説明

情報処理装置

【課題】車両の種類を的確に特定可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置10は、車両1の走行履歴を取得する走行履歴取得部13と、車両1の走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類を特定する車種特定部15とを備える。これにより、車両1の走行履歴が取得され、この走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類が特定される。よって、車両1の種類を的確に特定することができる。ここで、情報処理装置は、一般乗用旅客自動車を特定するように構成されることが好ましい。また、情報処理装置は、特定された車両の種類に基づいて、特定のアプリケーションを車両に送信することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の種類を特定する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特開2010−205205号公報には、車両感知信号の検知パルスを用いて車両の長さから車両の種類を特定する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−205205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイカーなどの普通車両とタクシーなどの旅客用車両を判別したい場合がある。しかし、普通車両と旅客用車両では車長に大差がないので、前述した装置では、車両の種類を的確に特定することができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、車両の種類を的確に特定可能な情報処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、車両の走行履歴を取得する走行履歴取得部と、車両の走行履歴の特徴に基づいて車両の種類を特定する車種特定部とを備える。
【0007】
本発明によれば、車両の走行履歴が取得され、この走行履歴の特徴に基づいて車両の種類が特定される。これにより、車両の種類を的確に特定することができる。ここで、情報処理装置は、一般乗用旅客自動車を特定するように構成されることが好ましい。
【0008】
また、走行履歴は、所定場所での駐停車時間または駐停車回数を含むことが好ましい。これにより、所定場所を起点とする走行の頻度に基づいて、車両の種類を特定することができる。ここで、所定場所は、交通拠点(空港、港湾、または鉄道駅もしくは自動車駅など)または集客施設に付随する駐停車場であり、特に交通拠点に付随する駐停車場であることが好ましい。
【0009】
また、走行履歴は、所定場所での車両の駐停車時間または駐停車後の走行時間を含むことが好ましい。これにより、所定場所を起点とする走行のパターンに基づいて、車両の種類を特定することができる。ここで、所定場所は、交通拠点または集客施設に付随する駐停車場であり、特に集客施設に付随する駐停車場であることが好ましい。
【0010】
また、走行履歴は、駐停車後の走行時間帯、または駐停車後の走行経路を含むことが好ましい。これにより、所定場所を起点とする走行の時間帯または経路に基づいて、特定の精度を向上することができる。
【0011】
また、情報処理装置は、特定された車両の種類に基づいて、特定のアプリケーション(プログラム、データなど)を車両に送信することが好ましい。これにより、特定の種類の車両にのみ特定のアプリケーションプログラム、データを送信することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両の種類を的確に特定可能な情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】情報処理装置の動作を示すフロー図である。
【図3】旅客用車両の近距離走行型の走行特性の一例を示す図である。
【図4】旅客用車両の近距離走行型の走行特性の他の例を示す図である。
【図5】旅客用車両の中長距離走行型の走行特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置10の構成を示すブロック図である。
【0016】
情報処理装置10は、車両1の走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類を特定する装置であり、情報処理センターなどに設置されるコンピュータとして実現される。なお、情報処理装置10は、複数の装置からなるコンピュータシステムとして構成されてもよい。
【0017】
図1に示すように、車両1は、移動情報記録部2、通信部3を含む。情報処理装置10は、通信部11、移動情報保持部12、走行履歴取得部13、設定情報保持部14、車種特定部15を含む。これらの要素は、プログラムなどのソフトウェア、電子回路などのハードウェア、またはこれらの組合せとして実現される。
【0018】
移動情報記録部2は、所定時間(1秒など)の間隔で車両1の移動情報を記録する。移動情報は、車両1の識別情報、現在位置、連続走行時間、現在時刻を含む。現在位置は、所定時間毎の車両1の位置(緯度、経度)を示し、連続走行時間は、駐停車なしの連続走行時間を示す。現在位置および連続走行時間は、ナビゲーション情報の一部でもよい。
【0019】
通信部3は、移動情報を情報処理装置10に無線で送信する。なお、移動情報は、その記録間隔と同じ間隔で送信されてもよく、その記録間隔よりも長い間隔で送信されてもよい。
【0020】
通信部11は、移動情報を少なくとも1つの車両1から無線で受信する。移動情報は、プローブ情報として受信されてもよい。
【0021】
移動情報保持部12は、受信された移動情報を保持する。移動情報は、車種の特定を行う所定期間(24時間など)に亘って保持される。移動情報は、車両1の識別情報に関連付けて保持されることが好ましい。
【0022】
走行履歴取得部13は、所定期間における移動情報から車両1の走行履歴を取得する。走行履歴は、駐停車設定場所での駐停車時間および駐停車回数を含む。また、走行履歴は、駐停車設定場所での駐停車時間および駐停車後の走行時間を含んでもよい。さらに、走行履歴は、駐停車後の走行の時間帯または経路を含んでもよい。
【0023】
駐停車回数は、所定期間に駐停車設定場所での駐停車の回数として求められる。駐停車設定場所での駐停車は、駐停車設定場所に連続して存在する時間が所定時間を越えた場合に確認される。駐停車時間は、駐停車設定場所に入ってから出るまでの時間、つまり駐停車設定場所内での移動時間を含む時間として求められる。
【0024】
走行時間は、駐停車設定場所を出てから目的地に到るまでの時間として求められる(連続走行時間と共に信号待ち時などの停車時間も含まれる。)。走行時間は、駐停車設定場所を出てから再び駐停車設定場所に入るまでの時間として求められてもよい。駐停車後の走行の時間帯または経路は、駐停車設定場所から出る時間帯、駐停車設定場所からの走行の経路として求められる。
【0025】
設定情報保持部14は、車種の特定に用いる設定情報を保持する。設定情報は、駐停車設定場所(所定場所)、駐停車設定回数、駐停車設定時間、走行設定時間、設定時間帯、最短設定経路などである。
【0026】
駐停車設定場所は、旅客待ちの駐停車に利用される場所の位置・範囲を示す。駐停車設定場所は、例えば、空港、港湾、鉄道駅、自動車駅(タクシープールなど)などの交通拠点、競技場、会議場、催事場、百貨店などの集客施設に付随する駐停車場である。
【0027】
駐停車設定回数は、所定期間に外部から駐停車設定場所に入った回数に関する所定の閾値を示す。駐停車設定時間は、駐停車設定場所での駐停車時間に関する所定の閾値を示す。走行設定時間は、駐停車設定場所以外での走行時間に関する所定の閾値を示す。これらの閾値は、移動情報から取得される車両1の走行履歴の特徴との比較を通じて車種の特定に用いられる。
【0028】
設定時間帯は、通勤・通学、鉄道の終発時刻後、集客施設の利用時刻後の時間帯など、駐停車設定場所を起点とする旅客用車両の利用が多くなる時間帯を示す。最短設定経路は、交通量の比較的少ない裏道、抜け道など、旅客用車両による利用傾向が高い経路を示す。
【0029】
車種特定部15は、車両1の走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類を特定(推定)する。車種特定部15は、特に、タクシー(一般乗用旅客自動車)などの旅客用車両を特定する。また、車種特定部15は、旅客用車両として特定されない車両1をマイカーなどの普通車両として特定してもよい。
【0030】
車両1は、駐停車設定場所で設定時間T1を越える駐停車が設定回数N1を越えて生じた場合に、旅客用車両として特定される。また、車両1は、駐停車設定場所で設定時間T2を越える駐停車が生じた後に、設定時間T3を越える走行が生じた場合に、旅客用車両として特定される。なお、これらの閾値T1〜T3、N1は、駐停車設定場所毎の特性、駐停車設定場所を含む地域の特性などを考慮して適宜設定される。さらに、車両1は、駐停車後の走行の時間帯が設定時間帯に集中している場合、または駐停車後の走行の経路が最短設定経路に近い場合に限って、旅客用車両として特定されてもよい。
【0031】
つぎに、図2から図5を参照して、情報処理装置10の動作について説明する。図2は、情報処理装置10の動作を示すフロー図である。図3から図5は、旅客用車両の近距離走行型および中長距離走行型の走行特性の例をそれぞれに示す図である。
【0032】
情報処理装置10は、車両1の種類を特定するために、図2に示す処理を所定期間に亘って繰り返す。
【0033】
移動情報保持部12は、所定時間の間隔で受信した車両1の移動情報を保持する(ステップS11)。走行履歴取得部13は、所定期間における移動情報から車両1の走行履歴を取得する(ステップS12)。走行履歴は、所定期間毎に取得されてもよく、駐停車設定場所での駐停車が確認される毎に取得されてもよい。車種特定部15は、走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類を特定(推定)する(ステップS13、S14)。
【0034】
ここで、ステップS13では、駐停車設定場所で設定時間T1を越える駐停車が設定回数N1を越えて生じたかが判定され(第1の判定条件)、この判定条件に該当する場合に、車両1が旅客用車両として特定(推定)される(ステップS15)。一方、第1の判定条件に該当しない場合に、ステップS14では、駐停車設定場所で設定時間T2を越える駐停車が生じた後に、設定時間T3を越える走行が生じたかが判定され(第2の判定条件)、この判定条件に該当する場合に、車両1が旅客用車両として特定(推定)される(ステップS15)。第1または第2の判定条件に該当しない場合に、車両1が普通車両として特定(推定)される(ステップS16)。
【0035】
旅客用車両は、交通拠点または集客施設に付随する駐停車場O1を起点として、図3に示すような走行特性(第1の判定条件に該当する)を示すことが知られている。つまり、旅客用車両は、駐停車場O1で旅客を待ち、近隣の目的地D1に旅客を運び、駐停車場O1に戻って旅客を待ち、同様に駐停車場O1を起点として各目的地D1、D2に旅客を運ぶ、という近距離走行型の走行特性を示す。このような走行特性は、特に、他の交通機関を利用して交通拠点に到着した旅客を、近隣の目的地に運ぶ際の走行特性として認められる。
【0036】
なお、図3では、1つの駐停車設定場所O1と複数の目的地D1〜D3との間で往復して近距離走行を行う場合を示しているが、図4に示すように、第1の駐停車設定場所O1から第1の目的地D1に近距離走行した後に、近隣の第2の駐停車設定場所O2に移動し、そこから第2の目的地D2に近距離走行する場合も想定される。この場合、第1および第2の駐停車設定場所O1、O2での駐停車回数が合算される。
【0037】
また、旅客用車両は、交通拠点または集客施設に付随する駐停車場O3を起点として、図5に示すような走行特性(第2の判定条件に該当する)を示すことも知られている。つまり、旅客用車両は、駐停車場O1で旅客を待ち、そこからある程度離れた目的地D1に旅客を運ぶ、という中長距離走行型の走行特性を示す。このような走行特性は、特に、集客施設を利用した旅客を、ある程度離れた目的地に運ぶ際の走行特性として認められる。
【0038】
また、第1または第2の判定条件に該当した場合でも、さらに駐停車後の走行時間帯が設定時間帯に集中しているか、または駐停車後の走行経路が最短設定経路に近いかが判定されてもよい(第3の判定条件)。つまり、ステップS13またはS14でYesの場合に、第3の判定条件に該当するかが判定され、この判定条件に該当した場合にのみ、車両1が旅客用車両として特定されてもよい。
【0039】
情報処理装置10では、車種の特定結果を用いて、特定の種類の車両1に限定して、交通情報、車載機用のアプリケーションプログラム・データなどを送信することができる。また、旅客用車両の移動情報に基づいて、裏道、抜け道などのマップを作成したり、旅客用車両の開発にフィードバックしたりすることができる。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る情報処理装置10によれば、車両1の走行履歴が取得され、この走行履歴の特徴に基づいて車両1の種類が特定される。これにより、車両1の種類を的確に特定することができる。また、車両1の移動情報(識別情報、現在位置、連続走行時間、現在時刻)を用いて、車両1の種類を特定することができる。
【0041】
また、所定場所での駐停車時間および駐停車回数を用いることで、所定場所を起点とする走行の頻度に基づいて、車両1の種類を特定することができる。ここで、所定場所は、交通拠点(空港、港湾、または鉄道駅もしくは自動車駅)または集客施設に付随する駐停車場であり、特に交通拠点に付随する駐停車場であることが好ましい。
【0042】
また、所定場所での駐停車時間および駐停車後の走行時間を用いることで、所定場所を起点とする走行のパターンの相違に基づいて、車両1の種類を特定することができる。ここで、所定場所は、交通拠点または集客施設に付随する駐停車場であり、特に集客施設に付随する駐停車場であることが好ましい。
【0043】
また、駐停車後の走行の時間帯を用いることで、所定場所を起点とする走行の時間帯に基づいて、特定の精度を向上することができる。
【0044】
また、駐停車後の走行の経路を用いることで、所定場所を起点とする走行の経路に基づいて、特定の精度を向上することができる。
【0045】
また、特定された前記車両の種類に基づいて、特定のアプリケーション(プログラム、データなど)を車両に送信することで、特定の種類の車両にのみ特定のアプリケーションプログラム、データを送信することができる。
【0046】
なお、前述した実施形態は、本発明に係る情報処理装置10の最良な実施形態を説明したものであり、本発明に係る情報処理装置10は、本実施形態に記載したものに限定されるものではない。本発明に係る情報処理装置10は、各請求項に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で本実施形態に係る情報処理装置10を変形し、または他のものに適用したものであってもよい。
【0047】
例えば、本発明は、前述した方法に従って、車両1の走行履歴から車両1の種類を特定するためのプログラム、または当該プログラムを記憶しているコンピュータ読取可能な記録媒体にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1…車両、2…移動情報記録部、3…通信部、10…情報処理装置、11…通信部、12…移動情報保持部、13…走行履歴取得部、14…設定情報保持部、15…車種特定部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行履歴を取得する走行履歴取得部と、
前記車両の走行履歴の特徴に基づいて前記車両の種類を特定する車種特定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記走行履歴が、所定場所での駐停車時間または駐停車回数を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記走行履歴が、所定場所での前記車両の駐停車時間または駐停車後の走行時間を含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記走行履歴が、駐停車後の走行時間帯を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記走行履歴が、駐停車後の走行経路を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定場所が、交通拠点に付随する駐停車場を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定場所が、集客施設に付随する駐停車場を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記車両が、一般乗用旅客自動車である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
特定された前記車両の種類に基づいて、特定のアプリケーションを前記車両に送信する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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