説明

情報処理装置

【課題】誤検知をせずに適切にユーザの在席状態を検知する。
【解決手段】情報処理装置1は、在席状態検知センサ部10と、その感知結果に基づいて装置前方におけるユーザの在席状態を判定する在席状態判定手段101と、を有する。また、情報処理装置1は、センサの感度を自動で設定する自動キャリブレーション設定と、センサの感度をユーザ手動で設定するマニュアルキャリブレーション設定と、を備える。自動キャリブレーション設定時において在席状態判定手段101が誤判定していると判断された場合に、通知手段107は、ユーザに前記マニュアルキャリブレーション設定の通知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、特に、人物を検出可能な光学センサを有する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、使い勝手の向上を図りながら節電効果を得ることを目的に、キーボードやマウスからのユーザ入力が一定時間ない場合に、段階的に表示装置の輝度を下げることが記載されている。段階的に表示装置を暗くしているのは、節電モードへ移行することをユーザに通知する技術の一種と見ることもできる。
【0003】
特許文献1では、ユーザ入力があると輝度を初期値に戻す処理をする(特許文献1の図4参照)。この処理で在席中のユーザを離席と判定する誤判定は解決できる。しかしながら、離席中を在席状態と誤判定することへの解決手段は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、情報処理装置に関する無駄な電力消費をなくすためのさまざまな技術が提案されている。情報処理装置に関しては、起動したままユーザが使用しない状態で放置してしまう場合があり、情報処理装置でこれを検知し、省電力モードに移行することが提案されている。
【0006】
ところが、このようにユーザの離席を検知し省電力に移行する技術を用いる場合、実際は離席をしていないのに、誤検知によって省電力に移行してしまうと不便である。したがって、誤検知をせずに適切にユーザの在席状態を検知する必要がある。
【0007】
在席状態を検知する手段としては、ユーザの座る情報処理装置の前面に向けて赤外光を発するLED(レーザ発光ダイオード)と、赤外光がユーザの体や服に反射した反射光を受光するセンサとで構成される赤外線反射型センサを活用することが考えられる。そして、デスクトップ型パーソナルコンピュータ(以下、「デスクトップPC」と呼ぶ)など据え置き型では赤外線反射型センサを活用した離席センサによる省電力機能実現例が、従来存在している。
【0008】
また、ノートブック型パーソナルコンピュータなど可搬性を有する情報処理装置(以下、「ノートPC」と呼ぶ)でも、据え置き型と同様、ユーザの在席状態を検知する離席センサを設けることが考えられる。
【0009】
離席センサでは、人物の在席や離席を検知することを目的とするが、人物以外の机や、通常情報処理装置の前面におかれるキーボードなどからの反射光を光学センサが拾う可能性がある。ノートPCでは机やテーブルの上に置かれて利用されるため、離席センサが配設される位置によっては、机やテーブルからの反射光を多く光学センサが拾ってしまい、人物からの反射光を検知してユーザの在席状態を適切に検知できない。
【0010】
このような、ユーザの体を除いた情報処理装置前方に存在する物体による干渉は、センサ角度を適切なものにしたり、センサ感度を状況に応じて適切なものに決定したりする(自動キャリブレーション)ことによって、ある程度解消できる。
【0011】
しかしながら、センサ角度を極端な角度にチルトしたり、ユーザの被服の色やテーブルの色などのさまざまな条件が重なると、センサ感度が適切に設定されず、ユーザの在席状態を適切に検知できない。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、誤検知をせずに適切にユーザの在席状態を検知することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明は、第1の態様として、装置前方に赤外光を発する光源と、前記光源から発した赤外光が装置前方に存在する物体に反射した反射光を感知する光学センサと、前記光学センサの感知結果に基づいて装置前方におけるユーザの在席状態を判定する判定手段と、を有し、前記光学センサの感度を自動で設定する自動キャリブレーション設定と、前記光学センサの感度をユーザ手動で設定するマニュアルキャリブレーション設定と、を備え、前記自動キャリブレーション設定時において前記判定手段が誤判定していると判断する判断手段と、前記判断手段により前記判定手段が誤判定していると判断された場合に、ユーザに前記マニュアルキャリブレーション設定の通知を行う通知手段と、を有することを特徴とする、情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、誤検知をせずに適切にユーザの在席状態を検知することが可能な情報処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による実施形態の外観図である。
【図2】図1の情報処理装置1を正面から示す図である。
【図3】本実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図4】図3の閾値管理テーブル105に格納される情報の一例を示す図である。
【図5】図3の通知手段107が提供する通知情報の一例を示す図である。
【図6】反射光に干渉の多い環境を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適に実施した実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1に、本実施形態の外観例を示す。
図示のように、情報処理装置1は、ディスプレイ側筐体2とメイン基板側筐体3を有するノートブック型パーソナルコンピュータである。本実施形態でノートPCとして構成したのは一例であり、デスクトップPCでもよい。ディスプレイ側筐体2とメイン基板側筐体3はヒンジ部4で連結しており、電気的に接続している。ヒンジ部4の態様は従来公知のものを用いることができ本実施形態では限定しない。
【0018】
本実施形態では、メイン基板側筐体3の手前側に、在席状態検知センサ部10を有する。メイン基板側筐体3は、内部にメインボードやマザーボードと呼ばれる情報処理装置1の基本的な入出力の核となるハードウェアデバイスを内蔵しており、在席状態検知センサ部10は、このメイン基板側筐体3に配設されることが好ましい。
【0019】
図2に、情報処理装置1を正面から示す。
図2は、メイン基板側筐体3に対してディスプレイ側筐体2をおおむね垂直に立て、手前側(正面側)から見たものである。図示のように、在席状態検知センサ部10は、赤外光を発するレーザ発光ダイオードであるLED11と、光学式のセンサであるセンサ12を有する。情報処理装置1は、センサ12の検知レベルが所定の閾値以上であればユーザが在席していると判断し、また別の所定の閾値以下であればユーザが離席していると判断する。
【0020】
図3に、本実施形態の機能構成を示す。
図示のように、情報処理装置1は、図1と図2に示したようなハードゥエアを利用するソフトウェアプログラムにより、制御部100を構成する。制御部100は、在席状態判定手段101と、誤判定判断手段102を備える。また、情報処理装置1は、制御部100に加えて、在席状態検知センサ部10と、入力手段103と、通知手段107も備える。
【0021】
在席状態判定手段101は、閾値決定部104と、閾値管理テーブル105と、閾値記録部106と、を備え、在席状態検知センサ部10から入力されるセンサ12の検知レベルに基づいて、情報処理装置1の前のユーザの在席状態を判定する。
【0022】
前述のように、情報処理装置1は、センサ12の検知レベルが所定の閾値以上であればユーザが在席していると判断し、また別の所定の閾値以下であればユーザが離席していると判断する。前者を「在席閾値」、後者を「離席閾値」と呼ぶ。
【0023】
在席閾値とは、その値以上であれば情報処理装置1の前にユーザが存在する(在席)と見なす値である。離席閾値とは、その値未満では情報処理装置1の前にユーザが存在しない(離席)と見なす値である。
【0024】
閾値決定部104は、このような在席閾値と離席閾値を以下に述べる自動キャリブレーション設定又は手動キャリブレーション設定により決定する。在席閾値と離席閾値により在席状態を判定する基準が変化するので、閾値決定部104は、在席状態検知センサ部10の感度を決定していると言える。
【0025】
閾値管理テーブル105は、図4に示すような情報が格納されており、自動キャリブレーション設定のときに、閾値決定部104が参照して、閾値を適宜変更する。自動キャリブレーション設定では、ユーザが在席していると判定されるときの在席状態検知センサ部10の検知レベルを用いて、閾値管理テーブル105を参照し、新しい離席閾値を決定する動作をする。
【0026】
一方で、手動キャリブレーション設定の際は、閾値管理テーブル105に格納されている情報を使わない。
【0027】
閾値記録部106には、閾値決定部104により決定された在席閾値と離席閾値が記録される。
【0028】
在席状態判定手段101は、在席状態検知センサ部10の感知結果に基づいて判定した在席状態(在席/離席/在席も離席も疑わしい状態)を後段の処理のために出力する。好ましくは、出力した情報を情報処理装置1のディスプレイの省電力制御に用いる。
【0029】
入力手段103は、情報処理装置1に入力を行うための部分であって、具体的にはキーボードやマウス等がそれに該当する。また、ボタンやタッチパッドのようなその他の入力手段も含まれる。入力手段103での操作は、入力信号に変換され制御部100や誤判定判断手段102に送信される。
【0030】
通知手段107は、情報処理装置1からユーザに向けて画像や音声などで情報の通知を行うための部分であって、具体的にはディスプレイ(表示装置)等がそれに該当する。以下では、ディスプレイとして説明する。
【0031】
誤判定判断手段102は、在席状態判定手段101により判定された在席状態が誤判定である場合に、その旨の判断をする部分である。この判断は、具体的には、在席状態が離席状態であると判定されたのち数秒以内に、入力手段103により入力を受けた場合に、その離席状態の判定は誤判定であると判断するものであると好ましい。離席と判定されたにもかかわらずユーザ入力があると、その判定は誤判定である可能性が高い。
【0032】
また、前記判断は、入力手段103による入力が所定の第1の時間(例えば30分)以上なく、かつ、所定の第2の時間(例えば1日)、一度も在席状態判定手段101により在席状態が離席状態であると判定されない場合に、その判定は誤判定であると判断するものであると好ましい。長時間入力がないにもかかわらず1日ずっと在席しているのは不自然であり、その第2の時間、判定され続けてきた在席状態の判定は誤判定である可能性が高い。このような場合は、在席状態検知センサ部10が感知する周辺環境が、机やテーブルなどの干渉が大きい環境であると想定する。
【0033】
誤判定判断手段102により、誤判定である旨の判断がなされた場合、通知手段107は、ユーザに対してマニュアルキャリブレーション設定を行うことを促す通知を行う。
【0034】
図5に、かかる通知の一例を示す。図中の「離席条件をセットする」ボタンB1を、ユーザが押下することによって、ユーザによるマニュアルキャリブレーション設定が実行される。
【0035】
マニュアルキャリブレーション設定は、具体的には、ユーザにしばらくの間、情報処理装置1の前方から離席をしてもらい、その間、在席状態検知センサ部10ないしセンサ12により、赤外光の反射光の検知・感知を行う。すなわち、ユーザが意図的に離席した状態の反射光の感知を行う。そのため、その間の在席状態検知センサ部10ないしセンサ12の感知レベルは、情報処理装置1前方に存在する物体(ただしユーザを除く)の干渉による感知結果とみなすことができる。
【0036】
したがって、マニュアルキャリブレーションによって、ユーザではない物体の干渉分の感知レベルを知ることができる。
【0037】
マニュアルキャリブレーションにおいて、閾値決定部104は、意図的に離席した状態の感知レベルに基づいて、離席閾値を決定する。意図的に離席した状態の感知レベルはそのままユーザではない物体の干渉分の感知レベルと見なすので、確実にユーザが離席していると見なせる離席閾値としては、意図的に離席した状態の感知レベルに、いくらかの調整分を加えた値とすることが好ましい。
【0038】
図6に、机やテーブル、キーボードによる干渉が大きい環境の例を示す。
図6(a)は、デスクトップPCにおける例である。在席状態検知センサ部10は、ディスプレイ下部に設置され通常の使用では適切にユーザを検出ができる。しかしながら、図示のように、ユーザの好みなど種々の理由でオーバーハング気味にディスプレイをチルトさせた場合はキーボードによる反射光が多く受光され、干渉が大きくなる。
【0039】
図6(b)は、ノートPCにおける例である。在席状態検知センサ部10は、メイン基板側筐体前部に設置され通常の使用では適切にユーザを検出ができる。しかしながら、図示のように、メイン基板側筐体の後部を高く浮かせるような使用をした場合は、テーブルによる反射光が多く受光され、干渉が大きくなる。
【0040】
自動キャリブレーション設定では、ユーザは離席センサの感度の設定を意識することなく自動で設定されるメリットがあるが、障害物による干渉分(離席時の障害物の反射光の感知レベル)が不明であるので、干渉分の感知レベルをノイズとして処理することができず誤検知につながる可能性がある。ところが、本実施形態では、マニュアルキャリブレーション設定を備え、これにより干渉分の感知レベルを、装置が知ることができる。したがって、誤検知をせずに適切にユーザの在席状態を検知することが可能になる。
【符号の説明】
【0041】
1 情報処理装置
2 ディスプレイ側筐体
3 メイン基板側筐体
4 ヒンジ部
10 在席状態検知センサ部
11 LED
12 センサ
100 制御部
101 在席状態判定手段
102 誤判定判断手段
103 入力手段
104 閾値決定部
105 閾値管理テーブル
106 閾値記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置前方に赤外光を発する光源と、
前記光源から発した赤外光が装置前方に存在する物体に反射した反射光を感知する光学センサと、
前記光学センサの感知結果に基づいて装置前方におけるユーザの在席状態を判定する判定手段と、を有し、
前記光学センサの感度を自動で設定する自動キャリブレーション設定と、
前記光学センサの感度をユーザ手動で設定するマニュアルキャリブレーション設定と、を備え、
前記自動キャリブレーション設定時において前記判定手段が誤判定していると判断する判断手段と、
前記判断手段により前記判定手段が誤判定していると判断された場合に、ユーザに前記マニュアルキャリブレーション設定の通知を行う通知手段と、を有する
ことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記マニュアルキャリブレーション設定時に、
前記光学センサは、ユーザが意図的に離席しているときに、前記反射光を感知し、
前記判定手段は、ユーザが意図的に離席しているときの前記光学センサの感知結果を、ユーザを除いた装置前方に存在する物体の干渉による感知結果とみなし、前記光学センサの感度を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
ユーザによる入力を受ける入力手段を有し、
前記判断手段は、前記判定手段により前記在席状態が離席状態であると判定されたのち数秒以内に、前記入力手段により入力を受けた場合に、前記判定手段が誤判定していると判断する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記入力手段による入力が所定の第1の時間以上なく、かつ、所定の第2の時間、一度も前記判定手段により前記在席状態が離席状態であると判定されない場合に、前記判定手段が誤判定していると判断する
ことを特徴とする、請求項3記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−238093(P2012−238093A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105289(P2011−105289)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(311012169)NECパーソナルコンピュータ株式会社 (116)
【Fターム(参考)】