説明

情報記録再生装置

【課題】デジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えた情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】ノイズフィルタの可変容量素子は、直流制御電圧により、容量が変化し、ノイズフィルタの周波数特性を変化させることができる。制御電圧出力部では、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する直流制御電圧を出力する。したがって、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高くなると、直流制御電圧が高くなり、これにより、可変容量素子の容量が小さくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が高くなる。一方、デジタルオーディオ信号の周波数が低ければ、直流制御電圧が低くなり、これにより、可変容量素子の容量が大きくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が低くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対して情報の記録/再生を行う情報記録再生装置に関し、特に、デジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタを備えた情報記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DVDレコーダやハードディスクレコーダなどの情報記録再生装置は、光ディスクやハードディスクなどの記録媒体に記録された情報に少なくともオーディオデータが含まれる場合、記録媒体から読み出されて所定のエンコード処理されたオーディオデータを入力してデコード処理を行うオーディオデコーダと、このオーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号をノイズフィルタを介して入力してアナログオーディオ信号に変換してアナログオーディオ信号を出力するデジタル/アナログ変換回路とを含み構成されている。
【0003】
ところで、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高いときは、オーディオデータが高密度(ビットレートが高い状態)で記録媒体に記録されている場合であり、一方、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が低いときは、オーディオデータが低密度(ビットレートが低い状態)で記録媒体に記録されている場合である。したがって、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高いときは、デジタルオーディオ信号の周波数帯域が広いため、ノイズフィルタの周波数特性の周波数帯域を広げて、このときのデジタルオーディオ信号がノイズフィルタを通過させるようにしなければならない。一方、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が低いときは、デジタルオーディオ信号の周波数帯域が狭いため、ノイズフィルタの周波数特性の周波数帯域を狭くて、余分なノイズ周波数成分がノイズフィルタを通過しないようにしなければならない。
【特許文献1】特開2000−339875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報記録再生装置においては、ノイズフィルタは、周波数特性が一定であり、カットオフ周波数を変化させることができないので、そのカットオフ周波数を適用できる予め定めた周波数のデジタルオーディオ信号であれば、適切にノイズ周波数成分を除去することができるが、前記予め定めた周波数以外の周波数のデジタルオーディオ信号に対しては、ノイズ周波数成分を適切に除去することができないという課題があった。
【0005】
例えば、サンプリング周波数が48KHzのデジタルオーディオ信号、またはサンプリング周波数が96KHzのデジタルオーディオ信号とが、従来の情報記録再生装置のノイズフィルタに入力され、ノイズフィルタのカットオフ周波数が50KHzに固定されている場合、このノイズフィルタにサンプリング周波数48KHzのデジタルオーディオ信号が入力されると、このデジタルオーディオ信号の48KHz位を超えるノイズ周波数成分が除去されるが、このノイズフィルタにサンプリング周波数96KHzのデジタルオーディオ信号が入力されると、このデジタルオーディオ信号の50KHz位〜96KHzの周波数成分も除去され、サンプリング周波数96KHzのデジタルオーディオ信号が持っている本来の高精度の音質を得ることができなくなるという課題が生じる。
【0006】
また、逆に、ノイズフィルタのカットオフ周波数が100KHzに固定されているとした場合、このノイズフィルタにサンプリング周波数96KHzのデジタルオーディオ信号が入力されると、このデジタルオーディオ信号の96KHz位を超えるノイズ周波数成分が除去されるが、このノイズフィルタにサンプリング周波数48KHzのデジタルオーディオ信号が入力されると、このデジタルオーディオ信号の48KHzを超えるノイズ周波数成分が除去されず、サンプリング周波数48KHzのデジタルオーディオ信号が持っている本来の音質が低下することになるという課題が生じる。
【0007】
なお、特許文献1の従来技術では、例えば、デジタル記録装置のデータラインやクロックラインに対して挿入したノイズフィルタの通過帯域特性(周波数特性に相当)を変更するように構成され、その通過帯域特性の切換はスイッチ・トランジスタにより2段階で行っているので、上記のような課題を解決することができるが、例えば、周波数の異なるデジタルオーディオ信号が3個以上あった場合には、ノイズフィルタの通過帯域特性を各デジタルオーディオ信号の周波数に応じて変化させることができないという課題が生じる。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えた情報記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、記録媒体に記録された情報に少なくともオーディオデータが含まれる場合、記録媒体から読み出されて所定のエンコード処理されたオーディオデータを入力してデコード処理を行うオーディオデコーダと、このオーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してアナログオーディオ信号を出力するデジタル/アナログ変換回路とを含み構成された情報記録再生装置において、前記オーディオデコーダの出力端と前記デジタル/アナログ変換回路の入力端との間に接続され、直流制御電圧により容量が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量を変化させることによって周波数特性を変化させ、前記オーディオデコーダからのデジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタと、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を検出する周波数検出手段と、この周波数検出手段により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を電圧の大きさに変換して前記直流制御電圧を生成する直流制御電圧生成手段とを有し、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する前記直流制御電圧を出力する制御電圧出力部とを設けたことを特徴とする情報記録再生装置を提供する。
【0010】
この構成において、ノイズフィルタの可変容量素子は、直流制御電圧により、容量が変化し、ノイズフィルタの周波数特性を変化させることができる。制御電圧出力部では、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を周波数検出手段により検出し、周波数検出手段により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を直流制御電圧生成手段により電圧の大きさに変換して直流制御電圧を生成する。
【0011】
したがって、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高くなると、直流制御電圧が高くなり、これにより、可変容量素子の容量が小さくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が高くなる。一方、デジタルオーディオ信号の周波数が低ければ、直流制御電圧が低くなり、これにより、可変容量素子の容量が大きくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が低くなる。
【0012】
このようなノイズフィルタの動作を利用することにより、周波数の高いデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタで余分なノイズ周波数成分が除去され、デジタル/アナログ変換回路で広い周波数帯域で精度の高いアナログのオーディオ信号を得て、高音質の音声を発生させることができる。一方、周波数の低いデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタで余分なノイズ周波数成分が除去され、デジタル/アナログ変換回路で、このときのデジタルオーディオ信号の周波数帯域に対応したアナログのオーディオ信号を得て、適切な音質の音声を発生させることができる。
【0013】
この構成によれば、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えたので、周波数の異なるデジタルオーディオ信号が2個以上あった場合でも、ノイズフィルタの周波数特性を各デジタルオーディオ信号の周波数に応じて変化させることができ、これにより、デジタルオーディオに採用されている何れの周波数のデジタルオーディオ信号でも効果的にノイズ周波数成分を除去することができ、この結果、当該デジタルオーディオ信号から得られる音声が高精度の音質で出力でき、音声の性能が向上される。
【0014】
請求項2の発明は、記録媒体に記録された情報に少なくともオーディオデータが含まれる場合、記録媒体から読み出されて所定のエンコード処理されたオーディオデータを入力してデコード処理を行うオーディオデコーダと、このオーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してアナログオーディオ信号を出力するデジタル/アナログ変換回路とを含み構成された情報記録再生装置において、前記オーディオデコーダの出力端と前記デジタル/アナログ変換回路の入力端との間に接続され、直流制御電圧により容量が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量を変化させることによって周波数特性を変化させ、前記オーディオデコーダからのデジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタと、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する前記直流制御電圧を出力する制御電圧出力部とを設けたことを特徴とする情報記録再生装置を提供する。
【0015】
この構成において、ノイズフィルタの可変容量素子は、直流制御電圧により、容量が変化し、ノイズフィルタの周波数特性を変化させることができる。制御電圧出力部では、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する直流制御電圧を出力する。
【0016】
したがって、オーディオデコーダから出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高くなると、直流制御電圧が高くなり、これにより、可変容量素子の容量が小さくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が高くなる。一方、デジタルオーディオ信号の周波数が低ければ、直流制御電圧が低くなり、これにより、可変容量素子の容量が大きくなり、ノイズフィルタのカットオフ周波数が低くなる。
【0017】
このようなノイズフィルタの動作を利用することにより、周波数の高いデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタで余分なノイズ周波数成分が除去され、デジタル/アナログ変換回路で広い周波数帯域で精度の高いアナログのオーディオ信号を得て、高音質の音声を発生させることができる。一方、周波数の低いデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタで余分なノイズ周波数成分が除去され、デジタル/アナログ変換回路で、このときのデジタルオーディオ信号の周波数帯域に対応したアナログのオーディオ信号を得て、適切な音質の音声を発生させることができる。
【0018】
この構成によれば、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えたので、周波数の異なるデジタルオーディオ信号が2個以上あった場合でも、ノイズフィルタの周波数特性を各デジタルオーディオ信号の周波数に応じて変化させることができ、これにより、デジタルオーディオに採用されている何れの周波数のデジタルオーディオ信号でも効果的にノイズ周波数成分を除去することができ、この結果、当該デジタルオーディオ信号から得られる音声が高精度の音質で出力でき、音声の性能が向上される。
【0019】
請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記制御電圧出力部は、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を検出する周波数検出手段と、この周波数検出手段により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を電圧の大きさに変換して前記直流制御電圧を生成する直流制御電圧生成手段とを有することを特徴とする。
【0020】
したがって、前記制御電圧出力部は、周波数検出処理および直流制御電圧処理を実現でき、これにより、デジタルオーディオ信号の周波数に対応する直流制御電圧を出力することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えたので、周波数の異なるデジタルオーディオ信号が2個以上あった場合でも、ノイズフィルタの周波数特性を各デジタルオーディオ信号の周波数に応じて変化させることができ、これにより、デジタルオーディオに採用されている何れの周波数のデジタルオーディオ信号でも効果的にノイズ周波数成分を除去することができ、この結果、当該デジタルオーディオ信号から得られる音声が高精度の音質で出力でき、音声の性能が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る情報記録再生装置としての光ディスク装置におけるオーディオ信号の処理に関係する部分の構成を示すブロック図である。ここでの説明では、記録媒体が光ディスク(DVDやCD)であり、光ディスク装置にノイズフィルタを備えたものを示すが、記録媒体がハードディスクであり、ハードディスク装置に、このノイズフィルタを備えても同様な効果が得られる。
【0023】
図1において、この光ディスク装置は、光ディスク1の情報の再生時に光ピックアップ2からの読取信号であるRF信号を増幅するRFアンプ3と、このRFアンプ3から出力されたRF信号をデジタルデータに変換した後に光ディスク1のデータフォーマットに応じた信号復調処理と誤り訂正処理を行うデジタル信号処理部4と、このデジタル信号処理部4から出力されたデータストリームの中からオーディオデータとサブピクチャデータとビデオデータとを分離するストリーム分離部5と、このストリーム分離部5から出力されたオーディオデータを入力して所定のデコード処理を行うオーディオデコーダ6とを備えている。
【0024】
また、この光ディスク装置は、オーディオデコーダ6の出力端とD/A(デジタル/アナログ)変換回路9の入力端との間に接続され、直流制御電圧により容量が変化する可変容量素子Cを有し、この可変容量素子Cの容量を変化させることによって周波数特性を変化させ、オーディオデコーダ6からのデジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタ7を備えている。このノイズフィルタ7は、コンデンサC1とコンデンサC2とコンデンサC3とコンデンサC4とから構成される可変容量素子Cと、コンデンサ71と、抵抗72とを有している。
【0025】
コンデンサ71の一端はオーディオデコーダ6の出力ラインLに接続され、その他端は接地されている。抵抗72の一端は出力ラインLに接続され、その他端はD/A変換回路9の入力端に接続されている。コンデンサC1の一端とコンデンサC2の一端とは、出力ラインLに接続されている。コンデンサC3の一端とコンデンサC4の一端とは、接地されている。コンデンサC1の他端とコンデンサC3の他端とは、接続され、また、直流制御電圧生成回路82の出力ラインL1に接続されている。コンデンサC2の他端とコンデンサC4の他端とは、接続され、また、直流制御電圧生成回路82の出力ラインL2に接続されている。
【0026】
また、この光ディスク装置は、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を検出する周波数検出回路81と、この周波数検出回路81により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を電圧の大きさに変換して前記直流制御電圧を生成する直流制御電圧生成回路82とを有し、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する前記直流制御電圧を出力する制御電圧出力部8とを備えている。
【0027】
また、この光ディスク装置は、ノイズフィルタ7を通過したデジタルオーディオ信号をアナログのオーディオ信号に変換するD/A変換回路9と、このD/A変換回路9から出力されたアナログのオーディオ信号の音声周波数帯域以外のノイズ周波数成分を除去するLPF(ロウパスフィルタ)10と、このLPF10を通過したアナログのオーディオ信号を増幅して出力する音声出力回路11とを備えている。
【0028】
図2は本実施形態において可変容量素子が変化した場合のノイズフィルタの周波数特性を説明するための図である。図2において、ラインaからラインb1までのラインは、カットオフ周波数が低い場合のノイズフィルタの周波数特性のラインを示す。ラインaからラインb2までのラインは、カットオフ周波数が高い場合のノイズフィルタ7の周波数特性のラインを示す。したがって、ラインb1とラインb2間の周波数帯域は、ノイズフィルタ7の可変容量素子Cの容量が変化させることにより可変となる可変周波数帯域を示す。また、ラインb1で示すまでの周波数帯域が必要な周波数帯域であると、ラインb1とラインb2間の斜線で示す領域Bは不要な周波数成分が存在する周波数帯域になる。また、幅Aは、レベルe以上を得て、オーディオ信号として最低必要な周波数帯域を示し、アナログのオーディオ信号であれば、周波数f0に相当する周波数は20KHzであるが、この例の場合は、デジタルのオーディオ信号がノイズフィルタ7に入力されるので、周波数f0は、アナログのオーディオ信号の周波数20KHzに対応するデジタルのオーディオ信号の周波数になる。
【0029】
図3は前記可変容量素子Cの特性の一例を示す図である。図3において、ラインFは、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)に対する可変容量素子Cの静電容量の関係を示す特性曲線である。ラインFで示す特性曲線によれば、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)が0Vのとき、可変容量素子Cの静電容量を容量可変制御端子g、hから見たときに相当する静電容量は、Cmax=[C1・C2/(C1+C2)]+[C3・C4/(C3+C4)]になる。但し、この式でのC1,C2,C3,C4は、コンデンサC1,C2,C3,C4の静電容量を示すものとする。
【0030】
図3に示すように、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)を、電圧0Vを境にプラス側またはマイナス側にずらすと、ラインFで示すように、可変容量素子Cの静電容量が小さくなって行く。このような特性を利用して可変容量素子Cの静電容量を変化させると、ノイズフィルタ7の周波数特性を変化させることができる。
【0031】
可変容量素子Cの静電容量は、図3でも説明したように、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)が0〔V〕のときが最大であるCmax=[C1・C2/(C1+C2)]+[C3・C4/(C3+C4)]であるので、静電容量を基準容量に対して大きくしたり小さくしたりするには、図3に示すようにn〔V〕を基準の容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)に設定し、目的とする制御に必要な静電容量の最大変化幅が得られるように、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)の最大値と最小値を設定する。例えば、図3に示すように、ラインFの近似的直線区間を用い、この場合の静電容量が最大値m1〔μF〕になるときの容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)をn1〔V〕とし、静電容量が最小値m2〔μF〕になるときの容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)をn2〔V〕として設定する。
【0032】
なお、ラインFの近似的直線区間を用いることにより、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)により静電容量を変化させる制御が容易になる。即ち、可変容量素子Cの容量可変制御端子g,hに印加される容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)と、可変容量素子Cの静電容量との関係を示す特性ラインの近似的直線区間内に容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)の動作点を持っていき、可変容量素子Cに対する静電容量を変化させる線形制御を行わせることにより、容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)により静電容量を変化させる制御が容易になる。
【0033】
次に、図1〜図3を参照して本実施形態における光ディスク装置のオーディオ信号の処理に関する動作について説明する。
【0034】
図1において、この光ディスク装置に光ディスク1が挿入され、再生動作が開始すると、光ディスク1に記録されている映像音声情報が光ピックアップ2により読み出され、この読取信号であるRF信号がRFアンプ3で増幅される。このRFアンプ3から出力されたRF信号は、デジタル信号処理部4でデジタルデータに変換され、更に光ディスク1のデータフォーマットに応じた信号復調処理と誤り訂正処理がされる。デジタル信号処理部4から出力されたデータストリームの中からオーディオデータとサブピクチャデータとビデオデータとが、ストリーム分離部5により分離される。ストリーム分離部5から出力されたオーディオデータは、オーディオデコーダ6で所定のデコード処理が施される。
【0035】
そして、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタ7に入力され、不要なノイズ周波数成分が除去される。この不要なノイズ周波数成分が除去されたデジタルオーディオ信号は、D/A変換回路9に入力され、アナログのオーディオ信号に変換される。更に、このアナログのオーディオ信号は、LPF10で音声周波数帯域以外のノイズ周波数成分が除去され、LPF10を通過したアナログのオーディオ信号は、音声出力回路11に入力されて増幅される。音声出力回路11から出力されたオーディオ信号は、図示しないテレビジョン受像機の音声回路を介してスピーカに供給されて音声化されたり、あるいは図示しないオーディオ装置の音声回路を介してスピーカに供給されて音声化されたりする。
【0036】
ところで、前述したように可変容量素子Cは、容量可変制御端子g,hに印加される容量制御電圧(制御電圧出力部8からの直流制御電圧)により、容量が変化し、ノイズフィルタ7の周波数特性を変化させることができる。制御電圧出力部8では、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を周波数検出回路81により検出し、周波数検出回路18により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を直流制御電圧生成回路82により電圧の大きさに変換して容量制御電圧(直流制御電圧)を生成する。即ち、制御電圧出力部8は、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する容量制御電圧(直流制御電圧)を出力し、容量制御電圧(直流制御電圧)を可変容量素子Cの容量可変制御端子g,hに印加する。
【0037】
オーディオデコーダ6から出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高いときは、オーディオデータが高密度(ビットレートが高い状態)で光ディスク1に記録されている場合であり、一方、オーディオデコーダ6から出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が低いときは、オーディオデータが低密度(ビットレートが低い状態)で光ディスク1に記録されている場合である。したがって、オーディオデコーダ6から出力されるデジタルオーディオ信号の周波数が高いときは、デジタルオーディオ信号の周波数帯域が広いため、ノイズフィルタ7の周波数特性の周波数帯域を広げて、このときのデジタルオーディオ信号がノイズフィルタ7を通過させるようにしなければならない。
【0038】
このため、制御電圧出力部8では、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を周波数検出回路81により検出し、周波数検出回路18により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を直流制御電圧生成回路82により電圧の大きさに変換して容量制御電圧(直流制御電圧)を生成するが、デジタルオーディオ信号の周波数が高ければ、容量制御電圧(直流制御電圧)が高くなり、これにより、可変容量素子Cの容量が小さくなり、ノイズフィルタ7のカットオフ周波数が高くなる。この結果、このときのデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタ7で余分なノイズ周波数成分が除去され、ノイズフィルタ7を通過し、次にD/A変換回路9で広い周波数帯域で精度の高いアナログのオーディオ信号を得て、高音質の音声を発生させることができる。
【0039】
一方、デジタルオーディオ信号の周波数が低ければ、容量制御電圧(直流制御電圧)が低くなり、これにより、可変容量素子Cの容量が大きくなり、ノイズフィルタ7のカットオフ周波数が低くなる。この結果、このときのデジタルオーディオ信号は、ノイズフィルタ7で余分なノイズ周波数成分が除去され、ノイズフィルタ7を通過し、次にD/A変換回路9で、このときのデジタルオーディオ信号の周波数帯域に対応したアナログのオーディオ信号を得て、適切な音質の音声を発生させることができる。
【0040】
以上説明したように本実施形態によれば、オーディオデコーダ6から出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタ7を備えたので、周波数の異なるデジタルオーディオ信号が2個以上あった場合でも、ノイズフィルタ7の周波数特性を各デジタルオーディオ信号の周波数に応じて変化させることができ、これにより、デジタルオーディオに採用されている何れの周波数のデジタルオーディオ信号でも効果的にノイズ周波数成分を除去することができ、この結果、当該デジタルオーディオ信号から得られる音声が高精度の音質で出力でき、音声の性能が向上される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、CD、DVD、ハードディスクなどの記録媒体に対して記録/再生を行うことができる情報記録再生装置に利用可能であり、オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に応じて周波数特性が変化するノイズフィルタを備えることにより、デジタルオーディオに採用されている何れの周波数のデジタルオーディオ信号でも効果的にノイズ周波数成分を除去することができ、音声の性能の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報記録再生装置としての光ディスク装置におけるオーディオ信号の処理に関係する部分の構成を示すブロック図である。
【図2】前記実施形態において可変容量素子が変化した場合のノイズフィルタの周波数特性を説明するための図である。
【図3】前記可変容量素子の特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
1 光ディスク(記録媒体)
6 オーディオデコーダ
7 ノイズフィルタ
8 制御電圧出力部
9 D/A変換回路
81 周波数検出回路(周波数検出手段)
82 直流制御電圧生成回路(直流制御電圧生成手段)
C 可変容量素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された情報に少なくともオーディオデータが含まれる場合、記録媒体から読み出されて所定のエンコード処理されたオーディオデータを入力してデコード処理を行うオーディオデコーダと、このオーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してアナログオーディオ信号を出力するデジタル/アナログ変換回路とを含み構成された情報記録再生装置において、
前記オーディオデコーダの出力端と前記デジタル/アナログ変換回路の入力端との間に接続され、直流制御電圧により容量が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量を変化させることによって周波数特性を変化させ、前記オーディオデコーダからのデジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタと、
前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を検出する周波数検出手段と、この周波数検出手段により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を電圧の大きさに変換して前記直流制御電圧を生成する直流制御電圧生成手段とを有し、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する前記直流制御電圧を出力する制御電圧出力部とを設けたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
記録媒体に記録された情報に少なくともオーディオデータが含まれる場合、記録媒体から読み出されて所定のエンコード処理されたオーディオデータを入力してデコード処理を行うオーディオデコーダと、このオーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してアナログオーディオ信号を出力するデジタル/アナログ変換回路とを含み構成された情報記録再生装置において、
前記オーディオデコーダの出力端と前記デジタル/アナログ変換回路の入力端との間に接続され、直流制御電圧により容量が変化する可変容量素子を有し、この可変容量素子の容量を変化させることによって周波数特性を変化させ、前記オーディオデコーダからのデジタルオーディオ信号に含まれるノイズ周波数成分を除去するノイズフィルタと、
前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数に対応する前記直流制御電圧を出力する制御電圧出力部とを設けたことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項3】
前記制御電圧出力部は、前記オーディオデコーダから出力されたデジタルオーディオ信号の周波数を検出する周波数検出手段と、この周波数検出手段により検出されたデジタルオーディオ信号の周波数を電圧の大きさに変換して前記直流制御電圧を生成する直流制御電圧生成手段とを有することを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−123608(P2008−123608A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306119(P2006−306119)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】