説明

情報端末装置、入力方法およびプログラム

【課題】操作性を向上させることが可能な情報端末装置を提供する。
【解決手段】操作領域を有し、前記操作領域に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する入力部と、前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する判定部と、前記変化度に応じた情報処理を行う情報処理部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルのようなタッチ式の入力装置を有する情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話端末やタブレットPC(Personal computer)のような情報端末装置では、入力装置として、ユーザにて触れられた接触位置を検出するタッチパネルを備えたものが増えている。
【0003】
しかしながら、タッチパネルにおいて接触位置のみが検出される場合、ユーザの可能な操作が限られてしまうため、操作性が低いという問題がある。
【0004】
これに対して、接触が継続しているか否かを検出できるタッチパネルが知られている。このようなタッチパネルでは、ユーザはタッチパネルへの接触を継続するだけで、画面のスクロール、カーソルの移動および画像のズームなどの処理を情報端末装置に連続的に実行させることが可能になるので、操作性が向上する。
【0005】
また、特許文献1および2には、ユーザにて触れられているタッチパネル上の接触領域の面積を検出し、その面積と紐付けられた処理を実行する技術が開示されている。このようなタッチパネルを用いることで、ユーザは、接触領域の面積が所望の処理と紐付けられた面積となるように、タッチパネルに触れることで、画像を変形させるなどの処理を実行させることが可能になるので、操作性を向上させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−018372号公報
【特許文献2】特開平08―095709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および2に記載の技術では、ユーザにて触れられている接触領域の面積の大きさそのものに応じた処理が実行されるため、タッチパネルに触れるユーザの指の大きさに応じて、実行される処理が変化してしまうことがある。また、ユーザが指の代わりにスタイラスを用いてタッチパネルに触れると、スタイラスは通常指よりも細いため、指で触れたときの処理と同じ処理を実行させることが困難になる。したがって、特許文献1および2に記載のタッチパネルでは、操作性が十分ではない。
【0008】
本発明の目的は、操作性を向上させることが可能な情報端末装置、入力方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による情報端末装置は、操作面を有し、前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する入力部と、前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する判定部と、前記変化値に応じた情報処理を行う情報処理部と、を有する。
【0010】
本発明による入力方法は、操作面を有する情報端末装置の入力方法であって、前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力し、前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定し、前記変化値に応じた情報処理を行う。
【0011】
本発明によるプログラムは、操作面と接続されたコンピュータに、前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する手順と、前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する手順と、前記変化値に応じた情報処理を行う手順と、を実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態の情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ユーザが接触面積を変化させる方法の一例を説明するための図である。
【図3】情報処理の一例である文字入力処理を説明するための図である。
【図4】情報処理の他の例である表示状態変更処理を説明するための図である。
【図5】情報処理の他の例である拡縮処理を説明するための図である。
【図6】情報端末装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図7】情報端末装置の動作の具体例を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施形態の情報端末装置の動作の一例を説明するための図である。
【図9】本発明の第3の実施形態の情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、同じ機能を有するものには同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0015】
先ず、本発明の第1の実施形態の情報端末装置の構成について説明する。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施形態の情報端末装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、情報端末装置1は、タッチディスプレイ11と、面積増減判定部12と、アプリケーション部13とを有する。なお、図1では、本実施形態に関連性の深い構成のみが示されており、情報端末装置1は、一般的な情報端末装置が有する他の構成(例えば、通信装置など)をさらに有していてもよい。また、情報端末装置1としては、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット型PC、ノート型PCまたはゲーム機などが挙げられる。
【0018】
タッチディスプレイ11は、ユーザからの操作を検出する入力部である。
【0019】
以下では、指やスライタスのような指示体でタッチディスプレイ11に触れる操作を「タッチ」と呼び、タッチディスプレイ11に触れている指示体をタッチディスプレイ11から離す操作を「リリース」と呼び、タッチした後に指示体のタッチディスプレイ11上の位置である接触位置を変化させずにリリースする操作を「タップ」と呼び、タッチした後に指示体をタッチディスプレイ11に触れたまま接触位置を移動させる操作を「ドラッグ」と呼び、指示体でタッチディスプレイ11をはじくようにドラッグしつつリリースを行う操作を「フリック」と呼び、2つの指示体でタッチディスプレイ11に触れたまま、2つの指示体の間の距離を変更する操作を「ピンチ」と呼ぶ。
【0020】
タッチディスプレイ11は、表示画面21と、表示制御部22と、入力検出部23と、接触面積判定部24とを含む。
【0021】
表示画面21は、種々の情報を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付ける操作面としても使用される。
【0022】
表示制御部22は、アプリケーション部13から画像などの表示情報を受け付け、その表示情報を表示画面21に表示する。
【0023】
入力検出部23は、表示画面21に対する接触があるか否かを所定時間間隔で確認する。そして、入力検出部23は、表示画面21に対する接触があると、その接触されている接触領域内の各点の座標である接触座標を検出し、その接触座標を接触面積判定部24に通知する。なお、接触座標の座標系は表示画面21上に予め設定されているものとする。
【0024】
また、入力検出部23は、接触座標を検出するたびに、その接触座標を保持し、1回前に検出した接触座標と、最新の接触座標とに基づいて、表示画面21に対する操作が特定の操作か否かを判断してもよい。この場合、入力検出部23は、表示画面21に対する操作が特定の操作であると、接触座標をアプリケーション部13に通知し、表示画面21に対する操作が特定の操作でないと、接触座標を接触面積判定部24に通知する。特定の操作は、例えば、ドラッグ、リリースおよびフリックなどである。
【0025】
接触面積判定部24は、入力検出部23から通知された接触座標に基づいて、接触領域の面積である接触面積を求め、その接触面積および接触座標を面積増減判定部12に通知する。
【0026】
このとき、接触面積判定部24は、接触座標の数、つまり、接触領域内の点の数を接触面積として求めてもよいし、接触座標に基づいて、接触領域を円形など図形に近似し、その近似した図形の面積を接触面積としてもよい。接触領域を図形に近似する場合、例えば、接触面積判定部24は、接触座標に基づいて、接触領域の水平方向(または垂直方向)の長さの最大値を求め、その最大値を半径とする円に接触領域を近似する。
【0027】
このとき、接触面積の微小な変化が表示画面21上の表示情報に反映されて表示画面21がちらつくなどの不適切な動作を防止したり、省電力化を図るために、接触面積の変化の度合いが微小の場合、接触面積判定部24は、接触面積を接触面積判定部24に通知しないことが望ましい。このため、接触面積判定部24は、例えば、過去の接触面積を一時的に保持し、最新の接触面積と過去の接触面積の差分が予め定められた閾値以上の場合、接触面積を面積増減判定部12に通知し、その差分が閾値未満の場合、接触面積を面積増減判定部12に通知しないようにしてもよい。
【0028】
面積増減判定部12は、接触面積判定部24から通知された接触面積に基づいて、接触面積の変化の大きさを示す変化値を判定し、その変化値と、接触面積判定部24から通知された接触座標とをアプリケーション部13に通知する。
【0029】
より具体的には、面積増減判定部12は、接触面積判定部24から通知された接触面積を過去の接触面積として保持し、その後、最新の接触面積が通知されると、その最新の接触面積と過去の接触面積とを比較して、接触面積の変化値を判定する。
【0030】
接触面積の変化値としては、最新の接触面積と過去の接触面積の差分である変化量や、最新の接触面積と過去の接触面積のと比率である変化率などが挙げられる。接触面積の変化値をどのようなものとするかは、以下に説明するアプリケーション部13の動作などに応じて適切なものが設定されることが望ましい。また、接触面積の変化値には、接触面積が増加したかそれとも減少したかを示す情報が含まれる。以下、接触面積が増加したときの変化値の大きさを増加値と称し、接触面積が減少したときの変化値の大きさを減少値と称することもある。
【0031】
過去の接触面積としては、1回前に通知された接触面積である前回の接触面積であることが望ましい。なお、表示画面21に対して新たにタッチが行われた場合、過去の接触面積がなく、接触面積の変化値を判定することができないので、面積増減判定部12は、変化値のアプリケーション部13への通知を行わずに、タッチが開始された旨のタッチ開始情報と接触座標をアプリケーション部13に通知するものとする。
【0032】
また、面積増減判定部12は、接触面積の変化値を段階的に判定してもよい。例えば、面積増減判定部12は、接触面積の詳細な変化値の範囲を段階値ごとに示すテーブルを保持しておく。そして、面積増減判定部12は、最新の接触面積と過去の接触面積の差分または比率を詳細な変化値として算出し、上記のテーブルにおいて、その算出した詳細な変化値が含まれる範囲に対応する段階値を、接触面積の変化値として判定する。
【0033】
アプリケーション部13は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータで構成され、不図示のメモリに記録されたアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションと略す)を読み取り、その読み取ったアプリケーションを実行して、以下の機能を実現する情報処理部である。なお、アプリケーションとしては、文字入力を行うための文字入力アプリケーション、情報を閲覧するためのブラウザ、画像ファイルを閲覧するための画像ビューア、電子メールの本文を表示するメーラ、メニューやメールなどのファイルの一覧を表示する一覧表示アプリケーションなどが挙げられる。
【0034】
アプリケーション部13は、タッチディスプレイ11から通知された接触座標および接触面積に応じた情報処理を実行する。本情報処理では、アプリケーション部13は、処理内容を反映した表示情報を表示制御部22に出力して、表示画面21に処理内容を反映させることもある。
【0035】
続いて、ユーザが接触面積を変化させる方法について説明する。
【0036】
図2は、ユーザが接触面積を変化させる方法の一例を説明するための図である。図2に示すように、ユーザは、表示画面21にタッチした指の傾きを変えたり、表示画面21にタッチした指を表示画面21に押し当てる力を変えたりして、表示画面21に対する指の入力角度θを変えることで、接触面積Sを変化させることができる。より具体的には、ユーザは、入力角度θを小さくことで、接触面積Sを増加させることができる。
【0037】
ユーザが接触面積を変化させる方法は、図2の例だけでなく、適宜変更可能である。例えば、ユーザは、表示画面21にタッチする指の本数を増やしたり減らしたりすることで接触面積を変化させてもよい。また、ユーザは、先端にゴムのような弾性体が付けられたスライタスを用いて表示画面21にタッチし、スライタスを表示画面21に押し当てる力を変えることで、弾性体と表示画面21の接触面積を変化させてもよい。
【0038】
次に、アプリケーション部13が行う情報処理についてより詳細に説明する。
【0039】
アプリケーション部13は、接触面積の変化値に応じた情報処理として、入力または出力する情報を調整する処理を行う。入力する情報を調整する処理は、例えば、文字入力処理であり、出力する情報を調整する処理は、例えば、表示状態変更処理および拡縮処理である。
【0040】
図3は、アプリケーション部13が行う情報処理の一例である文字入力処理を説明するための図である。本文字入力処理は、アプリケーション部13が、接触面積の変化値に応じて、予め定められた文字列の中から、入力する入力文字の候補となる候補文字を選択するものである。
【0041】
図3の例では、アプリケーション部13は、ソフトウェアキーボード301を表示画面21に表示する。ソフトウェアキーボード301は、文字列が割り当てられた複数の入力キーを有する。例えば、文字「あ」が表示された入力キー302には、文字列として「あ行」が割り当てられている。
【0042】
ユーザが表示画面21に対して新たにタッチを行うと、アプリケーション部13には、タッチ開始情報と接触座標とが通知される。このとき、接触座標が入力キー302の表示領域に含まれていると、アプリケーション部13は、図3(a)に示すように、「あ行」の先頭の文字である「あ」を候補文字として選択する。
【0043】
その後、ユーザが表示画面21に対するタッチを継続させたまま接触領域303の接触面積を変化させると、アプリケーション部13には、変化値が通知される。この場合、アプリケーション部13は、接触面積が変化したと判断して、通知された変化値に応じて、候補文字の選択を変更する。
【0044】
例えば、アプリケーション部13は、接触面積の増加値が所定値以上であると、「あ行」の次の文字を候補文字として選択する。この場合、ユーザが接触面積を段階的に増加させることで、候補文字が「い」→「う」→「え」の順に変更されていき、最後には、図3(b)に示すように、「あ行」の最後の文字である「お」が候補文字として選択される。したがって、ユーザは接触面積を繰り返し増加させることで所定の順番で候補文字を選択するトグル入力を行うことができる。
【0045】
また、アプリケーション部13は、接触面積の減少値が所定値以上であると、「あ行」の次の文字を候補文字として選択してもよい。この場合、ユーザは接触面積を繰り返し減少させることで、トグル方式とは逆の順番で候補文字を選択する逆トグル入力を行うことができる。
【0046】
なお、アプリケーション部13は、候補文字を選択するたびに、その選択した候補文字を、候補文字を表示するための候補領域304に表示する。また、接触面積が変化する過程において、図3(b)に示すように、接触領域が他の入力キーの領域に侵入しても、アプリケーション部13は、最初にタッチされたときの接触座標をユーザの意図する接触座標として処理する。
【0047】
また、候補文字の入力を確定するための確定操作としては、意図する候補文字が表示画面21に表示されてから一定時間以上経過後のリリース、ドラッグまたはフリックなどが挙げられる。また、確定操作は、ソフトウェアキーボード301または入力キー302以外の場所を2本目の指などでタッチするなどの操作でもよい。なお、単純なリリースを確定操作として用いない理由は、リリースを開始してから完了するまでの短時間における接触面積の減少によって、誤って、接触面積が増加したときとは逆の順序で候補文字が選択されないようにするためである。
【0048】
図4は、アプリケーション部13が行う情報処理の他の例である表示状態変更処理を説明するための図である。本表示状態変更処理は、アプリケーション部13が、オブジェクトを表示画面21に表示し、接触面積の変化値に応じて、オブジェクトの表示状態を変更するものであり、より具体的には、アプリケーション部13が、接触面積の変化値が大きくなるほど、表示状態の変化速度を大きくするものである。
【0049】
図4の例では、オブジェクトの表示状態を、オブジェクトの表示画面21内の位置(座標)としている。また、アプリケーション部13は、カーソルのような表示画面21内の位置を変化させることが可能なオブジェクト401と、オブジェクトの表示状態の変化方向である移動方向が割り当てられた複数の方向キー402を表示画面21に表示する。
【0050】
ユーザが表示画面21に対して新たにタッチを行うと、アプリケーション部13には、タッチ開始情報と接触座標とが通知される。このとき、接触座標が方向キー402の表示領域に含まれていると、アプリケーション部13は、図4(a)に示すように、その方向キー402に割り当てられた方向である下向きにオブジェクトを所定の速度で移動させる。
【0051】
その後、ユーザが表示画面21に対するタッチを継続させたまま接触領域403の接触面積を変化させると、アプリケーション部13には、変化値が通知される。この場合、アプリケーション部13は、接触面積が変化したと判断して、通知された変化値に応じて、オブジェクトの移動速度を変更する。例えば、アプリケーション部13は、図4(b)に示すように、接触面積の増加値が大きいほど、オブジェクトの移動速度を大きくする。また、アプリケーション部13は、接触面積の減少値が大きいほど、オブジェクトの移動速度を小さくしてもよい。
【0052】
オブジェクトの表示状態は、オブジェクトの位置ではなく、オブジェクトの表示内容や大きさでもよい。例えば、オブジェクトの表示状態がオブジェクトの表示内容の場合、アプリケーション部13は、ウィンドウのような表示内容を変化させるスクロールが可能なオブジェクトを表示し、接触面積の変化値が大きいほど、表示内容を速く変化させる。また、オブジェクトの表示状態がオブジェクトの大きさの場合、アプリケーション部13は、画像のような大きさを変化させることが可能なオブジェクトを表示し、接触面積の変化値が大きいほど、大きさを速く変化させる。
【0053】
上記のような表示状態変更処理が可能なアプリケーションとしては、ブラウザ、画像ビューア、メーラ、一覧表示アプリケーションなどが挙げられる。
【0054】
図5は、アプリケーション部13が行う情報処理の他の例である拡縮処理を説明するための図である。本拡縮処理では、アプリケーション部13は、画像を表示画面21に表示し、接触面積の変化値に応じて、画像の拡大率を変化させる。
【0055】
図5の例では、アプリケーション部13は、画像501を表示画面21に表示する。この状態において、ユーザが表示画面21に対して新たにタッチを行い、その後、表示画面21に指を押し込むような動作をすると、図5(a)に示すように接触面積が小さい状態から、図5(b)に示すように接触面積が大きい状態に変わる。この場、アプリケーション部13は、接触面積の変化値に応じた拡縮率で画像を拡縮する。より具体的には、アプリケーション部13は、接触面積の増加値が大きいほど、大きな縮小率で画像501を縮小し、接触面積の減少値が大きいほど、大きさ拡大率で画像501を拡大する。
【0056】
なお、画像501の拡大および縮小の中心座標は、最初にタッチされた際の接触座標としている。また、アプリケーション部13は、画像501を拡縮した後で、接触面積が変化すると、画像501を元の大きさに戻してもよい。
【0057】
次に情報端末装置1の動作を説明する。
【0058】
図6は、情報端末装置1の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0059】
先ず、ユーザが表示画面21をタッチすると、入力検出部23は、そのタッチされた領域に含まれる各座標を接触座標として検知し、その接触座標を保持するとともに、その接触座標を接触面積判定部24に通知する(ステップS1)。
【0060】
接触面積判定部24は、接触座標を受け取り、その接触座標に基づいて、接触面積を求める。そして、接触面積判定部24は、接触座標および接触面積を面積増減判定部12に通知する。面積増減判定部12は、接触座標および接触面積を受け取ると、接触面積を保持する(ステップS2)。
【0061】
接触面積を保持すると、面積増減判定部12は、タッチが行われた旨のタッチ開始情報と接触座標をアプリケーション部13に通知する(ステップS3)。
【0062】
アプリケーション部13は、タッチ開始情報および接触座標を受け取り、タッチが新たに行われたと判断して、接触座標に応じた情報処理を実行する(ステップS4)。
【0063】
アプリケーション部13は、情報処理の処理結果を反映した画像を示す表示情報を生成し、その表示情報を表示制御部22に通知する。表示制御部22は、表示情報を受け取り、その表示情報を表示画面21に表示する(ステップS5)。
【0064】
その後、一定時間が経過すると、入力検出部23は、現在の接触座標を確認し、その現在の接触座標と、保持している接触座標とを比較して、ドラッグまたはリリースなどの特定の操作が行われたか否かを判断する(ステップS6)。
【0065】
特定の操作が行われた場合、入力検出部23は、現在の接触座標をアプリケーション部13に通知する。アプリケーション部13は、接触座標を受け取り、その接触座標に応じた情報処理を実行する(ステップS7)。
【0066】
アプリケーション部13は、情報処理の処理結果を反映した画像を示す表示情報を生成し、その表示情報を表示制御部22に通知する。表示制御部22は、表示情報を受け取り、その表示情報を表示画面21に表示して(ステップS8)、処理を終了する。
【0067】
また、ステップS6で特定の操作が行われていない場合、入力検出部23は、現在の接触座標を接触面積判定部24に通知する。接触面積判定部24は、現在の接触座標を受け取り、その現在の接触座標に基づいて、現在の接触面積を求め、その現在の接触面積と保持している過去の接触面積との差分が閾値以上か否かを判断する(ステップS9)。
【0068】
差分が閾値未満の場合、接触面積判定部24は、ステップS6の処理に戻る。
【0069】
差分が閾値以上の場合、接触面積判定部24は、現在の接触面積を面積増減判定部12に通知する。面積増減判定部12は、現在の接触面積を受け取り、その接触面積と、ステップS2で保持した接触面積とを比較して、接触面積の変化値を求める(ステップS10)。そして、接触面積判定部24は、接触面積の変化値をアプリケーション部13に通知し(ステップS11)、現在の接触面積を保持する(ステップS12)。なお、既に保持されている接触面積がある場合、接触面積判定部24は、保持されている接触面積に対して、現在の接触面積を上書きする。
【0070】
その後、アプリケーション部13は、接触面積の変化値を受け取り、その変化値に応じた情報処理を実行する(ステップS12)。
【0071】
アプリケーション部13は、情報処理の処理結果を反映した画像を示す表示情報を生成し、その表示情報を表示制御部22に通知する。表示制御部22は、表示情報を受け取り、その表示情報を表示画面21に表示する(ステップS13)。その後、ステップS6の処理が実行される。
【0072】
なお、情報処理の処理結果を反映した画像を表示する必要がない場合には、ステップS5、S8およびS13はスキップされる。
【0073】
図7は、図6で説明した動作のうちの代表的な動作の一例を説明するための図である。なお、以下の説明における各数値は単なる一例であって、適宜変更可能である。
【0074】
先ず、入力検出部23は、所定時間間隔(20ms間隔)に表示画面21に対する接触があるか否かを検出する。
【0075】
接触面積判定部24は、入力検出部23が接触を検出している場合、接触されている接触面積を判定する。
【0076】
面積増減判定部12は、先ず、接触面積判定部24にて判定された接触面積について、現在の値と前回測定時の値とを比較して、接触面積の詳細な変化値を算出する。続いて、面積増減判定部12は、保持しているテーブルに基づいて、接触面積の詳細な変化値を段階値に変換してアプリケーション部13に通知する。図7の例では、1mm2〜5mm2の変化量を1段階目の値、6mm2〜10mm2の変化量を2段階目の値としている。
【0077】
アプリケーション部13は、面積増減判定部12から段階値を受け取り、その段階値に応じたスクロール速度で、オブジェクトの表示内容を変化させる。
【0078】
以上説明したように本実施形態によれば、面積の変化の度合いである変化値に応じた情報処理が実行されるので、ユーザは、指などの指示体の大きさに応じて操作が変化してしまうことを軽減することが可能になるので、操作性を向上させることが可能になる。また、接触面積の大きさと情報処理の処理内容との紐付けを意識することなく操作することが可能になり、さらに、意図しない処理が実行されてしまった場合も、指の接触角度を変えるなどといった僅かな指の動作で、意図する処理に変更することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では、面積の変化値に応じた文字入力が可能となるので、タップを繰り返して候補文字の選択を切り替えるものよりも、容易に候補文字を選択することが可能になる。したがって、操作性を向上させることが可能になる。
【0080】
また、本実施形態では、面積の変化値に応じて、オブジェクトや画像の移動、スクロール、拡縮処理が行われるので、ユーザ任意のタイミングにおいて僅かな指の動きで速度切り替えを行うことが可能になる。したがって、操作性を向上させることが可能になる。
【0081】
また、本実施形態では、面積の変化値に応じて、画像の拡縮率を変更することが可能になるので、表示画面21上の拡縮のためのボタンなどを表示する必要がなくなる。また、ピンチ操作とは異なり、1本の指で拡縮を行うことが可能になる。したがって、操作性を向上させることが可能になる。
【0082】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。
【0083】
なお、本実施形態における情報端末装置の構成は、図1に示した情報端末装置1と同じである。
【0084】
本実施形態では、接触面積判定部24は、表示画面21に接触されている接触座標に基づいて、表示画面21を複数の操作領域に分け、各操作領域内の接触領域の面積のそれぞれを個別接触面積として出力する。
【0085】
面積増減判定部12は、面積増減判定部12から通知された各個別接触面積の変化の大きさを示す個別変化値を判定し、各個別変化値をアプリケーション部13に通知する。
【0086】
アプリケーション部13は、面積増減判定部12から通知された各個別変化値に応じた情報処理を行う。
【0087】
図8は、本実施形態におけるアプリケーション部13が行う情報処理の一例を説明するための図である。図8では、図3の例と同様に、情報処理として文字入力処理が例示されている。また、接触面積判定部24は、接触座標内の中心点の座標である中心座標を交点とする2つの直線で、表示画面を上下左右の4つの操作領域A〜Dに分割するものとする。また、ユーザは入力キー302にタッチしているものとする。
【0088】
図8の例では、ユーザが指を手前(表示画面21の下方向)に指を傾けると、下の操作領域Bの個別変化値が大きくなる。この場合、アプリケーション部13は、その個別変化値が所定値以上変化するたびに、「い」→「う」→「え」と五十音表の下向きに候補文字を選択していく。
【0089】
同様に、ユーザが指を表示画面21の上方向に指を傾けると、操作領域Dの個別変化
値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「お」→「え」→「う」のように五十音表の上向きに候補文字を選択していく。
【0090】
また、ユーザが指を表示画面21の左方向に指を傾けると、操作領域Cの個別変化値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「か」→「さ」→「た」のように五十音表の左向きに候補文字を選択していく。
【0091】
そして、ユーザが指を表示画面21の右方向に指を傾けると、操作領域Aの個別変化値が大きくなり、アプリケーション部13は、その個別変化値が1段階以上増加するたびに、「わ」→「ら」→「や」のように五十音表の左向きに候補文字を選択していく。
【0092】
本実施形態によれば、ユーザが指を傾ける方向を変えるだけで様々な操作が可能となるので、操作性を向上させることが可能になる。
【0093】
次に本発明の第3の実施形態を説明する。
【0094】
図9は、本実施形態の情報端末装置の構成を示す図である。図9において、情報端末装置100は、入力部101と、判定部102と、情報処理部103とを有する。
【0095】
入力部101は、操作面201を有し、操作面201に対する接触を検出して、その接触されている接触領域の面積である接触面積を出力する。なお、操作面201は、図1に示した表示画面21のように表示機能を有するものでもよいし、表示機能を有さないものでもよい。また、操作面201に表示機能がない場合、情報端末装置100は、表示機能を有するディスプレイ装置などを操作面201とは別に有することが望ましい。
【0096】
判定部102は、入力部101から出力された接触面積の変化を監視して、その面積の変化の度合いである変化値を判定する。
【0097】
情報処理部103は、判定部102にて判定された変化値に応じた情報処理を実行する。情報処理部103は、図1のアプリケーション部13のようにアプリケーションにて実現されてもよいし、OS(Operating System)など他のプログラムで実現されてもよいし、専用のハードウェアにて実現されてもよい。
【0098】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0099】
例えば、以上説明した情報端末装置1および100の機能は、その機能を実現するためのプログラムを、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませ実行させることで、実現されてもよい。
【0100】
また、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載することが可能であるが、以下には限定されない。
【0101】
[付記1]
操作面を有し、前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する入力部と、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する判定部と、
前記変化値に応じた情報処理を行う情報処理部と、を有する情報端末装置。
【0102】
[付記2]
前記情報処理部は、前記変化値に応じて、入力または出力する情報を調整する、付記1に記載の情報端末装置。
【0103】
[付記3]
表示画面をさらに有し、
前記情報処理部は、前記文字列が割り当てられた入力キーを前記表示画面に表示し、当該入力キーが表示されている領域に対する接触が検出されると、前記文字列の先頭の文字を前記候補文字として選択し、前記面積が変化すると、前記変化値に応じて前記候補文字の選択を変更する、付記2に記載の情報端末装置。
【0104】
[付記4]
前記情報処理部は、前記変化値に応じて、予め定められた文字列の中から、入力する文字の候補となる候補文字を選択する、付記3に記載の情報端末装置。
【0105】
[付記5]
表示画面をさらに有し、
前記情報処理部は、オブジェクトを前記表示画面に表示し、前記変化値に応じて、前記オブジェクトの表示状態を変化させる、付記3に記載の情報端末装置。
【0106】
[付記6]
前記表示状態は、前記オブジェクトの位置、大きさおよび表示内容の少なくとも一つである、付記5に記載の情報端末装置。
【0107】
[付記7]
前記情報処理部は、前記変化値が大きいほど、前記表示状態の変化速度を大きくする、付記6に記載の情報端末装置。
【0108】
[付記8]
前記表示状態は、前記オブジェクトの大きさであり、
前記情報処理部は、前記変化値が大きいほど、前記オブジェクトの拡縮率が大きくなるように前記オブジェクトを拡縮する、付記5に記載の情報端末装置。
【0109】
[付記9]
前記入力部は、前記操作面に接触されている接触座標に基づいて、前記操作面を複数の操作領域に分け、各操作領域内の前記接触領域の面積のそれぞれを個別接触面積として出力し、
前記判定部は、各個別接触面積のそれぞれの変化の度合いを個別変化値として判定し、
前記情報処理部は、各個別変化値に応じた情報処理を行う、付記1ないし8のいずれか1項に記載の情報端末装置。
【0110】
[付記10]
操作面を有する情報端末装置の入力方法であって、
前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力し、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定し、
前記変化値に応じた情報処理を行う、入力方法。
【0111】
[付記11]
操作面と接続されたコンピュータに、
前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する手順と、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する手順と、
前記変化値に応じた情報処理を行う手順と、を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0112】
1、100 情報端末装置
11 タッチディスプレイ
12 面積増減判定部
13 アプリケーション部
21 表示画面
22 表示制御部
23 入力検出部
24 接触面積判定部
101 入力部
102 判定部
103 情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を有し、前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する入力部と、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する判定部と、
前記変化値に応じた情報処理を行う情報処理部と、を有する情報端末装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、前記変化値に応じて、入力または出力する情報を調整する、請求項1に記載の情報端末装置。
【請求項3】
前記情報処理部は、前記変化値に応じて、予め定められた文字列の中から、入力する文字の候補となる候補文字を選択する、請求項2に記載の情報端末装置。
【請求項4】
表示画面をさらに有し、
前記情報処理部は、オブジェクトを前記表示画面に表示し、前記変化値に応じて、前記オブジェクトの表示状態を変化させる、請求項2に記載の情報端末装置。
【請求項5】
前記表示状態は、前記オブジェクトの位置、大きさおよび表示内容の少なくとも一つである、請求項4に記載の情報端末装置。
【請求項6】
前記情報処理部は、前記変化値が大きいほど、前記表示状態の変化速度を大きくする、請求項5に記載の情報端末装置。
【請求項7】
前記表示状態は、前記オブジェクトの大きさであり、
前記情報処理部は、前記変化値が大きいほど、前記オブジェクトの拡縮率が大きくなるように、前記オブジェクトを拡縮する、請求項4に記載の情報端末装置。
【請求項8】
前記入力部は、前記操作面に接触されている接触座標に基づいて、前記操作面を複数の操作領域に分け、各操作領域内の前記接触領域の面積のそれぞれを個別接触面積として出力し、
前記判定部は、各個別接触面積のそれぞれの変化の度合いを個別変化値として判定し、
前記情報処理部は、各個別変化値に応じた情報処理を行う、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報端末装置。
【請求項9】
操作面を有する情報端末装置の入力方法であって、
前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力し、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定し、
前記変化値に応じた情報処理を行う、入力方法。
【請求項10】
操作面と接続されたコンピュータに、
前記操作面に対する接触を検出して、当該接触されている接触領域の面積を出力する手順と、
前記面積の変化を監視して、当該面積の変化の大きさを示す変化値を判定する手順と、
前記変化値に応じた情報処理を行う手順と、を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−3949(P2013−3949A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136122(P2011−136122)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】