説明

情報端末装置

【課題】電池蓋の開閉を検出可能であり、かつ当該電池蓋の取り外しを容易にし得る情報端末装置を提供する。
【解決手段】バーコードリーダでは、跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54により、電池ボックス20の開口部22を閉じている電池カバー30を開く方向に付勢する一方で、ロック機構により、開口部22を閉じている電池カバー30が跳上ピース52等による付勢力によって開くことを阻止し、また外部からのロックスイッチ47の操作により当該阻止を解除する。そして、跳上ピース52等による付勢力に抗して開口部22を閉じる電池カバー30の閉じ方向の抗力を介して、電池カバー30が開いているか否かまたは電池カバー30が閉じているか否かをスイッチSWにより検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から当該電池を取出可能な開口部を備えた電池収容部と、この開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備えた情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一次電池や二次電池等を主電源とした装置は、通常、これらの電池を収容可能な空間部を備えており、一般的には、このような空間部に収容された電池を外部から容易に交換できるように当該空間部に外部空間と連通する開口部を設けるとともに、この開口部を閉塞可能な電池蓋を設けている。このような電池収容部を構成する装置として、例えば、下記特許文献1、2に開示される「電池収納装置」がある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される「電池収納装置」では、電池収容部の周縁部にスライド可能なツマミを設け、このツマミを開放方向にスライド動作をさせることにより電池蓋体との係合が解除されるとともに電池蓋体を持ち上げる傾斜部をこのツマミに形成する。これにより、このツマミを開放方向にスライドさせることで、当該ツマミに設けた傾斜部で電池蓋体を押し上げて浮かせることができるため、電池蓋体の取り出しを簡単容易にしている。
【0004】
また、特許文献2に開示される「電池収納装置」では、電池蓋を電池収納本体に回動可能に支持するとともに、電池蓋を開放する方向に所定以上の力が加わったときヒンジ部を所定方向に弾性変形させて当該電池蓋を本体から分離させることが可能な電池蓋支持手段を備える。これにより、電池蓋を開放する方向に所定以上の力が加わったときに、電池蓋支持手段がヒンジ部を所定方向に弾性変形させて当該電池蓋を本体から分離させるため、本体ケースの破損等を防止または軽減可能にしている。
【0005】
ところで、このような電池を主電源とした情報端末装置では、その制御にマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)を用いるものが多い。このため、マイコンが電池から駆動電力の供給を受けている最中に、電池収容部から電池が取り出されると、当該マイコンに供給されていた電力が、突然、断たれるため、当該マイコンにより制御されている制御プログラム(システムプログラム)の異常終了を招き得る。
【0006】
このため、このような情報端末装置では、電池蓋の開閉を検出可能なセンサ手段を設けるとともに、当該センサ手段が電池蓋の開いたことを検出すると直ちに制御の終了処理を実行し得るソフトウェア構成を採ったり、電池蓋が開いている場合には、当該装置の電源投入を不能にし得るハードウェア構成を採っている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−89863号公報
【特許文献2】特開平9−46062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような特許文献1、2に例示される開示技術によると、いずれも、このようなセンサ手段を設けていない。そのため、このような電池を主電源とした情報端末装置に、これらの開示技術を単に適用しても、電池蓋の開閉を検出可能なセンサ手段を設けていない限り、前述したように、センサ手段が電池蓋の開いたことを検出すると直ちに制御の終了処理を実行し得るソフトウェア構成を採ったり、電池蓋が開いている場合には、当該装置の電源投入を不能にし得るハードウェア構成を採ることはできない。
【0009】
また、このようなセンサ手段を機械的に構成し、それを電池蓋の周囲に設ける場合には、当該センサ手段の取付部位やその周囲、あるいはセンサ手段自体を液密または気密に構成することは難しい。そのため、当該装置が、水等の液体が降りかかり易い環境下に置かれた場合には、これらの隙間から当該装置内に浸入した水等が、マイコンを中心に構成される電子回路の回路部品を腐食したり、電子回路を構成するプリント配線板の短絡等を招き得るため、当該装置の故障に繋がり易い。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電池蓋の開閉を検出可能であり、かつ当該電池蓋の取り外しを容易にし得る情報端末装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、電池蓋の開閉を検出可能な手段を設けても当該装置の外部からの水等の液体が当該装置内に浸入することを防止し得る情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の情報端末装置では、電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を備えた電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備えた情報端末装置であって、前記開口部を閉じている前記電池蓋を開く方向に付勢可能な付勢手段と、前記付勢手段による付勢力に抗して前記開口部を閉じる前記電池蓋の閉じ方向の抗力を介して、前記電池蓋が開いているか否かまたは前記電池蓋が閉じているか否かを検出可能なセンサ手段と、前記開口部を閉じている前記電池蓋が前記付勢手段による付勢力によって開くことを阻止可能かつ外部からの操作により当該阻止を解除可能なロック手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0012】
また、特許請求の範囲に記載の請求項2の情報端末装置では、前記電池蓋が開いている場合、前記付勢手段の一部または全部が当該情報端末装置の外部空間に晒され得る構成を採る請求項1記載の情報端末装置であって、前記センサ手段と前記付勢手段との間には、前記外部空間から前記センサ手段が収容される当該情報端末装置の内部空間への液体の浸入を阻止可能な防水部材が設けられていることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、付勢手段により、開口部を閉じている電池蓋を開く方向に付勢する一方で、ロック手段により、開口部を閉じている電池蓋が付勢手段による付勢力によって開くことを阻止し、また外部からの操作により当該阻止を解除する。そして、付勢手段による付勢力に抗して開口部を閉じる電池蓋の閉じ方向の抗力を介して、電池蓋が開いているか否かまたは電池蓋が閉じているか否かをセンサ手段により検出する。これにより、開口部を閉じている電池蓋は付勢手段により開く方向に付勢されるので、電池蓋が開くことを阻止するロック手段を解除することによって、付勢手段による付勢力により当該電池蓋は開けられる。したがって、センサ手段により電池蓋の開閉を検出可能でありながら、電池蓋を容易に取り外すことができる。
【0014】
請求項2の発明では、センサ手段と付勢手段との間には、外部空間からセンサ手段が収容される当該情報端末装置の内部空間への液体の浸入を阻止可能な防水部材が設けられている。これにより、電池蓋が開いている場合、付勢手段の一部または全部が当該情報端末装置の外部空間に晒され得る構成を採っても、防水部材によって外部空間から内部空間への液体の浸入を阻止できる。したがって、電池蓋の開閉を検出可能なセンサ手段を設けても当該装置の外部からの水等の液体が当該装置内に浸入することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の情報端末装置をバーコードリーダに適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係るバーコードリーダ10の構成概要を図1に基づいて説明する。なお、図1は、バーコードリーダ10を裏面10aから見た斜視図で、電池カバー30を取り外した状態を示している。
【0016】
図1に示すように、バーコードリーダ10の裏面10aの外観形状は、主に、本体ハウジング11、読取口ハウジング12および電池カバー30により構成されている。本体ハウジング11の上端側11aには読取口12aを有する読取口ハウジング12が取り付けられており、また本体ハウジング11の下端側11bには、バーコードリーダ10の電力供給源となる図略の電池BATを収容可能な空間部21とこの空間部21から電池BATを取出可能な開口部22とを備えた電池ボックス20が形成されている。そして、電池カバー30は、この電池ボックス20の開口部22を閉塞可能に構成されている。なお、これら本体ハウジング11、読取口ハウジング12および電池カバー30は、いずれもABS樹脂等の合成樹脂からなる。
【0017】
また、本体ハウジング11のほぼ中央側面には、照射光を照射する際に押圧されるトリガースイッチ18が設けられており、さらに本体ハウジング11の下端側11bには、その隅に、当該バーコードリーダ10が落下等したときに受ける衝撃を緩和可能なプロテクタ19が取り付けられている。
【0018】
ここで、図1から把握できるように、電池カバー30は、ほぼ矩形の平板形状に形成されている。これは、当該電池カバー30は、本体ハウジング11に装着されると、バーコードリーダ10の裏面10aとほぼ同一面で裏面10aの外形を構成し得るように、電池カバー30の表面30aがほぼ平坦にデザインされていることによる。このため、作業者は、電池BATの交換に際し、本体ハウジング11に装着された電池カバー30を取り外そうとしても、電池カバー30の表面30aには、外部から把持可能な凸部等が一切存在しないため、電池カバー30を取り外し難い。そこで、本実施形態のバーコードリーダ10では、後述するように、ロックスイッチ47を操作することにより電池カバー30のロックが解除されると、電池カバー30を跳ね上げる跳上ピース52を備えている。
【0019】
なお、このバーコードリーダ10は、図示されてはいないが、本体ハウジング11内に、照射光を発光可能な光源と、バーコード等の情報コードにこの照射光が照射し反射した反射光を読取口12aを介して受光可能な受光素子と、この反射光を集光して受光素子の受光面に情報コードの像を結像可能な結像光学系と、受光素子から出力される画像信号をデコード可能なマイコンと、等々の回路部品や光学部品を備えており、マイコン等の回路部品には、電池ボックス20に収容される電池BATから駆動電力が供給されている。
【0020】
次に、電池ボックス20の構成を図2、図4および図5を参照して説明する。なお、図2には、バーコードリーダ10の裏面10a側の構成を示す平面図が示されている。図2に示すように、電池ボックス20は、電池BATを収容可能な空間部21と、後述するロック機構40や跳上げ機構50を収容可能な機構収容部23と、により構成されている。この電池ボックス20は、特許請求の範囲に記載の「電池収容部」に相当し得るものである。
【0021】
これら空間部21および機構収容部23は、本体ハウジング11から電池カバー30が取り外されている場合には、いずれも開口部22を介して当該バーコードリーダ10の外部空間に露出しており、当該開口部22を電池カバー30により閉塞することで、外部空間と隔絶されるようにそれぞれ位置している。
【0022】
空間部21は、収容される電池BATの外形状よりも、ひと回り大きい直方体をなす空間で、矩形状の蓋無しの箱状に形成された壁部24より区画形成されている。この空間部21を区画する壁部24の外周縁の全周囲には、環状溝24aが形成されており、この環状溝24aに環状の防滴ゴム25が嵌入されている(図5参照)。
【0023】
機構収容部23は、空間部21を形成する壁部24を開口部22方向に向かって一段高くし、さらにそれを本体ハウジング11の上端側11aに延設することにより、空間部21の、本体ハウジング11の上端側11aにロック機構40や跳上げ機構50を収容可能に構成している。この機構収容部23には、第1係合穴15と第2係合穴16とが形成されているほか、跳上ピース52が飛び出す凹部23aやその穴部23b、さらには跳上げ機構50の防水カバー56を取り付け可能な角筒部23cが形成されている(図4、図5参照)。
【0024】
第1係合穴15や第2係合穴16は、L字形状をなす穴で、後述する電池カバー30の第1係合部32や第2係合部33が貫通可能な形状に形成されている。また、図4(A) および図4(B) に示すように、凹部23aは、平面形状がほぼ正方形状をなす溝で、そのほぼ中心には、跳上げ機構50を構成する跳上ピース52が貫通可能な穴部23bが形成されている。
【0025】
さらに、図5(A) および図5(B) に示すように、本体ハウジング11内にプリント配線板PCBを組み付けたときに、当該プリント配線板PCBに実装されるスイッチSWの上に位置するように、角筒部23cが形成されている。なお、このスイッチSWは、特許請求の範囲に記載の「センサ手段」に相当し得るものである。
【0026】
この角筒部23cは、円筒状の内円筒を備えており、この内円筒は、跳上げ機構50の跳上ピース52が軸方向移動可能な内径(跳上ピース52の基部52aの外径よりも僅かに大径)に設定されている。この内円筒の底部には、そのほぼ中心に凹部23aに形成される穴部23bが位置している。また、角筒部23cの外周形状は、その横断面形状が跳上げ機構50の防水カバー56を液密に密着可能なほぼ正方形状に形成されている。なお跳上げ機構50の詳細については後述する。
【0027】
なお、図2に示す本体ハウジング11には、そのほぼ中央からやや電池ボックス20側に寄った位置に、本体ハウジング11の幅方向に延びる長孔17が形成されている。この長孔17は、後述するロック機構40のオンオフを設定し得るロックスイッチ47が露出する孔で、当該長孔17の上端側11aには、ロック操作の方向を示す「LOCK>>」が本体ハウジング11に明示されている。
【0028】
続いて電池カバー30の構成を図3を参照して説明する。図3(A) には、電池カバー30の裏面30b側を示す平面図、図3(B) には、図3(A) に示す3B方向からみた電池カバー30の側面図、図3(C) には、係合板41を示す平面図、がそれぞれ示されている。
【0029】
図3(A) および図3(B) に示すように、ほぼ矩形の平板形状に形成されている電池カバー30の裏面30bには、その一端側には爪部31が形成されており、他端側には、第1係合部32、第2係合部33、三角凸部34および当接ポスト35がそれぞれ形成されている。また、当該裏面30bの周囲内側近傍には、電池カバー30の厚さ方向に突出してほぼ矩形環状に連なるゴム押え36が形成されている。
【0030】
爪部31は、電池ボックス20の、本体ハウジング11の下端側11bに2箇所に形成される図略の長孔に挿入可能な形状に形成される突起部で、電池カバー30の一端側の端部に形成されている。この爪部31は、電池カバー30を本体ハウジング11に装着する際に当該長孔に挿入されることで、当該電池カバー30の一端側の位置合わせを可能にし、さらに一端側の固定を可能にしている。
【0031】
第1係合部32は、電池カバー30の裏面30bの他端側に、電池カバー30の厚さ方向に突出して形成される係合溝32aを有する部材で、図3(B) に示すように、図3(A) に示す3B方向から見た側面では、係合溝32aがL字形状をなすように形成されている。つまり、後述する係合板41が電池カバー30の短手方向に移動すると、係合板41の第1係止部42が当該第1係合部32に係合可能に係合溝32aが形成されている。なお、この係合溝32aは、次に説明する第2係合部33の係合溝33aよりも溝長が大きく設定されている。
【0032】
第2係合部33は、第1係合部32と電池カバー30の短手方向に並んで、当該第1係合部32とほぼ同様に構成されている。即ち、電池カバー30の裏面30bの他端側に、電池カバー30の厚さ方向に突出して形成される係合溝33aを有し、この係合溝33aも、図3(B) に示すように、L字形状をなすように形成されている。これにより、第1係合部32と同様に、後述する係合板41が電池カバー30の短手方向に移動した場合、係合板41の第2係止部43が当該第2係合部33に係合可能に係合溝33aが形成されている。なお、この係合溝33aは、前述した第1係合部32の係合溝32aよりも溝長が小さく設定されている。
【0033】
三角凸部34は、第1係合部32、第2係合部33のそれぞれに対して、電池カバー30の短手方向の近傍に一つずつ位置しており、電池カバー30の厚さ方向に突出した縦断面形状が三角形状をなすスロープを備えている(図3(B) )。これにより、後述する係合板41が電池カバー30の短手方向に移動した場合、係合板41の第1係止部42や第2係止部43が、それぞれに対応した三角凸部34のスロープに乗り上げたり、下ったりする。
【0034】
当接ポスト35は、電池カバー30の裏面30bの他端側隅部に、電池カバー30の厚さ方向に突出して形成される円柱形状の突起部で、その基端には十字形状のベース部が形成されている。この十字形状のベース部は、円柱形状の突起部が曲がったり折れたり等の変形を防止するためのものである。なお、本実施形態では、当接ポスト35の高さは、三角凸部34よりも高く、第1係合部32や第2係合部33よりも低く設定されている。
【0035】
ゴム押え36は、電池ボックス20の開口部22を当該電池カバー30で閉塞した場合に、前述の防滴ゴム25をほぼ全周に亘って押圧し得る環状突起部で、電池カバー30の裏面30bに、壁部24の環状溝24aの環形状にほぼ一致する矩形環状に形成されている。なお、このゴム押え36によって防滴ゴム25が押圧されている様子は、図5(A) に図示されている。
【0036】
次にロック機構40の構成を図2、図3(C) および図4に基づいて説明する。なお、図4(A) および図4(B) は、それぞれ本体ハウジング11に電池カバー30を装着した状態を表しているが、これらの図においては、電池カバー30の裏面30bに形成されている、第1係合部32、第2係合部33、三角凸部34および当接ポスト35を透視した状態で表現していることに留意されたい。
【0037】
ロック機構40は、係合板41により構成されており、この係合板41は、後述する跳上げ機構ホルダ13と機構収容部23とにより区画形成されるロック機構収容部28に収容されている。なお、このロック機構40は、特許請求の範囲に記載の「ロック手段」に相当し得るものである。ここで、係合板41の構成を図3(C) を参照して説明する。
【0038】
図3(C) に示すように、係合板41は合成樹脂からなり、矩形状を基本とした薄板形状に形成されている。係合板41の一端側には、短手方向に延びる板状の第1係止部42が形成され、これと同一の短手方向に延びる板状の第2係止部43が他端側に形成されている。これら第1係止部42、第2係止部43は、前述した電池カバー30を本体ハウジング11に装着した場合に、それぞれ電池カバー30の、第1係合部32、第2係合部33に係合し得るもので、第1係止部42は第1係合部32の係合溝32aに、また第2係止部43は第2係合部33の係合溝33aに、それぞれ係合可能な寸法形状に形成されている。
【0039】
係合板41の長手方向中央から第2係止部43が形成される他端側に寄った位置には、ガイド44とロックスイッチ47が形成されている。ガイド44は、ほぼL字形状をなしており、L字の長辺を係合板41の長手方向に沿うようにして、L字の短辺が、第1係止部42や第2係止部43が形成される方向と同一の短手方向に延びて形成されている。また、ロックスイッチ47は、小判形状をなす凸部で、係合板41の表面(図3(C) に表されている面)に板厚方向に突出して形成されている。
【0040】
なお、係合板41の表面には、このほかに、微小円形状の突起部41aや長細棒形状の突起部41bが形成されている。これにより、係合板41を本体ハウジング11に組み付けた際に、本体ハウジング11の内壁面と係合板41の表面との接触面積を減少させて係合板41のスライド移動をスムースにしている。
【0041】
このように形成される係合板41を本体ハウジング11内に組み付けることによって、本体ハウジング11に装着される電池カバー30のロック、つまり電池ボックス20の空間部21を閉塞する電池カバー30が開かないようにすることが可能となる。
【0042】
具体的には、図2に示すように、本体ハウジング11の第1係合穴15から第1係止部42、また第2係合穴16から第2係止部43がそれぞれ露出するように、さらに長孔17からロックスイッチ47が突出するように、本体ハウジング11内に係合板41をセットし、それを、本体ハウジング11と跳上げ機構ホルダ13とにより挟み込んでロック機構収容部28に収容する(図5参照)。
【0043】
これにより、図4(A) に示すように、本体ハウジング11に電池カバー30が装着されると、本体ハウジング11の第1係合穴15に電池カバー30の第1係合部32が、また本体ハウジング11の第2係合穴16に電池カバー30の第2係合部33が、それぞれ挿入されるので、この挿入された第1係合部32および第2係合部33を係合板41によって係止する。
【0044】
即ち、係合板41のロックスイッチ47をロックが掛かる方向(図4(A) に示す「LOCK>>」の矢印方向)に移動させることによって、当該係合板41が同方向にスライドするため、係合板41に形成された第1係止部42が、第1係合穴15から本体ハウジング11内に入った第1係合部32の係合溝32aに係合し、また係合板41に形成された第2係止部43が、第2係合穴16から本体ハウジング11内に入った第2係合部33の係合溝33aに係合する。これにより、電池カバー30の第1係合部32および第2係合部33が係合板41によって係止されるため、電池カバー30がロックされた状態(以下「ロック状態」という)が完成する。
【0045】
これに対し、図4(B) に示すように、係合板41のロックスイッチ47をロックが解除される方向(図4(B) に示す「LOCK>>」の矢印と反対方向)に移動させると、当該係合板41が同方向にスライドするため、ロック状態(図4(A) に示す状態)では第1係合部32の係合溝32aに係合していた第1係止部42が、当該係合溝32aから離脱し、同様に第2係合部33の係合溝33aに係合していた第2係止部43が、当該係合溝33aから離脱する。これにより、それまで係合板41によって係止されていた、電池カバー30の第1係合部32および第2係合部33が当該係止を解かれるため、電池カバー30のロックが解除されてリリースされた状態(以下「リリース状態」という)になる。
【0046】
なお、リリース状態においては、係合板41の第1係止部42および第2係止部43がそれぞれ電池カバー30の三角凸部34に乗り上げる。これにより、これらの三角凸部34が、係合板41のスライド移動に抵抗を与えるため、重力や振動等によって係合板41がロックが掛かる方向に容易に移動することを防止可能にしている。
【0047】
続いて、跳上げ機構50の構成を図4および図5に基づいて説明する。図5は、跳上げ機構による各部の位置状態を示す説明図で、図5(A) には図4(A) に示す5A−5A線による断面により電池カバーが閉じている場合が示されており、また図5(B) には図4(B) に示す5B−5B線による断面により電池カバーが跳ね上げられて電池ボックスが開いた場合が示されている。なお、図5(A) および図5(B) に示す符号PCBは、図略のマイコンを中心に構成される電子回路が実装されるプリント配線板を示す。
【0048】
図5(A) および図5(B) に示すように、跳上げ機構50は、電池ボックス20の開口部22を閉じている電池カバー30を開く方向に付勢する機構で、跳上ピース52、ばね53、押圧ピース54および防水カバー56により構成されている。
【0049】
跳上ピース52は、合成樹脂からなる一体成形の軸部材で、一端側に基部52a、他端側に頂部52bを備えている。基部52aは、他の部位に比べ大径に設定される円板形状をなすように、また頂部52bは、先細の円錐台形状をなすように、それぞれ形成されており、さらにこれらの間に円柱形状をなす円柱部が形成されている。押圧ピース54も、跳上ピース52と同形状に形成されている。このように跳上ピース52と押圧ピース54とを同一材料、同一形状に設定することで、両者を共用できるため、部品の種類を削減可能にしている。
【0050】
ばね53は、圧縮コイルスプリングで、ばね径は、押圧ピース54(跳上ピース52)の円柱部の外径よりも大径で、跳上ピース52(押圧ピース54)の基部52aの外径よりも小径に設定されている。また、ばね長は、防水カバー56の深さ相当に設定されている。なお、跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54は、特許請求の範囲に記載の「付勢手段」に相当し得るものである。
【0051】
防水カバー56は、合成または天然のゴムからなる角筒形状に形成される有底の筒部材で、その深さは、跳上ピース52の基部52aに厚さの2倍に、ばね53の自然長を加えた程度の長さに設定されている(図5(B) )。つまり、電池カバー30等による押圧がない状態において、防水カバー56内に収容される押圧ピース54の基部54aが当該防水カバー56の底部に当接し得るように筒形状の軸方向長さが設定されている。
【0052】
また、防水カバー56の開口形状は、前述した機構収容部23の角筒部23cの横断面形状と相似でひと回り小さい形状をなしながら、全周に亘って外方向に拡がるフランジ部を有するように形成されている。これにより、当該開口部を機構収容部23の角筒部23cに密着させて液密に装着可能にしている。また、当該フランジ部を、機構収容部23と跳上げ機構ホルダ13との間で挟持することによって両者間の液密性を一層向上している。なお、この防水カバー56は、特許請求の範囲に記載の「防水部材」に相当し得るものである。
【0053】
この防水カバー56の底部は、単なる平坦状のものとは異なり、側壁部に比べて肉薄に形成されるベローズ構造部を有する。そのため、後述するように、内部に収容される跳上ピース52によって押圧ピース54が当該底部方向に押圧されると、当該底部を外部方向(図5(A) 、(B) ではスイッチSW方向)に向かって押し出して突出させることが可能となる。
【0054】
このように構成される跳上げ機構50を、本体ハウジング11内のプリント配線板PCBに実装されたスイッチSW上に位置するように、跳上げ機構ホルダ13内に組み付けることによって、電池カバー30の跳ね上げと電池カバー30の開閉を検出することが可能となる。
【0055】
具体的には、例えば、本体ハウジング11に電池カバー30が装着されていない状態(図5(B) に示す状態)で、機構収容部23の角筒部23c内に跳上ピース52を頂部52b方向から投入する。すると、投入された跳上ピース52は、角筒部23cの底部に形成された穴部23bに頂部52bから貫通し基部52aが当該底部に当接することで、角筒部23cに保持される(図5(B) )。
【0056】
次に、ばね53の一端側が跳上ピース52の基部52a裏側に当接するように、当該ばね53を角筒部23c内に投入し、さらにこのばね53の他端側から当該ばね53内に押圧ピース54を挿入する。そして、これらを防水カバー56の内部に収容するように、押圧ピース54の基部54a側から防水カバー56を被せ、角筒部23cの外周に防水カバー56を密着させる。このように防水カバー56に覆われた「跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54」を、さらに防水カバー56の上から跳上げ機構ホルダ13によって本体ハウジング11に固定する。このとき、本体ハウジング11と跳上げ機構ホルダ13との間には、防水リング14が介在している。
【0057】
このように構成されて組み付けられることにより、跳上げ機構50は、電池カバー30を単に跳ね上げるだけではなく、本体ハウジング11内のプリント配線板PCBに実装されたスイッチSW上に、跳上げ機構ホルダ13によって保持されることで、当該スイッチSWのボタントップBPを押圧可能となる。また、跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54と、スイッチSWとの間には、防水カバー56が介在するので、本体ハウジング11の外部空間から水等の液体が、跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54を介して本体ハウジング11の内部空間に浸入するのを防止可能にしている。
【0058】
即ち、図5(A) に示すように、本体ハウジング11に電池カバー30が装着されロック状態にある場合には、電池カバー30に形成された当接ポスト35が、跳上げ機構50の跳上ピース52をばね53の付勢力に抗して押圧ピース54方向に押し下げる。このため、ばね53を介して押圧ピース54を防水カバー56の底部方向に押し出すことから、防水カバー56の底部を介して押圧ピース54の基部54aがスイッチSWのボタントップBPを押圧する。これにより、スイッチSWがオフ(オン)状態からオン(オフ)状態に移行するため、スイッチSWのオン(オフ)状態をマイコンが検出することで、電池カバー30が本体ハウジング11に装着されている、つまり電池カバー30が閉じていることを検出することが可能となる。
【0059】
これに対し、図5(B) に示すように、ロック機構40によるロックが解除されてロック状態からリリース状態に移行した場合には、それまで跳上ピース52を押圧ピース54方向に押圧していた電池カバー30の当接ポスト35による押圧力がロックの解除とほぼ同時にほぼゼロになる。このため、ばね53の付勢力により電池カバー30方向に付勢される跳上ピース52が、電池カバー30方向に勢い良く突出することから、凹部23aの穴部23bから飛び出た跳上ピース52が当接ポスト35を瞬時に押し上げる。これにより、電池カバー30は、跳上ピース52によって跳ね上げられるため、電池カバー30を容易に取り外すことが可能となる。
【0060】
また、ロックの解除とほぼ同時に、ロック状態では防水カバー56の底部方向に押し出されていた押圧ピース54も、跳上ピース52の突出により跳上ピース52方向への移動が可能になる。このため、それまで防水カバー56を介して押圧ピース54の基部54aによって押圧されていたスイッチSWのボタントップBPは、それに内装されたばね部材による付勢力により押圧ピース54を跳上ピース52方向に押し返す、これにより、スイッチSWがオン(オフ)状態からオフ(オン)状態に移行するため、スイッチSWのオフ(オン)状態をマイコンが検出することで、電池カバー30が本体ハウジング11に装着されていない、つまり電池カバー30が開いていることを検出することが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態では、図5(A) に示すように、本体ハウジング11に電池カバー30が装着されている状態おいては、電池カバー30の当接ポスト35に押圧された跳上ピース52が、押圧ピース54に当接しないように跳上ピース52および押圧ピース54の軸方向長さおよびばね53のばね圧が設定されている。
【0062】
即ち、電池カバー30による押圧によって、跳上ピース52が押圧ピース54方向に最も移動しても、防水カバー56内に収容される押圧ピース54が過剰にスイッチSW側に押し出されないように、ばね53のばね圧が設定され、さらに跳上ピース52と押圧ピース54とが互いに接触しないようにそれぞれの軸方向長さが設定されている(図5(A) 参照)。これにより、電池カバー30による押圧力によって、押圧ピース54が過剰に押し出されて防水カバー56を突き破ることがないようにしている。
【0063】
以上説明したように、本実施形態に係るバーコードリーダ10によると、跳上ピース52、ばね53および押圧ピース54(以下「跳上ピース52等」という)により、電池ボックス20の開口部22を閉じている電池カバー30を開く方向に付勢する一方で、ロック機構40により、開口部22を閉じている電池カバー30が跳上ピース52等による付勢力によって開くことを阻止し、また外部からのロックスイッチ47の操作により当該阻止を解除する。そして、跳上ピース52等による付勢力に抗して開口部22を閉じる電池カバー30の閉じ方向の抗力を介して、電池カバー30が開いているか否かまたは電池カバー30が閉じているか否かをスイッチSWにより検出する。
【0064】
これにより、開口部22を閉じている電池カバー30は跳上ピース52等により開く方向に付勢されるので、電池カバー30が開くことを阻止するロック機構40を解除することによって、跳上ピース52等による付勢力により当該電池カバー30が開けられる。したがって、図1に示すように、デザイン上、バーコードリーダ10の裏面10aとほぼ同一面となるように電池カバー30の表面30aがほぼ平坦に形成されていても、ロック機構40によるロックの解除とともに跳上ピース52によって電池カバー30が自動的に跳ね上げられるので、当該バーコードリーダ10を扱う作業者は、容易に電池カバー30を開けてそれを取り外すことができる。このため、電池BATを交換する際の作業性も向上することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態に係るバーコードリーダ10によると、スイッチSWと跳上ピース52等との間には、外部空間からスイッチSWが収容される内部空間への液体の浸入を阻止可能な防水カバー56が設けられている。これにより、電池カバー30が開いている場合、跳上ピース52等の一部または全部が当該バーコードリーダ10の外部空間に晒され得るような構成を採っても、防水カバー56によって外部空間から内部空間への液体の浸入を阻止できる。したがって、電池カバー30の開閉を検出可能なスイッチSWを設けても当該バーコードリーダ10の外部からの水等の液体が当該バーコードリーダ10内に浸入することを防止することができる。
【0066】
なお、図6(A) に示すように、本体ハウジング11に設けられた防滴ゴム25に対し、電池カバー30’をその長手方向に凸状円弧形状に反らせる構成を採っても良い。これにより、図6(B) に示すように、このような反りのない電池カバー30を用いる場合に比べて、防滴ゴム25に対する密着性を向上させることが可能となる。
【0067】
即ち、バーコードリーダ10では、本体ハウジング11に電池カバー30を装着する際に、爪部31と第1係合部32および第2係合部33によって電池カバー30の長手方向両端を固定する構成を採っている。このため、当該電池カバー30の長手方向中央付近は、その両端に比べて厚さ方向の位置固定、つまり防滴ゴム25に対する加圧力が弱くなりがちである。
【0068】
そこで、図6(A) に示すように、電池カバー30’の長手方向中央付近が裏面30’b(表面30’aの反対側)方向に反り出すような弓なりの反りを加えることによって、当該電池カバー30が本体ハウジング11に装着された際における長手方向中央付近の防滴ゴム25に対する加圧力を高めることができるので、防滴ゴム25に対する密着性を向上させることが可能となる。
【0069】
なお、上述した実施形態では、情報端末装置として、バーコードリーダ10を例示して説明したが、これに限られることはなく、電力供給源として電池を収容可能な電池収容部を備えた、情報処理が可能な端末装置であれば、例えば、PDA、ハンディターミナル、ハンドヘルドコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ等であっても、上述と同様に作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーコードリーダを裏面から見た斜視図で、電池カバーを取り外した状態を示すものである。
【図2】本実施形態に係るバーコードリーダの裏面側の構成を示す平面図である。
【図3】本実施形態に係るバーコードリーダを構成する部材を示す図で、図3(A) は、電池カバーの裏面側を示す平面図、図3(B) は図3(A) に示す3B方向からみた電池カバーの側面図、図3(C) は、係合板を示す平面図である。
【図4】ロック機構による各部の係合状態を示す説明図で、図4(A) はロックを作動させた場合を示し、図4(B) は、ロックを解除した場合を示す。
【図5】跳上げ機構による各部の位置状態を示す説明図で、図5(A) は図4(A) に示す5A−5A線による断面により電池カバーが閉じている場合を示し、図5(B) は図4(B) に示す5B−5B線による断面により電池カバーが跳ね上げられて開いた場合を示す。
【図6】電池カバーを短手方向側面から見た模式的な構成を示す説明図で、図6(A) は電池カバーに反りがある場合を示し、図6(B) は電池カバーに反りがない場合を示す。
【符号の説明】
【0071】
10…バーコードリーダ(情報端末装置)
10a…裏面
11…本体ハウジング
13…跳上げ機構ホルダ
15…第1係合穴
16…第2係合穴
20…電池ボックス(電池収容部)
21…空間部
22…開口部
23…機構収容部
28…ロック機構収容部
30…電池カバー(電池蓋)
30a…表面
30b…裏面
32…第1係合部
33…第2係合部
35…当接ポスト
40…ロック機構
41…係合板(ロック手段)
42…第1係止部
43…第2係止部
47…ロックスイッチ
50…跳上げ機構
52…跳上ピース(付勢手段)
53…ばね(付勢手段)
54…押圧ピース(付勢手段)
56…防水カバー(防水手段)
PCB…プリント配線板
SW…スイッチSW(センサ手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源となる電池を収容可能な空間部およびこの空間部から前記電池を取出可能な開口部を備えた電池収容部と、前記開口部を閉塞可能な電池蓋と、を備えた情報端末装置であって、
前記開口部を閉じている前記電池蓋を開く方向に付勢可能な付勢手段と、
前記付勢手段による付勢力に抗して前記開口部を閉じる前記電池蓋の閉じ方向の抗力を介して、前記電池蓋が開いているか否かまたは前記電池蓋が閉じているか否かを検出可能なセンサ手段と、
前記開口部を閉じている前記電池蓋が前記付勢手段による付勢力によって開くことを阻止可能かつ外部からの操作により当該阻止を解除可能なロック手段と、
を備えることを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
前記電池蓋が開いている場合、前記付勢手段の一部または全部が当該情報端末装置の外部空間に晒され得る構成を採る請求項1記載の情報端末装置であって、
前記センサ手段と前記付勢手段との間には、前記外部空間から前記センサ手段が収容される当該情報端末装置の内部空間への液体の浸入を阻止可能な防水部材が設けられていることを特徴とする情報端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−109535(P2007−109535A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299909(P2005−299909)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成17年9月14日から9月16日 社団法人日本自動認識システム協会開催の「第7回 自動認識総合展」に出品
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】