情報処理装置
【課題】表示装置を備えた情報処理装置において、操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定と、表示オブジェクトの表示と、表示オブジェクトの表示位置や大きさの指定とを、一度の操作で容易に実行させる。
【解決手段】情報処理装置(CPU15、HDD16等からなる制御装置で例示)は、表示装置(LCDパネル11で例示)と、表示装置での表示を制御する表示制御手段と、表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段(アンテナ群30で例示)と、識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標で表示オブジェクトの表示を行う指示を、表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備える。
【解決手段】情報処理装置(CPU15、HDD16等からなる制御装置で例示)は、表示装置(LCDパネル11で例示)と、表示装置での表示を制御する表示制御手段と、表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段(アンテナ群30で例示)と、識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標で表示オブジェクトの表示を行う指示を、表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置には、それを操作するためのキーボードやポインティングデバイスといった操作装置が具備され、同じく具備された表示装置に表示した情報等に対してユーザ操作が可能となっている。
【0003】
また、特許文献1には、非接触方式のIC(Integrated Circuit)カード用のアンテナを複数設け、ICカードとの通信がいずれのアンテナで行なわれたかに応じて、ICカードに記憶された複数の情報の中から一つの情報を入力し、表示部に表示する非接触ICカード端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−251027公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のごとく従来の情報処理装置においてはキーボードやマウスを用いて表示装置に表示した情報に対して操作を行うが、装置ユーザであるかの判定又はより厳格なユーザ認証を伴い且つ1つの装置を複数人で利用する場合、ユーザが変わる度に上記判定又はユーザ認証を行う必要があり、円滑な操作の妨げになっていた。
【0005】
さらに、近年の表示装置の大画面化に伴い、ユーザによって或いはユーザの表示装置に対する立ち位置によって表示オブジェクトを表示したい位置が異なることがある。このような場面として、例えば会議でのプレゼンテーションに大型の表示装置をもつ情報処理装置が使用される場合などが挙げられる。
【0006】
しかしながら、従来の情報処理装置では、ユーザが表示したい位置に表示オブジェクトを表示するためには、一度表示オブジェクトを表示する操作だけでなくその表示後の表示オブジェクトに対して表示位置や表示の大きさを変更する操作が必要となり、操作性が良いとは言えない。なお、特許文献1に記載の端末装置では、ICカードとの通信がいずれのアンテナで行われたかに応じて、ICカード内の複数の情報から一つが選ばれて表示部に表示されるが、その表示位置や表示の大きさは、どの情報が選択されても同じである。
【0007】
また、一度表示した表示オブジェクトを再度表示させる場合には以前の表示位置や大きさを記憶しておき、それを読み出すことで実行することはできる。しかしながら、複数のユーザが入れ替わり利用する情報処理装置においては、この技術は表示オブジェクト毎にユーザ毎の以前の表示位置や大きさを記憶しておかなければならない。また、大画面の表示装置をもつ情報処理装置においては、同じ表示オブジェクトを同じ位置に表示したい場面が多いとは言えないため、この技術は有効であるとは言えない。
【0008】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、表示装置を備えた情報処理装置において、操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定と、表示オブジェクトの表示と、表示オブジェクトの表示位置や大きさの指定とを、一度の操作で容易に実行させることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のごとき課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、表示装置を備えた情報処理装置であって、該表示装置での表示を制御する表示制御手段と、前記表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、前記識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示オブジェクトの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記複数の通信手段のうち複数で前記識別情報の読み取りが行なわれたことを検知すると、該読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定し、該決定した対角座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定することを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルの実行画面を表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0014】
第6の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、複数のファイルが読み出し可能な状態で格納され、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからファイル名を読み出し、前記ファイラを起動させて該ファイル名を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記ファイル名が示すファイルにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0015】
第7の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、当該情報処理装置には複数のファイルを記憶した1又は複数台のサーバ装置がアクセス可能に接続されており、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからサーバ装置を特定するための特定情報を読み出し、前記ファイラを起動させて該特定情報を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記特定情報で特定されたサーバ装置にアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0016】
第8の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからURIを読み出し、前記WEBブラウザを起動させて該URIを渡すブラウザ起動手段を備え、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記WEBブラウザの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0017】
第9の技術手段は、第8の技術手段において、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページの閲覧に際しユーザを識別するためのユーザ識別情報を必要とし、前記ブラウザ起動手段は、前記非接触カード内のメモリの他の所定のアドレスから、前記ユーザ識別情報を読み出し、前記WEBブラウザに渡し、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページに前記ユーザ識別情報を与えることを特徴としたものである。
【0018】
第10の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0019】
第11の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0020】
第12の技術手段は、第10又は第11の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを最後に行った通信手段の配設位置に応じて、前記アイコンの表示座標を決定することを特徴としたものである。
【0021】
第13の技術手段は、第1〜第12のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、まず前記非接触カードに記録されている設定情報を読み出す設定情報読出手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記設定情報読出手段で読み出された設定情報に基づいて、前記表示オブジェクトを決定することを特徴としたものである。
【0022】
第14の技術手段は、第1〜第13のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかによって前記識別情報が読み取られたときに、該読み取られた識別情報を認証する認証手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記認証手段で認証が成功した場合のみ、前記表示制御手段への指示を出力することを特徴としたものである。
【0023】
第15の技術手段は、第14の技術手段において、前記認証手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、表示装置を備えた情報処理装置において、操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定と、表示オブジェクトの表示と、表示オブジェクトの表示位置や大きさの指定とを、一度の操作で容易に実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例を示す外観図である。図1で例示する情報処理装置は、表示装置10と、表示装置10に接続されたPC等の制御装置(図示せず)とを備えた情報表示装置であり、主として会議などでの利用に好適な情報表示システム(以下、単に「表示システム」という)である。
【0026】
ここで例示する表示装置10は、その画像データを表示する薄型且つ大型のLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示手段11に加え、表示手段11の画面の前面側に設けられ、表示手段11で表示された情報に対する操作を行うためのタッチパネル12を備えている。タッチパネル12は、タッチペンや指などによりタッチされた位置の座標を入力する装置であり、制御装置にその操作信号(座標を示す信号等)を送るよう構成しておくとよい。タッチパネル12は、LED(Light Emitting Diode)アレイとフォトトランジスタアレイを表示手段11のフレームに設けておき、遮られた光を検出するなど、様々な構成及び座標検出方式が採用できる。なお、本発明に係る情報処理装置はこの表示手段11に相当する表示装置を備えていればよく、タッチパネル12は具備しなくてもよい。
【0027】
制御装置は、表示対象となる画像データを表示手段11に送り、表示手段11に表示させる制御を行う表示制御手段を有する。また、この制御装置は、表示装置10に内蔵しても外付けしてもよい。
【0028】
この表示システムは、図1で例示するように、表示装置10及び制御装置の他に、表示装置10を支持するための台座(スタンド)20と、台座20に収納されたプリンタ42及びスキャナ装置41とを備えている。なお、台座20はこの表示システムに設けなくてもよい。また、スキャナ装置41やプリンタ42等の画像処理装置を具備しないシステム構成としてもよい。
【0029】
表示装置10を支持する台座20は、左右一対の脚部21と、基台22と、基台キャスター(移動用車輪)23とを備えている。一対の脚部21は、基台22と表示装置10とを連結するために設けられたものである。基台キャスター(移動用車輪)23は、表示装置10を含む表示システム全体の移動を容易にするために、基台22の底部に設けられたものである。
【0030】
プリンタ42は、基台22上であって一対の脚部21の間に載置している。また、制御装置を外付けする場合には、例えばプリンタ42の後方に設置するなどしてもよい。ここでは、表示装置10の表示画面が視認できる面を表示装置10の前面側とする。そして表示画面に向かって手前側を本表示システムの前側とし、表示装置10の背面側を本表示システムの後方とする。
【0031】
また、台座20は、図示しない機構により基台22のプリンタ搭載部分が基台22に対して前後にスライド可能としておくことが好ましい。プリンタ42のトナーカートリッジの交換等のメンテナンス時にはこのプリンタ搭載部分を手前に引き出せばよい。このような構成により、台座20のスペースを有効に利用することができ、表示装置10の前でプレゼンテーションや会議進行などを行う利用者は、プリンタ42が邪魔にならずに表示システムを利用することができる。
【0032】
スキャナ装置41は、プリンタ42の上方の脚部21の内側空間に取り付けられている。スキャナ装置41は、さらに図示しないレール機構などにより、前方にスライドして引き出し可能に構成されている。また、スキャナ装置41は、その前面側に、シート状の原稿を挿入して内部に導入するための挿入口と、画像を読み取った後の原稿を排出するための排出口とを構成する2つの開口部を設けておくとよい。挿入口にシート状の原稿を挿入することにより、スキャナ装置41の給紙搬送機構によって原稿が搬送され、CCD(Charge Coupled Device)センサなどによる画像読み取り装置に送られる。そして画像読み取り装置によって画像が読み取られた原稿は、排出ローラにより搬送され、排出口から排出される。
【0033】
このような構成により、ユーザは、スキャナ装置41を台座20の脚部21の間に収納したままの状態で、スキャナ装置41の前面側からシート上の原稿の給紙と排出とを行うことができる。また、ブック原稿の画像読み取りやメンテナンスを行う場合には、スキャナ装置41を前方に引き出してこれらの処理を行うことができる。
【0034】
また、大型の表示装置10を支持する台座20の表示装置10の下方にスキャナ装置41やプリンタ42などのデバイスを収納することにより、表示システムの重心を下方に位置させることができ、これにより表示システムの加重バランスを安定させて、表示システムの転倒防止を図ることができる。このとき、複数のデバイスのうち、他のデバイスより重量の重い電子機器を下方に設けるようにすることが好ましい。
【0035】
図2は、図1の表示システムの一構成例を示すブロック図で、ここでは図1において台座20及びタッチパネル12を除いた部分の構成例を示している。なお、図2では、紙面の都合上、図1と画面のアスペクト比が異なるものを図示している。
【0036】
図2で例示する表示システムでは、上述の制御装置が、メモリ13、LCDコントローラ14、CPU(Central Processing Unit)15、ハードディスクドライブ(HDD)16、外部機器接続インターフェース(I/F)17、アンテナ群30、セレクタ31、及び通信ユニット32により構成されるものとして説明する。なお、タッチパネル12はCPU15に接続しておくことで、CPU15でその操作信号(座標を示す信号等)が得られる。
【0037】
CPU15は、表示装置10の全体の制御を行う。メモリ13、HDD16は、オペレーションシステム(OS)を含むプログラムと、そのプログラムで読み出し可能なデータとを記憶する。メモリ13は、例えばOSを記憶したROM(Read Only Memory)とプログラムの実行領域(作業領域)としてのRAM(Random Access Memory)とで構成するとよく、HDD16はそれ以外のプログラムやデータを格納しておくとよい。
【0038】
また、外部機器接続I/F17に、スキャナ装置41やプリンタ42を接続しておくことで、CPU15から画像読み取り命令や、HDD16内の画像等を印刷対象として印刷命令をかけることも、読み取った画像を取得することもできる。また、外部機器接続I/F17は、NIC(Network Interface Card)等で構成できる。このようなネットワーク通信手段を設けておくことで、図示しないWEBサーバ、ファイルサーバ、クライアントPCなどとネットワーク接続することもできる。
【0039】
以下、表示手段11としてLCDパネルを挙げて説明する。但し、表示手段11としては、LCDの他に、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示手段を適用することができる。LCDパネル11は、LCDコントローラ14で制御され、画像表示を行う。LCDコントローラ14は、CPU15に制御されてLCDパネル11の表示を制御する。
【0040】
このように、上述の表示制御手段は、主としてCPU15及びLCDコントローラ14で例示できる。表示オブジェクト(表示画像)は、例えばHDD16等に格納しておいたものを、CPU15で読み出せばよい。
【0041】
アンテナ群30、セレクタ31、及び通信ユニット32は、本発明の主たる特徴の一つとして、非接触カードを用いた表示位置指定操作が可能なよう組み込まれた操作手段の一例である。なお、この表示システムでは、タッチパネル12で例示したように他の操作装置を具備しておき、それを用いた操作も可能としてもよい。例えば、キーボード、マウスなどの操作装置を具備してもよい。但し、後述する表示オブジェクトの位置決定処理を必要とする操作は、非接触カードを用いてこの操作手段でなされるよう構成することで、ユーザ操作性が良いという本発明の利点を生かすことができる。
【0042】
アンテナ群30は、No.1〜9の9つのアンテナ30a,30b,30c,・・・でなり、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段の一例である。各通信手段は、少なくとも識別情報の読み取りのために配設され、好ましくは非接触カードと無線通信を行い識別情報とは異なる他の情報(他情報と呼ぶ)を読み書きするために配設されている。以下、これらのアンテナ30a,・・・のうち不特定のアンテナを指すときは符号30nを使用する。各アンテナ30nがそれぞれ一つの通信手段の一例に該当する。そして、9つのアンテナ30nは、表示装置10の表示画面(この例ではLCDパネル11の表示画面)の背後(背面)の所定の位置に、例えばマトリクス状に配設されているものとする。
【0043】
また、9つのアンテナ30nは、正当な位置のいずれかに非接触カードを近づけたときに、2以上のアンテナ30nでそれを同時に検知(検出)することがないような位置に配置する。また、画面の各領域において同じ設置密度となるように、均一に各アンテナ30nを配置することが好ましい。勿論、アンテナ群30に含まれるアンテナ30nの数は9個に限らず、その配置もマトリクス状に限ったものではない。
【0044】
ここで、表示画面の背後とは、最前面に設けた透明パネルの背後やその透明パネル内部も含むものとする。さらに、各アンテナ30nは、表示画面の背後に限らず、表示装置10の所定の位置にそれぞれ配設されていればよく、表示画面のさらに前側(表側)に設けてもよい。例えば、表示表面の表側にガラスを設けて、そのガラス上に透明の導電性部材でアンテナ30nを形成するとよい。
【0045】
さらに、上述の制御装置には、複数のアンテナ30nを制御する通信制御手段が設けられている。この通信制御手段は、複数のアンテナ30nのいずれかに非接触カードが近接されたときに、その非接触カードからの識別情報の読み取りを行い、必要に応じて、その非接触カードとの間で他情報の通信を行うよう、その非接触カードが近接されたアンテナ30nを制御する。セレクタ31、通信ユニット32、CPU15は、この通信制御手段の一例である。セレクタ31は、複数のアンテナ30nからの入出力を時分割で切り替えて、1つの通信ユニット32に複数のアンテナ30nを接続する。通信ユニット32は、アンテナ30nを介して非接触カードとの通信を行う。さらに、通信ユニット32はCPU15に接続されており、CPU15に識別情報や他情報を渡すことや、CPU15経由で他情報を受け取ることが可能となっている。
【0046】
なお、ここでは非接触カードがアンテナ30nに近接したときに、アンテナ30nからの電波に応じて識別情報を返信することを前提としているが、カード側のアンテナから自発的に識別情報を送信するように非接触カードを構成し、アンテナ30nもそれに対応させるとよい。
【0047】
さらに、上述の制御装置は、本発明の主たる特徴の1つとして、次の表示座標指示手段を備える。この表示座標指示手段は、識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示オブジェクトの表示を行う指示を、上述の表示制御手段に出力する。例えば、この表示座標指示手段としてCPU15を機能させるための表示座標指示プログラムを、上述のプログラムの一部として組み込むことで、実装できる。
【0048】
図2の構成例では、CPU15が、識別情報の読み取りを行った1又は複数のアンテナ30nの配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示オブジェクトの表示を行う指示を、LCDコントローラ14に出力する。表示オブジェクトの表示座標とは表示オブジェクトの表示位置を示す座標を指す。これにより、LCDパネル11上に、その指示に基づいた位置で表示オブジェクトが表示される。表示オブジェクトとしては、アイコンや表示用ウインドウ(アプリケーションの実行画面を含む)等が該当する。表示オブジェクトは上述のごとくHDD16から読み出せばよく、その読み出し例については後述する。
【0049】
決定される表示位置の例として、図2ではそれぞれアンテナ30a,30b,30c,・・・の位置と一致させたLCDパネル11上の表示位置50a,50b,50c,・・・を挙げている。例えば、或るアンテナ30nのみで識別情報を読み取った場合、そのアンテナ30nの位置に対応した表示位置50nに表示オブジェクトの表示を行うことになる。ここで、表示位置50nとは、これらの表示位置50a,・・・のうち不特定の表示位置を指す。複数のアンテナ30nで識別情報を読み取ったときの例は後述する。
【0050】
また、各表示位置は、例えば表示オブジェクトの左上の表示座標1つで定義し、大きさを全く考慮しなくてもよい。より具体的には、表示位置50aをアンテナ30aの位置(アンテナ30aの設置座標)に含まれる座標(x1,y1)として、表示位置50bをアンテナ30bの位置に含まれる座標(x2,y2)として、といった具合に定義しておくとよい。また、各表示位置は、例えば表示オブジェクトの左上及び右下の2つの表示座標でその領域を定義付けておいてもよい。例えば、No.6のアンテナ30fに対する表示位置50fで例示するように、描画開始座標(x6a,y6a)及び描画終了座標(x6b,y6b)として定義しておくとよい。後述する各例では、このように2つの座標で定義した例を採用して説明する。
【0051】
以上、説明したように、本発明の表示システムによれば、非接触カードを表示画面上のユーザが望む位置にかざす(近接させる)といった一度の操作だけで、(I)識別情報を得ることで操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定が実行でき、(II)ファイルアイコン等のアイコンやアプリケーション実行画面等の表示用ウインドウといった表示オブジェクトを表示させることができ、(III)その表示オブジェクトの表示位置も指定することができる。従って、本発明の表示システムによれば、ユーザの作業が少なくて済み、結果としてユーザ操作性を向上させることができる。
【0052】
上記(I)については、正規の非接触カードでなければ識別情報が得られないため、その後の処理を実行しなければよく、また正規のフォーマットの識別情報でなかった場合にもその後の処理を実行しなければよい。また、次に説明するように、識別情報を用いた正式な認証を実行することで、一度の操作だけで上記(II),(III)と同時に認証まで実行できるようになる。
【0053】
認証を実行するために、上述の制御装置は、複数の通信手段のいずれかによって識別情報が読み取られたときに、その読み取られた識別情報を認証する認証手段を備える。認証用のデータ(認証情報と呼ぶ)を例えばメモリ13又はHDD16に格納しておき、CPU15が読み取られた識別情報との比較を行うとよい。そして、表示座標指示手段は、認証手段で認証が成功した場合のみ、表示制御手段への指示を出力する。勿論、認証が失敗した場合には、表示座標決定処理自体も実行しないよう構成しておくことが好ましい。例えば、通信ユニット32が、複数のアンテナ30nのいずれかを介して識別情報が入力されると、CPU15にその識別情報を渡し、CPU15が特定の認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合にのみLCDコントローラ14に対して表示位置を指定した表示オブジェクトの表示指示を出力するとよい。また、非接触カード60との他情報の通信も、一致する場合のみ許可するよう制御するとよい。一方、認証に失敗した場合、CPU15はその近接させた操作を無視するか、或いは認証が失敗して操作できない旨をLCDパネル11に表示させるなどしてもよい。
【0054】
また、この認証手段は、識別情報の読み取りを行ったアンテナ30nに依らず共通の認証方式を用いて認証処理を実行するものとする。すなわち、この認証手段における認証処理は、各通信手段(ここではアンテナ30n)に対して共通の手段で実行されることとなる。
【0055】
次に、本発明において操作に用いる非接触カードについて説明する。図3は、図2における操作手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。非接触カード60は、非接触方式の電子カードであり、ICカードが例示できる。
【0056】
図3で例示する非接触カード60は、アンテナ61、CPU62、及びメモリ63を備える。カード側アンテナ61は、アンテナ群30のいずれかのアンテナと電磁波で通信を行う。カード側CPU62、カード側メモリ63は、カード側アンテナ61で受信した電磁波を供給電力として動作し、カード側メモリ63に記憶された情報をアンテナ群30のいずれかのアンテナに送信する。この情報の一つとして識別情報63aがカード側メモリ63に記憶されている。識別情報63aは、非接触カード60を所持するユーザに対して一対一に付与されるID情報である。若しくは、アンテナ群30からの情報をカード側メモリ63に記憶するような処理も可能である。
【0057】
また、カード側メモリ63には、識別情報63a以外の他情報として、情報63b〜63iが記憶された例を示している。これらの情報63b〜63iのいずれか1又は複数が通信制御手段によって上述の他情報として非接触カード60から読み取られることとなる。
【0058】
また、HDD16(又はメモリ13)には、CPU15で実行可能なように、複数のアプリケーションが実行可能に組み込まれていることが好ましい。情報63b〜63iは、他情報として取得し、この複数のアプリケーションのいずれかで使用する目的で格納された情報である。つまり、通信制御手段は、他情報として、各アプリケーションのそれぞれに必要な情報を通信するよう制御する。
【0059】
この表示システム(情報処理装置)に、アプリケーション群として、プレゼンテーション(プレゼン)用アプリケーション、ファイラ、WEBブラウザ、メーラ、プリンタドライバ、スキャナドライバが組み込まれている場合を想定する。そのとき各アプリケーションに必要な情報とは、それぞれ、プレゼンファイル(又は何も無し)、ファイルの格納先、URL、電子メールアドレス、プリンタ名、デバイス名、デバイス名などとなる。なお、例えば1つのアプリケーションのみインストールされていてもよい。
【0060】
URL(Uniform Resource Locators)63bは、WEBブラウザに入力してWEBページの表示に利用する。なお、URL63bの代わりにURN(Uniform Resource Name)を用いてもよく、所謂URI(Uniform Resource Identifiers)を用いればよい。サーバ名63cは、ファイラに入力してサーバ装置に保存されているファイル一覧を表示させるときに利用する。ここで一覧表示されるファイルの種類とは、プレゼンファイル等の文書ファイルや画像ファイルだけでなく、フォルダファイルも含むとよい。ファイラとは、記憶装置の中を階層的に表示し、ファイルやフォルダを操作するためのアプリケーションである。ファイル名63dは、HDD16内のファイルを特定できる名前を指し、ファイラに入力してそのファイルが含まれるフォルダ内のファイル一覧を表示させたり、ファイラに入力してファイル自体を開くときに利用する。デバイス名63eは、プリンタ42やスキャナ装置41等の周辺機器の名称であり、プリンタドライバやスキャナドライバを操作するときに指定するプリンタ名、スキャナ名を示す。Eメールアドレス63fは、メーラに入力してEメールの送信先を指定するときに利用する。ユーザID・パスワード63gは、サーバ装置内のファイル閲覧やWEBページを開く際に本人認証に必要な情報である。また、ファイル63hは、プレゼンファイルなどのデータファイルであり、本表示システムにコピーして、そのアイコン又はそのファイル自身を表示する際に利用する。設定情報63iの内容については後述する。
【0061】
図4は、図2のHDDに格納された情報の一例を示す図である。また、図5は、図2の表示システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのフロー図で、図6〜図8は、図5の処理例において、表示される表示画面の例を示す図である。
【0062】
図4に例示するように、HDD16(又はメモリ13)には、ユーザ認証用にユーザ情報テーブル(利用者情報テーブル)16aが格納されていると共に、ウインドウ座標設定テーブル16bが格納されている。
【0063】
ユーザ情報テーブル16aは、この表示システムを利用可能か否かの認証を行うために利用するID情報を格納したテーブルであり、このID情報は、上述の認証手段での認証情報に該当する。ユーザ情報テーブル16aには、例えばユーザAに対するID情報A、ユーザBに対するID情報Bのように、ユーザ毎のID情報のリストを格納しておけばよい。ID情報を格納する対象のユーザは、例えばこの表示システムを所有する部署の所属員などとすればよい。
【0064】
ウインドウ座標設定テーブル16bは、識別情報63aを読み出したアンテナ30nと表示オブジェクト座標50nの対応関係を示すテーブルである。例えば、No.1のアンテナ30aに対しては(X1a,Y1a)−(X1b,Y1b)などと規定しておく。CPU15は、アンテナ30nで非接触カードを検知し、識別情報63aを読み出したら、このテーブル16bを参照して、表示オブジェクトの表示座標を決定する。
【0065】
図5及び図6を参照して、図4のごとき情報を参照しながらこの表示システムで実行される処理について例示する。まず、通信ユニット32で、いずれかのアンテナ30nで非接触カードA(60a)からの電波が受信されるのを待つ(ステップS1)。図6の上段の表示画面51で例示するようにいずれかのアンテナ30nから電波を受信したとき(ステップS1でYESとなったとき)、通信ユニット32は非接触カード60に記憶されている識別情報63aを読み出してCPU15に渡す(ステップS2)。
【0066】
続いて、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの表示座標を決定(特定)する(ステップS3)。続いて、CPU15が、通信ユニット32からいずれのアンテナ30nでも非接触カード60aからの電波を受信していないか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、非接触カード60aが画面から離されて非接触カード60aを検出しなくなったか否かを判定する。ステップS4でNOの場合には、ステップS3の処理を再度行い、表示座標を再決定する。
【0067】
ここで、ステップS4の判定は、時間を制限して行うとよい。つまり、表示座標指示手段は、識別情報63aの読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、識別情報63aの読み取りを最後に行ったアンテナ30nの配設位置に応じて、表示オブジェクトの表示座標(表示領域を特定するための座標)を決定するとよい。そして、いずれのアンテナ30nでも非接触カード60aを検出しなくなったタイミングで、次のステップS5へ進む。
【0068】
このようにして座標を特定した後、CPU15は、この識別情報63aが、ユーザ情報テーブル16aを参照し、そこに記憶されているユーザ情報のいずれかと一致するか否かを判定(照合)することで、ユーザ認証を行う(ステップS5)。ステップS5において、非接触カード60aに記憶されている識別情報63aがユーザ情報のいずれとも一致しなかった場合には、CPU15がLCDコントローラ14を制御し、ユーザ認証失敗としてエラー表示を行い(ステップS6)、ステップS1に戻り、次の操作を待つ。
【0069】
一方、ステップS5で一致したと判定された場合、CPU15は、表示オブジェクトの画像データをHDD16から読み出して、非接触カード60aを検知したアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)に応じてステップS3で最終的に特定した表示座標を設定し、その表示座標で予め定められた表示領域(図2の例ではアンテナ30nの位置と一致する領域)にその表示オブジェクトを表示するよう、LCDコントローラ14に出力する(ステップS7)。ここで、最終的に特定した表示座標とは、最後に非接触カード60aを検知したアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)の配設位置に応じた表示座標を指す。続いて、LCDコントローラ14がLCDパネル11を制御してその表示オブジェクトをその表示位置に表示する(ステップS8)。
【0070】
表示オブジェクトとして予め新規プレゼンファイルのアイコンが定められている場合を例に挙げると、ステップS8により、図6の下段のように、表示画面51のアンテナ30aに対応する位置(表示位置50a)に新規プレゼンファイルを開くためのアイコン51aが表示される。ここで、新規プレゼンファイルは、少なくともステップS5でYESとなった後に、CPU15がプレゼン用アプリケーションを読み出して新規に作成する。新規に作成するファイルの種類は予め制御装置に設定しておけばよい。
【0071】
このように、上述の制御装置には、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備えることが好ましい。ここで、ステップS4での判定時間の間に1つの所定ファイルを生成すればよい。そして、表示座標指示手段が、表示オブジェクトとしてその所定のファイルのアイコンを表示する指示を表示制御手段に出力するとよい。
【0072】
ステップS8の後は、ステップS1に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS5(及びNOの場合のステップS6)の処理はステップS2の直後に実行し、ステップS4でYESの場合にステップS7へ進むようにしてもよい。
【0073】
図7及び図8を参照して、表示オブジェクトとして予めファイラの実行画面が定められている場合を例に挙げて説明する。上述の制御装置にファイラが実行可能に組み込まれており、ファイラでの表示対象となるファイルも読み出し可能な状態でHDD16に格納されているものとする。
【0074】
この場合、ステップS7においてHDD16から単に表示オブジェクトを読み出す代わりに、CPU15は、ファイラを起動させてその実行画面(表示用ウインドウ)を生成し、その実行画面の画像データと最終的に特定した表示座標で予め定められた表示領域とを、その表示領域にその実行画面を表示するように、LCDコントローラ14に出力する。実行画面の画像データは、図9等を参照しながら後述するが、ファイラでファイル抽出を行いその結果で生成すればよい。
【0075】
そして、ステップS8により、図7の下段のように、表示画面51のアンテナ30aに対応する位置(表示位置50a)にファイラの実行画面51bが表示される。ここで、実行画面51bは、ステップS5で認証した結果のユーザが日頃使用しているフォルダ内のファイルやサブフォルダが表示されていることが好ましい。そのため利用者情報テーブル16aでフォルダ名を対応づけておくとよい。本表示システムにサーバ装置(図示せず)、すなわちファイルサーバが1又は複数台、ネットワーク接続されている場合には、フォルダ名の代わりにサーバ名(及びフォルダ名)を対応づけておいてもよい。
【0076】
図7の下段の表示画面51の表示状態で、別のユーザが非接触カードB(60b)をアンテナ30iに近接させた場合には、再度図5の一連の処理が実行される。その結果、図8の下段のように、実行画面51bの表示はそのままに、表示画面51のアンテナ30iに対応する位置(表示位置50i)にファイラの実行画面51cが表示される。
【0077】
図7及び図8で例示したように、表示座標指示手段は、表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示用ウインドウの表示を行う指示を、表示制御手段に出力するようにしてもよい。図8で例示したように、複数人で同じ本表示システムを利用する場合にも、それぞれの好みの位置に所定の表示オブジェクトの表示を行うことができる。
【0078】
図9は、図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図で、図10は、図9の処理例において表示される表示画面の例を示す図で、図11は、図10の表示画面において1つのアイコンを選択したときの表示画面の例を示す図である。表示用ウインドウはその表示領域を大きくして表示させることが好ましい。そのため、非接触カードの検知に応じて表示領域を可変できるようにするとよい。図9〜図11を参照して、図7の下段の表示画面51の状態からの操作を例に挙げて説明する。
【0079】
まず、ステップS1,S2と同様の処理を実行し(ステップS11,S12)、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを最初に行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30i)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの第1の座標を決定(特定)する(ステップS13)。続いて、ステップS14の処理(第2座標特定処理)を実行する。
【0080】
ステップS14の第2座標特定処理は、まずCPU15が、通信ユニット32からいずれかのアンテナ30nで非接触カード60bからの電波を受信したかをの判定を行う(すなわち次の受信を待つ)。そして、同じ識別情報63aの読み取りがあったときに、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30d)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの第2の座標を決定(特定)する。
【0081】
ステップS14に続いて、CPU15が、通信ユニット32からいずれのアンテナ30nでも非接触カード60bからの電波を受信していないか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、非接触カード60bが画面から離されて非接触カード60bを検出しなくなったか否かを判定する。ステップS15でNOの場合には、ステップS14の処理を再度行い、第2の座標を再決定する。
【0082】
ここで、ステップS15の判定は、時間を制限して行うことが好ましい。つまり、表示座標指示手段は、識別情報63aの読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、識別情報63aの読み取りを行った複数のアンテナ30nの配設位置に応じて、表示用ウインドウの対角座標(表示領域を特定するための対角座標)を決定するとよい。そして、いずれのアンテナ30nでも非接触カード60bを検出しなくなったタイミングで、次のステップS16へ進む。
【0083】
このように、表示座標指示手段は、複数のアンテナ30nのうち複数で同じ識別情報63aの読み取りが続けて行なわれたことを検知すると、その読み取りを行った複数のアンテナ30n(この例では最初のアンテナ30iと最後のアンテナ30d)の配設位置に応じて、表示用ウインドウの対角座標(対角座標位置)を決定してもよい。
【0084】
このようにして第1及び第2の座標を特定した後、ステップS5と同様にユーザ認証を行う(ステップS16)。ステップS16でNOの場合にはステップS6と同様にエラー表示を行い(ステップS17)、ステップS11に戻り、次の操作を待つ。
【0085】
一方、ステップS16で一致したと判定された場合、CPU15は、ファイラを起動させてその実行画面(表示用ウインドウ)を生成し、その実行画面の画像データと最終的に特定した対角座標(この例では最初と最後に検知したアンテナ30i,30dで特定した対角座標)で決まる表示領域とを、その表示領域にその実行画面を表示するように、LCDコントローラ14に出力する(ステップS18)。続いて、LCDコントローラ14がLCDパネル11を制御してその実行画面51d(但し、中のアイコンはこの時点で未表示)をその表示領域(表示位置)に表示する(ステップS19)。このように、表示座標指示手段は、決定した対角座標でその表示用ウインドウの表示を行う指示を、表示制御手段に出力するとよい。このような指示により、表示オブジェクトの表示位置の指定だけでなく、表示の大きさの指定も可能となる。
【0086】
そして、ファイラが実行画面51d内に表示するファイル群を抽出し(ステップS20)、抽出したファイル群に対応するアイコン群の画像データを実行画面51d内に納めるように、CPU15がLCDコントローラ14に出力する(ステップS21)。ステップS20においては、図7を参照して説明したように利用者情報テーブル16aでフォルダ名やサーバ名などを対応づけておき、ステップS16で認証した結果のユーザが日頃使用しているフォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出するとよい。その結果、図10の下段のように、実行画面51bの表示はそのままに、表示画面51のアンテナ30iからアンテナ30dに対応する対角領域にファイラの実行画面51dが表示される。
【0087】
なお、表示オブジェクトとして表示用ウィンドウが表示される場合には特に、特定された表示領域で他のオブジェクトとの表示が重なる場合もないとは言えない。その場合には、他のオブジェクトに上書きする形で表示させればよく、また他のオブジェクトの表示領域を必要に応じて小さくするなどしてもよい。
【0088】
ステップS21の後は、ステップS11に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS16(及びNOの場合のステップS17)の処理はステップS12の直後に実行し、ステップS15でYESの場合にステップS18へ進むようにしてもよい。
【0089】
上述したステップS14の受信の判定に関し、受信を待つ時間は制限することが好ましい。時間を経過した後には、第2の表示座標を特定できなかったとして、ステップS18でそのまま第1の表示座標のみで表示領域を設定してステップS19以降の処理を実行すればよい。また、ステップS15の処理に関し、非接触カード60bが画面から離れる前のカード移動途中で第1及び第2の座標を特定し、逐次、特定した対角座標に基づきステップS18以降の処理を実行するように制御してもよい。これにより、ユーザは表示オブジェクトの大きさの変位を見ながら大きさを決めることができる。
【0090】
また、ステップS21の処理後には、ユーザが実行画面51d内に表示された或るプレゼンファイルAのアイコンを、タッチパネル12等の他の操作手段で選択操作することができる。図11に示すように、このような選択操作により開くプレゼンファイルAの実行画面51eも、実行画面51dと同じ表示領域に表示させることが好ましい。
【0091】
ここで、ステップS20に関し、上述した利用者情報テーブル16aでフォルダ名やサーバ名を対応づけておく例以外の、ファイラにおけるファイルの抽出処理例について説明する。まず、ユーザが予め非接触カード60b内に、ファイル名63dを記憶させておく。
【0092】
そして、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれか識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60b内のメモリ63の所定のアドレスからファイル名63dを読み出し、ファイラを起動させてそのファイル名63dを渡すファイラ起動手段を備える。このファイラ起動手段は、例えばファイラ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。ファイル名63dの読み出しは、CPU15が通信ユニット32、セレクタ31を介し、その非接触カード60bが近接された一つのアンテナ30nを制御することで実現できる。つまりファイル名63dの読み出しは、通信制御手段で実行できる。
【0093】
起動したファイラは、HDD16内のファイル名63dが示すファイルにアクセスして、そのファイルが存在するフォルダを開いて、フォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出する。このようにして、抽出されたファイル群を示すファイラの実行画面(ファイル名の格納場所を示すフォルダの表示画面)に対し、表示座標指示手段は、その実行画面の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したファイル名63dに基づきファイラの表示制御を行うことができる。なお、ファイル名63dの代わりにフォルダ名を非接触カード60bに記憶させておいてもよく、その場合には、そのフォルダを開き、そのフォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出するとよい。
【0094】
また、HDD16に格納されているファイルをファイラでの表示対象としてもよいが、この表示システムに、複数のファイルを記憶した1又は複数台のファイルサーバがアクセス可能にネットワーク接続されている場合について説明する。このようなシステム構成に組み込まれたファイラは、ファイルサーバ内に記憶されたファイル群に対してもHDD16に対する処理と同様の処理を実行できる。なお、上述の制御装置に接続された第2の情報処理装置をサーバとしてもよい。
【0095】
上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれか識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60b内のメモリ63の所定のアドレスからファイルサーバを特定するための特定情報を読み出し、ファイラを起動させてその特定情報を渡すファイラ起動手段を備える。このファイラ起動手段も、例えばファイラ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。特定情報はサーバ名63cで例示でき、その他、ファイルサーバのURIであってもよい。サーバ名63cの読み出しはファイル名63dと同様に通信制御手段で実行できる。
【0096】
起動したファイラは、サーバ名63cで特定されたファイルサーバにアクセスし、そのファイルサーバに記憶されたファイル(フォルダファイルも含む)にアクセスし、その一覧をファイルサーバから得ることでファイル群を抽出する。このようにして、抽出されたファイル群を示すファイラの実行画面(そのファイルサーバのフォルダの表示画面)に対し、表示座標指示手段は、その実行画面の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したサーバ名63cに基づきファイラの表示制御を行うことができる。なお、サーバ名63cの中に更に下層のファイル名等も記憶しておけば、よりそのユーザに合った実行画面が表示できる。
【0097】
また、非接触カード60のメモリ63に検索文字列を記憶しておき、それをファイラ起動手段が読み出して、ファイラに検索文字列として渡すことで、ファイルサーバ内のファイルに含まれる文字列でファイルを検索して、検索結果としてのファイル群を実行画面として表示させることもできる。
【0098】
次に、サーバ内のファイルの閲覧に際して、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザIDとパスワード63g)を必要とする場合について説明する。この場合、ファイラ起動手段は、例えばサーバ名63cをファイラに渡した後に、非接触カード60内のメモリ63の他の所定のアドレスから、ユーザID・パスワード63gを読み出し、ファイラに渡す。ファイラは、サーバ名63cで示されるサーバ装置の閲覧画面にこのユーザID・パスワード63gを与える。また、ユーザID・パスワード63gは非接触カード60が近接されているうちに読み出しておけばよく、まずサーバ装置にアクセスして正規の状態で表示できないときやユーザID・パスワード要求画面が表示された時点でサーバ装置に渡してもよい。
【0099】
図12は、図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。また、図13は、図12の処理例において表示される表示画面の例を示す図で、対角座標位置を決定した後、表示領域にプレゼン用アプリケーションの実行画面を表示した例を示している。図11のような表示を行う際に、最初からユーザが開きたいファイルを決めている場面が考えられる。そのような場面では、一度の操作でそのファイルを画面の大きさまで指定して表示させることが好ましい。そのため、非接触カードの検知に応じて表示領域を可変できるようにするだけでなく、ファイルを非接触カードから読み出すようにするとよい。
【0100】
図12及び図13を参照して、背景のみの表示画面の状態から、ファイル63hを記憶した非接触カードC(60c)をもつユーザが操作する場面を例に挙げる。まず、ステップS11〜S13と同様の処理を実行して(ステップS31〜S33)、第1の座標を特定する。第1の座標としてアンテナ30aに対応する座標が特定されたと仮定する。
【0101】
次いで、CPU15が、通信ユニット32を制御し、非接触カードC(60c)が近接されているアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)を介して非接触カード60cの内部に格納されたファイル63hをHDD16内にコピーする(ステップS34)。
【0102】
このように、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60cに記録されている所定のファイル63hをコピーするファイルコピー手段を備えることが好ましい。この手段は、ファイルコピープログラムとして実行可能に組み込んでおくとよい。コピー対象の特定は、非接触カード60cの所定のアドレスで示される格納領域に格納されたファイルとして特定してもよいし、非接触カード60c内に格納されたファイルの中で所定のファイル形式をもつファイルとして特定してもよい。
【0103】
ステップS34に続いて、ステップS14と同様の第2座標特定処理を実行し(ステップS35)、ステップS15と同様の受信していないか否かの判定を行う(ステップS36)。ステップS35,S36でも、それぞれステップS14,S15と同様に時間を制限しておくとよい。第2の座標としてアンテナ30fに対応する座標が特定されたと仮定する。
【0104】
このようにして第1及び第2の座標を特定した後、ステップS16〜S19と同様の処理を実行する(ステップS37〜S40)。但し、ステップS39では、ファイラの代わりにステップS34でコピーしたファイルの種類に応じたアプリケーションを起動する。また、ステップS40では、その実行画面51f(但し、中身はこの時点で未表示)が表示画面51に表示されることとなる。
【0105】
ステップS40に続き、ステップS34でコピーしたファイルをCPU15がHDD16から読み出して、そのアプリケーションがそのファイルを開き、CPU15がそのファイルを開いた画面の画像データを上述の実行画面51f内に納めるように、LCDコントローラ14に出力する(ステップS41)。その結果、図13の下段のように、表示画面51のアンテナ30aからアンテナ30fに対応する対角領域にそのファイルの実行画面51fが表示される。
【0106】
ステップS41の後は、ステップS31に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS37(及びNOの場合のステップS38)の処理はステップS32の直後に実行し、ステップS36でYESの場合にステップS39へ進むようにしてもよい。
【0107】
また、ステップS34の処理の順序は少なくともステップS36でYESとなる前に実行しておけばよい。また、ステップS36の処理に関し、ステップS15の処理で説明したように、非接触カード60bが画面から離れる前のカード移動途中で第1及び第2の座標を特定し、逐次、特定した対角座標に基づきステップS39以降の処理を実行するように制御してもよい。これにより、ユーザはファイル実行画面の大きさの変位を見ながら大きさを決めることができる。
【0108】
図14は、図2の表示システムにおいて実行させる処理において表示される表示画面の他の例を示す図である。図6を参照して、表示オブジェクトとして予め新規プレゼンファイルのアイコンが定められている場合を説明したが、図12及び図13で説明したように非接触カードからファイルをコピーして、そのアイコン表示を行ってもよい。
【0109】
例えば、図5の処理例において、ステップS2の後に図12のステップS34のごとくファイルを取得し、CPU15が、ステップS8の代わりに表示オブジェクトとして取得したファイルのアイコンを表示する指示をLCDコントローラ14に出力するとよい。これにより、図14の上段の表示画面51のようにアンテナ30aに非接触カード60cを近接させると、図14の下段の表示画面51のようにそれに対応する位置に、元々非接触カード60c内に記憶されていたファイル63h(ここではプレゼンファイルAとしている)を開くためのアイコン51gが表示される。このアイコン51gにファイル63hのコピー先へのリンクを張っておく。ユーザがアイコン51gの選択操作を行うことで、ファイル63hを開くことができる。
【0110】
次に、WEBページを表示する例を挙げる。このWEBページ閲覧操作の前提として、上述の制御装置には、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれ、インターネット等の広域ネットワークに接続しWEBサーバ等と接続するためのNIC等のI/Fが具備されているものとする。
【0111】
上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、通信制御手段でその読み取ったアンテナ30nを制御して、その非接触カード60内のメモリ63の所定のアドレスからURI(URL63b等)を読み出し、WEBブラウザを起動させてそのURL63bを渡すブラウザ起動手段を備える。このブラウザ起動手段は、例えばブラウザ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。WEBブラウザがそのURL63bで示されるWEBページにアクセスする。表示座標指示手段は、表示用ウインドウの表示座標としてWEBブラウザの実行画面(URL63bで示されるWEBページの表示画面)の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を、表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したURL63bに基づきWEBブラウザの表示制御を行うことができる。
【0112】
また、非接触カード60のメモリ63に検索文字列を記憶しておき、それをブラウザ起動手段が読み出して、WEBブラウザに検索文字列として渡すことで、WEBブラウザが、インターネット検索サービスを利用した検索を行い、検索結果としてのリンク一覧を実行画面として表示させることもできる。
【0113】
次に、WEBブラウザでそのURL63bで示されるWEBページを閲覧するに際して、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザIDとパスワード63g)を必要とする場合について説明する。この場合、ブラウザ起動手段は、例えばURL63bをWEBブラウザに渡した後に、非接触カード60内のメモリ63の他の所定のアドレスから、ユーザID・パスワード63gを読み出し、WEBブラウザに渡す。WEBブラウザは、URL63bで示されるWEBページにこのユーザID・パスワード63gを与える。また、ユーザID・パスワード63gは非接触カード60が近接されているうちに読み出しておけばよく、まずWEBページにアクセスして正規の状態で表示できないときやユーザID・パスワード要求画面が表示された時点でWEBブラウザに渡してもよい。
【0114】
次に、電子メールのメーラを表示する例を挙げる。この前提として、上述の制御装置には、アプリケーションの一つとして電子メールのメーラが実行可能に組み込まれ、インターネット等の広域ネットワークに接続しメールサーバ等と接続するためのNIC等のI/Fが具備されているものとする。WEBページの表示処理に対して、WEBブラウザの代わりにメーラを起動し、URL63bの代わりに送信先のEメールアドレス63fを読み出すだけで、メール送信画面の表示処理が可能である。ユーザID・パスワード63gはメールアカウントとして利用することができる。
【0115】
次に、プリンタ42の印刷設定画面表示処理を行う例を挙げる。この前提として、上述の制御装置には、プリンタ42のプリンタドライバが実行可能に組み込まれ、プリンタ42が接続されているものとする。WEBページの表示処理に対して、WEBブラウザの代わりにプリンタドライバを起動し、URL63bの代わりにプリンタ42を示すデバイス名63eを読み出すだけで、印刷設定画面の表示処理が可能である。また、スキャナ装置41のスキャン設定画面表示処理も同様に説明できる。プリンタ42の代わりにスキャナ装置41が、プリンタドライバの代わりにスキャナドライバを適用することで、スキャン設定画面の表示処理が可能となる。
【0116】
次に、設定情報63iの利用方法について説明する。上述した各例では、図3のメモリ63内の情報63b〜63hが格納されているものとして説明した。勿論、予め本表示システム側で表示オブジェクトやその表示オブジェクトの表示時に必要となる情報(非接触カード60から読み出す情報)を決めておけば、上述の各例のごとき制御が個々に実行できる。しかし、好ましくは1つの表示システムでこれら各例の制御が選択的に実行できることが好ましい。設定情報63iは、そのような選択を行うために参照する情報である。
【0117】
CPU15は、識別情報63aを受信した時点で、まずこの設定情報63iを通信手段で読み出すとよい。すなわち、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、まず非接触カード60に記録されている設定情報63iを読み出す設定情報読出手段を備えるとよい。この設定情報読出手段は、例えば設定情報読出アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。
【0118】
そして、表示座標指示手段は、設定情報読出手段で読み出された設定情報63iに基づいて、表示オブジェクトの決定(及びその表示オブジェクトの表示時に読み取りをしておいた方がユーザ操作性が向上する情報63b〜63h等の決定)を行うとよい。その後の表示オブジェクトの表示位置決定及び表示指示の出力については説明したとおりである。
【0119】
設定情報63iの例を挙げる。まず、表示オブジェクトをアイコンとするのか、表示用ウインドウ(アプリケーション実行画面)とするのか、といった表示オブジェクトの種類を設定しておくとよい。さらに、アイコンの場合には、そのアイコンでリンクされるファイルは非接触カード60からコピーする必要があるのか、新規に作成すればよいのか、新規に作成する場合にはどのアプリケーションのファイルであるのか、といった情報も、設定情報63iに含めるとよい。また、アプリケーション実行画面の場合には、どのアプリケーションを実行する必要があるのか、そのアプリケーションを実行する際に読み取りをしておいた方がユーザ操作性が向上する情報は情報63b〜63hのうちどれか、といった情報も、設定情報63iに含めるとよい。
【0120】
また、設定情報63iとしては、ファイルを記憶しておき、ファイルコピー手段、ファイラ起動手段、ブラウザ起動手段、ファイル(新規ファイル)生成手段等として、CPU15を機能させるためのプログラムを、autoexe.batのような自動実行形式で記憶しておいてもよい。これにより、上述の設定情報読出アプリケーションは汎用OSに既に組み込まれていることとなる。各手段としてCPU15を機能させるためのプログラムが上述した制御装置に組み込まれているのであれば、どのプログラムを読み出すのかといった自動実行形式のプログラムを記憶しておいてもよい。
【0121】
ユーザが、必要に応じて各情報63b〜63hを記憶させておき、それに合わせて最も近い時期に使用する設定を示す設定情報63iを記憶させておき、使用後には設定情報62iをユーザが自身のPCなどで書き換えればよい。
【0122】
以上の各例においては、一度表示した表示オブジェクトの位置を移動させる場合には、非接触カード60を用いた操作手段以外の操作手段で行えばよい。しかし、例えば、一度表示した表示位置に非接触カード60を近接させる操作を行うことでも、移動可能としてもよい。そのため、表示オブジェクトを表示中に、その表示を行った際に読み取った識別情報63aと同じ識別情報63aを読み取ったときに(但し、上述した各所定時間が過ぎた後)、再度表示位置(及び大きさ)の決定を行って、決定した位置・大きさで表示オブジェクトを再表示して移動させてもよい。このような制御は、設定情報63iを採用した場合には、設定情報63iが書き換えられない限り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置(表示システム)の一例を示す外観図である。
【図2】図1の表示システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2における操作手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。
【図4】図2のHDDに格納された情報の一例を示す図である。
【図5】図2の表示システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】図5の処理例において表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】図5の処理例において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【図8】図5の処理例において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【図9】図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図10】図9の処理例において表示される表示画面の一例を示す図である。
【図11】図10の表示画面において1つのアイコンを選択したときの表示画面の例を示す図である。
【図12】図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図13】図12の処理例において表示される表示画面の例を示す図である。
【図14】図2の表示システムにおいて実行させる処理において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
10…表示装置、11…表示手段(LCDパネル)、12…タッチパネル、13…メモリ、14…LCDコントローラ、15…CPU、16…HDD、17…外部機器接続I/F、20…台座、30…アンテナ群、30a,30b,30c,30d,30e,30f,30n…アンテナ、31…セレクタ、32…通信ユニット、41…スキャナ装置、42…プリンタ、50a,50b,50c,50d,50e,50f,50n…表示位置、60…非接触カード、61…カード側アンテナ、62…カード側CPU、63…カード側メモリ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置には、それを操作するためのキーボードやポインティングデバイスといった操作装置が具備され、同じく具備された表示装置に表示した情報等に対してユーザ操作が可能となっている。
【0003】
また、特許文献1には、非接触方式のIC(Integrated Circuit)カード用のアンテナを複数設け、ICカードとの通信がいずれのアンテナで行なわれたかに応じて、ICカードに記憶された複数の情報の中から一つの情報を入力し、表示部に表示する非接触ICカード端末装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−251027公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のごとく従来の情報処理装置においてはキーボードやマウスを用いて表示装置に表示した情報に対して操作を行うが、装置ユーザであるかの判定又はより厳格なユーザ認証を伴い且つ1つの装置を複数人で利用する場合、ユーザが変わる度に上記判定又はユーザ認証を行う必要があり、円滑な操作の妨げになっていた。
【0005】
さらに、近年の表示装置の大画面化に伴い、ユーザによって或いはユーザの表示装置に対する立ち位置によって表示オブジェクトを表示したい位置が異なることがある。このような場面として、例えば会議でのプレゼンテーションに大型の表示装置をもつ情報処理装置が使用される場合などが挙げられる。
【0006】
しかしながら、従来の情報処理装置では、ユーザが表示したい位置に表示オブジェクトを表示するためには、一度表示オブジェクトを表示する操作だけでなくその表示後の表示オブジェクトに対して表示位置や表示の大きさを変更する操作が必要となり、操作性が良いとは言えない。なお、特許文献1に記載の端末装置では、ICカードとの通信がいずれのアンテナで行われたかに応じて、ICカード内の複数の情報から一つが選ばれて表示部に表示されるが、その表示位置や表示の大きさは、どの情報が選択されても同じである。
【0007】
また、一度表示した表示オブジェクトを再度表示させる場合には以前の表示位置や大きさを記憶しておき、それを読み出すことで実行することはできる。しかしながら、複数のユーザが入れ替わり利用する情報処理装置においては、この技術は表示オブジェクト毎にユーザ毎の以前の表示位置や大きさを記憶しておかなければならない。また、大画面の表示装置をもつ情報処理装置においては、同じ表示オブジェクトを同じ位置に表示したい場面が多いとは言えないため、この技術は有効であるとは言えない。
【0008】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、表示装置を備えた情報処理装置において、操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定と、表示オブジェクトの表示と、表示オブジェクトの表示位置や大きさの指定とを、一度の操作で容易に実行させることを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のごとき課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、表示装置を備えた情報処理装置であって、該表示装置での表示を制御する表示制御手段と、前記表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、前記識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示オブジェクトの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記複数の通信手段のうち複数で前記識別情報の読み取りが行なわれたことを検知すると、該読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定し、該決定した対角座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定することを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルの実行画面を表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0014】
第6の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、複数のファイルが読み出し可能な状態で格納され、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからファイル名を読み出し、前記ファイラを起動させて該ファイル名を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記ファイル名が示すファイルにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0015】
第7の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、当該情報処理装置には複数のファイルを記憶した1又は複数台のサーバ装置がアクセス可能に接続されており、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからサーバ装置を特定するための特定情報を読み出し、前記ファイラを起動させて該特定情報を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記特定情報で特定されたサーバ装置にアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0016】
第8の技術手段は、第2〜第4のいずれかの技術手段において、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからURIを読み出し、前記WEBブラウザを起動させて該URIを渡すブラウザ起動手段を備え、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記WEBブラウザの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0017】
第9の技術手段は、第8の技術手段において、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページの閲覧に際しユーザを識別するためのユーザ識別情報を必要とし、前記ブラウザ起動手段は、前記非接触カード内のメモリの他の所定のアドレスから、前記ユーザ識別情報を読み出し、前記WEBブラウザに渡し、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページに前記ユーザ識別情報を与えることを特徴としたものである。
【0018】
第10の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0019】
第11の技術手段は、第1の技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴としたものである。
【0020】
第12の技術手段は、第10又は第11の技術手段において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを最後に行った通信手段の配設位置に応じて、前記アイコンの表示座標を決定することを特徴としたものである。
【0021】
第13の技術手段は、第1〜第12のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、まず前記非接触カードに記録されている設定情報を読み出す設定情報読出手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記設定情報読出手段で読み出された設定情報に基づいて、前記表示オブジェクトを決定することを特徴としたものである。
【0022】
第14の技術手段は、第1〜第13のいずれかの技術手段において、前記複数の通信手段のいずれかによって前記識別情報が読み取られたときに、該読み取られた識別情報を認証する認証手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記認証手段で認証が成功した場合のみ、前記表示制御手段への指示を出力することを特徴としたものである。
【0023】
第15の技術手段は、第14の技術手段において、前記認証手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、表示装置を備えた情報処理装置において、操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定と、表示オブジェクトの表示と、表示オブジェクトの表示位置や大きさの指定とを、一度の操作で容易に実行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の一例を示す外観図である。図1で例示する情報処理装置は、表示装置10と、表示装置10に接続されたPC等の制御装置(図示せず)とを備えた情報表示装置であり、主として会議などでの利用に好適な情報表示システム(以下、単に「表示システム」という)である。
【0026】
ここで例示する表示装置10は、その画像データを表示する薄型且つ大型のLCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示手段11に加え、表示手段11の画面の前面側に設けられ、表示手段11で表示された情報に対する操作を行うためのタッチパネル12を備えている。タッチパネル12は、タッチペンや指などによりタッチされた位置の座標を入力する装置であり、制御装置にその操作信号(座標を示す信号等)を送るよう構成しておくとよい。タッチパネル12は、LED(Light Emitting Diode)アレイとフォトトランジスタアレイを表示手段11のフレームに設けておき、遮られた光を検出するなど、様々な構成及び座標検出方式が採用できる。なお、本発明に係る情報処理装置はこの表示手段11に相当する表示装置を備えていればよく、タッチパネル12は具備しなくてもよい。
【0027】
制御装置は、表示対象となる画像データを表示手段11に送り、表示手段11に表示させる制御を行う表示制御手段を有する。また、この制御装置は、表示装置10に内蔵しても外付けしてもよい。
【0028】
この表示システムは、図1で例示するように、表示装置10及び制御装置の他に、表示装置10を支持するための台座(スタンド)20と、台座20に収納されたプリンタ42及びスキャナ装置41とを備えている。なお、台座20はこの表示システムに設けなくてもよい。また、スキャナ装置41やプリンタ42等の画像処理装置を具備しないシステム構成としてもよい。
【0029】
表示装置10を支持する台座20は、左右一対の脚部21と、基台22と、基台キャスター(移動用車輪)23とを備えている。一対の脚部21は、基台22と表示装置10とを連結するために設けられたものである。基台キャスター(移動用車輪)23は、表示装置10を含む表示システム全体の移動を容易にするために、基台22の底部に設けられたものである。
【0030】
プリンタ42は、基台22上であって一対の脚部21の間に載置している。また、制御装置を外付けする場合には、例えばプリンタ42の後方に設置するなどしてもよい。ここでは、表示装置10の表示画面が視認できる面を表示装置10の前面側とする。そして表示画面に向かって手前側を本表示システムの前側とし、表示装置10の背面側を本表示システムの後方とする。
【0031】
また、台座20は、図示しない機構により基台22のプリンタ搭載部分が基台22に対して前後にスライド可能としておくことが好ましい。プリンタ42のトナーカートリッジの交換等のメンテナンス時にはこのプリンタ搭載部分を手前に引き出せばよい。このような構成により、台座20のスペースを有効に利用することができ、表示装置10の前でプレゼンテーションや会議進行などを行う利用者は、プリンタ42が邪魔にならずに表示システムを利用することができる。
【0032】
スキャナ装置41は、プリンタ42の上方の脚部21の内側空間に取り付けられている。スキャナ装置41は、さらに図示しないレール機構などにより、前方にスライドして引き出し可能に構成されている。また、スキャナ装置41は、その前面側に、シート状の原稿を挿入して内部に導入するための挿入口と、画像を読み取った後の原稿を排出するための排出口とを構成する2つの開口部を設けておくとよい。挿入口にシート状の原稿を挿入することにより、スキャナ装置41の給紙搬送機構によって原稿が搬送され、CCD(Charge Coupled Device)センサなどによる画像読み取り装置に送られる。そして画像読み取り装置によって画像が読み取られた原稿は、排出ローラにより搬送され、排出口から排出される。
【0033】
このような構成により、ユーザは、スキャナ装置41を台座20の脚部21の間に収納したままの状態で、スキャナ装置41の前面側からシート上の原稿の給紙と排出とを行うことができる。また、ブック原稿の画像読み取りやメンテナンスを行う場合には、スキャナ装置41を前方に引き出してこれらの処理を行うことができる。
【0034】
また、大型の表示装置10を支持する台座20の表示装置10の下方にスキャナ装置41やプリンタ42などのデバイスを収納することにより、表示システムの重心を下方に位置させることができ、これにより表示システムの加重バランスを安定させて、表示システムの転倒防止を図ることができる。このとき、複数のデバイスのうち、他のデバイスより重量の重い電子機器を下方に設けるようにすることが好ましい。
【0035】
図2は、図1の表示システムの一構成例を示すブロック図で、ここでは図1において台座20及びタッチパネル12を除いた部分の構成例を示している。なお、図2では、紙面の都合上、図1と画面のアスペクト比が異なるものを図示している。
【0036】
図2で例示する表示システムでは、上述の制御装置が、メモリ13、LCDコントローラ14、CPU(Central Processing Unit)15、ハードディスクドライブ(HDD)16、外部機器接続インターフェース(I/F)17、アンテナ群30、セレクタ31、及び通信ユニット32により構成されるものとして説明する。なお、タッチパネル12はCPU15に接続しておくことで、CPU15でその操作信号(座標を示す信号等)が得られる。
【0037】
CPU15は、表示装置10の全体の制御を行う。メモリ13、HDD16は、オペレーションシステム(OS)を含むプログラムと、そのプログラムで読み出し可能なデータとを記憶する。メモリ13は、例えばOSを記憶したROM(Read Only Memory)とプログラムの実行領域(作業領域)としてのRAM(Random Access Memory)とで構成するとよく、HDD16はそれ以外のプログラムやデータを格納しておくとよい。
【0038】
また、外部機器接続I/F17に、スキャナ装置41やプリンタ42を接続しておくことで、CPU15から画像読み取り命令や、HDD16内の画像等を印刷対象として印刷命令をかけることも、読み取った画像を取得することもできる。また、外部機器接続I/F17は、NIC(Network Interface Card)等で構成できる。このようなネットワーク通信手段を設けておくことで、図示しないWEBサーバ、ファイルサーバ、クライアントPCなどとネットワーク接続することもできる。
【0039】
以下、表示手段11としてLCDパネルを挙げて説明する。但し、表示手段11としては、LCDの他に、プラズマディスプレイ(Plasma Display Panel)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display)等の表示手段を適用することができる。LCDパネル11は、LCDコントローラ14で制御され、画像表示を行う。LCDコントローラ14は、CPU15に制御されてLCDパネル11の表示を制御する。
【0040】
このように、上述の表示制御手段は、主としてCPU15及びLCDコントローラ14で例示できる。表示オブジェクト(表示画像)は、例えばHDD16等に格納しておいたものを、CPU15で読み出せばよい。
【0041】
アンテナ群30、セレクタ31、及び通信ユニット32は、本発明の主たる特徴の一つとして、非接触カードを用いた表示位置指定操作が可能なよう組み込まれた操作手段の一例である。なお、この表示システムでは、タッチパネル12で例示したように他の操作装置を具備しておき、それを用いた操作も可能としてもよい。例えば、キーボード、マウスなどの操作装置を具備してもよい。但し、後述する表示オブジェクトの位置決定処理を必要とする操作は、非接触カードを用いてこの操作手段でなされるよう構成することで、ユーザ操作性が良いという本発明の利点を生かすことができる。
【0042】
アンテナ群30は、No.1〜9の9つのアンテナ30a,30b,30c,・・・でなり、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段の一例である。各通信手段は、少なくとも識別情報の読み取りのために配設され、好ましくは非接触カードと無線通信を行い識別情報とは異なる他の情報(他情報と呼ぶ)を読み書きするために配設されている。以下、これらのアンテナ30a,・・・のうち不特定のアンテナを指すときは符号30nを使用する。各アンテナ30nがそれぞれ一つの通信手段の一例に該当する。そして、9つのアンテナ30nは、表示装置10の表示画面(この例ではLCDパネル11の表示画面)の背後(背面)の所定の位置に、例えばマトリクス状に配設されているものとする。
【0043】
また、9つのアンテナ30nは、正当な位置のいずれかに非接触カードを近づけたときに、2以上のアンテナ30nでそれを同時に検知(検出)することがないような位置に配置する。また、画面の各領域において同じ設置密度となるように、均一に各アンテナ30nを配置することが好ましい。勿論、アンテナ群30に含まれるアンテナ30nの数は9個に限らず、その配置もマトリクス状に限ったものではない。
【0044】
ここで、表示画面の背後とは、最前面に設けた透明パネルの背後やその透明パネル内部も含むものとする。さらに、各アンテナ30nは、表示画面の背後に限らず、表示装置10の所定の位置にそれぞれ配設されていればよく、表示画面のさらに前側(表側)に設けてもよい。例えば、表示表面の表側にガラスを設けて、そのガラス上に透明の導電性部材でアンテナ30nを形成するとよい。
【0045】
さらに、上述の制御装置には、複数のアンテナ30nを制御する通信制御手段が設けられている。この通信制御手段は、複数のアンテナ30nのいずれかに非接触カードが近接されたときに、その非接触カードからの識別情報の読み取りを行い、必要に応じて、その非接触カードとの間で他情報の通信を行うよう、その非接触カードが近接されたアンテナ30nを制御する。セレクタ31、通信ユニット32、CPU15は、この通信制御手段の一例である。セレクタ31は、複数のアンテナ30nからの入出力を時分割で切り替えて、1つの通信ユニット32に複数のアンテナ30nを接続する。通信ユニット32は、アンテナ30nを介して非接触カードとの通信を行う。さらに、通信ユニット32はCPU15に接続されており、CPU15に識別情報や他情報を渡すことや、CPU15経由で他情報を受け取ることが可能となっている。
【0046】
なお、ここでは非接触カードがアンテナ30nに近接したときに、アンテナ30nからの電波に応じて識別情報を返信することを前提としているが、カード側のアンテナから自発的に識別情報を送信するように非接触カードを構成し、アンテナ30nもそれに対応させるとよい。
【0047】
さらに、上述の制御装置は、本発明の主たる特徴の1つとして、次の表示座標指示手段を備える。この表示座標指示手段は、識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示オブジェクトの表示を行う指示を、上述の表示制御手段に出力する。例えば、この表示座標指示手段としてCPU15を機能させるための表示座標指示プログラムを、上述のプログラムの一部として組み込むことで、実装できる。
【0048】
図2の構成例では、CPU15が、識別情報の読み取りを行った1又は複数のアンテナ30nの配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示オブジェクトの表示を行う指示を、LCDコントローラ14に出力する。表示オブジェクトの表示座標とは表示オブジェクトの表示位置を示す座標を指す。これにより、LCDパネル11上に、その指示に基づいた位置で表示オブジェクトが表示される。表示オブジェクトとしては、アイコンや表示用ウインドウ(アプリケーションの実行画面を含む)等が該当する。表示オブジェクトは上述のごとくHDD16から読み出せばよく、その読み出し例については後述する。
【0049】
決定される表示位置の例として、図2ではそれぞれアンテナ30a,30b,30c,・・・の位置と一致させたLCDパネル11上の表示位置50a,50b,50c,・・・を挙げている。例えば、或るアンテナ30nのみで識別情報を読み取った場合、そのアンテナ30nの位置に対応した表示位置50nに表示オブジェクトの表示を行うことになる。ここで、表示位置50nとは、これらの表示位置50a,・・・のうち不特定の表示位置を指す。複数のアンテナ30nで識別情報を読み取ったときの例は後述する。
【0050】
また、各表示位置は、例えば表示オブジェクトの左上の表示座標1つで定義し、大きさを全く考慮しなくてもよい。より具体的には、表示位置50aをアンテナ30aの位置(アンテナ30aの設置座標)に含まれる座標(x1,y1)として、表示位置50bをアンテナ30bの位置に含まれる座標(x2,y2)として、といった具合に定義しておくとよい。また、各表示位置は、例えば表示オブジェクトの左上及び右下の2つの表示座標でその領域を定義付けておいてもよい。例えば、No.6のアンテナ30fに対する表示位置50fで例示するように、描画開始座標(x6a,y6a)及び描画終了座標(x6b,y6b)として定義しておくとよい。後述する各例では、このように2つの座標で定義した例を採用して説明する。
【0051】
以上、説明したように、本発明の表示システムによれば、非接触カードを表示画面上のユーザが望む位置にかざす(近接させる)といった一度の操作だけで、(I)識別情報を得ることで操作者であるユーザが正規のユーザであるかの判定が実行でき、(II)ファイルアイコン等のアイコンやアプリケーション実行画面等の表示用ウインドウといった表示オブジェクトを表示させることができ、(III)その表示オブジェクトの表示位置も指定することができる。従って、本発明の表示システムによれば、ユーザの作業が少なくて済み、結果としてユーザ操作性を向上させることができる。
【0052】
上記(I)については、正規の非接触カードでなければ識別情報が得られないため、その後の処理を実行しなければよく、また正規のフォーマットの識別情報でなかった場合にもその後の処理を実行しなければよい。また、次に説明するように、識別情報を用いた正式な認証を実行することで、一度の操作だけで上記(II),(III)と同時に認証まで実行できるようになる。
【0053】
認証を実行するために、上述の制御装置は、複数の通信手段のいずれかによって識別情報が読み取られたときに、その読み取られた識別情報を認証する認証手段を備える。認証用のデータ(認証情報と呼ぶ)を例えばメモリ13又はHDD16に格納しておき、CPU15が読み取られた識別情報との比較を行うとよい。そして、表示座標指示手段は、認証手段で認証が成功した場合のみ、表示制御手段への指示を出力する。勿論、認証が失敗した場合には、表示座標決定処理自体も実行しないよう構成しておくことが好ましい。例えば、通信ユニット32が、複数のアンテナ30nのいずれかを介して識別情報が入力されると、CPU15にその識別情報を渡し、CPU15が特定の認証情報と一致するか否かを判定し、一致する場合にのみLCDコントローラ14に対して表示位置を指定した表示オブジェクトの表示指示を出力するとよい。また、非接触カード60との他情報の通信も、一致する場合のみ許可するよう制御するとよい。一方、認証に失敗した場合、CPU15はその近接させた操作を無視するか、或いは認証が失敗して操作できない旨をLCDパネル11に表示させるなどしてもよい。
【0054】
また、この認証手段は、識別情報の読み取りを行ったアンテナ30nに依らず共通の認証方式を用いて認証処理を実行するものとする。すなわち、この認証手段における認証処理は、各通信手段(ここではアンテナ30n)に対して共通の手段で実行されることとなる。
【0055】
次に、本発明において操作に用いる非接触カードについて説明する。図3は、図2における操作手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。非接触カード60は、非接触方式の電子カードであり、ICカードが例示できる。
【0056】
図3で例示する非接触カード60は、アンテナ61、CPU62、及びメモリ63を備える。カード側アンテナ61は、アンテナ群30のいずれかのアンテナと電磁波で通信を行う。カード側CPU62、カード側メモリ63は、カード側アンテナ61で受信した電磁波を供給電力として動作し、カード側メモリ63に記憶された情報をアンテナ群30のいずれかのアンテナに送信する。この情報の一つとして識別情報63aがカード側メモリ63に記憶されている。識別情報63aは、非接触カード60を所持するユーザに対して一対一に付与されるID情報である。若しくは、アンテナ群30からの情報をカード側メモリ63に記憶するような処理も可能である。
【0057】
また、カード側メモリ63には、識別情報63a以外の他情報として、情報63b〜63iが記憶された例を示している。これらの情報63b〜63iのいずれか1又は複数が通信制御手段によって上述の他情報として非接触カード60から読み取られることとなる。
【0058】
また、HDD16(又はメモリ13)には、CPU15で実行可能なように、複数のアプリケーションが実行可能に組み込まれていることが好ましい。情報63b〜63iは、他情報として取得し、この複数のアプリケーションのいずれかで使用する目的で格納された情報である。つまり、通信制御手段は、他情報として、各アプリケーションのそれぞれに必要な情報を通信するよう制御する。
【0059】
この表示システム(情報処理装置)に、アプリケーション群として、プレゼンテーション(プレゼン)用アプリケーション、ファイラ、WEBブラウザ、メーラ、プリンタドライバ、スキャナドライバが組み込まれている場合を想定する。そのとき各アプリケーションに必要な情報とは、それぞれ、プレゼンファイル(又は何も無し)、ファイルの格納先、URL、電子メールアドレス、プリンタ名、デバイス名、デバイス名などとなる。なお、例えば1つのアプリケーションのみインストールされていてもよい。
【0060】
URL(Uniform Resource Locators)63bは、WEBブラウザに入力してWEBページの表示に利用する。なお、URL63bの代わりにURN(Uniform Resource Name)を用いてもよく、所謂URI(Uniform Resource Identifiers)を用いればよい。サーバ名63cは、ファイラに入力してサーバ装置に保存されているファイル一覧を表示させるときに利用する。ここで一覧表示されるファイルの種類とは、プレゼンファイル等の文書ファイルや画像ファイルだけでなく、フォルダファイルも含むとよい。ファイラとは、記憶装置の中を階層的に表示し、ファイルやフォルダを操作するためのアプリケーションである。ファイル名63dは、HDD16内のファイルを特定できる名前を指し、ファイラに入力してそのファイルが含まれるフォルダ内のファイル一覧を表示させたり、ファイラに入力してファイル自体を開くときに利用する。デバイス名63eは、プリンタ42やスキャナ装置41等の周辺機器の名称であり、プリンタドライバやスキャナドライバを操作するときに指定するプリンタ名、スキャナ名を示す。Eメールアドレス63fは、メーラに入力してEメールの送信先を指定するときに利用する。ユーザID・パスワード63gは、サーバ装置内のファイル閲覧やWEBページを開く際に本人認証に必要な情報である。また、ファイル63hは、プレゼンファイルなどのデータファイルであり、本表示システムにコピーして、そのアイコン又はそのファイル自身を表示する際に利用する。設定情報63iの内容については後述する。
【0061】
図4は、図2のHDDに格納された情報の一例を示す図である。また、図5は、図2の表示システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのフロー図で、図6〜図8は、図5の処理例において、表示される表示画面の例を示す図である。
【0062】
図4に例示するように、HDD16(又はメモリ13)には、ユーザ認証用にユーザ情報テーブル(利用者情報テーブル)16aが格納されていると共に、ウインドウ座標設定テーブル16bが格納されている。
【0063】
ユーザ情報テーブル16aは、この表示システムを利用可能か否かの認証を行うために利用するID情報を格納したテーブルであり、このID情報は、上述の認証手段での認証情報に該当する。ユーザ情報テーブル16aには、例えばユーザAに対するID情報A、ユーザBに対するID情報Bのように、ユーザ毎のID情報のリストを格納しておけばよい。ID情報を格納する対象のユーザは、例えばこの表示システムを所有する部署の所属員などとすればよい。
【0064】
ウインドウ座標設定テーブル16bは、識別情報63aを読み出したアンテナ30nと表示オブジェクト座標50nの対応関係を示すテーブルである。例えば、No.1のアンテナ30aに対しては(X1a,Y1a)−(X1b,Y1b)などと規定しておく。CPU15は、アンテナ30nで非接触カードを検知し、識別情報63aを読み出したら、このテーブル16bを参照して、表示オブジェクトの表示座標を決定する。
【0065】
図5及び図6を参照して、図4のごとき情報を参照しながらこの表示システムで実行される処理について例示する。まず、通信ユニット32で、いずれかのアンテナ30nで非接触カードA(60a)からの電波が受信されるのを待つ(ステップS1)。図6の上段の表示画面51で例示するようにいずれかのアンテナ30nから電波を受信したとき(ステップS1でYESとなったとき)、通信ユニット32は非接触カード60に記憶されている識別情報63aを読み出してCPU15に渡す(ステップS2)。
【0066】
続いて、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの表示座標を決定(特定)する(ステップS3)。続いて、CPU15が、通信ユニット32からいずれのアンテナ30nでも非接触カード60aからの電波を受信していないか否かを判定する(ステップS4)。すなわち、非接触カード60aが画面から離されて非接触カード60aを検出しなくなったか否かを判定する。ステップS4でNOの場合には、ステップS3の処理を再度行い、表示座標を再決定する。
【0067】
ここで、ステップS4の判定は、時間を制限して行うとよい。つまり、表示座標指示手段は、識別情報63aの読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、識別情報63aの読み取りを最後に行ったアンテナ30nの配設位置に応じて、表示オブジェクトの表示座標(表示領域を特定するための座標)を決定するとよい。そして、いずれのアンテナ30nでも非接触カード60aを検出しなくなったタイミングで、次のステップS5へ進む。
【0068】
このようにして座標を特定した後、CPU15は、この識別情報63aが、ユーザ情報テーブル16aを参照し、そこに記憶されているユーザ情報のいずれかと一致するか否かを判定(照合)することで、ユーザ認証を行う(ステップS5)。ステップS5において、非接触カード60aに記憶されている識別情報63aがユーザ情報のいずれとも一致しなかった場合には、CPU15がLCDコントローラ14を制御し、ユーザ認証失敗としてエラー表示を行い(ステップS6)、ステップS1に戻り、次の操作を待つ。
【0069】
一方、ステップS5で一致したと判定された場合、CPU15は、表示オブジェクトの画像データをHDD16から読み出して、非接触カード60aを検知したアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)に応じてステップS3で最終的に特定した表示座標を設定し、その表示座標で予め定められた表示領域(図2の例ではアンテナ30nの位置と一致する領域)にその表示オブジェクトを表示するよう、LCDコントローラ14に出力する(ステップS7)。ここで、最終的に特定した表示座標とは、最後に非接触カード60aを検知したアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)の配設位置に応じた表示座標を指す。続いて、LCDコントローラ14がLCDパネル11を制御してその表示オブジェクトをその表示位置に表示する(ステップS8)。
【0070】
表示オブジェクトとして予め新規プレゼンファイルのアイコンが定められている場合を例に挙げると、ステップS8により、図6の下段のように、表示画面51のアンテナ30aに対応する位置(表示位置50a)に新規プレゼンファイルを開くためのアイコン51aが表示される。ここで、新規プレゼンファイルは、少なくともステップS5でYESとなった後に、CPU15がプレゼン用アプリケーションを読み出して新規に作成する。新規に作成するファイルの種類は予め制御装置に設定しておけばよい。
【0071】
このように、上述の制御装置には、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備えることが好ましい。ここで、ステップS4での判定時間の間に1つの所定ファイルを生成すればよい。そして、表示座標指示手段が、表示オブジェクトとしてその所定のファイルのアイコンを表示する指示を表示制御手段に出力するとよい。
【0072】
ステップS8の後は、ステップS1に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS5(及びNOの場合のステップS6)の処理はステップS2の直後に実行し、ステップS4でYESの場合にステップS7へ進むようにしてもよい。
【0073】
図7及び図8を参照して、表示オブジェクトとして予めファイラの実行画面が定められている場合を例に挙げて説明する。上述の制御装置にファイラが実行可能に組み込まれており、ファイラでの表示対象となるファイルも読み出し可能な状態でHDD16に格納されているものとする。
【0074】
この場合、ステップS7においてHDD16から単に表示オブジェクトを読み出す代わりに、CPU15は、ファイラを起動させてその実行画面(表示用ウインドウ)を生成し、その実行画面の画像データと最終的に特定した表示座標で予め定められた表示領域とを、その表示領域にその実行画面を表示するように、LCDコントローラ14に出力する。実行画面の画像データは、図9等を参照しながら後述するが、ファイラでファイル抽出を行いその結果で生成すればよい。
【0075】
そして、ステップS8により、図7の下段のように、表示画面51のアンテナ30aに対応する位置(表示位置50a)にファイラの実行画面51bが表示される。ここで、実行画面51bは、ステップS5で認証した結果のユーザが日頃使用しているフォルダ内のファイルやサブフォルダが表示されていることが好ましい。そのため利用者情報テーブル16aでフォルダ名を対応づけておくとよい。本表示システムにサーバ装置(図示せず)、すなわちファイルサーバが1又は複数台、ネットワーク接続されている場合には、フォルダ名の代わりにサーバ名(及びフォルダ名)を対応づけておいてもよい。
【0076】
図7の下段の表示画面51の表示状態で、別のユーザが非接触カードB(60b)をアンテナ30iに近接させた場合には、再度図5の一連の処理が実行される。その結果、図8の下段のように、実行画面51bの表示はそのままに、表示画面51のアンテナ30iに対応する位置(表示位置50i)にファイラの実行画面51cが表示される。
【0077】
図7及び図8で例示したように、表示座標指示手段は、表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、決定した表示座標でその表示用ウインドウの表示を行う指示を、表示制御手段に出力するようにしてもよい。図8で例示したように、複数人で同じ本表示システムを利用する場合にも、それぞれの好みの位置に所定の表示オブジェクトの表示を行うことができる。
【0078】
図9は、図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図で、図10は、図9の処理例において表示される表示画面の例を示す図で、図11は、図10の表示画面において1つのアイコンを選択したときの表示画面の例を示す図である。表示用ウインドウはその表示領域を大きくして表示させることが好ましい。そのため、非接触カードの検知に応じて表示領域を可変できるようにするとよい。図9〜図11を参照して、図7の下段の表示画面51の状態からの操作を例に挙げて説明する。
【0079】
まず、ステップS1,S2と同様の処理を実行し(ステップS11,S12)、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを最初に行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30i)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの第1の座標を決定(特定)する(ステップS13)。続いて、ステップS14の処理(第2座標特定処理)を実行する。
【0080】
ステップS14の第2座標特定処理は、まずCPU15が、通信ユニット32からいずれかのアンテナ30nで非接触カード60bからの電波を受信したかをの判定を行う(すなわち次の受信を待つ)。そして、同じ識別情報63aの読み取りがあったときに、CPU15が、ウインドウ座標設定テーブル16bを参照し、識別情報63aの読み取りを行ったアンテナ30n(この例ではアンテナ30d)の配設位置に応じて、表示オブジェクトの第2の座標を決定(特定)する。
【0081】
ステップS14に続いて、CPU15が、通信ユニット32からいずれのアンテナ30nでも非接触カード60bからの電波を受信していないか否かを判定する(ステップS15)。すなわち、非接触カード60bが画面から離されて非接触カード60bを検出しなくなったか否かを判定する。ステップS15でNOの場合には、ステップS14の処理を再度行い、第2の座標を再決定する。
【0082】
ここで、ステップS15の判定は、時間を制限して行うことが好ましい。つまり、表示座標指示手段は、識別情報63aの読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、識別情報63aの読み取りを行った複数のアンテナ30nの配設位置に応じて、表示用ウインドウの対角座標(表示領域を特定するための対角座標)を決定するとよい。そして、いずれのアンテナ30nでも非接触カード60bを検出しなくなったタイミングで、次のステップS16へ進む。
【0083】
このように、表示座標指示手段は、複数のアンテナ30nのうち複数で同じ識別情報63aの読み取りが続けて行なわれたことを検知すると、その読み取りを行った複数のアンテナ30n(この例では最初のアンテナ30iと最後のアンテナ30d)の配設位置に応じて、表示用ウインドウの対角座標(対角座標位置)を決定してもよい。
【0084】
このようにして第1及び第2の座標を特定した後、ステップS5と同様にユーザ認証を行う(ステップS16)。ステップS16でNOの場合にはステップS6と同様にエラー表示を行い(ステップS17)、ステップS11に戻り、次の操作を待つ。
【0085】
一方、ステップS16で一致したと判定された場合、CPU15は、ファイラを起動させてその実行画面(表示用ウインドウ)を生成し、その実行画面の画像データと最終的に特定した対角座標(この例では最初と最後に検知したアンテナ30i,30dで特定した対角座標)で決まる表示領域とを、その表示領域にその実行画面を表示するように、LCDコントローラ14に出力する(ステップS18)。続いて、LCDコントローラ14がLCDパネル11を制御してその実行画面51d(但し、中のアイコンはこの時点で未表示)をその表示領域(表示位置)に表示する(ステップS19)。このように、表示座標指示手段は、決定した対角座標でその表示用ウインドウの表示を行う指示を、表示制御手段に出力するとよい。このような指示により、表示オブジェクトの表示位置の指定だけでなく、表示の大きさの指定も可能となる。
【0086】
そして、ファイラが実行画面51d内に表示するファイル群を抽出し(ステップS20)、抽出したファイル群に対応するアイコン群の画像データを実行画面51d内に納めるように、CPU15がLCDコントローラ14に出力する(ステップS21)。ステップS20においては、図7を参照して説明したように利用者情報テーブル16aでフォルダ名やサーバ名などを対応づけておき、ステップS16で認証した結果のユーザが日頃使用しているフォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出するとよい。その結果、図10の下段のように、実行画面51bの表示はそのままに、表示画面51のアンテナ30iからアンテナ30dに対応する対角領域にファイラの実行画面51dが表示される。
【0087】
なお、表示オブジェクトとして表示用ウィンドウが表示される場合には特に、特定された表示領域で他のオブジェクトとの表示が重なる場合もないとは言えない。その場合には、他のオブジェクトに上書きする形で表示させればよく、また他のオブジェクトの表示領域を必要に応じて小さくするなどしてもよい。
【0088】
ステップS21の後は、ステップS11に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS16(及びNOの場合のステップS17)の処理はステップS12の直後に実行し、ステップS15でYESの場合にステップS18へ進むようにしてもよい。
【0089】
上述したステップS14の受信の判定に関し、受信を待つ時間は制限することが好ましい。時間を経過した後には、第2の表示座標を特定できなかったとして、ステップS18でそのまま第1の表示座標のみで表示領域を設定してステップS19以降の処理を実行すればよい。また、ステップS15の処理に関し、非接触カード60bが画面から離れる前のカード移動途中で第1及び第2の座標を特定し、逐次、特定した対角座標に基づきステップS18以降の処理を実行するように制御してもよい。これにより、ユーザは表示オブジェクトの大きさの変位を見ながら大きさを決めることができる。
【0090】
また、ステップS21の処理後には、ユーザが実行画面51d内に表示された或るプレゼンファイルAのアイコンを、タッチパネル12等の他の操作手段で選択操作することができる。図11に示すように、このような選択操作により開くプレゼンファイルAの実行画面51eも、実行画面51dと同じ表示領域に表示させることが好ましい。
【0091】
ここで、ステップS20に関し、上述した利用者情報テーブル16aでフォルダ名やサーバ名を対応づけておく例以外の、ファイラにおけるファイルの抽出処理例について説明する。まず、ユーザが予め非接触カード60b内に、ファイル名63dを記憶させておく。
【0092】
そして、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれか識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60b内のメモリ63の所定のアドレスからファイル名63dを読み出し、ファイラを起動させてそのファイル名63dを渡すファイラ起動手段を備える。このファイラ起動手段は、例えばファイラ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。ファイル名63dの読み出しは、CPU15が通信ユニット32、セレクタ31を介し、その非接触カード60bが近接された一つのアンテナ30nを制御することで実現できる。つまりファイル名63dの読み出しは、通信制御手段で実行できる。
【0093】
起動したファイラは、HDD16内のファイル名63dが示すファイルにアクセスして、そのファイルが存在するフォルダを開いて、フォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出する。このようにして、抽出されたファイル群を示すファイラの実行画面(ファイル名の格納場所を示すフォルダの表示画面)に対し、表示座標指示手段は、その実行画面の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したファイル名63dに基づきファイラの表示制御を行うことができる。なお、ファイル名63dの代わりにフォルダ名を非接触カード60bに記憶させておいてもよく、その場合には、そのフォルダを開き、そのフォルダ内のファイルやサブフォルダを抽出するとよい。
【0094】
また、HDD16に格納されているファイルをファイラでの表示対象としてもよいが、この表示システムに、複数のファイルを記憶した1又は複数台のファイルサーバがアクセス可能にネットワーク接続されている場合について説明する。このようなシステム構成に組み込まれたファイラは、ファイルサーバ内に記憶されたファイル群に対してもHDD16に対する処理と同様の処理を実行できる。なお、上述の制御装置に接続された第2の情報処理装置をサーバとしてもよい。
【0095】
上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれか識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60b内のメモリ63の所定のアドレスからファイルサーバを特定するための特定情報を読み出し、ファイラを起動させてその特定情報を渡すファイラ起動手段を備える。このファイラ起動手段も、例えばファイラ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。特定情報はサーバ名63cで例示でき、その他、ファイルサーバのURIであってもよい。サーバ名63cの読み出しはファイル名63dと同様に通信制御手段で実行できる。
【0096】
起動したファイラは、サーバ名63cで特定されたファイルサーバにアクセスし、そのファイルサーバに記憶されたファイル(フォルダファイルも含む)にアクセスし、その一覧をファイルサーバから得ることでファイル群を抽出する。このようにして、抽出されたファイル群を示すファイラの実行画面(そのファイルサーバのフォルダの表示画面)に対し、表示座標指示手段は、その実行画面の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したサーバ名63cに基づきファイラの表示制御を行うことができる。なお、サーバ名63cの中に更に下層のファイル名等も記憶しておけば、よりそのユーザに合った実行画面が表示できる。
【0097】
また、非接触カード60のメモリ63に検索文字列を記憶しておき、それをファイラ起動手段が読み出して、ファイラに検索文字列として渡すことで、ファイルサーバ内のファイルに含まれる文字列でファイルを検索して、検索結果としてのファイル群を実行画面として表示させることもできる。
【0098】
次に、サーバ内のファイルの閲覧に際して、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザIDとパスワード63g)を必要とする場合について説明する。この場合、ファイラ起動手段は、例えばサーバ名63cをファイラに渡した後に、非接触カード60内のメモリ63の他の所定のアドレスから、ユーザID・パスワード63gを読み出し、ファイラに渡す。ファイラは、サーバ名63cで示されるサーバ装置の閲覧画面にこのユーザID・パスワード63gを与える。また、ユーザID・パスワード63gは非接触カード60が近接されているうちに読み出しておけばよく、まずサーバ装置にアクセスして正規の状態で表示できないときやユーザID・パスワード要求画面が表示された時点でサーバ装置に渡してもよい。
【0099】
図12は、図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。また、図13は、図12の処理例において表示される表示画面の例を示す図で、対角座標位置を決定した後、表示領域にプレゼン用アプリケーションの実行画面を表示した例を示している。図11のような表示を行う際に、最初からユーザが開きたいファイルを決めている場面が考えられる。そのような場面では、一度の操作でそのファイルを画面の大きさまで指定して表示させることが好ましい。そのため、非接触カードの検知に応じて表示領域を可変できるようにするだけでなく、ファイルを非接触カードから読み出すようにするとよい。
【0100】
図12及び図13を参照して、背景のみの表示画面の状態から、ファイル63hを記憶した非接触カードC(60c)をもつユーザが操作する場面を例に挙げる。まず、ステップS11〜S13と同様の処理を実行して(ステップS31〜S33)、第1の座標を特定する。第1の座標としてアンテナ30aに対応する座標が特定されたと仮定する。
【0101】
次いで、CPU15が、通信ユニット32を制御し、非接触カードC(60c)が近接されているアンテナ30n(この例ではアンテナ30a)を介して非接触カード60cの内部に格納されたファイル63hをHDD16内にコピーする(ステップS34)。
【0102】
このように、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、非接触カード60cに記録されている所定のファイル63hをコピーするファイルコピー手段を備えることが好ましい。この手段は、ファイルコピープログラムとして実行可能に組み込んでおくとよい。コピー対象の特定は、非接触カード60cの所定のアドレスで示される格納領域に格納されたファイルとして特定してもよいし、非接触カード60c内に格納されたファイルの中で所定のファイル形式をもつファイルとして特定してもよい。
【0103】
ステップS34に続いて、ステップS14と同様の第2座標特定処理を実行し(ステップS35)、ステップS15と同様の受信していないか否かの判定を行う(ステップS36)。ステップS35,S36でも、それぞれステップS14,S15と同様に時間を制限しておくとよい。第2の座標としてアンテナ30fに対応する座標が特定されたと仮定する。
【0104】
このようにして第1及び第2の座標を特定した後、ステップS16〜S19と同様の処理を実行する(ステップS37〜S40)。但し、ステップS39では、ファイラの代わりにステップS34でコピーしたファイルの種類に応じたアプリケーションを起動する。また、ステップS40では、その実行画面51f(但し、中身はこの時点で未表示)が表示画面51に表示されることとなる。
【0105】
ステップS40に続き、ステップS34でコピーしたファイルをCPU15がHDD16から読み出して、そのアプリケーションがそのファイルを開き、CPU15がそのファイルを開いた画面の画像データを上述の実行画面51f内に納めるように、LCDコントローラ14に出力する(ステップS41)。その結果、図13の下段のように、表示画面51のアンテナ30aからアンテナ30fに対応する対角領域にそのファイルの実行画面51fが表示される。
【0106】
ステップS41の後は、ステップS31に戻り、次の操作を待つ。なお、ステップS37(及びNOの場合のステップS38)の処理はステップS32の直後に実行し、ステップS36でYESの場合にステップS39へ進むようにしてもよい。
【0107】
また、ステップS34の処理の順序は少なくともステップS36でYESとなる前に実行しておけばよい。また、ステップS36の処理に関し、ステップS15の処理で説明したように、非接触カード60bが画面から離れる前のカード移動途中で第1及び第2の座標を特定し、逐次、特定した対角座標に基づきステップS39以降の処理を実行するように制御してもよい。これにより、ユーザはファイル実行画面の大きさの変位を見ながら大きさを決めることができる。
【0108】
図14は、図2の表示システムにおいて実行させる処理において表示される表示画面の他の例を示す図である。図6を参照して、表示オブジェクトとして予め新規プレゼンファイルのアイコンが定められている場合を説明したが、図12及び図13で説明したように非接触カードからファイルをコピーして、そのアイコン表示を行ってもよい。
【0109】
例えば、図5の処理例において、ステップS2の後に図12のステップS34のごとくファイルを取得し、CPU15が、ステップS8の代わりに表示オブジェクトとして取得したファイルのアイコンを表示する指示をLCDコントローラ14に出力するとよい。これにより、図14の上段の表示画面51のようにアンテナ30aに非接触カード60cを近接させると、図14の下段の表示画面51のようにそれに対応する位置に、元々非接触カード60c内に記憶されていたファイル63h(ここではプレゼンファイルAとしている)を開くためのアイコン51gが表示される。このアイコン51gにファイル63hのコピー先へのリンクを張っておく。ユーザがアイコン51gの選択操作を行うことで、ファイル63hを開くことができる。
【0110】
次に、WEBページを表示する例を挙げる。このWEBページ閲覧操作の前提として、上述の制御装置には、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれ、インターネット等の広域ネットワークに接続しWEBサーバ等と接続するためのNIC等のI/Fが具備されているものとする。
【0111】
上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、通信制御手段でその読み取ったアンテナ30nを制御して、その非接触カード60内のメモリ63の所定のアドレスからURI(URL63b等)を読み出し、WEBブラウザを起動させてそのURL63bを渡すブラウザ起動手段を備える。このブラウザ起動手段は、例えばブラウザ起動アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。WEBブラウザがそのURL63bで示されるWEBページにアクセスする。表示座標指示手段は、表示用ウインドウの表示座標としてWEBブラウザの実行画面(URL63bで示されるWEBページの表示画面)の表示座標を決定し、決定した表示座標でその実行画面の表示を行う指示を、表示制御手段に出力するとよい。このようにして、非接触カード60から読み出したURL63bに基づきWEBブラウザの表示制御を行うことができる。
【0112】
また、非接触カード60のメモリ63に検索文字列を記憶しておき、それをブラウザ起動手段が読み出して、WEBブラウザに検索文字列として渡すことで、WEBブラウザが、インターネット検索サービスを利用した検索を行い、検索結果としてのリンク一覧を実行画面として表示させることもできる。
【0113】
次に、WEBブラウザでそのURL63bで示されるWEBページを閲覧するに際して、ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザIDとパスワード63g)を必要とする場合について説明する。この場合、ブラウザ起動手段は、例えばURL63bをWEBブラウザに渡した後に、非接触カード60内のメモリ63の他の所定のアドレスから、ユーザID・パスワード63gを読み出し、WEBブラウザに渡す。WEBブラウザは、URL63bで示されるWEBページにこのユーザID・パスワード63gを与える。また、ユーザID・パスワード63gは非接触カード60が近接されているうちに読み出しておけばよく、まずWEBページにアクセスして正規の状態で表示できないときやユーザID・パスワード要求画面が表示された時点でWEBブラウザに渡してもよい。
【0114】
次に、電子メールのメーラを表示する例を挙げる。この前提として、上述の制御装置には、アプリケーションの一つとして電子メールのメーラが実行可能に組み込まれ、インターネット等の広域ネットワークに接続しメールサーバ等と接続するためのNIC等のI/Fが具備されているものとする。WEBページの表示処理に対して、WEBブラウザの代わりにメーラを起動し、URL63bの代わりに送信先のEメールアドレス63fを読み出すだけで、メール送信画面の表示処理が可能である。ユーザID・パスワード63gはメールアカウントとして利用することができる。
【0115】
次に、プリンタ42の印刷設定画面表示処理を行う例を挙げる。この前提として、上述の制御装置には、プリンタ42のプリンタドライバが実行可能に組み込まれ、プリンタ42が接続されているものとする。WEBページの表示処理に対して、WEBブラウザの代わりにプリンタドライバを起動し、URL63bの代わりにプリンタ42を示すデバイス名63eを読み出すだけで、印刷設定画面の表示処理が可能である。また、スキャナ装置41のスキャン設定画面表示処理も同様に説明できる。プリンタ42の代わりにスキャナ装置41が、プリンタドライバの代わりにスキャナドライバを適用することで、スキャン設定画面の表示処理が可能となる。
【0116】
次に、設定情報63iの利用方法について説明する。上述した各例では、図3のメモリ63内の情報63b〜63hが格納されているものとして説明した。勿論、予め本表示システム側で表示オブジェクトやその表示オブジェクトの表示時に必要となる情報(非接触カード60から読み出す情報)を決めておけば、上述の各例のごとき制御が個々に実行できる。しかし、好ましくは1つの表示システムでこれら各例の制御が選択的に実行できることが好ましい。設定情報63iは、そのような選択を行うために参照する情報である。
【0117】
CPU15は、識別情報63aを受信した時点で、まずこの設定情報63iを通信手段で読み出すとよい。すなわち、上述の制御装置は、複数のアンテナ30nのいずれかで識別情報63aを読み取ったときに、まず非接触カード60に記録されている設定情報63iを読み出す設定情報読出手段を備えるとよい。この設定情報読出手段は、例えば設定情報読出アプリケーションとして実行可能に組み込むとよい。
【0118】
そして、表示座標指示手段は、設定情報読出手段で読み出された設定情報63iに基づいて、表示オブジェクトの決定(及びその表示オブジェクトの表示時に読み取りをしておいた方がユーザ操作性が向上する情報63b〜63h等の決定)を行うとよい。その後の表示オブジェクトの表示位置決定及び表示指示の出力については説明したとおりである。
【0119】
設定情報63iの例を挙げる。まず、表示オブジェクトをアイコンとするのか、表示用ウインドウ(アプリケーション実行画面)とするのか、といった表示オブジェクトの種類を設定しておくとよい。さらに、アイコンの場合には、そのアイコンでリンクされるファイルは非接触カード60からコピーする必要があるのか、新規に作成すればよいのか、新規に作成する場合にはどのアプリケーションのファイルであるのか、といった情報も、設定情報63iに含めるとよい。また、アプリケーション実行画面の場合には、どのアプリケーションを実行する必要があるのか、そのアプリケーションを実行する際に読み取りをしておいた方がユーザ操作性が向上する情報は情報63b〜63hのうちどれか、といった情報も、設定情報63iに含めるとよい。
【0120】
また、設定情報63iとしては、ファイルを記憶しておき、ファイルコピー手段、ファイラ起動手段、ブラウザ起動手段、ファイル(新規ファイル)生成手段等として、CPU15を機能させるためのプログラムを、autoexe.batのような自動実行形式で記憶しておいてもよい。これにより、上述の設定情報読出アプリケーションは汎用OSに既に組み込まれていることとなる。各手段としてCPU15を機能させるためのプログラムが上述した制御装置に組み込まれているのであれば、どのプログラムを読み出すのかといった自動実行形式のプログラムを記憶しておいてもよい。
【0121】
ユーザが、必要に応じて各情報63b〜63hを記憶させておき、それに合わせて最も近い時期に使用する設定を示す設定情報63iを記憶させておき、使用後には設定情報62iをユーザが自身のPCなどで書き換えればよい。
【0122】
以上の各例においては、一度表示した表示オブジェクトの位置を移動させる場合には、非接触カード60を用いた操作手段以外の操作手段で行えばよい。しかし、例えば、一度表示した表示位置に非接触カード60を近接させる操作を行うことでも、移動可能としてもよい。そのため、表示オブジェクトを表示中に、その表示を行った際に読み取った識別情報63aと同じ識別情報63aを読み取ったときに(但し、上述した各所定時間が過ぎた後)、再度表示位置(及び大きさ)の決定を行って、決定した位置・大きさで表示オブジェクトを再表示して移動させてもよい。このような制御は、設定情報63iを採用した場合には、設定情報63iが書き換えられない限り可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置(表示システム)の一例を示す外観図である。
【図2】図1の表示システムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図2における操作手段に対して操作可能な非接触カードの一構成例を示すブロック図である。
【図4】図2のHDDに格納された情報の一例を示す図である。
【図5】図2の表示システムにおいて実行される処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図6】図5の処理例において表示される表示画面の一例を示す図である。
【図7】図5の処理例において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【図8】図5の処理例において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【図9】図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図10】図9の処理例において表示される表示画面の一例を示す図である。
【図11】図10の表示画面において1つのアイコンを選択したときの表示画面の例を示す図である。
【図12】図2の表示システムにおいて実行される処理の他の例を説明するためのフロー図である。
【図13】図12の処理例において表示される表示画面の例を示す図である。
【図14】図2の表示システムにおいて実行させる処理において表示される表示画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0124】
10…表示装置、11…表示手段(LCDパネル)、12…タッチパネル、13…メモリ、14…LCDコントローラ、15…CPU、16…HDD、17…外部機器接続I/F、20…台座、30…アンテナ群、30a,30b,30c,30d,30e,30f,30n…アンテナ、31…セレクタ、32…通信ユニット、41…スキャナ装置、42…プリンタ、50a,50b,50c,50d,50e,50f,50n…表示位置、60…非接触カード、61…カード側アンテナ、62…カード側CPU、63…カード側メモリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を備えた情報処理装置であって、該表示装置での表示を制御する表示制御手段と、前記表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、前記識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示オブジェクトの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記複数の通信手段のうち複数で前記識別情報の読み取りが行なわれたことを検知すると、該読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定し、該決定した対角座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルの実行画面を表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、複数のファイルが読み出し可能な状態で格納され、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからファイル名を読み出し、前記ファイラを起動させて該ファイル名を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記ファイル名が示すファイルにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、当該情報処理装置には複数のファイルを記憶した1又は複数台のサーバ装置がアクセス可能に接続されており、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからサーバ装置を特定するための特定情報を読み出し、前記ファイラを起動させて該特定情報を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記特定情報で特定されたサーバ装置にアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからURIを読み出し、前記WEBブラウザを起動させて該URIを渡すブラウザ起動手段を備え、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記WEBブラウザの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページの閲覧に際しユーザを識別するためのユーザ識別情報を必要とし、前記ブラウザ起動手段は、前記非接触カード内のメモリの他の所定のアドレスから、前記ユーザ識別情報を読み出し、前記WEBブラウザに渡し、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページに前記ユーザ識別情報を与えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを最後に行った通信手段の配設位置に応じて、前記アイコンの表示座標を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、まず前記非接触カードに記録されている設定情報を読み出す設定情報読出手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記設定情報読出手段で読み出された設定情報に基づいて、前記表示オブジェクトを決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかによって前記識別情報が読み取られたときに、該読み取られた識別情報を認証する認証手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記認証手段で認証が成功した場合のみ、前記表示制御手段への指示を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置において、前記認証手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴とする情報処理装置。
【請求項1】
表示装置を備えた情報処理装置であって、該表示装置での表示を制御する表示制御手段と、前記表示装置の所定の位置にそれぞれ配設され、非接触カードに記録された識別情報を非接触で読み取る複数の通信手段と、前記識別情報の読み取りを行った1又は複数の通信手段の配設位置に応じて表示オブジェクトの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示オブジェクトの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力する表示座標指示手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトの表示座標として表示用ウインドウの表示座標を決定し、該決定した表示座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記複数の通信手段のうち複数で前記識別情報の読み取りが行なわれたことを検知すると、該読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定し、該決定した対角座標で該表示用ウインドウの表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを行った複数の通信手段の配設位置に応じて、前記表示用ウインドウの対角座標を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルの実行画面を表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、複数のファイルが読み出し可能な状態で格納され、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからファイル名を読み出し、前記ファイラを起動させて該ファイル名を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記ファイル名が示すファイルにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、当該情報処理装置には複数のファイルを記憶した1又は複数台のサーバ装置がアクセス可能に接続されており、且つアプリケーションの一つとしてファイラが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれか前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからサーバ装置を特定するための特定情報を読み出し、前記ファイラを起動させて該特定情報を渡すファイラ起動手段を備え、前記ファイラは、前記特定情報で特定されたサーバ装置にアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記ファイラの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の情報処理装置において、アプリケーションの一つとしてWEBブラウザが実行可能に組み込まれており、且つ、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、該非接触カード内のメモリの所定のアドレスからURIを読み出し、前記WEBブラウザを起動させて該URIを渡すブラウザ起動手段を備え、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページにアクセスし、前記表示座標指示手段は、前記表示用ウインドウの表示座標として前記WEBブラウザの実行画面の表示座標を決定し、該決定した表示座標で該実行画面の表示を行う指示を、前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理装置において、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページの閲覧に際しユーザを識別するためのユーザ識別情報を必要とし、前記ブラウザ起動手段は、前記非接触カード内のメモリの他の所定のアドレスから、前記ユーザ識別情報を読み出し、前記WEBブラウザに渡し、前記WEBブラウザは、前記URIで示されるWEBページに前記ユーザ識別情報を与えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、所定のファイルを生成するファイル生成手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、前記非接触カードに記録されている所定のファイルをコピーするファイルコピー手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記表示オブジェクトとして前記所定のファイルのアイコンを表示する指示を前記表示制御手段に出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の情報処理装置において、前記表示座標指示手段は、前記識別情報の読み取りを最初に又は前回行ってから経過した時間が所定時間に達した時点での、前記識別情報の読み取りを最後に行った通信手段の配設位置に応じて、前記アイコンの表示座標を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかで前記識別情報を読み取ったときに、まず前記非接触カードに記録されている設定情報を読み出す設定情報読出手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記設定情報読出手段で読み出された設定情報に基づいて、前記表示オブジェクトを決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の情報処理装置において、前記複数の通信手段のいずれかによって前記識別情報が読み取られたときに、該読み取られた識別情報を認証する認証手段を備え、前記表示座標指示手段は、前記認証手段で認証が成功した場合のみ、前記表示制御手段への指示を出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置において、前記認証手段は、前記識別情報の読み取りを行った通信手段に依らず共通の認証方式を用いることを特徴とする情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−116166(P2009−116166A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290710(P2007−290710)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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