情報処理装置
【課題】装置の姿勢とユーザが行なう操作との組合わせに基づき所定の処理を実行できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザが表示画面上に表示される画像を上向きにフリックする操作を検知すると(ステップ250)、情報処理装置は装置が所定の角度以上に傾いているか否かを判定する(ステップ252)。この判定が肯定であり、かつ、表示画像によって表されるデータが情報処理装置内に保存されている場合、当該データが外部装置であるサーバへ送信され(ステップ256)、サーバ内に保存される(ステップ260)。
【解決手段】ユーザが表示画面上に表示される画像を上向きにフリックする操作を検知すると(ステップ250)、情報処理装置は装置が所定の角度以上に傾いているか否かを判定する(ステップ252)。この判定が肯定であり、かつ、表示画像によって表されるデータが情報処理装置内に保存されている場合、当該データが外部装置であるサーバへ送信され(ステップ256)、サーバ内に保存される(ステップ260)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関し、特に、装置の姿勢を検知するセンサの出力に基づき所定の処理を実行する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びタブレット端末等の情報処理装置は、タッチパネルディスプレイを含むことが多い。タッチパネルディスプレイは、情報処理装置に保存されるデータを表わす画像をディスプレイ上に表示する機能、及び、ユーザからの操作を検知する機能を有する。ユーザはディスプレイに表示される画像を参照しながら、当該画像によって表わされるデータを操作できる。したがって、タッチパネルディスプレイに対する操作は、当該表示画像に対して視覚的に反映される操作であることが望ましい。
【0003】
こうした操作の例として、ユーザが指で表示画面を軽く押下したことに応じて所定の処理が実行されるタップ、ユーザが2本の指で画像を挟み込んだことに応じて当該画像の縮小及び削除等が実行されるピンチイン、並びに、ユーザが重ね合わせた2本の指の間隔を広げたことに応じて当該画像の拡大等が実行されるピンチアウト等が挙げられる。これら操作方法のように、ディスプレイに表示される画像に対しユーザが指を用いて行なう操作を、以下「ジェスチャー操作」と呼ぶ。さらに、以下の説明においては、ユーザが表示画像を指ですべらせる又は払う操作方法を「フリック」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−33724号公報
【特許文献2】特開2003−269956号公報
【特許文献3】特開平10−170272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、これらとは別に装置の姿勢を検知するセンサを持ち、センサ出力に応じて装置の状態を変化させる技術も普及しつつある。例えば、特許文献1には、デジタルカメラの姿勢に応じて、複数の操作ボタンに対する機能の割り当てを変更する技術が開示されている。このように、操作ボタンの機能をカメラの姿勢に応じて変更させると、ボタンの操作性が向上する。さらに、装置の姿勢を検知する技術として、特許文献2にはノイズ成分の少ない検出信号が得られる姿勢センサに関する技術が、特許文献3には装置の回転運動を検出して当該装置の姿勢を検出する圧電ジャイロセンサに関する技術が、それぞれ開示されている。
【0006】
これらは、いずれも比較的新しい技術であり、情報処理装置のインターフェイスに非常に大きな変化をもたらしている。しかし、これらの技術により実現できる処理の範囲はいずれもそれほど広くなく、限定された種類の指示しか情報処理装置に対して行なえないという問題があった。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、ユーザが行なうジェスチャー操作と装置の姿勢との組合わせにより定められる処理を、従来より多くの種類実行できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、表示面を持つ表示手段と、基準座標系に対する表示面の姿勢を検知して姿勢検知信号を出力する姿勢検知手段と、ユーザの表示面上でのタッチ位置の座標を検知して座標信号を出力する座標検知手段と、座標信号に応答して、座標信号の値と姿勢検知信号の値との組合わせにより定められる処理を、表示手段に表示されている画像に関連して実行する実行手段とを含む。
【0009】
この情報処理装置によると、ユーザが行なったジェスチャー操作と情報処理装置の姿勢との組合わせに応じて定められる処理が、表示される画像に関連して実行される。したがって、ユーザは情報処理装置の姿勢に対応づいたジェスチャー操作を行なうことができる。
【0010】
好ましくは、基準座標系は、水平面を規定する第1及び第2の基準座標軸と、水平面に対し垂直に上を向いて定められた第3の基準座標軸とにより規定される地球基準座標系である。
【0011】
情報処理装置の姿勢は、規定の地球基準座標系に対する表示面の姿勢を検知することで決定される。したがって、情報処理装置の姿勢がどのようなものであるかは一義的に決定される。
【0012】
さらに好ましくは、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、実行手段は、姿勢検知信号により検知される第1の方向が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であるときに、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が第1の方向に沿って変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする。
【0013】
表示面の姿勢を規定する第1の方向が第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内にあり、かつ、ユーザのタッチ位置が第1の方向に沿って変化すると、表示画像により表されるデータに対して所定の処理が実行される。したがって、情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表されるデータに対して所定の処理を実行することができる。
【0014】
さらに好ましくは、所定の処理は、所定のストレージ装置に、表示面上に表示されている画像により表されるデータを転送する処理であることを特徴とする。
【0015】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表されるデータをストレージ装置へアップロードできる。
【0016】
さらに好ましくは、データを記憶する内部記憶装置をさらに含み、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、実行手段は、姿勢検知信号により検知される第1の方向が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であり、かつ、データを表す画像が表示面上に表示されているときに、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が第1の方向とは逆の方向に沿って変化したことに応答して、画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする。
【0017】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向とは逆の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表示されるデータに対し所定の処理を実行できる。
【0018】
さらに好ましくは、所定の処理は、画像により表されるデータをネットワークから内部記憶装置に転送する処理であることを特徴とする。
【0019】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向とは逆の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表示されるデータをネットワークからダウンロードし、内部記憶装置に保存できる。
【0020】
好ましくは、実行手段は、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が一定の方向に沿って表示面上で変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像を、一定の方向に、姿勢検知信号に依存して定められる速度で移動させることを特徴とする。
【0021】
ユーザが一定の方向に沿ってタッチ位置を変化させると、姿勢検知信号によって定められる速度で、表示される画像はタッチされた方向と同一の方向に移動する。したがって、情報処理装置の傾きを変化させることで、ユーザは表示される画像を移動する速度を変化させることができる。
【0022】
さらに好ましくは、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、情報処理装置は、姿勢検知手段の出力により、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から、所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の他方が含まれる姿勢に表示面の姿勢が変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像が、一方に沿って正立している状態から、他方に沿って正立する状態に変化するように、表示手段による表示の方向を回転させる画像回転手段をさらに含む。
【0023】
情報処理装置の姿勢が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から他方が含まれる姿勢に変化すると、表示面上に表示されている画像の表示方向が回転する。したがって、ユーザは情報処理装置を回転させることで、表示される画像の表示方向を装置の回転の向きに応じて変化させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る情報処理装置によると、装置の姿勢とユーザからのジェスチャー操作との組合わせに応じて、所定の処理が実行される。したがって、ユーザは従来の操作より直感的な操作を行なうことができ、情報処理装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1実施の形態に係る情報処理装置の外観を示す図である。
【図2】情報処理装置及びサーバの制御ブロックを示す図である。
【図3】情報処理装置の姿勢を検知する方法を説明するための図である。
【図4】情報処理装置の回転を検知する方法を説明するための図である。
【図5】上向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図6】下向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図7】右向き又は左向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図8】情報処理装置の回転を検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図9】ユーザがアイコンを上向きにフリックした状態を示す図である。
【図10】ユーザが表示画面を上向きにフリックした状態を示す図である。
【図11】ユーザがアイコンを下向きにフリックした状態を示す図である。
【図12】ユーザが表示画面を下向きにフリックした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
[全体構成(ハードウェア)]
図1を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置100は、表示機能を有する矩形の表示画面110を含む。表示画面110はタッチパネルディスプレイとなっており、表示機能だけでなく、タッチ及びスライド等、ユーザが行なったジェスチャー操作を検知する機能も持つ。ユーザは表示画面110上に表示された画像を確認しながら、当該画像によって表される画像及びデータ等を編集できる。
【0028】
図2を参照して、情報処理装置100は、表示画面110の他に、各機能部を制御する制御部150、情報処理装置100の姿勢及び回転を検知するセンサ160、ユーザが表示画面110上で行なったジェスチャー操作を検知する操作検知部170、情報処理装置100が受信したデータを記憶する記憶部180、及び、ネットワーク240を介して情報処理装置100と外部装置とを通信可能な状態にする通信部190をさらに含む。
【0029】
本実施の形態では、情報処理装置100は、ネットワーク240を介して外部装置であるサーバ200と接続可能な状態にある。サーバ200は、各機能部を制御する制御部210、データを格納する記憶部220、及び、ネットワーク240を介して外部装置との通信を可能とする通信部230を含む。
【0030】
[情報処理装置の姿勢及び回転の検知]
図3を参照して、上記したように表示画面110は矩形である。表示画面110の中心を点O、表示画面を構成する各辺のうち、短辺の1つを辺A、長辺の1つを辺Bとする。表示画面110には、表示画面の姿勢を規定する第1の方向P及び第2の方向Qが規定されている。図3に示す状態では、第1の方向Pは長辺Bに、第2の方向Qは短辺Aに、それぞれ平行となっている。
【0031】
図3に示すX軸及びY軸は、それぞれ水平面を規定する直線であり、さらにZ軸は、水平面に対し垂直に上を向いて定められた直線である。これら3軸によって規定される基準座標系は地球基準座標系であるため、装置がどのような姿勢であっても、この基準座標系は変化しないと考えてよい。
【0032】
情報処理装置100の姿勢は、この基準座標系に対して、第1の方向P及び第2の方向Qがどのような位置関係にあるかによって決定される。図3に示す状態では、第1の方向PはZ軸に対し平行であり、表示画面110は辺Aを上方向としている。すなわち、表示画面110は水平面であるX―Y平面に対し直交している。このとき、「表示画面110は辺Aを上向きとして傾いている」と判定される。
【0033】
さらに、水平面に対し直交していなくとも、水平面に対し一定以上傾いていれば、情報処理装置は「傾きあり」と判定される。図3に示す領域Mは、点Oを中心とし、かつZ軸を軸とした、円錐状に広がる所定の領域である。領域Mの範囲をどの程度とするかは、ユーザにより予め設定できる。第1の方向Pが領域Mに含まれていれば、情報処理装置100は「傾きあり」と判定される。方向Pが領域Mを超えると、情報処理装置100は直交状態から水平状態に近づいており、「傾きなし」と判定される。
【0034】
情報処理装置100が辺Aの対辺を上方向として水平面に直交する場合(図3に示す状態から180度回転した状態)、情報処理装置100は「辺Aの対辺を上向きとして傾いている」と判定される。この場合にも、第1の方向Pが領域Mに含まれているか否かによって、装置の傾きが判定される。
【0035】
図3及び図4を比較して、情報処理装置100の回転について説明する。図3に示される状態に対し、図4に示される状態では、第2の方向QがZ軸に対し平行であり、表示画面110は辺Bを上方向としている。つまり、領域Mに含まれるのは第1の方向Pでなく第2の方向Qである。このように、第1及び第2の方向の内の一方が領域Mに含まれる状態から、他方が領域Mに含まれる状態に変化したとき、情報処理装置100は「傾きあり」と判定される。図4に示される状態では、「情報処理装置100は辺Bを上向きとして傾いている」と判定される。辺Bを上向きとする場合についても、第2の方向Qが領域Mに含まれているか否かによって、装置の傾きが判定される。
【0036】
[ソフトウェア構成]
図2及び図5−7を参照して、フリックが検知されたことに応じて実行されるプログラムの制御構造について説明する。図5を参照して、ステップ250において、表示画面110に表示される画像が下から上の方向にフリックされたことを操作検知部170が検知すると、制御部150は、ステップ252において、情報処理装置100が傾いているか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ254へ進む。
【0037】
ステップ254において、制御部150は、ユーザがフリックした画像によって表されるデータが、情報処理装置100内の記憶部180に記憶されているものか否かを判定する。この判定が肯定の場合は、制御はステップ256へ進み、否定の場合は、制御は直ちに終了する。
【0038】
ステップ256において、通信部190は、記憶部180に記憶される当該データをサーバ200へ送信する。ステップ256の処理が終了すると、情報処理装置100で実行される制御は終了する。ステップ258において、サーバ200内の通信部230は、当該データを受信する。さらにステップ260では、当該データが記憶部220に保存される。ステップ260の処理が終了すると、サーバ200で実行される制御は終了する。
【0039】
ステップ252での判定が否定の場合、制御はステップ262へ進む。ステップ262において、制御部150は、センサ160によって検知された情報処理装置100の傾き、及び、ユーザが当該画像をフリックした速度に応じて、当該画像を下から上の方向に移動する。(このように、表示画像が移動することを、以下「画像がスクロールする」と呼ぶ。)
【0040】
ステップ264において、制御部300は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば再びステップ262に戻る。
【0041】
図6を参照して、ステップ280において、表示画面110に表示される画像が上から下の方向にフリックされたことを操作検知部170が検知すると、ステップ282において、制御部150は、情報処理装置100が傾いているか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ284へ進む。
【0042】
ステップ284において、制御部150は、ユーザがフリックした画像によって表わされるデータが、サーバ200内の記憶部220に記憶されているものか否かを判定する。この判定が肯定の場合は、制御はステップ286へ進み、否定の場合は、制御は直ちに終了する。
【0043】
ステップ286において、制御部150は、当該画像によって表わされるデータを送信する要求を、サーバ200に対して送信する。ステップ288において、サーバ200の通信部230は、ネットワーク240を介して、当該送信要求を受信する。ステップ290においてサーバ200の制御部210は、記憶部220から当該データを読出し、通信部230に当該データを情報処理装置100へ送信するよう指示する。ステップ292において通信部190はステップ290において送信されたデータを受信し、このデータは記憶部180に記憶される(ステップ294)。
【0044】
ステップ282での判定が否定の場合、制御はステップ296へ進む。ステップ296において、制御部150は、センサ160が検知した情報処理装置100の傾き及びユーザが当該画像をフリックした速度に応じて、当該画像を上から下の方向にスクロールする。
【0045】
ステップ298において、制御部300は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば制御は再びステップ296に戻る。
【0046】
図7を参照して、ステップ310において、制御部150は右向き又は左向きのフリックを検知すると、情報処理装置100の傾きに応じた速度で、表示画面110上に表示される画像をフリックの向きと同じ方向へスクロールする(ステップ312)。ステップ314において、制御部150は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば再びステップ312に戻る。
【0047】
図2−4及び図8を参照して、情報処理装置100の回転を検知する場合に実行されるプログラムの制御構造について説明する。情報処理装置100が図3に示す状態から図4に示す状態に変化したことをセンサ160が検知すると、ステップ320において、制御部150は情報処理装置100が回転したか否かを判定する。この判定が肯定ならば、制御はステップ322へ進み、否定ならば制御は再びステップ320へ戻る。ステップ322において、表示画面110に表示される画像は、図3に示す辺Aを上向きとした状態から、図4に示す辺Bを上向きとした状態へと回転して変化する。
【0048】
ステップ324において、情報処理装置100が図4に示す状態から図3に示す状態に変化したことをセンサ160が検知すると、ステップ324において、制御部150は情報処理装置100が回転したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ326へ進み、表示画面110に表示される画像は辺Aが上向きとなるよう回転する。ステップ326の処理が終了すると、制御は再びステップ320へ戻る。ステップ324の判定が否定ならば、制御は再びステップ324へ戻る。
【0049】
このように、表示される画像の回転は、センサ160が情報処理装置100の回転を検知する度に実行される。ステップ322又はステップ326では辺A又は辺Bが上向きとなるように画像は回転しているが、回転後の画像の向きは表示画面110がどの向きを上向きとしているかによって決定される。
【0050】
[動作]
フリック操作又は回転を検知した場合、情報処理装置100及びサーバは以下のように動作する。なお、以下では主に図2及び図5−12を参照する。
【0051】
図2、図5及び図9を参照して、情報処理装置100は辺Aを上として傾いており、表示画面110上にはアイコン120及び130が表示されている。ユーザが下から上の向きにアイコン130をフリックすると、情報処理装置100の傾きがあるか否かが制御部150によって判定される(ステップ252)。傾きありと判定された場合には、アイコン130により表されるデータがサーバ200へ送信される(ステップ256)。送信されたデータはサーバ内の記憶部220へ保存される(ステップ260)。
【0052】
図10を参照して、ステップ252において、情報処理装置100が傾きなしと判定された場合には、ユーザによりフリックされた画像は情報処理装置100の傾き及びフリックされた速度によって定まる速度で、上向きにスクロールされる(ステップ262)。したがって、表示画面110上に表示されるアイコン120及び130は、いずれも上向きにスクロールされる。
【0053】
図2、図6及び図11を参照して、ユーザが上から下の向きにアイコン130をフリックすると、情報処理装置100の傾きがあるか否かが制御部150によって判定される(ステップ282)。傾きありと判定された場合には、アイコン130により表されるデータがサーバ200内に保存されているものか否かが判定される(ステップ284)。この判定が肯定の場合は、情報処理装置100は当該データをサーバから受信し(ステップ292)、記憶部180へ保存する(ステップ294)。
【0054】
図12を参照して、ステップ282において、情報処理装置100が傾きなしと判定された場合には、ユーザによりフリックされた画像は情報処理装置100の傾き及びフリックされた速度によって定まる速度で、下向きにスクロールされる(ステップ298)。したがって、表示画面110上に表示されるアイコン120及び130は、いずれも下向きにスクロールされる。
【0055】
図7を参照して、ユーザが右向き又は左向きに表示画像をフリックすると、情報処理装置100の傾きに応じた速度で、フリックの方向と同じ向きに、当該画像はスクロールされる(ステップ312)。
【0056】
図8を参照して、辺Bが上向きとなるようユーザが情報処理装置100を回転させると、辺Bを上向きとして表示画像が回転する。さらに辺Aが上向きとなるようユーザが情報処理装置100を回転すると、辺Aを上向きとして表示画像が回転する。このように、ユーザが情報処理装置100を回転すると、回転した方向に応じて表示画面110に表示される画像も回転する。
【0057】
本実施の形態に係る情報処理装置によると、情報処理装置の姿勢とユーザが行なうジェスチャー操作との組合わせに基づき、ユーザは様々な処理を実行できる。こうした処理は、ユーザが表示画像を上向きにフリックするとデータをアップロードする処理、及び、ユーザが表示画像を下向きにフリックするとデータをダウンロードする処理等、処理内容とユーザが行なうジェスチャー操作とが直感的に結びついたものが多い。したがって、ユーザは装置の姿勢を変化させながらジェスチャー操作を行なうことができ、情報処理装置の操作性が向上する。
【0058】
本実施の形態に係る情報処理装置は、上向き又は下向きのフリックを検知した場合、外部装置であるサーバとの間でデータの送受信を行なう。しかし、こうした場合に実行する処理は外部装置との間で行なう処理に限定されない。例えば、ユーザがアイコンを上向きにフリックした場合、当該アイコンによって表されるデータを表示画面に表示する処理、及び、ユーザがアイコンを下向きにフリックした場合、当該アイコンによって表されるデータを削除する処理等、情報処理装置のみで実行される処理でもよい。
【0059】
本実施の形態に係る情報処理装置の表示画面は、矩形でなくてもよい。例えば、楕円形及び正方形等であってもよい。こうした場合、第1の方向及び第2の方向は、ユーザが頻繁にフリック操作を行なう方向であることが望ましい。
【0060】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0061】
100 情報処理装置
110 表示画面
120、130 アイコン
150、210 制御部
160 センサ
170 操作検知部
180、220 記憶部
190、230 通信部
240 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関し、特に、装置の姿勢を検知するセンサの出力に基づき所定の処理を実行する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン及びタブレット端末等の情報処理装置は、タッチパネルディスプレイを含むことが多い。タッチパネルディスプレイは、情報処理装置に保存されるデータを表わす画像をディスプレイ上に表示する機能、及び、ユーザからの操作を検知する機能を有する。ユーザはディスプレイに表示される画像を参照しながら、当該画像によって表わされるデータを操作できる。したがって、タッチパネルディスプレイに対する操作は、当該表示画像に対して視覚的に反映される操作であることが望ましい。
【0003】
こうした操作の例として、ユーザが指で表示画面を軽く押下したことに応じて所定の処理が実行されるタップ、ユーザが2本の指で画像を挟み込んだことに応じて当該画像の縮小及び削除等が実行されるピンチイン、並びに、ユーザが重ね合わせた2本の指の間隔を広げたことに応じて当該画像の拡大等が実行されるピンチアウト等が挙げられる。これら操作方法のように、ディスプレイに表示される画像に対しユーザが指を用いて行なう操作を、以下「ジェスチャー操作」と呼ぶ。さらに、以下の説明においては、ユーザが表示画像を指ですべらせる又は払う操作方法を「フリック」と呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−33724号公報
【特許文献2】特開2003−269956号公報
【特許文献3】特開平10−170272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近では、これらとは別に装置の姿勢を検知するセンサを持ち、センサ出力に応じて装置の状態を変化させる技術も普及しつつある。例えば、特許文献1には、デジタルカメラの姿勢に応じて、複数の操作ボタンに対する機能の割り当てを変更する技術が開示されている。このように、操作ボタンの機能をカメラの姿勢に応じて変更させると、ボタンの操作性が向上する。さらに、装置の姿勢を検知する技術として、特許文献2にはノイズ成分の少ない検出信号が得られる姿勢センサに関する技術が、特許文献3には装置の回転運動を検出して当該装置の姿勢を検出する圧電ジャイロセンサに関する技術が、それぞれ開示されている。
【0006】
これらは、いずれも比較的新しい技術であり、情報処理装置のインターフェイスに非常に大きな変化をもたらしている。しかし、これらの技術により実現できる処理の範囲はいずれもそれほど広くなく、限定された種類の指示しか情報処理装置に対して行なえないという問題があった。
【0007】
それゆえに、本発明の目的は、ユーザが行なうジェスチャー操作と装置の姿勢との組合わせにより定められる処理を、従来より多くの種類実行できる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、表示面を持つ表示手段と、基準座標系に対する表示面の姿勢を検知して姿勢検知信号を出力する姿勢検知手段と、ユーザの表示面上でのタッチ位置の座標を検知して座標信号を出力する座標検知手段と、座標信号に応答して、座標信号の値と姿勢検知信号の値との組合わせにより定められる処理を、表示手段に表示されている画像に関連して実行する実行手段とを含む。
【0009】
この情報処理装置によると、ユーザが行なったジェスチャー操作と情報処理装置の姿勢との組合わせに応じて定められる処理が、表示される画像に関連して実行される。したがって、ユーザは情報処理装置の姿勢に対応づいたジェスチャー操作を行なうことができる。
【0010】
好ましくは、基準座標系は、水平面を規定する第1及び第2の基準座標軸と、水平面に対し垂直に上を向いて定められた第3の基準座標軸とにより規定される地球基準座標系である。
【0011】
情報処理装置の姿勢は、規定の地球基準座標系に対する表示面の姿勢を検知することで決定される。したがって、情報処理装置の姿勢がどのようなものであるかは一義的に決定される。
【0012】
さらに好ましくは、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、実行手段は、姿勢検知信号により検知される第1の方向が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であるときに、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が第1の方向に沿って変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする。
【0013】
表示面の姿勢を規定する第1の方向が第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内にあり、かつ、ユーザのタッチ位置が第1の方向に沿って変化すると、表示画像により表されるデータに対して所定の処理が実行される。したがって、情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表されるデータに対して所定の処理を実行することができる。
【0014】
さらに好ましくは、所定の処理は、所定のストレージ装置に、表示面上に表示されている画像により表されるデータを転送する処理であることを特徴とする。
【0015】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表されるデータをストレージ装置へアップロードできる。
【0016】
さらに好ましくは、データを記憶する内部記憶装置をさらに含み、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、実行手段は、姿勢検知信号により検知される第1の方向が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であり、かつ、データを表す画像が表示面上に表示されているときに、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が第1の方向とは逆の方向に沿って変化したことに応答して、画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする。
【0017】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向とは逆の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表示されるデータに対し所定の処理を実行できる。
【0018】
さらに好ましくは、所定の処理は、画像により表されるデータをネットワークから内部記憶装置に転送する処理であることを特徴とする。
【0019】
情報処理装置の姿勢が所定の姿勢にあるとき、第1の方向とは逆の方向に沿って表示画像をフリックすると、ユーザは当該画像により表示されるデータをネットワークからダウンロードし、内部記憶装置に保存できる。
【0020】
好ましくは、実行手段は、座標信号により表されるユーザのタッチ位置が一定の方向に沿って表示面上で変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像を、一定の方向に、姿勢検知信号に依存して定められる速度で移動させることを特徴とする。
【0021】
ユーザが一定の方向に沿ってタッチ位置を変化させると、姿勢検知信号によって定められる速度で、表示される画像はタッチされた方向と同一の方向に移動する。したがって、情報処理装置の傾きを変化させることで、ユーザは表示される画像を移動する速度を変化させることができる。
【0022】
さらに好ましくは、表示面上には、表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、情報処理装置は、姿勢検知手段の出力により、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から、所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の他方が含まれる姿勢に表示面の姿勢が変化したことに応答して、表示面上に表示されている画像が、一方に沿って正立している状態から、他方に沿って正立する状態に変化するように、表示手段による表示の方向を回転させる画像回転手段をさらに含む。
【0023】
情報処理装置の姿勢が、第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に第1の方向及び第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から他方が含まれる姿勢に変化すると、表示面上に表示されている画像の表示方向が回転する。したがって、ユーザは情報処理装置を回転させることで、表示される画像の表示方向を装置の回転の向きに応じて変化させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る情報処理装置によると、装置の姿勢とユーザからのジェスチャー操作との組合わせに応じて、所定の処理が実行される。したがって、ユーザは従来の操作より直感的な操作を行なうことができ、情報処理装置の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1実施の形態に係る情報処理装置の外観を示す図である。
【図2】情報処理装置及びサーバの制御ブロックを示す図である。
【図3】情報処理装置の姿勢を検知する方法を説明するための図である。
【図4】情報処理装置の回転を検知する方法を説明するための図である。
【図5】上向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図6】下向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図7】右向き又は左向きのフリックを検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図8】情報処理装置の回転を検知した場合に実行されるプログラムの制御構造を示す図である。
【図9】ユーザがアイコンを上向きにフリックした状態を示す図である。
【図10】ユーザが表示画面を上向きにフリックした状態を示す図である。
【図11】ユーザがアイコンを下向きにフリックした状態を示す図である。
【図12】ユーザが表示画面を下向きにフリックした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0027】
[全体構成(ハードウェア)]
図1を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置100は、表示機能を有する矩形の表示画面110を含む。表示画面110はタッチパネルディスプレイとなっており、表示機能だけでなく、タッチ及びスライド等、ユーザが行なったジェスチャー操作を検知する機能も持つ。ユーザは表示画面110上に表示された画像を確認しながら、当該画像によって表される画像及びデータ等を編集できる。
【0028】
図2を参照して、情報処理装置100は、表示画面110の他に、各機能部を制御する制御部150、情報処理装置100の姿勢及び回転を検知するセンサ160、ユーザが表示画面110上で行なったジェスチャー操作を検知する操作検知部170、情報処理装置100が受信したデータを記憶する記憶部180、及び、ネットワーク240を介して情報処理装置100と外部装置とを通信可能な状態にする通信部190をさらに含む。
【0029】
本実施の形態では、情報処理装置100は、ネットワーク240を介して外部装置であるサーバ200と接続可能な状態にある。サーバ200は、各機能部を制御する制御部210、データを格納する記憶部220、及び、ネットワーク240を介して外部装置との通信を可能とする通信部230を含む。
【0030】
[情報処理装置の姿勢及び回転の検知]
図3を参照して、上記したように表示画面110は矩形である。表示画面110の中心を点O、表示画面を構成する各辺のうち、短辺の1つを辺A、長辺の1つを辺Bとする。表示画面110には、表示画面の姿勢を規定する第1の方向P及び第2の方向Qが規定されている。図3に示す状態では、第1の方向Pは長辺Bに、第2の方向Qは短辺Aに、それぞれ平行となっている。
【0031】
図3に示すX軸及びY軸は、それぞれ水平面を規定する直線であり、さらにZ軸は、水平面に対し垂直に上を向いて定められた直線である。これら3軸によって規定される基準座標系は地球基準座標系であるため、装置がどのような姿勢であっても、この基準座標系は変化しないと考えてよい。
【0032】
情報処理装置100の姿勢は、この基準座標系に対して、第1の方向P及び第2の方向Qがどのような位置関係にあるかによって決定される。図3に示す状態では、第1の方向PはZ軸に対し平行であり、表示画面110は辺Aを上方向としている。すなわち、表示画面110は水平面であるX―Y平面に対し直交している。このとき、「表示画面110は辺Aを上向きとして傾いている」と判定される。
【0033】
さらに、水平面に対し直交していなくとも、水平面に対し一定以上傾いていれば、情報処理装置は「傾きあり」と判定される。図3に示す領域Mは、点Oを中心とし、かつZ軸を軸とした、円錐状に広がる所定の領域である。領域Mの範囲をどの程度とするかは、ユーザにより予め設定できる。第1の方向Pが領域Mに含まれていれば、情報処理装置100は「傾きあり」と判定される。方向Pが領域Mを超えると、情報処理装置100は直交状態から水平状態に近づいており、「傾きなし」と判定される。
【0034】
情報処理装置100が辺Aの対辺を上方向として水平面に直交する場合(図3に示す状態から180度回転した状態)、情報処理装置100は「辺Aの対辺を上向きとして傾いている」と判定される。この場合にも、第1の方向Pが領域Mに含まれているか否かによって、装置の傾きが判定される。
【0035】
図3及び図4を比較して、情報処理装置100の回転について説明する。図3に示される状態に対し、図4に示される状態では、第2の方向QがZ軸に対し平行であり、表示画面110は辺Bを上方向としている。つまり、領域Mに含まれるのは第1の方向Pでなく第2の方向Qである。このように、第1及び第2の方向の内の一方が領域Mに含まれる状態から、他方が領域Mに含まれる状態に変化したとき、情報処理装置100は「傾きあり」と判定される。図4に示される状態では、「情報処理装置100は辺Bを上向きとして傾いている」と判定される。辺Bを上向きとする場合についても、第2の方向Qが領域Mに含まれているか否かによって、装置の傾きが判定される。
【0036】
[ソフトウェア構成]
図2及び図5−7を参照して、フリックが検知されたことに応じて実行されるプログラムの制御構造について説明する。図5を参照して、ステップ250において、表示画面110に表示される画像が下から上の方向にフリックされたことを操作検知部170が検知すると、制御部150は、ステップ252において、情報処理装置100が傾いているか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ254へ進む。
【0037】
ステップ254において、制御部150は、ユーザがフリックした画像によって表されるデータが、情報処理装置100内の記憶部180に記憶されているものか否かを判定する。この判定が肯定の場合は、制御はステップ256へ進み、否定の場合は、制御は直ちに終了する。
【0038】
ステップ256において、通信部190は、記憶部180に記憶される当該データをサーバ200へ送信する。ステップ256の処理が終了すると、情報処理装置100で実行される制御は終了する。ステップ258において、サーバ200内の通信部230は、当該データを受信する。さらにステップ260では、当該データが記憶部220に保存される。ステップ260の処理が終了すると、サーバ200で実行される制御は終了する。
【0039】
ステップ252での判定が否定の場合、制御はステップ262へ進む。ステップ262において、制御部150は、センサ160によって検知された情報処理装置100の傾き、及び、ユーザが当該画像をフリックした速度に応じて、当該画像を下から上の方向に移動する。(このように、表示画像が移動することを、以下「画像がスクロールする」と呼ぶ。)
【0040】
ステップ264において、制御部300は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば再びステップ262に戻る。
【0041】
図6を参照して、ステップ280において、表示画面110に表示される画像が上から下の方向にフリックされたことを操作検知部170が検知すると、ステップ282において、制御部150は、情報処理装置100が傾いているか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ284へ進む。
【0042】
ステップ284において、制御部150は、ユーザがフリックした画像によって表わされるデータが、サーバ200内の記憶部220に記憶されているものか否かを判定する。この判定が肯定の場合は、制御はステップ286へ進み、否定の場合は、制御は直ちに終了する。
【0043】
ステップ286において、制御部150は、当該画像によって表わされるデータを送信する要求を、サーバ200に対して送信する。ステップ288において、サーバ200の通信部230は、ネットワーク240を介して、当該送信要求を受信する。ステップ290においてサーバ200の制御部210は、記憶部220から当該データを読出し、通信部230に当該データを情報処理装置100へ送信するよう指示する。ステップ292において通信部190はステップ290において送信されたデータを受信し、このデータは記憶部180に記憶される(ステップ294)。
【0044】
ステップ282での判定が否定の場合、制御はステップ296へ進む。ステップ296において、制御部150は、センサ160が検知した情報処理装置100の傾き及びユーザが当該画像をフリックした速度に応じて、当該画像を上から下の方向にスクロールする。
【0045】
ステップ298において、制御部300は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば制御は再びステップ296に戻る。
【0046】
図7を参照して、ステップ310において、制御部150は右向き又は左向きのフリックを検知すると、情報処理装置100の傾きに応じた速度で、表示画面110上に表示される画像をフリックの向きと同じ方向へスクロールする(ステップ312)。ステップ314において、制御部150は、当該画像のスクロールが停止したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御は終了し、否定ならば再びステップ312に戻る。
【0047】
図2−4及び図8を参照して、情報処理装置100の回転を検知する場合に実行されるプログラムの制御構造について説明する。情報処理装置100が図3に示す状態から図4に示す状態に変化したことをセンサ160が検知すると、ステップ320において、制御部150は情報処理装置100が回転したか否かを判定する。この判定が肯定ならば、制御はステップ322へ進み、否定ならば制御は再びステップ320へ戻る。ステップ322において、表示画面110に表示される画像は、図3に示す辺Aを上向きとした状態から、図4に示す辺Bを上向きとした状態へと回転して変化する。
【0048】
ステップ324において、情報処理装置100が図4に示す状態から図3に示す状態に変化したことをセンサ160が検知すると、ステップ324において、制御部150は情報処理装置100が回転したか否かを判定する。この判定が肯定ならば制御はステップ326へ進み、表示画面110に表示される画像は辺Aが上向きとなるよう回転する。ステップ326の処理が終了すると、制御は再びステップ320へ戻る。ステップ324の判定が否定ならば、制御は再びステップ324へ戻る。
【0049】
このように、表示される画像の回転は、センサ160が情報処理装置100の回転を検知する度に実行される。ステップ322又はステップ326では辺A又は辺Bが上向きとなるように画像は回転しているが、回転後の画像の向きは表示画面110がどの向きを上向きとしているかによって決定される。
【0050】
[動作]
フリック操作又は回転を検知した場合、情報処理装置100及びサーバは以下のように動作する。なお、以下では主に図2及び図5−12を参照する。
【0051】
図2、図5及び図9を参照して、情報処理装置100は辺Aを上として傾いており、表示画面110上にはアイコン120及び130が表示されている。ユーザが下から上の向きにアイコン130をフリックすると、情報処理装置100の傾きがあるか否かが制御部150によって判定される(ステップ252)。傾きありと判定された場合には、アイコン130により表されるデータがサーバ200へ送信される(ステップ256)。送信されたデータはサーバ内の記憶部220へ保存される(ステップ260)。
【0052】
図10を参照して、ステップ252において、情報処理装置100が傾きなしと判定された場合には、ユーザによりフリックされた画像は情報処理装置100の傾き及びフリックされた速度によって定まる速度で、上向きにスクロールされる(ステップ262)。したがって、表示画面110上に表示されるアイコン120及び130は、いずれも上向きにスクロールされる。
【0053】
図2、図6及び図11を参照して、ユーザが上から下の向きにアイコン130をフリックすると、情報処理装置100の傾きがあるか否かが制御部150によって判定される(ステップ282)。傾きありと判定された場合には、アイコン130により表されるデータがサーバ200内に保存されているものか否かが判定される(ステップ284)。この判定が肯定の場合は、情報処理装置100は当該データをサーバから受信し(ステップ292)、記憶部180へ保存する(ステップ294)。
【0054】
図12を参照して、ステップ282において、情報処理装置100が傾きなしと判定された場合には、ユーザによりフリックされた画像は情報処理装置100の傾き及びフリックされた速度によって定まる速度で、下向きにスクロールされる(ステップ298)。したがって、表示画面110上に表示されるアイコン120及び130は、いずれも下向きにスクロールされる。
【0055】
図7を参照して、ユーザが右向き又は左向きに表示画像をフリックすると、情報処理装置100の傾きに応じた速度で、フリックの方向と同じ向きに、当該画像はスクロールされる(ステップ312)。
【0056】
図8を参照して、辺Bが上向きとなるようユーザが情報処理装置100を回転させると、辺Bを上向きとして表示画像が回転する。さらに辺Aが上向きとなるようユーザが情報処理装置100を回転すると、辺Aを上向きとして表示画像が回転する。このように、ユーザが情報処理装置100を回転すると、回転した方向に応じて表示画面110に表示される画像も回転する。
【0057】
本実施の形態に係る情報処理装置によると、情報処理装置の姿勢とユーザが行なうジェスチャー操作との組合わせに基づき、ユーザは様々な処理を実行できる。こうした処理は、ユーザが表示画像を上向きにフリックするとデータをアップロードする処理、及び、ユーザが表示画像を下向きにフリックするとデータをダウンロードする処理等、処理内容とユーザが行なうジェスチャー操作とが直感的に結びついたものが多い。したがって、ユーザは装置の姿勢を変化させながらジェスチャー操作を行なうことができ、情報処理装置の操作性が向上する。
【0058】
本実施の形態に係る情報処理装置は、上向き又は下向きのフリックを検知した場合、外部装置であるサーバとの間でデータの送受信を行なう。しかし、こうした場合に実行する処理は外部装置との間で行なう処理に限定されない。例えば、ユーザがアイコンを上向きにフリックした場合、当該アイコンによって表されるデータを表示画面に表示する処理、及び、ユーザがアイコンを下向きにフリックした場合、当該アイコンによって表されるデータを削除する処理等、情報処理装置のみで実行される処理でもよい。
【0059】
本実施の形態に係る情報処理装置の表示画面は、矩形でなくてもよい。例えば、楕円形及び正方形等であってもよい。こうした場合、第1の方向及び第2の方向は、ユーザが頻繁にフリック操作を行なう方向であることが望ましい。
【0060】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0061】
100 情報処理装置
110 表示画面
120、130 アイコン
150、210 制御部
160 センサ
170 操作検知部
180、220 記憶部
190、230 通信部
240 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を持つ表示手段と、
基準座標系に対する前記表示面の姿勢を検知して姿勢検知信号を出力する姿勢検知手段と、
ユーザの前記表示面上でのタッチ位置の座標を検知して座標信号を出力する座標検知手段と、
前記座標信号に応答して、前記座標信号の値と前記姿勢検知信号の値との組合わせにより定められる処理を、前記表示手段に表示されている画像に関連して実行する実行手段とを含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記基準座標系は、水平面を規定する第1及び第2の基準座標軸と、前記水平面に対し垂直に上を向いて定められた第3の基準座標軸とにより規定される地球基準座標系である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記実行手段は、前記姿勢検知信号により検知される前記第1の方向が、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であるときに、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が前記第1の方向に沿って変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の処理は、所定のストレージ装置に、前記表示面上に表示されている画像により表されるデータを転送する処理であることを特徴とする、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
データを記憶する内部記憶装置をさらに含み、
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記実行手段は、前記姿勢検知信号により検知される前記第1の方向が、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であり、かつ、データを表す画像が前記表示面上に表示されているときに、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が前記第1の方向とは逆の方向に沿って変化したことに応答して、前記画像により表される前記データに対し所定の処理を実行することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の処理は、前記画像により表される前記データをネットワークから前記内部記憶装置に転送する処理であることを特徴とする、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が一定の方向に沿って前記表示面上で変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像を、前記一定の方向に、前記姿勢検知信号に依存して定められる速度で移動させることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記姿勢検知手段の出力により、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に前記第1の方向及び前記第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から、前記所定範囲内に前記第1の方向及び第2の方向の内の他方が含まれる姿勢に前記表示面の姿勢が変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像が、前記一方に沿って正立している状態から、前記他方に沿って正立する状態に変化するように、前記表示手段による表示の方向を回転させる画像回転手段をさらに含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項1】
表示面を持つ表示手段と、
基準座標系に対する前記表示面の姿勢を検知して姿勢検知信号を出力する姿勢検知手段と、
ユーザの前記表示面上でのタッチ位置の座標を検知して座標信号を出力する座標検知手段と、
前記座標信号に応答して、前記座標信号の値と前記姿勢検知信号の値との組合わせにより定められる処理を、前記表示手段に表示されている画像に関連して実行する実行手段とを含む、情報処理装置。
【請求項2】
前記基準座標系は、水平面を規定する第1及び第2の基準座標軸と、前記水平面に対し垂直に上を向いて定められた第3の基準座標軸とにより規定される地球基準座標系である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記実行手段は、前記姿勢検知信号により検知される前記第1の方向が、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であるときに、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が前記第1の方向に沿って変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像により表されるデータに対し所定の処理を実行することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定の処理は、所定のストレージ装置に、前記表示面上に表示されている画像により表されるデータを転送する処理であることを特徴とする、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
データを記憶する内部記憶装置をさらに含み、
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記実行手段は、前記姿勢検知信号により検知される前記第1の方向が、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内であり、かつ、データを表す画像が前記表示面上に表示されているときに、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が前記第1の方向とは逆の方向に沿って変化したことに応答して、前記画像により表される前記データに対し所定の処理を実行することを特徴とする、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の処理は、前記画像により表される前記データをネットワークから前記内部記憶装置に転送する処理であることを特徴とする、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記座標信号により表されるユーザのタッチ位置が一定の方向に沿って前記表示面上で変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像を、前記一定の方向に、前記姿勢検知信号に依存して定められる速度で移動させることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示面上には、前記表示面の姿勢を規定する第1の方向及び第2の方向が規定されており、
前記姿勢検知手段の出力により、前記第3の基準座標軸を中心とする所定範囲内に前記第1の方向及び前記第2の方向の内の一方が含まれる姿勢から、前記所定範囲内に前記第1の方向及び第2の方向の内の他方が含まれる姿勢に前記表示面の姿勢が変化したことに応答して、前記表示面上に表示されている画像が、前記一方に沿って正立している状態から、前記他方に沿って正立する状態に変化するように、前記表示手段による表示の方向を回転させる画像回転手段をさらに含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−3748(P2013−3748A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132774(P2011−132774)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]