説明

情報端末、そのプログラムおよび方法

【課題】GUI機能を高める。
【解決手段】情報端末において、GUIの構成要素である、アプリケーションを示す表示時用アイコン、および当該アプリケーションの状態が変化したことを表す該表示時用アイコンの一部が異なる表示態様を有する非表示時用アイコンを持つ。さらに、上記表示時用アイコンが非表示状態であって、かつ、上記アプリケーションの状態に変化があった場合、当該アプリケーションに対応する上記非表示時用アイコンを表示させる表示手段を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報端末、そのプログラムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的なPC(パーソナルコンピュータ)や携帯電話機などの情報端末においては、GUI(Graphical User Interface)が採用されており、ユーザは、このGUIによるデスクトップ環境を介して所望の端末操作を行えるようになっている。このGUIの一種として、ランチャーと呼ばれるソフトウェアまたはGUIがある。例えば、パレット型のランチャーでは、表示画面上によく使うアプリケーションなどのアイコンを並べ、所望のアプリケーションのアイコンをクリックすることでこのアプリケーションを即時に起動させることができるようになっている。また、一般的なランチャーは、表示状態とすることも非表示状態とすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−199819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ランチャーを非表示状態とした場合、ランチャーのGUIとしての機能は失われる。そこで、ランチャーが非表示状態であっても、ランチャーとこのランチャーに登録されたアプリケーションとの関係を活かし、ランチャーのGUIとしての機能を高めることが望まれた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ランチャーに登録されたアプリケーションに生じた状態の変化に応じて、ランチャーが非表示状態であってもユーザにそのアプリケーションの起動を促すことができるようにした情報端末、そのプログラムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態のランチャーGUI(Graphical User Interface)を含むGUIを有する情報端末は、当該GUIの構成要素である、アプリケーションを示す表示時用アイコン、および当該アプリケーションの状態が変化したことを表す該表示時用アイコンの一部が異なる表示態様を有する非表示時用アイコンを持つ。さらに、上記表示時用アイコンが非表示状態であって、かつ、上記アプリケーションの状態に変化があった場合、当該アプリケーションに対応する上記非表示時用アイコンを表示させる表示手段を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、実施形態のタブレット型パーソナルコンピュータの外観を示す図である。
【図2】図2は、タブレット型パーソナルコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、同実施形態におけるソフトウェア構成を示す図である。
【図4】図4は、アプリケーション・リストの概念図である。
【図5】図5は、非表示時のランチャーの動作を説明するフローチャートである。
【図6】図6は、ランチャーが表示状態である画面例(A)と、ランチャーが非表示状態である画面例(B)を示す図である。
【図7】図7は、該当するアプリケーション(状態が変化したアプリケーション)のアイコンが表示されたときの画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0009】
(タブレット型パーソナルコンピュータの概要)
まず、一実施形態のタブレット型パーソナルコンピュータの概要について説明する。図1は、一実施形態のタブレット型パーソナルコンピュータの外観を示す図である。
【0010】
本実施形態のタブレット型パーソナルコンピュータ(以下、タブレットPCと称す)100は、入力装置として、キーボード11およびタッチパッド12に加え、ペンや指などの座標位置やその接触面の面積を検出するためのタッチパネルをその表面に有する表示装置13を備えたコンピュータシステムである。
【0011】
図1に示すように、タブレットPC100は、コンピュータ本体10にキーボード11およびタッチパッド12が設けられている。そして、このコンピュータ本体10の内部に、後述の各種ハードウェアが内蔵されている。
【0012】
さらに、タブレットPC100には、LCDからなる表示パネル(表示画面)と、この表示パネルの表面に一体的に設けられたタブレット(タッチパネル)を有する表示装置13が、コンピュータ本体10に対して、回転2軸ヒンジ機構により開閉自在かつ回転自在に取り付けられている。図1は表示装置13が通常の開状態(ラップトップモード)であることを示す。表示装置13を通常の開状態から180度回転させキーボード11を隠すように閉じた状態(タブレットモード)とすることもできる。
【0013】
(ハードウェア構成)
続いて、タブレットPC100のハードウェア構成について図2を用いて説明する。図2はタブレットPC100のハードウェア構成を示す図である。
【0014】
タブレットPC100は、図2に示すように、キーボード11からのキー入力を入力データに変換して、コンピュータ本体10に入力するためのキーボードコントローラ21を有する。また、タッチパッド12からの操作入力を入力データに変換して、コンピュータ本体10に入力するためのタッチパッドコントローラ22を有する。
【0015】
さらに、タブレットPC100は、データ入力装置としてキーボード11やタッチパッド12以外に、タブレット型入力装置23を備えている。このタブレット型入力装置23は、タブレット(タッチパネル)24と、このタブレット24により検出されたペンや指などの座標位置やその接触面の面積を入力データに変換するためのタブレットコントローラ25とからなる。
【0016】
また、コンピュータ本体10は、入出力制御部26を有する。この入出力制御部26は、キーボードコントローラ21やタッチパッドコントローラ22やタブレットコントローラ25から入力されたデータを制御部27に備わるマイクロプロセッサ(CPU)に転送するとともに、このCPUの制御に応じて表示装置13の出力動作とHDDやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置28の入出力動作を制御する。なお、制御部27には、OSや各種アプリケーションがロードされ、ワーク領域としても使用されるRAM等からなるシステムメモリや、BIOS ROM等のメモリデバイスが含まれる。
【0017】
(ソフトウェア構成)
次に、本実施形態におけるソフトウェア構成を図3に示す。同図に示すように、基本ソフトウェアであるOS上に、他のアプリケーション(ランチャー・プログラム以外の所定のアプリケーション)と並列に、ランチャー・プログラム(以下では、簡単のため、“ランチャー”とも記す)が実装される。本実施形態では、タブレットPC100の起動後、このランチャー・プログラムも起動されているものとする。また、他のアプリケーションのうち、メールの送受信をするメーラーや、スケジュールの管理をするスケジューラ等の、その前後で状態が変化するイベント(例えば、新規メールの着信等)が発生するソフトウェアは、非オープン時であってもバックグランドにて動作しているものとする。
【0018】
そして、新規メールを受信するなどの所定のイベントが発生した際、該当のアプリケーション(例えば、メーラー)は、OSへこのイベントの発生を通知し(状態変更通知)、これに対しOSがランチャー・プログラムおよび他のアプリケーションに、このイベントの発生を知らせる通知を発行するものとする(ブロードキャストする)。この通知によって、ランチャーは、該当のアプリケーションにおいて状態が変化したこと(例えば、メーラーが新規メールを受信し、その状態が変化したこと)を検知する。
【0019】
アプリケーションの状態の変化の検知は、上記方法の他、OSが上記通知をランチャーに対してのみ行うようにしてもよいし、アプリケーションが、上記状態変更通知を、OSおよびランチャーを含むすべてのアプリケーションにブロードキャストしてもよいし、OSに対して送られた上記状態変更通知に応じてOSが起こしたイベントの内容(例えば、OSが状態変更通知に応じて表示を行った内容)を基に行ってもよく、ランチャーがアプリケーションの状態の変化を検知できれば、任意の方法を採用することができる。
【0020】
(アプリケーション・リスト)
次に、ランチャーが、状態が変化したアプリケーションを識別するために用いるアプリケーション・リストについて説明する。図4は、アプリケーション・リストの概念図である。
【0021】
ランチャー・プログラムにより表示されるGUI(本明細書では、ランチャーGUIと記す)には、通常複数の任意のアプリケーションが設定・登録される。アプリケーションのランチャーへの設定の仕方は様々であるが、例えば、ユーザが、表示画面でアプリケーションに関連付けられたGUI要素であるアイコンをランチャーGUI上にドラッグすることにより設定される。または、タブレットPC100にインストールされた全てのアプリケーションを自動で設定するようにしてもよい。本実施形態では、ランチャーGUIに設定されたアプリケーションは、アプリケーション・リストに登録される。このアプリケーション・リストには、アプリケーションを識別するための、例えば、該当のアプリケーションのアプリケーション名、または、該当のアプリケーションの実行ファイル名等が記録される。
【0022】
次に、タブレットPC100において実行される、ランチャーによる特徴的な処理・動作について説明する。なお、ランチャーGUI表示時のランチャーの動作は、一般的なランチャーと同様の動作となる。
【0023】
(非表示時のランチャーの動作)
次に、非表示時のランチャーの動作について、図5を用いて説明する。図5は、非表示時のランチャーの動作を説明するフローチャートである。
【0024】
以下の処理は、ランチャー・プログラムに従って制御部27のCPUが実行するものであるが、説明の簡単のため、ランチャー・プログラムを動作主体として説明する。
【0025】
はじめに、ランチャーは、OSから、いずれかのアプリケーションの状態が変化したことを知らせる通知を受け取ることにより、アプリケーションの状態の変化を検知する(ステップS501)。なお、この通知には、アプリケーション・リストに含まれるアプリケーションを識別するための情報(そのアプリケーション名や実行ファイル名等)が含まれているものとする。
【0026】
次に、ランチャーは、自身(すなわち、ランチャーGUI;以下、同様)が非表示状態であるのか否か判定をする(ステップS502)。図6(A)にランチャーGUI(61)が表示状態である画面例を示し、図6(B)にランチャーGUIが非表示状態である画面例を示す。ランチャーGUIの表示状態は、ユーザにより所定操作により変更される。また、他のアプリケーションがオープンすることにより、表示状態が変わる場合もある。ランチャーGUIの表示状態が変更された場合、ランチャーが、表示状態/非表示状態の情報を、例えばフラグとしてもつことにより、自身が非表示状態であるのか否か判定をすることができる。
【0027】
ステップS502でランチャー自身が表示状態であると判定された場合(ステップS502でNo)、本処理フローを終了する。
【0028】
一方、ステップS502でランチャー自身が非表示状態であると判定された場合(ステップS502でYes)、前述のアプリケーション・リストを参照し、ステップS501で通知された、状態の変化したアプリケーションが、アプリケーション・リストに有るか(すなわち、ランチャーGUIに設定されているか)判定する(ステップS503)。
【0029】
アプリケーション・リストに該当するアプリケーションが登録されていない場合(ステップS503でNo)、本処理フローを終了する。
【0030】
一方、アプリケーション・リストに該当するアプリケーションが登録されている場合(ステップS503でYes)、該当するアプリケーションのアイコンを表示する(ステップS504)。このとき、他のアプリケーションがオープンしている場合は、最前面に表示することが好ましい。
【0031】
図7に、該当するアプリケーション(状態が変化したアプリケーション)のアイコンが表示されたときの画面例を示す。このように該当のアプリケーションのアイコン(図7の例では、符号71で示すメーラーのアイコン)のみが表示状態となる。このとき、アイコンは、例えば、画面下側からスライドアップして表示される。また、このとき表示されるアイコンの表示態様は、ランチャーGUIが表示状態にあるときのアイコンの表示態様と異なるようにしてもよい。例えば、ユーザが認識し易いように、アイコンの絵柄を変えたり(この場合、ランチャーは、1アプリケーションに対し、ランチャーGUI表示時用と非表示時用に複数のGUI要素を持つ)、表示中にアニメーション効果を加え(例えば、震えるような)動きをもたせたりすることが好ましい。
【0032】
次いで、ステップS505で、一定時間が経過するまでループ処理を行う。このステップS505では一定時間経過するまでNoと判定され、一定時間経過した時点でYesと判定されてステップS506へ移行する。
【0033】
上記一定時間経過後、ランチャーは、ステップS504で表示したアイコンを非表示とする。この一定時間は、5秒または5秒程度の時間間隔とすることが望ましい。この時間間隔でアイコンを表示すれば、ランチャーGUIの非表示時に、ユーザに対し該当のアプリケーションにおいて状態の変化が発生したこと(例えば、メーラーが新規メールを受信したこと等)を、(ユーザが当該タブレットPC100を使用中であれば)十分に認識させることができる。
【0034】
なお、非表示時のランチャーの動作を説明する上記処理フロー(図5)は、一例であって、これに限るものではない。例えば、ランチャーの非表示/表示の判定の前に、状態が変化したアプリケーションがアプリケーション・リストに有るか否かの判定を先に行うようにしてもよい。
【0035】
以上説明した実施形態によれば、ランチャーに登録されたアプリケーションに生じた、所定のイベント発生などの状態の変化、例えば、メーラーにおける新規メールの受信による状態の変化や所定時刻でのスケジューラの状態の変化等に応じて、ランチャーが非表示状態であっても、そのアイコンを表示することによって、ユーザにそのアプリケーションの起動を促すことができる。
【0036】
なお、本実施形態で説明したタブレット型パーソナルコンピュータは、情報端末の一例であって、これに限るものではなく、情報端末には、任意形態のパーソナルコンピュータや、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等が含まれる。また、上述した処理フローのステップS501を実行する制御部27は、タブレットPC100において検知手段として機能し、ステップS503(さらにステップS502)を実行する制御部27は、タブレットPC100において判定手段として機能し、前ステップの判定結果に従いステップS504を実行する制御部27は、タブレットPC100において表示手段として機能する。
【0037】
また、本実施形態のランチャー・プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供されるか、あるいは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供される。さらに、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0038】
100…タブレットPC、10…コンピュータ本体、11…キーボード、12…タッチパッド、13…表示装置、21…キーボードコントローラ、22…タッチパッドコントローラ、23…タブレット型入力装置、24…タブレット、25…タブレットコントローラ、26…入出力制御部、27…制御部、28…記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GUI(Graphical User Interface)を有する情報端末において、
前記GUIの構成要素である、アプリケーションを示す表示時用アイコン、および当該アプリケーションの状態が変化したことを表す該表示時用アイコンの一部が異なる表示態様を有する非表示時用アイコンと、
前記表示時用アイコンが非表示状態であって、かつ、前記アプリケーションの状態に変化があった場合、当該アプリケーションに対応する前記非表示時用アイコンを表示させる表示手段と
を備えることを特徴とする情報端末。
【請求項2】
前記表示手段は、表示させた前記非表示用アイコンを一定期間の経過後、非表示状態とすることを特徴とする請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記一定期間は、5秒であることを特徴とする請求項2に記載の情報端末。
【請求項4】
GUI(Graphical User Interface)機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、
前記GUIの構成要素である、アプリケーションを示す表示時用アイコン、および当該アプリケーションの状態が変化したことを表す該表示時用アイコンの一部が異なる表示態様を有する非表示時用アイコンを利用し、
前記表示時用アイコンが非表示状態であって、かつ、前記アプリケーションの状態に変化があった場合、当該アプリケーションに対応する前記非表示時用アイコンを表示させる表示ステップ
を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
前記表示ステップは、表示させた前記非表示用アイコンを一定期間の経過後、非表示状態とするステップを含むことを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記一定期間は、5秒であることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
GUI(Graphical User Interface)機能を有するプログラムを実装した情報端末において前記プログラムに従って制御手段により実行される方法であって、
前記GUIの構成要素である、アプリケーションを示す表示時用アイコン、および当該アプリケーションの状態が変化したことを表す該表示時用アイコンの一部が異なる表示態様を有する非表示時用アイコンを利用し、
前記制御手段が、前記表示時用アイコンが非表示状態であって、かつ、前記アプリケーションの状態に変化があった場合に、当該アプリケーションに対応する前記非表示時用アイコンを表示させる表示ステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記表示ステップは、表示させた前記非表示用アイコンを一定期間の経過後、非表示状態とするステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記一定期間は、5秒であることを特徴とする請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−168966(P2012−168966A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89491(P2012−89491)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【分割の表示】特願2010−137102(P2010−137102)の分割
【原出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】