説明

情報管理装置、変換マスタ管理方法、及びプログラム

【課題】変換マスタの更新を正しいタイミングで行う。
【解決手段】変換マスタ記憶部110は、変換マスタを記憶している。この変換マスタは、販売側情報管理装置200で用いられるデータ形式(第1のデータ形式)に従っている商品取引情報(第1のデータ)を、製造側情報管理装置100で用いられるデータ形式(第2のデータ形式)に従う商品取引情報(第2のデータ)に変換するためのマスタである。第1予約マスタ記憶部150は、変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、その第1予約マスタを変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶している。変換マスタ更新部160は、第1タイミングデータに基づいて変換マスタに適用すべき第1予約マスタを選択し、選択した第1予約マスタを用いて変換マスタを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを管理する情報管理装置、変換マスタ管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
組織が異なる場合、同一の情報を互いに異なるデータ形式を用いて管理していることが多々ある。このような場合において、互いに異なる組織で用いられる情報を一元管理することが望ましい場合がある。
【0003】
例えば、医薬品は、製薬会社から複数の卸会社に出荷された後、卸会社から各医療施設(薬局を含む)に納入される。複数の卸会社は、互いに異なるデータ形式で医薬品及び医療施設を管理している。製薬会社は、医薬品の売上状況(納入状況)を把握するために、各卸会社から医薬品の納入状況を示すデータを受信する。しかし、製薬会社も、卸会社とは異なるデータ形式で医薬品及び医療施設を管理している。このため、製薬会社で医薬品の納入状況を管理するためには、各卸会社から集められた情報を、自社のデータ形式に変換する必要がある。
【0004】
変換マスタに関する技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、データ形式を変換する際に、変換マスタが未登録であるときには、処理対象データを未変換データ記憶手段に記憶しておき、変換マスタが更新された後に未変換データ記憶手段に記憶されている処理対象データの変換処理を行う、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−191923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換する場合において、第1のデータ形式が変更されることは多々ある。第1のデータ形式が変更されると、変換マスタも更新する必要がある。しかし、この変換マスタの更新は、正しいタイミングで行われないと変換処理にエラーが生じてしまう。
【0007】
本発明の目的は、変換マスタの更新を正しいタイミングで行うことができる情報管理装置、変換マスタ管理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを記憶する情報管理装置であって、
前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶している変換マスタ記憶手段と、
前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶する第1予約マスタ記憶手段と、
前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する変換マスタ更新手段と、
を備える情報管理装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを管理する変換マスタ管理方法であって、
コンピュータが、前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶するとともに、前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶しておき、
前記コンピュータが、前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する変換マスタ管理方法が提供される。
【0010】
本発明によれば、第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを管理するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶する機能と、
前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶する機能と、
前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する機能と、
を実現させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、変換マスタの更新を正しいタイミングで行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る製造側情報管理装置の使用環境を示す図である。
【図2】製造側情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】変換マスタ記憶部が記憶している変換マスタのデータ構成をテーブル形式で示す図である。
【図4】変換後データ記憶部が記憶しているデータをテーブル形式で示す図である。
【図5】第1予約マスタ記憶部が記憶している第1予約マスタのデータ構成をテーブル形式で示す図である。
【図6】製造側情報管理装置の動作の第1例を示すフローチャートである。
【図7】製造側情報管理装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る製造側情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図9】入力部で受け付けた日時における変換マスタを生成する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る製造側情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図11】中断期間記憶部が記憶している中断期間情報をテーブル形式で示す図である。
【図12】本実施形態における商品取引情報の変換処理を示すフローチャートである。
【図13】第4の実施形態に係る製造側情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図14】担当記憶部のデータ構成をテーブル形式で示す図である。
【図15】担当社員が担当している施設における商品の取引量を算出する処理の詳細を示すフローチャートである。
【図16】第5の実施形態に係る製造側情報管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図17】担当記憶部の更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図18】担当更新部が行う第2の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る製造側情報管理装置100の使用環境を示す図である。製造側情報管理装置100は、商品を製造する製造会社10で使用される。製造会社10で製造された商品は、複数の販売会社20を介して販売される。販売会社20の各々は、販売側情報管理装置200を有している。販売側情報管理装置200には、商品の販売実績を示す商品取引情報が入力される。そして製造側情報管理装置100には、販売側情報管理装置200から商品取引情報が送信される。ここで、製造側情報管理装置100における情報のデータ形式は、販売側情報管理装置200における情報のデータ形式とは異なる。そこで製造側情報管理装置100は、販売側情報管理装置200から受信した商品取引情報を製造側情報管理装置100におけるデータ形式に変換するために、変換マスタを有している。
【0015】
一方、各販売会社20において、販売管理情報のデータ形式を変更することは多々ある。この場合、製造側情報管理装置100の変換マスタを更新する必要がある。本実施形態では、製造側情報管理装置100には、第1予約マスタを登録することができる。第1予約マスタは、変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報であり、その第1予約マスタを変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶されている。このため、第1予約マスタを用いることにより、変換マスタの更新を正しいタイミングで行うことができる。
【0016】
なお、上記した商品は、例えば医薬品である。この場合、販売会社20は、医薬品を病院や医院、又は薬局(以下、医療施設と記載)に納品する。そして商品取引情報には、その商品を他の商品から識別する商品識別情報、取引先の医療施設を相互に識別する施設識別情報、取引区分(例えば納品か返品か)を示す区分情報、情報が入力された月日を示す日付情報、及び取引数量が含まれている。以下、上記した商品が医薬品であるとして、詳細な説明を行う。
【0017】
図2は、図1に示した製造側情報管理装置100の機能構成を示すブロック図である。製造側情報管理装置100は、変換マスタ記憶部110、第1予約マスタ記憶部150、及び変換マスタ更新部160を備えている。変換マスタ記憶部110は、変換マスタを記憶している。この変換マスタは、販売側情報管理装置200で用いられるデータ形式(第1のデータ形式)に従っている商品取引情報(第1のデータ)を、製造側情報管理装置100で用いられるデータ形式(第2のデータ形式)に従う商品取引情報(第2のデータ)に変換するためのマスタである。第1予約マスタ記憶部150は、変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、その第1予約マスタを変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶している。変換マスタ更新部160は、第1タイミングデータに基づいて変換マスタに適用すべき第1予約マスタを選択し、選択した第1予約マスタを用いて変換マスタを更新する。
【0018】
製造側情報管理装置100は、さらに変換前データ記憶部120、変換処理部130、変換後データ記憶部140、及び予約入力部155を備えている。変換前データ記憶部120は、販売側情報管理装置200から商品取引情報を受信して記憶する。変換処理部130は、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを用いて、変換前データ記憶部120が記憶している商品取引情報のデータ形式を、第1のデータ形式から第2のデータ形式に変換する。変換後データ記憶部140は、変換処理部130が変換した後の商品取引情報を記憶している。
【0019】
予約入力部155は、第1予約マスタ記憶部150に記憶されるべき第1予約マスタの入力を受け付ける。第1予約マスタの入力は、例えば変換マスタを将来更新する必要があることが分かったタイミングで行われる。ここで入力される情報には、第1予約マスタを変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータも含まれる。
【0020】
なお、図2に示した製造側情報管理装置100の各構成要素は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。製造側情報管理装置100の各構成要素は、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされた本図の構成要素を実現するプログラム、そのプログラムを格納するハードディスクなどの記憶ユニット、ネットワーク接続用インタフェースを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置には様々な変形例がある。
【0021】
図3は、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタのデータ構成をテーブル形式で示す図である。変換マスタ記憶部110は、例えば図3(a),(b),(c)に示すマスタを全て記憶している。販売側情報管理装置200から受信する商品取引情報のデータ形式は、販売会社によって異なる。一方、変換処理部130によって変換された後のデータ形式は一つである。そして変換マスタ記憶部110は、変換マスタを、販売会社別に記憶している。
【0022】
図3(a)に示すマスタは、販売会社を相互に識別する販売会社識別情報を変換するためのマスタである。なお、販売会社識別情報がさらに販売会社内の担当組織を示す情報や担当者を示す情報を含んでいる場合もある。この場合、これらに関する情報を変換するように変換マスタが構成されていてもよい。
【0023】
図3(b)に示すマスタは、商品(医薬品)を相互に識別する商品識別情報を変換するためのマスタである。商品識別情報は、同一の商品であっても販売会社によって異なる場合が多い。このため、このマスタは販売会社別に、その販売会社の販売会社識別情報に対応付けて記憶されている。
【0024】
図3(c)に示すマスタは、医療施設を相互に識別する施設識別情報を変換するためのマスタである。施設識別情報は、同一の医療施設であっても販売会社によって異なる場合が多い。このため、このマスタは販売会社別に、その販売会社の販売会社識別情報に対応付けて記憶されている。
【0025】
なお、ここでは図示していないが、変換マスタは、取引区分を特定する情報を変換するマスタも含まれている。
【0026】
図4は、変換後データ記憶部140が記憶しているデータをテーブル形式で示す図である。変換後データ記憶部140は、販売会社識別情報に対応付けて、その販売会社識別情報に対応する販売側情報管理装置200から受信した商品取引情報を、変換処理部130で変換された後のデータ形式で記憶している。ここで記憶されている情報には、例えば商品取引情報が入力された月日を示す日付情報、商品識別情報、施設識別情報、取引区分、及び取引数量が含まれる。
【0027】
図5は、第1予約マスタ記憶部150が記憶している第1予約マスタのデータ構成をテーブル形式で示す図である。図5(a)に示す例において、第1予約マスタは商品識別情報に関する変換マスタを更新するための情報である。この第1予約マスタでは、変換マスタが更新されるべき販売会社の販売会社識別情報、更新タイミングを示すデータ(上記した第1タイミングデータ)、変換マスタ記憶部110に反映済であるか否かを示すデータ、及び更新前後の商品識別情報が互いに対応付けられている。
【0028】
図5(b)に示す例において、第1予約マスタは施設識別情報に関する変換マスタを更新するための情報である。この第1予約マスタでは、変換マスタが更新されるべき販売会社の販売会社識別情報、更新タイミングを示すデータ(上記した第1タイミングデータ)、変換マスタ記憶部110に反映済であるか否かを示すデータ、及び更新前後の施設識別情報が互いに対応付けられている。
【0029】
このように第1予約マスタでは、変換マスタが更新されるべき販売会社の販売会社識別情報、更新タイミングを示すデータ(上記した第1タイミングデータ)、変換マスタ記憶部110に反映済であるか否かを示すデータ、及び更新前後の識別情報が互いに対応付けられている。
【0030】
図6は、製造側情報管理装置100の動作の第1例を示すフローチャートである。本図に示す例において、製造側情報管理装置100は、販売側情報管理装置200から受信した商品取引情報を変換する処理を行う。
【0031】
製造側情報管理装置100の変換前データ記憶部120は、販売側情報管理装置200から商品取引情報を受信すると、受信した商品取引情報を記憶しておく。そしてバッチ処理タイミングになる(ステップS10:Yes)と、変換処理部130は、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを用いて、変換前データ記憶部120が記憶している商品取引情報を製造側情報管理装置100で使用されるデータ形式に変換し、変換後データ記憶部140に記憶させる(ステップS20)。また変換処理を行った後、その商品取引情報が変換処理済であることを示す情報を記憶する。
【0032】
なお変換処理部130は、バッチ処理ではなく、変換前データ記憶部120が商品取引情報を受信するたびに変換処理を行ってもよい。
【0033】
図7は、製造側情報管理装置100の動作の第2例を示すフローチャートである。本図に示す例において、製造側情報管理装置100は、変換マスタ記憶部110の更新処理を行う。
【0034】
製造側情報管理装置100の変換マスタ更新部160は、変換マスタ記憶部110の更新処理を行うタイミング(バッチ処理タイミング)になる(ステップS110:Yes)と、第1予約マスタ記憶部150に接続し、第1タイミングデータが現在の日時に一致する第1予約マスタを選択する(ステップS120)。そして変換マスタ更新部160は、選択した第1予約マスタを用いて、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを更新する(ステップS130)。
【0035】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、製造側情報管理装置100の管理者は、変換マスタを将来更新する必要があることが分かったタイミングで、第1予約マスタの入力を行えばよい。そして製造側情報管理装置100の変換マスタ更新部160は、第1タイミングデータが現在の日時に一致する第1予約マスタを選択し、選択した第1予約マスタを用いて、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを更新する。従って、変換マスタの更新を正しいタイミングで行うことができる。販売会社が多数ある場合、変換マスタの更新は頻繁に行われることになるため、上記した効果が特に顕著になる。
【0036】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る製造側情報管理装置100の機能構成を示すブロック図であり、第1の実施形態における図2に相当している。本実施形態に係る製造側情報管理装置100は、以下の点を除いて第1の実施形態に係る製造側情報管理装置100と同様の構成である。
【0037】
まず、製造側情報管理装置100は入力部170を備えている。入力部170は、製造側情報管理装置100の利用者から、将来の所望する日時の入力を受け付ける。そして変換マスタ更新部160は、第1の実施形態に示した処理のほかに、第1予約マスタ記憶部150が記憶している第1予約マスタを用いて、入力部170で受け付けた日時における変換マスタを仮生成する。
【0038】
図9は、入力部170で受け付けた日時における変換マスタを生成する処理の詳細を示すフローチャートである。まず入力部170は、利用者から、将来の所望する日時の入力を受け付ける(ステップS112)。次いで変換マスタ更新部160は、第1予約マスタ記憶部150から、第1タイミングデータがステップS112で入力された日時以前となっている第1予約マスタを選択する(ステップS122)。次いで変換マスタ更新部160は、選択した第1予約マスタを用いて変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを仮更新することにより、入力部170で受け付けた日時における変換マスタを仮生成する(ステップS132)。
【0039】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また将来の所望するタイミングにおける変換マスタのデータ構成を確認することもできる。
【0040】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る製造側情報管理装置100の機能構成を示すブロック図であり、第2の実施形態における図8に相当している。本実施形態に係る製造側情報管理装置100は、以下の点を除いて第2の実施形態に係る製造側情報管理装置100と同様の構成である。
【0041】
まず、製造側情報管理装置100は中断期間記憶部180を備えている。中断期間記憶部180は、変換前データ記憶部120に記憶されている商品取引情報の変換処理の中断期間を示す中断期間情報が、販売会社識別情報に対応付けて記憶されている。そして変換処理部130は、中断期間記憶部180に記憶されている販売会社識別情報に対応付けて変換前データ記憶部120に記憶されている商品取引情報のうち、データの入力日付(すなわち日付情報が示す月日)が中断期間に含まれている商品取引情報については、変換処理を行わない。中断期間情報は、例えば入力部170を介して中断期間記憶部180に入力される。中断期間情報は、例えば第1予約マスタ記憶部150への入力が遅れて変換マスタ記憶部110の更新が間に合わない場合に、入力される。
【0042】
図11は、中断期間記憶部180が記憶している中断期間情報をテーブル形式で示す図である。中断期間記憶部180は、販売会社識別情報に対応付けて、中断開始日と中断終了日を記憶している。なお、中断終了日は必ずしも入力されていなくてもよい。
【0043】
図12は、本実施形態における商品取引情報の変換処理を示すフローチャートであり、第1の実施形態における図6に相当している。製造側情報管理装置100の変換前データ記憶部120は、販売側情報管理装置200から商品取引情報を受信すると、受信した商品取引情報を記憶しておく。そしてバッチ処理タイミングになる(ステップS10:Yes)と、変換処理部130は、中断期間記憶部180が記憶している中断期間情報を読み出す(ステップS15)。
【0044】
次いで変換処理部130は、変換前データ記憶部120に記憶されている商品取引情報を選択する(ステップS21)。次いで変換処理部130は、選択した商品取引情報の販売会社識別情報と日付情報の組み合わせが、中断期間情報のいずれかに一致している場合(ステップS22:Yes)、選択した商品取引情報については変換処理を行わない。そしてこの商品取引情報に対しては、その商品取引情報が変換処理済であることを示す情報を記憶しない。
【0045】
一方、変換処理部130は、選択した商品取引情報の販売会社識別情報と日付情報の組み合わせが、中断期間情報のいずれにも一致していない場合(ステップS22:No)、変換マスタ記憶部110が記憶している変換マスタを用いて、選択した商品取引情報を製造側情報管理装置100で使用されるデータ形式に変換し、変換後データ記憶部140に記憶させる(ステップS23)。また変換処理を行った後、その商品取引情報が変換処理済であることを示す情報を記憶する。
【0046】
変換処理部130は、ステップS21〜ステップS23に示した処理を、全ての商品識別情報を選択するまで行う(ステップS24)。
【0047】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1予約マスタ記憶部150への入力が遅れて変換マスタ記憶部110の更新が間に合わない場合、そのまま変換処理部130が変換処理を続行すると、変換エラーが発生することがある。これに対して本実施形態では、変換処理部130は、中断期間情報と一致する商品取引情報に対しては、データ形式の変換処理を行わない。このため、第1予約マスタ記憶部150への入力が遅れて変換マスタ記憶部110の更新が間に合わない場合においても、中断期間記憶部180に中断期間情報を入力することで、変換処理にエラーが発生することを抑制できる。
【0048】
(第4の実施形態)
図13は、第4の実施形態に係る製造側情報管理装置100の機能構成を示すブロック図である。本実施形態に係る製造側情報管理装置100は、担当記憶部210、担当施設読出部220、及び実績読出部230を備えている点を除いて、第2の実施形態に係る製造側情報管理装置100と同様の構成である。
【0049】
本実施形態において、製造会社10では、医療施設の担当社員が存在している。担当社員には、複数の医療施設(エリアの場合もあり)が割り当てられている。そして担当記憶部210は、担当社員の社員識別情報別に、その担当社員が担当している施設の施設識別情報(又はエリア識別情報)が記憶されている。担当施設読出部220及び実績読出部230は、担当社員別に、その担当社員が担当している施設における商品の取引量を、変換後データ記憶部140を用いて算出する。この処理の詳細は、フローチャートを用いて後述する。
【0050】
図14は、担当記憶部210のデータ構成をテーブル形式で示す図である。担当記憶部210は、社員識別情報(社員番号)別に、その社員識別情報に該当する担当社員が担当している施設の施設識別情報が記憶されている。なお、商品によって担当社員が担当する施設が異なる場合、本図に示すように、担当記憶部210は、さらに商品識別情報別に、施設識別情報を記憶してもよい。
【0051】
図15は、担当社員が担当している施設における商品の取引量を算出する処理の詳細を示すフローチャートである。まず製造側情報管理装置100の利用者は、入力部170に社員番号を入力する(ステップS210)。次いで担当施設読出部220は、入力部170に入力された社員番号に対応する施設識別情報を、担当記憶部210から読み出す(ステップS220)。次いで実績読出部230は、担当施設読出部220が読み出した施設識別情報に対応する商品取引情報を、変換後データ記憶部140から読み出す(ステップS230)。読み出した商品取引情報には、その施設に対する商品の納入量(売上量)が含まれている。そして実績読出部230は、必要に応じて読み出した納入量を演算処理する。ここで行う演算処理は、例えば、その担当社員が担当している施設の所定期間内における商品の納入量の合計値を算出する処理である。
【0052】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、担当社員が担当する施設における商品取引の状況を、容易に把握することができる。
【0053】
(第5の実施形態)
図16は、第5の実施形態に係る製造側情報管理装置100の機能構成を示すブロック図であり、第4の実施形態における図13に相当している。本実施形態に係る製造側情報管理装置100は、担当更新部240及び第2予約マスタ記憶部250を備える点を除いて、第4の実施形態に係る製造側情報管理装置100と同様の構成である。なお本図では、図を見やすくするため、入力部170と変換マスタ更新部160を結ぶ矢印を省略している。
【0054】
第2予約マスタ記憶部250は、第2予約マスタを、第2予約マスタが適用されるタイミングを示す第2タイミングデータに対応付けて記憶している。第2予約マスタは、担当社員が担当する施設が変更されるときに、変更後の担当施設の第2施設識別情報を、その担当社員の担当社員識別情報に対応付ける情報である。担当更新部240は、第2タイミングデータに基づいて担当記憶部210に適用すべき第2予約マスタを選択し、選択した第2予約マスタを用いて担当記憶部210を更新する。そして担当施設読出部220は、更新された担当記憶部210から第2施設識別情報を読み出す。
【0055】
図17は、担当記憶部210の更新処理の一例を示すフローチャートである。製造側情報管理装置100の担当更新部240は、担当記憶部210の更新処理を行うタイミング(バッチ処理タイミング)になる(ステップS300:Yes)と、第2予約マスタ記憶部250に接続し、第2タイミングデータが現在の日時に一致する第2予約マスタを選択する(ステップS310)。そして担当更新部240は、選択した第2予約マスタを用いて、担当記憶部210が記憶している情報を更新する(ステップS320)。
【0056】
図18は、担当更新部240が行う第2の処理を示すフローチャートである。本図に示す処理は、担当社員の担当施設が将来更新される場合において、更新後の各担当施設における商品納入量(売上量)の合計値を、過去の実績を用いて予測する処理である。
【0057】
まず入力部170は、利用者から、将来の所望する日時の入力を受け付ける(ステップS202)。次いで担当更新部240は、第2予約マスタ記憶部250から、第2タイミングデータがステップS202で入力された日時以前となっている第2予約マスタを選択する(ステップS204)。次いで担当更新部240は、選択した第2予約マスタを用いて担当記憶部210が記憶しているデータを仮更新する(ステップS206)。
【0058】
次いで製造側情報管理装置100の利用者は、入力部170に社員番号を入力する(ステップS210)。次いで担当施設読出部220は、入力部170に入力された社員番号に対応する施設識別情報を、仮更新後の担当記憶部210から読み出す(ステップS220)。次いで実績読出部230は、担当施設読出部220が読み出した施設識別情報に対応する商品取引情報を読み出す(ステップS230)。読み出した商品取引情報には、その施設に対する商品の納入量(売上量)が含まれている。そして実績読出部230は、必要に応じて読み出した納入量を演算処理する。具体的には、実績読出部230は、その担当社員が担当している施設の所定期間内における商品の納入量の合計値を算出する。
【0059】
本実施形態によっても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2予約マスタを予め登録しておくことにより、担当記憶部210の更新を正しいタイミングで行うことができる。また担当社員の担当施設が更新されるとき、更新後の各担当施設における商品納入量(売上量)の合計値を、過去の実績を用いて予測することができる。
【0060】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0061】
10 製造会社
20 販売会社
100 製造側情報管理装置
110 変換マスタ記憶部
120 変換前データ記憶部
130 変換処理部
140 変換後データ記憶部
150 第1予約マスタ記憶部
155 予約入力部
160 変換マスタ更新部
170 入力部
180 中断期間記憶部
200 販売側情報管理装置
210 担当記憶部
220 担当施設読出部
230 実績読出部
240 担当更新部
250 第2予約マスタ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを記憶する情報管理装置であって、
前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶している変換マスタ記憶手段と、
前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶する第1予約マスタ記憶手段と、
前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する変換マスタ更新手段と、
を備える情報管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報管理装置において、
前記変換マスタ更新手段は、前記第1タイミングデータが現在の日時に一致する前記第1予約マスタを選択する情報管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報管理装置において、
前記変換マスタ更新手段は、
指定された日時の入力を受け付け、前記第1タイミングデータが前記入力された日時以前の前記第1予約マスタを選択し、
前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新することにより、前記入力された日時における更新後の前記変換マスタを生成する情報管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の情報管理装置において、
前記変換マスタを用いて前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換処理手段をさらに備える情報管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報管理装置において、
前記第1のデータは日付情報を含んでおり、
前記変換処理手段による処理の中断期間を示す中断期間情報を取得する中断期間情報取得手段と、
前記中断期間情報に示されている期間に前記日付情報が含まれている前記第1のデータを、前記第2のデータに変換せずに記憶する中断データ記憶手段と、
をさらに備える情報管理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の情報管理装置において、
前記第1のデータ形式は複数形式あり、前記第2のデータ形式は一形式であり、
前記変換マスタは、前記複数の第1のデータ形式それぞれについて設けられており、
前記第1予約マスタは、前記複数の第1のデータ形式単位で設定される情報管理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報管理装置において、
前記第1のデータ及び前記第2のデータは、商品の販売実績を示す情報であり、
前記第1のデータは、前記商品の販売を行った販売会社を示す第1会社識別情報、及び前記商品を示す第1商品識別情報を含み、
前記第2のデータは、前記販売会社を示す第2会社識別情報、及び前記商品を示す第2商品識別情報を含む情報管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の情報管理装置において、
前記商品は医薬品であり、
前記第2のデータ形式は、前記医薬品を製造する製造会社で使用され、
前記第1のデータは、前記医薬品が納品された医療施設を示す第1施設識別情報と、当該医療施設に納入された納入量とを含んでおり、
前記第2のデータは、前記第1施設識別情報に対応する第2施設識別情報と、前記納入量とを含んでおり、
前記製造会社では、担当社員別に、当該担当社員が担当すべき前記医療施設が定められており、
前記担当社員を他の前記担当社員から識別する社員識別情報を取得する社員情報取得手段と、
前記担当社員が担当する前記医療施設の前記第2施設識別情報を当該担当社員の前記社員識別情報に対応付けて記憶する担当記憶手段から、前記社員情報取得手段が取得した前記担当社員識別情報に対応する前記第2施設識別情報を読み出す担当施設読出手段と、
前記担当施設読出手段が読み出した前記第2施設識別情報に対応する前記納入量を、前記第2のデータを記憶する第2のデータ記憶手段から読み出す実績読出手段と、
をさらに備える情報管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の情報管理装置において、
前記担当社員が担当する前記医療施設が変更されるときに、変更後の前記医療施設の前記第2施設識別情報と、当該担当社員の前記担当社員識別情報とを対応付けた第2予約マスタを、前記第2予約マスタが適用されるべきタイミングを示す第2タイミングデータに対応付けて記憶する第2予約マスタ記憶手段と、
前記第2タイミングデータに基づいて前記担当記憶手段に適用すべき前記第2予約マスタを選択し、選択した前記第2予約マスタを用いて前記担当記憶手段を更新する担当更新手段と、
を備え、
前記担当施設読出手段は、更新された前記担当記憶手段から前記第2施設識別情報を読み出す情報管理装置。
【請求項10】
第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを管理する変換マスタ管理方法であって、
コンピュータが、前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶するとともに、前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶しておき、
前記コンピュータが、前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する変換マスタ管理方法。
【請求項11】
第1のデータ形式に従っている第1のデータを、第2のデータ形式に従う第2のデータに変換するための変換マスタを管理するためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記第1のデータを前記第2のデータに変換する変換マスタを記憶する機能と、
前記変換マスタの少なくとも一部の更新後の情報である第1予約マスタを、当該第1予約マスタを前記変換マスタに適用すべきタイミングを示す第1タイミングデータに対応付けて記憶する機能と、
前記第1タイミングデータに基づいて前記変換マスタに適用すべき前記第1予約マスタを選択し、選択した前記第1予約マスタを用いて前記変換マスタを更新する機能と、
を実現させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate