説明

情報処理装置

【課題】 入力装置を内蔵した情報処理装置において、複数のモードと指の数を組み合わせることにより、複数の機能を提供する。
【解決手段】 入力装置を内蔵した情報処理装置において、キーボード6の入力によりEC/KBC20が情報を取得しモードを設定する。そして、タッチパッド5の操作情報をEC/KBC20が取得し指の数や指の動作などを認識する。BIOS171はその認識された情報と、予めHDD16に記憶されているモードと指の数に対応した機能161を主メモリ12に展開して処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置を内蔵した情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易な入力操作を可能とする入力装置としてタッチパッド、タッチパネル等がある。ユーザがタッチパッドやタッチパネルの操作面に触れて指をタップしたりスライドすることで、項目選択動作や表示画面上のカーソル移動を実行させることができる。
【0003】
この種の装置としては、指示入力を行う指の数によって複数の機能を実現させているものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特に、制御部については、指示入力を行っている指の数を指示数として検出する指示数検出処理手段と、前記指示検出処理手段によって検出された指示数に応じた処理を実行する処理実行手段を備えている。指示入力を行っている指の数によって指示を行うことを可能とすることによって、ユーザに入力操作を容易に行わせることを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−84158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし上記の方式の場合、実現できる複数の機能の数は、指の数に限定されるという問題がある。
【0007】
そこで本発明の目的は複数のモードと、指の数を組み合わせることによりさらに複数の機能を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る情報処理装置は、前記情報処理装置の本体筐体と、前記情報処理装置の本体筐体に設けられ、ユーザの指により入力操作された操作情報を得る入力装置と、前記情報処理装置の本体筐体に設けられる入力手段と、前記入力装置から取得した操作情報に含まれる指の数の情報と、指の数に対応する機能を実行する処理手段と、を具備していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報処理装置において複数のモードにより指の数に限定されず、より多くの機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るコンピュータの外観斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るコンピュータのブロック図
【図3】本発明の実施形態に係る第1のモード、第2のモードと指の数に対応した機能を示す図
【図4】本発明の実施形態に係る動作処理を示すフローチャート
【図5】図4の第1のモード処理を示すフローチャート
【図6】図4の第2のモード処理を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態に係る入力装置の操作面への入力操作と機能を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係るコンピュータを示す外観斜視図である。 コンピュータ1は本体筐体2を備え、本体筐体2には表示筐体3がヒンジ部4を介して回動可能に取り付けられている。表示筐体3は本体筐体2の上面2aが開放される開き位置と、筐体2の上面2aが覆われる閉じ位置とで回動可能である。表示筐体3内にはLCD(Liquid Crystal Display)から構成される表示装置3aが組み込まれる。
【0013】
本体筐体2内には複数の電子部品を搭載した図示しない回路基板が収容されている。本体筐体2の上面2aには、ユーザによる入力操作を行うための操作面5aを有しているタッチパッド5およびキーボード6が取り付けられる。本体筐体2の上面2aにはコンピュータ1の電源をオン/オフするための電源スイッチ7と、ユーザが押下できる特定のボタン8も設けられる。
【0014】
図2は本発明の実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。コンピュータ1には、CPU10、ノースブリッジ11、主メモリ(RAM)12、グラフィックスコントローラ13、サウスブリッジ14、ハードディスクドライブ(HDD)16、BIOS−ROM17、エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラIC(EC/KBC)20、および表示装置3a、タッチパッド5、キーボード6、電源スイッチ7、ボタン8等が設けられている。
【0015】
CPU10は、コンピュータ1の各コンポーネントの動作を制御するプロセッサである。このCPU10は、HDD16から主メモリ(RAM)12にロードされるオペレーティングシステムおよび各種アプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムを実行する。主メモリ(RAM)12は、各種データバッファの格納にも用いられる。
【0016】
また、CPU10は、BIOS−ROM17に格納されたBIOS(Basic Input Output System)171も実行する。BIOS171はハードウェア制御のためのプログラムである。BIOS171にはBIOSドライバ群が含まれ、各BIOSドライバは、ハードウェア制御のための複数の機能をオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに提供するために、それらの機能に対応する複数のファンクション実行ルーチン群を含んでいる。
【0017】
また、HDD16には、指の数とキーの操作とを対応付けて実行される機能を定義した第1のモード、第2のモードが保持される。BIOS171は、HDD16に格納されている第1のモード、第2のモードを主メモリに展開して、これらの機能を実現するための処理も実行する。
【0018】
ノースブリッジ11は、CPU10のローカルバスとサウスブリッジ14との間を接続するブリッジデバイスである。また、ノースブリッジ11は、PCI Expressバスなどを介してグラフィックスコントローラ13との通信を実行する機能も有している。
【0019】
さらに、ノースブリッジ11には、主メモリ(RAM)12を制御するメモリコントローラも内蔵されている。
【0020】
グラフィクスコントローラ13は本コンピュータ1のディスプレイモニタとして使用される表示装置3aを制御する表示コントローラである。このグラフィクスコントローラ13は、OSまたはアプリケーションプログラムによってビデオメモリ(VRAM)131に書き込まれた表示データに対応する映像信号を表示装置3aに送出する。
【0021】
サウスブリッジ14は、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスおよびLPC(Low Pin Count)バスにそれぞれ接続されており、PCIデバイス、LPCデバイス等の制御を行う。HDD(Hard Disc Drive)16は、OSや各種のアプリケーションプログラム/ユーティリティプログラムおよびデータファイルを格納する。
【0022】
エンベデッドコントローラ/キーボードコントローラ(EC/KBC)20は、電源管理のためのエンベデッドコントローラと、タッチパッド5およびキーボード6などを制御するキーボードコントローラとが集積された1チップマイクロコンピュータである。EC/KBC20は、電源コントローラ21と協同して、ユーザによる電源スイッチ7の操作に応答してコンピュータ1をパワーオン/パワーオフする処理を実行する。電源コントローラ21は、コンピュータ1に内蔵されたバッテリ22からの電力、またはACアダプタ23を介して外部から供給される電力を用いて、コンピュータ1内の各コンポーネントに電力を供給する。
【0023】
図3は本発明の実施形態に係る第1のモード、第2のモードと指の数に対応した機能を示す図である。設定されているモードと、ユーザがタッチパッドを操作する際の指の本数と、に応じてどのような機能が割り当てられるかを、ユーザが予め設定する必要がある。
【0024】
ユーザはキーボード6を操作して、アプリケーションプログラムによって、モードと指の本数とに応じてどのような機能を割り当てるかを設定することができる。まず、モードはユーザがキーボード6からのキーの組み合わせで設定および変更することが可能であり、入力された指の数との選択により任意の機能を設定および変更ができる。
【0025】
図3では、設定されているモードと、ユーザがタッチパッドを操作する際の指の本数に応じてどのような機能が割り当てられるかを示す図である。キーボード6のキー入力により第1のキーおよび第2のキーの組み合わせで第1のモードが選択され、またはキーボード6のキー入力により第1のキーおよび第3のキーの組み合わせで第2のモードが選択される。前記第1のモードが適用されている時に、入力された時の指の数に応じて1本の場合はDVDの巻き戻し/早送りの機能が割り当てられる。次に指の数が2本の場合は表示装置の輝度調節の機能が割り当てられ、指の数が3本の場合は表示装置のコントラスト調節の機能が割り当てられる。前記第2のモードが適用されている時に、入力された指の数が1本の場合は音量調節の機能が割り当てられる。次に指の数が2本の場合は表示画面の縮小/拡大の機能が割り当てられ、指の数が3本の場合は表示画面のページスクロールの機能が割り当てられる。
【0026】
次に、タッチパッド5の動作処理を図4と図5および図6のフローチャートと、図7を参照して説明する。
【0027】
図4は本発明の実施形態に係る動作処理を示すフローチャートである。まず、モードのフラグが設定されているかをEC/KBC20がレジスタ201を読み取ることで判断する(ステップS1)。モードのフラグが設定されていない場合は(ステップS1のNo)、キーボード6から入力データをEC/KBC20が取得し(ステップS2)、キーの組み合わせが第1のモードを示す組み合わせかどうかをEC/KBC20が判断する(ステップS3)。EC/KBC20から取得した入力データが前記第1のモードと同等の場合は(ステップS3のYes)、EC/KBC20が前記レジスタ201に前記第1のモードを書き込みモードのフラグも前記第1モードに設定される(ステップS4)。モードのフラグを第1モードに設定した後、第1のモード処理を実行する(ステップS5)。
【0028】
また、EC/KBC20から取得した入力データが前記第1のモードと同等でない場合は(ステップS3のNo)、キーの組み合わせが第2のモードを示す組み合わせかどうかをEC/KBC20が判断する(ステップS6)。EC/KBC20から取得した入力データが前記第2のモードと同等の場合は(ステップS6のYes)、EC/KBC20が前記レジスタ201に前記第2のモードを書き込みモードのフラグも前記第2モードに設定される(ステップS7)。モードのフラグを第2モードに設定した後、第2のモード処理を実行する(ステップS8)。さらに、EC/KBC20から取得した入力データが前記第2のモードと同等でない場合は(ステップS6のNo)、キーボード6から入力データをEC/KBC20が取得に戻る(ステップS2)。
【0029】
上記ではモードのフラグが設定されていない場合を説明したが、一方、モードのフラグが前記第1のモードに設定されている場合は(ステップS1の第1のモード)、第1のモード処理を実行する(ステップS5)。また、モードのフラグが前記第2のモードに設定されている場合は(ステップS1の第2のモード)、第2のモード処理を実行する(ステップS8)。
【0030】
図5は図4の第1のモード処理を示すフローチャートである。前記タッチパッド5からの操作情報を前記EC/KBC20が取得し(ステップS51)、前記操作情報から入力された際の指の数をEC/KBC20が判断する(ステップ52)。タッチパッド5から取得された操作情報から、入力時の指の数が1本であると判断された場合は(ステップS52の1本)、ユーザがタッチパッド5の操作面5aで円を描く操作に連動して、DVDの巻き戻し/早送りの処理が、BIOS17によって実行される(ステップ53)。また、タッチパッド5から取得された操作情報から、入力時の指の数が2本の場合は(ステップS52の2本)、指の数をフラグに設定し(ステップS54)、指の数に関係なくユーザがタッチパッド5の操作面5aで円を描く操作に連動して、輝度調節の処理がBIOS17によって実行される(ステップS55)。前記指の数のフラグはEC/KBC20内に設けられた書き換え可能なメモリ手段に記録するため、複数の指の数に関係なく少なくとも1本の指で操作面5aで操作が可能である。
【0031】
図6は図4の第2のモード処理を示すフローチャートである。前記タッチパッド5からの操作情報を前記EC/KBC20が取得し(ステップS61)、前記操作情報から入力された際の指の数をEC/KBC20が判断する(ステップ62)。タッチパッド5から取得された操作情報から、入力時の指の数が1本であると判断された場合は(ステップS62の1本)、ユーザがタッチパッド5の操作面5aで円を描く操作に連動して、音量調節の処理が、BIOS17によって実行される(ステップ63)。また、タッチパッド5から取得された操作情報から、入力時の指の数が2本の場合は(ステップS62の2本)、指の数をフラグに設定し(ステップS64)、指の数に関係なくユーザがタッチパッド5の操作面5aで円を描く操作に連動して、表示画面の縮小/拡大の処理がBIOS17によって実行される(ステップS65)。
【0032】
図7は本発明の実施形態に係る入力装置の操作面への入力操作と機能を示す図である。
【0033】
前記S53の円を描く操作に連動してDVD巻き戻し/早送りの処理は、ユーザが前記操作面5aを1本の指で時計方向に円を連続的に描くことによりDVDの早送りが連続的にでき(図7(a))、前記操作面5aを1本の指で反時計方向に円を連続的に描くことによりDVDの巻き戻しが連続的にできる(図7(b))。また、前記S55の円を描く操作に連動して輝度調節の処理は、ユーザが前記操作面5aを2本の指で時計方向に円を連続的に描くことにより前記表示装置3aの輝度が連続的に大きくできて(図7(c))、前記操作面5aを2本の指で反時計方向に円を連続的に描くことにより前記表示装置3aの輝度が連続的に小さくできる(図7(d))。
【0034】
以上の本発明の実施例では、モードを設定するときにキーボードのキーの組み合わせで説明したが、特定なキー、複数のキーの組み合わせ、特定な前記ボタン8でも良い。
【0035】
以上の説明のように、本発明の実施形態によれば、キーボードのキーの組み合わせによる複数のモードにより指の数に限定されずより多くの機能を備えた情報処理装置を提供することができる。
【0036】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 コンピュータ
2 本体筐体
2a 本体筐体の上面
3 表示筐体
3a 表示装置
4 ヒンジ部
5 タッチパッド
5a 操作面
6 キーボード
7 電源スイッチ
8 ボタン
10 CPU
11 ノースブリッジ
12 主メモリ
13 グラフィックスコントローラ
131 VRAM
14 サウスブリッジ
16 HDD
17 BIOS−ROM
171 BIOS
20 EC/KBC
201 レジスタ
21 電源コントローラ
22 バッテリ
23 ACアダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の本体筐体と、
前記情報処理装置の本体筐体に設けられ、ユーザの指により入力操作された操作情報を得る入力装置と、
前記情報処理装置の本体筐体に設けられる入力手段と
前記入力装置から取得した操作情報に含まれる指の数の情報と、指の数に対応する機能を実行する処理手段と、
を具備していることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記入力装置の操作面に、ユーザの指により円を連続的に描く入力操作手段を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記入力手段は、前記情報処理装置にユーザが押下できるボタンを少なくとも1つ以上を具備したことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記入力装置から取得した操作情報に含まれる指の数の情報を記憶する記憶手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−231626(P2010−231626A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80059(P2009−80059)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】