説明

情報記録装置

【課題】装置の固定状況に応じてメモリ割り当てを変化させ、消費電力を削減することのできる情報記録装置を提供する。
【解決手段】ショックプルーフメモリ3−2と、バッファメモリ3−1と、バッファメモリ3−1の情報データをディスク記録媒体に記録するドライブコントローラ6と、バッファメモリ3−1の情報データ蓄積量に応じて記録の開始と停止を制御するシステムコントローラ5と、装置が固定されているかどうか判断する固定検出手段1と、バッファメモリ3−1とショックプルーフメモリ3−2の割り当てを行うメモリ制御部2を備え、固定検出手段1により装置の固定が検出されたことに応じて、バッファメモリ3−1の容量を増加させることにより、間欠記録回数を減少させて消費電力を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像、音声を情報記録媒体に記録する情報記録装置に係り、特にDVDやBDドライブを使用したビデオカメラに好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
近年、DVCからのメディアチェンジで光ディスク、ハードディスクドライブをビデオカメラに搭載して、映像や音声を記録する商品が発売されている。特に光ディスクの場合はDVCなどのテープと違い、振動、衝撃によってサーボ外れが生じやすい。サーボはずれが生じた場合、再度フォーカス、トラッキングを引き込まなければならず、リカバリに時間がかかるという欠点を補うため、ショックプルーフメモリに書き込みデータを一時的に蓄えることにより、外部からの衝撃・振動などによってサーボはずれを起して一時的に記録が不可能な場合にも、サーボ復帰したリカバリ後にショックプルーフメモリのデータを再記録することで、データ記録時の連続性の保持を行っている。
【0003】
また消費電力の低減を図るため、光ディスクの転送速度が速いという長所を利用して
入力データを一旦バッファメモリに記憶させ、バッファメモリからデータを読み出して光ディスクに記録することにより、フォーカス、トラッキングサーボやモータやレーザの駆動を切る待機時間を確保した間欠記録システムを実現している。
【0004】
従来の技術においては、前記ショックプルーフメモリの容量を抑えて、待機時間を長くして消費電力を下げるため、衝撃・振動が発生した場合は、入力データを低いレートに切り替え、記録を高いレートに切り換える構成が提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006−79755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ビデオカメラの高音質化・高画質化により、記録する転送レートがあがるため単位時間あたりの記録するデータ量は大きくなっている。たとえば、SDモードのみで通常6Mbpsで記録していたビデオカメラが、12MbpsのHDモードで記録できるビデオカメラも市場に出てきており、同じバッファ容量であれば、SDモードでは10秒毎の間欠記録だったものが、HDモードでは5秒の間欠記録しかできなくなる。
【0006】
一方、サーボ復帰を伴うリカバリ動作は機械的動作及び衝突などのケアを伴うため、フォーカスの引き込みやトラッキング、再学習などの復帰時間を大幅に短縮することは困難である。
【0007】
このため、従来例ではショックプルーフメモリ量を大きく確保する必要があり、間欠記録動作に使用するバッファメモリ量が少なくなり、さらに記録頻度が上がることにより消費電力が増大して、記録時間(撮影時間)が短くなり、頻繁なバッテリー交換が必要になったり、あるいは大きなバッテリーを搭載して重量の大きな装置になったりして、これまでのビデオカメラの使いやすさが阻害されるという課題が発生していた。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、三脚などでの固定状態での撮影、あるいはハンドキャリーで動きながらの撮影状態、ハンドキャリーではあるが、椅子などに腰掛けて安定した状態での撮影など、装置の使用状態を検出して、利用者のシーンに応じて消費電力を削減することで、高画質での撮影時間の延長を実現する便利な情報記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の情報記録装置は、
映像あるいは/及び音声を情報記録媒体にデータとして記録する情報記録装置であって、
前記データを情報記録媒体に記録する前に一時的に蓄積するメモリ手段を具備し、前記メモリ手段をショックプルーフとして使用する第1のメモリ領域と、バッファとして使用する第2のメモリ領域とに分割する配置するメモリ割り当て手段と
前記情報記録装置が固定されていることを検出する固定検出手段と、
前記メモリ割り当て手段は、前記固定検出手段の検出信号によって、前記メモリ手段の分割比を切り換えるように構成したことを特徴としたものである。
【0010】
さらに、前記固定検出手段の検出信号が、固定側のときに、前記メモリ割り当て手段は、第1のメモリ領域の第2のメモリ領域に対する比率を下げるように分割比を切り換えるように構成することが好ましい。
【0011】
さらに、前記メモリ割り当て手段は前記第2のメモリ領域と前記第1のメモリ領域の分割比を、非固定と検出した場合は
(データの転送レート×最低間欠記録時間)/メモリ手段の総容量 以下
1−(データの転送レート×リカバリ時間)/メモリ手段の総容量 以上
となるように決定し、さらに固定と検出した場合の最大分割比は1であるように構成することが好ましい。
【0012】
さらに、前記情報記録装置のサーボのゲインを設定するゲイン制御手段を備え、前記固定検出手段の信号に応じて、ゲイン制御手段の設定を低ゲインに切り換えることが好ましい。
【0013】
また、前記固定検出手段は、三脚使用時にON/OFFされるように構成されたスイッチや、使用者の意図によって、設定、解除可能なスイッチであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の情報記録装置によれば、三脚などで固定状態かどうかを検出し、ショックプルーフメモリとバッファメモリとの配分を適切に切り換えることでメモリの利用効率を最適にし、単位時間当たりの記録回数を減少させることにより、消費電力を削減することができる。この効果によって、例えば、ピアノの発表会やバードウォチングなど三脚などを立てて、じっくり腰を据えて長時間とる場合には、バッファメモリの配分が最大となり、バッテリー途中で頻繁に交換しなくてもよくなり、動きながらハンドキャリーで撮影する運動会の徒競走のようなシーンでは、ショックプルーフメモリを十分確保して、一瞬のベストシーンを逃さないような便利さが顕在化する装置となる。さらに固定状態検出を前回や記録開始時の画像解析によって判断することで、それぞれのシーンで最適なメモリ配分を自動的に行えるような装置も実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の情報記録装置の実施の形態を図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における情報記録装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、撮像レンズとCCD(あるいはCMOSセンサー)などで構成される撮像手段108によって撮影された映像データは映像圧縮部106によって、MPEG2あるいはMPEG4といった規格された圧縮方式で圧縮される。圧縮後のデータは、システムコントローラ5の制御のもと内部バスを介して、内蔵のメモリ部3へ転送され、一時的に蓄積される。
【0017】
またシステムコントローラ5は、ドライブコントローラ6へ、記録指示を送出することにより、メモリ部3のデータに変復調手段105を用いてEFM、1−7など所定の変調方式で変調をかけ、光ピックアップ制御手段103で、その変調後のデータに応じて記録信号を生成し、光ピックアップ102に搭載されたレーザ(不図示)をパルス発光させて、ディスク記録媒体101にデータの記録を行う。
【0018】
記録の方法は、パルス変調されたレーザ光により有機色素層と基板を変化させることによってピットが形成したり、記録膜をアモルファス状態から結晶状態に変化させてデータを記録したりする相変化記録が主であるが、本発明とは直接関係ないので、その説明を省略する。
【0019】
またドライブコントローラ6はサーボ制御部10を用いてスピンドルモータ104を制御し、ディスク記録媒体101を記録に適する回転数で回転させている。前記サーボ制御部10は、光ピックアップ制御部103の制御も行う。
【0020】
システムコントローラ5は、映像圧縮部106で圧縮されたデータをメモリ部3に転送する。メモリ部は通常DRAMで構成され、システムコントローラ5内のメモリ制御部2で、配分配置された各アドレスを切り換えることでショックプルーフへの割り当てと、バッファへの割り当てを任意に設定できる。
【0021】
メモリ部への入力データは、バッファメモリ3−1に所定の空き領域ができるまでは、ショックプルーフメモリ3−2に入力される。ショックプルーフメモリはその入力されたデータを保持する先入れ先出し型のメモリである。よって一旦メモリ部内のショックプルーフメモリ3−2に入力されたデータは、バッファメモリ3−1の空き容量が所定以上になったとき、メモリ内でバッファメモリ3−1へ転送され、またシステムコントローラ5はバッファメモリ3−1の空き容量が所定の閾値を下回ったことを検出して、ドライブコントローラ6に記録開始を指示する。ドライブコントローラ6は、システムコントローラ5から記録開始の命令を受けたとき、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ及びレーザの駆動をOFFして、スピンドルモータをフリーランにする低消費電力モードから、スピンドルを再起動して、所定の回転数にし、レーザ点灯、フォーカス引き込み、トラッキング引き込みを実行して、ディスク上にデータの記録可能な通常モードに遷移し、記録動作を行う。
【0022】
その後、記録動作によってバッファメモリ3−1が所定のデータ蓄積量を下回ると、記録動作を停止し、ドライブコントローラは再び低消費電力モードに遷移する。
【0023】
図2に低消費電力モードへの遷移のフローチャートを、図3に通常モードへの遷移のフローチャートを示す。
【0024】
低消費電力モードへの遷移では、トラッキングサーボをオフ(ステップS101)し、フォーカスサーボをオフ(ステップS102)した後、レーザをオフ(ステップS103)し、スピンドルモータサーボをオフし、スピンドルモータをフリーラン状態にする(ステップS104)。更に、サーボ制御部10の停止を行う(ステップS105)ことにより、消費電力を抑えたモードとなる。
【0025】
通常モードへの遷移では、停止させたサーボ制御部10を再度動作させる必要があるため、サーボをオンする前にサーボ制御部10の設定を行う必要がある。まず、前記サーボ制御部10の復帰処理を行い(ステップS201)、その後、レーザ特性学習を行い(ステップS202)、スピンドルモータサーボに目標回転数を設定し(ステップS203)、レーザ発光を開始する(ステップS204)。次にスピンドルモータの回転が安定するのを待ち(ステップS205)、安定後、フォーカスサーボのゲインを設定し(ステップS206)、トラッキングサーボのゲインを設定する(ステップS207)。この状態で、フォーカスをオンし(ステップS208)、トラッキングゲインの学習を行い(ステップS209)、トラッキングをオンする(ステップS210)ことにより、ドライブコントローラ6は通常モードに復帰する。
【0026】
前記通常モードから低消費電力モードへの遷移にかかる時間は0.1秒未満であるが、逆の低消費電力モードから通常モードの遷移には約1.9秒の時間が必要である。この1.9秒の遷移時間を、記録しないで待機しておける待機時間から差し引いた時間を低消費電力モードになる時間となる。
【0027】
上記した記録データのメモリ間の移動動作をさらに詳しく説明する。
【0028】
ドライブコントローラ6に記録開始を指示するバッファメモリ3−1の空き容量の閾値はドライブコントローラ6のモード遷移にかかる時間を考慮して決定する必要がある。すなわち上記通常モードへの遷移に必要な時間を見越して記録動作を開始し、割り当てられたバッファがあふれないように制御する必要がある。また、上記通常モードへの遷移中は、サーボ制御部の復帰、レーザ点灯を含むため、電力消費・発熱の観点からは通常モードの時間に包含させて、間欠記録を実現することになる。
【0029】
また、ドライブコントローラ6が、記録するためのデータをバッファメモリ3−1から読み出すレートは、映像圧縮部106によって生成されるデータのレートよりも高く設定する。これによって、バッファメモリ3−1のデータ蓄積量を所定の時間で減少させることができる。
【0030】
ドライブコントローラ6の記録動作中に、振動・衝撃などによって記録の継続が出来なくなった場合、ドライブコントローラ6は一旦記録を停止し、再度記録可能な状態になってから記録を再開する。この間、バッファメモリ3−1からのデータの読み出しは停止するため、バッファメモリ3−1のデータ蓄積量は増加していく。
【0031】
バッファメモリ3−1の空きがなくなった場合、映像圧縮部106により生成されたデータは、ショックプルーフメモリ3−2に蓄積される。
【0032】
振動・衝撃などの影響から復帰すると、ドライブコントローラ6は、バッファメモリ3−1からデータを読み込み、記録を再開する。バッファメモリ3−1からデータが読み出された場合、ショックプルーフメモリ3−2のデータが順次、バッファメモリ3−1に転送される。これにより、ショックプルーフメモリ3−2が溢れない限り、振動・衝撃が発生した場合もデータを失うことなく、記録を継続することができる。
【0033】
記録動作により、バッファメモリ3−1のデータ蓄積量が一定量を下回った場合、ドライブコントローラ6は記録動作を停止し、低消費電力モードに遷移する。
【0034】
固定検出手段1は、三脚などに装置が固定されているかどうかを検出するものであり、例えば、三脚に固定するときのネジ穴に押しボタンスイッチを設け、装置を三脚にねじ込んだときにオンとなるようなにしてもよい。
【0035】
また三脚を使うことは、利用者は認識しているので、固定撮影モードの選択スイッチを利用者に操作してもらって、固定としてもよい。
【0036】
メモリ制御部2は、固定検出手段1の出力と、固定設定スイッチ7とのOR回路8でのOR条件を固定検出結果とし、これによりバッファメモリ3−1とショックプルーフメモリ3−2の割り当てを行う。
【0037】
映像圧縮部106の単位時間当たりのデータ出力量をデータの転送レート、間欠記録システムの1周期内において、ドライブコントローラ6が低消費電力モードである最低限の時間を最低間欠時間、振動・衝撃によるサーボ外れからの復帰時間をリカバリ時間、メモリ部3全体のメモリ量を総メモリとすると、メモリ制御部2は、固定検出結果が非固定側のバッファメモリ3−1対ショックプルーフメモリ3−2の分割比は、((データの転送レート×最低間欠記録時間)/総メモリ)以上(最小分割比)、1−(データの転送レート×リカバリ時間)/総メモリ)以下(最大分割比)の範囲の値を設定する。
【0038】
図4に前記非固定側の最小分割比の決定根拠を、図5に最大分割比の根拠を示す。図4、図5において、横軸は時間であり、縦軸はデータ量である。プロットされているグラフは、前記転送レートにおけるデータの蓄積を表現している。
【0039】
前記最低間欠時間は、間欠記録中においてドライブコントローラ6が製品仕様から低消費電力モードとなるべき時間の最小値である。ビデオカメラなどの小型・ポータブルで雑音を嫌う応用の場合、小型化・軽量化のため熱が篭りやすく、また、大型ヒートシンクの使用も困難であり、さらに雑音を発生するファンの使用も難しい。この熱問題のため、ドライブコントローラ6の動作デューティーに制限がでる場合がある。前記、最低間欠時間はドライブコントローラ6の動作デューティーを制限するための値であり、図4のように最低間欠時間経過時のメモリ量がバッファ量の最小値となる。
【0040】
一方、リカバリ時間はドライブコントローラ6がデータを記録不能になる時間であるため、ショックプルーフメモリ3−2にリカバリ時間分のデータ格納領域を確保しておく必要がある。図5のように、メモリ部3がフルになる点からリカバリ時間を確保すると、バッファ量の最大値を決定することができる。
【0041】
固定側においては、固定されているためサーボ外れによるリカバリ動作は発生しないため、前記総メモリを全てバッファとして使うことが可能で、即ち、最大分割比は1となる。しかし、振動衝撃などでサーボ外れは発生しないが、メディアの傷やトラックの溝ばらつきでトラック飛びが発生することが想定される。この場合は完全にサーボが外れているわけではなく、トラックジャンプとリトレースによってディスク3回転程度の回転待ち時間でリカバリできるため、最大分割比を用いず、この時間に相当するメモリ量をショックプルーフメモリとして確保してもよい。
【0042】
前記データの転送レートが10.8Mbps、前記最低間欠記録時間が7.6秒、前期リカバリ時間が3.8秒、前記総メモリが32Mバイトの場合、非固定側の最小分割比は0.31、最大分割比は0.85であり、バッファ量は9.8Mバイトから27Mバイトとなる。ここでは、非固定側バッファ量として27Mバイト割り当てることを選択する。
【0043】
固定側の最大分割比は1であるため、バッファ量は最大32Mバイトであるが、8cmDVDへの2倍速での記録を仮定すると、外周側での1周待ち時間が約34m秒であるため、3周待ち相当の約100m秒のショックプルーフバッファとして1Mバイト程度割り当て、固定側バッファ量として31Mバイト割り当てる。
【0044】
装置の固定が検出された場合、バッファメモリ3の容量が増加することとなり、システムコントローラ5による記録開始指示の周期が大きくなる。これにより、ドライブコントローラ6が低消費電力モードから通常モードに遷移する回数が減少する。
【0045】
非固定側、固定側のバッファ量がそれぞれ27Mバイト、31Mバイトで、1.3Gバイトのデータ書き込む場合、必要な記録動作の回数は、非固定側が約49回であるが、固定側は約42回に減少する。
【0046】
以上のように、実施の形態1においてはバッファメモリ3−1とショックプルーフメモリ3−2を固定検出手段の出力に応じてメモリ制御部2で動的に割り当てることにより、ドライブコントローラ6の記録動作の回数が少なくなり消費電力を削減することができる。
【0047】
なお、上記実施形態はMPEG2での映像圧縮の場合を例として、記載したが、MPEG4で圧縮して記録するような場合でも適応可能であり、その方式に限定されるものでない。
【0048】
また図6は、本実施の形態のドライブコントローラの内部構成を詳細に示したブロック図である。図6に示すように、サーボ制御部10が搭載され、光ピックアップから得られるフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号より、光ビームがディスク上に収束しかつ、トラックを正確に走査追従するように、フィードバック制御を行っている。具体的にはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)で乗算器、加算器、遅延器でデジタルフィルタを構成し、積分補償、位相進み補償、ゲイン調整といったPID制御である。
【0049】
外乱へのサーボ追従能力を確保するため、比例項(P)、積分項(I)で外乱周波数のゲインをもたせることでディスクの偏心や面ぶれや振動、衝撃などへの追従精度をあげ、微分項(D)によって、振動、衝撃などの外乱周波数帯での位相進み補償をして位相余裕を確保して追従安定性をあげている
固定検出手段1によって固定を検出された場合には、三脚等で固定されているため、
振動、衝撃などの外乱は基本的には印加されないため、サーボは偏心、面振れなどの低周波数での追従性を確保すればよく、位相進み補償を軽くし、かつ高域の追従性を低下させてもよくなる。すなわちフォーカス、トラッキングのループゲインを下げることができる
ようになる。これによって、非固定に対して、高周波数域のノイズ成分が低減され、消費電力を下げることができ、かつノイズによるサーボ音の低減をすることができる
なお、フォーカス、トラッキングサーボの引き込み時には、外乱追従性(安定性)が必要であるので、ループゲインを確保し、かつ位相余裕をとる必要があるため、図7のフローチャートに示すように、固定と検出されても、サーボゲインを切り換えるタイミングは、間欠記録で通常モードになって(S301)、フォーカス、トラッキングの引き込みを確認し(S302)、正常と判断した後に固定かどうか判断して(S304)、固定を検出した場合はループゲインを下げるように、ドライブコントローラのサーボ制御部内パラメータを切り換える(S305)。
【0050】
(実施の形態2)請求項7に対応
図8は、本発明の第2の実施の形態における情報記録装置の構成を示すブロック図である。なお図8において、第1の実施例の構成と同じ部分には、同番号を付し、その説明を省略する。
【0051】
第2の実施形態は第1の実施形態の固定検出部1あるいは固定設定スイッチ7による
メカニカルな固定検出を手ぶれ補正処理による補正信号をソフトウエアでの処理によって置き換えたものである。
【0052】
画像による固定の検出方法として、光学式手ぶれ補正の補正信号を使う方法がある
図8における撮像素子に搭載された手ぶれ補正の補正信号は、システムコントローラで生成されている。当然、三脚で固定されている場合は、手ぶれは発生しないため、補正信号は0に近く、ハンドキャリーで動きのあるものを追いかけながら撮影する場合は、手ぶれが検出され、補正信号が発生する。その補正信号に閾値を設け、撮影開始から所定時間、手ぶれ補正信号が所定の閾値を越えなかったことを検出して、固定側に切り換える。
撮影するまで、あるいは固定撮影の最初の段階では、三脚への固定や撮影場所の移動、撮影位置の調整などが想定されるため、上記タイムスタンプから撮影開始直後は上記所定の時間は3分から5分程度が適当である。また固定からハンドキャリーへ持ちかえて撮影するシーンも想定されるため、固定側から非固定側へ切り換えるのが好ましい。この場合の
閾値はヒシテリシスを付け、固定側へ切り換える閾値より、低く設定し、検出時間は30秒〜1分以内(2、3サイクルの間欠記録の時間)と短く設定するとよい
また、撮影していなくても、電源投入されたら手ぶれ補正信号からの固定検出を作動するように構成すれば、撮影までの間に固定か非固定を検出することも可能となる。
【0053】
上記したような手ぶれによる固定検出を全て組み合わせると、その効果は一層大きく、
三脚を使用せず、机の上や、着席して手と胸でしっかり固定して撮影するような場合でも
固定検出が可能となって、消費電力を削減することができる。そのフローを図9に記載する。
【0054】
固定判定処理は一定周期で定期的に呼び出される。固定状態の判定処理では、まず固定・非固定判定用タイマの更新を行い(S400)、現在のモードが固定モードなら非固定検出処理へ、非固定モードなら固定検出処理へ分岐する(S401)。
【0055】
固定モードの場合、タイマの値が閾値T1、例えば30秒未満かどうか検査し(S402)、閾値T1未満ならば、手触れ量が閾値1未満であるかどうか検査する(S403)。手振れ量が閾値1未満である場合は固定状態から変化なしであると見なしてタイマをリセットする(S404)。手振れ量が閾値1以上の場合、タイマを操作しないため、タイマ値が増加する。このタイマの値が閾値T1以上となった場合は、モードを非固定とする(S405)。
非固定モードの場合、タイマの値が閾値T2、例えば5分未満かどうか検査し(S406)、閾値T2未満ならば、手触れ量が閾値2未満であるかどうか検査する(S407)。手振れ量が閾値2未満である場合は固定状態の可能性があるため、タイマを操作しない。このため、タイマ値が増加する。手振れ量が閾値2以上の場合、非固定モードから変化なしであると見なしてタイマをリセットする(S408)。タイマの値が閾値T2以上となった場合は、モードを固定とする(S409)。
【0056】
なお手ぶれ補正の方式は、特許第3575989号に記載されているような方式が提案、実現されてり、その詳細は本発明に直接関係しないので、説明を省略する。また手ぶれ補正には光学式や電子式などのいくつかの方式があるが、本発明はその方式、方法によって限定されない。
【0057】
なおビデオカメラにはホワイトバランス補正(AWB)や自動露出(AE)の機能は通常搭載されているが、AWB、AEの信号より、屋外、屋内を検出し、上記手ぶれ補正信号とのAND条件で、固定検出を行えば、特に卒業式、入学式、結婚式などの重要屋内イベントで三脚使用、長時間撮影といったシーンでの固定検出精度を向上することができる。
また、実施の形態1と組み合わせることでさらに多用な利用シーンにおける固定検出の精度を向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる情報記録装置は、装置が固定されている場合に消費電力を削減する機能を有し、光ディスクに記録を行うビデオカメラ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1における光ディスク記録装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における光ディスク記録装置の低消費電力モードへの遷移のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における光ディスク記録装置の通常モードへの遷移のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における最低間欠時間とバッファ分割比の関係の図
【図5】本発明の実施の形態1におけるリカバリ時間とバッファ分割比の関係の図
【図6】本発明の実施の形態1におけるサーボ制御部の図
【図7】本発明の実施の形態1におけるゲイン切り替え判定のフローチャート
【図8】本発明の実施の形態2における光ディスク記録装置のブロック図
【図9】本発明の実施の形態2における固定検出のフローチャート
【符号の説明】
【0060】
1 固定検出手段
2 メモリ制御部
3 メモリ部
3−1 バッファメモリ
3−2 ショックプルーフメモリ
5 システムコントローラ
6 ドライブコントローラ
7 固定設定スイッチ
8 OR回路
10 サーボ制御部
101 ディスク記録媒体
102 光ピックアップ
103 光ピックアップ制御手段
104 スピンドルモータ
105 変復調手段
106 映像圧縮部
108 撮像手段
200 フォーカスサーボ乗算器
201 フォーカスサーボ比例項
202 フォーカスサーボ積分項
203 フォーカスサーボ微分項
211 トラッキングサーボ乗算器
212 トラッキングサーボ比例項
213 トラッキングサーボ積分項
214 トラッキングサーボ微分項

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像あるいは/及び音声を情報記録媒体にデータとして記録する情報記録装置であって、
前記データを情報記録媒体に記録する前に一時的に蓄積するメモリ手段を具備し、前記メモリ手段をショックプルーフとして使用する第1のメモリ領域と、バッファとして使用する第2のメモリ領域とに分割する配置するメモリ割り当て手段と
前記情報記録装置が固定されていることを検出する固定検出手段と、
前記メモリ割り当て手段は、前記固定検出手段の検出信号によって、前記メモリ手段の分割比を切り換えるように構成したことを特徴とする情報記録装置。
【請求項2】
前記固定検出手段の検出信号が、固定側のときに、前記メモリ割り当て手段は、第1のメモリ領域の第2のメモリ領域に対する比率を下げるように分割比を切り換えるように構成したことを特徴とした請求項1記載の情報記録装置。
【請求項3】
メモリ割り当て手段は
前記第2のメモリ領域と第1のメモリ領域の分割比を
非固定と検出した場合は
(データの転送レート×最低間欠記録時間)/メモリ手段の総容量 以下
1−(データの転送レート×リカバリ時間)/メモリ手段の総容量 以上
となるように
決定し、さらに固定と検出した場合の最大分割比は1であることを特徴とする請求項1記載の情報記録装置。
【請求項4】
前記情報記録装置のサーボのゲインを設定するゲイン制御手段を備え、前記固定検出手段の信号に応じて、ゲイン制御手段の設定を低ゲインに切り換えることを特徴とする請求項1記載の情報記録装置。
【請求項5】
前記固定検出手段は、三脚使用時にON/OFFされるように構成されたスイッチである請求項1に記載の情報記録装置。
【請求項6】
前記固定手段は、使用者の意図によって、設定、解除可能なスイッチである請求項1記載の情報記録装置。
【請求項7】
映像あるいは/及び音声を情報記録媒体にデータとして記録する情報記録装置であって、
前記データを情報記録媒体に記録する前に一時的に蓄積するメモリ手段を具備し、前記メモリ手段をショックプルーフとして使用する第1のメモリ領域と、バッファとして使用する第2のメモリ領域とに分割する配置するメモリ割り当て手段と
記録する映像データの手ぶれを光学的あるいは電子的に補正する手ぶれ補正手段とを備え、さらに前記固定状態検出手段は、記録開始時の前記手ぶれ補正手段の手ぶれ信号が所定の閾値以内にあることを検出して、記録している環境が固定された状況か、ハンドキャリーされた状態かを判定する状態判定手段とを備え、
前記メモリ割り当て手段は、前記固定状態検出手段の判定信号によって、前記メモリ手段の分割比を切り換えるように構成したことを特徴とする情報記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−123320(P2009−123320A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260545(P2008−260545)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】