれば如何なるものであってもよく、例えば、後述する発明のように、爪部材と爪係合部材によって固定するものであってもよいし、フック部とフック係合部によって固定するものであってもよい。その他、所定形状の凸部と凹部によって固定するものであってもよいし、例えば係止穴にストッパーを挿入して固定するものであってもよいし、その手法の如何は問わない。
【0026】
また、「ハーフロック防止機構」は、支持板を第2フレームに対して固定する際に、ハーフロックを防止可能であれば如何なるものであってもよい。すなわち、ハーフロック防止機構は、支持板を第2フレームに対して、より確実に固定した「固定位置」と、支持板を第2フレームから、より確実に外した「開放位置」のいずれかの位置に置くように機能し、半架かり状態のハーフロックを防止する。例えば、後述する発明のように、爪部材と爪係合部材を係合させ、支持板の開放位置の方向への移動を規制することによって、支持板を、より確実に固定位置に置きハーフロックを防止するものであってもよい。また、所定の付勢部材の付勢力を利用することによって、支持板を、第2フレームからより確実に外した開放位置に置きハーフロックを防止するものであってもよい。その他、所定形状の凸部と凹部によってハーフロックを防止するものであってもよいし、例えば係止穴にストッパーを挿入してハーフロックを防止するものであってもよいし、その手法の如何は問わない。
【0027】
(2) 前記固定部は、前記走行路と略平行な方向に付勢される爪部材と、前記爪部材が係合する凹部を有する爪係合部材と、を含み、前記爪部材は前記支持板の一端と反対側の他端又は前記第2フレームのいずれか一方に、前記爪係合部材は他方に設けられ、前記ハーフロック防止機構は、前記支持板が前記固定位置にあるときに、前記爪部材と前記爪係合部材の係合により、前記支持板の前記開放位置の方向への移動を規制することを特徴とする(1)記載の情報処理装置。
【0028】
本発明によれば、上述した固定部は、走行路と略平行な方向に付勢される爪部材と、この爪部材が係合する凹部を有する爪係合部材と、を含み、ハーフロック防止機構は、支持板が固定位置にあるときに、爪部材と爪係合部材の係合によって、支持板の開放位置の方向への移動を規制することとしたので、ワンタッチで簡易にハーフロックを防止しつつ、スキャナの読取面や押圧部材を確実にクリーニングすることができる。
【0029】
(3) 前記ハーフロック防止機構は、さらに、前記支持板の一端側の近傍に、前記支持板を前記開放位置の方向に向けて付勢する第1付勢部材を有し、前記第1付勢部材は、前記爪部材と前記爪係合部材の凹部の係合が外れた場合に、前記支持板を前記開放位置に向けて移動させ、前記支持板が前記固定位置にあるとき、前記支持板に配置された前記押圧部材と前記走行路との間隔を一定に保つように、前記支持板を付勢することを特徴とする(2)記載の情報処理装置。
【0030】
本発明によれば、上述したハーフロック防止機構に、支持板の一端側の近傍に、支持板を開放位置の方向に向けて付勢する第1付勢部材を設け、この第1付勢部材によって、爪部材と爪係合部材の凹部の係合が外れた場合に、支持板は、開放位置に向けてより確実に移動し、ハーフロックが防止される。また、支持板を固定位置に固定する際には、押圧部材がスキャナの読取面(例えばガラス面)に衝突することを防止して読取面(例えばガラス面)を保護することができる。また、支持板が固定位置にあるときに、支持板に配置された押圧部材と走行路のスキャナの読取面との間隔を一定に保つように、支持板が付勢されることとしたので、スキャナによる読取精度を良好に維持できる。さらに、支持板を開放位置に向けて移動させる際には、簡易に移動させることができるとともに(第1付勢部材の付勢力によって、支持板が第2フレームから少しだけ離反するので、作業者は、爪部材など支持板の一部を掴み易いとともに)、支持板を第2フレームに対して固定する際には、第1付勢部材の付勢力によって、より確実に固定することができる。
【0031】
(4) 前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体の通過を検出するセンサを備え、前記センサは、情報記録媒体に向けて光を照射する発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子と、から構成され、前記発光素子又は前記受光素子のうちいずれか一方は、前記支持板に設けられ、他方は、前記第1フレームに設けられていることを特徴とする(1)から(3)のいずれか記載の情報処理装置。
【0032】
本発明によれば、上述した情報処理装置に、さらに、情報記録媒体の通過を検出するセンサを設け、このセンサを構成する発光素子と受光素子とを、それぞれ支持板又は第1フレームのいずれかに設けたので、スキャナの読取面やローラなどの押圧部材だけでなく、発光素子又は受光素子についても、汚れの取れ具合を視認しつつクリーニングすることができる。
【0033】
詳細に説明すると、例えば、スキャナの隣に配置している媒体検知センサ(LEDなどの発光素子及びフォトトランジスタなどの受光素子)が、第1フレーム又は第2フレームと一体となっている情報処理装置の場合、これら発光素子及び受光素子を直接手でクリーニングすることは困難である。加えて、スキャナとは異なり、発光素子又は受光素子に対して情報記録媒体を押圧するような押圧部材が存在しないので、クリーニングカードで汚れを拭き取ることも困難である。そこで、本発明に係る情報処理装置では、押圧部材だけでなく、発光素子又は受光素子のいずれかを支持板に設けることとし、発光素子又は受光素子のいずれかを支持板とともに開放位置へと移動させることができるようになっている。これにより、発光素子又は受光素子についても、汚れの取れ具合を視認しつつクリーニングすることが可能になる。
【0034】
(5) 前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体を押圧する方向に、前記押圧部材を付勢する第2付勢部材と、前記第2フレームに形成され、前記押圧部材を前記走行路に臨ませる開口と、を備え、前記支持板は、前記押圧部材及び前記第2付勢部材を前記開口に対して離接可能に支持するものであって、前記ハーフロック防止機構は、前記支持板を前記固定位置に固定する際に、前記押圧部材が前記開口の一部に当接して、前記第2付勢部材の付勢力によって、前記支持板を前記固定位置に向けて付勢することを特徴とする(1)記載の情報処理装置。
【0035】
本発明によれば、上述した情報処理装置には、情報記録媒体を押圧する方向に押圧部材を付勢する第2付勢部材と、第2フレームに形成され、押圧部材を走行路に臨ませる開口と、が設けられ、ハーフロック防止機構は、支持板を固定位置に固定する際に、押圧部材が開口の一部に当接して、第2付勢部材の付勢力によって、支持板を固定位置に向けて付勢することとしたので、スキャナの読取面や押圧部材を確実にクリーニングすることができ、また、装置全体のコンパクト化を図ることができるとともに、ハーフロック防止機能を奏するものとして実用性を高めることができる。
【0036】
後者について詳述すれば、本発明では、押圧部材が開口の一部に当接するとともに、付勢部材の付勢力によって、支持板を固定位置に向けて付勢することとしている。従って、これら固定部の作用及び付勢部材の付勢力により、スキャナの読取面を塞ぐ支持板が閉じられる際にハーフロック状態になることを防止でき、又は、スキャナの読取面を塞ぐ支持板が閉じられている際にハーフロック状態に移行することを防止でき、ひいては実用性を高めることができる(その結果、メンテナンス作業の信頼性を高めることができる)。
【0037】
(6) 前記支持板を軸支する支持部は、前記走行路と略平行な方向に変位可能であって、前記固定部は、前記第2フレーム又は前記支持板の一方に設けられ、前記走行路と略平行な方向に前記支持板の変位を許容するフック部と、前記第2フレーム又は前記支持板の他方に設けられ、前記フック部に係合するフック係合部と、から構成されることを特徴とする(5)記載の情報処理装置。
【0038】
本発明によれば、上述した支持板を軸支する支持部は、走行路と略平行な方向に変位可能であって、上述した固定部に、走行路と略平行な方向に支持板の変位を許容する(例えば略U字形状の)フック部と、フック部に係合するフック係合部と、を設けることとしたので、フック係合部をフック部に係合させる、という簡易な作業によって、ワンタッチかつ確実に、ハーフロックを防止することができる。
【0039】
特に、本発明におけるフック部は、走行路と略平行な方向に支持板の変位を許容している。すなわち、このフック部によって、走行路と垂直な方向への押圧部材の変位が規制されることになるので、情報記録媒体とスキャナの読取面との間隔を一定に保つことができ、ひいてはスキャナの読取精度を向上させることができる。
【0040】
(7) 前記支持部は、前記スキャナよりも、媒体走行が開始される走行路の始端側に設けられていることを特徴とする(5)又は(6)記載の情報処理装置。
【0041】
本発明によれば、上述した支持部は、スキャナよりも、情報記録媒体の走行が開始される走行路の始端側に設けられていることとしたので、その逆側、すなわち走行路の終端側に、非接触通信アンテナなどの別の情報処理ユニット(電気素子)を設けることができ、情報処理装置内の空きスペースを有効に活用することができる。
【0042】
(8) 前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体の通過を検出するセンサを備え、前記センサ及び前記スキャナは、情報記録媒体の搬送方向に沿って前記第1フレームにこの順で配置されているとともに、両者は近接して配置されていることを特徴とする(1)から(7)のいずれか記載の情報処理装置。
【0043】
本発明によれば、情報記録媒体の通過を検出するセンサとスキャナとは、情報記録媒体の搬送方向に沿って第1フレームにこの順で配置されているとともに、両者は近接して配置されていることとしたので、センサ信号が出力されてから情報記録媒体との通信が開始されるまでの間隔が短くなり、その結果、スキャナの情報読取精度を向上させることができる。また、センサは、スキャナよりも、情報記録媒体の走行が開始される走行路の始端側に設けられているので、固定部が許容する範囲で支持板をスライドさせたとき、支持板に支持された押圧部材とセンサとの干渉を防ぐことができる。
【0044】
(9) 前記押圧部材は、ローラ又は磁気ヘッドであることを特徴とする(1)から(8)のいずれか記載の情報処理装置。
【0045】
本発明によれば、上述した押圧部材は、ローラ又は磁気ヘッドであることとしたので、一般的に安価なローラを採用した場合、製造コスト削減に寄与することができるし、例えば磁気ストライプ状に記録された磁気情報を読み取る磁気ヘッドを採用した場合、光学的な画像情報の取得と磁気情報の取得(及び書き込み)を同時に行うことができ、情報取得の効率性を向上させることができる。また、ローラ又は磁気ヘッドを、用途や状態に応じて選択的に使用することで、情報処理装置の利便性を確保することができる。
【0046】
(10) 前記走行路の終端近傍において、前記第2フレームには、情報記録媒体と非接触通信を行う非接触通信アンテナが設けられていることを特徴とする(1)から(9)のいずれか記載の情報処理装置。
【0047】
本発明によれば、走行路の終端近傍において、第2フレームには、情報記録媒体と非接触通信を行う非接触通信アンテナが設けられていることとしたので、ハイブリッド型の情報処理装置を実現することができる。また、非接触通信アンテナは、スキャナよりも走行路の終端近傍に設けられているので、画像撮像後に情報記録媒体を停止させ易く、IC通信の安定性を確保することができる。
【0048】
(11) 前記走行路の終端近傍において、前記第2フレームには、情報記録媒体と非接触通信を行う非接触通信アンテナの着脱を可能にする非接触通信アンテナ取付部が複数箇所に設けられていることを特徴とする(1)から(10)のいずれか記載の情報処理装置。
【0049】
本発明によれば、走行路の終端近傍において、第2フレームには、非接触通信アンテナの着脱を可能にする非接触通信アンテナ取付部が設けられていることから、非接触通信アンテナの取り付け・取り外しが可能であること、及び、この非接触通信アンテナ取付部が複数箇所に設けられていることから、非接触通信アンテナの実装位置を情報処理装置内に複数設けることが可能となり、顧客の利便性を拡大した情報処理装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、押圧部材は、第2フレームに軸支されて回動する支持板によって支持されていることから、クリーニング時には、スキャナの読取面に加えて、押圧部材も簡易にクリーニングすることができる。また、発光素子又は受光素子を支持板に設けることによって、これらの素子のクリーニングも簡易にすることができる。また、従来のように、情報記録媒体の搬送方向において大きなスペースを必要としないことから、装置全体のコンパクト化を図ることができる。さらに、ハーフロック防止機構により、情報処理装置がハーフロック状態になるのを防ぐことができ、ひいてはメンテナンス作業の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0052】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置1Aの外観構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置1Aの機械構成を示す断面図である。なお、図1(a)及び図2(a)では、第2フレーム12に対して支持板15を固定している様子を示しており、図1(b)及び図2(b)では、スキャナ14の読取面14aを露出させている様子を示している。
【0053】
図1及び図2において、(スワイプ式の)情報処理装置1Aは、情報記録媒体上の画像(例えばバーコードやOCR文字)を撮像する密着型イメージスキャナ14を有する第1フレーム11と、走行路10を挟んで第1フレームと対向し、密着型イメージスキャナ14の読取面14aに対して情報記録媒体を押圧するローラ16を有する第2フレーム12と、を有している。なお、第1フレーム11及び第2フレーム12によって、断面形状がほぼコ字形状をなすフレームが形成されている。また、密着型イメージスキャナ14は、読取面14aを介して光源から照射された光を情報記録媒体に当て、情報記録媒体30からの反射光を、例えばフォトダイオードやCCDなどの受光素子で受光することによって、情報記録媒体上の画像を撮像するようにしている。
【0054】
第2フレーム12には、一端が軸支され、ローラ16(図1(b)及び図2参照)を支持する支持板15が取り付けられている。この支持板15は、ローラ16を走行路に臨ませた固定位置(図2(a)参照)と、密着型イメージスキャナ14の読取面14aを露出させた開放位置(図2(b)参照)との間で、ローラ16を移動可能に支持している。
【0055】
また、支持板15には、爪付勢部材43によって、走行路10と略平行な方向に付勢される爪部材41が設けられている。そして、第2フレーム12には、爪部材41が係合する凹部を有する爪係合部材42が設けられている。なお、本実施形態では、爪部材41が支持板15に設けられ、爪係合部材42が第2フレーム12に設けられているが、逆であっても構わない。また、本実施形態では、爪係合部材42は第2フレーム12と一体形成されているが、第2フレーム12と別部材であっても構わない。
【0056】
爪部材41と爪係合部材42は、第2フレーム12に対して支持板15を固定する固定部の一例として機能するとともに、支持板15を第2フレーム12に対して固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構の一例としても機能する。具体的には、支持板15が固定位置にあるときには、爪部材41と爪係合部材42の係合により、支持板15の開放位置の方向への移動を規制することができるようになっている。
【0057】
また、情報処理装置1Aでは、ハーフロック防止機構の一部として、支持板15の一端側の近傍に、支持板15を開放位置の方向に向けて付勢する線バネ(第1付勢部材の一例)17Aが設けられている。この線バネ17Aは、爪部材41と爪係合部材42の凹部の係合が外れた場合に、支持板15を開放位置(図2(b)参照)に向けて移動させ、支持板15が固定位置(図2(a)参照)にあるとき、支持板15を付勢する。すなわち、爪部材41と爪係合部材42の凹部の係合が外れると、線バネ17Aの付勢力が働き、支持板15が第2フレーム12から離れる方向に移動(回動)する。これにより、支持板15を、第2フレーム12から確実に外した「開放位置」に置いて、ハーフロックを防止することができる。また、支持板15を閉じて固定する際に、ローラ16が密着型イメージスキャナ14の読取面(ガラス面)14aに衝突することを防止して、読取面14aを保護することができる。また、支持板15が閉じられた「固定位置」にある場合は、ローラ16と密着型イメージスキャナ14の読取面14aとの間隔を一定間隔に保つことにより、読取精度向上を図ることができる。なお、支持板15を開放位置に簡易に移動させることができるメリットも有する。
【0058】
さらに、情報処理装置1Aにおいて、支持板15には、情報記録媒体に向けて光を照射するLED21(発光素子)が設けられ、第1フレーム11には、LED21からの光を受光する読取開始センサ20(受光素子)が設けられている。この読取開始センサ20は、制御基板13に実装されており、密着型イメージスキャナ14の読取開始のトリガーとなる。
【0059】
なお、本実施形態とは逆に、LED21が第2フレーム12に設けられ、読取開始センサ20が支持板15に設けられていてもよいが、本実施形態のように、LED21を支持板15に、読取開始センサ20を第1フレーム11に設けることによって、情報処理装置1Aの読取精度向上を図ることができる。より具体的には、支持板15に読取開始センサ20が設けられていると、(微弱な)読取信号を伝送する配線が長くなることに起因して、読取信号にノイズが乗ってしまいやすく、読取精度が低下する虞があるが、支持板15にLED21が設けられていると、このような弊害は生じない(LED21には、電力供給するのみである)。したがって、情報処理装置1Aの読取精度向上を図ることができる。また、LED21への電力供給を担うリード線は、支持板15が第2フレーム12に軸支されている部分(軸の内部又は近傍)に配線している。これにより、リード線が錯綜するのを防いでいる。
【0060】
[第2実施形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置1Bの外観構成を示す斜視図である。図4は、本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置1Bの機械構成を示す断面図である。なお、図3では、スワイプ式の情報処理装置1Bにおいて、情報記録媒体30がスワイプされている最中の様子を示している。また、図4では、図3で示す情報記録媒体30を省略している。さらに、図中の支持板15について、図3では開いている状態を示しており、図4では閉じている状態を示している。
【0061】
図3及び図4において、情報処理装置1Bは、情報記録媒体30上の画像を撮像する密着型イメージスキャナ14を有する第1フレーム11と、走行路10を挟んで第1フレーム11と対向し、密着型イメージスキャナ14の読取面14a(図4参照)に対して情報記録媒体30を押圧するローラ16を有する第2フレーム12と、を有している。なお、情報処理装置1Aと同様に、第1フレーム11及び第2フレーム12によって、断面形状がほぼコ字形状をなすフレームが形成されている。
【0062】
第2フレーム12には、ローラ16を走行路10に臨ませる開口12a(図4参照)が形成されているとともに、一端(支持部23)が軸支されて回動する支持板15が取り付けられている。この支持板15には、上述したローラ16と、このローラ16を、情報記録媒体30を押圧する方向に付勢する板バネ17B(第2付勢部材の一例)と、が取り付けられている。支持板15は、ローラ16及び板バネ17Bを開口12aに対して離接可能に支持している。なお、この支持部23は、図4に示すように、密着型イメージスキャナ14よりも、媒体走行が開始される走行路10の始端側(図4でいえば右側)に設けられている。
【0063】
図4において、第1フレーム11及び第2フレーム12には、それぞれ情報記録媒体30の通過を検出する読取開始センサ20及びLED21が設けられている。そして、この読取開始センサ20と、上述した密着型イメージスキャナ14とは、情報記録媒体30の搬送方向に沿って第1フレーム11にこの順で配置されているとともに、両者は近接して配置されている。
【0064】
なお、読取開始センサ20は、情報処理装置1Aと同様に、制御基板13に実装されており、密着型イメージスキャナ14の読取開始のトリガーとなる。また、走行路10の終端近傍において、第2フレーム12には、情報記録媒体30と非接触通信を行う(コンタクトレスICと通信するための)非接触通信アンテナ22が設けられている。
【0065】
ここで、第2フレーム12に設けられ、走行路10と平行な方向に支持板15の変位を許容するフック部18と、支持板15に設けられ、フック部18に係合するフック係合部19と、から構成される固定部に着目し、この固定部の機能について詳述する。
【0066】
図5は、情報処理装置1Bにおけるフック部18及びフック係合部19の機能を説明するための説明図である。なお、図5(a)は、支持板15が閉じている状態(固定位置)を示しており、図5(b)は、支持板15が開いている状態(開放位置)を示している。また、説明の便宜上、図5(a)においてのみ支持板15にハッチングを施している。
【0067】
図5(a)において、支持板15が閉じている状態では、フック係合部19がフック部18に係合しているとともに、支持板15を軸支する支持部23は、変位可能な範囲のうちで、媒体走行が開始される走行路10の最も始端側(図5(a)でいえば最も右側)に位置している。このとき、支持板15は、ローラ16を走行路10に臨ませた固定位置で、第2フレーム12に対して固定されている。そして、支持板15がこの固定位置に固定されているとき、ローラ16が開口12aの一部に当接して、板バネ17Bの付勢力によって、支持板15を固定位置に向けて付勢することができるようになっている。
【0068】
より具体的に説明すると、図6に示すように、開口12aの一部にローラ16が当接すると、板バネ17Bの付勢力によって、開口12aからローラ16へ、矢印(D)に示すような反作用の力が働き、その結果、支持板15を矢印(E)の方向に向けて付勢する力が生じる。そうすると、図5(a)に示すように、支持板15を軸支する支持部23は、変位可能な範囲のうち、媒体走行が開始される走行路10の最も始端側(図5(a)でいえば最も右側)の位置に保たれることになり、ロックがかかるようになる。このようにして、情報処理装置1Bではハーフロックを防止している。なお、開口12aの大きさは、ローラ16を下方にシフトさせることにより、バネ力がかかる大きさに設定しておく。また、本実施形態では、情報記録媒体30を密着型イメージスキャナ14側に付勢する板バネ17Bの付勢力を利用して、ロックをかけるようにしている。
【0069】
次に、図6に示すロック状態を解除し、支持板15を開くまでの流れを説明する。図5(a)において、まず、フック係合部19(樹脂バネとなっている)を上方(図5でいう上方)に持ち上げて(矢印(A)参照)、これを左方(図5でいう左方)にスライドさせる(矢印(B)参照)。すなわち、読取開始センサ20がある方向とは逆方向にスライドさせる。その後、支持部23を中心として、支持板15を回動させることによって(矢印(C)参照)、ローラ16や板バネ17Bを開口12aから離すことが可能になる。支持板15が開いている状態を、図5(b)に示す。
【0070】
なお、支持板15を再び閉じている状態にするためには、上述した流れの逆を行えばよい。すなわち、まず、支持板15を持ち上げて、ローラ16や板バネ17Bを開口12aに近接させるとともに、フック係合部19をフック部18近傍にもっていく。そして、フック係合部19を少し持ち上げて、これを右方にスライドさせる(図5(a)でいう右方)。そうすると、フック係合部19がフック部18と係合し、支持板15は固定位置に保たれることになる。更には、この固定位置において、フック部18の溝とフック係合部19の突起部が嵌合していることから、板バネ17Bのバネ力が逃げるのを防いでいる。
【0071】
[実施形態の効果]
以上説明したように、情報処理装置1A又は情報処理装置1Bによれば、まず、図2(b)又は図5(b)に示すように、支持板15を回動することによって、密着型イメージスキャナ14の読取面14aだけでなくローラ16も視認可能になるので、読取面14aやローラ16に付着したゴミや塵を確実に除去することができる。
【0072】
特に、図2(b)に示す情報処理装置1Aのように、LED21が支持板に設けられることで、LED21についても、視認しつつクリーニングすることが可能になる。また、情報処理装置1AにおけるLED21及び読取開始センサ20は、情報記録媒体への非接触タイプであることから、クリーニングカードでは直接汚れを除去することができないところ、支持板15を回動することによって、直接汚れを除去することができ、ひいてはメンテナンス性及び機器信頼性向上を図ることができる。
【0073】
また、図2(b)又は図5(b)に示すように、支持板15を回動するだけでクリーニングできるので、情報処理装置1A又は情報処理装置1B全体のコンパクト化に資することができる。また、図2(b)に示すように、支持板15によって、ローラ16とLED21をモジュール化したことによって、或いは、図5(b)に示すように、支持板15によって、ローラ16と板バネ17Bをモジュール化したことによって、ユーザが自由にカスタマイズできるなど、利便性を向上させることができる。
【0074】
また、情報処理装置1Bについて、図6を用いて詳述したように、フック係合部19がフック部18と係合して、ロック状態にあるとき、開口12aの一部にローラ16が当接し、板バネ17Bの付勢力によって、支持板15を矢印(E)(図6参照)の方向に向けて付勢する力が生じるので、支持板15のハーフロックを防ぐことができる。なお、板バネ17Bの付勢力を様々な形で利用することによって、すなわち一部品に様々な機能をもたせることによって、部品点数を削減することができる。また、フック係合部19をフック部18に係合させるだけでロック状態にすることができるので、ワンタッチかつ確実にハーフロックを防ぐことができる。
【0075】
また、情報処理装置1Bにおいて、図5(a)に示すように、支持板15を支持部23は、走行路10と平行な方向にのみ変位可能であって、走行路10と垂直な方向には変位できないようになっている。従って、ローラ16が情報記録媒体30を付勢する力を一定にすることができ、ひいては密着型イメージスキャナ14の読取精度を向上させることができる。
【0076】
また、図5(a)に示すように、情報処理装置1Bにおける支持部23は、密着型イメージスキャナ14よりも、情報記録媒体30の走行が開始される走行路10の始端側(図5(a)では右側)に設けられている。従って、走行路10の終端側に、非接触通信アンテナ22を設けることが可能になる(図4参照)。また、この走行路10の終端側ではスワイプ動作による密着型イメージスキャナ14と、情報記録媒体30との通信終了後、操作者がスワイプ動作を停止させる位置であるので、情報記録媒体30を、非接触通信アンテナ22と通信可能な位置に精度良く停止させることができ、ひいては実用的なハイブリッド型の情報処理装置1Bを実現することができる。特に、図4に示すように、非接触通信アンテナ22は、制御基板13や密着型イメージスキャナ14が取り付けられた第1フレーム11とは反対側の第2フレーム12に取り付けられている。これにより、非接触通信アンテナ22の近傍に、制御基板13や密着型イメージスキャナ14が配置されないことから、通信品質を向上させることができる。
【0077】
また、図4に示すように、情報処理装置1Bにおいて、読取開始センサ20と密着型イメージスキャナ14とは、読取開始センサ20が、情報記録媒体30の走行が開始される走行路10の始端側(図4では右側)となるように、近接して配置されている。従って、センサ信号が出力されてから情報記録媒体30との通信が開始されるまでの間隔を短くすることができ、ひいては情報読取精度を向上させることができる。なお、支持板15をスライドさせる際(図5(a)の矢印(B)参照)、ローラ16と読取開始センサ20が干渉するのを防ぐこともできる。
【0078】
[変形例]
なお、上述した第1実施形態に係る情報処理装置1Aでは、第1付勢部材の一例として線バネ17Aを用いたが、例えば板バネやコイルバネなど、支持板15を開放位置の方向に向けて付勢しうるものであれば、如何なるものであってもよい。また、上述した第2実施形態に係る情報処理装置1Bでは、第2付勢部材の一例として板バネ17Bを用いたが、例えば線バネやコイルバネなど、ローラ16を付勢しうるものであれば、如何なるものであっても構わない。
【0079】
また、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、押圧部材の一例としてローラ16を用いたが、例えば、磁気ヘッドを採用してもよい。これにより、光学的な画像情報の取得と磁気情報の取得(及び書き込み)を同時に行うことができ、ひいては情報取得の効率性を向上させることができる。
【0080】
また、上述した第2実施形態では、非接触通信アンテナ22を図7(a)に示す位置に設けることとしたが(情報処理装置1B)、例えば、図7(b)に示すように、支持板15と垂直となるように設けることとしてもよい(情報処理装置1C)。このように、複数の非接触通信アンテナ取付部24a,24bを設けておくことで、非接触通信アンテナ22の位置及び姿勢を変えることができ、様々な規格のパスポートなどに対応することができる。例えば、図7(a)に示すような位置に非接触通信アンテナ22を設けることで、パスポート等を走行路に通した状態で非接触通信アンテナ22とのコンタクトレス通信を行うことができるし、図7(b)に示すような位置に非接触通信アンテナ22を設けることで、パスポート等を走行路の上に置いた状態で非接触通信アンテナ22とのコンタクトレス通信を行うことができる。なお、図7(a)及び図7(b)では、非接触通信アンテナ22は、非接触通信アンテナ取付部24a,24bの一例としての樹脂爪により顧客が取り外し可能となっている。また、図7(a)及び図7(b)では、非接触通信アンテナ22は1個設けることとしたが、例えばこれを2個以上設けても構わない。例えば図7(a)に示す位置と、図7(b)に示す位置の両方に設けておけば、大部分の規格のパスポートなどに対応することができる。また、図7を用いて詳述した非接触通信アンテナ22に関する発明は、第1実施形態に係る情報処理装置1Aについても適用可能である。
【0081】
さらに、上述した第1実施形態及び第2実施形態では、スワイプ式の情報処理装置1A又は情報処理装置1Bを考えたが、例えば、差込タイプの(DIP式の)情報処理装置であっても、本発明を適用することは可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明に係る情報処理装置は、スキャナの読取面やローラに付着したゴミや塵を確実に除去することができるものとして有用である。また、ハーフロックを防ぐことが可能なものとしても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置の機械構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置の外観構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る情報処理装置の機械構成を示す断面図である。
【図5】情報処理装置におけるフック部及びフック係合部の機能を説明するための説明図である。
【図6】支持板がロック状態にあるときに働く力を説明するための説明図である。
【図7】非接触通信アンテナの他の取り付け位置を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1A,1B 情報処理装置
10 走行路
11 第1フレーム
12 第2フレーム
13 制御基板
14 密着型イメージスキャナ
15 支持板
16 ローラ
17A 線バネ
17B 板バネ
18 フック部
19 フック係合部
20 読取開始センサ
21 LED
22 非接触通信アンテナ
24a,24b 非接触通信アンテナ取付部
30 情報記録媒体
41 爪部材
42 爪係合部材
43 爪付勢部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体を走行させる走行路と、
情報記録媒体に記録された情報を読み取るスキャナを有する第1フレームと、
前記走行路を挟んで前記第1フレームと対向し、前記スキャナの読取面に対して情報記録媒体を押圧する押圧部材を有する第2フレームと、
前記押圧部材を支持する支持板であって、一端を前記第2フレームに軸支されるとともに、前記押圧部材を前記走行路に臨ませた固定位置と前記スキャナの読取面を露出させた開放位置との間で移動可能に支持する支持板と、
前記固定位置で、前記第2フレームに対して前記支持板を固定する固定部と、を備え、
前記支持板を前記第2フレームに対して固定する際に、ハーフロックを防止するハーフロック防止機構を設けたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記固定部は、前記走行路と略平行な方向に付勢される爪部材と、前記爪部材が係合する凹部を有する爪係合部材と、を含み、
前記爪部材は前記支持板の一端と反対側の他端又は前記第2フレームのいずれか一方に、前記爪係合部材は他方に設けられ、
前記ハーフロック防止機構は、前記支持板が前記固定位置にあるときに、前記爪部材と前記爪係合部材の係合により、前記支持板の前記開放位置の方向への移動を規制することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ハーフロック防止機構は、さらに、前記支持板の一端側の近傍に、前記支持板を前記開放位置の方向に向けて付勢する第1付勢部材を有し、
前記第1付勢部材は、前記爪部材と前記爪係合部材の凹部の係合が外れた場合に、前記支持板を前記開放位置に向けて移動させ、前記支持板が前記固定位置にあるとき、前記支持板に配置された前記押圧部材と前記走行路との間隔を一定に保つように、前記支持板を付勢することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体の通過を検出するセンサを備え、
前記センサは、情報記録媒体に向けて光を照射する発光素子と、前記発光素子からの光を受光する受光素子と、から構成され、
前記発光素子又は前記受光素子のうちいずれか一方は、前記支持板に設けられ、他方は、前記第1フレームに設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体を押圧する方向に、前記押圧部材を付勢する第2付勢部材と、
前記第2フレームに形成され、前記押圧部材を前記走行路に臨ませる開口と、を備え、
前記支持板は、前記押圧部材及び前記第2付勢部材を前記開口に対して離接可能に支持するものであって、
前記ハーフロック防止機構は、前記支持板を前記固定位置に固定する際に、前記押圧部材が前記開口の一部に当接して、前記第2付勢部材の付勢力によって、前記支持板を前記固定位置に向けて付勢することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記支持板を軸支する支持部は、前記走行路と略平行な方向に変位可能であって、
前記固定部は、前記第2フレーム又は前記支持板の一方に設けられ、前記走行路と略平行な方向に前記支持板の変位を許容するフック部と、前記第2フレーム又は前記支持板の他方に設けられ、前記フック部に係合するフック係合部と、から構成されることを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記スキャナよりも、媒体走行が開始される走行路の始端側に設けられていることを特徴とする請求項5又は6記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、さらに、情報記録媒体の通過を検出するセンサを備え、
前記センサ及び前記スキャナは、情報記録媒体の搬送方向に沿ってこの順で配置されているとともに、両者は近接して配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記押圧部材は、ローラ又は磁気ヘッドであることを特徴とする請求項1から8のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記走行路の終端近傍において、前記第2フレームには、情報記録媒体と非接触通信を行う非接触通信アンテナが設けられていることを特徴とする請求項1から9のいずれか記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記走行路の終端近傍において、前記第2フレームには、情報記録媒体と非接触通信を行う非接触通信アンテナの着脱を可能にする非接触通信アンテナ取付部が複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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