情報表示システム
【課題】公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能な情報表示システムを提供することにある。
【解決手段】公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置120の内、少なくとも2個の情報表示装置は、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されている。複数の情報表示装置120は、それぞれ同一の構成である。情報表示装置120は、異なる複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部123と、表示情報蓄積部123に格納された複数の表示情報を表示部125に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブル124とを備える。情報表示管理装置110は、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブル116を備える。
【解決手段】公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置120の内、少なくとも2個の情報表示装置は、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されている。複数の情報表示装置120は、それぞれ同一の構成である。情報表示装置120は、異なる複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部123と、表示情報蓄積部123に格納された複数の表示情報を表示部125に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブル124とを備える。情報表示管理装置110は、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブル116を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システムに係り、特に、列車やバス、飛行機等の公共交通機関の利用者向けに情報を表示するに好適な情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の公共交通機関利用者向けの情報表示システムとしては、複数個の表示装置に、同一内容の表示情報を同時に表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−127905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、全ての表示装置に同一の表示情報が表示される場合には、公共交通機関利用者は見たい情報の見逃しや見たい情報が表示されるまでいつ表示されるのか予測できない状態で待たなければならないといった公共交通機関利用者へのサービス面で配慮されてないものであった。
【0005】
本発明の目的は、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能な情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置と、前記複数の情報表示装置を管理する情報表示管理装置とからなる情報表示システムであって、前記複数の情報表示装置の内、少なくとも2個の情報表示装置が、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されており、前記複数の情報表示装置は、それぞれ同一の構成であり、前記複数の情報表示装置は、それぞれ、同一の複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部と、該表示情報蓄積部に格納された複数の表示情報を表示部に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブルとを備え、前記情報表示管理装置は、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、前記第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブルを備え、前記複数の情報表示装置は、前記情報表示管理装置の前記情報表示管理テーブルに格納された順序により指示された表示情報を前記表示部に表示するようにしたものである。
かかる構成により、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能なものとなる。
【0007】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数の情報表示装置の内、各情報表示装置は、前記情報表示管理装置から表示指令情報を受信した後に、各情報表示装置が前記表示情報管理装置間との接続において疎通状態を確認し、その疎通状態が無い場合に自情報表示装置での表示情報の表示を制限する制御部を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の一実施形態による情報表示システムの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による情報表示システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による情報表示システムの全体構成を示すブロック図である。なお、図1は、公共交通機関を上方向から見た場合の図である。
【0010】
車両100は、列車やバス、飛行機等の公共交通機関の車両である。列車の場合には、1両の構成を示している。車両100は、矢印に示すように、左方向に進行するものとする。車両100の内部には、進行方向に向けて、右側の座席R1,…,R5及び左側の座席L1,…,L6が配置されている。なお、座席の数は任意であり、図1に示すものは、説明の都合上の単なる例示である。
【0011】
車両100の内部には、座席に腰掛けた乗客が見れる位置,すなわち、座席よりも進行方向の前方に、複数の情報表示装置120(120A,…,120E)が設置されている。車両100の最前部には、左右に並べて2個の情報表示装置120D,120Eが設置されている。その他の情報表示装置120A,120B,120Cは、順次、車両100の中央に、進行方向に対して適当な間隔をおいて、設置されている。
【0012】
ここで、複数の情報表示装置120の内、少なくとも2個の情報表示装置が、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されている。例えば、座席R4から見た場合、最も視認性の良好なのは、座席R4からの距離が近い情報表示装置120Bであり、情報表示装置120Cは、情報表示装置120Bについで距離が近いため、次に視認性が良好である。座席R4に座った人から見た場合、情報表示装置120D,120Eは、その人の視力が良ければ、情報表示装置120Cについで視認性の良好な情報表示装置となる。なお、座席R4からでは、情報表示装置120Aは背後に位置するため、全く視認性がないものである。
【0013】
なお、車両の最前方に設置する情報表示装置は、図示のように、左右に2個並べる代わりに、上下に2個並べるようにしてもよいものである。なお、最前部に設置する情報表示装置を1個のみとしてもよいものであり、この場合には、前方の座席に座っている乗客へのサービス性は他の座席に比べて若干低下する。
【0014】
情報表示管理装置110は、複数の情報表示装置120に接続されており、情報表示装置120が表示する表示情報の内容を管理する。情報表示装置120は、情報表示管理装置110が配信する表示指令情報を受信して、予め内部に蓄積されている表示情報を表示する。複数の情報表示装置120A,…,120Eに蓄積されている表示情報は同じものである。ただし、蓄積された表示情報を表示する順番は、個々の情報表示装置120A,…,120Eによって異なっている。表示順番は、情報表示管理装置110によって管理されている。
【0015】
なお、車両100が列車の場合、車両の進行方向が前後する。その場合には、図1に示したものの、2倍の情報表示装置120を設置し、車両の進行方向に応じて、表示に用いる情報表示装置を切り替えるものとする。若しくは、図1に示した情報表示装置120の表示画面の向きを、車両の進行方向の切替に応じて、回転させるようにしてもよいものである。
【0016】
次に、図2を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
情報表示管理装置110は、インターフェース部112と、制御部114と、情報表示装置管理テーブル116とを備えている。
【0018】
インターフェース部112は、情報表示管理装置110に接続される各情報表示装置120に対して表示指令情報を配信する。制御部114は、インターフェース部112に対して、表示指令情報を配信処理する。情報表示装置管理テーブル116は、情報表示管理装置110に接続される各情報表示装置120の情報を保有する。情報表示装置管理テーブル116が保有する情報の一例については、図3を用いて後述する。
【0019】
次に、図3を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110の情報表示装置管理テーブル116が保有する情報の内容について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の情報表示装置管理テーブルが保有する情報の内容の説明図である。
【0020】
情報表示装置管理テーブル116は、情報表示装置管理番号と、スケジュール番号とから構成される。情報表示装置管理番号は、図1に示した情報表示管理装置110に接続される全ての情報表示装置120毎に唯一となる情報である。ここで、情報表示装置管理番号は、図2に示した情報表示管理装置110の制御部114及びインターフェース部112が情報表示管理装置110に接続する各報表示装置120に対して表示指令情報を配信するための情報であるため、各情報表示装置120が保有する宛先アドレスであることが望ましい。
【0021】
例えば、図3に示した例では、情報表示装置管理番号「111101A1」は、情報表示装置120Aの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A2」は、情報表示装置120Bの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A3」は、情報表示装置120Cの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A4」は、情報表示装置120Dの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A5」は、情報表示装置120Eの管理番号である。
【0022】
スケジュール番号は、情報表示装置120が始めに表示する表示情報を定める情報である。例えば、図示の例では、情報表示装置管理番号「111101A1」である情報表示装置120Aは、スケジュール番号「001」に紐付く表示情報「001」を最初に表示することを意味している。また、情報表示装置管理番号「111101A2」である情報表示装置120Bは、スケジュール番号「002」に紐付く表示情報「002」を最初に表示することを意味している。なお、スケジュール番号は、情報表示装置120でも用いられるものであり、その点については、図6を用いて後述する。ここでは、各情報表示装置管理番号で指定される情報表示装置においては、スケジュール番号に示されるように、それぞれ、最初に表示される情報の内容が異なっている点が重要である。すなわち、従来は、複数の情報表示装置に対して同一の情報を表示していたのに対して、本実施形態では、複数の情報表示装置に対して異なる情報を表示している。しかも、情報の表示順も重要であり、その点については、後述する。
【0023】
次に、図4を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110のから情報表示装置120に配信する表示指令情報の内容について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置から情報表示装置に配信する表示指令情報の内容の説明図である。
【0024】
図4は、図2に示した制御部114が、図3に示した情報表示装置管理テーブル116に基づいて生成する表示指令情報の内容を示している。表示指令情報は、情報表示装置管理番号と、スケジュール番号から構成されている。表示指令情報は、各情報表示装置120毎に作成する情報であり、各表示指令情報は一つの情報表示装置管理番号と一つのスケジュール番号で構成される。
【0025】
例えば、図示の例では、情報表示装置管理番号「111101A1」である情報表示装置120Aに対しては、スケジュール番号「001」に紐付く表示情報「001」を最初に表示することを指示する。また、情報表示装置管理番号「111101A2」である情報表示装置120Bは、スケジュール番号「002」に紐付く表示情報「002」を最初に表示することを指示している。
【0026】
制御部114は、まず、予め用意された情報表示装置管理テーブル116を参照して表示指令情報を情報表示装置管理テーブル116が保有する情報から生成する。作成した各表示指令情報は、インターフェース部112に送信する。インターフェース部112は、各表示指令情報が有する情報表示装置管理番号に基づき、該当する各情報表示装置120に同時に表示指令情報を配信する。
【0027】
ここで、制御部114の開始処理のトリガーについては、公共交通機関の搭乗員(ここでは運行操作者や添乗員等を示す)による手動処理、又は図1に図示しない公共交通機関の運行制御情報を制御する装置(ここでは運行制御装置と称す)から特定情報(例えば、運行位置情報や運行速度情報、ドア開閉情報等)を制御部114が受信し、その特定情報の受信に基づく自動処理のどちらの方法を採用してもよい。なお、前者は運行操作者や添乗員等の主業務を妨げる可能性があるため後者が望ましいものである。
【0028】
次に、図5を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置120の構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に示した複数の情報表示装置120A,…,120Eは、全て同一構成であるため、ここでは、情報表示装置120として説明する。
【0029】
情報表示装置120は、インターフェース部121と、制御部122と、表示情報蓄積部123と、表示情報スケジュールテーブル124と、表示部125とを備えている。
【0030】
インターフェース部121は、情報表示管理装置110が配信する表示指令情報を受信する。制御部122は、インターフェース部121が受信した表示指令情報を受信し、表示情報を予め定めた表示順序に沿って表示する処理を行う。
【0031】
表示情報蓄積部123は、種々の表示情報を予め格納している。表示情報蓄積部123に格納された表示情報としては、例えば、図6を用いて後述するように、表示情報ファイル名AAAAAA,表示情報ファイル名BBBBBB,表示情報ファイル名CCCCCC,表示情報ファイル名DDDDDD,表示情報ファイル名EEEEEEのような、異なる表示情報ファイル名のファイルに格納されている。
【0032】
表示情報の一例としては、路線案内が挙げられる。表示情報が路線案内に場合、表示情報ファイル名AAAAAAは、例えば、日本語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名BBBBBBは、例えば、英語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名CCCCCCは、例えば、中国語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名DDDDDDは、例えば、韓国語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名EEEEEEは、例えば、ロシア語表記の路線案内である。
【0033】
表示情報スケジュールテーブル124は、表示情報蓄積部123に格納される表示情報の表示順序を定めるケジュールテーブルである。表示情報スケジュールテーブル124に格納される内容については、図6を用いて後述する。表示部125は、表示情報蓄積部123に格納される表示情報を表示する。
【0034】
表示部125に表示される表示情報は、公共交通機関利用者に対して視認性の有る映像情報やデザイン性のある情報であることが望ましく、それらの表示情報を表示するために、表示部125は、LCD(液晶表示器)又はそれと同等の表示媒体である。
【0035】
表示情報蓄積部123に格納される表示情報や表示情報スケジュールテーブル124は、後述する公共交通機関利用者へのサービス面から情報表示管理装置110に接続される全ての情報表示装置120にて同一の情報を格納する。
【0036】
表示情報蓄積部123に表示情報を格納する方法としては、公共交通機関が営業運転する前の時点において、表示情報インストール用端末(例:ノード型PC)を各情報表示装置に接続し、表示情報蓄積部123に表示情報を格納する。なお、情報表示管理装置110に表示情報インストール用端末を接続し、情報表示管理装置110の内部に一旦格納した後、複数の情報表示装置120に配信して、表示情報蓄積部123に表示情報を格納するようにしてもよいものである。
【0037】
次に、図6を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置120の表示情報スケジュールテーブル124の内容について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の表示情報スケジュールテーブルの内容の説明図である。
【0038】
表示情報スケジュールテーブル124は、スケジュール番号と、表示情報ファイル名と、表示時間から構成される。スケジュール番号は、唯一となる情報である。表示情報ファイル名は、表示情報蓄積部123に蓄積する表示情報を特定する情報である。表示時間は、表示情報を表示部125に表示する時間を示す情報である。表示時間は表示情報を視認できる時間であることが望ましく、数秒〜数分程度である。なお、表示時間(T1〜T5)は、公共交通機関利用者へのサービス面から同じ時間であることが望ましい。
【0039】
表示情報スケジュールテーブルに格納される情報は、表示の順序性を考慮して設定するものとし、スケジュール番号をキー項目として各情報を設定する。
【0040】
図6に示した例では、スケジュール番号001が指定されると、表示情報ファイル名AAAAAAが表示時間T1の間表示される。スケジュール番号001の表示が終了すると、次には、スケジュール番号002が選択され、表示情報ファイル名BBBBBBが表示時間T2の間表示される。このように、スケジュール番号に従って、順次スケジュール番号001,002,003というように、表情報が切り替えられる。また、最初に、スケジュール番号004が指定されると、表示情報ファイル名DDDDDDが表示され、次に、スケジュール番号005の表示情報が表示される。スケジュール番号は0005が最終であるので、スケジュール番号0005の表示が終了すると、スケジュール番号001に戻るようにしている。
【0041】
なお、図6に示した例では、5個のスケジュール番号(これは、図3にて説明したように、5個の表示装置120A,…,120Eに対応する)に対して、5個の表示情報があるものとして説明したが、表示装置の数と、表示情報の数とは、1対1に対応する必要はないものである。例えば、表示情報の数が3個の場合には、スケジュール番号「004」の表示情報ファイル名を「AAAAAA」とし、スケジュール番号「005」の表示情報ファイル名を「BBBBBB」とすることができる。すなわち、本質的な点としては、2個以上の表示装置を備えるものにおいて、表示情報の数が2個以上である必要がある。
【0042】
次に、図5に示した情報表示装置120の動作について説明する。
【0043】
インターフェース部121は、情報表示管理装置110から表示指令情報を受信すると、制御部122に対して表示指令情報を送信する。制御部122は、インターフェース部121から表示指令情報を受信すると、表示情報スケジュールテーブル124を参照し、表示情報スケジュールテーブル124で保有するスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号001とする)を検索して、スケジュール番号001に該当する表示情報ファイル名(ここでは図6に示す表示情報ファイル名AAAAAAとする)と、スケジュール番号001に該当する表示時間(ここでは図6に示す表示時間T1とする)を選出する。
【0044】
次に、制御部123は、選出した表示情報ファイル名AAAAAAに該当する表示情報を表示情報蓄積部123から選択して、表示部125に表示時間T1分表示する。表示部125に表示情報ファイル名AAAAAAに該当する表示情報を表示した後、制御部122は表示情報スケジュールテーブル124を参照し、スケジュール番号001の次行に位置するスケジュール番号002に該当する表示情報ファイル名BBBBBBとその表示時間T2を選出し、表示情報蓄積部123から表示情報ファイル名BBBBBBに該当する表示情報を選択し、表示部125に表示時間T2分表示する。
【0045】
制御部122は、表示情報スケジュールテーブル124が保有するスケジュール番号の格納順にそのスケジュール番号に該当する表示情報ファイル名の表示情報を表示情報蓄積部123から選択し、該当する表示時間分表示する処理を行う。
【0046】
制御部122が、表示情報スケジュールテのブル124が保有する最後のスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号005とする)に該当する表示情報ファイル名(ここでは表示情報ファイル名EEEEEE)の表示情報を表示情報蓄積部123から選出して表示時間(ここでは図6に示す表示時間T5)分表示した場合、制御部122が表示情報スケジュールテーブル124が保有する最初のスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号001)に該当する表示情報ファイル名(ここでは表示情報ファイル名AAAAAA)の表示情報を表示情報蓄積部123から表示時間(ここでは図6に示す表示時間T1)分表示する処理を行うことで、表示部125に表示される表示情報が途絶えることなく表示できる。
【0047】
図1に戻り、図1に示したように、複数の情報表示装置120A,…,120Eは、主として規則的に(直線状に)設置するものとする。これは、座席(ここでは公共交通機関利用者用の座席を示す)が公共共通機関の進行方向に対して同一方向に設置する公共交通機関、例えば列車やバス、飛行機、において公共交通機関利用者が座席に着座した際、公共交通機関利用者が複数の情報表示装置120の表示面を見渡せること(つまり、各表示装置120の表示面が公共交通機関の進行方向に対して反対方向を向いていること)が本発明では重要であるためである。情報表示装置120の設置位置について、図1では先頭座席付近の情報表示装置120を公共交通機関の進行方向に対して横方向に2つ設置しているが、これは、先頭座席及び先頭座席付近の座席に着座する公共交通機関利用者が複数の情報表示装置を見ることを可能にするためである。ここで、図1では情報表示装置120の設置を先頭座席付近に2台及びその後方に直線状に1台ずつ設置する方法を採用しているが、公共交通機関利用者が複数の情報表示装置120の表示面を見渡せるレイアウトであればよく、例えば、図1に図示しない情報表示装置120を公共交通機関の進行方向に対して直線状に且つ2列設置するようにすることもできる。
【0048】
また、情報表示装置管理テーブル116の情報表示装置管理番号は、公共交通機関の最後部に設置される情報表示装置120(ここでは図1の情報表示装置A1を示す)から順番に設定するものとし、情報表示装置管理テーブル116に保有するスケジュール番号は図6に示す表示情報スケジュールテーブル124のスケジュール番号の順に設定する。このように設定した結果の一例は、図3のようになる。
【0049】
上記のように情報表示装置120を設置し、情報表示装置管理テーブル116の情報を設定することで、座席に着座する公共交通機関利用者は情報表示装置120の表示面が最も視認性の有る情報表示装置120において、見たい表示情報を見ることができる。
【0050】
次に、図7及び図8を用いて、本実施形態による情報表示システムにおける表示例について説明する。
図7及び図8は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【0051】
図7及び図8は、図1に示したように、複数の情報表示装置120を車両内に設置し、図3に示したように情報表示装置管理テーブル116を設定し、図6に示したように各表示情報装置120の表示情報スケジュールテーブル124が設定(ただし、ここでは表示時間T1〜T5は同一時間Tであるものとする)される場合の表示例を示している。
【0052】
図7は、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、各々の表示部125に表示情報を表示した時の表示例である。また、図8は、図7の表示時点から、表示時間Tを経過した後に各情報表示装置120の制御部122が表示情報を表示した時の表示例である。
【0053】
また、例えば、図1に示した座席R4に公共交通機関利用者(ここでは図示しない公共交通機関利用者HR4とする)が着座している場合、公共交通機関利用者HR4が最も視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は、図7及び図8に示すように、情報表示装置120Bであり、続いて視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は情報表示装置120Cであり、続いて視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は情報表示装置120D及び情報表示装置120Eである。
【0054】
ここで、図1に示した情報表示装置120Aは、座席R4に着座する公共交通機関利用者HR4から視認性が無い情報表示装置120であるものとし、図7及び図8には図示していない。
【0055】
公共交通機関利用者HR4が、図7に示す表示情報CCCCCCを見たい場合、図7の時点(つまり、ここでは、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、各々の表示部125に表示情報を表示した時点)で、表示情報CCCCCCを情報表示装置120Cで確認することができ、図8の時点(つまり、ここでは、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、表示時間Tを経過した後に各情報表示装置120の制御部122が表示情報を表示した時点)で、情報表示装置120Cより視認性の有る情報表示装置120Bで表示情報CCCCCCを見ることができる。
【0056】
すなわち、図7に示すように、若干視認性に劣る情報表示装置120Cにより、表示情報CCCCCCを予告的に確認でき、その上で、さらに視認性の優れた情報表示装置120Bにより、表示情報CCCCCCを見ることができる。したがって、公共交通機関利用者は見たい情報の見逃しが回避でき、また、見たい情報がいつ表示されるのかを予測できるため、公共交通機関利用者へのサービス面が向上する。
【0057】
このような表示を実行するためには、図3に示した情報表示管理テーブル116の情報表示管理情報と、図6に示した表示情報スケジュールテーブル124のスケジュールが重要である。すなわち、図3に示した情報表示管理テーブル116では、車両の最後方の情報表示装置に対するスケジュール番号を001とすると、車両の前方に行くに従って、スケジュール番号を順次繰り下げている。一方、図6に示した表示情報スケジュールテーブル124では、スケジュール番号は001から順次繰り下がるようになっている。このような関係とすることで、図7及び図8に示したように、若干視認性に劣る情報表示装置120Cにより、表示情報CCCCCCを予告的に確認でき、その上で、さらに視認性の優れた情報表示装置120Bにより、表示情報CCCCCCを見ることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態では、図1に示したように複数の情報表示装置120を設置し、各情報表示装置120が同一の表示情報スケジュールテーブル124及び表示情報スケジュールテーブル124の表示情報ファイル名に該当する表示情報を保持し、情報表示管理装置110の制御部が図3に示した情報表示装置管理テーブル116に基づいて各表示指令情報を配信し、各情報表示装置120が同時に各表示指令情報を受信してその各表示指令情報に基づく表示情報を各々同時に表示する時、公共交通機関の座席に着座する公共交通機関利用者は見たい情報を予め最も視認性の有る情報表示装置120の先方にある情報表示装置120で確認した上で、最も視認性の有る情報表示装置120で見ることができるため、公共交通機関利用者へのサービスの面で効果的である。
【0059】
また、特許文献1記載のものでは、映像情報配信装置から複数の表示装置に表示情報を配信するものであるため、映像情報配信装置と表示装置間の配線異常が生じると、表示装置には表示情報が表示されないという問題が生じる。それに対して、本実施形態では、予め、表示情報蓄積部123に表示情報を格納しているので、公共交通機関利用者へのサービス面で効果的である。
【0060】
なお、以上の説明に関連して、公共交通機関の運行状況(運行位置や運行速度等)に応じて表示情報及び表示スケジュールを変更したい場合は、それに応じた表示情報スケジュールテーブル124を作成する。その場合は、表示情報スケジュールテーブル124に、図6に図示しない識別子(例えば運行状況を識別するための運行状況識別区分等)を設けて運行状況に応じた複数の表示情報スケジュールテーブル124を用意し、該当する識別子を有する表示情報スケジュールテーブル124を使用できるようにする。
【0061】
また、情報表示装置に表示する情報としては、前述の路線案内の他に、”乗換案内”や”駅設備案内(ホームの階段やエスカレータ、出口の位置を示す案内)”、”マナー案内”を表示するようにしてもよいものである。なお、マナー案内には、忘れ物注意喚起、女性専用車両案内、駆込み注意案内、非常設備(消火器や非常停止ボタン位置を示す)案内などがある。さらに、情報表示装置に表示する情報としては、広告もある。広告(ビール)、広告(化粧品)、広告(遊園地)等の複数の情報を異なる情報表示装置に、異なるタイミングで表示する。
【0062】
また、図1に示した例では、座席が車両の進行方向に向いた車両の場合であるが、公共交通機関の車両の乗降口のドア上にのみ複数の情報表示装置120を設置する場合は、複数(例えば、2台〜4台程度)の情報表示装置120をドア上位置に並列に設置する場合にも、本実施形態は適用できるものである。
【0063】
次に、図9〜図11を用いて、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置110と各情報表示装置120間の疎通状態の確認処理の内容についてついて説明する。
図9は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置と各情報表示装置間の疎通状態の確認処理の内容を示すフローチャートである。図10は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、情報表示装置の制御部が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置の制御部の処理内容を示すフローチャートである。図11は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないための説明図である。
【0064】
最初に、図9を用いて、情報表示管理装置110と各情報表示装置120間の疎通状態を確認するための処理内容について説明する。ここで、疎通状態とは、情報表示管理装置110と各情報表示装置120間で通信が行える状態のことである。
【0065】
ステップS10において、情報表示管理装置110の制御部114は、各情報表示装置120に対して表示指令情報を配信する。
【0066】
その後、ステップS20において、各情報表示装置120の制御部122は、、インターフェース部121を介して、情報表示管理装置110に対して疎通状態確認要求の処理を行う。
【0067】
情報表示装置120の制御部122は、ステップS20の疎通状態確認要求処理を実行した後、ステップS30において、疎通状態確認要求を開始したことを示すタイマーを起動する。
【0068】
それに対して、情報表示管理装置110の制御部114はインターフェース部112を介して疎通状態確認要求を受信した場合、ステップS40において、即座に疎通状態確認要求の発信元である情報表示装置120に対して疎通状態であることを示す応答処理を行う。
【0069】
次に、ステップS50において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態応答を受信した後、ステップS30の疎通状態確認応答タイマー起動処理で実行したタイマーをリセットする処理を実行する。
【0070】
次に、ステップS60において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認応答タイマーリセット処理(ステップS50)を実行した後、ステップS20に戻り、再び疎通状態確認要求処理を実行する。
【0071】
ステップS20の疎通状態確認要求処理からステップS40の疎通状態確認応答タイマーリセット処理が実行している間に、ステップS60において、情報表示管理装置110の制御部114が、情報表示装置120の表示を終了する情報を配信し、インターフェース部112を介して各情報表示装置120の制御部122が表示を終了する情報を受信すると、ステップS70において、各情報表示装置120の制御部122は表示部125に対する表示情報スケジュールテーブルに基づく表示情報の表示を終了する処理を行う。
【0072】
図10は、図9において情報表示装置120の制御部122が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置120の制御部122の処理フローを示している。なお、図9と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
【0073】
情報表示装置01002の制御部114が、ステップS30の疎通状態確認応答タイマー起動処理を実行してから一定時間(経過時間TIME1)を経過した後、ステップS35において、情報表示装置120の制御部122は疎通状態応答受信の有無を確認する処理を行う。
【0074】
ここで、情報表示装置120の制御部122が疎通状態応答を受信している場合、ステップS50において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認応答タイマーリセット処理を実行する。
【0075】
情報表示装置120の制御部122が疎通状態確認処理1002時に疎通状態応答を受信していない場合、ステップS55において、情報表示装置120の制御部122は、ステップS20の疎通状態確認要求処理を実行した回数を加算する処理を実行する。
【0076】
ステップS55の要求回数加算処理が実行された後、ステップS65において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認要求処理0902を実行した回数が予め定められた回数を上回っているか否かを判定し、疎通状態確認要求処理を実行した回数が予め定められた回数を上回っていなければ、ステップS20に戻り、疎通状態確認要求処理を実行する。疎通状態確認要求処理を実行した回数が予め定められた回数を上回っていれば、ステップS65において、疎通状態確認要求処理を実行した回数をリセットする処理を実行する。
【0077】
図9及び図10の処理フローは、例えば、情報表示管理装置110と情報表示装置120(例えば、ここでは、情報表示装置120Aとする)間の疎通状態が無い場合、情報表示装置120Aにおいて、情報表示装置120Aの表示情報スケジュールテーブル124と表示情報蓄積部123に基づく表示情報の表示を行わないようにするための処理である。これは、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないためである。
【0078】
図11は、公共交通機関が図に示す地点aを出発して地点bを経由して地点cに到達する運行をする場合の運行状況について示している。
【0079】
ここで、地点aから地点bの間で用いる表示情報(表示情報ab)と、地点bから地点cの間で用いる表示情報(表示情報bc)は異なるものとする。そして、地点aから地点bの間で表示情報bcを表示すること及び地点bから地点cの間で表示情報abを表示することは不適切な表示であるとする。また、図11に示す経過時間X1は各情報表示装置120が表示指令情報に伴い、各表示部125に表示情報abを表示開始する時間を示し、経過時間X2は情報表示管理装置110と情報表示装置120(ここでは、情報表示装置120Aとする)の疎通状態が無くなった時間を示し、経過時間X3は情報表示管理装置110が表示情報bcに関する表示指令情報を各情報表示装置120に配信する時間を示す。
【0080】
ここで、図10に示す処理フローが無い場合、経過時間X3を経過すると、情報表示管理装置110と疎通状態に無い情報表示装置120Aは経過時間X3で配信される表示指令情報を受信しないため表示部には表示情報bcではなく、表示情報abを表示することになる。これは、上述の「地点bから地点cの間で表示情報abを表示することは不適切な表示である」の状況となる。例えば、公共交通機関を列車、地点aをa駅、地点bをb駅、地点cをc駅、表示情報abを「次はb駅です」、表示情報bcを「次はc駅です」と置ぎ換えてみると、a駅を出発してb駅を経由してc駅に到達する列車が、b駅とc駅を走行中、b駅を通過したにもかかわらず情報表示装置A1は「次はb駅です」と表示することになり、列車走行において誤った表示すなわち不適切な表示を行うことになる。 それに対して、図9及び図10にて説明した処理を実行することで、公共交通機関利用者に対して誤情報を与えることを回避することができる。
【0081】
なお、地点aから地点bの間で用いる表示情報(表示情報ab)と、地点bから地点cの間で用いる表示情報(表示情報bc)は異なるものとするために、図6にて説明したように、表示情報スケジュールテーブル124は、地点a−地点bの区間用のものと、地点b−地点cの区間用のものとを備える必要がある。
【0082】
なお、以上の説明では、公共交通機関として列車やバス、飛行機を例に挙げているが、これら以外にモノレールやリニアモーターカー、路面電車など所定の行路を走行する交通機関に対しても適用できるものである。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良され得ると共に、本発明はその等価物も含まれる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態による情報表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の情報表示装置管理テーブルが保有する情報の内容の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置から情報表示装置に配信する表示指令情報の内容の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の表示情報スケジュールテーブルの内容の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置と各情報表示装置間の疎通状態の確認処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、情報表示装置の制御部が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置の制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないための説明図である。
【符号の説明】
【0085】
110…情報表示管理装置
112…インターフェース部
114…制御部
116…情報表示装置管理テーブル
120…情報表示装置
121…インターフェース部
122…制御部
123…表示情報蓄積部
124…表示情報スケジュールテーブル
125…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示システムに係り、特に、列車やバス、飛行機等の公共交通機関の利用者向けに情報を表示するに好適な情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の公共交通機関利用者向けの情報表示システムとしては、複数個の表示装置に、同一内容の表示情報を同時に表示するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−127905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のように、全ての表示装置に同一の表示情報が表示される場合には、公共交通機関利用者は見たい情報の見逃しや見たい情報が表示されるまでいつ表示されるのか予測できない状態で待たなければならないといった公共交通機関利用者へのサービス面で配慮されてないものであった。
【0005】
本発明の目的は、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能な情報表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置と、前記複数の情報表示装置を管理する情報表示管理装置とからなる情報表示システムであって、前記複数の情報表示装置の内、少なくとも2個の情報表示装置が、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されており、前記複数の情報表示装置は、それぞれ同一の構成であり、前記複数の情報表示装置は、それぞれ、同一の複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部と、該表示情報蓄積部に格納された複数の表示情報を表示部に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブルとを備え、前記情報表示管理装置は、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、前記第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブルを備え、前記複数の情報表示装置は、前記情報表示管理装置の前記情報表示管理テーブルに格納された順序により指示された表示情報を前記表示部に表示するようにしたものである。
かかる構成により、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能なものとなる。
【0007】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記複数の情報表示装置の内、各情報表示装置は、前記情報表示管理装置から表示指令情報を受信した後に、各情報表示装置が前記表示情報管理装置間との接続において疎通状態を確認し、その疎通状態が無い場合に自情報表示装置での表示情報の表示を制限する制御部を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図11を用いて、本発明の一実施形態による情報表示システムの構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による情報表示システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による情報表示システムの全体構成を示すブロック図である。なお、図1は、公共交通機関を上方向から見た場合の図である。
【0010】
車両100は、列車やバス、飛行機等の公共交通機関の車両である。列車の場合には、1両の構成を示している。車両100は、矢印に示すように、左方向に進行するものとする。車両100の内部には、進行方向に向けて、右側の座席R1,…,R5及び左側の座席L1,…,L6が配置されている。なお、座席の数は任意であり、図1に示すものは、説明の都合上の単なる例示である。
【0011】
車両100の内部には、座席に腰掛けた乗客が見れる位置,すなわち、座席よりも進行方向の前方に、複数の情報表示装置120(120A,…,120E)が設置されている。車両100の最前部には、左右に並べて2個の情報表示装置120D,120Eが設置されている。その他の情報表示装置120A,120B,120Cは、順次、車両100の中央に、進行方向に対して適当な間隔をおいて、設置されている。
【0012】
ここで、複数の情報表示装置120の内、少なくとも2個の情報表示装置が、公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されている。例えば、座席R4から見た場合、最も視認性の良好なのは、座席R4からの距離が近い情報表示装置120Bであり、情報表示装置120Cは、情報表示装置120Bについで距離が近いため、次に視認性が良好である。座席R4に座った人から見た場合、情報表示装置120D,120Eは、その人の視力が良ければ、情報表示装置120Cについで視認性の良好な情報表示装置となる。なお、座席R4からでは、情報表示装置120Aは背後に位置するため、全く視認性がないものである。
【0013】
なお、車両の最前方に設置する情報表示装置は、図示のように、左右に2個並べる代わりに、上下に2個並べるようにしてもよいものである。なお、最前部に設置する情報表示装置を1個のみとしてもよいものであり、この場合には、前方の座席に座っている乗客へのサービス性は他の座席に比べて若干低下する。
【0014】
情報表示管理装置110は、複数の情報表示装置120に接続されており、情報表示装置120が表示する表示情報の内容を管理する。情報表示装置120は、情報表示管理装置110が配信する表示指令情報を受信して、予め内部に蓄積されている表示情報を表示する。複数の情報表示装置120A,…,120Eに蓄積されている表示情報は同じものである。ただし、蓄積された表示情報を表示する順番は、個々の情報表示装置120A,…,120Eによって異なっている。表示順番は、情報表示管理装置110によって管理されている。
【0015】
なお、車両100が列車の場合、車両の進行方向が前後する。その場合には、図1に示したものの、2倍の情報表示装置120を設置し、車両の進行方向に応じて、表示に用いる情報表示装置を切り替えるものとする。若しくは、図1に示した情報表示装置120の表示画面の向きを、車両の進行方向の切替に応じて、回転させるようにしてもよいものである。
【0016】
次に、図2を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の構成を示すブロック図である。
【0017】
情報表示管理装置110は、インターフェース部112と、制御部114と、情報表示装置管理テーブル116とを備えている。
【0018】
インターフェース部112は、情報表示管理装置110に接続される各情報表示装置120に対して表示指令情報を配信する。制御部114は、インターフェース部112に対して、表示指令情報を配信処理する。情報表示装置管理テーブル116は、情報表示管理装置110に接続される各情報表示装置120の情報を保有する。情報表示装置管理テーブル116が保有する情報の一例については、図3を用いて後述する。
【0019】
次に、図3を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110の情報表示装置管理テーブル116が保有する情報の内容について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の情報表示装置管理テーブルが保有する情報の内容の説明図である。
【0020】
情報表示装置管理テーブル116は、情報表示装置管理番号と、スケジュール番号とから構成される。情報表示装置管理番号は、図1に示した情報表示管理装置110に接続される全ての情報表示装置120毎に唯一となる情報である。ここで、情報表示装置管理番号は、図2に示した情報表示管理装置110の制御部114及びインターフェース部112が情報表示管理装置110に接続する各報表示装置120に対して表示指令情報を配信するための情報であるため、各情報表示装置120が保有する宛先アドレスであることが望ましい。
【0021】
例えば、図3に示した例では、情報表示装置管理番号「111101A1」は、情報表示装置120Aの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A2」は、情報表示装置120Bの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A3」は、情報表示装置120Cの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A4」は、情報表示装置120Dの管理番号であり、情報表示装置管理番号「111101A5」は、情報表示装置120Eの管理番号である。
【0022】
スケジュール番号は、情報表示装置120が始めに表示する表示情報を定める情報である。例えば、図示の例では、情報表示装置管理番号「111101A1」である情報表示装置120Aは、スケジュール番号「001」に紐付く表示情報「001」を最初に表示することを意味している。また、情報表示装置管理番号「111101A2」である情報表示装置120Bは、スケジュール番号「002」に紐付く表示情報「002」を最初に表示することを意味している。なお、スケジュール番号は、情報表示装置120でも用いられるものであり、その点については、図6を用いて後述する。ここでは、各情報表示装置管理番号で指定される情報表示装置においては、スケジュール番号に示されるように、それぞれ、最初に表示される情報の内容が異なっている点が重要である。すなわち、従来は、複数の情報表示装置に対して同一の情報を表示していたのに対して、本実施形態では、複数の情報表示装置に対して異なる情報を表示している。しかも、情報の表示順も重要であり、その点については、後述する。
【0023】
次に、図4を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置110のから情報表示装置120に配信する表示指令情報の内容について説明する。
図4は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置から情報表示装置に配信する表示指令情報の内容の説明図である。
【0024】
図4は、図2に示した制御部114が、図3に示した情報表示装置管理テーブル116に基づいて生成する表示指令情報の内容を示している。表示指令情報は、情報表示装置管理番号と、スケジュール番号から構成されている。表示指令情報は、各情報表示装置120毎に作成する情報であり、各表示指令情報は一つの情報表示装置管理番号と一つのスケジュール番号で構成される。
【0025】
例えば、図示の例では、情報表示装置管理番号「111101A1」である情報表示装置120Aに対しては、スケジュール番号「001」に紐付く表示情報「001」を最初に表示することを指示する。また、情報表示装置管理番号「111101A2」である情報表示装置120Bは、スケジュール番号「002」に紐付く表示情報「002」を最初に表示することを指示している。
【0026】
制御部114は、まず、予め用意された情報表示装置管理テーブル116を参照して表示指令情報を情報表示装置管理テーブル116が保有する情報から生成する。作成した各表示指令情報は、インターフェース部112に送信する。インターフェース部112は、各表示指令情報が有する情報表示装置管理番号に基づき、該当する各情報表示装置120に同時に表示指令情報を配信する。
【0027】
ここで、制御部114の開始処理のトリガーについては、公共交通機関の搭乗員(ここでは運行操作者や添乗員等を示す)による手動処理、又は図1に図示しない公共交通機関の運行制御情報を制御する装置(ここでは運行制御装置と称す)から特定情報(例えば、運行位置情報や運行速度情報、ドア開閉情報等)を制御部114が受信し、その特定情報の受信に基づく自動処理のどちらの方法を採用してもよい。なお、前者は運行操作者や添乗員等の主業務を妨げる可能性があるため後者が望ましいものである。
【0028】
次に、図5を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置120の構成について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に示した複数の情報表示装置120A,…,120Eは、全て同一構成であるため、ここでは、情報表示装置120として説明する。
【0029】
情報表示装置120は、インターフェース部121と、制御部122と、表示情報蓄積部123と、表示情報スケジュールテーブル124と、表示部125とを備えている。
【0030】
インターフェース部121は、情報表示管理装置110が配信する表示指令情報を受信する。制御部122は、インターフェース部121が受信した表示指令情報を受信し、表示情報を予め定めた表示順序に沿って表示する処理を行う。
【0031】
表示情報蓄積部123は、種々の表示情報を予め格納している。表示情報蓄積部123に格納された表示情報としては、例えば、図6を用いて後述するように、表示情報ファイル名AAAAAA,表示情報ファイル名BBBBBB,表示情報ファイル名CCCCCC,表示情報ファイル名DDDDDD,表示情報ファイル名EEEEEEのような、異なる表示情報ファイル名のファイルに格納されている。
【0032】
表示情報の一例としては、路線案内が挙げられる。表示情報が路線案内に場合、表示情報ファイル名AAAAAAは、例えば、日本語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名BBBBBBは、例えば、英語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名CCCCCCは、例えば、中国語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名DDDDDDは、例えば、韓国語表記の路線案内であり、表示情報ファイル名EEEEEEは、例えば、ロシア語表記の路線案内である。
【0033】
表示情報スケジュールテーブル124は、表示情報蓄積部123に格納される表示情報の表示順序を定めるケジュールテーブルである。表示情報スケジュールテーブル124に格納される内容については、図6を用いて後述する。表示部125は、表示情報蓄積部123に格納される表示情報を表示する。
【0034】
表示部125に表示される表示情報は、公共交通機関利用者に対して視認性の有る映像情報やデザイン性のある情報であることが望ましく、それらの表示情報を表示するために、表示部125は、LCD(液晶表示器)又はそれと同等の表示媒体である。
【0035】
表示情報蓄積部123に格納される表示情報や表示情報スケジュールテーブル124は、後述する公共交通機関利用者へのサービス面から情報表示管理装置110に接続される全ての情報表示装置120にて同一の情報を格納する。
【0036】
表示情報蓄積部123に表示情報を格納する方法としては、公共交通機関が営業運転する前の時点において、表示情報インストール用端末(例:ノード型PC)を各情報表示装置に接続し、表示情報蓄積部123に表示情報を格納する。なお、情報表示管理装置110に表示情報インストール用端末を接続し、情報表示管理装置110の内部に一旦格納した後、複数の情報表示装置120に配信して、表示情報蓄積部123に表示情報を格納するようにしてもよいものである。
【0037】
次に、図6を用いて、本実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置120の表示情報スケジュールテーブル124の内容について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の表示情報スケジュールテーブルの内容の説明図である。
【0038】
表示情報スケジュールテーブル124は、スケジュール番号と、表示情報ファイル名と、表示時間から構成される。スケジュール番号は、唯一となる情報である。表示情報ファイル名は、表示情報蓄積部123に蓄積する表示情報を特定する情報である。表示時間は、表示情報を表示部125に表示する時間を示す情報である。表示時間は表示情報を視認できる時間であることが望ましく、数秒〜数分程度である。なお、表示時間(T1〜T5)は、公共交通機関利用者へのサービス面から同じ時間であることが望ましい。
【0039】
表示情報スケジュールテーブルに格納される情報は、表示の順序性を考慮して設定するものとし、スケジュール番号をキー項目として各情報を設定する。
【0040】
図6に示した例では、スケジュール番号001が指定されると、表示情報ファイル名AAAAAAが表示時間T1の間表示される。スケジュール番号001の表示が終了すると、次には、スケジュール番号002が選択され、表示情報ファイル名BBBBBBが表示時間T2の間表示される。このように、スケジュール番号に従って、順次スケジュール番号001,002,003というように、表情報が切り替えられる。また、最初に、スケジュール番号004が指定されると、表示情報ファイル名DDDDDDが表示され、次に、スケジュール番号005の表示情報が表示される。スケジュール番号は0005が最終であるので、スケジュール番号0005の表示が終了すると、スケジュール番号001に戻るようにしている。
【0041】
なお、図6に示した例では、5個のスケジュール番号(これは、図3にて説明したように、5個の表示装置120A,…,120Eに対応する)に対して、5個の表示情報があるものとして説明したが、表示装置の数と、表示情報の数とは、1対1に対応する必要はないものである。例えば、表示情報の数が3個の場合には、スケジュール番号「004」の表示情報ファイル名を「AAAAAA」とし、スケジュール番号「005」の表示情報ファイル名を「BBBBBB」とすることができる。すなわち、本質的な点としては、2個以上の表示装置を備えるものにおいて、表示情報の数が2個以上である必要がある。
【0042】
次に、図5に示した情報表示装置120の動作について説明する。
【0043】
インターフェース部121は、情報表示管理装置110から表示指令情報を受信すると、制御部122に対して表示指令情報を送信する。制御部122は、インターフェース部121から表示指令情報を受信すると、表示情報スケジュールテーブル124を参照し、表示情報スケジュールテーブル124で保有するスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号001とする)を検索して、スケジュール番号001に該当する表示情報ファイル名(ここでは図6に示す表示情報ファイル名AAAAAAとする)と、スケジュール番号001に該当する表示時間(ここでは図6に示す表示時間T1とする)を選出する。
【0044】
次に、制御部123は、選出した表示情報ファイル名AAAAAAに該当する表示情報を表示情報蓄積部123から選択して、表示部125に表示時間T1分表示する。表示部125に表示情報ファイル名AAAAAAに該当する表示情報を表示した後、制御部122は表示情報スケジュールテーブル124を参照し、スケジュール番号001の次行に位置するスケジュール番号002に該当する表示情報ファイル名BBBBBBとその表示時間T2を選出し、表示情報蓄積部123から表示情報ファイル名BBBBBBに該当する表示情報を選択し、表示部125に表示時間T2分表示する。
【0045】
制御部122は、表示情報スケジュールテーブル124が保有するスケジュール番号の格納順にそのスケジュール番号に該当する表示情報ファイル名の表示情報を表示情報蓄積部123から選択し、該当する表示時間分表示する処理を行う。
【0046】
制御部122が、表示情報スケジュールテのブル124が保有する最後のスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号005とする)に該当する表示情報ファイル名(ここでは表示情報ファイル名EEEEEE)の表示情報を表示情報蓄積部123から選出して表示時間(ここでは図6に示す表示時間T5)分表示した場合、制御部122が表示情報スケジュールテーブル124が保有する最初のスケジュール番号(ここでは図6に示すスケジュール番号001)に該当する表示情報ファイル名(ここでは表示情報ファイル名AAAAAA)の表示情報を表示情報蓄積部123から表示時間(ここでは図6に示す表示時間T1)分表示する処理を行うことで、表示部125に表示される表示情報が途絶えることなく表示できる。
【0047】
図1に戻り、図1に示したように、複数の情報表示装置120A,…,120Eは、主として規則的に(直線状に)設置するものとする。これは、座席(ここでは公共交通機関利用者用の座席を示す)が公共共通機関の進行方向に対して同一方向に設置する公共交通機関、例えば列車やバス、飛行機、において公共交通機関利用者が座席に着座した際、公共交通機関利用者が複数の情報表示装置120の表示面を見渡せること(つまり、各表示装置120の表示面が公共交通機関の進行方向に対して反対方向を向いていること)が本発明では重要であるためである。情報表示装置120の設置位置について、図1では先頭座席付近の情報表示装置120を公共交通機関の進行方向に対して横方向に2つ設置しているが、これは、先頭座席及び先頭座席付近の座席に着座する公共交通機関利用者が複数の情報表示装置を見ることを可能にするためである。ここで、図1では情報表示装置120の設置を先頭座席付近に2台及びその後方に直線状に1台ずつ設置する方法を採用しているが、公共交通機関利用者が複数の情報表示装置120の表示面を見渡せるレイアウトであればよく、例えば、図1に図示しない情報表示装置120を公共交通機関の進行方向に対して直線状に且つ2列設置するようにすることもできる。
【0048】
また、情報表示装置管理テーブル116の情報表示装置管理番号は、公共交通機関の最後部に設置される情報表示装置120(ここでは図1の情報表示装置A1を示す)から順番に設定するものとし、情報表示装置管理テーブル116に保有するスケジュール番号は図6に示す表示情報スケジュールテーブル124のスケジュール番号の順に設定する。このように設定した結果の一例は、図3のようになる。
【0049】
上記のように情報表示装置120を設置し、情報表示装置管理テーブル116の情報を設定することで、座席に着座する公共交通機関利用者は情報表示装置120の表示面が最も視認性の有る情報表示装置120において、見たい表示情報を見ることができる。
【0050】
次に、図7及び図8を用いて、本実施形態による情報表示システムにおける表示例について説明する。
図7及び図8は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【0051】
図7及び図8は、図1に示したように、複数の情報表示装置120を車両内に設置し、図3に示したように情報表示装置管理テーブル116を設定し、図6に示したように各表示情報装置120の表示情報スケジュールテーブル124が設定(ただし、ここでは表示時間T1〜T5は同一時間Tであるものとする)される場合の表示例を示している。
【0052】
図7は、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、各々の表示部125に表示情報を表示した時の表示例である。また、図8は、図7の表示時点から、表示時間Tを経過した後に各情報表示装置120の制御部122が表示情報を表示した時の表示例である。
【0053】
また、例えば、図1に示した座席R4に公共交通機関利用者(ここでは図示しない公共交通機関利用者HR4とする)が着座している場合、公共交通機関利用者HR4が最も視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は、図7及び図8に示すように、情報表示装置120Bであり、続いて視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は情報表示装置120Cであり、続いて視認性の有る位置に設置されている情報表示装置120は情報表示装置120D及び情報表示装置120Eである。
【0054】
ここで、図1に示した情報表示装置120Aは、座席R4に着座する公共交通機関利用者HR4から視認性が無い情報表示装置120であるものとし、図7及び図8には図示していない。
【0055】
公共交通機関利用者HR4が、図7に示す表示情報CCCCCCを見たい場合、図7の時点(つまり、ここでは、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、各々の表示部125に表示情報を表示した時点)で、表示情報CCCCCCを情報表示装置120Cで確認することができ、図8の時点(つまり、ここでは、各情報表示装置120の制御部122が各表示指令情報を受信し、表示時間Tを経過した後に各情報表示装置120の制御部122が表示情報を表示した時点)で、情報表示装置120Cより視認性の有る情報表示装置120Bで表示情報CCCCCCを見ることができる。
【0056】
すなわち、図7に示すように、若干視認性に劣る情報表示装置120Cにより、表示情報CCCCCCを予告的に確認でき、その上で、さらに視認性の優れた情報表示装置120Bにより、表示情報CCCCCCを見ることができる。したがって、公共交通機関利用者は見たい情報の見逃しが回避でき、また、見たい情報がいつ表示されるのかを予測できるため、公共交通機関利用者へのサービス面が向上する。
【0057】
このような表示を実行するためには、図3に示した情報表示管理テーブル116の情報表示管理情報と、図6に示した表示情報スケジュールテーブル124のスケジュールが重要である。すなわち、図3に示した情報表示管理テーブル116では、車両の最後方の情報表示装置に対するスケジュール番号を001とすると、車両の前方に行くに従って、スケジュール番号を順次繰り下げている。一方、図6に示した表示情報スケジュールテーブル124では、スケジュール番号は001から順次繰り下がるようになっている。このような関係とすることで、図7及び図8に示したように、若干視認性に劣る情報表示装置120Cにより、表示情報CCCCCCを予告的に確認でき、その上で、さらに視認性の優れた情報表示装置120Bにより、表示情報CCCCCCを見ることができる。
【0058】
以上のように、本実施形態では、図1に示したように複数の情報表示装置120を設置し、各情報表示装置120が同一の表示情報スケジュールテーブル124及び表示情報スケジュールテーブル124の表示情報ファイル名に該当する表示情報を保持し、情報表示管理装置110の制御部が図3に示した情報表示装置管理テーブル116に基づいて各表示指令情報を配信し、各情報表示装置120が同時に各表示指令情報を受信してその各表示指令情報に基づく表示情報を各々同時に表示する時、公共交通機関の座席に着座する公共交通機関利用者は見たい情報を予め最も視認性の有る情報表示装置120の先方にある情報表示装置120で確認した上で、最も視認性の有る情報表示装置120で見ることができるため、公共交通機関利用者へのサービスの面で効果的である。
【0059】
また、特許文献1記載のものでは、映像情報配信装置から複数の表示装置に表示情報を配信するものであるため、映像情報配信装置と表示装置間の配線異常が生じると、表示装置には表示情報が表示されないという問題が生じる。それに対して、本実施形態では、予め、表示情報蓄積部123に表示情報を格納しているので、公共交通機関利用者へのサービス面で効果的である。
【0060】
なお、以上の説明に関連して、公共交通機関の運行状況(運行位置や運行速度等)に応じて表示情報及び表示スケジュールを変更したい場合は、それに応じた表示情報スケジュールテーブル124を作成する。その場合は、表示情報スケジュールテーブル124に、図6に図示しない識別子(例えば運行状況を識別するための運行状況識別区分等)を設けて運行状況に応じた複数の表示情報スケジュールテーブル124を用意し、該当する識別子を有する表示情報スケジュールテーブル124を使用できるようにする。
【0061】
また、情報表示装置に表示する情報としては、前述の路線案内の他に、”乗換案内”や”駅設備案内(ホームの階段やエスカレータ、出口の位置を示す案内)”、”マナー案内”を表示するようにしてもよいものである。なお、マナー案内には、忘れ物注意喚起、女性専用車両案内、駆込み注意案内、非常設備(消火器や非常停止ボタン位置を示す)案内などがある。さらに、情報表示装置に表示する情報としては、広告もある。広告(ビール)、広告(化粧品)、広告(遊園地)等の複数の情報を異なる情報表示装置に、異なるタイミングで表示する。
【0062】
また、図1に示した例では、座席が車両の進行方向に向いた車両の場合であるが、公共交通機関の車両の乗降口のドア上にのみ複数の情報表示装置120を設置する場合は、複数(例えば、2台〜4台程度)の情報表示装置120をドア上位置に並列に設置する場合にも、本実施形態は適用できるものである。
【0063】
次に、図9〜図11を用いて、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置110と各情報表示装置120間の疎通状態の確認処理の内容についてついて説明する。
図9は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置と各情報表示装置間の疎通状態の確認処理の内容を示すフローチャートである。図10は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、情報表示装置の制御部が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置の制御部の処理内容を示すフローチャートである。図11は、本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないための説明図である。
【0064】
最初に、図9を用いて、情報表示管理装置110と各情報表示装置120間の疎通状態を確認するための処理内容について説明する。ここで、疎通状態とは、情報表示管理装置110と各情報表示装置120間で通信が行える状態のことである。
【0065】
ステップS10において、情報表示管理装置110の制御部114は、各情報表示装置120に対して表示指令情報を配信する。
【0066】
その後、ステップS20において、各情報表示装置120の制御部122は、、インターフェース部121を介して、情報表示管理装置110に対して疎通状態確認要求の処理を行う。
【0067】
情報表示装置120の制御部122は、ステップS20の疎通状態確認要求処理を実行した後、ステップS30において、疎通状態確認要求を開始したことを示すタイマーを起動する。
【0068】
それに対して、情報表示管理装置110の制御部114はインターフェース部112を介して疎通状態確認要求を受信した場合、ステップS40において、即座に疎通状態確認要求の発信元である情報表示装置120に対して疎通状態であることを示す応答処理を行う。
【0069】
次に、ステップS50において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態応答を受信した後、ステップS30の疎通状態確認応答タイマー起動処理で実行したタイマーをリセットする処理を実行する。
【0070】
次に、ステップS60において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認応答タイマーリセット処理(ステップS50)を実行した後、ステップS20に戻り、再び疎通状態確認要求処理を実行する。
【0071】
ステップS20の疎通状態確認要求処理からステップS40の疎通状態確認応答タイマーリセット処理が実行している間に、ステップS60において、情報表示管理装置110の制御部114が、情報表示装置120の表示を終了する情報を配信し、インターフェース部112を介して各情報表示装置120の制御部122が表示を終了する情報を受信すると、ステップS70において、各情報表示装置120の制御部122は表示部125に対する表示情報スケジュールテーブルに基づく表示情報の表示を終了する処理を行う。
【0072】
図10は、図9において情報表示装置120の制御部122が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置120の制御部122の処理フローを示している。なお、図9と同一ステップ番号は、同一処理内容を示している。
【0073】
情報表示装置01002の制御部114が、ステップS30の疎通状態確認応答タイマー起動処理を実行してから一定時間(経過時間TIME1)を経過した後、ステップS35において、情報表示装置120の制御部122は疎通状態応答受信の有無を確認する処理を行う。
【0074】
ここで、情報表示装置120の制御部122が疎通状態応答を受信している場合、ステップS50において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認応答タイマーリセット処理を実行する。
【0075】
情報表示装置120の制御部122が疎通状態確認処理1002時に疎通状態応答を受信していない場合、ステップS55において、情報表示装置120の制御部122は、ステップS20の疎通状態確認要求処理を実行した回数を加算する処理を実行する。
【0076】
ステップS55の要求回数加算処理が実行された後、ステップS65において、情報表示装置120の制御部122は、疎通状態確認要求処理0902を実行した回数が予め定められた回数を上回っているか否かを判定し、疎通状態確認要求処理を実行した回数が予め定められた回数を上回っていなければ、ステップS20に戻り、疎通状態確認要求処理を実行する。疎通状態確認要求処理を実行した回数が予め定められた回数を上回っていれば、ステップS65において、疎通状態確認要求処理を実行した回数をリセットする処理を実行する。
【0077】
図9及び図10の処理フローは、例えば、情報表示管理装置110と情報表示装置120(例えば、ここでは、情報表示装置120Aとする)間の疎通状態が無い場合、情報表示装置120Aにおいて、情報表示装置120Aの表示情報スケジュールテーブル124と表示情報蓄積部123に基づく表示情報の表示を行わないようにするための処理である。これは、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないためである。
【0078】
図11は、公共交通機関が図に示す地点aを出発して地点bを経由して地点cに到達する運行をする場合の運行状況について示している。
【0079】
ここで、地点aから地点bの間で用いる表示情報(表示情報ab)と、地点bから地点cの間で用いる表示情報(表示情報bc)は異なるものとする。そして、地点aから地点bの間で表示情報bcを表示すること及び地点bから地点cの間で表示情報abを表示することは不適切な表示であるとする。また、図11に示す経過時間X1は各情報表示装置120が表示指令情報に伴い、各表示部125に表示情報abを表示開始する時間を示し、経過時間X2は情報表示管理装置110と情報表示装置120(ここでは、情報表示装置120Aとする)の疎通状態が無くなった時間を示し、経過時間X3は情報表示管理装置110が表示情報bcに関する表示指令情報を各情報表示装置120に配信する時間を示す。
【0080】
ここで、図10に示す処理フローが無い場合、経過時間X3を経過すると、情報表示管理装置110と疎通状態に無い情報表示装置120Aは経過時間X3で配信される表示指令情報を受信しないため表示部には表示情報bcではなく、表示情報abを表示することになる。これは、上述の「地点bから地点cの間で表示情報abを表示することは不適切な表示である」の状況となる。例えば、公共交通機関を列車、地点aをa駅、地点bをb駅、地点cをc駅、表示情報abを「次はb駅です」、表示情報bcを「次はc駅です」と置ぎ換えてみると、a駅を出発してb駅を経由してc駅に到達する列車が、b駅とc駅を走行中、b駅を通過したにもかかわらず情報表示装置A1は「次はb駅です」と表示することになり、列車走行において誤った表示すなわち不適切な表示を行うことになる。 それに対して、図9及び図10にて説明した処理を実行することで、公共交通機関利用者に対して誤情報を与えることを回避することができる。
【0081】
なお、地点aから地点bの間で用いる表示情報(表示情報ab)と、地点bから地点cの間で用いる表示情報(表示情報bc)は異なるものとするために、図6にて説明したように、表示情報スケジュールテーブル124は、地点a−地点bの区間用のものと、地点b−地点cの区間用のものとを備える必要がある。
【0082】
なお、以上の説明では、公共交通機関として列車やバス、飛行機を例に挙げているが、これら以外にモノレールやリニアモーターカー、路面電車など所定の行路を走行する交通機関に対しても適用できるものである。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良され得ると共に、本発明はその等価物も含まれる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、公共交通機関利用者に対するサービス性の向上した表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態による情報表示システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置の情報表示装置管理テーブルが保有する情報の内容の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示管理装置から情報表示装置に配信する表示指令情報の内容の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態による情報表示システムに用いる情報表示装置の表示情報スケジュールテーブルの内容の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【図8】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける表示例の説明図である。
【図9】本発明の一実施形態による情報表示システムにおける情報表示管理装置と各情報表示装置間の疎通状態の確認処理の内容を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、情報表示装置の制御部が疎通状態応答を受信しないことを考慮した場合の情報表示装置の制御部の処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施形態による情報表示システムにおいて、公共交通機関の運行状況上、不適切な表示情報を表示しないための説明図である。
【符号の説明】
【0085】
110…情報表示管理装置
112…インターフェース部
114…制御部
116…情報表示装置管理テーブル
120…情報表示装置
121…インターフェース部
122…制御部
123…表示情報蓄積部
124…表示情報スケジュールテーブル
125…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置と、前記複数の情報表示装置を管理する情報表示管理装置とからなる情報表示システムであって、
前記複数の情報表示装置の内、少なくとも2個の情報表示装置が、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されており、
前記複数の情報表示装置は、それぞれ同一の構成であり、
前記複数の情報表示装置は、それぞれ、同一の複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部と、
該表示情報蓄積部に格納された複数の表示情報を表示部に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブルとを備え、
前記情報表示管理装置は、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、前記第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブルを備え、
前記複数の情報表示装置は、前記情報表示管理装置の前記情報表示管理テーブルに格納された順序により指示された表示情報を前記表示部に表示することを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示システムにおいて、
前記複数の情報表示装置の内、各情報表示装置は、前記情報表示管理装置から表示指令情報を受信した後に、各情報表示装置が前記表示情報管理装置間との接続において疎通状態を確認し、その疎通状態が無い場合に自情報表示装置での表示情報の表示を制限する制御部を備えることを特徴とする情報表示システム。
【請求項1】
公共交通機関の車両内に設置された複数の情報表示装置と、前記複数の情報表示装置を管理する情報表示管理装置とからなる情報表示システムであって、
前記複数の情報表示装置の内、少なくとも2個の情報表示装置が、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性が異なるように配置されており、
前記複数の情報表示装置は、それぞれ同一の構成であり、
前記複数の情報表示装置は、それぞれ、同一の複数の表示情報を格納する表示情報蓄積部と、
該表示情報蓄積部に格納された複数の表示情報を表示部に表示する順を管理する表示情報スケジュールテーブルとを備え、
前記情報表示管理装置は、前記公共交通機関の車両内の任意の位置から見た場合、視認性の悪い情報表示装置に第1の表示情報を表示した後、次に、前記第1の表示情報を視認性の良い情報表示装置に表示するように決められた順序を格納する情報表示管理テーブルを備え、
前記複数の情報表示装置は、前記情報表示管理装置の前記情報表示管理テーブルに格納された順序により指示された表示情報を前記表示部に表示することを特徴とする情報表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の情報表示システムにおいて、
前記複数の情報表示装置の内、各情報表示装置は、前記情報表示管理装置から表示指令情報を受信した後に、各情報表示装置が前記表示情報管理装置間との接続において疎通状態を確認し、その疎通状態が無い場合に自情報表示装置での表示情報の表示を制限する制御部を備えることを特徴とする情報表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−248669(P2009−248669A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97029(P2008−97029)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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