説明

情報読取装置

【課題】装置本体の大型化を招くことなく、情報を非接触記録媒体に記録する機能と、情報を記録した2次元バーコードで表示する機能と、を併せ持つ機器の利用者に対する操作性や、サービスを低下させない情報読取装置を提供する。
【解決手段】ゲート通過確認装置1は、非接触記録媒体10との無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体10を検出すると、この非接触記録媒体10の検出から一定時間経過するまでの間に、読取エリアに位置する2次元バーコード11を検出すると、この2次元バーコード11にチケット情報が記録されていると判定する。そして、2次元バーコード11から読み取ったチケット情報を用いて処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーコードで記録されている情報を取得する機能、および無線通信機能を有する非接触記録媒体に記録されている情報を取得する機能を有する情報読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港等では、利用者の利便性を向上させるために、電子チケットが利用されている。電子チケットとしては、無線通信機能を有する非接触記録媒体にチケット情報を記録する方式や、2次元バーコード(例えばQRコード)でチケット情報を記録する方式による、ものが一般に普及している。また、電子チケットの普及にともない、非接触記録媒体や、2次元バーコードからチケット情報を取得し、航空券(チケット)を発券する装置や、セキュリティゲートにおける利用者の通過を確認する装置等が実用化されている。利用者は、インタネット等を利用することにより、電子チケットを比較的簡単に取得できる。
【0003】
一般に普及している電子チケットには、上述したように、チケット情報を非接触記録媒体に記録する方式や、チケット情報を2次元バーコードで記録する方式の、2つがある。このため、非接触記録媒体による電子チケットを利用する利用者と、2次元バーコードによる電子チケットを利用する利用者と、が混在している状況にある。そこで、非接触記録媒体による電子チケット、および2次元バーコードによる電子チケットの両方に対して、チケット情報の読み取りや、読み取ったチケット情報に基づいて航空券の発券や、ゲートの通過確認等にかかる処理が行える装置の開発が強く要望されている。
【0004】
また、特許文献1において、バーコードを光学的に読み取ることで、そのバーコードの情報を取得するバーコードリーダと、無線通信機能を有するIDタグ(非接触記録媒体)との無線通信により、このIDタグに記録されている情報を取得する無線通信部と、を備えたタグ用リーダライタと、を有する装置が提案されている。この装置は、バーコードから情報を取得するのか、IDタグから情報を取得するのかを操作者に切り換えさせる構成であった。また、バーコード、およびIDタグの検出機能を設け、この検出機能における検出結果に基づいて、上述の切り換えを行う構成や、この検出機能がバーコード、およびIDタグの両方を検出したときには、バーコード、およびIDタグから順に情報を取得する構成についても示されている。
【特許文献1】特許第3514171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されている構成では、各利用者が非接触記録媒体による電子チケット、または2次元バーコードによる電子チケットの選択にかかる操作を行わなければならず、操作性を低下させるという問題がある。また、この選択にかかる操作を不要にし、非接触記録媒体を検出したときには、この非接触記録媒体から情報を取得し、2次元バーコードを検出したときには、この2次元バーコードから情報を取得する構成も考えられるが、以下に示す問題が生じる。
【0006】
チケット情報を非接触記録媒体に記録する機能、およびチケット情報を記録した2次元バーコードを表示する表示機能を併せ持つ携帯電話等の機器がある。この種の機器であっても、チケット情報を、非接触記録媒体、または2次元バーコードのどちらか一方で持っている。通常、利用者はチケット情報を非接触記録媒体に記録している場合、チケット情報が記録されていない2次元バーコードを表示部に表示することや、2次元バーコードを装置に読み取らせるために、2次元バーコードを表示した表示部を装置に近づけることをしない。このため、チケット情報が非接触記録媒体に記録されている場合に、2次元バーコードを検出することはなく、検出した非接触記録媒体からチケット情報を取得するので特に問題はない。しかし、利用者がチケット情報を2次元バーコードで持っている場合、チケット情報が記録されている2次元バーコードを表示部に表示し、これを読み取らせるために装置に近づける。このため、非接触記録媒体との無線通信エリアと、2次元バーコードの読取エリアと、が重なっていると、非接触記録媒体、および2次元バーコードの両方を検出し、それぞれから情報を取得する。そして、チケット情報が記録されていない非接触記録媒体から取得した情報を用いた処理がエラーになり、その結果、利用者に対する処理が適正に行われず、サービスを低下させるという問題がある。
【0007】
なお、非接触記録媒体との無線通信エリアと、2次元バーコードの読取エリアと、が重ならないように別々に配置することも考えられるが、この方法では、各利用者が、非接触記録媒体を位置させる無線通信エリア、2次元バーコードを位置させる読取エリアを確認することになり、結果的に操作性を低下させるとともに、装置本体が大型化するという問題が生じる。
【0008】
この発明の目的は、装置本体の大型化を招くことなく、情報を非接触記録媒体に記録する機能と、情報を記録した2次元バーコードで表示する機能と、を併せ持つ機器の利用者に対する操作性や、サービスを低下させない情報読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の情報読取装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備えている。
【0010】
(1)読取エリア内にバーコードが位置しているかどうかを検出するとともに、この読取エリア内に位置しているバーコードを光学的に読み取り、記録されている情報を取得するバーコード読取手段と、
前記バーコード読取手段の前記読取エリアの周辺に配置したアンテナにより形成された無線通信エリア内に非接触記録媒体が位置しているかどうかを検出するとともに、この無線通信エリア内に位置している非接触記録媒体と無線通信を行い、この非接触記録媒体に記録されている情報を取得する無線通信手段と、
前記無線通信手段が前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出したとき、この非接触記録媒体の検出から、予め定められた時間経過するまでの間に、前記バーコード読取手段が前記読取位置に位置するバーコードを検出しなければ、この非接触記録媒体に記録されている情報を処理対象の情報であると判定し、反対に前記予め定められた時間経過するまでの間に、前記バーコード読取手段が前記読取位置に位置するバーコードを検出すると、このバーコードで記録されている情報を処理対象の情報であると判定する判定手段と、を備えている。
【0011】
この構成では、バーコード読取手段が、読取エリア内に位置するバーコードを光学的に読み取り、このバーコードの情報を取得する。また、無線通信手段が、無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体と無線通信を行って、この非接触記録媒体が記憶する情報を取得する。無線通信エリアは、バーコード読取手段の読取エリア周辺に配置したアンテナから数cmの範囲である。無線通信エリアは、読取エリアの略全体を含んでいる。このため、処理対象の情報を記録した非接触記録媒体を位置させる場所と、処理対象の情報を記録したバーコードを位置させる場所と、が略同じ場所である。すなわち、利用者が、処理対象の情報を非接触記録媒体、またはバーコードのどちらで持っていても、この処理対象の情報を記録させた非接触記録媒体、またはバーコードを位置させる場所が略同じであるので、操作性を低下させることがないとともに、装置本体を大型化させることもない。
【0012】
また、無線通信手段は、非接触記録媒体に対するポーリングを数ms〜十数ms間隔で繰り返し、このポーリングに対する非接触記録媒体からの応答があったときに、無線通信エリアに位置する非接触記録媒体を検出する。したがって、非接触記録媒体は、処理対象の情報を記録しているかどうかにかかわらず検出される。一方、バーコード読取手段は、読取エリア内の走査を繰り返し、読取エリア内に位置するバーコードを検出する。通常、利用者はチケット情報を非接触記録媒体に記録している場合、チケット情報が記録されていない2次元バーコードを表示部に表示することや、2次元バーコードを装置に読み取らせるために、2次元バーコードを表示した表示部を装置に近づけることをしない。したがって、処理対象の情報がバーコードで記録されていない場合には、バーコードが検出されない。また、バーコードが検出された場合には、処理対象の情報は非接触記録媒体に記録されているのではなく、バーコードに記録されている可能性が高い。上述したように、無線通信エリアが読取エリアの略全体を含む空間に形成されているので、情報を非接触記録媒体に記録する機能と、情報を記録したバーコードを表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器で処理対象の情報をバーコードで持っている場合、バーコードが検出される前に、非接触記録媒体が検出される。利用者がバーコードを読取エリアに近づける速度にもよるが、非接触記録媒体の検出よりも、数100ms程度遅れてバーコードが検出される。
【0013】
判定手段が、無線通信手段において無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体が検出されてから、予め定められた時間、例えば1s、経過するまでの間に、バーコード読取手段によりバーコードが検出されると、バーコードに記録されている情報を処理対象の情報であると判定し、予め定められた時間経過するまでの間に、バーコード読取手段によりバーコードが検出されなければ、非接触記録媒体に記録されている情報を処理対象の情報であると判定する。したがって、上記の予め定められた時間を、情報を非接触記録媒体に記録する機能と、情報を記録したバーコードを表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器が利用された場合に、無線通信手段による非接触記録媒体の検出から、バーコード読取手段により処理対象の情報が記録されたバーコードが検出されるまでの遅れ時間に相当する時間とすることで、処理対象の情報が、非接触記録媒体に記録されているのか、バーコードに記録されているのかを適正に判定することができる。これにより、処理対象の情報(例えば、チケット情報)を非接触記録媒体に記録する機能と、処理対象の情報を記録させたバーコードを表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器の利用者に対しても、適正な処理が行え、利用者に対するサービスを低下させることもない。
【0014】
(2)前記判定手段は、前記バーコード読取手段が前記読取エリア内に位置するバーコードを検出したとき、前記無線通信手段が前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出しているかどうかにかかわらず、今回検出したバーコードで記録されている情報を処理対象の情報であると判定する手段である。
【0015】
この構成では、バーコード読取手段が読取エリア内に位置するバーコードを検出したときに、このバーコードで記録されている情報を、処理対象の情報であると判定するので、処理対象の情報がバーコードで記録されている場合の処理を、スムーズに行わせることができる。
【0016】
(3)前記無線通信手段が、前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出した場合、この非接触記録媒体に記録されている情報が前記判定手段により処理対象の情報であると判定されるまで、前記無線通信手段に対して、この非接触記録媒体からの情報の出力を待機させるとともに、前記判定手段により非接触記録媒体に記録されている情報が処理対象の情報であると判定されなかった場合に、前記無線通信手段に対して、この非接触記録媒体からの情報の出力を中止させる情報出力制御手段を備えている。
【0017】
この構成では、無線通信手段が非接触記録媒体から処理対象の情報ではない、無用な情報を取得しても、この情報の出力を中止させることができる。したがって、この出力された情報を処理する上位装置において、無用な処理が行われるのを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、処理対象の情報が、非接触記録媒体に記録されている情報であるか、バーコードに記録されている情報であるかを適正に判定することができるので、処理対象の情報を非接触記録媒体に記録する機能と、処理対象の情報を記録させたバーコードを表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器の利用者に対しても適正な処理が行え、利用者に対するサービスを低下させることがないとともに、操作性の低下や、装置本体の大型化という問題が生じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態である情報読取装置を適用したゲート通過確認装置について説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施形態であるゲート通過確認装置の外観を示す図であり、図2は、この発明の実施形態であるゲート通過確認装置の構成を示すブロック図である。この実施形態のゲート通過確認装置1は、例えば空港のセキュリティゲート(以下、単にゲートと言う。)における利用者の通過を確認する装置である。このゲート通過確認装置1は、無線通信機能を有する非接触記録媒体10からチケット情報を取得する機能、およびQRコード等の2次元バーコード11からチケット情報を取得する機能を有している。この実施形態のゲート通過確認装置1は、装置本体の動作を制御する制御部2と、無線通信機能を有する非接触記録媒体10と無線通信を行う無線通信部3と、2次元バーコード11を光学的に読み取るバーコード読取部4と、利用者に対する案内画面等を表示する表示部5と、装置本体に対する入力操作を受け付ける操作部6と、利用者に対してゲートの通過確認票等を印字し、発行する印字部7と、図示していない上位装置と通信する通信部8と、を備えている。
【0021】
無線通信部3の無線通信エリアは、バーコード読取部4の読取エリア4aの周囲に設けられたアンテナコイル3aにより形成されており、図3(A)に示すように、アンテナコイル3aから数cmの空間である。バーコード読取部4は、図3(B)に示すように、本体表面に形成された読取エリア4aにかざされた2次元バーコードを光学的に読み取る。無線通信部3の無線通信エリアは、図3に示すように、バーコード読取部4の読取エリア4aの略全体を含んだ空間であり、読取エリア4aよりも広い空間である。このため、物体をバーコード読取部4の読取エリア4aに位置させる場合、この物体は、まず無線通信エリアに入り、その後読取エリア4aに位置させられる。
【0022】
したがって、この物体が無線通信機能を有する非接触記録媒体10を有するものである場合、無線通信部3において、無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体10が検出された後、この物体は読取エリア4aに位置させられる。また、この物体が、2次元バーコードを表示する機能を有し、利用者が2次元バーコード11を表示している表示面を読取エリア4aに対向させて位置させたときには、バーコード読取部4が読取エリア4a内に位置する2次元バーコード11を検出する。このため、この物体が、チケット情報を非接触記録媒体10に記録する機能、およびチケット情報を記録した2次元バーコード11を表示する表示機能を併せ持つ携帯電話等の機器であれば、利用者がバーコードを表示した表示面を読取エリアに近づける速度にもよるが、非接触記録媒体10の検出よりも、数100ms程度遅れて2次元バーコード11が検出される。
【0023】
なお、上記の物体が非接触記録媒体10を有していない場合には、無線通信部3において非接触記録媒体10が検出されることなく、読取エリア4a内に位置される。このとき、2次元バーコード11が読取エリア4aに対向していれば、バーコード読取部4が、この2次元バーコードを検出する。また、上記の物体は、2次元バーコード11を用紙等に印刷した印刷物であってもよい。
【0024】
表示部5は、利用者に対する操作案内画面や、無線通信部3またはバーコード読取部4が取得したチケット情報に応じた情報を表示画面5aに表示する。表示画面5aの表面には、タッチパネル6aが設けられている。操作部6は、利用者や係員等によるタッチパネル6aの操作を、装置本体に対する入力操作として受け付ける。印字部7は、装置本体に収納されているロール紙等の印字用紙に、ゲートの通過時刻や、チケット情報等を含む通過情報を印字した通過確認票を発行する。通信部8は、無線通信部3、またはバーコード読取部4において取得したチケット情報を、図示していない上位装置へ出力する。この上位装置は、ゲート通過確認装置1から送信されてきたチケット情報について、適正なチケット情報であるかどうか等の判定を行い、その処理結果をゲート通過確認装置1に送信する。また、ゲート通過確認装置1は、上位装置へ出力したチケット情報についての処理結果を通信部8で受信する。
【0025】
以下、この発明の実施形態であるゲート通過確認装置1の動作について説明する。図4は、この実施形態のゲート通過確認装置の動作を示すフローチャートである。この実施形態のゲート通過確認装置1は、無線通信部3において、無線通信エリア内に位置している非接触記録媒体10の検出、およびバーコード読取部4において、読取エリア4aに位置している2次元バーコード11の検出を行っている(s1、s2)。s1は、無線通信部3が、非接触記録媒体10に対するポーリングを数ms〜10数ms間隔で繰り返し行い、このポーリングに対する非接触記録媒体10からの応答があったときに、無線通信エリア内に位置している非接触記録媒体10を検出する処理である。s2は、バーコード読取部4が読取位置の走査を繰り返し、2次元バーコードの切り出しシンボル(所謂、ファインダパターン)が検出されたかどうかにより、読取エリア4aに2次元バーコードが位置しているかどうかを検出する処理である。
【0026】
なお、s1、s2にかかる処理は、並行して行われている。
【0027】
ゲート通過確認装置1は、s1で無線通信エリア内に位置している非接触記録媒体10が検出されると、この非接触記録媒体10の検出からの経過時間を計測するタイマをスタートさせるとともに、この被接触記録媒体10からチケット情報を取得する(s3)。このタイマは、制御部2に設けられている。s3では、タイマをリセットしてから、経過時間の計測をスタートしている。また、s3では、無線通信部3において、s1で検出した非接触記録媒体10に対してチケット情報の送信を要求するコマンドを出力している。無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体10は、ゲート通過確認装置1からのチケット情報の送信要求に応じて、記録しているチケット情報を送信する。ゲート通過確認装置1は、無線通信部3において、非接触記録媒体10から送信されてきたチケット情報を受信することで、この非接触記録媒体10からチケット情報を取得する。
【0028】
ゲート通過確認装置1は、s3で計測を開始した非接触記録媒体10の検出からの経過時間が予め定められた一定時間経過するか、またはその前に読取エリア4a内に位置する2次元バーコード11が検出されるのを待つ(s4、s5)。
【0029】
上述したように、無線通信部3の無線通信エリアは、バーコード読取部4の読取エリア4aの略全体を含み、この読取エリア4aよりも広い空間である。このため、チケット情報を非接触記録媒体10に記録する機能、およびチケット情報を記録した2次元バーコード11を表示する表示機能を併せ持つ携帯電話等の機器が用いられている場合、この非接触記録媒体10の検出よりも、少し遅れてチケット情報が記録された2次元バーコード11が検出される可能性がある。このs4にかかる一定時間は、利用者が、チケット情報を非接触記録媒体10に記録する機能、およびチケット情報を記録した2次元バーコード11を表示する表示機能を併せ持つ携帯電話等の機器において、チケット情報を記録した2次元バーコード11を表示した表示面を読取エリアに位置させるときに、非接触記録媒体10の検出タイミングに対して、2次元バーコード11が検出される遅れ時間に応じて決定している。具体的に言うと、この遅れ時間は、上述したように、利用者が2次元バーコード11を読取エリア4aに近づける速度にもよるが、数100ms程度であることから、この遅れ時間よりも少し長い1s程度の時間にしている。
【0030】
ゲート通過確認装置1は、s4で一定時間経過したと判定すると、上位装置に対して、s3で被接触記録媒体10から取得したチケット情報を通信部8から出力する(s6)。すなわち、ゲート通過確認装置1は、非接触記録媒体10の検出から一定時間経過しても、2次元バーコード11が検出されなかったことで、チケット情報が非接触記録媒体10に記録されていると判定し、非接触記録媒体10から取得したチケット情報を出力する。上位装置は、ゲート通過確認装置1が出力したチケット情報について、適正であるかどうか等を判定する処理を行い、その処理結果を、今回チケット情報を送信してきたゲート通過確認装置1に送信する。ゲート通過確認装置1は、通信部8において、上位装置からの処理結果を受信すると(s9)、その処理結果に基づく出力処理を行う(s10)。s10では、例えば、表示画面5aにおけるチケット情報に応じた情報の表示処理や、印字部7において通過確認票を印字し発行する発行処理が行われる。
【0031】
また、ゲート通過装置1は、s4で一定時間経過したと判定する前に、s5で読取位置に位置する2次元バーコード11を検出すると、バーコード読取部4において検出した2次元バーコード11からチケット情報を読み取る(s7)。すなわち、ゲート通過確認装置1は、非接触記録媒体10の検出から一定時間経過するまえに、2次元バーコード11が検出されたことで、チケット情報が2次元バーコード11に記録されていると判定し、この2次元バーコード11に記録されているチケット情報の取得にかかる処理を開始する。チケット情報が2次元バーコード11に記録されていない利用者が、チケット情報の記録されていない2次元バーコードを表示部に表示したり、表示部に表示した2次元バーコード11(チケット情報の記録されていない2次元バーコード11)を装置に読み取らせるために、この2次元バーコードを表示した表示部を装置に近づけることは殆どない。したがって、読取エリア4aに2次元バーコード11がかざされた場合には、チケット情報が2次元バーコード11に記録されていると推定できる。また、ゲート通過確認装置1は、s1で非接触記録媒体11が検出される前に、s2で2次元バーコード11を検出すると、s7で検出した2次元バーコード11からチケット情報を読み取る。ゲート通過確認装置1は、上位装置に対して、s7で読取エリア4aに位置された2次元バーコード11から読み取ったチケット情報を通信部8から出力し(s8)、上述したs9、s10にかかる出力処理を行う。
【0032】
なお、ゲート通過確認装置1は、上位装置において、非接触記録媒体10または2次元バーコード11から取得したチケット情報が適正でないと判定された場合、s10にかかる出力処理として、表示画面5aにおけるエラー画面の表示処理を実行する。
【0033】
このように、この実施形態のゲート通過確認装置1は、チケット情報を非接触記録媒体10に記録する機能と、チケット情報を記録した2次元バーコード11を表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器が利用された場合であっても、チケット情報が非接触記録媒体10に記録されているのか、2次元バーコード11に記録されているのかを適正に判定することができる。したがって、チケット情報を非接触記録媒体10に記録する機能と、チケット情報を記録させた2次元バーコード11を表示する機能と、を併せ持つ携帯電話等の機器の利用者に対しても、適正な処理が行え、利用者に対するサービスを低下させることもない。
【0034】
また、無線通信部3のアンテナコイル3aをバーコード読取部4の読取位置4aの周囲に設けた構成としているので、非接触記録媒体10、または2次元バーコード11のどちらでチケット情報をもっていても、これらを位置させる場所が略同じである。したがって、利用者は、チケット情報を非接触記録媒体10、または2次元バーコードのどちらで所有しているかにかかわらず、チケット情報が記録されている非接触記録媒体10、または2次元バーコードを同じ位置にかざせばよいので、利用者の操作性を低下させることがない。また、装置本体の大型化をまねくこともない。
【0035】
また、この実施形態のゲート通過確認装置1は、バーコード読取部4が読取エリア4aに位置する2次元バーコード11検出すると、すぐにチケット情報が2次元バーコード11に記録されていると判定し、この2次元バーコード11からチケット情報を取得し、上位装置へ出力するので、2次元バーコード11にチケット情報が記録されている利用者に対する処理がスムーズに行える。
【0036】
さらに、この実施形態のゲート通過確認装置1は、非接触記録媒体10を検出してから、一定時間経過するまでの間、この非接触記録媒体10から取得したチケット情報の上位装置への出力を待機し、一定時間経過するまえに読取エリア4a内に位置する2次元バーコード11が検出されると、無線通信部3において非接触記録媒体10から取得したチケット情報の上位装置への出力を行わない、すなわち非接触記録媒体10から取得したチケット情報の上位装置への出力を中止する、構成であるので、無用なチケット情報を上位装置1へ出力することがない。したがって、上位装置において、無用なチケット情報に対する処理が行われるのを防止できる。
【0037】
なお、上記実施形態では、s1で非接触記録媒体10を検出すると、s3で、この非接触記録媒体10からチケット情報を取得するとしたが、s4で一定時間経過したと判定されるまで、この非接触記録媒体10からのチケット情報の取得を待機させるようにしてもよい。具体的には、図4に示したs3にかかる処理を、非接触記録媒体10の検出からの経過時間を計測するタイマをスタートさせる処理とし、s4で一定時間経過したと判定されたときに、非接触記録媒体10からのチケット情報の取得にかかる処理を実行し、その後s6以降にかかる処理を行う構成としてもよい。このようにすれば、s1で検出した被接触記録媒体10に対する無用なチケット情報の取得にかかる処理を中止させることができ、装置本体の負荷を低減することができる。
【0038】
また、上記実施形態では、本願発明をゲート通過確認装置1に適用した場合を例にして説明したが、航空券を発券する発券装置等、他の機器に適用することもできる。発券装置に適用する場合には、印字部7において、航空券を印字して発券する構成とすればよい。
【0039】
また、チケット情報が記録されるバーコードは、2次元バーコード11に限定されることはなく、1次元のバーコードであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の実施形態であるゲート通過確認装置の外観図を示す図である。
【図2】この発明の実施形態であるゲート通過確認装置の構成を示すブロック図である。
【図3】この実施形態のゲート通過確認装置における、無線通信エリア、および読取エリアを示す図である。
【図4】この実施形態のゲート通過確認装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0041】
1−ゲート通過確認装置
2−制御部
3無線通信部
3a−アンテナ
4−バーコード読取部
5−表示部
6−操作部
7−印字部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取エリア内にバーコードが位置しているかどうかを検出するとともに、この読取エリア内に位置しているバーコードを光学的に読み取り、記録されている情報を取得するバーコード読取手段と、
前記バーコード読取手段の前記読取エリアの周辺に配置したアンテナにより形成された無線通信エリア内に非接触記録媒体が位置しているかどうかを検出するとともに、この無線通信エリア内に位置している非接触記録媒体と無線通信を行い、この非接触記録媒体に記録されている情報を取得する無線通信手段と、
前記無線通信手段が前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出したとき、この非接触記録媒体の検出から、予め定められた時間経過するまでの間に、前記バーコード読取手段が前記読取位置に位置するバーコードを検出しなければ、この非接触記録媒体に記録されている情報を処理対象の情報であると判定し、反対に前記予め定められた時間経過するまでの間に、前記バーコード読取手段が前記読取位置に位置するバーコードを検出すると、このバーコードで記録されている情報を処理対象の情報であると判定する判定手段と、を備えた情報読取装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記バーコード読取手段が前記読取エリア内に位置するバーコードを検出したとき、前記無線通信手段が前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出しているかどうかにかかわらず、今回検出したバーコードで記録されている情報を処理対象の情報であると判定する手段である請求項1に記載の情報読取装置。
【請求項3】
前記無線通信手段が、前記無線通信エリア内に位置する非接触記録媒体を検出した場合、この非接触記録媒体に記録されている情報が前記判定手段により処理対象の情報であると判定されるまで、前記無線通信手段に対して、この非接触記録媒体からの情報の出力を待機させるとともに、前記判定手段により非接触記録媒体に記録されている情報が処理対象の情報であると判定されなかった場合に、前記無線通信手段に対して、この非接触記録媒体からの情報の出力を中止させる情報出力制御手段を備えた請求項1または2に記載の情報読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−193390(P2007−193390A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8162(P2006−8162)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】