情報認識処理装置及び情報認識処理方法
【課題】認識性能を有効活用することが可能な情報認識処理装置を提供すること。
【解決手段】情報認識処理装置は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、を備えている。
【解決手段】情報認識処理装置は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物等に印刷されたバーコード等の識別情報を認識する情報認識処理装置及び情報認識処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便処理の分野では、郵便物に記録された宛先を認識する宛先認識装置が知られている。郵便物に記録された宛先を短時間で認識するためには、郵便物上の宛先領域を短時間で正確に見つけ出すことが重要である。そこで、予め、郵便物から読み取った読取郵便物画像と予め登録した登録郵便物画像とを比較し、読取郵便物画像と登録郵便物画像とが類似条件を満たす場合に、登録郵便物画像に対応付けて登録された宛先領域情報を参照し、読取郵便物画像の中から宛先領域を見つけ出す技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−238097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した宛先認識装置は、例えば複数台計算機により構成され、これら複数台計算機により処理を分散している。ところが、郵便物に記録されたバーコードを認識するバーコード認識装置は、単独計算機により構成されるものが多い。バーコード認識装置は、複数の認識処理による複数のバーコード認識結果の中から最適な認識結果を選択したり、これら複数の認識処理によりバーコードが認識できない場合にはさらに別の認識処理を適用しバーコードを認識したりする。
【0004】
しかしならが、バーコード認識装置は、遅延処理に対応しないことが多く、そのためバーコード認識の最大処理時間が厳しく制約される傾向にある。そのため、有効な認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。このような事情から、バーコード認識装置の認識性能が最大限に生かされず、認識性能が低下する恐れがあった。
【0005】
例えば、郵便物から画像を読み取り、画像明度の異なる複数の画像を取得し、これら複数の画像を用いた認識処理では、認識処理に適した明度の画像から処理を開始することが望ましい。ところが、バーコード認識装置は、予め決められた順序で、画像を選択し、認識処理を開始する。そのため、認識処理に適した明度の画像を用いた認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。
【0006】
また、特定の印字機器により認識し難いバーコードが印字されることがある。このようなバーコードは通常の認識処理では認識できず、別の認識処理を適用する必要がある。しかしながら、バーコード認識装置は、通用の認識処理を適用してから、必要に応じて別の認識処理を適用するように設定されている。そのため、別の認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、最大処理時間内で認識性能を有効活用することが可能な情報認識処理装置及び情報認識処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態に係る情報認識処理装置は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、を備えている。
【0009】
この発明の一実施形態に係る情報認識処理方法は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得し、所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識成功を示す識別情報認識処理の結果を含む前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最大処理時間内で認識性能を有効活用することが可能な情報認識処理装置及び情報認識処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(情報認識処理装置)の概略構成を示す図である。バーコード処理装置は、例えば郵便物区分機に適用することができる。
【0013】
図1に示すように、バーコード処理装置は、オペレーション部1、蛍光バーコード用スキャナ2、制御PC3、蛍光バーコード認識部5、HUB6、通信ケーブル7、搬送ベルト8、日時別認識結果データベース10、印字局別認識結果データベース11を備えている。
【0014】
蛍光バーコード用スキャナ2は、搬送ベルト8を搬送される郵便物等の書状(読取対象物)9の画像(蛍光画像)を不可視光により読み取る。書状9には蛍光バーコード(識別情報)が印字されており、蛍光バーコード用スキャナ2は、この蛍光バーコードを読み取るものである。
【0015】
蛍光バーコード認識部5は、蛍光バーコード用スキャナ2により読み取られた読取画像を処理する画像処理部である。
【0016】
オペレーション部1は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)により構成することができる。同様に、制御部3も、例えばPCにより構成することができる。同様に、蛍光バーコード認識部5も、例えばPCにより構成することができる。
【0017】
通信ケーブル7は、蛍光バーコード用スキャナ2と蛍光バーコード認識部5とを接続し、蛍光バーコード認識部5と日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11とを接続し、HUB6とオペレーション部1、制御部3、及び蛍光バーコード認識部5とを接続する。
【0018】
日時別認識結果データベース10は、日時別のバーコード認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。印字局別認識結果データベース11は、印字局別のバーコード認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。
【0019】
なお、日時別認識結果を使用する場合には日時別認識結果データベース10は必須となり、印字局別認識結果を使用する場合には印字局別認識結果データベース11は必須となるが、日時別認識結果及び印字局別認識結果を使用しない場合には日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11は必須構成ではない。同様に、オペレーション情報を使用しない場合は、オペレーション部1も必須構成ではない。
【0020】
蛍光バーコード用スキャナ2は、バーコード認識用画像を読み取る。また、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像を作成し、直前認識書状(直前認識郵便物)の読取画像の輝度情報と読取画像の輝度情報とを比較し、輝度比較結果に基づき画像明度の異なる複数の読取画像の中から優先的に処理する読取画像を選択する。また、蛍光バーコード認識部5は、印字局・日時毎のバーコード認識処理結果が蓄積されている統計情報データベースから統計情報を取得し、その統計情報に基づきどのような認識処理をどのような順序で適用すべきか判断する。また、蛍光バーコード認識部5は、隣接する濃度差が一定値以上の固まりをラベル付けする微分二値ラベリングを実行し、バーコード領域を抽出し、個別バーを判定し、判定したバーの並びを入力として復号化し、複数のバーコード復号結果が得られた場合にどのバーコード復号結果を採用するかを選択し、区分機側およびログ情報等にバーコード認識結果を出力する。ただし、微分二値ラベリングの替わりに通常の二値ラベリングを適用してもよい。
【0021】
以下、具体的な手順について説明する。なお、蛍光バーコード用スキャナ2は事前にキャリブレーションされているものとする。つまり、蛍光バーコード用スキャナ2の位置合わせ等は完了しているものとする。
【0022】
図3に示すように、認識の対象となる蛍光バーコードは、例えば、4ステートバーコードである。4ステートバーコードとしては、タイミングバーB1、アセンダーB2、ディセンダーB3、ロングバーB4がある。タイミングバーB1は短く、アセンダーB2は上方向だけが長いバーであり、ディセンダーB3は下方向だけが長いバーであり、ロングバーB4は上下方向に長いバーである。なお、認識の対象となる蛍光バーコードは、リードソロモン式の復号による誤り訂正機能を備えている。
【0023】
蛍光バーコード用スキャナ2は、書状(郵便物)の画像を読み取り、図3に示すような画像を取得する。蛍光バーコード用スキャナ2で取得される画像の性質は、蛍光特性がある部分に反応して発光するので、書状自体が蛍光色の封筒などのケースでは、図4Aに示すように、バー同様に書状面も発光しているような画像となる。逆に、黒色の書状などで、バーの発光特性が弱まるような書状の場合には、図4Bに示すように、バーがほとんど発光しないような画像となる。
【0024】
蛍光バーコードには上記したような特性があるため、画像明度の異なる複数の読取画像を取得し、これら画像明度の異なる複数の読取画像の中の最適な画像明度の読取画像からバーコードを認識する。例えば、蛍光バーコード用スキャナ2に12ビットのワイドレンジを適用し、12ビットで示される読取画像を取得し、12ビットで示される読取画像から8ビットごとに画像を切り出す。これにより、図5A及び図5Bに示すような、画像明度の異なる5つの読取画像を取得することができる。図5A及び図5Bに示す5つの読取画像を、上から順に、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像、第5明度の読取画像と定義する。なお、図5Aは、黒地書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図であり、図5Bは、蛍光色書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【0025】
なお、蛍光バーコード用スキャナ2が、異なる露光時間で異なる明度の画像を取得するようにしてもよい。
【0026】
次に、画像明度の異なる複数の読取画像の中から最適な画像明度の読取画像を選択する画像明度選択処理について説明する。
【0027】
バーコード処理装置は、次々に搬送される書状の画像を読み取り、読取画像に含まれるバーコードを認識し、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11には、バーコード認識処理結果を示す統計情報が次々に蓄積される。バーコード処理装置は、ある書状のバーコードの認識処理に、直前のバーコード認識処理結果を利用することができる。
【0028】
例えば、バーコード処理装置は、書状Aの画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像Aを取得し、所定選択順序に基づき、各明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。この場合、統計情報は、例えば、第1明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第2明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第3明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第4明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含む。なお、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値が最も少ないと仮定する。
【0029】
或いは、バーコード処理装置は、書状Aの画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像Aを取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第3明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第4明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行する。例えば、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識に成功した場合、統計情報は、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識成功を示す認識成功情報を含む。
【0030】
蛍光バーコード用スキャナ2は、書状Bの画像を読み取り、読取画像Bを蛍光バーコード認識部5へ提供する。蛍光バーコード認識部5は、第1明度、第2明度、第3明度、第4明度、第5明度の読取画像Bを生成する。また蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10又は印字局別認識結果データベース11から統計情報を取得する。さらに、蛍光バーコード認識部5は、統計情報に含まれた読取画像Aと蛍光バーコード用スキャナ2から提供された読取画像Bとを比較し、所定の類似条件を満たす場合に、第5明度の読取画像Bを優先処理すると判断する。
【0031】
このような優先処理により、バルク書状を効率良く認識することが可能となる。例えば、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像、第5明度の読取画像の順に認識処理を進めることが予め決まっているとする。しかも、第5明度の読取画像が最もバーコード認識処理に適しているとする。つまり、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像からはバーコードが認識できない、或いは認識率が低いとする。このようなケースで、上記したような優先処理を適用しないと、すべての書状の認識処理において、第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理、第5明度の読取画像に対する認識処理を適用することになり、非常に効率が悪い。また、タイムアウトにより、第5明度の読取画像に対する認識処理を実行できず、その結果、バーコードを認識することができないかもしれない。
【0032】
これに対して、上記した優先処理を適用すれば、第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理を実施することなく(或いは第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理を後回しにして)、第5明度の読取画像に対する認識処理だけでほぼバーコードを認識することができる。即ち、上記した優先処理により、最大処理時間内でバーコード処理装置の認識性能を有効活用することができる。もし、第5明度の読取画像に対する認識処理でバーコードが認識できなかった場合には、次にエラー訂正数が少なかった明度の読取画像を選択し、認識処理を続行する。
【0033】
また、蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bの認識処理結果に基づき統計情報を更新する。例えば、第5明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識に失敗し、第4明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識に成功した場合、統計情報は、第4明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識成功を示す認識成功情報を含む。これにより、次に、蛍光バーコード用スキャナ2が、書状Cの画像を読み取り、読取画像Cを蛍光バーコード認識部5へ提供すると、蛍光バーコード認識部5は、認識成功情報に含まれた読取画像Bと蛍光バーコード用スキャナ2から提供された読取画像Cとを比較し、所定の類似条件を満たす場合に、第4明度の読取画像Cを優先処理すると判断する。
【0034】
このようにして、バーコード処理装置は、統計情報をリアルタイムに更新し、最新の統計情報に基づき効率良く認識処理を行うことができる。
【0035】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例1について説明する。上記した認識成功情報は、例えば、図7に示すような読取画像Aの濃度ヒストグラム情報を含む。濃度ヒストグラム情報は、12ビットで示される読取画像Aを構成する各画素の濃度別の出現頻度分布を示すものである。また、蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bの濃度ヒストグラム情報も生成する。蛍光バーコード認識部5は、読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とを比較し、読取画像Aと読取画像Bの類似度を測定する。書状Aと書状Bが同一バルク書状であれば、図8Aに示すように、読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とは、似たようなグラフの分布となり、類似条件を満たすと判定される。
【0036】
また、形状検知に関しては、例えば、各濃度の発生頻度差の2乗和を利用する。これにより、類似しているヒストグラムであれば、それぞれの差分は少なくなるため、読取画像Aと読取画像Bは類似書状であると判断できる。読取画像Aと読取画像Bが類似書状である判断された場合、読取画像Bの認識処理に、読取画像Aの認識成功情報を利用する。例えば、読取画像Aの認識成功情報が、第1明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第3明度の読取画像A、第4明度の読取画像A、及び第5明度の読取画像Aに対する全ての認識処理結果を含む場合、蛍光バーコード認識部5は、エラー訂正数の少なかった認識処理で使用した明度から順に選択する。また、読取画像Aの認識処理に失敗していた場合、統計情報は読取画像Aの認識失敗情報を含み、読取画像Bの認識処理に、読取画像Aの認識失敗情報を利用することもできる。例えば、読取画像Aの認識失敗情報が、第1明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第3明度の読取画像Aの認識処理に失敗したことを示す情報を含む場合、読取画像Bの認識処理の際に、第4明度の読取画像B又は第5明度の読取画像Bを優先的に選択し認識処理を実行する。
【0037】
なお、読取画像Bに含まれたバーコードの認識処理において、図8Bに示すように、読取画像Aと読取画像Bが類似書状でなかった場合には、デフォルトの選択順序に基づき、画像明度の異なる読取画像Bを順に選択し認識する。或いは、読取画像Bに含まれたバーコードの認識処理において、読取画像Aと読取画像Bが類似書状でなくとも、書状Aより前に処理した書状Xの読取画像Xと読取画像Bが類似書状であれば、読取画像Xの認識成功情報或いは読取画像Xの認識失敗情報に基づき、読取画像Bの認識処理を進めることもできる。
【0038】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例2について説明する。具体例2では、具体例1で説明した図7に示す濃度ヒストグラム情報に替えて、図9に示す濃度ヒストグラム情報を使用する。図9に示す濃度ヒストグラム情報は、濃度そのものを項目軸としたヒストグラムではなく、一定範囲の濃度を項目軸としたヒストグラムである。読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とを生成し、項目ごとの差分2乗和を比較する。具体例1に対して、2乗和をとる項目数が少なくなっているため、比較処理の高速化を図ることができる。
【0039】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例3について説明する。具体例3では、読取画像Aにおいて最も多く出現した濃度値と、読取画像Bにおいて最も多く出現した濃度値とを比較し、読取画像Aと読取画像Bが類似書状か否かを判断する。画像の明るさ選択で重要なポイントの一つは書状自体が発光しているかどうかであり、最頻の濃度値は面積が最も多い書状自体の発光レベルに左右される。読取画像Aにおいて最も多く出現した濃度値と、読取画像Bにおいて最も多く出現した濃度値との差が一定値以下であれば、読取画像Aと読取画像Bを類似書状とみなす。つまり、最大面積となる書状の地の発光量が読取画像Aと読取画像Bで近い場合に、読取画像Aと読取画像Bを類似書状とみなす。
【0040】
続いて、図6のフローチャートを参照し、画像明度選択処理の一例を説明する。
【0041】
蛍光バーコード用スキャナ2が、例えば書状Bの画像を読み取り(ST601)、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像Bを取得する。蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11から、統計情報を取得する。統計情報には、書状Bの前に処理された書状Aの認識処理結果を示す情報が含まれている。蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bから書状Bの濃度ヒストグラム情報を取得し(ST602)、統計情報から書状Aの濃度ヒストグラム情報を取得し(ST603)、書状Bの濃度ヒストグラム情報と書状Aの濃度ヒストグラム情報とを比較する。例えば、各濃度の発生頻度差の2乗和を計算する(ST604)。
【0042】
算出結果が閾値以下であれば(ST605、YES)、蛍光バーコード認識部5は、書状Bは書状Aに類似していると判断する。統計情報から書状Aの認識成功が判明すれば、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理におけるエラー訂正数に基づき認識処理の優先順位を決定する(ST609)。例えば、第5明度の読取画像Aを用いた認識処理におけるエラー訂正数が最も少なく、第4明度の読取画像A、第3明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第1明度の読取画像Aの順にエラー訂正数が増えるとすると、認識処理の優先順位は、第5明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第1明度の読取画像Bの順に決定する。蛍光バーコード認識部5は、決定された優先順位に基づき、認識処理を実行する(ST608)。
【0043】
統計情報から書状Aの認識失敗が判明すれば、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理と逆順で優先順位を決定する(ST607)。例えば、第5明度の読取画像A、第4明度の読取画像A、第3明度の読取画像Aの順に処理し認識に失敗していたとすると、認識処理の優先順位は、第1明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第5明度の読取画像Bの順に決定する。蛍光バーコード認識部5は、決定された優先順位に基づき、認識処理を実行する(ST608)。
【0044】
算出結果が閾値以下でなければ(ST605、NO)、蛍光バーコード認識部5は、書状Bは書状Aに類似していないと判断する。この場合、蛍光バーコード認識部5は、デフォルトの優先順位を適用する(ST610)。これにより、蛍光バーコード認識部5は、第1明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第5明度の読取画像Bの順に認識処理を実行する(ST608)。
【0045】
次に、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した特有書状用認識処理について説明する。
【0046】
上記したように、バーコード処理装置は、認識処理に対応して認識処理の結果を示す統計データを集積する。例えば、日時別認識結果データベース10は日時別認識結果統計データを集積し、印字局別認識結果データベース11は印字局別認識結果統計データを集積する。
【0047】
印字局別認識結果統計データは、印字局の識別情報及び印字機器の識別情報のうちの少なくとも一方の識別情報と認識結果(有効な認識処理を含む)とを対応付けた統計データを含む。日時別認識結果統計データは、日時データと認識結果(有効な認識処理を含む)とを対応付けた統計データを含む。
【0048】
オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報を認識する。
【0049】
蛍光バーコード認識部5は、印字局別認識結果統計データに含まれた印字局の識別情報と入力された印字局の識別情報又は認識された印字局の識別情報とを比較し、識別情報の一致に基づき、印字局別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0050】
或いは、蛍光バーコード認識部5は、印字局別認識結果統計データに含まれた印字機器の識別情報と入力された印字機器の識別情報又は認識された印字機器の識別情報とを比較し、識別情報の一致に基づき、印字局別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0051】
或いは、蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果統計データに含まれた日時データと現在日時とを比較し、現在日時が日時データに該当する場合、日時別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0052】
以上により、特定の印字局、特定の印字機器、特定の日時に処理された書状に対して、特定の認識処理を適用することができる。なお、特定の印字局、特定の印字機器、特定の日時に処理された書状に対して、通常の認識処理に加えて特定の認識処理を適用するようにしてもよいし、特定の認識処理だけを適用するようにしてもよい。
【0053】
例えば、特定の印字機器の調整不良によって、書状に対してバーコードを印字する時にインクの飛び散りが発生したり、上側もしくは下側のバーが短くなったりする印字不良が発生している場合に、上記認識処理は有効である。つまり、特定の印字機器により印字された不良バーコードの特性に対応できる特定の認識処理を優先的に適用することができ、最大処理時間内でバーコード処理装置の認識性能を有効活用することができる。
【0054】
続いて、上記説明した特有書状用認識処理の具体例1について説明する。
【0055】
図11Aは、日時別認識結果統計データの一例を示す図であり、図11Bは、印字局別認識結果統計データの一例を示す図である。
【0056】
図11Aに示すように、日時別認識結果統計データは、「処理日」「処理時刻」に対応付けられた「認識書状総数」「認識不能書状総数」「誤り訂正数平均」「平均ラベル数」「平均上側バー付加補正数」「平均下側バー付加補正数」「各内部認識処理別スコア加算表」を含む。図11Bに示すように、印字局別認識結果統計データは、「処理局」「処理機体」に対応付けられた「認識書状総数」「認識不能書状総数」「誤り訂正数平均」「平均ラベル数」「平均上側バー付加補正数」「平均下側バー付加補正数」「各内部認識処理別スコア加算表」を含む。
【0057】
それぞれの項目は、認識処理終了後に都度更新される。日時別認識結果統計データにおいて、「平均」は、ある時間に処理された書状総数の平均を意味する。印字局別認識結果統計データにおいては、「平均」は、ある印字機体で印字処理された書状総数の平均を意味する。「誤り訂正数」は、ある書状を認識したときに選択された答えで、入力のバーの並びとデコード結果のバーの並びを比較して何本訂正されたかを示す。「ラベル数」は、微分2値化後のラベリング結果(黒画素連結ラベル)から求められるラベル数を示す。「上側バー付加補正数」は、図12Aに示すように上側にバーの一部が付加されたバーの補正数を示す。同様に、「下側バー付加補正数」は、図12Bに示すように下側にバーの一部が付加されたバーの補正数を示す。
【0058】
例えば、特定の印字機器により印字された書状の認識処理で得られた平均ラベル数が異常値(大きな値)を示し、認識不能が多発していると仮定する。或いは、特定の印字機器により印字された書状の認識処理で得られた平均誤り訂正数が大きな値を示していると仮定する。
【0059】
最初に、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報(IDタグコード)を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報(IDタグコード)を認識する。
【0060】
上記したように、平均ラベル数が異常値(大きな値)を示し、かつ認識結果も良好でないケースでは、インクが飛び散って細かい発光ラベルが多数出現して認識に悪影響を与えていることが予想される。そこで、蛍光バーコード認識部5は、通常認識処理では行っていない処理、具体的には一定値以下の大きさのラベルを認識に使用しないという処理を加える。これにより、飛び散り印字不良の書状に対して、無駄な認識処理時間を費やすこと無く、効率よく認識処理を進めることができる。また、インク飛散部分のラベルを使用しないことにより、領域抽出からバー補正までの精度が上がる。よって、通常認識できないようなバーコードでも認識できるようになる。
【0061】
また、印字局別認識結果統計データの代わりに日時別認識結果統計データを使用して同様の認識処理を行うこともできる。例えば、異なる日の同一時間帯の認識率をチェックし、チェック結果に応じて認識処理を変更する。これは、郵便事業者の郵便物処理の流れは、例えば18:00〜19:00にA局から来た到着便を処理して、19:00〜20:00にはB局から来た到着便を処理するというように、日付によらず一定のルーチンで処理順序が決定されていることが多いためである。
【0062】
続いて、上記説明した特有書状用認識処理の具体例2について説明する。
【0063】
印字局別認識結果統計データにおいて、平均上側バー付加補正数が異常値を示し、かつ、認識不能が多発していると仮定する。或いは、平均誤り訂正数が大きな値を示していると仮定する。
【0064】
この場合、印字機器の調整不良で上側バーが欠けて正しく印字されないようになっていることが想定される。そこで、蛍光バーコード認識部5は、通常認識では行っていない処理、具体的にはバー分類処理時にバー上部側スコアに対して得点付けを高くする処理を加える。つまり、上側バーが欠けたバーを上側バーと判断させる処理を加える。これにより、通常認識できないバーコード(上側が欠けたバーを含むバーコード)でも認識できるようになる。
【0065】
続いて、図10のフローチャートを参照し、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した特有書状用認識処理の一例を説明する。
【0066】
上記したように、蛍光バーコード認識部5は、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を取得し(ST1001)、印字局別認識結果データベース11から該当印字局の認識結果を示す統計情報を取得する(ST1002)。統計情報に基づき認識不能の割合が一定以上ではなく(ST1003、NO)、統計情報に基づき平均誤り訂正数が一定以上でもなければ(ST1004、YES)、予め指定された複数の認識処理の組み合わせを実行する(ST1005)。
【0067】
統計情報に基づき認識不能の割合が一定以上である場合(ST1003、YES)、或いは統計情報に基づき平均誤り訂正数が一定以上である場合(ST1004、YES)で、しかも平均ラベル数が閾値以上であれば(ST1006)、一定値以上の大きさのラベルを切り捨てる処理を追加し(ST1007)、追加処理とともに複数の認識処理の組み合わせを実行する(ST1005)。
【0068】
次に、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した有効認識処理について説明する。通常、バーコード処理装置は、図13に示すように、予め指定された順序で、複数処理を組み合わせてバーコードを認識している。そこで、バーコード処理装置は、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用し、複数処理の中からいくつかの処理を優先的に実行し、認識処理の効率化を図る。
【0069】
例えば、印字局別認識結果統計データを利用した優先処理について説明する。既に説明したように、事前にオペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、事前にオペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報を認識する。
【0070】
図14は、図11Bに示されている各内部認識処理別スコア加算表の一例を示す図である。各内部認識処理別スコア加算表は、バーコード認識のために試行された複数処理の中で最も誤り訂正数が少なかった組み合わせ処理に高いスコアがつけられていることを示す。具体的には、誤り訂正数0のバーの並びを検知した認識処理組み合わせには100点、誤り訂正数4のバーの並びを検知した認識処理組み合わせには50点、認識不能であれば−50点がつけられる。スコア順にソートして優先度を付けることにより、有効な組み合わせ処理が順位付けできる。
【0071】
例えば、特定の企業からのバルクメールが大多数を占め有効な処理の組み合わせが一意に決まったり、古い印字機器であればバーコード印字時にバーが太くなるなどの特有の傾向があったりする。このため、上記した処理が有効に機能する。ただし、印字機器の特性や局ごとのバルクメールの特性があることのみが重要であり、上記のような理由は必要なく、認識結果からのみ最適な処理の組み合わせが選択される。つまり、復号時の誤り訂正数という絶対の基準を元に優先度を決定しているため、元の書状や印字状態がどうであったかといった情報が分からなくてもよい。
【0072】
ここで、図13を参照し、通常の認識処理の一例について説明する。最初に、バーコード領域が抽出される(ST1301)。つまり、一定ピッチで規則的にラベルが並んでいる部分がバーコード領域として抽出される。続いて、バーコード領域においてラベルの並びからバーコードのスキュー角度が検出される(ST1302)。続いて、個別バーが判定される。つまり、ラベルの長さや位置から、バーが4種に分類され、バーの並びを入力情報とし、入力情報を復号し、住所情報が取得される(ST1303)。また、復号結果が多数得られた場合には、適切な復号結果を採用する(ST1304)。一般に、未検出数と誤り訂正数を基準として選択されることが多い。適切な復号結果を得たら、区分機側およびログ情報等に認識結果を出力する(ST1305)。
【0073】
最後に、認識結果に基づき印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを更新する。日時情報はPCが保有している情報から随時取得できる。また、バーコードを印字した印字局(印字機器)を示す情報はタグIDコードから得ることができる。なお、オペレーション部1から印字局を示す情報を入力するようにしてもよい。
【0074】
図2は、上記説明した認識処理の全体を説明するためのフローチャートである。図2に示すように、蛍光バーコード用スキャナ2が、例えば書状Bの画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像Bを取得する(ST201)。蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11から、統計情報を取得する(ST202)。統計情報には、書状Bの前に処理された書状Aの認識処理結果を示す情報が含まれており、書状Aの認識処理結果は書状Aの輝度分布情報を含む。
【0075】
蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bから書状Bの輝度分布情報を取得し、統計情報から書状Aの輝度分布情報を取得し、書状Bの輝度分布情報と書状Aの輝度分布情報とを比較し、書状Bと書状Aの類似度を判定する(ST203)。書状Bと書状Aとが類似していない場合は(ST203、NO)、蛍光バーコード認識部5は、デフォルトの優先順位を適用する(ST204)。書状Bと書状Aとが類似している場合は(ST203、YES)、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理におけるエラー訂正数に基づき認識処理の優先順位を決定する(ST205)。
【0076】
さらに、蛍光バーコード認識部5は、統計情報に基づき、書状Bに特化した固有処理を選択すべきか否か判断する(ST207)。書状Bに特化した認識処理を選択する場合には(ST207、YES)、固有処理選択フラグを設定する(ST208)。書状Bに特化した認識処理を選択しない場合には(ST207、NO)、認識処理優先度が決定される(ST209)。
【0077】
その後、認識対象の領域が抽出され(ST210)、個別バーが判定され(ST211)、バーコードが復号され(ST212)、認識結果が採択され(ST213)、認識結果が出力され(ST214)、統計情報が更新される(ST215)。
【0078】
以下に本実施形態についてまとめる。
【0079】
(1)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、データベースにこれまでのバーコード認識結果の統計情報を予め記録しておき、その統計情報を利用することにより現在の認識対象となっているバーコードに対して有効と判断される処理の組み合わせを見つけ、その処理から優先的に実施する。
【0080】
(1−1)また、統計情報は、バーコードを印字した印字局および印字機器ごとに分類されたバーコード認識結果を含む。
【0081】
(1−2)また、印字局および印字機器を特定する方法として、オペレータが、予めこれから処理する予定の書状の印字局および印字機器の識別情報を入力する。この入力された識別情報を利用して統計情報の更新および使用を行う。
【0082】
(1−3)また、印字局および印字機器を特定する方法として、スキャナが、IDタグコードを読み取る。IDタグコードの読取結果を利用して統計情報の更新および使用を行う。
【0083】
(1−4)また、統計情報は、バーコードを印字した時間帯で分類されたバーコード認識結果を含む。
【0084】
(2)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像を取得し、これら画像明度の異なる複数の読取画像を利用して、バーコードを認識する。また、所定の読取画像に含まれたバーコードの認識に最適な明度を記憶しておき、所定の読取画像のフォームに類似したフォームの読取画像からバーコードを認識する際には、記憶した最適な明度の読取画像を優先的に認識処理に適用する。
【0085】
(2−1)また、スキャナの露光時間を変えて複数回画像を撮影し、画像明度の異なる複数の読取画像を取得する。
【0086】
(2−2)また、ワイドレンジで取得した画像から、あるレンジを抜き出して画像明度の異なる複数の読取画像を取得する。
【0087】
(2−3)また、輝度値のヒストグラム情報に基づき、画像フォームの類似を判断する。
【0088】
(3)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、書状にバーコードを印字した印字局および印字機器の識別情報に基づき、この識別情報の印字局および印字機器で印字されたバーコードの認識に問題が生じていると判断した場合に、必要に応じて普段の認識で行わない認識不良原因に特化した処理を選択する。
【0089】
(3−1)また、印字局および印字機器を特定する方法として、オペレータが、予めこれから処理する予定の書状の印字局および印字機器の識別情報を入力する。
【0090】
(3−2)また、印字局および印字機器を特定する方法として、スキャナが、IDタグコードを読み取る。
【0091】
(3−3)また、所定枚数単位で、バーコードの認識エラーの出現数が規定値を超えた場合に、バーコードの認識に問題が生じていると判断する。或いは、所定枚数単位で、バーに対する誤り訂正の回数が規定値を超えた場合に、バーコードの認識に問題が生じていると判断する。
【0092】
(3−4)バーコードの認識に問題が生じる原因として、インクの飛び散りなどがある。
【0093】
(3−5)バーコードの認識に問題が生じる原因として、バー上側の欠け、もしくはバー下側の欠けなどがある。
【0094】
上記により、例えば、その書状に対して有効な認識処理が後段にあった場合に、実施されないまま制限時間を過ぎてしまうことを防ぐ認識率向上効果が得られる。また、複数の明るさ画像からそれぞれ認識させて良い結果を選択するような認識処理において、適切な明度の画像を選択できないまま制限時間を過ぎてしまうことを防ぐ認識率向上効果も得られる。加えて、固有の機体が調整不良によって印字不良等を発生させてしまっても、統計情報を用いることにより、通常では入らない処理を適用し、認識率向上が可能となる効果もある。
【0095】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(情報認識処理装置)の概略構成を示す図である。
【図2】バーコード認識処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】バーコード画像の一例を示す図である。
【図4A】蛍光色書状から読み取られたバーコード画像の一例を示す図である。
【図4B】黒地書状から読み取られたバーコード画像の一例を示す図である。
【図5A】黒地書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【図5B】蛍光色書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【図6】画像明度選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図8A】類似条件を満たす二つの濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図8B】類似条件を満たさない二つの濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図9】濃度ヒストグラム情報の別例を示す図である。
【図10】特有書状用認識処理の一例を示すフローチャートである。
【図11A】日時別認識結果統計データの一例を示す図である。
【図11B】印字局別認識結果統計データの一例を示す図である。
【図12A】上側バー付加補正数を説明するための図である。
【図12B】下側バー付加補正数を説明するための図である。
【図13】バーコード認識処理の一例を示す図である。
【図14】各内部認識処理別スコア加算表の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1…オペレーション部、2…蛍光バーコード用スキャナ、3…制御PC、5…蛍光バーコード認識部、6…HUB、7…通信ケーブル、8…搬送ベルト、10…日時別認識結果データベース、11…印字局別認識結果データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物等に印刷されたバーコード等の識別情報を認識する情報認識処理装置及び情報認識処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便処理の分野では、郵便物に記録された宛先を認識する宛先認識装置が知られている。郵便物に記録された宛先を短時間で認識するためには、郵便物上の宛先領域を短時間で正確に見つけ出すことが重要である。そこで、予め、郵便物から読み取った読取郵便物画像と予め登録した登録郵便物画像とを比較し、読取郵便物画像と登録郵便物画像とが類似条件を満たす場合に、登録郵便物画像に対応付けて登録された宛先領域情報を参照し、読取郵便物画像の中から宛先領域を見つけ出す技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−238097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した宛先認識装置は、例えば複数台計算機により構成され、これら複数台計算機により処理を分散している。ところが、郵便物に記録されたバーコードを認識するバーコード認識装置は、単独計算機により構成されるものが多い。バーコード認識装置は、複数の認識処理による複数のバーコード認識結果の中から最適な認識結果を選択したり、これら複数の認識処理によりバーコードが認識できない場合にはさらに別の認識処理を適用しバーコードを認識したりする。
【0004】
しかしならが、バーコード認識装置は、遅延処理に対応しないことが多く、そのためバーコード認識の最大処理時間が厳しく制約される傾向にある。そのため、有効な認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。このような事情から、バーコード認識装置の認識性能が最大限に生かされず、認識性能が低下する恐れがあった。
【0005】
例えば、郵便物から画像を読み取り、画像明度の異なる複数の画像を取得し、これら複数の画像を用いた認識処理では、認識処理に適した明度の画像から処理を開始することが望ましい。ところが、バーコード認識装置は、予め決められた順序で、画像を選択し、認識処理を開始する。そのため、認識処理に適した明度の画像を用いた認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。
【0006】
また、特定の印字機器により認識し難いバーコードが印字されることがある。このようなバーコードは通常の認識処理では認識できず、別の認識処理を適用する必要がある。しかしながら、バーコード認識装置は、通用の認識処理を適用してから、必要に応じて別の認識処理を適用するように設定されている。そのため、別の認識処理を実行する前に、最大処理時間が経過しタイムアウトになってしまうことがある。
【0007】
本発明の目的は、最大処理時間内で認識性能を有効活用することが可能な情報認識処理装置及び情報認識処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態に係る情報認識処理装置は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、を備えている。
【0009】
この発明の一実施形態に係る情報認識処理方法は、第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得し、所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識成功を示す識別情報認識処理の結果を含む前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最大処理時間内で認識性能を有効活用することが可能な情報認識処理装置及び情報認識処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(情報認識処理装置)の概略構成を示す図である。バーコード処理装置は、例えば郵便物区分機に適用することができる。
【0013】
図1に示すように、バーコード処理装置は、オペレーション部1、蛍光バーコード用スキャナ2、制御PC3、蛍光バーコード認識部5、HUB6、通信ケーブル7、搬送ベルト8、日時別認識結果データベース10、印字局別認識結果データベース11を備えている。
【0014】
蛍光バーコード用スキャナ2は、搬送ベルト8を搬送される郵便物等の書状(読取対象物)9の画像(蛍光画像)を不可視光により読み取る。書状9には蛍光バーコード(識別情報)が印字されており、蛍光バーコード用スキャナ2は、この蛍光バーコードを読み取るものである。
【0015】
蛍光バーコード認識部5は、蛍光バーコード用スキャナ2により読み取られた読取画像を処理する画像処理部である。
【0016】
オペレーション部1は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)により構成することができる。同様に、制御部3も、例えばPCにより構成することができる。同様に、蛍光バーコード認識部5も、例えばPCにより構成することができる。
【0017】
通信ケーブル7は、蛍光バーコード用スキャナ2と蛍光バーコード認識部5とを接続し、蛍光バーコード認識部5と日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11とを接続し、HUB6とオペレーション部1、制御部3、及び蛍光バーコード認識部5とを接続する。
【0018】
日時別認識結果データベース10は、日時別のバーコード認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。印字局別認識結果データベース11は、印字局別のバーコード認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。
【0019】
なお、日時別認識結果を使用する場合には日時別認識結果データベース10は必須となり、印字局別認識結果を使用する場合には印字局別認識結果データベース11は必須となるが、日時別認識結果及び印字局別認識結果を使用しない場合には日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11は必須構成ではない。同様に、オペレーション情報を使用しない場合は、オペレーション部1も必須構成ではない。
【0020】
蛍光バーコード用スキャナ2は、バーコード認識用画像を読み取る。また、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像を作成し、直前認識書状(直前認識郵便物)の読取画像の輝度情報と読取画像の輝度情報とを比較し、輝度比較結果に基づき画像明度の異なる複数の読取画像の中から優先的に処理する読取画像を選択する。また、蛍光バーコード認識部5は、印字局・日時毎のバーコード認識処理結果が蓄積されている統計情報データベースから統計情報を取得し、その統計情報に基づきどのような認識処理をどのような順序で適用すべきか判断する。また、蛍光バーコード認識部5は、隣接する濃度差が一定値以上の固まりをラベル付けする微分二値ラベリングを実行し、バーコード領域を抽出し、個別バーを判定し、判定したバーの並びを入力として復号化し、複数のバーコード復号結果が得られた場合にどのバーコード復号結果を採用するかを選択し、区分機側およびログ情報等にバーコード認識結果を出力する。ただし、微分二値ラベリングの替わりに通常の二値ラベリングを適用してもよい。
【0021】
以下、具体的な手順について説明する。なお、蛍光バーコード用スキャナ2は事前にキャリブレーションされているものとする。つまり、蛍光バーコード用スキャナ2の位置合わせ等は完了しているものとする。
【0022】
図3に示すように、認識の対象となる蛍光バーコードは、例えば、4ステートバーコードである。4ステートバーコードとしては、タイミングバーB1、アセンダーB2、ディセンダーB3、ロングバーB4がある。タイミングバーB1は短く、アセンダーB2は上方向だけが長いバーであり、ディセンダーB3は下方向だけが長いバーであり、ロングバーB4は上下方向に長いバーである。なお、認識の対象となる蛍光バーコードは、リードソロモン式の復号による誤り訂正機能を備えている。
【0023】
蛍光バーコード用スキャナ2は、書状(郵便物)の画像を読み取り、図3に示すような画像を取得する。蛍光バーコード用スキャナ2で取得される画像の性質は、蛍光特性がある部分に反応して発光するので、書状自体が蛍光色の封筒などのケースでは、図4Aに示すように、バー同様に書状面も発光しているような画像となる。逆に、黒色の書状などで、バーの発光特性が弱まるような書状の場合には、図4Bに示すように、バーがほとんど発光しないような画像となる。
【0024】
蛍光バーコードには上記したような特性があるため、画像明度の異なる複数の読取画像を取得し、これら画像明度の異なる複数の読取画像の中の最適な画像明度の読取画像からバーコードを認識する。例えば、蛍光バーコード用スキャナ2に12ビットのワイドレンジを適用し、12ビットで示される読取画像を取得し、12ビットで示される読取画像から8ビットごとに画像を切り出す。これにより、図5A及び図5Bに示すような、画像明度の異なる5つの読取画像を取得することができる。図5A及び図5Bに示す5つの読取画像を、上から順に、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像、第5明度の読取画像と定義する。なお、図5Aは、黒地書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図であり、図5Bは、蛍光色書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【0025】
なお、蛍光バーコード用スキャナ2が、異なる露光時間で異なる明度の画像を取得するようにしてもよい。
【0026】
次に、画像明度の異なる複数の読取画像の中から最適な画像明度の読取画像を選択する画像明度選択処理について説明する。
【0027】
バーコード処理装置は、次々に搬送される書状の画像を読み取り、読取画像に含まれるバーコードを認識し、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11には、バーコード認識処理結果を示す統計情報が次々に蓄積される。バーコード処理装置は、ある書状のバーコードの認識処理に、直前のバーコード認識処理結果を利用することができる。
【0028】
例えば、バーコード処理装置は、書状Aの画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像Aを取得し、所定選択順序に基づき、各明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する。この場合、統計情報は、例えば、第1明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第2明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第3明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第4明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含み、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値を含む。なお、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコード認識試行時に得られたエラー訂正数のカウント値が最も少ないと仮定する。
【0029】
或いは、バーコード処理装置は、書状Aの画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像Aを取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第3明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第4明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識を試行する。例えば、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識に成功した場合、統計情報は、第5明度の読取画像Aに含まれたバーコードの認識成功を示す認識成功情報を含む。
【0030】
蛍光バーコード用スキャナ2は、書状Bの画像を読み取り、読取画像Bを蛍光バーコード認識部5へ提供する。蛍光バーコード認識部5は、第1明度、第2明度、第3明度、第4明度、第5明度の読取画像Bを生成する。また蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10又は印字局別認識結果データベース11から統計情報を取得する。さらに、蛍光バーコード認識部5は、統計情報に含まれた読取画像Aと蛍光バーコード用スキャナ2から提供された読取画像Bとを比較し、所定の類似条件を満たす場合に、第5明度の読取画像Bを優先処理すると判断する。
【0031】
このような優先処理により、バルク書状を効率良く認識することが可能となる。例えば、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像、第5明度の読取画像の順に認識処理を進めることが予め決まっているとする。しかも、第5明度の読取画像が最もバーコード認識処理に適しているとする。つまり、第1明度の読取画像、第2明度の読取画像、第3明度の読取画像、第4明度の読取画像からはバーコードが認識できない、或いは認識率が低いとする。このようなケースで、上記したような優先処理を適用しないと、すべての書状の認識処理において、第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理、第5明度の読取画像に対する認識処理を適用することになり、非常に効率が悪い。また、タイムアウトにより、第5明度の読取画像に対する認識処理を実行できず、その結果、バーコードを認識することができないかもしれない。
【0032】
これに対して、上記した優先処理を適用すれば、第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理を実施することなく(或いは第1明度の読取画像に対する認識処理、第2明度の読取画像に対する認識処理、第3明度の読取画像に対する認識処理、第4明度の読取画像に対する認識処理を後回しにして)、第5明度の読取画像に対する認識処理だけでほぼバーコードを認識することができる。即ち、上記した優先処理により、最大処理時間内でバーコード処理装置の認識性能を有効活用することができる。もし、第5明度の読取画像に対する認識処理でバーコードが認識できなかった場合には、次にエラー訂正数が少なかった明度の読取画像を選択し、認識処理を続行する。
【0033】
また、蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bの認識処理結果に基づき統計情報を更新する。例えば、第5明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識に失敗し、第4明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識に成功した場合、統計情報は、第4明度の読取画像Bに含まれたバーコードの認識成功を示す認識成功情報を含む。これにより、次に、蛍光バーコード用スキャナ2が、書状Cの画像を読み取り、読取画像Cを蛍光バーコード認識部5へ提供すると、蛍光バーコード認識部5は、認識成功情報に含まれた読取画像Bと蛍光バーコード用スキャナ2から提供された読取画像Cとを比較し、所定の類似条件を満たす場合に、第4明度の読取画像Cを優先処理すると判断する。
【0034】
このようにして、バーコード処理装置は、統計情報をリアルタイムに更新し、最新の統計情報に基づき効率良く認識処理を行うことができる。
【0035】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例1について説明する。上記した認識成功情報は、例えば、図7に示すような読取画像Aの濃度ヒストグラム情報を含む。濃度ヒストグラム情報は、12ビットで示される読取画像Aを構成する各画素の濃度別の出現頻度分布を示すものである。また、蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bの濃度ヒストグラム情報も生成する。蛍光バーコード認識部5は、読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とを比較し、読取画像Aと読取画像Bの類似度を測定する。書状Aと書状Bが同一バルク書状であれば、図8Aに示すように、読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とは、似たようなグラフの分布となり、類似条件を満たすと判定される。
【0036】
また、形状検知に関しては、例えば、各濃度の発生頻度差の2乗和を利用する。これにより、類似しているヒストグラムであれば、それぞれの差分は少なくなるため、読取画像Aと読取画像Bは類似書状であると判断できる。読取画像Aと読取画像Bが類似書状である判断された場合、読取画像Bの認識処理に、読取画像Aの認識成功情報を利用する。例えば、読取画像Aの認識成功情報が、第1明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第3明度の読取画像A、第4明度の読取画像A、及び第5明度の読取画像Aに対する全ての認識処理結果を含む場合、蛍光バーコード認識部5は、エラー訂正数の少なかった認識処理で使用した明度から順に選択する。また、読取画像Aの認識処理に失敗していた場合、統計情報は読取画像Aの認識失敗情報を含み、読取画像Bの認識処理に、読取画像Aの認識失敗情報を利用することもできる。例えば、読取画像Aの認識失敗情報が、第1明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第3明度の読取画像Aの認識処理に失敗したことを示す情報を含む場合、読取画像Bの認識処理の際に、第4明度の読取画像B又は第5明度の読取画像Bを優先的に選択し認識処理を実行する。
【0037】
なお、読取画像Bに含まれたバーコードの認識処理において、図8Bに示すように、読取画像Aと読取画像Bが類似書状でなかった場合には、デフォルトの選択順序に基づき、画像明度の異なる読取画像Bを順に選択し認識する。或いは、読取画像Bに含まれたバーコードの認識処理において、読取画像Aと読取画像Bが類似書状でなくとも、書状Aより前に処理した書状Xの読取画像Xと読取画像Bが類似書状であれば、読取画像Xの認識成功情報或いは読取画像Xの認識失敗情報に基づき、読取画像Bの認識処理を進めることもできる。
【0038】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例2について説明する。具体例2では、具体例1で説明した図7に示す濃度ヒストグラム情報に替えて、図9に示す濃度ヒストグラム情報を使用する。図9に示す濃度ヒストグラム情報は、濃度そのものを項目軸としたヒストグラムではなく、一定範囲の濃度を項目軸としたヒストグラムである。読取画像Aの濃度ヒストグラム情報と読取画像Bの濃度ヒストグラム情報とを生成し、項目ごとの差分2乗和を比較する。具体例1に対して、2乗和をとる項目数が少なくなっているため、比較処理の高速化を図ることができる。
【0039】
続いて、上記説明した画像明度選択処理の具体例3について説明する。具体例3では、読取画像Aにおいて最も多く出現した濃度値と、読取画像Bにおいて最も多く出現した濃度値とを比較し、読取画像Aと読取画像Bが類似書状か否かを判断する。画像の明るさ選択で重要なポイントの一つは書状自体が発光しているかどうかであり、最頻の濃度値は面積が最も多い書状自体の発光レベルに左右される。読取画像Aにおいて最も多く出現した濃度値と、読取画像Bにおいて最も多く出現した濃度値との差が一定値以下であれば、読取画像Aと読取画像Bを類似書状とみなす。つまり、最大面積となる書状の地の発光量が読取画像Aと読取画像Bで近い場合に、読取画像Aと読取画像Bを類似書状とみなす。
【0040】
続いて、図6のフローチャートを参照し、画像明度選択処理の一例を説明する。
【0041】
蛍光バーコード用スキャナ2が、例えば書状Bの画像を読み取り(ST601)、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像Bを取得する。蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11から、統計情報を取得する。統計情報には、書状Bの前に処理された書状Aの認識処理結果を示す情報が含まれている。蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bから書状Bの濃度ヒストグラム情報を取得し(ST602)、統計情報から書状Aの濃度ヒストグラム情報を取得し(ST603)、書状Bの濃度ヒストグラム情報と書状Aの濃度ヒストグラム情報とを比較する。例えば、各濃度の発生頻度差の2乗和を計算する(ST604)。
【0042】
算出結果が閾値以下であれば(ST605、YES)、蛍光バーコード認識部5は、書状Bは書状Aに類似していると判断する。統計情報から書状Aの認識成功が判明すれば、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理におけるエラー訂正数に基づき認識処理の優先順位を決定する(ST609)。例えば、第5明度の読取画像Aを用いた認識処理におけるエラー訂正数が最も少なく、第4明度の読取画像A、第3明度の読取画像A、第2明度の読取画像A、第1明度の読取画像Aの順にエラー訂正数が増えるとすると、認識処理の優先順位は、第5明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第1明度の読取画像Bの順に決定する。蛍光バーコード認識部5は、決定された優先順位に基づき、認識処理を実行する(ST608)。
【0043】
統計情報から書状Aの認識失敗が判明すれば、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理と逆順で優先順位を決定する(ST607)。例えば、第5明度の読取画像A、第4明度の読取画像A、第3明度の読取画像Aの順に処理し認識に失敗していたとすると、認識処理の優先順位は、第1明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第5明度の読取画像Bの順に決定する。蛍光バーコード認識部5は、決定された優先順位に基づき、認識処理を実行する(ST608)。
【0044】
算出結果が閾値以下でなければ(ST605、NO)、蛍光バーコード認識部5は、書状Bは書状Aに類似していないと判断する。この場合、蛍光バーコード認識部5は、デフォルトの優先順位を適用する(ST610)。これにより、蛍光バーコード認識部5は、第1明度の読取画像B、第2明度の読取画像B、第3明度の読取画像B、第4明度の読取画像B、第5明度の読取画像Bの順に認識処理を実行する(ST608)。
【0045】
次に、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した特有書状用認識処理について説明する。
【0046】
上記したように、バーコード処理装置は、認識処理に対応して認識処理の結果を示す統計データを集積する。例えば、日時別認識結果データベース10は日時別認識結果統計データを集積し、印字局別認識結果データベース11は印字局別認識結果統計データを集積する。
【0047】
印字局別認識結果統計データは、印字局の識別情報及び印字機器の識別情報のうちの少なくとも一方の識別情報と認識結果(有効な認識処理を含む)とを対応付けた統計データを含む。日時別認識結果統計データは、日時データと認識結果(有効な認識処理を含む)とを対応付けた統計データを含む。
【0048】
オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報を認識する。
【0049】
蛍光バーコード認識部5は、印字局別認識結果統計データに含まれた印字局の識別情報と入力された印字局の識別情報又は認識された印字局の識別情報とを比較し、識別情報の一致に基づき、印字局別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0050】
或いは、蛍光バーコード認識部5は、印字局別認識結果統計データに含まれた印字機器の識別情報と入力された印字機器の識別情報又は認識された印字機器の識別情報とを比較し、識別情報の一致に基づき、印字局別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0051】
或いは、蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果統計データに含まれた日時データと現在日時とを比較し、現在日時が日時データに該当する場合、日時別認識結果統計データに含まれた有効な認識処理を適用し、読取画像に含まれたバーコードを認識する。
【0052】
以上により、特定の印字局、特定の印字機器、特定の日時に処理された書状に対して、特定の認識処理を適用することができる。なお、特定の印字局、特定の印字機器、特定の日時に処理された書状に対して、通常の認識処理に加えて特定の認識処理を適用するようにしてもよいし、特定の認識処理だけを適用するようにしてもよい。
【0053】
例えば、特定の印字機器の調整不良によって、書状に対してバーコードを印字する時にインクの飛び散りが発生したり、上側もしくは下側のバーが短くなったりする印字不良が発生している場合に、上記認識処理は有効である。つまり、特定の印字機器により印字された不良バーコードの特性に対応できる特定の認識処理を優先的に適用することができ、最大処理時間内でバーコード処理装置の認識性能を有効活用することができる。
【0054】
続いて、上記説明した特有書状用認識処理の具体例1について説明する。
【0055】
図11Aは、日時別認識結果統計データの一例を示す図であり、図11Bは、印字局別認識結果統計データの一例を示す図である。
【0056】
図11Aに示すように、日時別認識結果統計データは、「処理日」「処理時刻」に対応付けられた「認識書状総数」「認識不能書状総数」「誤り訂正数平均」「平均ラベル数」「平均上側バー付加補正数」「平均下側バー付加補正数」「各内部認識処理別スコア加算表」を含む。図11Bに示すように、印字局別認識結果統計データは、「処理局」「処理機体」に対応付けられた「認識書状総数」「認識不能書状総数」「誤り訂正数平均」「平均ラベル数」「平均上側バー付加補正数」「平均下側バー付加補正数」「各内部認識処理別スコア加算表」を含む。
【0057】
それぞれの項目は、認識処理終了後に都度更新される。日時別認識結果統計データにおいて、「平均」は、ある時間に処理された書状総数の平均を意味する。印字局別認識結果統計データにおいては、「平均」は、ある印字機体で印字処理された書状総数の平均を意味する。「誤り訂正数」は、ある書状を認識したときに選択された答えで、入力のバーの並びとデコード結果のバーの並びを比較して何本訂正されたかを示す。「ラベル数」は、微分2値化後のラベリング結果(黒画素連結ラベル)から求められるラベル数を示す。「上側バー付加補正数」は、図12Aに示すように上側にバーの一部が付加されたバーの補正数を示す。同様に、「下側バー付加補正数」は、図12Bに示すように下側にバーの一部が付加されたバーの補正数を示す。
【0058】
例えば、特定の印字機器により印字された書状の認識処理で得られた平均ラベル数が異常値(大きな値)を示し、認識不能が多発していると仮定する。或いは、特定の印字機器により印字された書状の認識処理で得られた平均誤り訂正数が大きな値を示していると仮定する。
【0059】
最初に、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、オペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報(IDタグコード)を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報(IDタグコード)を認識する。
【0060】
上記したように、平均ラベル数が異常値(大きな値)を示し、かつ認識結果も良好でないケースでは、インクが飛び散って細かい発光ラベルが多数出現して認識に悪影響を与えていることが予想される。そこで、蛍光バーコード認識部5は、通常認識処理では行っていない処理、具体的には一定値以下の大きさのラベルを認識に使用しないという処理を加える。これにより、飛び散り印字不良の書状に対して、無駄な認識処理時間を費やすこと無く、効率よく認識処理を進めることができる。また、インク飛散部分のラベルを使用しないことにより、領域抽出からバー補正までの精度が上がる。よって、通常認識できないようなバーコードでも認識できるようになる。
【0061】
また、印字局別認識結果統計データの代わりに日時別認識結果統計データを使用して同様の認識処理を行うこともできる。例えば、異なる日の同一時間帯の認識率をチェックし、チェック結果に応じて認識処理を変更する。これは、郵便事業者の郵便物処理の流れは、例えば18:00〜19:00にA局から来た到着便を処理して、19:00〜20:00にはB局から来た到着便を処理するというように、日付によらず一定のルーチンで処理順序が決定されていることが多いためである。
【0062】
続いて、上記説明した特有書状用認識処理の具体例2について説明する。
【0063】
印字局別認識結果統計データにおいて、平均上側バー付加補正数が異常値を示し、かつ、認識不能が多発していると仮定する。或いは、平均誤り訂正数が大きな値を示していると仮定する。
【0064】
この場合、印字機器の調整不良で上側バーが欠けて正しく印字されないようになっていることが想定される。そこで、蛍光バーコード認識部5は、通常認識では行っていない処理、具体的にはバー分類処理時にバー上部側スコアに対して得点付けを高くする処理を加える。つまり、上側バーが欠けたバーを上側バーと判断させる処理を加える。これにより、通常認識できないバーコード(上側が欠けたバーを含むバーコード)でも認識できるようになる。
【0065】
続いて、図10のフローチャートを参照し、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した特有書状用認識処理の一例を説明する。
【0066】
上記したように、蛍光バーコード認識部5は、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を取得し(ST1001)、印字局別認識結果データベース11から該当印字局の認識結果を示す統計情報を取得する(ST1002)。統計情報に基づき認識不能の割合が一定以上ではなく(ST1003、NO)、統計情報に基づき平均誤り訂正数が一定以上でもなければ(ST1004、YES)、予め指定された複数の認識処理の組み合わせを実行する(ST1005)。
【0067】
統計情報に基づき認識不能の割合が一定以上である場合(ST1003、YES)、或いは統計情報に基づき平均誤り訂正数が一定以上である場合(ST1004、YES)で、しかも平均ラベル数が閾値以上であれば(ST1006)、一定値以上の大きさのラベルを切り捨てる処理を追加し(ST1007)、追加処理とともに複数の認識処理の組み合わせを実行する(ST1005)。
【0068】
次に、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用した有効認識処理について説明する。通常、バーコード処理装置は、図13に示すように、予め指定された順序で、複数処理を組み合わせてバーコードを認識している。そこで、バーコード処理装置は、印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを利用し、複数処理の中からいくつかの処理を優先的に実行し、認識処理の効率化を図る。
【0069】
例えば、印字局別認識結果統計データを利用した優先処理について説明する。既に説明したように、事前にオペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字局の識別情報を入力する。或いは、事前にオペレータが、オペレーション部1を介して、処理対象書状に対して印字処理を施した印字機器の識別情報を入力する。或いは、蛍光バーコード用スキャナ2が、処理対象書状の画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字局の識別情報を認識する。或いは、蛍光バーコード認識部5が、読取画像から印字機器の識別情報を認識する。
【0070】
図14は、図11Bに示されている各内部認識処理別スコア加算表の一例を示す図である。各内部認識処理別スコア加算表は、バーコード認識のために試行された複数処理の中で最も誤り訂正数が少なかった組み合わせ処理に高いスコアがつけられていることを示す。具体的には、誤り訂正数0のバーの並びを検知した認識処理組み合わせには100点、誤り訂正数4のバーの並びを検知した認識処理組み合わせには50点、認識不能であれば−50点がつけられる。スコア順にソートして優先度を付けることにより、有効な組み合わせ処理が順位付けできる。
【0071】
例えば、特定の企業からのバルクメールが大多数を占め有効な処理の組み合わせが一意に決まったり、古い印字機器であればバーコード印字時にバーが太くなるなどの特有の傾向があったりする。このため、上記した処理が有効に機能する。ただし、印字機器の特性や局ごとのバルクメールの特性があることのみが重要であり、上記のような理由は必要なく、認識結果からのみ最適な処理の組み合わせが選択される。つまり、復号時の誤り訂正数という絶対の基準を元に優先度を決定しているため、元の書状や印字状態がどうであったかといった情報が分からなくてもよい。
【0072】
ここで、図13を参照し、通常の認識処理の一例について説明する。最初に、バーコード領域が抽出される(ST1301)。つまり、一定ピッチで規則的にラベルが並んでいる部分がバーコード領域として抽出される。続いて、バーコード領域においてラベルの並びからバーコードのスキュー角度が検出される(ST1302)。続いて、個別バーが判定される。つまり、ラベルの長さや位置から、バーが4種に分類され、バーの並びを入力情報とし、入力情報を復号し、住所情報が取得される(ST1303)。また、復号結果が多数得られた場合には、適切な復号結果を採用する(ST1304)。一般に、未検出数と誤り訂正数を基準として選択されることが多い。適切な復号結果を得たら、区分機側およびログ情報等に認識結果を出力する(ST1305)。
【0073】
最後に、認識結果に基づき印字局別認識結果統計データ及び日時別認識結果統計データを更新する。日時情報はPCが保有している情報から随時取得できる。また、バーコードを印字した印字局(印字機器)を示す情報はタグIDコードから得ることができる。なお、オペレーション部1から印字局を示す情報を入力するようにしてもよい。
【0074】
図2は、上記説明した認識処理の全体を説明するためのフローチャートである。図2に示すように、蛍光バーコード用スキャナ2が、例えば書状Bの画像を読み取り、蛍光バーコード認識部5は、画像明度の異なる複数の読取画像Bを取得する(ST201)。蛍光バーコード認識部5は、日時別認識結果データベース10及び印字局別認識結果データベース11から、統計情報を取得する(ST202)。統計情報には、書状Bの前に処理された書状Aの認識処理結果を示す情報が含まれており、書状Aの認識処理結果は書状Aの輝度分布情報を含む。
【0075】
蛍光バーコード認識部5は、読取画像Bから書状Bの輝度分布情報を取得し、統計情報から書状Aの輝度分布情報を取得し、書状Bの輝度分布情報と書状Aの輝度分布情報とを比較し、書状Bと書状Aの類似度を判定する(ST203)。書状Bと書状Aとが類似していない場合は(ST203、NO)、蛍光バーコード認識部5は、デフォルトの優先順位を適用する(ST204)。書状Bと書状Aとが類似している場合は(ST203、YES)、蛍光バーコード認識部5は、書状Aの認識処理におけるエラー訂正数に基づき認識処理の優先順位を決定する(ST205)。
【0076】
さらに、蛍光バーコード認識部5は、統計情報に基づき、書状Bに特化した固有処理を選択すべきか否か判断する(ST207)。書状Bに特化した認識処理を選択する場合には(ST207、YES)、固有処理選択フラグを設定する(ST208)。書状Bに特化した認識処理を選択しない場合には(ST207、NO)、認識処理優先度が決定される(ST209)。
【0077】
その後、認識対象の領域が抽出され(ST210)、個別バーが判定され(ST211)、バーコードが復号され(ST212)、認識結果が採択され(ST213)、認識結果が出力され(ST214)、統計情報が更新される(ST215)。
【0078】
以下に本実施形態についてまとめる。
【0079】
(1)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、データベースにこれまでのバーコード認識結果の統計情報を予め記録しておき、その統計情報を利用することにより現在の認識対象となっているバーコードに対して有効と判断される処理の組み合わせを見つけ、その処理から優先的に実施する。
【0080】
(1−1)また、統計情報は、バーコードを印字した印字局および印字機器ごとに分類されたバーコード認識結果を含む。
【0081】
(1−2)また、印字局および印字機器を特定する方法として、オペレータが、予めこれから処理する予定の書状の印字局および印字機器の識別情報を入力する。この入力された識別情報を利用して統計情報の更新および使用を行う。
【0082】
(1−3)また、印字局および印字機器を特定する方法として、スキャナが、IDタグコードを読み取る。IDタグコードの読取結果を利用して統計情報の更新および使用を行う。
【0083】
(1−4)また、統計情報は、バーコードを印字した時間帯で分類されたバーコード認識結果を含む。
【0084】
(2)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、画像を読み取り、画像明度の異なる複数の読取画像を取得し、これら画像明度の異なる複数の読取画像を利用して、バーコードを認識する。また、所定の読取画像に含まれたバーコードの認識に最適な明度を記憶しておき、所定の読取画像のフォームに類似したフォームの読取画像からバーコードを認識する際には、記憶した最適な明度の読取画像を優先的に認識処理に適用する。
【0085】
(2−1)また、スキャナの露光時間を変えて複数回画像を撮影し、画像明度の異なる複数の読取画像を取得する。
【0086】
(2−2)また、ワイドレンジで取得した画像から、あるレンジを抜き出して画像明度の異なる複数の読取画像を取得する。
【0087】
(2−3)また、輝度値のヒストグラム情報に基づき、画像フォームの類似を判断する。
【0088】
(3)複数の処理を組み合わせてバーコードを認識するバーコード処理装置は、書状にバーコードを印字した印字局および印字機器の識別情報に基づき、この識別情報の印字局および印字機器で印字されたバーコードの認識に問題が生じていると判断した場合に、必要に応じて普段の認識で行わない認識不良原因に特化した処理を選択する。
【0089】
(3−1)また、印字局および印字機器を特定する方法として、オペレータが、予めこれから処理する予定の書状の印字局および印字機器の識別情報を入力する。
【0090】
(3−2)また、印字局および印字機器を特定する方法として、スキャナが、IDタグコードを読み取る。
【0091】
(3−3)また、所定枚数単位で、バーコードの認識エラーの出現数が規定値を超えた場合に、バーコードの認識に問題が生じていると判断する。或いは、所定枚数単位で、バーに対する誤り訂正の回数が規定値を超えた場合に、バーコードの認識に問題が生じていると判断する。
【0092】
(3−4)バーコードの認識に問題が生じる原因として、インクの飛び散りなどがある。
【0093】
(3−5)バーコードの認識に問題が生じる原因として、バー上側の欠け、もしくはバー下側の欠けなどがある。
【0094】
上記により、例えば、その書状に対して有効な認識処理が後段にあった場合に、実施されないまま制限時間を過ぎてしまうことを防ぐ認識率向上効果が得られる。また、複数の明るさ画像からそれぞれ認識させて良い結果を選択するような認識処理において、適切な明度の画像を選択できないまま制限時間を過ぎてしまうことを防ぐ認識率向上効果も得られる。加えて、固有の機体が調整不良によって印字不良等を発生させてしまっても、統計情報を用いることにより、通常では入らない処理を適用し、認識率向上が可能となる効果もある。
【0095】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(情報認識処理装置)の概略構成を示す図である。
【図2】バーコード認識処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】バーコード画像の一例を示す図である。
【図4A】蛍光色書状から読み取られたバーコード画像の一例を示す図である。
【図4B】黒地書状から読み取られたバーコード画像の一例を示す図である。
【図5A】黒地書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【図5B】蛍光色書状での5段階明度切り出しバーコード画像の一例を示す図である。
【図6】画像明度選択処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図8A】類似条件を満たす二つの濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図8B】類似条件を満たさない二つの濃度ヒストグラム情報の一例を示す図である。
【図9】濃度ヒストグラム情報の別例を示す図である。
【図10】特有書状用認識処理の一例を示すフローチャートである。
【図11A】日時別認識結果統計データの一例を示す図である。
【図11B】印字局別認識結果統計データの一例を示す図である。
【図12A】上側バー付加補正数を説明するための図である。
【図12B】下側バー付加補正数を説明するための図である。
【図13】バーコード認識処理の一例を示す図である。
【図14】各内部認識処理別スコア加算表の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
1…オペレーション部、2…蛍光バーコード用スキャナ、3…制御PC、5…蛍光バーコード認識部、6…HUB、7…通信ケーブル、8…搬送ベルト、10…日時別認識結果データベース、11…印字局別認識結果データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、
第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、
前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第1読取対象物に記録されたバーコードの認識処理の結果を示す前記統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記統計情報に基づき前記第2読取対象物に記録されたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項3】
前記認識手段は、前記統計情報により、所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識試行時に得られたエラー訂正数が最も少ないことが示されている場合、所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項4】
前記認識手段は、前記第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理結果に基づき前記統計情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記統計情報と前記第1読取対象物の第1画像フォーマット情報とを対応づけたフォーム別統計情報を記憶し、
前記画像読取手段は、前記第2読取対象物の画像を読み取り、前記第2読取処理対象物の第2画像フォーマット情報を取得し、
前記認識手段は、前記第1画像フォーマット情報と前記第2画像フォーマット情報とが類似条件を満たす場合に、前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記統計情報と輝度値のヒストグラムで示された前記第1画像フォーマット情報とを対応づけた前記フォーム別統計情報を記憶し、
前記画像読取手段は、前記第2認識処理対象物の画像を読み取り、輝度値のヒストグラムで示された前記第2画像フォーマット情報を取得し、
前記認識手段は、前記第1画像フォーマット情報と前記第2画像フォーマット情報とが類似条件を満たす場合に、前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項7】
前記画像読取手段は、異なる複数の露光時間で前記第2読取対象物を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項8】
前記画像読取手段は、前記第2読取対象物を読み取り、第1ビットレンジで示される第2読取画像を取得し、前記第1ビットレンジの中から複数種類の第2ビットレンジを抜き出して、これら複数種類の第2ビットレンジで示される画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項9】
複数処理に基づき読取画像に含まれた識別情報を認識する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、
読取対象物の画像を読み取り、読取画像を取得する画像読取手段と、
前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項10】
前記記憶手段は、複数処理に基づき読取画像に含まれたバーコードを認識するバーコード認識処理の結果を示す前記統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項11】
前記認識手段は、前記統計情報に基づき誤り訂正の数が最も少なかった組合せ処理を選択し、選択した組合せ処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識することを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、前記統計情報と、読取対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報とを対応づけた記録条件別統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記読取対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、前記記録条件別統計情報に含まれた記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報とが一致することを条件として、前記記録条件別統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、バーコード認識処理時間帯別の統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記バーコード認識処理時間帯別の統計情報から現在時刻に対応した統計情報を選出し、選出された統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項14】
識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶する記憶手段と、
認識処理対象物に対して識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得する取得手段と、
前記認識処理対象物の画像を読み取り、読取画像を取得する画像読取手段と、
前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれた識別情報を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項15】
前記記憶手段は、バーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶し、
前記取得手段は、認識処理対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、
前記認識手段は、前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項14に記載の情報認識処理装置。
【請求項16】
前記記憶手段は、不良識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶するとともに、不良識別情報の認識処理に有効な前記所定の認識処理を記憶することを特徴とする請求項14に記載の情報認識処理装置。
【請求項17】
第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、
第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得し、
所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識成功を示す識別情報認識処理の結果を含む前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【請求項18】
複数処理に基づき読取画像に含まれた識別情報を認識する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、
読取対象物の画像を読み取り、読取画像を取得し、
前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【請求項19】
識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶し、
認識処理対象物に対して識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、
前記認識処理対象物の画像を読み取り、読取画像を取得し、
前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれた識別情報を認識する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【請求項1】
第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、各明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、
第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得する画像読取手段と、
前記統計情報に基づき、画像明度の異なる複数の第2読取画像のうちの所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記第1読取対象物に記録されたバーコードの認識処理の結果を示す前記統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記統計情報に基づき前記第2読取対象物に記録されたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項3】
前記認識手段は、前記統計情報により、所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識試行時に得られたエラー訂正数が最も少ないことが示されている場合、所定明度の第2の読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項4】
前記認識手段は、前記第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理結果に基づき前記統計情報を更新することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記統計情報と前記第1読取対象物の第1画像フォーマット情報とを対応づけたフォーム別統計情報を記憶し、
前記画像読取手段は、前記第2読取対象物の画像を読み取り、前記第2読取処理対象物の第2画像フォーマット情報を取得し、
前記認識手段は、前記第1画像フォーマット情報と前記第2画像フォーマット情報とが類似条件を満たす場合に、前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記統計情報と輝度値のヒストグラムで示された前記第1画像フォーマット情報とを対応づけた前記フォーム別統計情報を記憶し、
前記画像読取手段は、前記第2認識処理対象物の画像を読み取り、輝度値のヒストグラムで示された前記第2画像フォーマット情報を取得し、
前記認識手段は、前記第1画像フォーマット情報と前記第2画像フォーマット情報とが類似条件を満たす場合に、前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項7】
前記画像読取手段は、異なる複数の露光時間で前記第2読取対象物を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項8】
前記画像読取手段は、前記第2読取対象物を読み取り、第1ビットレンジで示される第2読取画像を取得し、前記第1ビットレンジの中から複数種類の第2ビットレンジを抜き出して、これら複数種類の第2ビットレンジで示される画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報認識処理装置。
【請求項9】
複数処理に基づき読取画像に含まれた識別情報を認識する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶する記憶手段と、
読取対象物の画像を読み取り、読取画像を取得する画像読取手段と、
前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項10】
前記記憶手段は、複数処理に基づき読取画像に含まれたバーコードを認識するバーコード認識処理の結果を示す前記統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項11】
前記認識手段は、前記統計情報に基づき誤り訂正の数が最も少なかった組合せ処理を選択し、選択した組合せ処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識することを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項12】
前記記憶手段は、前記統計情報と、読取対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報とを対応づけた記録条件別統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記読取対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、前記記録条件別統計情報に含まれた記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報とが一致することを条件として、前記記録条件別統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、バーコード認識処理時間帯別の統計情報を記憶し、
前記認識手段は、前記バーコード認識処理時間帯別の統計情報から現在時刻に対応した統計情報を選出し、選出された統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項9に記載の情報認識処理装置。
【請求項14】
識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶する記憶手段と、
認識処理対象物に対して識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得する取得手段と、
前記認識処理対象物の画像を読み取り、読取画像を取得する画像読取手段と、
前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれた識別情報を認識する認識手段と、
を備えたことを特徴とする情報認識処理装置。
【請求項15】
前記記憶手段は、バーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶し、
前記取得手段は、認識処理対象物に対してバーコードを記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、
前記認識手段は、前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれたバーコードを認識する、
ことを特徴とする請求項14に記載の情報認識処理装置。
【請求項16】
前記記憶手段は、不良識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶するとともに、不良識別情報の認識処理に有効な前記所定の認識処理を記憶することを特徴とする請求項14に記載の情報認識処理装置。
【請求項17】
第1読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第1読取画像を取得し、所定選択順序に基づき、最初に選択した第1明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行し、認識成功に基づき認識処理を完了し、認識失敗に基づき次に選択された第2明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識を試行する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、
第2読取対象物の画像を読み取り、画像明度の異なる複数の第2読取画像を取得し、
所定明度の第1読取画像に含まれた識別情報の認識成功を示す識別情報認識処理の結果を含む前記統計情報に基づき、前記所定明度の第2読取画像に含まれた識別情報の認識処理を優先する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【請求項18】
複数処理に基づき読取画像に含まれた識別情報を認識する識別情報認識処理の結果を示す統計情報を記憶し、
読取対象物の画像を読み取り、読取画像を取得し、
前記統計情報に基づき有効な処理を選択し、有効な処理に基づき前記読取画像に含まれた識別情報を認識する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【請求項19】
識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を記憶し、
認識処理対象物に対して識別情報を記録した記録先を特定するための記録先特定情報を取得し、
前記認識処理対象物の画像を読み取り、読取画像を取得し、
前記記憶された記録先特定情報と前記取得された記録先特定情報との一致に基づき、所定の認識処理を適用して、前記読取画像に含まれた識別情報を認識する、
ことを特徴とする情報認識処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−72847(P2010−72847A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238331(P2008−238331)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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