説明

情報処理装置

【課題】タッチパネルの辺の近くの位置への指の接触が容易な情報処理装置を提供する。
【解決手段】タッチパッド16は、お互いに向き合う側には、それぞれ、透明導電膜16d、16eが形成されたガラス基板16a及びフィルム16bからなる。そして、可撓性に富むフィルム16bの押下によってガラス基板16a及びフィルム16bの接触を検出する。タッチパッド16の端部でガラス基板16a及びフィルム16bを接触させるには、大きい押下力が必要となり、その接触が検出される接触検出領域16hは大きい。そこで、接触検出領域16hを、タッチパッド16の中央部で接触が検出される接触検出領域16fと同程度に小さく補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、タッチパッドに接触された位置の検出処理に関する。
【背景技術】
【0002】
表示部と、表示部の表示画面の上に設置された略透明なタッチパッドとからなるタッチパネルを備えた情報処理装置が知られている。タッチパネルを介した入力は、表示画面にソフトキーと呼ばれる所定の画像を表示させ、指や、スタイラスペンをその画像に触れる、又は、触れつつ移動することによって行われる。又は、表示画面の所定の領域に指や、スタイラスペンを触れる、若しくは、触れつつ移動することによる。これらの際、触れた位置は、タッチパッドによって検出される。接触による入力は、キーボードが不要であるため装置の小型化に効果があり、携帯型の装置、例えば、移動通信装置にも用いられている。
【0003】
ここで、携帯型の装置は小型であり、表示部の表示画面は小さいので、その画面の四辺の近くにもソフトキーが表示され、接触によって装置へ動作を指示することがある。四辺の近くに表示されるソフトキーの一例は、スクロールバーである。ところが、スタイラスペンで接触する場合はまだしも、指で接触する場合、四辺の近くの位置への接触は困難である。
【0004】
なぜなら、指での接触の場合、スタイラスペンでの接触の場合と比較して、点への接触ではなく、広い範囲への接触となる。そのため、接触された範囲の重心点や、中心点への接触とみなすことが行われているが、重心点を四辺の近くとすることは、点又は狭い範囲への接触が必要となり困難である。そこで、所定の場合、接触された範囲内であって、その範囲の重心点以外、例えば、辺に接する端部への接触とみなすことによって、四辺の近くへの接触を容易とすることが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−192012号公報(第2−3、9−10頁、図1、3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、タッチパネルの辺の近くの位置、また、その位置に表示されたソフトキーへの接触が困難である問題点があった。なぜなら、そのソフトキーへの接触の際、辺に接する端部への接触とみなされる可能性があるからである。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、タッチパネルの辺の近くの位置への指の接触が容易な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、接触された領域を検出するタッチパッドと、前記タッチパッドによって接触が検出された領域の大きさを補正する接触領域補正手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチパネルの辺の近くの位置への指の接触が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係るタッチパッドの構成と、動作とを示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る文書編集部が動作中に表示される画面の一例を示す図。
【図4】本発明の実施形態に係る接触領域補正機能によるタッチパッドへの接触がされた領域を補正する動作のフローチャート。
【図5】本発明の実施形態に係る接触領域補正機能によるタッチパッドへの接触がされた領域を補正する際の補正係数の一例を示す図。
【図6】本発明の実施形態に係るタッチパッドの構成と、動作と、補正された接触検出領域とを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態に係る情報処理装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用された移動通信装置の構成を示すブロック図である。この移動通信装置は、装置全体の制御を行う制御部11と、移動通信網通信部12と、移動通信網に属する基地局(図示せず)との間で無線信号の送受信を行うアンテナ12aと、移動通信網送受信部13と、通話部14と、受話音声出力に用いられるスピーカ14aと、送話音声入力に用いられるマイクロフォン14bと、使用者に情報を視覚的に提示する表示部15と、表示部15の表示画面に接して設置された抵抗膜方式のタッチパッド16と、使用者からの操作指示を入力するキー入力部17と、アプリケーション処理部20とからなる。なお、プログラムを実行することで実現される本発明に関する機能として、制御部11には、接触領域補正機能11aが存在している。
【0013】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る移動通信装置の各部の機能を、図1を参照して説明する。
【0014】
移動通信網通信部12は、アンテナ12aが基地局から受信した無線信号から高周波信号を得て、この高周波信号を移動通信網送受信部13に送信する。また、移動通信網送受信部13から送信された高周波信号をアンテナ12aに送信する。
【0015】
移動通信網送受信部13は、移動通信網通信部12からの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得たデジタル音声信号を通話部14へ、制御信号を制御部11へ、それぞれ送信する。更には、移動通信網送受信部13は、通話部14から送信されたデジタル音声信号と、制御部11から送信された制御信号とを変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを移動通信網通信部12に送信する。
【0016】
通話部14は、移動通信網送受信部13から送信されたデジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bが送信するアナログ音声信号を増幅し、それをデジタル音声信号に変換して移動通信網送受信部13へ送信する。
【0017】
表示部15は、使用者に操作を促す表示や、使用者が操作した内容の表示や、装置の動作状態の表示等に用いられる有機ELディスプレー(Organic Electro-Luminescence Display)、又は、バックライト付きのLCD(Liquid Crystal Display)であって、制御部11及び装置の各部に制御されることで、文字、数字、更に、アイコンを含む画像データを表示する。また、画像の一部は、操作を識別するソフトキーであり、その画像への接触によって入力操作とされる。
【0018】
図2を参照して、タッチパッド16の構成と、動作とを説明する。図2(a)は、タッチパッド16の構成と、その中央部が押下された際の状況を示す。タッチパッド16は、表示部15の表示画面の大きさと等しい大きさの透明なガラス基板16a及び可撓性に富む透明なフィルム16bが複数のドットスペーサ16cを介して略等しい間隔を保って設置されている。ここで、ガラス基板16aが表示部15の表示画面側に、フィルム16bが指等によって接触される側になるように配置される。
【0019】
ガラス基板16a及びフィルム16bの、お互いに向き合う側には、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)等を用いた透明導電膜16d、16eが、それぞれ形成されている。そして、透明導電膜16d、16eが接触することによって、フィルム16bが押下された、即ち、接触されたことを検出する。接触が検出された際、接触が検出された領域を示す座標がタッチパッド16に含まれるドライバプログラムから制御部11に送信される。
【0020】
タッチパッド16の中央部が指によって押下された場合、フィルム16bは可撓性に富むため、図2(a)に示すように小さい押下力で容易に透明導電膜16d、16eが接触し、接触が検出される領域は、図2(b)の接触検出領域16fが示すように小さい。
【0021】
一方、タッチパッド16の端部、即ち、その四辺において、図2(c)に示すように、フィルム16bの端部はフレーム16gに固定されており、フィルム16bと、ガラス基板16aとの間の距離は固定である。そのため、端部に近い部分が指によって押下された場合、フィルム16bは可撓性に富むものの、透明導電膜16d、16eを接触させるために大きい押下力が必要となり、その結果、その接触が検出される領域は、図2(b)の接触検出領域16hが示すように大きくなることが避けられない。
【0022】
キー入力部17は、装置の使用者によって押下される操作キーからなり、操作キーが押下されると、そのキーの識別子を制御部11に通知する。操作キーは、電源のオン、オフキー、通話の際の音量の調整キー、通話の着呼、発信、終話キー等の限られた指示を入力するためのキーからなる。
【0023】
アプリケーション処理部20は、各種のアプリケーションからなる。アプリケーションの一例は、記憶部(図示せず)に記憶された文書の編集及び閲覧を行う文書編集部(図示せず)である。ここで、文書とは、任意の文字列であり、電子メール送受信部(図示せず)によって送受信される電子メールや、プログラムや、アドレス帳(図示せず)に記憶された文字列を含む。
【0024】
図3は、文書編集部が動作中に表示部15に表示される画面の一例を示す。この画面は、通知アイコン欄15aと、メニューバー15bと、文書編集部表示欄15cとからなる。通知アイコン欄15aは、制御部11によって表示され、基本コマンド用ソフトキー及びピクトが表示される。メニューバー15bには、着呼キー、終話キーを含む所定のソフトキーが制御部11によって表示され、そのバーには文書編集部の要求に応じたソフトキーが追加表示される。文書編集部表示欄15cは、表示部15の右端部に沿って狭い幅で表示されるスクロールバー15dと、スクロールバー15d以外の領域である文書表示領域15eとからなる。
【0025】
タッチパッド16を介した文書編集部への指示の一例を説明する。文書表示領域15e中の第1の接触位置15fに指を触れ、触れたまま、指を文書表示領域15e中の第2の接触位置15gへ移動させると、第1の接触位置15fを含む行から、第2の接触位置15gを含む行までが選択される。図では、この選択された部分にハッチングを施して示す。この選択された部分は、指を第2の接触位置15gから離し、文書編集部の要求に応じてメニューバー15bに表示されたソフトキーに触れることによって、そのソフトキーによって識別される操作が行われる。操作の一例は、クリップボード処理であって、その部分をクリップボードへコピーすること及び/又はその部分の削除である。
【0026】
一方、指をスクロールバー15d中の位置に指を触れ、触れたまま、指をスクロールバー15dの中で上下に、即ち、表示部15の右端部に沿って移動させると、文書表示領域15e中の文書表示がスクロールされる。ここで、指の接触が検出された領域がスクロールバー15dと文書表示領域15eとに跨っている場合、文書編集部は、指の接触が検出された領域の重心の位置を、指が触れた位置であるとみなす。又は、接触が検出された領域をスクロールバー15dと重なる領域と、文書表示領域15eと重なる領域とに二分し、重なる領域が多い部分に指が触れたとみなす。
【0027】
又は、文書編集部は、常に、若しくは、接触が検出された領域でスクロールバー15dと重なる領域が所定の大きさを占める場合、指がスクロールバー15dに接触されたとみなす。なぜなら、指をスクロールバー15dだけに触れさせることは困難であるが、文書表示領域15eにだけ触れさせることは容易だからである。
【0028】
なお、接触が2つの領域に跨った場合、いずれの領域への接触とみなすか、更には、接触が2つの領域に跨ったまま移動した場合、いずれの領域への接触の移動とみなすかは、タッチパッド16の操作、キー入力部17の操作、又は、アプリケーション処理部20中の動作中のアプリケーションによって選択されるとしても良い。
【0029】
接触領域補正機能11aは、タッチパッド16から送信された接触が検出された領域を示す座標を受信して、その領域に補正を施す。補正を施された領域は、装置の各部へ、例えば、文書編集部へ送信される。補正の要旨は、指によるタッチパッド16の端部への接触は大きな領域への接触となるため、より小さい領域への接触とすることである。
【0030】
ここで、図4に示すフローチャートを参照して、接触領域補正機能11aによるタッチパッド16への接触がされた領域を補正する動作の詳細を説明する。接触領域補正機能11aは、装置の各部がタッチパッド16への接触がされた領域の通知を求めることによって動作を開始し(ステップS101)、タッチパッド16から接触が検出された領域を示す座標を受信し(ステップS102)、その領域を補正し、補正された領域を上記通知を求めた装置の各部へ送信し(ステップS103)、ステップS102の接触が検出された領域を示す座標を受信する動作に移る。
【0031】
ここで、ステップS103の補正の詳細を説明する。まず、タッチパッド16への接触がされた領域の大きさが所定の大きさ以下である、例えば、スタイラスペンによる点への接触であると判断される場合、補正前後で領域を変化させない。
【0032】
補正前後で領域を変化させる場合、補正の前後で、接触された領域の重心は変化させない。その領域の大きさは、その領域の重心に依存する補正係数を乗算する。その補正係数は、図5に示すように、タッチパッド16の中央部への接触の際は1であり、即ち、補正によって領域の大きさは変わらない。そして、タッチパッド16の端部へ近づくにつれて、補正係数は、0に近づく。要するに、端部に近い位置への接触の際、接触された領域を小さくし、中央部への接触によって検出される領域の大きさ程度にする補正が行われる。その結果、図2に示す接触検出領域16hは、図6に示す接触検出領域16iに補正される。
【0033】
なお、図5は、上記領域の重心がx軸上にある場合を図示したが、それに限らず、端部への接触の際、この補正係数は小さい。そして、この補正係数は、図2に示したフィルム16bの可撓性の強弱、ガラス基板16a及びフィルム16b間の距離、フレーム16gの固さ等によって変化するので、実測によって求める。求められた補正係数は、連続関数として、折れ線関数として、また、階段状の関数として等、任意の形式で記憶される。関数としてではなく、数表として記憶されても良い。なお、補正によって得る領域の形状は、補正前の領域と相似でも良く、また、面積が補正係数によって補正された円であるとしても良い。
【0034】
このように、補正がされた領域が得られ、その領域の重心は補正によって変化しない。この処理によって、装置の使用者は、補正によって接触された位置が飛ぶような、違和感を覚える可能性がない。接触したい位置へ指を触れさえすれば良い。そこで、小さいソフトキーへの接触が容易である。また、複数のソフトキーへの接触によって制御されるアプリケーションを動作させることができる。更には、タッチパッド16の四辺近くに表示されたソフトキーへの接触が容易である。
【0035】
以上の説明では、タッチパッド16は、抵抗膜方式であるとしたが、これに限るものではない。静電容量方式等、その他の方式であっても良い。また、接触のみならず、指等との間の距離が小さいことを検出する方式であっても良い。本発明は、タッチパッドの端部では、接触の検出の感度に高低があるあらゆる場合に適用することが可能である。端部では検出の感度が高い場合、接触がされた領域を大きくする補正がされる。
【0036】
以上の説明は、本発明を移動通信装置に適用した例を用いたが、本発明は、当然にタッチパッドを備えたあらゆる装置、例えば、PDAや、パソコン等に適用することが可能である。更に、小型の装置に好適である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0037】
11 制御部
11a 接触領域補正機能
15 表示部
15c 文書編集部表示欄
15d スクロールバー
15e 文書表示領域
15f 第1の接触位置
15g 第2の接触位置
16 タッチパッド
16a ガラス基板
16b フィルム
16c ドットスペーサ
16d、16e 透明導電膜
16f、16h、16i 接触検出領域
16g フレーム
20 アプリケーション処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触された領域を検出するタッチパッドと、
前記タッチパッドによって接触が検出された領域の大きさを補正する接触領域補正手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記接触領域補正手段は、前記タッチパッドによって接触が検出された領域の重心を前記補正によって変更しない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記接触領域補正手段は、前記タッチパッドによって接触が検出された領域がそのタッチパッドの中央部に位置する場合、その領域の大きさを前記補正によって変更しない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記接触領域補正手段は、前記タッチパッドによって接触が検出された領域がそのタッチパッドの端部から第1の距離にある場合、その領域がそのタッチパッドの端部から前記第1の距離より大きい第2の距離にある場合と比較して、より強く補正する、又は、等しく補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記タッチパッドは、抵抗膜方式であり、
前記接触領域補正手段は、前記補正によって前記領域の大きさを小さくする、又は、変更しない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
接触された領域を検出するタッチパッドと、
前記タッチパッドによってそのタッチパッドの辺と第1の距離の位置への接触が検出された場合、その接触を、そのタッチパッドのその辺と前記第1の距離より小さい第2の距離の位置への接触に補正する接触領域補正手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
接触された領域を検出するタッチパッドと、
前記タッチパッドによってそのタッチパッドの辺に沿った、その辺と略第1の距離を保って移動した接触が検出された場合、その接触を、そのタッチパッドのその辺に沿った、その辺と前記第1の距離より小さい第2の距離を保って移動した接触に補正する接触領域補正手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−237995(P2011−237995A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108392(P2010−108392)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】