説明

情報漏えい防止が可能な印刷ログ記録システム

【課題】従来のシステムでは、印刷ログ情報として印刷対象ファイルのフルパスを記録することができず、情報漏えい事件が発生した場合に印刷ログから正確な漏えいルートをたどることが困難であった。
【解決手段】管理プログラム102は、印刷対象ファイルが通知されたら印刷アプリケーションプログラム104を起動して印刷を行わせると共にプロセス識別子を取得する機能と、プロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを関連付けて管理テーブル103に登録する機能と、フルパス取得要求に対してプロセス識別子に対応した印刷対象ファイルのフルパスを応答する機能と、を備える。仮想プリンタドライバ204は、印刷アプリケーションプログラム104のプロセス識別子を取得する機能と、管理プログラム102にフルパス取得要求を行う機能と、管理プログラム102から応答された場合にフルパスを印刷ログ206として記録し印刷213を行う機能を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一のコンピュータ装置で動作するアプリケーションプログラムからプリンタ装置に対してファイルの印刷を行なったときの当該印刷ジョブに関する印刷ログを記録する技術に関し、印刷対象ファイルを特定できるフルパス情報を印刷ログの情報として記録することが可能となる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷ログ管理方式は、特許文献1「印刷データ管理システム、方法、プログラム、及び記録媒体」が知られている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−186637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1「印刷データ管理システム、方法、プログラム、及び記録媒体」では、印刷ログ情報として印刷対照ファイルのフルパスを記録することができなかった。また印刷ログを記録しない印刷を禁止することもできなかった。本発明は上記問題を解決し、印刷対象ファイルのフルパスを印刷ログ情報として記録する技術、及び印刷ログを記録しない印刷を禁止する技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明においては、印刷を行うアプリケーションプログラムである印刷アプリケーションプログラムのプロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを対応付けて管理する管理プログラムと、印刷アプリケーションプログラムからの印刷要求に応じてプリンタ装置に対して印刷を行うと同時に印刷ログを記録する仮想プリンタドライバと、を有する印刷ログ記録システムであって、前記管理プログラムは、印刷対象ファイルが通知されたら印刷アプリケーションプログラムを起動して当該印刷対象ファイルの印刷を行わせると共にプロセス識別子を取得する機能と、プロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを関連付けて管理テーブルに登録する機能と、フルパス取得要求に対してプロセス識別子に対応した印刷対象ファイルのフルパスを応答する機能と、を備え、前記仮想プリンタドライバは、印刷アプリケーションプログラムのプロセス識別子を取得する機能と、管理プログラムにフルパス取得要求を行う機能と、管理プログラムから印刷対象ファイルのフルパスが応答された場合に、当該印刷対象ファイルのフルパスを印刷ログとして記録すると共に印刷アプリケーションプログラムからの印刷情報をプリンタに送って印刷を行う機能を備え、印刷対象ファイルを特定できるフルパス情報を印刷ログの情報として記録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、印刷ログに印刷対象ファイルのフルパスを記録することができ、情報漏えい事件が発生した場合に漏えい元を容易に特定することができるため、情報漏えい事件の抑止力となり情報漏えい防止が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態の印刷ログ記録システムを図面に基づいて説明する。
【0008】
図1は、管理プログラムのプログラム関連図である。図1において、101は印刷対象ファイル、102は管理プログラム、103は印刷対象ファイル管理テーブル、104は印刷を行うアプリケーションプログラムを示す。以下、印刷を行うアプリケーションプログラムを「印刷アプリケーションプログラム」という。印刷アプリケーションプログラム104は印刷対象ファイルを読み込んで印刷を行う機能を備える。
【0009】
図2は仮想プリンタドライバのプログラム関連図である。図2において、102は管理プログラム、103は印刷対象ファイル管理テーブル、104は印刷アプリケーションプログラム、204は仮想プリンタドライバ、205は印刷結果、206は印刷ログを示す。
【0010】
図3は管理プログラムが管理する印刷対象ファイル管理テーブル103のフォーマットを示したものである。図3において、301は印刷を行うアプリケーションプログラムのプロセス識別子、302は印刷対象ファイルのフルパスを示す。
【0011】
図4は印刷対象ファイル管理テーブル103への登録処理フローである。図4において、401はユーザが管理プログラム102に印刷対象ファイル101を通知する印刷対象ファイル通知ステップ、402は印刷対象ファイル101を引数に印刷アプリケーションプログラム104を起動するアプリケーションプログラム起動ステップ、403は印刷アプリケーションプログラム104のプロセス識別子301を取得するプロセス識別子取得ステップ、404は印刷対象ファイル管理テーブル103にプロセス識別子301と印刷対象ファイルのフルパス302を登録する印刷対象ファイルテーブル登録ステップを示す。
【0012】
図5は管理プログラム102のフルパス取得要求処理フローである。図5において、501は仮想プリンタドライバ204からフルパス取得要求が送られてくるフルパス取得要求受信ステップ、502は印刷対象ファイルのフルパス302をキーに印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)を探索する印刷対象ファイル管理テーブル探索ステップ、503はプロセス識別子301が印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録されているか否かを判定するプロセス識別子発見判定ステップ、504はプロセス識別子301が印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録されていた場合に仮想プリンタドライバ204に登録されている印刷対象ファイルのフルパス302を通知するフルパス応答ステップ、505はプロセス識別子301が印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録されていなかった場合に仮想プリンタドライバ204にエラーコードを通知するエラーコード応答ステップを示す。
【0013】
図6は仮想プリンタドライバ204の印刷及び印刷ログ記録処理フローである。図6において、601は印刷アプリケーションプログラム104から印刷要求が行われる印刷要求受信ステップ、602はOSより印刷アプリケーションプログラム104のプロセス識別子を取得するプロセス識別子取得ステップ、603は取得したプロセス識別子をキーに管理プログラム102に対してフルパス取得要求を行うフルパス取得要求送信ステップ、604はフルパス取得要求に対する管理プログラム102の応答を判定するリターン情報判定ステップ、605は管理プログラム102から印刷対象ファイルのフルパス302が応答されていた場合に印刷ログ206を記録する印刷ログ記録ステップ、606は管理プログラム102から印刷対象ファイルのフルパス302が応答されていた場合に印刷を行う印刷実行ステップを示す。
【0014】
次に図4及び図1を用いて、管理プログラム102がプロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを印刷対象ファイル管理テーブル103に登録する方法について説明する。図4及び図1においてユーザが管理プログラム102に印刷対象ファイル101を通知する印刷対象ファイル通知ステップ401・105が行われたら、次に印刷対象ファイル101を引数に印刷アプリケーションプログラム104を起動するアプリケーションプログラム起動ステップ402・106を行い、印刷アプリケーションプログラム104のプロセス識別子を取得するプロセス識別子取得ステップ403・107を行い、印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に取得したプロセス識別子301と印刷対象ファイルのフルパス302を登録する印刷対象ファイルテーブル登録ステップ404・108を実行することで、プロセス識別子301と印刷対象ファイルのフルパス302が関連付けられて印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録される。
【0015】
次に図5及び図2を用いて、管理プログラム102がフルパス取得要求に対して応答する方法について説明する。図5及び図2において、仮想プリンタドライバ204からフルパス取得要求が送られてくるフルパス取得要求受信ステップ501・209が行われたら、印刷対象ファイルのフルパス302をキーに印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)を探索する印刷対象ファイル管理テーブル探索ステップ502・210を実行し、プロセス識別子301が印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録されているか否かを判定するプロセス識別子発見判定ステップ503を行い、プロセス識別子301が印刷対象ファイル管理テーブル103に登録されていた場合は、登録されている印刷対象ファイルのフルパス302を仮想プリンタドライバ204に通知するフルパス応答ステップ504・211を実行する、プロセス識別子が印刷対象ファイル管理テーブル103(図3)に登録されていなかった場合は仮想プリンタドライバ204にエラーコードを通知するエラーコード応答ステップ505・211を行う。
【0016】
次に図6及び図2を用いて、仮想プリンタドライバ204が印刷及び印刷ログを記録する方法について説明する。図6及び図2において、印刷アプリケーションプログラム104からの印刷要求207を受ける印刷要求受信ステップ601・207が行われたら、OSより印刷アプリケーションプログラム104のプロセス識別子を取得するプロセス識別子取得ステップ602・208を行い、取得したプロセス識別子をキーに管理プログラム102に対してフルパス取得要求を行うフルパス取得要求送信ステップ603・209を実行し、管理プログラム102からの応答を判定するリターン情報判定ステップ604を行い、管理プログラム102から印刷対象ファイルのフルパスが応答された場合は、印刷ログ206を記録する印刷ログ記録ステップ605・212を実行し、印刷213を行う印刷実行ステップ606・213を行うことで、印刷対象ファイルのフルパスを印刷ログとして記録する。管理プログラム102からエラーコードが応答された場合は印刷ログ記録も印刷も行わず処理を完了する。
【0017】
以上説明した各プログラムおよびドライバはコンピュータ上で実行され、それらが備える各機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の管理プログラムのプログラム関連図である。
【図2】本発明の仮想プリンタドライバのプログラム関連図である。
【図3】印刷対象ファイル管理テーブルのフォーマットである。
【図4】本発明の印刷対象ファイル管理テーブルへの登録処理フローである。
【図5】本発明のフルパス取得要求処理フローである。
【図6】本発明の印刷及び印刷ログ記録処理フローである。
【符号の説明】
【0019】
101:印刷対象ファイル
102:管理プログラム
103:印刷対象ファイル管理テーブル
104:印刷アプリケーションプログラム
204:仮想プリンタドライバ
205:印刷結果
206:印刷ログ
300:印刷対象ファイル管理テーブルフォーマット
301:プロセス識別子
302:印刷対象ファイルのフルパス
401:印刷対象ファイル通知ステップ
402:アプリケーションプログラム起動ステップ
403:プロセス識別子取得ステップ
404:印刷対象ファイルテーブル登録ステップ
501:フルパス取得要求受信ステップ
502:印刷対象ファイル管理テーブル探索ステップ
503:プロセス識別子発見判定ステップ
504:フルパス応答ステップ
505:エラーコード応答ステップ
601:印刷要求受信ステップ
602:プロセス識別子取得ステップ
603:フルパス取得要求送信ステップ
604:リターン情報判定ステップ
605:印刷ログ記録ステップ
606:印刷実行ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行うアプリケーションプログラムである印刷アプリケーションプログラムのプロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを対応付けて管理する管理プログラムと、印刷アプリケーションプログラムからの印刷要求に応じてプリンタ装置に対して印刷を行うと同時に印刷ログを記録する仮想プリンタドライバとを有する印刷ログ記録システムであって、
前記管理プログラムは、印刷対象ファイルが通知されたら印刷アプリケーションプログラムを起動して当該印刷対象ファイルの印刷を行わせると共にプロセス識別子を取得する機能と、プロセス識別子と印刷対象ファイルのフルパスを関連付けて管理テーブルに登録する機能と、フルパス取得要求に対してプロセス識別子に対応した印刷対象ファイルのフルパスを応答する機能とを備え、
前記仮想プリンタドライバは、印刷アプリケーションプログラムのプロセス識別子を取得する機能と、管理プログラムにフルパス取得要求を行う機能と、管理プログラムから印刷対象ファイルのフルパスが応答された場合に、当該印刷対象ファイルのフルパスを印刷ログとして記録すると共に印刷アプリケーションプログラムからの印刷情報をプリンタに送って印刷を行う機能を備え、
印刷対象ファイルを特定できるフルパス情報を印刷ログの情報として記録することを特徴とする印刷ログ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−152847(P2010−152847A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333139(P2008−333139)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】