説明

情報記録媒体再生装置及び再生方法と情報記録媒体

【課題】再生中断した後、再生が再開されたときの動作が正確に得られるようにする。
【解決手段】ディスクのコンテンツの再生中断を指示する中断指示部と、前記中断指示部により中断指示があったとき、前記ディスクの中断位置である中断位置情報を保存する中断位置情報保持部と、前記中断の後再生再開指示を行なう再生再開指示部と、前記再生再開指示が行なわれたとき、前記中断位置情報に基づいて、前記中断位置の所定の管理情報パックを読み取る中断位置読み取り制御部と、前記管理情報パックに含まれる同期情報を参照する同期情報参照部と、前記同期情報を参照して、前記中断位置より先行した位置から特定パックを取り込む特定パック取り込み処理制御部と、前記特定パックが取り込まれた後、前記特定パック内のデータを再生するとともに、前記中断位置からのパック内データの再生を実行する再生処理部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報記録媒体再生装置及び再生方法と情報記録媒体に関するもので、再生中断した後、再生が再開されるときの動作が正確に得られるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、Digital Versatile Disk (DVD)及びその再生装置が普及し、また、高密度記録、高画質記録を行うことができるHigh Definition DVD( High Density DVD いわゆるHD DVD)も開発されている。
【0003】
一般にディスク再生装置には、レジューム機能が設けられている(特許文献1)。レジューム機能は、ディスクの再生途中で再生を停止し、ディスクの再生を停止したとき、或いはディスクを取り出したとき、或いは再生装置の電源を切ったとき、再生管理情報の中の再生位置情報をレジューム情報としてメモリに記憶する。そして、再びプレイ操作がなされたとき、或いは当該ディスクが再度再生装置に装填され、プレイ操作がなされたときに、前記レジューム情報が再生開始のための開始位置情報として用いられる。
【特許文献1】特開平10−97766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、HD DVDの場合、そのデータフォーマットの構造及びデータ量の大きさから、レジューム機能については、特殊の配慮が必要となった。従来の如く単純に再生中断があったときの中断位置の情報を記憶し、再生再開時に前記中断位置情報を従来と同様に処理しても、所望の再生が得られないことがある。
【0005】
そこでこの発明は、再生中断した後、再生が再開されるときの動作が正確に得られるように工夫した情報記録媒体再生装置及び再生方法と情報記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するためにこの発明の一面では、ディスクのコンテンツの再生中断を指示する中断指示部と、前記中断指示部により中断指示があったとき、前記ディスクの中断位置である中断位置情報を保存する中断位置情報保持部と、前記中断の後再生再開指示を行なう再生再開指示部と、前記再生再開指示が行なわれたとき、前記中断位置情報に基づいて、前記中断位置の所定の管理情報パックを読み取る中断位置読み取り制御部と、前記管理情報パックに含まれる同期情報を参照する同期情報参照部と、前記同期情報を参照して、前記中断位置より先行した位置から特定パックを取り込む特定パック取り込み処理制御部と、前記特定パックが取り込まれた後、前記特定パック内のデータを再生するとともに、前記中断位置からのパック内データの再生を実行する再生処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
上記の手段により、中断位置からの再生信号に関連する前記特定パックを取り込むことができるために、適切な映像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態を説明する。まず図1を参照して情報記録媒体再生装置の全体的な構成を説明する。
【0009】
スピンドルモータ260は、ターンテーブルを回転駆動する。クランパは、光ディスク100をターンテーブル上に把持する。スピンドルモータ260は、モータドライバ250により制御される。
【0010】
光ヘッド110は、対物レンズ11及び光学系12を含む。光学系12は、フォーカス及びトラッキングアクチュエータ13により駆動される。フォーカス及びトラッキングアクチュエータ13がアクチュエータドライバ240により制御されると、レーザ光が光ディスクのトラックに焦点を合わせ、かつ追従する。
【0011】
ラジアルアクチュエータ14は、光ヘッド110をディスクの半径方向へ移動させるものであり、アクチュエータドライバ240により制御される。
【0012】
ディスクからの反射光は、対物レンズ11を介して光学系12から導出され、フォトディテクタ15で電気信号に変換される。この電気信号は、再生増幅器120でゲイン調整され、信号処理部130に入力される。信号処理部130では、復調処理及バッファリング、エラー訂正などが行われ、その出力はデータ処理部140に入力される。ここでは、パケット分離、制御信号分離などが行われ、音声情報はオーディオデコーダ150、映像情報はビデオデコーダ190に入力される。オーディオデコーダ150の出力及びビデオデコーダ190の出力は、それぞれ増幅器160、200にて増幅される。増幅器160のオーディオ信号は、スピーカ170に出力され、また増幅器200のビデオ信号は、表示器210に入力される。
【0013】
サーボコントローラ220は、例えば4分割フォトダイオードからの再生信号を演算処理したフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を用いて、アクチュエータ(ACT)ドライバ240に対して制御信号を与える。アクチュエータドライバ240は、ラジアルアクチュエータ14、フォーカス及びトラッキングアクチュエータ13に制御信号を与える。これにより対物レンズ11から出射されるレーザビームがディスク100のトラックに追従する。
【0014】
システムコントローラ300は、入力端末(例えばリモートコントローラ、あるいは操作キー入力部)270からの信号に応答して、装置の再生、停止、一時停止などを制御する。また、レーザダイオードドライバ230を制御する。レーザダイオードドライバ230は、光ヘッド110に搭載されているレーザダイオード16を駆動し、この結果、レーザ光が出力される。
【0015】
上記したDVD再生装置に光ディスク100が装填されると、スピンドルモータ260が所定の回転数まで回転する。次に、レーザ光が点灯されフォーカスアクチュエータ13に周期的な駆動電流が流され、光ヘッドが軸方向に上下され、フォーカスオンが行われる。その後、トラッキングオンされ、ディスクのデータ読み取りが行なわれる。
【0016】
<次に上記ディスクのデータ構造について説明する>
図2には、ディスク上で論理構成されたボリウム空間(Volume Space)を示している。ボリウム空間には、DVD ビデオゾーンとして、“DVD-Video zone for Ver.1.0”,“ DVD-Video zone for Ver.2.0”が含まれる。“ DVD-Video zone for Ver.2.0”には、1つのビデオマネージャ(VMG)と複数のビデオタイトルセット(VTS)が含まれる。ビデオマネージャ(VMG)及び各ビデオタイトルセット(VTS)は、複数のファイルで構成される。
【0017】
図3には、ビデオマネージャ(VMG)及び各ビデオタイトルセット(VTS)をさらに深い階層のレベルで示している。ビデオマネージャ(VMG)は、コントロールデータ(Control Data)としてのビデオマネージャ情報(VMGI)、ビデオマネージャのメニューのためのエンハンスドビデオオブジェクトセット(EVOBS for Menu(VMGM_EVOBS))、VMGIのためのバックアップ(Backup for VMGI)を含む。またビデオタイトルセット(VTS)は、コントロールデータ(Control Data)としてのビデオタイトルセット情報(VTSI)、ビデオタイトルセットのメニューのためのエンハンスドビデオオブジェクトセット(EVOBS for Menu(VTSM_EVOBS))、タイトルのためのエンハンスドビデオオブジェクトセット(EVOBS for Title(VTSTT_EVOBS))、VTSIのためのバックアップファイルを有する。
【0018】
図4には、VMG内のビデオマネージャ情報(VMGI)を示している。VMGIは、ディスクに記録されているタイトルをサーチするタイトルサーチポインタテーブル(Title Search Pointer Table(TT_SRPT))を有する。またパレンタルマネージメントに関する情報、及びビデオタイトルセットの属性に関する方法が含まれる。
【0019】
VMGIは、マネージャ情報管理テーブル(VMGI_MAT)で始まり、以下、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)、ビデオマネージャメニューPGCIユニットテーブル(VMGM_PGCI_UT)、パレンタル管理情報テーブル(PLT_MAIT)、ビデオタイトルセットアトリビュートテーブル(VTS_ATRT)、テキストデータマネージャ(TXTDT_MG)、FP_PGCメニューセルアドレステーブル(FP_PGCM_C_ADT)、FP_PGCメニューエンハンストビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(FP_PGCM_EVOBU_ADMAP)、ビデオマネージャメニューセルアドレステーブル(VMGM_C_ADT)、ビデオマネージャメニューエンハンストビデオオブジェクトユニットアドレスマップ(VMGM_EVOBU_ADMA)へと続く。
【0020】
図5にはタイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)の内容をさらに詳しく示している。TT_SRPTは、タイトルサーチポインタテーブル情報(Title Search Pointer Table Information(TT_SRPTI))、タイトルのためのタイトルサーチポインタ(Title Search Pointer for Title #n (TT_SRP #n))を有する。
【0021】
図6に示すように、TT_SRPTIには、タイトルサーチポインタの数(TT_SRP_Ns)、タイトルサーチポインタの終了アドレス(TT_SRPT_EA)などが記述されている。
【0022】
図7に示すように、TT_SRP #nには、タイトルのパートの数(チャプターの数に相当)(Number of Part of Titles(PTT_Ns)、ビデオタイトルセット番号(VTS number(VTSN))、ビデオタイトルセットタイトル番号(VTS Title number (VTS_TTN))、ビデオタイトルセットのスタートアドレス(Start address of the VTS(VTS_SA))などが記述されている。このサーチポインタを利用して、所望のタイトルへ辿りつくことができる。
【0023】
図8には、ビデオタイトルセット情報(VTSI)の内容をさらに詳しく示している。VTSIには、ビデオタイトルセット情報マネジメントテーブル(=Video Title Set Information Management Table(VTSI_MAT)), ビデオタイトルセットタイトルパートサーチポインタテーブル(=Video Title Set Part_of_Title Search Pointer Table(VTS_PTT_SRPT)), ビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブル(= Video Title Set Program Chain Information Table(VTS_PGCIT)), ビデオタイトルセットメニューPGCIユニットテーブル(=Video Title Set Menu PGCI Unit Table(VTSM_PGCI_UT)),ビデオタイトルセットタイムマップテーブル(= Video Title Set Time Map Table (VTS_TMAPT)),ビデオタイトルセットメニューセルアドレステーブル(= Video Title Set Menu Cell Address Table (VTSM_C_ADT)), ビデオタイトルセットメニューEVOBUアドレスマップ(=Video Title Set Menu EVOBU Address Map (VTSM_EVOBU_ADMAP)), ビデオタイトルセットセルアドレステーブル(= Video Title Set Cell Address Table (VTS_C_ADT)),ビデオタイトルセットEVOBUアドレスマップ(= Video Title Set EVOVU Address Map (VTS_EVOBU_ADMAP))を含む。
【0024】
図9には、上記のビデオタイトルセットタイトルパートサーチポインタテーブル(=Video Title Set Part_of_Title Search Pointer Table(VTS_PTT_SRPT))の内容をさらに詳しく示している。このテーブルは、ビデオタイトルの中のパートつまり、チャプターをサーチするために利用可能である。このテーブルには、タイトルパートサーチポインタテーブル情報(= Part_of_Titile Search Pointer Table Information (PTT_SRPTI))と、タイトルユニットサーチポインタ(=Title Unit #n Search Pointer(TTU_SRP#n))が記述されている。そして、このTTU_SRP#nを参照することで、タイトルユニット(チャプター)が決まり、タイトルパートのサーチポインタが決まる。
【0025】
図10には、上記のPTT_SRPTIの内容を示しており、ここには、VTS内のTTUの数(VTS_TTU_Ns)が記述されている。またサーチポインタテーブルのエンドアドレス(VTS_PTT_SRPT_EA)が記述されている。
【0026】
図11には、先のTTU_SRP#nの内容が示されている。この内容は、TTU#nのスタートアドレスである。これによりTTU#nを読み取り、この中のPTT_SRP#1から順次PTT_SRP#mを認識することができる。
【0027】
図12には、PTT_SRP#mの内容を示している。ここには、このビデオタイトルセットのチャプターの再生順序を記述したプログラムチェーンの番号(Program Chain number)と、プログラム番号(Program number)が記述されている。
【0028】
図13には、VTSIに含まれるビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブル(=Video Title Set Program Chain Information Table(VTS_PGCIT))の内容をさらに示している。VTS_PGCITは、VTS_PGCIT情報(VTS_PGCITI)とビデオタイトルセットプログラムチェーン情報サーチポインタ#n(=VTS_PGCI Search Pointer #n(VTS_PGCI_SRP#n))と、このサーチポインタに基づいてアクセス可能なVTS_PGCIを有する。
【0029】
図14には、上記したVTS_PGCIの内容を示し、ここには、プログラムチェーン一般情報(Program Chain General Information(PGC_GI)),プログラムチェーンコマンドテーブル( Program Chain Command Table(PGC_CMDT)),プログラムチェーンプログラムマップ( Program Chain Program Map (PGC_PGMAP)),セルプレイバックテーブル(Cell Playback Information Table (C_PBIT)),セル位置情報テーブル( Cell Position Information Table (C_POSIT))を含む。
【0030】
PGC_GIには、プログラムチェーンで特定されるプログラム数、セルの数、再生時間、ユーザコントロールに許可されている操作、オーディオストリームの有効無効情報、デコードに関する情報、副映像ストリームの有効無効情報及び属性に関する情報などが記述されている。PGC_CMDTには、プログラムチェーンが処理されるときに先行して装置の処理を実行させるためのプリコマンド、後で装置の処理を実行させるためのポストコマンドが記述される。
【0031】
図15には、PGC_PGMAPの内容を示している。ここには、各プログラムのためのエントリーセル番号(Entry Cell Number)が記述されている。図16には、C_PBITの内容を示している。そして図17には、セルプレイバック情報(C_PBI)の内容を示している。
【0032】
C_PBIでは、セルのカテゴリー(Cell Category (C_CAT))、セルプレイバック時間(Cell Playback Time (C_PBTM)、セルの中の最初のEVOBUの開始アドレス(Start address of the First EVOBU in the Cell(C_FEVOBU_SA))、セルの中の最初のILVUの終了アドレス(End address of the First ILVU in the Cell(C_FILVU_EA))、セルの中の最後のEVOBUの開始アドレス(Start address of the Last EVOBU in the Cell(C_LEVOBU_SA))、セルの中の最後のILVUの終了アドレス(End address of the Last EVOBU in the Cell(C_LEVOBU_EA))、セルコマンドのシーケンス(Sequence of Cell Commands(C_CMD_SEQ))が記述されている。
【0033】
図18には、セル位置情報(Cell Position Information #n(C_POSI#n))を示している。このC_POSI#nには、セルのEVOB ID番号(C_EVOB_IDN)と、セルのセルID番号(C_IDN)が記載されている。
【0034】
上記した管理情報に基づいて、再生装置は、ディスクに記録されているコンテンツの所望の位置をアクセスすることが可能である。
【0035】
図19には、エンハンスドビデオオブジェクトセット(EVOBS)のデータ構成例を示している。EVOBSは、1つ又は複数のエンハンスドビデオオブジェクト(Enhanced Video Objectを有する。複数の場合には、識別番号が付されている(EVOB_IDN1,……… EVOB_IDNiを参照)。1つのEVOBは、1つ又は複数のセル(Cell)を含む。複数の場合は、識別番号が付されている(C_IDN1,……… C_IDNiを参照)。1つのセルは、1つ又は複数のエンハンスドビデオオブジェクトユニット(EVOBU)を含む。そして1つのEVOBUは、先頭にナビパック(NV_PCK)を有し、オーディオパック(A_PCK)、ビデオパック(V_PCK)、ハイライトパック(HL_PCK)、副映像パック(SP_PCK)を含む。オーディオパック、ビデオパックは、それぞれオーディオデータ、ビデオデータをデータ領域に配置されている。また副映像パックは、副映像データをデータ領域に配置されている。
【0036】
図20にはナビパック(NV_PCK)の構成を示している。NV_PCKは、ジェネラルコントロール情報パケット(GCI_PKT)、プレゼンテーションコントロール情報パケット(PCI_PKT)、データサーチ情報パケット(DSI_PKT)、を有する。
【0037】
ここでデータサーチ情報パケット(DSI_PKT)は、図21に示されるような情報が記述されている。DSI_PKTは、DSI 一般情報(DSI General Information(DSI_GI)), シームレスプレイバック情報(Seamless Playback Information(SML_PBI)),シームレスのためのアングル情報(Angle Information for seamless(SML_AGLI)),EVOBユニットサーチ情報(EVOB Unit Search Information(EVOBU_SRI)),同期情報( Synchronous Information(SYNCI))を有する。DSI_GIは、図22に示すように、ナビパックのシステムクロック基準、ディスク上で、EVOB先頭からのナビパックの論理ブロック番号、EVOBUのエンドアドレス(EVOB先頭からの論理ブロック番号)を含む。さらにまたEVOBU内の第1の基準ピクチャーの終了アドレス、第2、第3の基準ピクチャーの各終了アドレス、EBOVUが含まれるEVOBのID番号などが含まれる。
【0038】
SML_PBIには、シームレスEVOBUのカテゴリー、EVOBの中のビデオスタートプレゼンテーションタイム、及びエンドプレゼンテーションタイムなどが含まれる。SML_AGLIには、次のインターリーブユニットのアドレス及びサイズなどが含まれる。また、EVOBU_SRIには、このNV_PACより前方の-1,-2,-3,……… -240の各EVOBUのアドレスと、後方の+1,+2,+3,……… +240の各EVOBUのアドレスが記述されている。早送りや高速逆送りのときはこのアドレスが利用される。
【0039】
図23にはSYNCIの内容を示している。このSYNCIには、本ナビパックが含まれるEVOBU内のビデオと同期すべき他のEVOBU内のパケットの情報が記述されている。即ち、ターゲットオーディオパック(A_PCK)アドレスが記述され(8個ストリームの各ストリーム毎に記述することができる)、またターゲット副映像パック(SP_PCK)が存在するEVOBUのスタートアドレスが記述されている(32個のストリームの各ストリーム毎に記述することができる)。さらにまた、ターゲットハイライトパック(HLI_PCK)が存在するEVOBUのスタートアドレスが記述されている。
【0040】
したがって、再生装置は、この同期情報を認識することにより、現EVOBUのビデオデータを再生するとき、先行するEVOBU内のSP_PCKの収集、HLI_PCKの収集を得ることができる。
【0041】
図24は複数の副映像パック内の副映像データを収集して、1つの副映像ユニットを構築した例を示している。この副映像ユニットは、副映像ユニットヘッダと、ランレングス圧縮されたピクセルデータと、ディスプレイコントロールシーケンステーブルを有する。ピクセルデータを復号付することにより、文字や図形表示データを得ることができ、その画面上の表示タイミング、大きさ、色、などがディスプレイコントロールシーケンステーブルに記載されている表示制御コマンドにより制御される。
【0042】
図25には、ハイライトパック(例えば2048バイト)の構成例を示している。ハイライトパックは、パックヘッダ(Pack Header)、パケットヘッダ(Packet Header)、ハイライトパックであることを示すサブストリームID(Sub-Stream ID),ハイライト情報データ(HLI data)を含む。このハイライトパックのデータを収集すると、図26のような情報を生成することができる。
【0043】
図26において、ハイライト一般情報(HL_GI)、ボタンカラー情報テーブル(2ビット)(Button Color Information Table 2bit)、ボタンカラー情報テーブル(8ビット)(Button Color Information Table 8bit)、ボタン情報テーブル(Button Information Table)が含まれる。これらを集合すると9780バイトになり、これらの情報は2048バイトの5個のパックに分散配置される。したがって、再生時に5つのハイライトパックを集合して、図26のデータを再現する必要がある。ビット数が8ビットで表現されるボタンカラー情報のテーブルを用意したのは、高解像度のビデオが再生されるときに、このテーブルを利用し、色の豊富さを得るためである。ビット数が2ビットで表現されるボタンカラー情報のテーブルを利用してもよいことは勿論である。
【0044】
HL_GIは、ハイライト情報の識別子、ハイライト情報のステータス(前回と同じか否かを示す)、ハイライト情報の開始プレゼンテーションタイム及び終了プレゼンテーションタイム、選択されたボタンの表示が終了するプレゼンテーションタイム、ボタンコマンドが変化するプレゼンテーションタイム、ボタングループの数、ボタン数などの情報が記述される。ボタンカラー情報テーブルには、カラーコードとコントラス値が記述されている。ボタン情報テーブルには、各ボタングループ毎にボタンの表示座標情報などが記述されている。図28には画面上で、メイン映像28aに副映像28bと、ハイライト情報28cが重畳される様子を模式的に示している。
【0045】
図29には、特にレジューム再生機能を明確にするために入力端末270及びシステムコントローラ300において形成される制御ブロックを示している。そして、図30と図31には、レジューム再生機能が動作するときの信号処理の流れと、ディスク上で特に注目されるパックの例を示している。
【0046】
入力端末270例えば、リモートコントローラは、再生中断を指示する中断指示部271と、中断の後再生再開を指示する再生再開指示部272(プレイボタン)を有する。システムコントローラ300は、操作入力に応答して、中断指示があったとき、ディスクの中断位置である中断位置情報を保存する中断位置情報保持部301と、再生再開指示が行なわれたとき、中断位置情報に基づいて、中断位置の所定の管理情報パック(NV_PCK)を読み取る中断位置読み取り制御部302を有する。そして、管理情報パック(NV_PCK)に含まれる同期情報を参照する同期情報参照部303と、同期情報を参照して、中断位置より先行した位置から特定パックを取り込む特定パック取り込み処理制御部304を有する。そして、特定パックが取り込まれた後、再生処理部400は、特定パック内のデータを再生するとともに、中断位置からのパック内データの再生を実行する。
【0047】
再生処理部400は図1に示した再生増幅器120、信号処理部130、データ処理部140、オーディオデコーダ150、ビデオデコーダ190、増幅器160、200などを含む。
【0048】
図30と図31を参照しながら、さらに動作を説明する。今、ディスクの再生中(ステップSA1)に、入力端末270から、中断情報の入力があったものとする(ステップSA2)。中断指示が与えられたときの再生位置は、ディスク上では図21のポイントP1であるものとする。
【0049】
このときシステムコントローラ300は、再生中のセル番号、再生中のEVOBU先頭アドレス、プログラムチェーン(PGC)再生情報(図13、図14)を保持する。
【0050】
また、再生中のビデオタイトルセット(VTS)番号、タイトル番号(ユニット番号に対応する)を保存する(図7)。さらに、タイトルセット内タイトル番号(タイトルユニット番号(図9))、このタイトルを再生しているプログラムチェーン番号(図12)、さらにチャプター番号(図9のパートオブサーチポインタ番号に相当)、ハイライト番号(ハイライトボタンが操作されているときその現在のボタン番号)を保存する。
【0051】
次に再生再開指示が与えられたとする(ステップSA4)。すると、所定のチェックを行なった後(ディスクの確認など)、上記の保持情報を読出し、システムパラメータとして設定する。
【0052】
これにより装置は、まずEVOBU先頭アドレスのサーチを行い、EVOBU先頭のNV_PCKを取得する。NV_PCKには、図21、図23で示した同期情報(SYNCI)が記述されており、この同期情報から、先行するEVOBU内の関連する副映像パック、ハイライト情報パック、オーディオパックなどを取得してくる。そしてこれらのパックのデータをワークメモリ或いはデコーダにて格納しデコードして出力する(ステップSA5−SA11)。また最初にNV_PCKを取得したEVOBU内のビデオデータ及びオーディオデータのデコード及び再生出力を実行する(ステップSA12)。
【0053】
上記のように再生中断した後、再生が再開されるとき、特にハイライト及び副映像の再生処理動作が正確に行なわれる。また、ハイライトの情報はパケット挿入方式とすることで、データ量を多くすることができ、解像度及び色表現などにおいてハイライト表示能力を高めることができる。またハイライト情報の領域を単なるハイライトだけでなく、他のテキスト情報などの領域として活用することも可能である。
【0054】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明が適用された情報記録媒体再生装置のブロック構成例を示す図である。
【図2】この発明に係るビデオディスクのボリウム空間の構成を示す説明図である。
【図3】図2のボリウム空間をさらに詳しく示す説明図である。
【図4】図3のビデオマネージャ情報(VMGI)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図5】図4のタイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図6】図5のタイトルサーチポインタテーブル情報(TT_SRPTI)内のをさらに詳しく示す説明図である。
【図7】図5のタイトルのためのタイトルサーチポイン(TT_SRP#n)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図8】図3のビデオタイトルセット情報(VTSI)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図9】図8のビデオタイトルセットパートオブタイトルサーチポインタテーブル(VTS_PTT_SRPT)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図10】図8のパートオブタイトルサーチポインタテーブル情報(PTT_SRPTI)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図11】図9のタイトルユニットサーチポインタ(TTU_SRP#n)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図12】図9のパートオブタイトルサーチポインタ(PTT_SRP#n)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図13】図9のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報テーブル(VTS_PGCIT)内の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図14】図13のビデオタイトルセットプログラムチェーン情報(VTS_PGCI)の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図15】図14のプログラムチェーンプログラムマップ(PGC_PGCMAP)の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図16】図15のセルプレイバック情報テーブル(C_PBIT)の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図17】図16のセルプレイバック情報(C_PBI)をさらに詳しく示す説明図である。
【図18】図15のセルポジション情報テーブル(C_POSIT)の情報をさらに詳しく示す説明図である。
【図19】ビデオオブジェクトのコンテンツの階層を示す説明図である。
【図20】ビデオオブジェクトに含まれるナビゲーションパック(NV_PCK)の構成を示す説明図である。
【図21】図20のナビゲーションパック(NV_PCK)のデータサーチ情報(DSI)の構成を示す説明図である。
【図22】図21のデータサーチ情報(DSI)のさらに一般情報(DSI_GI)の構成を示す説明図である。
【図23】図21のデータサーチ情報(DSI)のさらに同期情報(SYNCI)の構成を示す説明図である。
【図24】副映像データユニットの構成を示す説明図である。
【図25】ハイライトパックの構成を示す説明図である。
【図26】ハイライトパック内のデータの構成を示す説明図である。
【図27】ハイライトパック内のデータで構成されるハイライト情報(HLI)の構成を示す説明図である。
【図28】メイン映像、副映像、ハイライトにより構成される映像の例を示す説明図である。
【図29】この発明に係る装置の特徴的な部分を示す構成説明図である。
【図30】図29に示す装置の動作を説明するフローチャートである。
【図31】図29に示す装置の動作説明のためにディスク上のデータの配置例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
100・・・光ディスク、110・・・光ヘッド、300・・・システムコントローラ、301・・・中断位置情報保持部、302・・・中断位置読み取り制御部、303・・・同期情報参照部、304・・・特定パック取り込み処理制御部、400・・・再生処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクのコンテンツの再生中断を指示する中断指示部と、
前記中断指示部により中断指示があったとき、前記ディスクの中断位置である中断位置情報を保存する中断位置情報保持部と、
前記中断の後再生再開指示を行なう再生再開指示部と、
前記再生再開指示が行なわれたとき、前記中断位置情報に基づいて、前記中断位置をアクセスし、所定の管理情報パックを読み取る中断位置読み取り制御部と、
前記管理情報パックに含まれる同期情報を参照する同期情報参照部と、
前記同期情報を参照して、前記中断位置より先行した位置から特定パックを取り込む特定パック取り込み処理制御部と、
前記特定パックが取り込まれた後、前記特定パック内のデータを再生するとともに、前記中断位置からのパック内データの再生を実行する再生処理部と、
を有することを特徴とする情報記録媒体再生装置。
【請求項2】
前記特定パック取り込み部は、前記特定パックとしてハイライトパックを取り込むことを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体再生装置。
【請求項3】
前記特定パック取り込み部は、さらに前記特定パックとして副映像パックを取り込むことを特徴とする請求項2記載の情報記録媒体再生装置。
【請求項4】
前記管理情報パックは、複数パックからなるエンハンスドビデオオブジェクトユニットの先頭に配置されたナビゲーションパックであることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体再生装置。
【請求項5】
ディスクのコンテンツを読み取る読み取り部と、前記読み取り部から取り込まれたパック列のデータを処理する再生処理部と、コントローラ及び操作入力部を有し、映像情報を再生する情報媒体再生方法において、
操作入力部によりディスクのコンテンツの再生中断の指示があったとき、前記ディスクの中断位置である中断位置情報を保存し、
再生再開指示が行なわれたとき、前記中断位置情報に基づいて、前記中断位置をアクセスし、所定の管理情報パックを読み取り、
前記管理情報パックに含まれる同期情報を参照し、
前記同期情報を参照して、前記中断位置より先行した位置から特定パックを取り込み、
前記特定パックが取り込まれた後、前記特定パック内のデータを再生するとともに、前記中断位置からのパック内データの再生を実行する
ことを特徴とする情報記録媒体再生方法。
【請求項6】
前記特定パックとしてハイライトパックを取り込むことを特徴とする請求項5記載の情報記録媒体再生方法。
【請求項7】
さらに前記特定パックとして副映像パックを取り込むことを特徴とする請求項6記載の情報記録媒体再生方法。
【請求項8】
複数パックからなるエンハンスドビデオオブジェクトユニットの先頭に配置されたナビゲーションパックを、前記所定の管理情報パックとして取り込むことを特徴とする請求項5記載の情報記録媒体再生方法。
【請求項9】
エンハンスドビデオオブジェクトユニットが配列されてストリームを構築し、各エンハンスドビデオオブジェクトユニットは先頭にナビゲーションパックを有し、続いて複数のビデオパック、複数のオーディオパック、複数の副映像パック、複数のハイライトパックを含み、前記ナビゲーションパックには同期情報が記述され、
前記同期情報には、この同期情報が属するエンハンスドビデオオブジェクトユニットのビデオに関連する複数のハイライトパックが含まれている先行エンハンスドビデオオブジェクトユニットのスタートアドレスが記述されていることを特徴とする情報記録媒体。
【請求項10】
前記同期情報には、この同期情報が属するエンハンスドビデオオブジェクトユニットのビデオに関連する複数の副映像パックが含まれている先行エンハンスドビデオオブジェクトユニットのスタートアドレスが記述されていることを特徴とする請求項9記載の情報記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2007−280448(P2007−280448A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102325(P2006−102325)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】