説明

情報記録再生装置、及びカード

【課題】言語の発音練習において、先生と自分の聞き比べを容易に可能とする。
【解決手段】複数のトラックに沿って情報が記録される磁気テープが貼付されたカードを装着するためのスリットが設けられたケースと、スリットに装着されたカードをトラックに沿った方向に搬送する搬送ローラと、磁気テープへの情報の書き込み、あるいは磁気テープからの情報の読み出し、を選択するための入力を受ける読み書き選択スイッチと、情報の読み書きが行われるトラックを選択するための入力を受けるトラック選択スイッチと、磁気テープに情報として書き込まれる音声の入力を受けるマイクと、磁気テープから読み出される情報を音声として出力するスピーカと、カードが搬送される際に、読み書き選択スイッチへの入力に応じて、トラック選択スイッチによる選択トラックに沿って情報の読み出し又は書き込みを行う磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置、及びカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大脳生理学や遺伝学、教育心理学などが進歩し、人間が成長と共にどのように言葉を身につけ、知能を発達させてゆくのかが少しずつ明らかになってきた。
その中で、乳幼児期における適切な言語教育は、その後の知的能力の向上に大きな効果をもたらすことが分かってきた。また、知的障害の治療においても、言語訓練の有効性が認められている。
【0003】
一方で、今日様々な言語学習訓練機器が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−331086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、言語学習は継続して繰り返し行うことが重要である。また、特に乳幼児に対しては、楽しく興味を持って学習できるようにすることが重要である。
ところが、今日の多くの学習機器は、緻密なカリキュラムに基づいてスケジュール管理された膨大な教材と、それらを活用するための複雑な機器とから構成され、大人でさえも使いこなすことが困難なものも多い。
また、外国語学習における発音練習には、模範となる先生の発音と自分の発音とを繰り返し聴き比べることが重要である。そのため、自分の声を簡単に録音でき、その自分の声と先生の声とを簡単に聴き比べることができる学習機器が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、情報記録再生装置、及びカードを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、複数のトラックのそれぞれに沿って情報が記録される磁気テープが貼付されたカードを装着するためのスリットが設けられたケースと、前記スリットに装着された前記カードを前記トラックに沿った方向に搬送する搬送ローラと、前記磁気テープへの前記情報の書き込み、あるいは前記磁気テープからの前記情報の読み出し、を選択するための入力を受ける読み書き選択スイッチと、前記情報の読み書きが行われる前記トラックを選択するための入力を受けるトラック選択スイッチと、前記磁気テープに前記情報として書き込まれる音声の入力を受けるマイクと、前記磁気テープから読み出される前記情報を音声として出力するスピーカと、前記カードが搬送される際に、前記読み書き選択スイッチへの入力に応じて、前記トラック選択スイッチにより選択された前記トラックに沿って前記情報の読み出し又は書き込みを行う磁気ヘッドと、を備えることを特徴とする情報記録再生装置に関する。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
情報記録再生装置、及びカードを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、本実施の形態に係る情報記録再生装置200及びカード100を含む情報記録再生システムの外観構成を図1に示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る情報記録再生システムにおいては、情報記録生成装置200にカード100が装着されると、矢印で示す方向にカード100が搬送される。そして詳しくは後述するが、カード100に貼付された磁気テープ110に記録された情報が情報記録再生装置200によって読み出されて音声としてスピーカ250から出力される。
【0010】
カード100には、スピーカ250から出力される音声を文字で記載しておくようにすることもできる。また文字と共に図形を記載しておくようにすることもできる。図1に示す例では、カード100には「牛乳を飲む」という文字が印刷されており、カード100の搬送に伴って、スピーカ250から「ぎゅうにゅうをのむ」、と音声で出力される。
情報記録再生装置200は、カード100が装着される毎に何度でも磁気テープ110に記録された情報を読み取って、「ぎゅうにゅうをのむ」、と音声で出力する。
【0011】
このように本実施の形態に係る情報記録再生システムは操作が容易である。カード100を情報記録再生装置200に装着するだけで、カード100が自動的に搬送され、スピーカ250から音声が出力される。
【0012】
そのため、例えば言葉のまだ話せない幼児でも容易に操作することができる。本実施の形態に係る情報記録再生システムは、幼児にとってみれば、カード100が自動的にスルスルと動き出し、音声が聞こえてくる一種のおもちゃである。子供は、動くものや音が聞こえてくるものに対して、大変大きな興味を示す。そのため、本実施の形態に係る情報記録再生システムに接した幼児は、大変大きな興味と関心を持って情報記録再生システムの操作を行うことが期待できる。
【0013】
幼児は、カード100に記載された「牛乳を飲む」の文字を読めなくても、面白がって何度も情報記録再生システムを操作することによって、スピーカ250から繰り返し聞こえてくる「ぎゅうにゅうをのむ」という音声とともに「牛乳を飲む」の文字を脳裏に焼き付ける。これにより、文字の読めない幼児でも、カード100に書かれた「牛乳を飲む」を見て「ぎゅうにゅうをのむ」と発音できるようになる。乳幼児は、目にしたものや耳にしたものを何でも急速な勢いで吸収し、自らの知識とし、知能を発達させてゆくことができるのである。
【0014】
このように、本実施の形態に係る情報記録再生システムによれば、文字の読めない幼児に対して、漢字混じりの文章を学習させることができる。近年の幼児教育や大脳生理学等の進歩により、乳幼児期における言語教育は、その後の知的能力の向上に大きな効果をもたらすことが分かってきた。また幼児は、抽象的なひらがなやカタカナよりも、意味を持った漢字の方が覚えやすいことも分かってきた。さらにその傾向は、年齢が低いほど顕著であることも分かってきた。
【0015】
本実施の形態に係る情報記録再生システムによれば、まさに発達過程にある乳幼児期の脳の特性に逆らわずに、言語学習を行うことが可能となる。そのため、幼児はカード100に記載された漢字を、楽しみながら学習することが可能となる。
【0016】
もちろん、本実施の形態に係る情報記録再生システムは、日本語の学習に用いるだけでなく外国語の学習に用いることもできる。この場合、カード100には例えば苺のイラストや写真、「strawberry」の文字を記載しておき、磁気テープ110には「strawberry」の発音を録音しておく。そうすると、面白がってカード100を繰り返し情報記録再生装置200に装着して遊んでいるうちに、幼児は「strawberry」が苺であることを理解することができるようになる。
【0017】
このように、本実施の形態に係る情報記録再生システムを用いることにより、視覚と聴覚とを同時に働かせながら、言語学習を行うことができる。また操作が簡単であり、繰り返し何度でも学習できるので、言語の学習に適している。さらに、いろいろなカード100をたくさん用意しておけば、子供は興味のあるカード100を自由に選ぶことができ、飽きずに楽しく興味をもって学習を続けることができる。また、一枚一枚のカード100の録音時間は数秒程度であるので、子供は集中して学習可能であると共に、いつでも学習を止めることができるので、学習を長続きさせることができる。
【0018】
また詳しくは後述するが、本実施の形態に係る情報記録再生システムは、情報記録再生装置200に設けられたマイク270を用いて、カード100に自分の声を録音することもできる。そのため、例えば自分の発音をカード100に録音し、繰り返し聴くことにより、効果的な発音練習を容易に行うことができる。情報記録再生装置200から自分の声が聞こえてくることから、幼児は驚きと共に、大きな興味を持って学習を行うことが期待できる。
【0019】
さらに、本実施の形態に係る情報記録再生システムにおいては、後述する仕組みにより、カード100に貼付された磁気テープ110に2トラックで録音再生することが可能である。そのため、一方のトラック111には模範となる先生の発音を録音しておき、他方のトラック111に自分の発音を録音するようにすれば、先生の発音と自分の発音とを容易に聴き比べることができる。これにより、情報記録再生装置200の操作の容易さと相まって、外国語学習や言語訓練における発音練習を極めて容易にかつ効果的に行うことが可能となる。もちろん3トラック以上の録音再生を可能とするようにすることもできる。この場合には1枚のカードにさらに多くの情報を記録でき、より効果的な学習を行うことができる。
【0020】
次に、本実施の形態に係る情報記録再生装置200の外観図を図2乃至図9に示す。また、本実施の形態に係る情報記録再生装置200のカード搬送部の詳細を表す図を図10に示す。また本実施の形態に係る情報記録再生装置200のトラック選択機構の詳細を示す図を図11に示す。また本実施の形態に係る情報記録再生装置200の制御ブロック図を図13に示す。また本実施の形態に係るカード100を図13乃至図15に示す。なお、図2、及び図4乃至図8は、本実施の形態に係る情報記録再生装置200を前後左右上下方向から見た形状を示す6面図を構成する。
【0021】
本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、例えば図2、図10、又は図13に示すように、複数のトラック111のそれぞれに沿って情報が記録される磁気テープ110が貼付されたカード100を装着するためのスリット300が設けられたケース201と、スリット300に装着されたカード100をトラック111に沿った方向に搬送する搬送ローラ220と、磁気テープ110への情報の書き込み、あるいは磁気テープ110からの情報の読み出し、を選択するための入力を受ける読み書き選択スイッチ231と、情報の読み書きが行われるトラック111を選択するための入力を受けるトラック選択スイッチ232と、磁気テープ110に情報として書き込まれる音声の入力を受けるマイク270と、磁気テープ110から読み出される情報を音声として出力するスピーカ260と、カード100が搬送される際に、読み書き選択スイッチ231への入力に応じて、トラック選択スイッチ232により選択されたトラック111に沿って情報の読み出し又は書き込みを行う磁気ヘッド290と、を備える。またケース201には持ち運び用のハンドル320が設けられている。ハンドル320は、ケース201に収容可能に取り付けられる。ハンドル320がケース201に収容されている様子は破線で示される。また、スピーカ260とマイク270はケース201の内部に収容されており、外部から直接は見ることはできない。
【0022】
また、例えば情報記録再生装置200を上面から見た形状を示す図2に示すように、ケース201は略直方体であり、ケース201の上面に、一方の面を手前方向に向けて装着されたカード100が搬送ローラ220により左右方向に搬送されるべくスリット300が設けられ、ケース201の上面のスリット300よりも手前側に、読み書き選択スイッチ231、トラック選択スイッチ232、マイク270、及びスピーカ260が設けられる。本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、スリット300に装着されたカード100は、図2の左向きに搬送される。このような配置により、操作性を向上させることができる。そのため幼児や手の不自由な人も容易に操作を行うことができる。
【0023】
読み書き選択スイッチ231は、カード100に貼付された磁気テープ110に情報を書き込むか、磁気テープ110から情報を読み出すのかを選択するためのスイッチである。例えば、スリット300内をカード100が搬送されている間に、読み書き選択スイッチ231を押下しながらマイク270に向かって発音すると、その声の情報が磁気ヘッド290により磁気テープ110に書き込まれる。また、読み書き選択スイッチ231を押下せずにカード100を搬送させると、磁気テープ110に記録された情報が音声としてスピーカ260から出力される。読み書き選択スイッチ231への入力に応じた磁気テープ110への情報の読み書きの制御は、図12に示す制御部210により行うことができる。なお、図12においてスイッチ230と記載されているのは、読み書き選択スイッチ231、トラック選択スイッチ232、書き込み可否選択スイッチ233の総称であり、その他、情報記録再生装置200が後述するリピートスイッチも備える場合にはリピートスイッチも含まれる。
【0024】
また、上記磁気ヘッド220により情報が読み書きされるトラック111は、トラック選択スイッチ232により選択することができる。図2に示す例では、2つのトラック選択スイッチ232が設けられており、一方のトラック選択スイッチ232を押下すると、一方のトラック111に対して情報の読み書きを行うことができる。
【0025】
例えば一方のトラック111を「Teacher」トラック111とし、他方のトラック111を「Student」トラック111としておき、「Teacher」トラック111には模範となる外国語の発音を録音しておくようにする。そして「Student」トラック111に自らの発音を録音するようにする。そして、カード100に録音された音声を再生する際に、トラック選択スイッチ232を操作して、「Teacher」トラック又は「Student」トラックを選択することにより、「Teacher」トラック111に記録された発音、又は「Student」トラック111に記録された発音を聴くことができる。両方のトラックを適宜交互に選択しながら繰り返しカード100に録音された発音を聴くことにより、先生の発音と自分の発音とを聴き比べることができる。これにより、効果的な発音練習を容易に行うことができる。
【0026】
図13に示すように、本実施の形態に係るカード100に貼付される磁気テープ110には、2つのトラック111が形成される。例えば上の段に形成されるトラック111を上述した「Teacher」トラックとし、下の段に形成されるトラック111を「Student」トラックとすることができる。
【0027】
トラック選択スイッチ232への入力により、トラック111が選択される仕組みの一例を示す図を図11に示す。つまり、本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、ケース201の内部で一方のトラック選択スイッチ232と磁気ヘッド290とがトラック選択機構380により結合されており、図11に示すように、そのトラック選択スイッチ232が押下されると、磁気ヘッド290が磁気テープ110の下側のトラック111に適合する位置に移動する。
【0028】
また図示されていないが、2つのトラック選択スイッチ232は、リンク機構により相互に結合されており、一方のみが選択的に押下可能に構成されている。そのため、磁気ヘッド290と結合されていない方のトラック選択スイッチ232を押下することにより、磁気ヘッド290は磁気テープ110の上側のトラック111に適合する位置に移動する。
【0029】
本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、それぞれのトラック111毎にトラック選択スイッチ232が設けられている。そのため、トラック111を選択する操作がわかりやすい。これにより、例えば幼児でも容易に操作をすることができる。
【0030】
もちろん、例えば、磁気ヘッド290を移動させるためのアクチュエータを備える様にし、トラック選択スイッチ232の入力に応じて制御部210が上記アクチュエータを制御することにより、磁気ヘッド290の位置を各トラック111に適合させるようにすることもできる。
【0031】
なお、本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、トラック選択スイッチ232と読み書き選択スイッチ231との間は、2つのトラック選択スイッチ232の間よりも広間隔に設けられている。これにより、トラック選択スイッチ232を操作する際に、誤って読み書き選択スイッチ231を押下してしまうことを防止することができる。また、読み書き選択スイッチ231には、トラック選択スイッチ232とは異なる色を着色する様にすることもできる。例えば、トラック選択スイッチ232には青色を着色し、読み書き選択スイッチ231には赤色を着色するようにすることができる。このようにすることにより、誤って読み書き選択スイッチ231を押下してしまうことを視覚的な側面からも防止することができる。
【0032】
ボリューム240は、磁気ヘッド290により磁気テープ110から読み出された情報が音声としてスピーカ260から出力される際の音量を調節するための装置である。ボリューム240は円筒の形状をしており、円筒を回転させることにより、スピーカ260から出力される音量を調節することができる。音量の制御は、例えば図11に示す制御部210により行うようにすることができる。またボリューム240の円筒側面には、数字が印刷あるいは刻印されており、音量調節の際の目安とすることができる。
【0033】
また、搬送ローラ220及び磁気ヘッド290は、図10に示されるように、スリット300を挟んで相対して設けられる。これにより、搬送ローラ220によりカード100が搬送されるのに伴って、磁気ヘッド290による磁気テープ110に記録された情報の読み出しや書き込みを行うことができる。つまり、カード100が搬送ローラ220によって搬送され始めると、磁気ヘッド290による磁気テープ110への読み書きが開始され、カード100が搬送ローラ220によって搬送され終わると、磁気ヘッド290による磁気テープ110への読み書きも終了する。
【0034】
スリット300には、カード100の装着を容易にするためのカード装着用切り欠き部301が設けられている。スリット300にカード装着用切り欠き部301が設けられている様子を図3、図4に示す。これにより、幼児や障害者などの手の不自由な人であっても、情報記録再生装置200へのカード100の装着を容易に行うことができる。
【0035】
カード100の搬送は、カード装着用切り欠き部301からカード100をスリット300に装着し、カード装着位置表示310の部分まで移動させ、スリット300の内部で回転する搬送ローラ220にカード100が引き込まれることにより行われる。図2においてはカード100は左向きに搬送される。
【0036】
なお、本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、スリット300に設けられたカード検出スイッチ234によりカード100がスリット300に装着されたことが検出されると、機能を開始する。本実施の形態に係る情報記録再生装置200が機能を開始すると、例えば搬送ローラ220が回転を始める。そしてカード100が搬送ローラ220により搬送されるに伴って、磁気ヘッド290が磁気テープ110への情報の読み書きを行う。そしてカード100が搬送され終わり、カード検出スイッチ234がカード100の装着前の状態に戻ると、本実施の形態に係る情報記録再生装置200は機能を停止する。例えば搬送ローラ220の回転が止まる。
【0037】
このように、本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、カード100の装着に伴って機能を開始し、カード100の搬送終了と共に機能を終了する。このため、電力の消費を抑えることができる。
【0038】
本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、下面に設けられるバッテリ収容部203に装着されるバッテリ400から供給される電力により機能する。バッテリ収容部203にバッテリ400が収容される様子を図9に示す。
【0039】
また図8に示すように、バッテリ収容部203は、普段はバッテリカバー202で覆われている。バッテリカバー202は、図8に示す(A)の方向にスライドさせることにより、ケース201と分離させることができるようになっている。(A)の方向にスライドさせないとバッテリカバー202をケース201から分離できないようになっているので、本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、バッテリカバー202の部分を手で持ってぶら下げられても、不意にバッテリカバー202がカバー201から外れ、情報記録再生装置200が落下してしまうことを防止することができる。
【0040】
すなわち、バッテリカバー202の部分を手で持って本実施の形態に係る情報記録再生装置200をぶら下げた場合に、バッテリカバー202の外れる向きが鉛直に近い向きになる場合(例えば、(B)の向きにバッテリカバー202が外れるとした場合)には、バッテリカバー202は外れやすい。しかしながら、本実施の形態に係る情報記録再生装置200のように、(A)の向きにバッテリカバー202が外れるようになっている場合には、バッテリカバー202の部分を手で持って情報記録再生装置200をぶら下げた場合には、バッテリカバー202の外れる向きは鉛直に近い向きとはならないため、バッテリカバー202が外れにくい。
【0041】
ところで、本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、バッテリカバー202で覆われるバッテリ収容部203に隣接して、書き込み可否選択スイッチ233が設けられる。書き込み可否選択スイッチ233は、磁気テープ110の所定のトラック111への情報の書き込みの許可、あるいは禁止、を選択するための入力を受けるスイッチである。そして、書き込み可否選択スイッチ233により書き込みの禁止が選択されている場合には、磁気ヘッド290による所定のトラック111への情報の書き込みは行われない。所定のトラック111への情報の書き込みを行わないようにする制御は、例えば図12に示す制御部210により行うようにすることができる。
【0042】
ここで所定のトラック111として、例えば上述した「Teacher」トラック111とすることにより、書き込み可否選択スイッチ233により書き込みの禁止が選択されていれば、「teacher」トラック111が選択された状態で読み書き選択スイッチ231が誤って押下されたままカード100がスリット300に装着された場合であっても、模範となる先生の音声が消去されてしまうことを防止することができる。
【0043】
もちろん、書き込み可否選択スイッチ233により書き込みの禁止が選択されていなければ、「teacher」トラック111に新たな音声の情報を記録することも可能である。これにより、「Teacher」トラック111にはどんな音声でも自由に記録できるため、自分でオリジナルのカード100を作成することができる。このため、個々の学習対象に応じたオリジナルの教材を自由に作ることが可能となる。
【0044】
図9に示す例では、「○」側に書き込み可否選択スイッチ233を移動させると、「Teacher」トラック111への書き込みができるようになる。一方、「×」側に書き込み可否選択スイッチ233を移動させると、「Teacher」トラック111への書き込みはできないようになる。
【0045】
また本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、書き込み可否選択スイッチ233が、ケース201下面のバッテリカバー202で隠蔽される位置に設けられることにより、書き込み可否選択スイッチ233が誤って操作されることを防止することができる。
【0046】
その他本実施の形態に係る情報記録再生装置200の下面には、図8に示すように、滑り止め防止のための弾性体(ゴムやウレタンなど)360やネームプレート370が設けられる。
【0047】
また図5に示すように、本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、外部電力入力端子330、外部音声入力端子340、外部音声出力端子350を備える。
【0048】
外部電力入力端子330は、例えば家庭用コンセントを通じて供給される交流電力を取り入れるための端子である。取り入れた交流電力は直流電力に変換されて、情報記録再生装置200を機能させるために使用される。また外部電力入力端子330には、家庭用コンセントを通じて供給される交流電力を直流電力に変換するACDCコンバータを介して直流電力が取り入れられる様にすることもできる。このように、外部電力入力端子330を設けるようにすることにより、使用者はバッテリ400の消耗を気にすることなく、情報記録再生装置200を使用することができるようになる。
【0049】
なお本実施の形態に係る情報記録再生装置200においては、バッテリ400からの電力の供給量が低下した場合には、情報記録再生装置200の状態を示す発光素子250が点滅する。発光素子250の点滅は、図12に示す発光素子制御部251により制御するようにすることができる。すなわち、発光素子制御部251は、カード検出スイッチ234によりカード100の装着が検出されて、情報記録再生装置200が機能を開始すると、バッテリ400からの電力供給量のチェックを開始する。バッテリ400からの電力供給量のチェックは例えばバッテリ400の出力電圧のチェックにより行うことができる。バッテリ400からの電力供給量がしきい値を下回ると、発光素子250を点滅させるようにする。
【0050】
発光素子250は、例えばLED(Light Emitting Diode)とすることができる。この際発光素子250は多色LED例えば2色LEDとすることもできる。その他発光素子250として電球を用いるようにすることもできる。
発光素子250が点滅することにより、バッテリ400を交換した方が良いことを使用者に知らせることができる。
【0051】
なお、発光素子制御部251は、カード検出スイッチ234によりカード100の装着が検出されて、情報記録再生装置200が機能を開始した際に、バッテリ400からの電力供給量がしきい値を下回っていない場合には、発光素子250を点灯させる。これにより、使用者はバッテリ400からの電力供給量がしきい値を下回っていないことを知ることができる。
【0052】
その他、発光素子制御部251は、情報記録再生装置200に何らかの異常を検出した場合には、発光素子250を例えば点滅させるようにすることもできる。その際、検出した故障の内容に応じて点滅の周期や点滅パターンを変えることにより、故障内容を知らせるようにすることもできる。
【0053】
また上述した読み書き選択スイッチ231が押下され、磁気テープ110へ音声の書き込みが行われる場合には、発光素子制御部251は、発光素子251の表示色を変えるようにすることができる。例えば発光素子250が2色LED250である場合には、読み書き選択スイッチ231が押下されている場合には赤色ダイオード250を点灯させ、読み書き選択スイッチ231が押下されていない場合には、緑色ダイオード250を点灯させるようにすることができる。もちろんこの場合、例えば、上述したように、発光素子制御部251が情報記録再生装置200に何らかの異常を検出した場合には、赤色の発光ダイオード250を点滅させるようにすることもできる。
【0054】
外部音声入力端子340は、情報記録再生装置200が備えるマイク270以外のマイクからの音声を入力するための端子である。また外部音声出力端子350は、情報記録再生装置200が備えるスピーカ260以外のスピーカからの音声を出力するための端子である。このように本実施の形態に係る情報記録再生装置200は、外部音声入力端子340と外部音声出力端子350とを備えているので、例えば、マイク付きのヘッドフォンを接続して音声を聴き取ったり録音したりすることが可能となる。
【0055】
その他、本実施の形態に係る情報記録再生装置200には、リピートスイッチを設けるようにすることもできる。リピートスイッチを設けるようにした場合には、カード100に記録された音声情報が磁気ヘッド290により一度読み取られただけで、リピートスイッチを例えば押下する毎に、繰り返しその音声をスピーカ260から出力させることができる。
【0056】
リピートスイッチを設けるようにした場合には、例えば、磁気ヘッド290により磁気テープ110に記録された情報が読み取られる際に、制御部210によりその情報がディジタル化されて、図12に示すメモリ280に記録されるようにしておく。そしてリピートスイッチの入力を制御部210が検出した場合には、制御部210がメモリ280からデータを読み出してアナログデータに変換し、スピーカ260から音声として出力されるようにする。これにより、制御部210がリピートスイッチの入力を検出する毎に、スピーカ260から音声が出力されるようにすることができる。
【0057】
リピートスイッチを設けるようにすれば、より簡単に繰り返し音声を聴くことができるようになる。これにより学習効率をより一層高めることが可能となる。また磁気テープ110の摩耗を減少させ、カード100をより長期間に渡って使用することができるようになる。
【0058】
次に本実施の形態に係る情報記録再生装置200に用いられるカード100について、図13乃至図15を参照しながら説明する。
【0059】
本実施の形態に係るカード100は略長方形をしている。カード100には、複数のトラック111のそれぞれに沿って情報が記録される磁気テープ110が貼付されている。磁気テープ110の各トラック111に記録された情報は、磁気ヘッド290により読み取られ、スピーカ260から音声として出力される。またマイク270から入力された音声は、磁気ヘッド290により磁気テープ110に書き込まれる。
【0060】
磁気テープ110が貼付される位置よりも下部には、カード100の搬送方向を示すカード搬送方向インジケータ120が記載されている。これにより、カード100を誤って逆の向きにスリット300に装着してしまうことを防止することができる。
【0061】
また磁気テープ110が貼付される位置よりも上部には、磁気テープ110に録音されている音声の内容を表した文字や図形が記載される。文字や図形を見ながら音声を聴くことにより、乳幼児は目と耳とを使った言語学習を行うことができる。また自分の声を磁気テープ110に録音しておくこともできるので、目と耳の他、口も使って学習を行うことができる。
【0062】
またカードの四隅は丸みがつけられており、怪我などをしないように配慮がなされている。さらに、四隅のうちの一つについては、他の隅とは異なった形状になっており、多数のカード100を整理する際に、各カード100の向きを合わせ易いように配慮されている。
カード100の長さは、磁気テープ110に記録される情報の量に応じて適宜な長さとすることができる。例えば図14に示すカード100は、図13に示すカード100に比べて短い。
【0063】
また図15に示すように、カード100には、搬送ローラ220によって搬送される際に形成される搬送ローラ220との接触面の軌跡を分断する切れ込み130が設けられるようにすることができる。このようなカード100を情報記録再生装置200のスリット300に装着すると、切れ込み130の部分までカード100が搬送されたところで、搬送ローラ220が空回りするようになり、カード100が停止する。そして手などでカード100をスリット300に沿って少し左向きに移動させると、再び搬送ローラ220にカード100が引き込まれて、カード100が搬送されるようになる。
【0064】
このようにすると、切れ込み位置の前までの部分の磁気テープ110に例えば出題文を録音しておき、切れ込み位置の後の部分に答えを録音しておくような使い方ができるようになる。例えば、図15に示す例では、切れ込み位置の前の部分に英語で「What is this?」と録音しておき、切れ込み位置の後の部分に「Ship」と録音しておくようにする。
【0065】
このような使い方により、学習の進め方に変化を与えることができ、子供を飽きさせないようにすることが可能となる。
【0066】
以上、本実施の形態に係る情報記録再生システムによれば、簡単な操作で効果的に言語学習を行うことが可能となる。特に、先生の声と自分の声の聴き比べを容易かつ効果的に行うことができる。
本実施の形態に係る情報記録再生システムは、特に乳幼児や小児、障害者等の言語学習に適しており、楽しく漢字や外国語を学ばせることができる。
【0067】
以上発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施の形態に係る情報記録再生システムの外観構成を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る情報記録再生装置の平面図である。
【図3】本実施の形態に係る情報記録再生装置のカード装着用切り欠き部を示す図である。
【図4】本実施の形態に係る情報記録再生装置の右側面図である。
【図5】本実施の形態に係る情報記録再生装置の左側面図である。
【図6】本実施の形態に係る情報記録再生装置の正面図である。
【図7】本実施の形態に係る情報記録再生装置の背面図である。
【図8】本実施の形態に係る情報記録再生装置の底面図である。
【図9】本実施の形態に係る情報記録再生装置のバッテリカバーを取り除いた状態を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る情報記録再生装置のカード検出スイッチ、搬送ローラ、及び磁気テープを示す図である。
【図11】本実施の形態に係る情報記録再生装置のトラック選択機構を示す図である。
【図12】本実施の形態に係る情報記録再生装置の制御ブロック図である。
【図13】本実施の形態に係るカードを示す図である。
【図14】本実施の形態に係るカードを示す図である。
【図15】本実施の形態に係る切れ込みが設けられたカードを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
100 カード 110 磁気テープ
111 トラック 130 切れ込み
200 情報記録再生装置 201 ケース
202 バッテリカバー 203 バッテリ収容部
210 制御部 220 搬送ローラ
231 読み書き選択スイッチ 232 トラック選択スイッチ
233 書き込み可否選択スイッチ 234 カード検出スイッチ
240 ボリューム 250 発光素子
251 発光素子制御部 260 スピーカ
270 マイク 280 メモリ
290 磁気ヘッド 300 スリット
301 カード装着用切り欠き部 310 カード装着位置表示
320 ハンドル 330 外部電力入力端子
340 外部音声入力端子 350 外部音声出力端子
360 弾性体 370 ネームプレート
380 トラック選択機構 400 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトラックのそれぞれに沿って情報が記録される磁気テープが貼付されたカードを装着するためのスリットが設けられたケースと、
前記スリットに装着された前記カードを前記トラックに沿った方向に搬送する搬送ローラと、
前記磁気テープへの前記情報の書き込み、あるいは前記磁気テープからの前記情報の読み出し、を選択するための入力を受ける読み書き選択スイッチと、
前記情報の読み書きが行われる前記トラックを選択するための入力を受けるトラック選択スイッチと、
前記磁気テープに前記情報として書き込まれる音声の入力を受けるマイクと、
前記磁気テープから読み出される前記情報を音声として出力するスピーカと、
前記カードが搬送される際に、前記読み書き選択スイッチへの入力に応じて、前記トラック選択スイッチにより選択された前記トラックに沿って前記情報の読み出し又は書き込みを行う磁気ヘッドと、
を備えることを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記磁気テープの所定の前記トラックへの前記情報の書き込みの許可、あるいは禁止、を選択するための入力を受ける書き込み可否選択スイッチを備え、
前記磁気ヘッドは、前記書き込み可否選択スイッチにより書き込みの禁止が選択されている場合には、前記所定のトラックへの前記情報の書き込みを行わないこと
を特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記ケースには、前記情報記録再生装置を機能させるための電力を供給するバッテリを収容するバッテリ収容部が設けられ、
前記情報記録再生装置の状態を示す発光素子と、
前記バッテリからの前記電力の供給量が低下した場合には、前記発行素子を点滅させる発光素子制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記カードが前記スリットへ装着されたことを検出するカード検出スイッチを備え、
前記カード検出スイッチにより前記カードが装着されたことが検出されると、前記情報記録再生装置が機能を開始すること
を特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記ケースは略直方体であり、
前記ケースの上面に、一方の面を手前方向に向けて装着された前記カードが前記搬送ローラにより左右方向に搬送されるべく前記スリットが設けられ、
前記ケースの前記上面の前記スリットよりも手前側に、前記読み書き選択スイッチ、前記トラック選択スイッチ、前記マイク、及び前記スピーカが設けられること
を特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
前記搬送ローラと前記磁気ヘッドとは、前記スリットを挟んで相対して設けられること
を特徴とする請求項5に記載の情報記録再生装置。
【請求項7】
前記ケースは略直方体であり、
前記ケースの上面に、一方の面を手前方向に向けて装着された前記カードが前記搬送ローラにより左右方向に搬送されるべく前記スリットが設けられ、
前記ケースの前記上面の前記スリットよりも手前側に、前記読み書き選択スイッチ、前記トラック選択スイッチ、前記マイク、及び前記スピーカが設けられ、
前記ケースの前記上面に相対する下面には、前記書き込み可否選択スイッチが設けられること
を特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。
【請求項8】
前記磁気ヘッドにより前記磁気テープから読み出された前記情報を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された前記情報を読み出して、前記スピーカから音声として出力するための入力を受けるリピートスイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項9】
複数のトラックのそれぞれに沿って情報が記録される磁気テープが貼付されたカードを装着するためのスリットが設けられたケースと、
前記スリットに装着された前記カードを前記トラックに沿った方向に搬送する搬送ローラと、
前記磁気テープへの前記情報の書き込み、あるいは前記磁気テープからの前記情報の読み出し、を選択するための入力を受ける読み書き選択スイッチと、
前記情報の読み書きが行われる前記トラックを選択するための入力を受けるトラック選択スイッチと、
前記磁気テープに前記情報として書き込まれる音声の入力を受けるマイクと、
前記磁気テープから読み出される前記情報を音声として出力するスピーカと、
前記カードが搬送される際に、前記読み書き選択スイッチへの入力に応じて、前記トラック選択スイッチにより選択された前記トラックに沿って前記情報の読み出し又は書き込みを行う磁気ヘッドと、
を備える情報記録再生装置に用いられる前記カード。
【請求項10】
前記搬送ローラによって搬送される際に形成される前記搬送ローラとの接触面の軌跡を分断する切れ込みが設けられた請求項9に記載のカード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−4494(P2006−4494A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178456(P2004−178456)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(502251131)アート印刷株式会社 (1)
【Fターム(参考)】