説明

情報記録媒体の包装構造

【課題】情報記録媒体の包装構造を簡素化して省資源化を図り、帯状の熱収縮性止めバンドに皺付きが生じるのを解消する。
【解決手段】情報記録媒体Mが収納された収納ケース5と、インデックスカードS1とを包装対象とする。インデックスカードS1は、収納ケース5のケース上面5aの少なくとも一部を覆う上面片7と、上面片7の前端から下向きに折り曲げ連設されて収納ケース5の前面側を覆う前面片9と、前面片9の下端から後方向に折り曲げ連設されて収納ケース5のケース下面5bの少なくとも一部を覆う下面片10とを含む。前記収納ケース5の外周面には、熱収縮性フィルムからなる無端状の止めバンド6が、インデックスカードS1を跨いで前後方向に巻き付けられている。前記ケース上面5aにおける止めバンド6の前後長さ寸法(A)に対して、止めバンド6の左右幅寸法(B)が、4≦A/B≦10の関係を満たすように寸法設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクカートリッジやテープカートリッジなどの情報記録媒体の簡易な包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、情報記録媒体が収納された収納ケースの外周面に、インデックスカードを熱収縮性フィルムからなる止めバンドのみで個別包装して、包装構造の簡素化を図っている。そこでのインデックスカードは、上面片と、該上面片の前端から垂直方向に折り曲げられた前面片と、該前面片の下端から後方向に折り曲げられた下面片とを含んでコ字状に折り曲げ形成されており、前面片で収納ケースの開口部を塞ぎ、上下面片で収納ケースの上面と下面の一部を覆っている。同種の包装形態は、特許文献2、3にも認められる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−199494号公報
【特許文献2】特開2001−010664号公報
【特許文献3】特開2001−019082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の包装構造によれば、収納ケースの全周面を包装フィルムで覆う従来形式に比べて、省資源化を実現できる。しかし、止めバンドに部分的な弛みが生じて皺ができやすく、単位包装体(本発明に係る図1参照)、あるいは複数個の単位包装体を集積化してなる集合包装体(本発明に係る図4参照)において、外観上の印象が大きく損なわれる点に問題があった。
【0005】
上記の問題点は、止めバンドの左右幅寸法を小さく設定すれば解決できる。しかし、止めバンドの左右幅寸法を闇雲に小さく設定して行っても、止めバンドが不用意に切断されやすくなるだけである。その結果、情報記録媒体の生産効率の低下や歩留りの低下などの新たな問題を招く。
【0006】
そこで本発明の目的は、この種の包装構造において、止めバンドの皺付きを防ぎ、さらに止めバンドの切断に由来する製造トラブルの発生を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報記録媒体の包装構造は、図1ないし図3に示すごとく、カートリッジ化された情報記録媒体Mが収納された収納ケース5と、この収納ケース5に付設されるインデックスカードS1とを包装対象としている。
【0008】
インデックスカードS1は、収納ケース5のケース上面5aの少なくとも一部を覆う上面片7と、前記上面片7の前端から下向きに折り曲げ連設されて収納ケース5の前面側を覆う前面片9と、該前面片9の下端から後方向に折り曲げ連設されて収納ケース5のケース下面5bの少なくとも一部を覆う下面片10とを含む。収納ケース5が、前面に情報記録媒体Mを抜き差しするための開口部3を有する左右横長のブックケース型の場合、インデックスカードS1の前面片9は、収納ケース5の前記開口部3の前面外側を全面的ないし部分的に覆う機能を持つ。但し、本発明が対象とする情報記録媒体Mの種類、および収納ケース5の形態は図示例に限定されない。
【0009】
収納ケース5の外周面には、熱収縮性フィルムからなる無端帯状の止めバンド6が、インデックスカードS1を跨いで前後方向に巻き付けられている。熱収縮性フィルムからなる止めバンド6は、巻き掛けた後に加熱することにより熱収縮し、これで収納ケース5にインデックスカードS1を縛り付けるよう働く。
【0010】
そのうえで本発明では、前記ケース上面5aにおける止めバンド6の前後長さ寸法(A)に対して、止めバンド6の左右幅寸法(B)が、4≦A/B≦10の関係を満たすように寸法設定されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、図4に示すごとく収納ケース5にインデックスカードS1を止めバンド6で縛ってなる単位包装体11の複数個を集積した状態で、その集合包装体16の外周面の全体を熱収縮性の包装シート13で封止包装することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、収納ケース5のケース上面5aにおける止めバンド6の前後長さ寸法Aと、止めバンド6の左右幅寸法Bとで規定される(A/B)の値を、4〜10とした。つまり、好適な止めバンド6の左右幅寸法Bの範囲は、前後の長さ寸法Aに対して、10分の1以上、4分の1以下となるようにした。
【0013】
これによれば、特許文献1などの従来構造に比して、収納ケース5のケース上面5aおよびケース下面5bに存する止めバンド6の面積を小さくしたので、熱収縮時において止めバンド6に皺付きが生じることを効果的に防いで、情報記録媒体Mの外観包装形態を良好に保つことができる。つまり、ミニディスクを用いた後述の表1に係る試験結果から、(A/B)の値が「4」を下回ると熱収縮により止めバンド6に皺付きを生じるが(No.2)、(A/B)の値を「4」以上であると、皺の発生を効果的に抑えることができることがわかった(No.3)。因みに、特許文献1の従来例における止めバンドの(A/B)の概算値は「2」であり、当該形態では皺付きが発生した。
【0014】
また、No.6およびNo.7の試験結果より、(A/B)の値が「10」以下であれば、止めバンド6の強度を良好に保って、情報記録媒体Mの包装作業中に止めバンド6が不用意に切断される不具合を効果的に抑え得ることができ、したがって製造トラブルの発生を確実に回避できることがわかった。
【0015】
より好ましい(A/B)値の範囲は「4〜5」である。「5」を超えると、止めバンド6が破れて製造作業の中断を招くおそれがある(No.4およびNo.5参照)。これに対して、本発明のように(A/B)の値が「5」以下だと、止めバンド6の切断は確実に防止できる。
【0016】
止めバンド6の皺付きは、とくに複数個の単位包装体11を集積化して、図4に示すごとく集合包装体16とした際に顕著に現出する。つまり、止めバンド6に弛みが生じている状態で、単位包装体11の複数個を集積し、その外周面全体を包装シート13で封止包装して集合包装体16にすると、該集合包装体16の最外面に存する単位包装体11の止めバンド6の弛みが、包装シート13を熱収縮させた際にだぶ付いて、皺となって集合包装体16の外面に現出しやすい。このように止めバンド6に皺付きがあると、集積包装体16を店頭等においた際に差ができて違和感を生じさせ、結果として商品性が損なわれるといった問題が生じていた。
【0017】
この点、本発明によれば、上述のように単位包装体11の包装構造として、(A/B)の値を「4」以上として、止めバンド6の皺付きを防いでいるので、単位包装体11の複数個を集積し、その外周面全体を包装シート13で封止包装して集合包装体16とした場合においても、集合包装体16の外面に皺付きが現出することは無い。したがって、皺付きによって集合包装体16の外観上の印象が損なわれることを確実に解消できる。複数個の集合包装体16を重ね合わせた状態でも段差の発生が無く、店頭等において違和感無く陳列できる。また、(A/B)の値を「10」以下としたから、止めバンド6の強度を良好に保って、単位包装体11の包装作業中や集合包装体16の包装作業中に、止めバンド6が不用意に切断される不具合を効果的に抑えることができ、したがって製造トラブルの発生の回避や製品歩留りの向上をより一層図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1ないし図4は本発明に係る情報記録媒体の包装構造の実施形態を示しており、包装対象の情報記録媒体Mが、図2に示すごとく光磁気ディスク1を四角形状のカートリッジケース2に収容したミニディスクである。
【0019】
情報記録媒体Mは、左右横長のブックケース型に形成されて、前面に情報記録媒体Mの挿脱用の開口部3を備える収納ケース5に収納されて、インデックスカードS1およびタイトルカードS2とともに、熱収縮性フィルムからなる止めバンド6で簡易包装される。収納ケース5は、例えばポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂で成形する。
【0020】
インデックスカードS1は、上面片7と、該上面片7の前端から垂直方向に折り曲げ連設された前面片9と、該前面片9の下端から後方向に折り曲げ連設された下面片10とを含んでコ字状に形成されている。
【0021】
包装に際しては、情報記録媒体Mが収納された収納ケース5の下側にタイトルカードS2を重ね、コ字状に折り曲げたインデックスカードS1の上下面片7・10を、これらが収納ケース5のケース上面5aおよびケース下面5bの一部を覆うように添付する。このとき、インデックスカードS1の前面片9によって収納ケース5の開口部3がほぼ全面的に塞がれる。
【0022】
この状態で、図1に示すごとく収納ケース5の外周面における左右方向の中央部位に、1本の止めバンド6を前後方向に巻き付け、止めバンド6の両端どうしを重ねた状態で熱溶着し、止めバンド6を無端帯状とする。予め無端状に形成しておいた帯状の止めバンド6を収納ケース5に外嵌装着してもよい。さらに、止めバンド6は、これの両端部どうしを接着して、無端帯状にしてもよい。
【0023】
この後に、止めバンド6を加熱して熱収縮させ、収納ケース5の外周面に密着させることにより、全ての包装対象を分離不能に包装する。このように止めバンド6を用いて情報記録媒体M、収納ケース5、インデックスカードS1およびタイトルカードS2の四者を一体包装すると、全体を包装用フィルムで覆う形式に比べて包装用フィルムの使用量が少なくて済み、省資源化に寄与できる。
【0024】
そのうえで本実施形態では、図1に示すごとく、ケース上面5a(ケース下面5b)における止めバンド6の前後長さ寸法Aと、止めバンド6の左右幅寸法Bとが、4≦A/B≦10の関係にある。換言すれば、止めバンド6の左右幅寸法Bは、前後長さ寸法Aに対して10分の1から4分の1の範囲となるように寸法設定した。図示例では、左右幅寸法Bが、前後長さ寸法Aの5分の1になっている。
【0025】
上記の数値範囲を満たす止めバンド6は、従来の止めバンドに比べて幅狭であり、収納ケース5のケース上面5aあるいはケース下面5bを覆う面積が小さい。このため、熱収縮により止めバンド6に皺付きが生じ難く、外観上の体裁に優れた単位包装体11が得られた。
【0026】
複数個の単位包装体11をひとまとめにして、パック包装した状態で販売する場合には、図4に示すように、複数個の単位包装体11を重ね合わせて集積した後、その外周面全体を熱収縮性フィルムからなる包装シート13で密封状に包装する。具体的には、例えば5個の単位包装体11を上下に重ねてブロック状とし、その外周面を包装シート13で筒状に包み込み、内外に重なるシート端どうしを集合包装体16の外側で熱溶着する。さらに、図の左右側面にはみ出た包装シート13の筒端部を単位包装体11の側面に沿って折り込み、この折り込み部分15を熱溶着する。最後に、包装シート13の全体を均等に加熱して熱収縮させ集合包装体16を形成する。
【0027】
上記実施例においては、止めバンド6を用いて情報記録媒体M入りの収納ケース5にインデックスカードS1およびタイトルカードS2を縛るように包装したが、インデックスカードS2は省略してもよい。本発明はミニディスクに代表されるディスクカートリッジの包装構造に限られず、テープカートリッジの包装構造にも適用できる。
【0028】
(実施例) 次に、本発明の止めバンド6における数値の臨界的意義を明らかにする。まず、左右の幅寸法が異なる数種の止めバンド6を用意し、これら止めバンド6を用いて単位包装体11を作製した。ここでの止めバンド6は、材質はポリプロピレン、厚み30μmの熱収縮性フィルムで、幅は5.5mm、7mm、10mm、14.5mm、18mm、24mm、38mmを使用した。
【0029】
具体的には、表1に示すごとく、左右幅寸法(B)が異なるNo.1〜No.7の7種類の止めバンド6を用いて、図1に示すようなミニディスクの単位包装体11を作製した。収納ケース5のケース上面5aの前後寸法、すなわち図1の前後長さ寸法Aの値は、73mmとした。
【0030】
【表1】

【0031】
「皺の有無」は、熱収縮後における止めバンド6の皺付きの有無を目視にて確認したものである。そこでの○印は皺が全く確認できない状態を、×印は皺が確認できる状態をそれぞれ意味している。
「トラブル」は、製造ラインに流したときのトラブルの発生状態を評価しており、○印はトラブルは全く見られない状態を、△印は稀に帯状フィルムが切れた状態を、×印は帯状フィルムが切れやすく、ライン停止のトラブルが多発した状態をそれぞれ示す。
【0032】
表1のNo.2およびNo.3より、A/Bの値が「4」を下回ると、止めバンド6の幅寸法が大きくなって、皺付きが多発しやすくなることがわかる。また、No.6およびNo.7より、A/Bの値が「10」を超えると、止めバンド6が切断されやすくなり、製造ラインにおけるトラブルが多発することがわかる。また、No.4およびNo.5より、A/Bが「5」を超えると、稀に止めバンド6が切れてトラブルを生じさせることがわかる。以上より、好適なA/Bの値の範囲は、「4〜10」が好ましく、「4〜5」が最適であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】単位包装体の斜視図
【図2】包装対象の分解斜視図
【図3】単位包装体の平面図
【図4】集合包装体の斜視図
【符号の説明】
【0034】
3 収納ケースの前面の開口部
5 収納ケース
6 止めバンド
7 インデックスカードの上面片
9 インデックスカードの前面片
10 インデックスカードの下面片
11 単位包装体
13 包装シート
16 集合包装体
M 情報記録媒体
S1 インデックスカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ化された情報記録媒体が収納された収納ケースと、前記収納ケースに付設されるインデックスカードとを包装対象とし、
前記インデックスカードは、前記収納ケースのケース上面の少なくとも一部を覆う上面片と、前記上面片の前端から下向きに折り曲げ連設されて前記収納ケースの前面側を覆う前面片と、該前面片の下端から後方向に折り曲げ連設されて前記収納ケースのケース下面の少なくとも一部を覆う下面片とを含み、
前記収納ケースの外周面に、熱収縮性フィルムからなる無端帯状の止めバンドが、前記インデックスカードを跨いで前後方向に巻き付けられており、
前記ケース上面における前記止めバンドの前後長さ寸法(A)に対して、前記止めバンドの左右幅寸法(B)が、4≦A/B≦10の関係を満たすように寸法設定されていることを特徴とする情報記録媒体の包装構造。
【請求項2】
前記収納ケースに前記インデックスカードを前記止めバンドで縛ってなる単位包装体の複数個を集積した状態で、その外周面の全体が熱収縮性の包装シートで封止包装されている請求項1記載の情報記録媒体の包装構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−327645(P2006−327645A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−155358(P2005−155358)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】