説明

情報表示用パネルの製造方法および情報表示装置

【課題】 隔壁上面に塗布した接着剤のセル内への染み出しを効果的に防止し得る情報表示用パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法では、隔壁4の上面に接着剤を塗布する接着剤層形成工程の終了後、2枚の基板の貼り合わせるプレス工程の前に、隔壁4の上面に塗布した接着剤を微硬化させておき、プレス工程において隔壁上面に塗布した接着剤を本硬化させることにより、接着剤のセル内への染み出しを効果的に防止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法および該情報表示用パネルを搭載する情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶(LCD)に代わる情報表示装置として、電気泳動方式、トナー(粒子)移動方式、エレクトロクロミック方式、サーマル方式、2色粒子回転方式等の技術を用いた情報表示装置が提案されている。
【0003】
これら従来技術は、LCDと比較すると、通常の印刷物に近い広い視野角が得られる、消費電力が小さい、メモリ機能を有している等のメリットがあることから、次世代の安価な情報表示装置に使用可能な技術として考えられており、携帯端末用情報表示、電子ペーパー等への展開が期待されている。特に、最近では、分散粒子と着色溶液とから成る分散液をマイクロカプセル化し、これを対向する基板間に配置して成る電気泳動方式(例えば、非特許文献1参照)が提案され、期待が寄せられている。
【0004】
しかしながら、電気泳動方式では、液中を粒子が泳動するために液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題がある。さらに、低比重の溶液中に酸化チタン等の高比重の粒子を分散させているため沈降しやすくなっており、分散状態の安定性維持が難しく、情報表示の繰り返し安定性に欠けるという問題を抱えている。また、マイクロカプセル化にしても、セルサイズをマイクロカプセルレベルにして、見かけ上、上述した欠点が現れにくくしているだけであって、本質的な問題は何ら解決されていない。
【0005】
一方、溶液中での挙動を利用する電気泳動方式に対し、溶液を使わず、導電性粒子と電荷輸送層とを基板の一部に組み入れる方式も提案され始めている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、この方式は、電荷輸送層、さらには電荷発生層を配置するために構造が複雑化するとともに、導電性粒子に電荷を一定に注入することは難しいため、安定性に欠けるという問題もある。
【0006】
上述した種々の問題を解決するための一方法として、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示装置が知られている。このような情報表示装置に用いる情報表示用パネルは、隔壁(スペーサ)上面に接着剤を塗布した一方の基板と他方の基板とを貼り合わせることにより作製する。
【0007】
【非特許文献1】趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”、p.249-252
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の情報表示用パネルの製造方法では、隔壁上面に塗布した接着剤に対して、熱硬化処理を行わずに、接着剤塗布直後に2枚の基板を貼り合わせるプレス工程を実施しているため、隔壁上面に塗布した接着剤が隔壁によって仕切られたセル内に入り込むように染み出すことがある。このような接着剤の染み出しがセル内の深い位置まで到達した場合には、プレス工程において2枚の基板の貼り合わせ状態が不良(NG)になってしまう。
【0009】
本発明は、隔壁上面に塗布した接着剤のセル内への染み出しを効果的に防止し得る情報表示用パネルの製造方法、および、その情報表示用パネルを用いた情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の情報表示用パネルの製造方法は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法であって、隔壁上面に接着剤を塗布する接着剤層形成工程の終了後、2枚の基板を貼り合わせるプレス工程の前に、隔壁上面に塗布した接着剤を微硬化させておき、プレス工程において隔壁上面に塗布した接着剤を本硬化させることを特徴とする。
【0011】
本発明の情報表示用パネルの製造方法において、微硬化の指標として、プレス工程の前の溶剤不溶率が5〜80wt%であること(ただし、溶剤不溶率(%)=(B/A)×100、A;接着剤の溶剤浸漬前重量、B;良溶媒中に接着剤を25℃で24時間浸漬後の重量)、前記接着剤は、エポキシ接着剤、アクリル接着剤等の各種反応性接着剤であること、および、前記接着剤は、紫外線硬化接着剤および熱硬化接着剤のハイブリッド接着剤、硬化温度が異なる2種類以上の硬化剤を用いたエポキシ接着剤、2液硬化型エポキシ接着剤、紫外線遅延硬化型接着剤の何れかであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルを製造する際には、隔壁上面に接着剤を塗布する接着剤層形成工程の終了後、2枚の基板を貼り合わせるプレス工程の前に、隔壁上面に塗布した接着剤を微硬化させておき、プレス工程において隔壁上面に塗布した接着剤を本硬化させるから、プレス工程の実施時には隔壁上面に塗布した接着剤は微硬化された状態になって染み出し難くなるため、隔壁上面に塗布した接着剤のセル内への染み出しを効果的に防止し得る情報表示用パネルの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
まず、本発明の製造方法により製造する情報表示用パネルの構成について説明する。本発明方法により製造する情報表示用パネルでは、対向する基板間に表示媒体を封入した情報表示用パネルの基板内に何らかの手段で電界が付与される。電界方向に従って帯電した表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の切換によって往復運動することにより、情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し時あるいは保存時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極との電気影像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
【0015】
本発明の情報表示装置に適用可能な情報表示用パネルの例を、図1〜図3に基づき説明する。
図1に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも2種以上の色の異なる表示媒体3(ここでは粒子群から成る白色表示媒体3Wと粒子群から成る黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1、2の外部から加えられる電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図1に示す例では、基板1、2の間に例えば格子状に隔壁4を設け表示セルを形成している。
図2に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも2種以上の色の異なる表示媒体3(ここでは粒子群から成る白色表示媒体3Wと粒子群から成る黒色表示媒体3Bを示す)を、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させ、黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色の表示を行うか、あるいは、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行っている。なお、図2に示す例では、基板1、2の間に例えば格子状に隔壁4を設け表示セルを形成している。
図3に示す例では、少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種以上の色を有する表示媒体3(ここでは粒子群から成る白色表示媒体3Wを示す)を、基板1に設けた電極5と電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と水平方向に移動させ、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色の表示を行うか、あるいは、電極5または基板1の色を観察者に視認させて電極5または基板1の色の表示を行っている。なお、図3に示す例では、基板1、2の間に例えば格子状の隔壁4を設け表示セルを形成している。
以上の説明は、粒子群から成る白色表示媒体3Wを粉流体から成る白色表示媒体に、粒子群から成る黒色表示媒体3Bを粉流体から成る黒色表示媒体に、それぞれ置き換えた場合も同様に適用することができる。
【0016】
以下、本発明の特徴となる情報表示用パネルの製造方法について詳細に説明する。本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、2枚の基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルであり、以下の(1)〜(8)の工程によって作製する。なお、(5),(7),(8)以外の工程は、従来技術と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(1)基板への隔壁(リブ)および電極パターンの形成工程(後者は、電極を必要とする場合のみ行う)
(2)基板への表示媒体の充填工程
(3)隔壁上の不要な表示媒体の除去工程
(4)隔壁への接着剤層形成工程(この接着剤層形成工程は、表示媒体の充填工程の前に行われる場合もある)
(5)接着剤層の微硬化(ゲル化)工程
(6)アライメントの重ね合わせ工程
(7)2枚の基板の貼り合わせ工程(接着剤の本硬化工程を含む)
(8)接着剤の染み出し品質を評価する検査工程
【0017】
上記接着剤層形成工程で使用する接着剤としては、エポキシ接着剤、アクリル接着剤等の各種反応性接着剤を用いることが好ましい。さらに詳しくは、上記接着剤として、紫外線硬化接着剤および熱硬化接着剤のハイブリッド接着剤、硬化温度が異なる2種類以上の硬化剤を用いたエポキシ接着剤、2液硬化型エポキシ接着剤、紫外線遅延硬化型接着剤の何れかを用いることが好ましい。
【0018】
本発明の情報表示用パネルの製造方法において、(5)の接着剤層の微硬化(ゲル化)工程では、隔壁を形成した基板(以下、リブ付基板という)の隔壁の上面に塗布した接着剤の微硬化(ゲル化)を行うが、その方法として、(a)リブ付基板を所定時間(例えば10〜30分間)室温放置する、(b)リブ付基板の接着剤層に所定強度(例えば1000〜2000mJ/cm)の紫外線を照射する、(c)リブ付基板を熱循環オーブンで例えば65〜80℃で60分間予備加熱する、の何れかの方法を用いて、微硬化の指標として、プレス工程の前の溶剤不溶率が5〜80wt%(ただし、溶剤不溶率(%)=(B/A)×100、A;接着剤の溶剤浸漬前重量、B;良溶媒中に接着剤を25℃で24時間浸漬後の重量)となるように接着剤を微硬化させるものとする。
【0019】
また、(7)の2枚の基板の貼り合わせ工程(接着剤の本硬化工程を含む)では、所定圧力および所定温度で熱プレスを行って接着剤を本硬化させ、(8)の接着剤の染み出し品質を評価する検査工程では、顕微鏡観察によって、リブ付基板を上から見た状態を示す図4(a)のように、隔壁とセルの境界からセル側に設定した「染み出し判定の基準値」である5μmの範囲内に染み出しが収まっていれば良好(OK)と評価し、図4(b)のように、隔壁とセルの境界からセル側に設定した「染み出し判定の基準値」である5μmの範囲外に染み出しが発生していれば不良(NG)と評価するものとする。
【0020】
本発明の情報表示用パネルの製造方法によれば、隔壁上面に接着剤を塗布する接着剤層形成工程の終了後、2枚の基板を貼り合わせるプレス工程の前に、上記(1)〜(4)の何れかの方法によって隔壁上面に塗布した接着剤を微硬化させておき、プレス工程において隔壁上面に塗布した接着剤を本硬化させるから、プレス工程の実施時には隔壁上面に塗布した接着剤は微硬化された状態になって染み出し難くなるため、後に説明する実施例1〜実施例7(上記(1)〜(4)の方法に対応する)に示すように、隔壁上面に塗布した接着剤のセル内への染み出しが効果的に防止されることになる。したがって、隔壁上面に塗布した接着剤のセル内への染み出しを効果的に防止し得る情報表示用パネルの製造方法を提供することができる
【0021】
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
【0022】
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体3の色が確認できる透明な基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。もう一方の基板は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
【0023】
必要に応じて基板に設ける電極5,6の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類やITO、酸化インジウム、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され、適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、導電剤を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。多くの場合に表示面側基板に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板に設ける電極は透明である必要がない。いずれの場合もパターン形成可能であり導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。背面側基板に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0024】
隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。本発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
【0025】
これらのリブからなる隔壁により形成される表示セルは、図5に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、情報表示の鮮明さが増す。ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。このうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
【0026】
次に、本発明の情報表示用パネルで表示媒体として用いる粉流体について説明する。なお、本発明の表示媒体としての粉流体の名称については、本出願人が「電子粉流体(登録商標):登録番号4636931」の権利を得ている。
【0027】
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0028】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の情報表示用パネルで固体状物質を分散質とするものである。
【0029】
本発明の情報表示用パネルは、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、表示媒体として例えば気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
本発明に表示媒体として例えば用いる粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の情報表示装置では、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
【0030】
次に、本発明の情報表示用パネルにおいて表示媒体を構成する表示媒体用粒子(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子は、そのまま該表示媒体用粒子だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたり、粉流体となるように調整、構成して表示媒体としたりして用いられる。
粒子には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0031】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、アクリルフッ素樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂が好適である。
【0032】
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
【0033】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0034】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
【0035】
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
【0036】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
【0037】
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
【0038】
また、本発明の粒子は平均粒子径d(0.5)が、0.1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
【0039】
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
【0040】
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0041】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0042】
表示媒体に用いる粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体に用いる粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体に用いる粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
【0043】
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体に用いる粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体に用いる粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
【0044】
更に、本発明において粒子群や粉流体のような表示媒体を乾式の情報表示用パネルに用いる場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、図1〜図3において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6、表示媒体(粒子群あるいは粉流体)3の占有部分、隔壁4の占有部分、情報表示用パネルのシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0045】
本発明の情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
対向する基板間の空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動の支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>
以下の(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。なお、各工程の内、本発明の特徴部分である(5),(7),(8)の工程については以下に詳述し、他の工程の詳細な説明は省略する。
(1)基板への隔壁(リブ)および電極パターンの形成工程(後者は、電極を必要とする場合のみ行う)
(2)基板への表示媒体の充填工程
(3)隔壁上の不要な表示媒体の除去工程
(4)隔壁への接着剤層形成工程(この接着剤層形成工程は、表示媒体の充填工程の前に行われる場合もある)
(5)接着剤層の微硬化(ゲル化)工程
(6)アライメントの重ね合わせ工程
(7)2枚の基板の貼り合わせ工程(接着剤の本硬化工程を含む)
(8)接着剤の染み出し品質を評価する検査工程
【0048】
(5)接着剤として用いたセメダインスーパー(2液エポキシ接着剤)を等量配合したものをリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、10分間室温放置して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、5.5wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、50℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0049】
<実施例2>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いたセメダインスーパー(2液エポキシ接着剤)を等量配合したものをリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、30分間室温放置して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、31wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、50℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0050】
<実施例3>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いた協立化学社製WR798(紫外線硬化接着剤および熱硬化接着剤のハイブリッド接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、高圧水銀ランプで2000mJ/cm)の紫外線を照射して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、63wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、120℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0051】
<実施例4>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いた味の素ファインテクノ社製AE200D(2種類以上の硬化剤を用いたエポキシ接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、熱循環オーブンを用いて、90℃で60分間予備加熱して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、55wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、120℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0052】
<実施例5>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いた協立化学社製W780P−N7(1液エポキシ接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、熱循環オーブンを用いて、80℃で60分間予備加熱して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、33wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、120℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0053】
<実施例6>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いた味の素ファインテクノ社製AE20(1液エポキシ接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、熱循環オーブンを用いて、65℃で60分間予備加熱して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、45wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、80℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0054】
<実施例7>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程によって、図2に示す本発明の情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いたスリーボンド社製TB3115(紫外線遅延硬化型接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、高圧水銀ランプで1000mJ/cm)の紫外線を照射して微硬化させた。このとき、溶剤不溶率は、75wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、80℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(a)のような染み出しが無い状況であり、良好に2枚の基板を貼り合わせることができた。
【0055】
<比較例1>
実施例6と同様に、上記(1)〜(8)の工程(ただし、(5)の工程では予備加熱を省略した)によって、図2に示す情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いた味の素ファインテクノ社製AE20(1液エポキシ接着剤)をリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、予備加熱を行わなかった。このとき、溶剤不溶率は、1wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、80℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(b)のような染み出しが発生して、不良(NG)となった。
【0056】
<比較例2>
実施例1と同様に、上記(1)〜(8)の工程(ただし、(5)の工程では10分間室温放置を省略した)によって、図2に示す情報表示用パネルを製作した。
(5)接着剤として用いたセメダインスーパー(2液エポキシ接着剤)を等量配合したものをリブ付基板の隔壁上面に転写して接着剤層を形成した後、10分間室温放置を行わずに、直ちに(7)の工程を実施した。このとき、溶剤不溶率は、3wt%であった。
(7)上記リブ付基板を対向基板と重ね合わせて、熱プレスを用いて、50℃、0.2MPaで60分間プレスした。
(8)プレス後に、顕微鏡観察で接着剤の染み出し状況を確認したところ、図4(b)のような染み出しが発生して、不良(NG)となった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明方法によって作製される情報表示用パネルおよび情報表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子棚札、電子値札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部などに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の情報表示用パネルの一例を示す図である。
【図2】本発明の情報表示用パネルの他の例を示す図である。
【図3】本発明の情報表示用パネルのさらに他の例を示す図である。
【図4】本発明の情報表示用パネルの製造方法における基板の貼り合わせ工程の後に行う、接着剤の染み出し品質を評価する検査工程を説明するための図であり、(a)は接着剤の染み出し品質が良好(OK)の場合を例示し、(b)は接着剤の染み出し品質が不良(NG)の場合を例示している。
【図5】本発明の情報表示用パネルにおける隔壁の形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1,2 基板
3 表示媒体(粒子群、粉流体)
3W 白色表示媒体
3B 黒色表示媒体
4 隔壁
5 電極
6 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に、隔壁によって仕切られた複数のセルを形成し、該セル内に少なくとも1種以上の粒子から構成される少なくとも1種類以上の表示媒体を封入し、基板内に発生させた電界により表示媒体を移動させて情報を表示する情報表示用パネルの製造方法であって、
隔壁上面に接着剤を塗布する接着剤層形成工程の終了後、2枚の基板を貼り合わせるプレス工程の前に、隔壁上面に塗布した接着剤を微硬化させておき、プレス工程において隔壁上面に塗布した接着剤を本硬化させることを特徴とする情報表示用パネルの製造方法。
【請求項2】
微硬化の指標として、プレス工程の前の溶剤不溶率が5〜80wt%であること
(ただし、溶剤不溶率(%)=(B/A)×100、A;接着剤の溶剤浸漬前重量、B;良溶媒中に接着剤を25℃で24時間浸漬後の重量)
を特徴とする請求項1記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項3】
前記接着剤は、エポキシ接着剤、アクリル接着剤等の各種反応性接着剤であることを特徴とする請求項1または2記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤は、紫外線硬化接着剤および熱硬化接着剤のハイブリッド接着剤、硬化温度が異なる2種類以上の硬化剤を用いたエポキシ接着剤、2液硬化型エポキシ接着剤、紫外線遅延硬化型接着剤の何れかであることを特徴とする請求項1または2記載の情報表示用パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法で製造された情報表示用パネルを搭載したことを特徴とする情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−154655(P2006−154655A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348806(P2004−348806)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】