説明

感光性フィルムレジストロール梱包方法

【課題】明室下で運搬又は長期保管してもレジストの性能を変化させないことが可能な感光性フィルムレジストロールの梱包方法を提供する。
【解決手段】感光性フィルムレジストロールを樹脂製箱で梱包する、感光性フィルムレジストロールの梱包方法であって、該感光層が感光性樹脂組成物からなり、該感光性樹脂組成物が(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600でありかつ重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有し、該樹脂製箱が樹脂板で形成された組立箱であり、該樹脂製箱の底部が該樹脂板の合わせ目を有し、該合わせ目に遮光材を配置する、感光性フィルムレジストロール梱包方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性フィルムレジストロールの梱包方法に関し、更に詳しくは印刷回路板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造に適したアルカリ現像可能な感光性フィルムレジストロールの梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン又は携帯電話等に用いられる電子機器の軽薄短小化が加速し、これに搭載される印刷配線板又はリードフレーム、BGA、CSP等のパッケージには狭ピッチのパターンが要求されている。印刷配線板、リードフレーム、及び半導体パッケージ等の製造、並びに金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として光重合性樹脂組成物、及びそれを用いたドライフィルムレジストを使用することが知られている。ドライフィルムレジストは、一般に支持体上に光重合性樹脂組成物層を積層し、さらに該光重合性樹脂組成物層上に、必要により保護層を積層することにより作製される。ここで用いられる光重合性樹脂組成物層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
【0003】
ドライフィルムレジストを用いて印刷配線板を作製するためには、まず保護層を剥離した後、銅張積層板又はフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上にラミネーター等を用いてドライフィルムレジストを積層し、配線パターンマスクフィルム等を通して露光を行う。次に、必要に応じて支持体を剥離し、現像液により未硬化部分の光重合性樹脂層を溶解又は分散除去し、基板上にレジストパターンを形成する。
【0004】
レジストパターン形成後、回路を形成するプロセスは2つの方法に大別される。
【0005】
第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない基板面(例えば銅張積層板の銅面等)をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法である。この場合、工程の簡便さから、貫通孔(スルーホール)を硬化膜で覆いその後エッチングする方法(テンティング法)が多用されている。
【0006】
第二の方法は、第一の方法と同様の基板面、例えば銅面上に銅めっき処理を施し、必要であれば更に半田、ニッケル、錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた基板面(例えば銅張積層板の銅面等)をエッチングする方法(めっき法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液、硫酸/過酸化水素水溶液等の酸性エッチング液が用いられる。
【0007】
通常、このようなドライフィルムレジストはロール状に巻かれて製品化され、さらに樹脂製等の梱包箱に梱包されて市場に流通しているが、明室環境下で梱包箱底部が露出したまま長期に保管された場合等には、梱包箱底部の底板の合わせ目の隙間等から光が入り、ドライフィルムレジストが感光して性能変化してしまう恐れがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、明室下で梱包箱底部が露出したまま長期保管されてもレジストの性能が変化しない感光性フィルムレジストロールの梱包方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討し、実験を重ねた結果、底部に形成された遮光材を有する樹脂製箱を使用することにより本課題を解決できることを発見し、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0011】
[1] 感光層を有するドライフィルムレジストをロール状に巻き取ってなる感光性フィルムレジストロールを樹脂製箱で梱包する、感光性フィルムレジストロールの梱包方法であって、
該感光層が感光性樹脂組成物からなり、該感光性樹脂組成物が、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有し、
該樹脂製箱が樹脂板で形成された組立箱であり、
該樹脂製箱の底部が該樹脂板の合わせ目を有し、
該合わせ目に遮光材を配置する、感光性フィルムレジストロール梱包方法。
[2] 該合わせ目が3枚以上の樹脂板によって形成されている、[1]に記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。
[3] 該遮光材が、該樹脂製箱の内側に配置されている、[1]又は[2]に記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。
[4] 該(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の感光性フィルムレジストロール梱包方法は、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、又は金属の精密加工等の分野において、エッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として用いられる感光性フィルムレジストのロールの梱包に好適に用いられ、レジストのしみ出しを抑制でき、かつレジストの密着解像性を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る梱包方法の一態様を示す図である。
【図2】本発明に係る梱包方法の一態様を示す図である。
【図3】本発明に係る梱包方法の一態様を示す図である。
【図4】本発明に係る梱包方法の一態様を示す図である。
【図5】比較の梱包方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について具体的に説明する。本発明は、感光層を有するドライフィルムレジストをロール状に巻き取ってなる感光性フィルムレジストロールを樹脂製箱で梱包する、感光性フィルムレジストロールの梱包方法であって、該感光層が感光性樹脂組成物を含有し、該感光性樹脂組成物が、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有し、該樹脂製箱が樹脂板で形成された組立箱であり、該樹脂製箱の底部が該樹脂板の合わせ目を有し、該合わせ目に遮光材を配置する、感光性フィルムレジストロール梱包方法を提供する。
【0015】
本発明において用いる樹脂製箱は樹脂板で形成された組立箱であり、該樹脂製箱の底部は樹脂板の合わせ目を有する。樹脂製箱の形態としては、従来公知の種々の組立形式、例えばみかん箱型、アメリカンロック箱型、底ワンタッチ箱型、やっこ型、N式上差込型、N式サイド差込型、上下差込式型、上差込下風車式型、上差込下仕切型等の形態が挙げられる。このような組立箱は使用後に折りたたんでコンパクトにまとめることができるという利点を有するため、感光性フィルムレジストロールの運搬に好適である。底部が樹脂板の合わせ目を有するとは、底部が組立で形成されていることに起因して樹脂板の不連続部分を有することを意味する。なお底部の合わせ目とは、箱底面を構成する樹脂板のみによるものに加え、例えば底面をなす樹脂板と側面をなす樹脂板との合わせ目等も包含する。箱底部が上記のような合わせ目を有する場合、該合わせ目から光が入ることによって、内容物である感光性フィルムレジストロールが感光してしまう原因となる場合がある。本発明は、箱底部の該合わせ目に遮光材を配置することによって上記のような感光の問題を解決する。遮光材は、該合わせ目の領域を含むように配置すればよく、例えば後述のような箱底面全体への配置等、合わせ目以外の領域を含んで広範囲に遮光材を配置してもかまわない。また、底部の合わせ目の全領域に遮光材を配置してもよいが、用途に応じて、例えば後述の突合わせ部等の特に遮光が必要な箇所のみに遮光材を配置する等、合わせ目の一部に遮光材を配置してもかまわない。
【0016】
本発明は、上記合わせ目が突合わせ部を含む場合に特に有用である。なお突合わせ部とは、樹脂板の端部同士が対向し又は接触している箇所を意味する。突合わせ部としては、例えばアメリカンロック箱において、3枚以上の底板(すなわち底面を構成する折込片)の端部が組み合わさる箇所(後述の図1における遮光材の配置箇所)等が挙げられる。箱底部が上記突き合わせ部を有する場合、突合わせ部による隙間を介して箱内部に外光が入りやすい。従って、このような突合わせ部を含む領域に遮光材を配置する場合、内容物である感光性フィルムレジストロールの感光をより有効に防止でき好ましい。
【0017】
樹脂製箱の材質としては、たとえばポリプロピレン、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0018】
遮光材は、感光性フィルムレジストの感光域波長の光を実質的に透過させない材料であれば特に限定されず、例えばガムテープ、黒ガムテープ、遮光テープ、遮光性ポリエチレンフィルム等が好ましい。なお感光性フィルムレジストの感光域波長の光を実質的に透過させないとは、明室環境下で1日輸送を行っても、箱内に設置される感光性フィルムレジストロールの感光性樹脂が硬化しない、すなわち感度及び最低現像時間が変化しないことを意味する。市販品の好ましい遮光材としては、住友スリーエム社製ポリエステルテープ8422B、ユニ工業社製遮光テープ等を例示できる。遮光材の光透過率としては、波長365nm及び405nmにおいて5%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。この光透過率は、分光測色計(例えば、Spectrophotometer U−3010(日立ハイテクノロジーズ社製))により測定される値である。輸送中の遮光材の剥がれを防止するという観点から、遮光材の接着力が、3.5N/cm以上であることが好ましい。また、輸送中の遮光材の裂けを防止するという観点から、遮光材の引っ張り強さとしては、40N/cm以上が好ましく、破断点伸びとしては35%以上が好ましい。なお上記の接着力は170°剥離試験(300mm/min)、引っ張り強さ及び破断点伸びは、JIS C2318により測定される値である。
【0019】
遮光材は、典型的にはその設置箇所に接着している。該接着の方法としては、接着剤、粘着材、テープ、融着等が挙げられる。
【0020】
例えば、樹脂製箱の底部が3枚以上の底板(典型的には底面を構成する折込片)の合わせ目を有する場合(この場合、合わせ目は前述の突合わせ部となる)、遮光材を配置する部位は該3枚以上の底板の合わせ目を少なくとも含む領域である。遮光材を配置する面としては、樹脂製箱の内側でも外側でもかまわない。
【0021】
図1〜4は、それぞれ本発明に係る梱包方法の一態様を示す図であり、箱底面を上面側に示している。例えば、図1に示されるように、アメリカンロック箱である樹脂製箱1の底部の3枚の底板の合わせ目2箇所に小さな遮光材2を配置させると、少量の遮光材で効率的に遮光できるため好ましい。また、図3に示されるように、1枚の遮光材2で上記の合わせ目2箇所をふさぐように遮光させると、作業性がよいため好ましい。さらに、図4で示されるように、底部全面に遮光材2を配置すると輸送時の擦れによるはがれがないため好ましい。一方、図2で示されるように、底部の内側面に遮光材2を配置してもよく、例えば、樹脂製箱底部の内側に遮光性ポリエチレンフィルムを配置することが好ましい。
【0022】
本発明の方法によって梱包される感光性フィルムレジストロールを構成するドライフィルムレジストは感光層を有する。該感光層を構成する感光性樹脂組成物は、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有する。(a)バインダー用樹脂、(b)光重合可能な不飽和化合物及び(c)光重合開始剤は、それぞれ1種又は複数種の化合物を含んでよい。
【0023】
本発明で用いられる(a)バインダー用樹脂に含まれるカルボキシル基の量については、酸当量が100〜600であり、好ましくは300〜400である。酸当量とは、その中に1当量のカルボキシル基を有する重合体(すなわちバインダー用樹脂)の質量(グラム)をいう。
【0024】
(a)バインダー用樹脂中のカルボキシル基は、アルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性を感光層に与えるために必要である。酸当量が100未満では、現像耐性が低く、解像性及び密着性に悪影響を及ぼし、一方、600を超えると、現像性及び剥離性が低い。酸当量の測定は、自動滴定装置(例えば平沼産業(株)製平沼自動滴定装置(COM−555))を使用し、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法により行われる。
【0025】
本発明で用いられる(a)バインダー用樹脂の重量平均分子量は、5000〜500000である。重量平均分子量が500000を超えると現像性が低く、一方、5000未満ではテンティング膜強度が低く、エッジフューズが起こる。プロジェクション露光機を使用してi線単色露光した際の解像度が良好であるという点から、重量平均分子量は10000〜40000であることが好ましい。
【0026】
重量平均分子量は、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(例えば日本分光(株)製ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプルによる検量線使用))により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
【0027】
本発明で用いられる(a)バインダー用樹脂は、典型的には、下記の2種類の単量体からなる群からそれぞれ1種以上選択される2種以上の単量体を共重合させることにより得られる。
【0028】
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、第一の単量体としては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
【0029】
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を1個有し、感光層の現像性、エッチング及びめっき工程での耐性、並びに硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。このようなものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。また、本発明の好ましい実施態様では、高解像度を得るために、フェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)を用いる。
【0030】
本発明で用いられる(a)バインダー用樹脂は、上記単量体の混合物を、アセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱攪拌することにより合成されることが好ましい。また、混合物の一部を反応液に滴加しながら、(a)バインダー用樹脂を合成してもよい。また、反応終了後、さらに溶剤を加えて、(a)バインダー用樹脂を所望の濃度に調整してもよい。さらに、合成手段としては、上記のような溶液重合以外に、塊状重合、懸濁重合又は乳化重合を用いてもよい。
【0031】
本発明で用いられる感光性樹脂組成物全量中の(a)バインダー用樹脂の割合は、20〜90質量%の範囲であり、好ましくは30〜70質量%である。(a)バインダー用樹脂の割合が、20質量%未満である場合及び90質量%を超える場合には、露光及び現像によって形成されるレジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程における十分な耐性等を有しない。
【0032】
本発明において用いる(b)光重合可能な不飽和化合物としては、下記式(1):
【化1】

{式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、H又はCH3であり、Aは、C24であり、Bは、C36であり、n1及びn2は、1〜29の整数であり、n3及びn4は、0〜29の整数であり、n1+n2は、2〜30の整数であり、n3+n4は、0〜30の整数であり、そして−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、どちらがビスフェニル側であってもよい。}
で表される化合物を例示できる。
【0033】
本発明の好ましい実施態様では、解像度の観点から、感光層は、(b)光重合可能な不飽和化合物として、上記式(1)で表される化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種の光重合可能な不飽和化合物を含有する。
【0034】
上記式(1)で表される化合物において、n1+n2及びn3+n4が30を越えると、相対的に感光層(ネガ型感光層)中の二重結合濃度が低くなるので、良好な感度が得られにくい傾向がある。n1+n2は4〜14が好ましく、n3+n4は0〜14が好ましい。
【0035】
上記式(1)で表される化合物の具体例としては、ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドとを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート、又はビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(例えば新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)が挙げられる。解像度の観点から、感光性樹脂組成物中の上記式(1)で表される化合物の含有量は1質量%〜50質量%であることが好ましい。
【0036】
本発明の別の実施形態では、感光層は、(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記式(2):
【0037】
【化2】

【0038】
{式中、R3及びR4は、それぞれ独立に、H又はCH3であり、そしてn5、n6及びn7は、それぞれ独立に、3〜20の整数である。}
で表される化合物を含む。
【0039】
上記式(2)で表される化合物において、式中、n5、n6及びn7が3よりも小さいと、当該化合物の沸点が低いためにレジストの臭気が強くなって使用が困難になる傾向があり、一方、n5、n6及びn7が20を超えると単位重量当たりの光活性部位の濃度が低くなるため、実用的感度が得られにくい傾向がある。
【0040】
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モル付加したグリコールのジメタクリレートが挙げられる。
【0041】
本発明の別の実施形態では、感光層は、(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記式(3):
【0042】
【化3】

【0043】
{式中、R5は、炭素数4〜12のジイソシアナート残基であり、R6及びR7は、それぞれ独立に、H又はCH3であり、そしてm1、m2、m3及びm4は、それぞれ独立に、0〜15の整数であり、−(OC36m1−(OC24m3−及び−(OC36m2−(OC24m4−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、どちらがアクリロイル基側であってもよい。}
で表される化合物を含む。
【0044】
上記式(3)で表される化合物において、m1、m2、m3及びm4が15を超えると、良好な感度が得られにくい傾向がある。
【0045】
上記式(3)で表される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、一分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリル基とを有する化合物(例えば、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレングリコールモノメタクリレート、オリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート等)とのウレタン化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPE−200)との反応物、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴエチレンプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマー70PEP−350B)との反応物が挙げられる。本明細書において、ジイソシアネート残基とは、原料となるジイソシアネート化合物に由来するウレタン結合を含む残基を意味する。
【0046】
本発明の別の実施形態では、感光層は、(b)光重合可能な不飽和化合物として、下記式(4):
【0047】
【化4】

【0048】
{式中、R8は、H又はCH3であり、R9は、水素原子又は炭素数1〜14のアルキル基であり、Aは、C24であり、Bは、C36であり、m5は、1〜12の整数であり、m6は、0〜12の整数であり、m7は、1〜3の整数であり、−(A−O)−及び−(B−O)−の繰り返し単位の配列は、ランダムであってもブロックであってもよく、ブロックの場合、どちらがアクリロイル基側であってもよい。}
で表される化合物を含む。
【0049】
上記式(4)で表される化合物において、m5及びm6が12を超えると、良好な感度が得られにくい傾向があり、一方、m7が14を超えても感度の顕著な向上は得られない。
【0050】
上記式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールとをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレート、又は平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(例えば東亞合成(株)製、M−114)等が挙げられる。
【0051】
本発明で用いられる(b)光重合可能な不飽和化合物として、上記の化合物に加えて、下記に示される光重合可能な不飽和化合物を併用することもできる。併用可能な化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、及びβ−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルオキシ)プロピルフタレート等が挙げられる。
【0052】
感光性樹脂組成物全量中の(b)光重合可能な不飽和化合物の割合は、3〜70質量%の範囲である。この割合が3質量%未満では感度の点で十分ではなく、一方、70質量%を超えると、保存時に光重合性層である感光層が感光性フィルムレジストロールからはみ出すという問題が生じる。好ましくは、この割合は、10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%である。
【0053】
次に、本発明で用いられる(c)光重合開始剤について説明する。本明細書において、光重合開始剤とは、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する化合物を意味する。光重合開始剤は公知の化合物であってもよい。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、高解像度の観点から、(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含み、さらに好ましくは、(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である。上記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、下記式(5):
【0055】
【化5】

【0056】
{式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、それぞれ独立に、1〜5の整数である。}
で表される化合物及び下記式(6):
【0057】
【化6】

【0058】
{式中、X、Y及びZは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン基のいずれかを表し、そしてp、q及びrは、それぞれ独立に、1〜5の整数である。}
で表される化合物から成る群より選ばれる少なくとも1種の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が特に好ましい。
【0059】
さらに、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
【0060】
本発明のさらに好ましい実施形態では、(c)光重合開始剤として、上記式(5)及び/又は上記式(6)で表される2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体と、ベンゾフェノン及び/又はベンゾフェノン誘導体とを併用する。このようなベンゾフェノン誘導体としては、感度の観点からp−アミノフェニルケトンが特に好ましい。p−アミノフェニルケトンとしては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0061】
また、上記で示された化合物以外に、他の光重合開始剤の併用も可能である。他の光重合開始剤としては、例えば、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等のキノン類、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル類、9−フェニルアクリジン等のアクリジン化合物、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。例えば、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類と、ジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等の三級アミン化合物との組み合わせも挙げられる。
【0062】
また、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等も挙げられる。さらに、N−アリール−α−アミノ酸化合物も用いることが可能であり、これらの中では、N−フェニルグリシンが特に好ましい。
【0063】
本発明において、感光性樹脂組成物全量中の(c)光重合開始剤の割合は、0.1質量%〜20質量%である。この割合が0.1質量%未満であると十分な感度が得られず、一方、この割合が20質量%を超えると、露光時にフォトマスクを通した光の回折によるかぶりが発生しやすくなり、その結果として解像性が悪化する。
【0064】
感光性樹脂組成物には、染料、顔料等の着色物質を含有させることができる。このような着色物質としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0065】
感光性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。このような発色系染料としては、例えば、ロイコ染料又はフルオラン染料と、ハロゲン化合物との組み合わせが挙げられる。
【0066】
ロイコ染料としては、例えば、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
【0067】
ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、トリアジン化合物等が挙げられる。
【0068】
トリアジン化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0069】
このような発色系染料の中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせ、又はトリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせが有用である。
【0070】
また、感光層の熱安定性及び保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることも好ましい。
【0071】
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
【0072】
また、感光性樹脂組成物に、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有させることもできる。そのような添加剤としては、例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類及びp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0073】
感光層の厚みは、用途において異なるが、印刷回路板作製の用途では通常5〜100μmであり、好ましくは5〜50μmである。感光層が薄い程、解像力は向上し、一方、感光層が厚い程、膜強度が向上する。よって所望の解像度及び膜強度に応じて感光層の厚みを設定すればよい。
【0074】
典型的な態様においては、前述の感光層を支持層上に積層することにより、本発明において梱包される感光性フィルムレジストロールを構成するドライフィルムレジストを形成する。ここで用いられる支持層としては、活性光を透過させる透明なものが望ましい。活性光を透過させる支持層としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じて延伸されたものも使用できる。
【0075】
支持層のヘーズは5.0以下であることが好ましい。また、支持層の厚みは薄い方が画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持するために、10〜30μmのものが一般的である。
【0076】
感光層の、支持層形成側とは反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層することができる。支持層よりも保護層の方が感光層との密着力が十分に小さく容易に剥離できることが、保護層の重要な特性である。このような保護層としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
【0077】
本発明において梱包される感光性フィルムレジストロールは、前記の支持層、感光層、及び必要に応じて保護層を積層して形成されたドライフィルムレジストを巻芯に巻き取って形成される。感光性フィルムレジストロールを樹脂製箱で梱包する際は、レジストロールをそのまま内部に配置してもよいし、遮光ポリエチレン等の遮光包装材で包装してから配置してもよい。遮光包装材の形態としては、シート状、袋状、チューブ状等が挙げられる。
【0078】
上記のドライフィルムレジストを用いた印刷回路板の作製工程は、公知の技術により実施できるが、以下に簡単に述べる。
【0079】
保護層が形成されている場合は、まず保護層を剥離した後、感光層を基板、すなわち、印刷回路板用基板の金属表面に加熱圧着し積層する。この時の加熱温度は、一般的に、40〜160℃である。
【0080】
次に、必要ならば支持層を剥離する。その後、マスクフィルムを通して活性光により画像露光する。
【0081】
次いで、感光層上に支持層がある場合には、必要に応じてこれを除き、続いてアルカリ水溶液を用いて感光層の未露光部を現像除去して、硬化レジストパターンを形成する。アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いることができる。これらのアルカリ水溶液は感光層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0082】
次に、現像により露出した金属面に既知のエッチング法又はめっき法のいずれかの方法を行うことにより、金属の画像パターンを形成する。
【0083】
その後、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりもさらに強いアルカリ性の水溶液により硬化レジストパターンを剥離する。剥離用のアルカリ水溶液についても特に制限はないが、1〜5質量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が一般的に用いられる。また、セミアディティブ工法等のようにめっき工程を設けた場合には、レジストパターンを剥離した後に、レジストパターンの下に現れた銅面をエッチングする場合もある。
【0084】
例えばドライフィルムレジストを用いてリードフレームを製造する場合、銅張積層板又はフレキシブル基板等の代わりに、銅、銅合金、鉄系合金等の金属板の片面又は両面に感光層をラミネートし、露光及び現像を行った後、エッチングする。最終的に硬化レジストの剥離を行い、所望のリードフレームを得る。
【0085】
また、ドライフィルムレジストを用いて半導体パッケージを製造する場合、LSIとしての回路形成が終了したウェハに感光層をラミネートし、露光及び現像を行った後、開口部に銅、はんだ等の柱状のめっきを施す。次に硬化レジストの剥離を行い、柱状めっき以外の部分の薄い金属層をエッチングによって除去することにより、所望の半導体パッケージを得る。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。実施例の評価用サンプルの作製方法並びに得られたサンプルについての評価方法及び評価結果について説明する。
【0087】
1.評価用サンプルの作製
<感光層>
実施例において用いた感光性樹脂組成物の組成を以下の表1に示す。
感光層は次の様にして作製した。
[(a)バインダー用樹脂の調製]
まず、下記に示すバインダーを準備した。
(合成例)
窒素導入口、攪拌羽根、ジムロート及び温度計を備えた1000ccの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下でメチルエチルケトン300gを入れ、湯浴の温度を80℃に上げた。次いでメタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレートをそれぞれ30/20/50(質量比)の組成比で加え、合計400gの溶液を調製した。この調製液に、アゾビスイソブチロ二トリル3gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を、攪拌しながら2時間かけて滴下した。その後6時間重合した(一次重合)。その後アゾビスイソブチロ二トリル6gを30gのメチルエチルケトンに溶解した溶液を4時間おきに3回に分けて滴下した後、5時間加熱攪拌した(二次重合)。次いでメチルエチルケトン240gを添加して重合反応物をフラスコから取り出して、バインダー溶液を得た。この時のバインダーの重量平均分子量は55000、分散度は1.8、酸当量は290であった。得られたバインダー溶液中のメチルエチルケトンを十分に除去し測定した樹脂固形分は、41質量%であった。
【0088】
<感光性フィルムレジストロールの作製>
表1に示す組成の感光性樹脂組成物を調製し、よく攪拌、混合し、支持層として19μm厚の幅500mm、長さ200mのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に均一に塗布し、95℃の乾燥機中で4分間乾燥し、感光層表面上に保護層として23μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせた後、巻芯に巻き取り感光性フィルムレジストロールを得た。感光層の厚みは25μmであった。
【0089】
<感光性フィルムレジストロールの梱包>
上記で得た感光性フィルムレジストロールを、樹脂製箱で梱包した。該樹脂製箱は底部に遮光材を配置したアメリカンロック式ポリプロピレン製箱である。実施例1については、図1に示されるように3枚の底板の合わせ目2箇所を覆うようにガムテープ(厚さ100μm)が遮光材として接着されている。実施例2については、図1に示されるように3枚の底板の合わせ目2箇所を覆うように遮光テープ(住友スリーエム社製ポリエステルテープ8422B)が遮光材として接着されている。実施例3については、図2に示されるように樹脂製箱内側に遮光ポリエチレン(厚さ78μm)が遮光材として接着されている。実施例4については、図3に示されるように3枚の底板の合わせ目2箇所を1枚の遮光ポリエチレン(厚さ78μm)で覆っている。実施例5については、図4に示されるように樹脂製箱外側全面を遮光ポリエチレン(厚さ78μm)で覆っている。比較例については図5に示されるように遮光材を設置しないアメリカンロック箱を使用した。
【0090】
なお、上記遮光材の光透過率は、分光測色計(Spectrophotometer U−3010(日立ハイテクノロジーズ社製))にて測定した。
【0091】
2.評価結果
各実施例について、樹脂製箱底部の合わせ目(すなわち底板の合わせ目)から箱内への光の侵入の有無を目視によって評価したところ、箱内に光が入っていないことが確認された。従って、表1に示される実施例の梱包方法で梱包された感光性フィルムレジストロールは、底板の合わせ目から光が入ることないことによって安定であると考えられる。一方、比較例では、底部の3枚の底板の合わせ目2箇所から光の漏れが確認された。
【0092】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の方法で梱包された感光性フィルムレジストロールは、明室下で梱包箱底部が露出したまま長期保管されてもレジストの性能が変化しないため、印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造及び金属の精密加工等の分野においてエッチングレジスト又はめっきレジスト等のレジスト材料として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0094】
1 樹脂製箱
2 遮光材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層を有するドライフィルムレジストをロール状に巻き取ってなる感光性フィルムレジストロールを樹脂製箱で梱包する、感光性フィルムレジストロールの梱包方法であって、
該感光層が感光性樹脂組成物を含有し、該感光性樹脂組成物が、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5000〜500000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%を含有し、
該樹脂製箱が樹脂板で形成された組立箱であり、
該樹脂製箱の底部が該樹脂板の合わせ目を有し、
該合わせ目に遮光材を配置する、感光性フィルムレジストロール梱包方法。
【請求項2】
該合わせ目が3枚以上の樹脂板によって形成されている、請求項1に記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。
【請求項3】
該遮光材が、該樹脂製箱の内側に配置されている、請求項1又は2に記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。
【請求項4】
該(c)光重合開始剤が、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性フィルムレジストロール梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−98593(P2012−98593A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247292(P2010−247292)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】