説明

情報記録装置及びその制御方法

【課題】 一連のデータを複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録が可能な情報記録装置及びその制御方法において、記録媒体に無線通信機能付きメモリカードが含まれている場合を考慮したリレー記録を可能とする。
【解決手段】 リレー記録モードが設定されている場合、記録可能な記録媒体に、無線通信機能を有するものがあるか判別する(S502)。無線通信機能を有する記録媒体がある場合、無線通信機能を用いたデータ転送機能を無効にする(S503)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば映像、音声といった情報を記録する情報記録装置及びその制御方法に関し、特に複数の記録媒体を用いた連続的な記録が可能な情報記録装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の記録媒体を利用可能な情報記録装置、例えばディジタルカメラやビデオカメラ等、が知られている。複数の記録媒体としては、例えば、複数の内蔵記録媒体、内蔵の記録媒体と着脱可能な記録媒体、着脱可能な複数の記録媒体などを例示することができる。
【0003】
このうち、着脱可能な記録媒体として広く用いられているのは半導体メモリカードであり、様々な規格、容量のものが知られている。規格の異なる半導体メモリカードに対応した複数のカードスロットを有する情報記録装置も知られている。
【0004】
複数の記録媒体を利用可能な情報記録装置に固有の機能として、例えば動画のような一連のデータを複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録が知られている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−136794号公報
【特許文献2】特開2007−174693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、情報記録装置が利用可能な半導体メモリカードのなかには、無線通信機能を有するもの(無線メモリカード)が知られている。しかしながら、装着された複数の記録媒体に無線メモリカードが含まれている場合に、どのようにリレー記録を行うかについては全く検討されていなかった。
【0007】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされた。すなわち、本発明は、一連のデータを複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録が可能な情報記録装置及びその制御方法において、記録媒体に無線通信機能付きメモリカードが含まれている場合を考慮したリレー記録を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的は、一連のデータを、複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録モードを有する情報記録装置であって、記録可能な記録媒体のうち、無線通信機能を有する記録媒体を判別する判別手段と、無線通信機能を有する記録媒体による、無線通信機能を用いたデータ転送機能の有効、無効を制御する無線制御手段と、リレー記録モードが設定されている場合には、判別手段によって判別された無線通信機能を有する記録媒体について、無線通信機能を用いたデータ転送機能を無効とするように無線制御手段を制御する主制御手段と、を有することを特徴とするによって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一連のデータを複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録が可能な情報記録装置及びその制御方法において、記録媒体に無線通信機能付きメモリカードが含まれている場合を考慮したリレー記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報記録装置の一例としてデジタルビデオカメラの構成例を示すブロック図
【図2】リレー記録について説明するための模式図
【図3】本発明の実施形態に係るデジタルビデオカメラにおいてリレー記録を行う場合に用いる管理情報の一例を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係るデジタルビデオカメラにおける記録動作を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の第2の実施形態に係るデジタルビデオカメラにおける記録動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態においては、一連のデータの一例としての動画データを、またリレー記録可能な情報記録装置の一例としてのデジタルビデオカメラを説明する。しかし、本発明における一連のデータは動画データに限定されず、また情報記録装置もデジタルビデオカメラに限定されない。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報記録装置の一例としてデジタルビデオカメラ100の構成例を示すブロック図である。レンズユニット201は、固定レンズ群、変倍レンズ群、絞り、補正レンズ群(いずれも図示せず)を有する。補正レンズ群は、変倍レンズ群の動きで移動した結像位置を補正する機能と、焦点調節機能とを有する。撮像素子204は例えばCCD(Charge Coupled Device)であり、レンズユニット201によって結像面上に結像された被写体像を画素単位の電気信号に変換して撮像信号を生成する。A/D処理部205は、撮像信号に所定の処理を施しデジタル画像データを出力する。なお、レンズユニット201、撮像素子204、及びA/D処理部205はカメラユニット200を構成する。また、図1には示していないが、カメラユニット200は、レンズユニット201が有する変倍レンズ群、絞りなどを駆動するためのアクチュエータ、手ぶれ補正のためのセンサー(例えば角速度センサー)、光学式手ぶれ補正機構(シフトレンズなど)も有している。
【0013】
カメラユニット制御部281は、主制御部210の制御に従いカメラユニット200の各要素の動作を制御する。また、例えば合焦情報、手ぶれ情報などのカメラユニット200から得られる情報を主制御部210に伝達する。マイクユニット209は撮像時に環境音を検出する。マイクユニット209には増幅器や帯域制限回路が含まれる。A/D処理部219は、マイクユニット209の出力するアナログ音声信号を受けてデジタル音声データを出力する。
【0014】
主制御部210はデジタルビデオカメラ100の全体を制御する、例えばマイクロコンピュータである。主制御部210は、プログラムを格納する不揮発性メモリ(ROM)、作業領域となる揮発性メモリ(RAM)、他のハードウエアとのデータの受け渡しや制御用レジスタをアクセスするための外部バス、時間を計測するタイマを少なくとも有する。バス203は、接続されたブロック間で、主制御部210の制御に従ってデータの受け渡しを行うための伝送路である。
【0015】
エンコーダ部202は、主制御部210の制御に従い、A/D処理部205及び219からのデジタル画像データ及びデジタル音声データを、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)2方式で符号化する。エンコーダ部202はさらに、MPEG2形式の符号化データを時系列順に多重化して圧縮ビデオデータを生成する。また、エンコーダ部202は、例えばデータ位置とフレーム位置の変換に必要となる情報などを主制御部210に通知する機能を備えている。
【0016】
記録回路部221は、エンコーダ部202、メモリ206、メモリカードA220、メモリカードB223、及びデコーダ部208とのインターフェースを有し、主制御部210の制御によってデータの受け渡しを制御する。メモリ206は各ブロックが作業用に使用可能な記憶領域である。
【0017】
記録回路部221の機能判別部301は、メモリカードA220、メモリカードB223が無線通信機能を有するか否かを、例えばメモリカードごとに付与されるメモリカードIDを参照することにより判別する。機能判別部301は、例えば、デジタルビデオカメラ100の電源投入時や、メモリカードの挿抜が行われた際に判別処理を実行する。
【0018】
無線制御部302は、メモリカード内の無線通信機能の制御、具体的にはメモリカード内にある無線送信部の電源制御と、メモリカードに格納された動画データの送信制御を行う。記録媒体切替部303は、動画データの記録先の記録媒体を切り替える。記録媒体切替部303は、例えば一連のデータを複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録時には、記録中の記録媒体の記録残量が所定の閾値以下になったら、設定されている記録順序に基づいて記録先の記録媒体を切り替える。なお、機能判別部301、無線制御部302、及び記録媒体切替部303は個別のハードウェアであってもよいし、2つ以上が1つのハードウェアによって実現されてもよい。また、主制御部210がこれらの機能を実行してもよい。
【0019】
なお、デジタルビデオカメラ100には無線通信機能を有する記録媒体の無線通信機能の有効・無効を設定するメニューが用意されている。ユーザによるメニュー操作などにより無線通信機能が有効に設定されると、無線制御部302はメモリカード内の無線通信部への電源供給が行われるよう制御する。また、無線通信機能が無効に設定されると、無線制御部302はメモリカード内の無線通信部の電源供給が停止されるよう制御する。この設定はEEPROM211に保持される。
【0020】
メモリカードA220及びメモリカードB223は撮像した動画の記録先として利用可能な記録媒体の一例である。記録回路部221は、メモリ206、メモリカードA220、メモリカードB223、及びバス203とのインターフェースを有している。そして、記録回路部221は、主制御部210等からメモリカードA220やメモリカードB223の制御レジスタにアクセスするための変換を行う。
【0021】
メモリカードA220及びメモリカードB223には、カメラユニット200で撮像した映像と、マイクユニット209で収録した音声を含んだ動画データが記録される。なお、メモリカードA220及びメモリカードB223は、記録回路部221と接続可能なインターフェースを有し、自身が有する半導体メモリに対するデータの読み書きを行うための回路を備えている。本実施形態の記録回路部221は、所謂ダイレクトメモリアクセス(DMA)機能を有する。そのため、メモリ206の読み出し先頭アドレスとデータ量、及びメモリカードA220、メモリカードB223の書き込み先頭アドレスを記録回路部221に指定することにより、データの自動転送が行われる。記録媒体からメモリ206への読み出しにおいても同様である。
【0022】
デコーダ部208は、主制御部210に指定されたメモリ206のアドレスから圧縮ビデオデータや圧縮静止画データを逐次読み出す。デコーダ部208は読み出した圧縮ビデオデータや圧縮静止画を、例えばITU−R BT.656(CCIR656)等のデジタル映像信号、及びデジタル音声信号に変換して出力する。デコーダ部208は、圧縮静止画データの再生時に必要があれば縮小処理を行う。
【0023】
映像出力部217、音声出力部207はデコーダ部208によって変換されたデジタル映像信号及びデジタル音声信号を、外部装置に出力するためにそれぞれアナログ信号に変換する。映像出力部217、音声出力部207には例えばテレビジョン受像機等が接続される。
【0024】
オンスクリーンディスプレイ(OSD)部213は、各種設定を行うためのメニュー画面やタイトル、時間などの情報をデコーダ部208の出力するデジタル映像信号に重畳させて映像出力部217に出力する。またOSD部213は、デコーダ部208から入力されるデジタル映像信号をキャプチャーして縮小処理を施し、デジタル映像信号に対応する画像の任意の位置に重畳させる機能も有している。
【0025】
スイッチ操作部212は、ユーザがデジタルビデオカメラ100を操作するための入力デバイス群であり、入力デバイスはスイッチに限定されない。主制御部210は、スイッチ操作部212やタッチパネル215に対してユーザから与えられた入力の内容を判定し、入力に応じた動作を実行させる。
【0026】
メモリカードA220及びメモリカードB223には、予め定められたファイルシステム(データファイルの管理構造)に従ってデータの読み書きが行われる。このようなデータ管理を行うためのソフトウェア(ドライバ)は、主制御部210が有している。EEPROM211は、書き換え可能なROMであり、例えばデジタルビデオカメラ100のファームウェアや設定値などが書き込まれている。
【0027】
EVF(Electronic View Finder)214は、デジタルビデオカメラ100の撮像範囲を確認するための表示装置である。液晶パネル216はEVF214より大型の表示装置であり、メニュー画面の表示などに用いられる。なお、液晶パネル216をEVFとして機能させることもできる。液晶パネル216にはタッチパネル215が設けられており、ユーザは液晶パネル216に表示されたGUIを指などで直接操作することでメニュー操作や各種指示の入力が可能である。
【0028】
画面制御部222は、タッチパネル215からの入力位置を演算し、液晶パネル216に表示された画像との関係に基づいて、入力内容を判別する。画面制御部222はさらに、液晶パネル216に表示させる仮想ボタン(GUI)の表示制御も行う。
【0029】
ここで、リレー記録について図2を参照して説明する。図2(a)は、リレー記録に用いる記録媒体の順序が、スロット1(メモリカードA220)→スロット2(メモリカードB223)の順に設定されている場合を示している。メモリカードA220を記録先として記録を開始し、記録可能容量が閾値以下となったら(例えば閾値が0であれば、記録可能容量がなくなったら)、記録先の記録媒体をメモリカードA220からメモリカードB223に切り替えて記録を継続する。
【0030】
メモリカードA220及びメモリカードB223のいずれも無線通信機能を有さない場合、図2(a)に示すような順序で記録先を変更しながらリレー記録しても特に問題は生じない。しかしながら、例えばメモリカードB223が無線通信機能を有する場合には、問題が生じる。この問題について、図2(b)を参照して説明する。メモリカードB223が無線通信機能付きのメモリカードであった場合に図2(a)と同様のリレー記録が行われた場合を図2(b)に示す。この場合、リレー記録そのものには特に問題は生じない。しかし、少なくともメモリカードB223に対する記録の終了後、メモリカードB223が無線ネットワークと通信可能になると、メモリカードB223は記録されたデータを予め設定された転送先(ユーザのPCやネットワーク上のサーバなど)に自動転送する。つまり、リレー記録された一連のコンテンツのうち、メモリカードB223に記録された区間のみが、サーバに無線転送されてしまう。従来、このような問題についての対処方法は全く検討されていなかった。
【0031】
図3は、本実施形態のデジタルビデオカメラ100において、メモリカードA220からメモリカードB223の順にリレー記録を行う場合に、各メモリカードに記録する管理情報の一例を示す。
【0032】
コンテンツ管理情報401はメモリカードA220に記録され、コンテンツ管理情報402はメモリカードB223に記録される。メモリカードコンテンツID、記録日時、開始位置、記録時間、容量等の項目は、各メモリカードに記録されたデータに関する情報である。また、リレーIDはこのコンテンツIDのコンテンツが次の記録先に引き続いて記録されているかどうかを示す情報である。リレー記録されていない場合(すなわち、メモリカードA220で記録が完結している場合)には例えば”0”が、リレー記録されている場合には、続きが記録されている記録媒体とコンテンツIDを特定する情報が含まれる。記録媒体を特定する情報としては、例えばメモリカードIDなどの固有情報であってよい。主制御部210は、コンテンツデータファイルを記録媒体に記録するごとに、そのコンテンツについてのコンテンツ管理情報を生成し、コンテンツデータファイルが記録されている記録媒体に記録する。
【0033】
主制御部210は、メモリカードA220からメモリカードB223にコンテンツをリレー記録する場合、まず、メモリカードA220のコンテンツ管理情報401のリレーIDに、次の記録先であるメモリカードB223のメモリカードIDを記録する。次に主制御部210は、同一コンテンツに係るデータをメモリカードB223に記録し始めるとともに、コンテンツ管理情報402を生成する。そして、主制御部210は、コンテンツ管理情報402のコンテンツIDを、メモリカードA220のコンテンツ管理情報401のリレーIDに追加する。これにより、コンテンツ管理情報401のリレーIDには、リレー記録先であるメモリカードB223のメモリカードIDと、メモリカードB223に記録されたコンテンツIDとが記録される。
【0034】
次に図4のフローチャートを用いて、本実施形態のデジタルビデオカメラ100における記録動作を説明する。
なお、ここでは、リレー記録時における記録媒体の使用順序(記録順序)が予め設定されているものとする。なお、記録順序は例えばユーザ設定に従って設定されてもよいし、記録可能容量が多いものからリレー記録を行うよう、リレー記録モード設定時に主制御部210が自動的に順序を設定してもよい。なお、どのような規則で記録順序の自動設定を行うかをユーザが設定可能であってもよい。
また、ここでは、デジタルビデオカメラ100が記録スタンバイ状態にあるものとする。記録スタンバイ状態では、カメラユニット200が連続的にプレビュー用の撮像を行い、EVF214や液晶パネル216がビューファインダとして機能している。
【0035】
S501で主制御部210は、リレー記録モードが設定されているか否かを、例えばEEPROM211を参照することにより判定する。リレー記録の設定がされていない場合、主制御部210はS515で、スイッチ操作部212に含まれる記録開始キーやタッチパネル215の操作によって、記録開始が指示されたかどうか判別する。
【0036】
記録開始指示を検出すると、主制御部210は、S516で記録処理を開始する。記録処理では、カメラユニット200により撮像された画像を、エンコーダ部202、記録回路部221を通じて記録媒体に記録する。ここで記録を行う記録媒体は、メモリカードA220、メモリカードB223のうち、予め設定された記録媒体(例えば直前に記録が行われた記録媒体)である。
【0037】
記録先の記録媒体が無線通信機能を有し、かつその記録媒体の無線通信機能が有効に設定されている場合、無線送信を許可する。記録媒体の有する図示しない無線送信部は、予め設定された無線通信ネットワーク(もしくは予め設定された転送先装置)と通信可能になると、記録されたデータの無線転送を開始する。なお、無線通信機能が有効に設定されていない場合、データは転送されない。
【0038】
S517で主制御部210は、スイッチ操作部212に含まれる記録終了キーやタッチパネル215の操作によって、記録終了が指示されたかどうか判別する。記録終了指示を検出すると、主制御部210は図4の記録動作を終了する。
【0039】
一方、S501でリレー記録モードが設定されていると判定された場合、処理はS502に移行する。S502で主制御部210は、デジタルビデオカメラ100に装着されている記録媒体(本実施形態ではメモリカードA220及びメモリカードB223)に、無線通信機能を有するものがあるか判別する。具体的には、主制御部210は記録回路部221の機能判別部301が判別した結果を取得する。上述のように、機能判別部301は例えばメモリカードIDを参照することによりメモリカードの無線通信機能の有無を判別することができる。
【0040】
S502で、主制御部210は、何れの記録媒体(メモリカードA220、メモリカードB223)も無線通信機能を有していなければ処理をS505に、無線通信機能を有する記録媒体があれば処理をS503に進める。
【0041】
S503で主制御部210は、無線通信機能を有する記録媒体の無線送信部を無効にする。例えば主制御部210は、無線通信機能を有する記録媒体の無線送信部の電源を無線制御部302を通じてオフすることにより、その記録媒体の無線通信機能を無効にすることができるが、他の方法を用いてもよい。例えば、記録媒体が保持する設定パラメータ(無線送信部の有効、無効を設定するフラグ又は値)を、無線制御部302を通じて無線送信部が無効となる値に変更する方法であってもよい。なお、この処理は予めユーザ操作によって無線通信機能が有効に設定されていても行われる。
【0042】
そして、主制御部210はS504において、記録媒体の有する無線通信機能を用いた通信を行わないことをユーザに報知する。この報知の方法に特に制限はないが、例えば液晶パネル216にメッセージを表示したり、(例えばデコーダ部208に接続されてよい)図示しないスピーカから音声メッセージを出力したりすることによる報知が考えられる。また、ユーザに対して無線通信機能の無効化の確認入力を要求してもよい。例えばスイッチ操作部212から確認入力があると、主制御部210は処理をS505に進める。なお、主制御部210は、報知メッセージの出力後、一定時間経過後に自動的に処理をS505に進めてもよい。
【0043】
S505で主制御部210は、スイッチ操作部212に含まれる記録開始キーやタッチパネル215の操作によって、記録開始が指示されたかどうか判別する。
【0044】
記録開始指示を検出すると、主制御部210はS506で記録処理を開始する。ここで最初の記録先となる記録媒体は、予め設定された記録順序が先頭の記録媒体である。記録処理の開始時に主制御部210はコンテンツ管理情報(図3)を生成し、記録媒体(あるいは、メモリ206)に書き込む。
【0045】
S507で主制御部210は、記録中の記録媒体の記録可能容量(記録可能時間や空き容量でもよい)が、所定の閾値以上であるか否かを判定する。記録中の記録媒体の記録可能容量が所定の閾値以上の場合、S508で主制御部210は、スイッチ操作部212に含まれる記録終了キーやタッチパネル215の操作によって、記録終了が指示されたかどうか判別する。記録終了指示を検出すると、主制御部210は図4の記録動作を終了する。なお、S508で記録終了指示が検出された場合、実際にはリレー記録がなされていないので、主制御部210はS506で記録したコンテンツ管理情報を削除してもよい。
【0046】
S507で、記録中の記録媒体の記録可能容量が所定の閾値未満であれば、S509で主制御部210は、記録媒体切替部303によって、次の記録順序が設定された記録媒体に記録先の記録媒体を切り替えて記録を継続する。なお、次の記録順序が設定された記録媒体が装着されていない場合や、記録可能容量が所定の閾値未満である場合など、使用できない状況であれば、主制御部210は図4の記録動作を終了する。この場合もS508で記録終了指示が検出された場合と同様、実際にはリレー記録がなされていないので、主制御部210はS506で記録したコンテンツ管理情報を削除してもよい。
【0047】
S510で主制御部210は、記録中の記録媒体の記録可能容量(記録可能時間や空き容量でもよい)が、所定の閾値以上であるか否かを判定する。記録中の記録媒体の記録可能容量が所定の閾値以上の場合、S511で主制御部210は、スイッチ操作部212に含まれる記録終了キーやタッチパネル215の操作によって、記録終了が指示されたかどうか判別する。S511で記録終了指示を検出すると、主制御部210は記録処理を終了し、S512に処理を移す。S510で、記録中の記録媒体の記録可能容量が所定の閾値未満であれば、主制御部210は記録処理を終了し、処理をS512に移す。
【0048】
S512で主制御部210は、関連付け処理を行う。関連付け処理は、図3を用いて上述したコンテンツ管理情報401,402の更新処理である。記録時間や容量、リレーIDなどが記録終了時に更新される。コンテンツ管理情報401,402をメモリ206に書き込んでいる場合には、更新したコンテンツ管理情報401を記録媒体に書き込む。関連付け処理が終了すると、主制御部210は図4の記録動作を終了する。
【0049】
以上のように、本実施形態では、複数の記録媒体に対してリレー記録を行う場合、無線通信機能を有する記録媒体の無線通信機能を無効にする。これにより、リレー記録された同一コンテンツのうち、無線通信機能を有する記録媒体に記録された部分だけが転送されてしまうことを防止できる。
【0050】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報記録装置におけるリレー記録動作について説明する。なお、本実施形態に係る情報記録装置は、リレー記録に用いる最初の記録媒体が無線通信機能を有する場合の処理を除いて第1の実施形態と共通であってよい。従って、以下では、第1の実施形態で説明したデジタルビデオカメラ100で実行するものとし、第1の実施形態における記録動作との相異点を中心に説明する。
【0051】
図5に示すフローチャートを参照して、本実施形態のデジタルビデオカメラ100における記録動作を説明する。図5において、図4と同じ工程については同じ参照数字を付してある。
【0052】
S502で無線通信機能を有する記録媒体が存在することが判別された場合、S601で主制御部210は、リレー記録で最初に用いる(記録順序が先頭の)記録媒体が無線通信機能を有する記録媒体か否かを判定する。先頭の記録順序が設定された記録媒体が無線通信機能を有する場合、S602で主制御部210は、この記録媒体の無線通信機能を用いたデータ通信を行うか否かについてユーザに問い合わせる。
【0053】
具体的には、主制御部210は例えば「リレー記録する最初の記録媒体の無線通信機能を有効にしますか?」という問い合わせメッセージを「はい」「いいえ」GUIボタンとともに液晶パネル216に表示させる。そして主制御部210は、タッチパネル215もしくはスイッチ操作部212から「はい」又は「いいえ」のどちらを示すユーザ指示が入力されたか判別する。
【0054】
リレー記録する最初の記録媒体の無線通信機能を有効にするとのユーザ指示が入力されれば、S604で主制御部210は、無線制御部302を通じてその記録媒体の無線通信機能を有効にする。なお、既に無線通信機能が有効にされている場合は、本ステップは実行されない。一方、S601で先頭の記録順序が設定された記録媒体が無線通信機能を有さないと判別されたか、リレー記録する最初の記録媒体の無線通信機能を有効にしないとのユーザ指示がS603で入力された場合、主制御部210は処理をS503に移行する。そして、主制御部210は無線制御部302を通じて無線通信機能を無効にする。なお、既に無線通信機能が無効にされている場合は、本ステップは実行されない。
他の処理は第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、リレー記録に用いる最初の記録媒体が無線通信機能を有する場合で、ユーザの明示的な指示がある場合には、その無線通信機能を有効にできるようにした。これは、ユーザがリレー記録に用いる最初の記録媒体が無線通信機能を有する場合、ユーザはたとえ一部であっても、記録したコンテンツを送信したい意図があるとも考えられるからである。本実施形態ではユーザの指示を受け付け可能とし、ユーザの意図を尊重した柔軟なリレー記録を行うことができるようにした。なお、リレー記録に用いる最初の記録媒体が無線通信機能を有さない場合、記録したコンテンツを送信したいという積極的な意図がユーザにあるとは考えにくい。そこで、最初に記録される記録媒体が無線通信機能を有さず、2番目以降の記録媒体が無線通信機能を有する場合には、無線通信機能の使用についてユーザに問い合わせをしない。
【0056】
なお、S601において、リレー記録する最初の記録媒体の無線通信機能が有効になっているか否かを判断してもよい。この場合は、有効である場合にS602のメッセージを表示し、無効である場合にはS505に進むようにしてもよい。これは、例え最初の記録媒体が無線通信機能を有する場合であっても、その無線通信機能が無効であれば、記録したコンテンツを送信したいという積極的な意図がユーザにあるとは考えにくいからである。
【0057】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、記録媒体が有する無線通信機能を無効とすることで、無線通信機能によるデータ転送を防止するものとして説明した。しかし、無線通信機能は有効のままとし、データ転送先装置と通信可能になってもデータ転送を行わない(すなわち、データ転送機能を無効とする)ようにしてもよい。要は、記録媒体にリレー記録したデータが、その記録媒体の有する無線通信機能によってデータ転送されることが防止できれば、その方法に制限はない。
【0058】
また、リレー記録モードで記録を開始したが、実際には記録媒体を跨いだ記録がなされなかった場合に、記録媒体の無線通信機能を有効にするように構成することもできる。例えば第1の実施形態の記録動作を示す図4において、S508で記録終了指示が検出された場合に、S503で無効にした無線通信機能を自動的に有効に戻すように構成することができる。これにより、必要でない場合にまで無線通信機能を無効化することを回避でき、無線通信機能を有する記録媒体の利点を有効に活かすことができる。
【0059】
あるいは、リレー記録モードにおいて最初に記録される記録媒体が無線通信機能を有する場合で、かつ記録がその記録媒体に収まる範囲で終了した場合には、記録処理の終了後に自動的に無線通信機能を自動的に有効に戻すように構成してもよい。
【0060】
さらに、上述の実施形態はリレー記録の記録先として利用可能な記録媒体が2つである装置に適用した場合を説明したが、3以上の記録媒体に対してリレー記録を行うことが可能な装置にも同様に適用可能である。であってもよい。例えば内蔵記憶装置(半導体メモリや磁気記録媒体など)をリレー記録に利用可能な構成であってもよい。
【0061】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のデータを、複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録モードを有する情報記録装置であって、
記録可能な記録媒体のうち、無線通信機能を有する記録媒体を判別する判別手段と、
前記無線通信機能を有する記録媒体による、前記無線通信機能を用いたデータ転送機能の有効、無効を制御する無線制御手段と、
前記リレー記録モードが設定されている場合には、前記判別手段によって判別された前記無線通信機能を有する記録媒体について、前記無線通信機能を用いたデータ転送機能を無効とするように前記無線制御手段を制御する主制御手段と、を有することを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記主制御手段は、前記リレー記録モードが設定されており、前記判別手段によって判別された前記無線通信機能を有する記録媒体が前記リレー記録モードで最初に用いられる記録媒体である場合には、該記録媒体について、前記無線通信機能を用いたデータ転送機能を有効とするとのユーザ指示があれば、該記録媒体についての前記無線通信機能を用いたデータ転送機能を無効としないことを特徴とする請求項1記載の情報記録装置。
【請求項3】
前記主制御手段が、前記リレー記録モードにおいて記録された一連のデータが複数の記録媒体にまたがらずに前記リレー記録モードにおける記録が終了した場合には、無効とされていた前記無線通信機能を用いたデータ転送機能を有効とするように前記無線制御手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の情報記録装置。
【請求項4】
一連のデータを、複数の記録媒体にまたがって連続的に記録するリレー記録モードを有し、記録媒体が有する無線通信機能を用いたデータ転送機能の有効、無効を制御する無線制御手段を備えた情報記録装置の制御方法であって、
判別手段が、記録可能な記録媒体のうち、無線通信機能を有する記録媒体を判別する判別工程と、
制御手段が、前記リレー記録モードが設定されている場合には、前記判別工程によって判別された前記無線通信機能を有する記録媒体について、前記無線通信機能を用いたデータ転送機能を無効とするように前記無線制御手段を制御する制御工程と、を有することを特徴とする情報記録装置の制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の情報記録装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−30233(P2013−30233A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163686(P2011−163686)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】