説明

感光性着色剤組成物、およびそれを用いたカラーフィルタならびに液晶表示装置。

【課題】本発明の染料を用いた感光性着色剤組成物は、着色剤として染料を分散したものであり、かつ充分な感光性能を有するものを得ることを目的とする。
【解決手段】本発明は、少なくとも、染料と、樹脂と、光重合開始剤と、溶剤を含有する着色剤感光性組成物であって、前記染料の前記溶剤に対する溶解性が0.1wt%以下である前記染料と前記溶剤の組み合わせであることを特徴とする染料含有着色剤感光性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性着色剤組成物、およびそれを用いたカラーフィルタならびに液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、テレビ、ノートパソコン、携帯情報端末、スマートフォン、デジタルカメラ等様々な用途で使用されている。
【0003】
液晶表示装置は用途に応じて、3〜6原色の最適な色が要求されるため、色性能を担うカラーフィルタ基板、ひいては着色剤組成物においても最適な色材が探索されている。
【0004】
従来のカラーフィルタ用着色剤組成物としては、樹脂溶液中で分散させた顔料を用いることが一般的である(顔料分散法)。顔料は色の種類が少なく、近年の求められている最適な色をだすことができない。そのため着色剤組成物により多くの種類の色がある染料を使う提案がされている。
【0005】
着色材として染料を用いる代表的な方法として、例えば特許文献1〜2に記載されているように、溶剤に溶解させて用いる方法(染色法)が提案されている。しかしながら染色法は耐熱性や耐光性等が劣り、原理上、着色剤組成物を容器中で保存する際の温度変化や、溶剤揮発により、着色剤(染料)の析出が容易におこり、それが異物となる問題があった。
【0006】
そこで、例えば特許文献3に記載されているように、染料を担体にレーキ化する、レーキ顔料を用いる方法も提案されているが、色を出すのに寄与しない担体を含むため、最適な色を出すことができなかった。
【0007】
また、例えば特許文献4では染料分散法が提案されているが、感光性が失われるために、エキシマレーザーでパターニングする方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-32999号公報
【特許文献2】特開2011-076075号公報
【特許文献3】特開2001-81348号公報
【特許文献4】特開平4-306601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のとおり、色を良くしようと染料を用いた従来の染色法による感光性着色剤組成物では、耐熱性や耐光性等が劣り、また容器中での保存の際に、異物が発生する問題があった。またそれを解消しようと染料分散法を用いたとしても、充分な感光性能が得られない問題があった。本発明の染料を用いた感光性着色剤組成物は、着色剤として染料を分散したものであり、かつ充分な感光性能を有するものを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討した結果、従来の染料分散法は、分散と言えども、いくらか溶剤に溶解し、それが感光性能に悪影響を与えているのではないかと考えた。そして、染料の溶剤に対する溶解度に着目し、感光特性に相関があることを見出し、特定の範囲において、染料分散法であっても、十分な感光特性が得られることを見出したものである。
【0011】
本発明は以下の構成からなる。少なくとも、染料と、樹脂と、光重合開始剤と、溶剤を含有する着色剤感光性組成物であって、前記染料の前記溶剤に対する溶解性が0.1wt%以下である前記染料と前記溶剤の組み合わせであることを特徴とする染料含有着色剤感光性組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の染料を用いた感光性着色剤組成物は、着色剤として染料を分散したものであり、かつ充分な感光性能を有する着色剤感光性組成物を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の感光性着色剤組成物は、少なくとも、染料と、樹脂と、光重合開始剤と、溶剤を含有する感光性着色剤組成物であって、前記染料の前記溶剤に対する溶解性が0.1wt%以下、より好ましくは0.05wt%以下であることを特徴とする。これによって、本発明の感光性着色剤組成物は容器中での保存の際に、異物が発生しない。また十分な感光特性が得られる。
【0014】
一般的な染料を用いた感光性着色剤組成物では、染料が組成物中で一部は溶解しているため、容器中で保存する際の温度変化や、溶剤揮発により、着色剤(染料)の析出が容易におこり、異物となる懸念がある。また、溶解した染料はラジカルクエンチャーとして作用し、感光特性が低下する懸念がある。
【0015】
一方、本発明では、感光性着色剤組成物中において、染料が溶剤に不溶であるため、異物発生が抑制でき、また充分な感度が得られる。
【0016】
ここでいう顔料とは、Colour Index Generic NameにおいてApplication classがPigmentであるものをさし、染料とは、それ以外(acid,Basic,Direct,Disperde,Solvent,Azoic Coupling Component,ingrain,Leather,Mordant,Natural,Reactiv,Sulphur,vat)であるものを指す。
【0017】
またこれら染料は化学構造として、フェロセン、フルオレノン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ、キノン、インジゴ、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチン、アクリジン、アクリジノン、カルボスチリル、クマリン、ジフェニルアミン、キナクリドン、キノフタロン、フェノキサジン、フタロペリノン、ポルフィン、クロロフィル、フタロシアニン等あるが、溶剤に対する溶解性が0.1質量%以下、より好ましくは0.05wt%以下であれば任意のものを使用することができる。
【0018】
本発明の感光性着色剤組成物に使用される溶剤としては、染料の溶解性が0.1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05wt%以下であり、その限りにおいて特に限定されるものではないが、エステル系、エーテル系、ケトン系、炭化水素系の溶剤が好ましい。
【0019】
エステル系溶剤の例としては、PMA、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセト酢酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。
【0020】
エーテル系溶剤の例としては、メチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエチルエーテル等が挙げられ、ケトン系溶剤の例としては、脂肪族アルコール類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0021】
炭化水素系溶剤としては、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。
【0022】
これらの単独、あるいは2種類以上の混合溶剤も、染料の溶解性が好ましくは0.1wt%以下、より好ましくは0.05wt%であれば用いることができる。
【0023】
ここでいう染料の溶解性は、以下のような方法で判断することができる。5gの染料と95gの溶剤とを混合攪拌し、5重量%の染料溶剤混合液を作製する。混合中で、溶剤不溶分は底に沈降し、溶剤溶解分は混合液中に残存するため、底の溶剤不溶性分をろ過により除去し、仮溶解液を得る。仮溶解液を1gサンプリングし、溶剤を乾燥させた後の染料の重量測定を行い、染料濃度を測定する。
【0024】
本発明の感光性着色剤組成物における染料の粒子状態か分子状態(溶解状態)かは、例えば以下のような方法で判断することができる。粒子状態の染料は、粒径10〜500nmであり、分子状態の染料は、分子径1nm程度であるため、粒径2〜8nm程度の透析チューブを使用することで、粒子状態と分子状態の染料を分離することができる。具体的には100gの感光性着色剤組成物を透析チューブ内に注入した後、透析チューブの端と端を結ぶ。この100gの感光性着色剤組成物を含む透析チューブを、300gの感光性着色剤組成物に使用した溶剤中に投入する。浸透圧の関係で、分子状態の染料のみが、透析チューブの外側に流出する。よって、透析チューブ外側の溶剤が着色しているかどうかを目視で観察することで、分子状態かどうかを判断できる。
【0025】
一方、本発明の感光性着色剤組成物中に染料が含まれているかどうかは、例えば、レーザーラマン分光法により判断することができる。すなわち、感光性着色剤組成物の塗布、溶剤乾燥、露光、現像、ポストベイクを行い、画素を作製する。この青色画素のレーザーラマン分光スペクトルと染料自体のレーザーラマン分光スペクトルを比較することで、感光性着色剤組成物中に染料が含まれているかどうかを判断できる。同様に、カラーフィルター基板のレーザーラマン分光スペクトルと染料自体のレーザーラマン分光スペクトルを比較することで、染料が含まれているかどうかを判断できる。
【0026】
感光性着色剤組成物における染料の平均粒子径は、30〜200nmであることが好ましく、30〜100nmであることがより好ましい。平均粒子径が200nmより大きい場合、感光性着色剤組成物を基板に塗布乾燥した場合に、平坦な膜が得られず、顕微鏡観察時に粒として観察される場合がある。一方、平均粒子径が30nmより小さいと、未露光部におけるバインダー樹脂のアルカリ溶解性が低下し、パターン加工性が低下する場合がある。
【0027】
サンドミル、ボールミルなどの分散機を用いて、ジルコニアビーズにより剪断応力を印加することで、染料の粉体粒子に剪断応力を印加することによって、染料の平均粒子径を上記の範囲とすることができる。
【0028】
ただし、従来知られているような一般的は顔料の分散条件では、染料粒子を上記の粒径とすることは困難である。すなわち、顔料粉体は30nm程度に造粒された1次粒子が集合し、数μmの粉体粒子が形成されている。顔料粉体は、一次粒子同士の凝集力が小さいために、比較的弱い剪断応力で、短時間の分散で、一次粒子の凝集をほぐし、平均粒子径を30〜200nmとすることができる。
【0029】
一方、染料粉体は1nm程度の分子が集合し、数μmの粗大粒子が形成されている。染料粉体は、分子同士の凝集力が強いため、弱い剪断応力では、平均粒子径を200nmより小さくすることが困難である。また、染料には一次粒子が存在しないため、剪断応力を強くしたり、分散時間を長くしたりすると、平均粒子径が30nmより小さくなることも懸念される。
【0030】
本発明では、染料の平均粒子径を30〜200nmとするために、ビーズ径0.3〜2.0μmのジルコニアビーズを用いて、強い剪断応力で分散時間を3〜10時間/kgとすることが好ましい。
【0031】
顔料の分散条件としては、ビーズ粒径0.1〜2.0μmのジルコニアビーズを用いて、分散時間を1〜10時間/kgとすることが好ましい。
【0032】
本発明の感光性着色剤組成物に使用される高分子分散剤としては、特に規定されないが、市販品としては、例えば、“ソルスパース”(アビシア社製)、“EFKA”(エフカ社製)、”アジスパー”(味の素ファインテクノ社製)、“BYK”(ビックケミー社製)、“脂肪酸アマイド(花王社製)”等を好ましく用いることができる。
【0033】
本発明において高分子分散剤の添加量としては、好ましくは着色剤100質量%に対して30〜200質量%が好ましい。高分子分散剤の添加量が30質量部より少ないと、着色剤粒子の分散安定性が不良で、感光性着色剤組成物を基板上に塗布乾燥した場合に、平坦な膜が得られず、顕微鏡観察時に異物として観察される。一方、200質量部より多いと未露光部の樹脂成分のアルカリ可溶性が低下し、パターン加工性が不良となる場合がある。
【0034】
本発明の感光性着色剤組成物に使用される樹脂としては、アクリル系、エポキシ系、ポリイミド系等が挙げられ、カラーフィルター基板の製造コストを安くできるため感光性アクリル系樹脂が好ましい。アクリル系樹脂には、感光性を持たせるため少なくともバインダーポリマー、多官能モノマー、光重合開始剤を含有させることが一般的である。
【0035】
なお、本発明において、樹脂としてアクリル系樹脂を用いた場合、バインダーポリマー、アクリルモノマー、および高分子分散剤を樹脂成分とし、染料を着色剤成分とする。
【0036】
バインダーポリマーの例としては、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物の共重合体等が挙げられる。不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、あるいは酸無水物等が挙げられる。
【0037】
多官能モノマーの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
光重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0039】
本発明の感光性着色剤組成物中の、着色剤成分と樹脂成分の質量混合比は、通常10:90〜60:40であり、好ましくは20:80〜50:50である。着色成分の量が10質量%より少ないとカラーフィルターの色純度が低下しやすく、顔料成分が60質量%より多いとカラーフィルターの信頼性が低下しやすい。
【0040】
本発明の感光性着色剤組成物には、界面活性剤、密着性改良剤、硬化促進剤などを添加することもできる。
【0041】
本発明の感光性着色剤組成物において、塗工性、乾燥性などの観点から、顔料と樹脂をあわせた固形分濃度は、好ましくは5〜20質量%の範囲で使用することが望ましい。
【0042】
本発明の感光性着色剤組成物において、着色剤として、さらに顔料を含むこともできる。染料と顔料を併用する際に特に限定はないが、それぞれ安定に分散した液を混合することが好ましい。
【0043】
つぎに、本発明の感光性着色剤組成物を用いたカラーフィルター基板について説明する。
本発明のカラーフィルター基板は、上記の感光性着色剤組成物を用いて、少なくとも1色の着色画素を形成させることが必要である。
【0044】
まず、感光性着色剤組成物を基板上に塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法などで基板に塗布する方法、基板を溶液中に浸漬する方法、溶液を基板に噴霧するなどの種々の方法を用いることができる。基板としては通常、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどの透明基板が用いられる。感光性着色剤組成物を前記のような方法で透明基板上に塗布した後、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより、感光性着色剤組成物の塗膜を形成する。
【0045】
次に、感光性着色剤組成物の塗膜上にマスクを設置し、超高圧水銀灯、ケミカル灯、高圧水銀灯等を用いて、紫外線等により選択的に露光を行う。
【0046】
その後、アルカリ性現像液で現像を行う。アルカリ性現像液に用いるアルカリ性物質としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の2級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機アルカリ類等が挙げられる。
【0047】
その後、得られた塗膜パターンを加熱処理することによって画素がパターンニングされたカラーフィルター基板となる。加熱処理は通常、空気中、窒素雰囲気中、あるいは、真空中などで、150〜350℃、好ましくは180〜250℃の温度のもとで、0.5〜5時間、連続的または段階的に行われる。この加熱工程により、感光性着色剤組成物の樹脂成分の硬化が進む。
【0048】
上記のようなパターンニング工程を3〜6原色の各画素について順次行うと、液晶表示装置用カラーフィルターが作製できる。各色のパターンニング順序は限定されない。
【0049】
本発明のカラーフィルター基板の青色画素の膜厚は、1.2〜2.3μmであることが望まれる。膜厚が1.0μmより薄いと光の吸収が小さくなりカラーフィルターの色純度が低くなりやすい。一方、膜厚が2.5μmより厚いと、カラーフィルターの平坦性低下、パターン加工性低下、信頼性低下等の様々な問題が生じ易くなる。
【実施例】
【0050】
以下、好ましい実施態様を用いて本発明を更に詳しく説明する。
【0051】
実施例中の感光性着色剤組成物の評価を以下の方法で行った。
【0052】
<評価方法>
(染料の溶解性評価)
5gの染料と95gの溶剤とを混合攪拌し、5重量%の染料溶剤混合液を作製する。混合液中で、溶剤不溶分は底に沈降し、溶剤溶解分は混合液中に残存するため、底の溶剤不溶性分をろ過(アドバンティック製、(商品名)No.3)により除去する。ろ過後の染料溶液を1gサンプリングし、溶剤を100℃3時間で、乾燥させた後の染料の重量測定を行い、染料濃度を測定する。
【0053】
(初期の感光性着色剤組成物の塗膜の異物評価)
感光性着色剤組成物をガラス基板上に塗布し、90℃10分乾燥後、1×1mmの範囲を顕微鏡で1μm以上の大きさの異物の個数を数えた。
【0054】
異物の個数を数え以下の基準で判定を行った。
○ :異物が10個以下
△ :異物が10〜100個
× :異物が100個以上
(保管後の感光性着色剤組成物の塗膜の異物評価)
感光性着色剤組成物100ccの容器に50cc入れ、40℃で1日保管と5℃で1日保管を3回繰り返す。この保管後の感光性着色剤組成物をガラス基板上に塗布し、90℃10分乾燥後、1×1mmの範囲を顕微鏡で1μm以上の大きさの異物の個数を数えた。
【0055】
異物の個数を数え以下の基準で判定を行った。
○:異物が10個以下
△:異物が10〜100個
×:異物が100個以上
(保管前後の異物の増加評価)
○:初期と保管後で異物の増加がないもの
初期○で保管後○、初期△で保管後△、初期×で保管後×
×:初期と保管後で異物の増加があること
初期が○で保管後が△もしくは×、初期が△で保管後が×
(感光特性評価)
感光性着色剤組成物をガラス基板上に塗布し、90℃10分乾燥し、50μmのライン&スペースパターンを持つフォトマスクを介して、露光量が200mj/cmなるように、露光時間を調整し、紫外線露光を行った。基板とフォトマスクのGapは100μmとした。
【0056】
次に、露光後基板を23℃の0.2質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液中で60秒間シャワー現像した後、純水で洗浄した。
【0057】
パターン加工後の基板について、50μmパターンの顕微鏡観察を行い、以下の基準で判定を行った。
○:パターン幅が50μm以上
△:パターン幅が40〜50μm
×:パターン幅が40μm以下
(感光性着色剤組成物の着色剤の状態評価)
孔径5nmの透析チューブ(富士理科工業株式会社製、(商品名)ヴィスキングチューブ)中に、100gの感光性着色剤組成物を投入し透析チューブの端と端を結んだ。次に、300gの、感応性着色剤組成物に使用した溶剤を投入したビーカ中に、100gの感光性着色剤組成物を入りの透析チューブを投入後、24時間放置した。
【0058】
通常、粒子状態の染料は粒径30〜200nmであり、分子状態(溶解状態)の染料は分子系1nm程度であるため、分子状態の染料のみ透析チューブを透過し、外側の溶剤に遺贈する。よって、透析チューブの外側の溶剤を目視観察し、着色が見られた場合は染料が分子状態と判断した。
【0059】
(着色剤の平均粒子径測定)
感光性着色剤組成物中における、染料濃度が0.1質量%となるように感光性着色剤組成物に使用した溶剤を用いて希釈した。この希釈液を、動的光散乱式粒形分布測定装置((株)堀場製作所製LB−500)を用いて、25℃における体積基準の粒子の算術平均径を算出した。
【0060】
実施例1
(染料の溶解性測定)
50gのAR289(東京化成(株)製)、950gのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PMA)を混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.05質量%であった。
【0061】
(無用剤バインダーポリマの作製)
バインダーポリマー(ダイセル化学製、“サイクロマー”、(商品名)ACA250、45質量%溶液)100gを精製水1L中に滴下し析出させる。次に吸引ろ過で水分を取り除き、60℃の雰囲気で24時間真空乾燥を行い、無溶剤のバインダーを得た。
【0062】
(染料分散液1の作製)
50gのAR289、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gの高分子分散剤(味の素製、“アジスパーPB821”、無溶剤、(以下PB821))、850gのPMAを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液1を作製した。染料分散液1の平均粒子径測定をしたところ、30nmであった。
【0063】
(感光性着色組成物1の作成)
つぎに、80gの染料分散液1、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHAモノマ(日本化薬製 “カヤラッドDPHA” 無溶剤)、1.5gのイルガキュア907(BASF(株)製、商品名)、および0.5gのカヤキュアDETX−S(日本化薬(株)製、商品名)を添加し、感光性着色剤組成物1を作製した。
【0064】
(感光性着色組成物の状態評価)
孔径5nmの透析チューブ(富士理科工業株式会社製、(商品名)ヴィスキングチューブ)中に、100gの感光性着色剤組成物1を投入し透析チューブの端と端を結んだ。次に、300gの、PMAを投入したビーカ中に、100gの感光性着色剤組成物を入りの透析チューブを投入後、24時間放置したところ、PMAに着色が見られず染料は粒子状態であった。
【0065】
(感光性着色組成物1の評価)
この感光性着色剤組成物1の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物1は、線幅52μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は1個で良好あり、保管後の異物は1個で良好あり、したがって異物の増加がない良好な組成物であった。
【0066】
実施例2
(染料分散液2の作製)
実施例1の染料分散液1のPB821を30gにした以外は、染料分散液1と全く同様に作製した染料分散液2を作製した。染料分散液2の平均粒子径測定をしたところ、180nmであった。
【0067】
(感光性着色組成物2の作成)
実施例1の染料分散液1を染料分散液2に変更した以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物2を作成した。
【0068】
(感光性着色組成物2の評価)
この感光性着色剤組成物2の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物2は、線幅52μmであり充分な感光特性を持ち、初期の異物は6個で良好あり、保管後の異物は5個で良好あり、したがって異物の増加がない良好な組成物であった。
【0069】
比較例1
(染料の溶解性測定)
50gのAR289、950gの3−メチル−3−メトキシブタノール(MMB)を混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.3質量%であった。
【0070】
(染料分散液3の作製)
実施例1の染料分散液1のPMAをMMBにした以外は、染料分散液1と全く同様にして、染料分散液3を作製した。染料分散液3の平均粒子径測定をしたところ、150nmであった
(感光性着色組成物3の作成)
実施例1の染料分散液1を染料分散液3に変更し、し、PMAをMMBにした以外は、感光性着色組成物1と全く同様に作製した感光性着色剤組成物3を作成した。
(感光性着色組成物3の評価)
感光性着色剤組成物3は、パターン幅が49μmでやや低い感光特性を持ち、初期には異物が3個で良好であったものの、保管後に異物が20個と増加した。したがって異物が増加するやや不安定な組成物であった。
【0071】
比較例2
(染料の溶解性測定)
50gのAR289、950gのN−メチルピロリドン(NMP)を混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は5質量%であった。
【0072】
(染料分散液4の作製)
実施例1の染料分散液1のPMAをNMPにした以外は、染料分散液1と全く同様にして、染料分散液4を作製した。染料分散液4の平均粒子径は5nmであった。
【0073】
(感光性着色組成物4の作成)
実施例1の染料分散液1を染料分散液4に変更し、PMAをNMPに変更した以外は、感光性着色組成物1と、全く同様に作製した感光性着色剤組成物4を作成した。
【0074】
(感光性着色組成物の状態評価)
孔径5nmの透析チューブ(富士理科工業株式会社製、(商品名)ヴィスキングチューブ)中に、100gの感光性着色剤組成物5を投入し透析チューブの端と端を結んだ。次に、300gの、NMPを投入したビーカ中に、100gの感光性着色剤組成物を入りの透析チューブを投入後、24時間放置したところ、NMPに着色が見られ染料は分子状態であった。
【0075】
(感光性着色組成物4の評価)
感光性着色剤組成物4は、パターン幅が38μmで、実施例1に比較して大幅に低い感光特性を持ち、初期には異物が1個で良好であったものの、保管後に異物が100個以上と増加した、またこの異物は正方形の規則正しい結晶系そしていた。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0076】
実施例3
(顔料分散液の作製)
100gの顔料PB15:6(東洋インキ社製“リオノール”ブルー、(商品名)7602)、50gのPB821、50gのバインダーポリマー、および800gのPMA、を混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーを循環式ビーズミル分散機(ウイリー・エ・バッコーフェン社製“ダイノーミル”KDL−A)とチューブでつなぎ、メディアとして直径0.3mmのジルコニアビーズを使用して、周速10m/sで4時間の分散処理を行い、顔料分散液を作製した。顔料分散液中のPB15:6の平均粒子径は、45nmであった
(感光性着色組成物5の作成)
つぎに、40gの顔料分散液、40gの染料分散液1、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、顔料と染料を併用した感光性着色剤組成物5を作製した。
【0077】
(感光性着色組成物5の評価)
この感光性着色剤組成物5の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物5は、線幅52μmであり充分な感光特性を持ち、初期の異物は2個で良好あり、保管後の異物は2個で良好あり、したがって顔料と染料を併用した場合においても、異物の増加がない良好な組成物であった。
【0078】
実施例4
(染料の溶解性測定)
50gのSolvent Blue 60(有本化学(株)製“Oil Blue 5511”)、950gのイソパラフィン炭化水素(出光興産(株)、IPソルベント1620)を混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.08質量%であった。
【0079】
(染料分散液6の作製)
50gのSolvent Blue 60、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gのPB821、850gのIPソルベントを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液6を作製した。染料分散液6の平均粒子径測定をしたところ、128nmであった。
【0080】
(感光性着色組成物6の作成)
つぎに、80gの染料分散液6、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、
および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、感光性着色剤組成物6を作製した。
【0081】
(感光性着色組成物6の評価)
この感光性着色剤組成物6の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物6は、線幅52μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は7個で良好あり、保管後の異物は9個で良好あり、したがって保管によりわずかに異物が増加するものの良好な組成物であった。
【0082】
比較例3
(染料の溶解性測定)
50gのSolvent Blue 60(有本化学(株)製“Oil Blue 5511”)、950gのPMAを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は5質量%であった。
【0083】
(染料分散液7の作製)
実施例4の染料分散液6のIPソルベント1620をPMAにした以外は、染料分散液6と全く同様にして、染料分散液7を作製した。
【0084】
(感光性着色組成物7の作成)
実施例4の染料分散液6を染料分散液7に変更し、IPソルベント1620をPMAにした以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物7を作成した。
【0085】
(感光性着色組成物7の評価)
感光性着色剤組成物7は、パターン幅がまったくのこらず、実施例4に比較して大幅感光特性が低下しており、初期には異物が8個で良好であったものの、保管後に異物が100個以上と大幅に増加した、またこの異物は規則正しい結晶系をしていた。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0086】
実施例5
(染料の溶解性測定)
50gのBasic Blue 3(稲畑ファインテック(株)製“Nichilon Pure Blue”)、950gのPMAを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.02質量%であった。
【0087】
(染料分散液8の作製)
50gのBasic Blue 3、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gのPB821、850gのPMAを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液8を作製した。染料分散液8の平均粒子径測定をしたところ、150nmであった。
【0088】
(感光性着色組成物8の作成)
つぎに、80gの染料分散液8、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、
および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、感光性着色剤組成物8を作製した。
【0089】
(感光性着色組成物8の評価)
この感光性着色剤組成物8の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物8は、線幅51μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は9個で良好あり、保管後の異物は5個で良好あり、したがって異物の増加がない良好な組成物であった。
【0090】
比較例4
(染料の溶解性測定)
50gのBasic Blue 3(稲畑ファインテック(株)製“Nichilon Pure Blue”)、950gのNMPを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.18質量%であった。
【0091】
(染料分散液9の作製)
実施例5の染料分散液8のPMAをNMPにした以外は、染料分散液8と全く同様にして、染料分散液9を作製した。
【0092】
(感光性着色組成物9の作成)
実施例5の染料分散液8を染料分散液9に変更し、PMAをNMPにした以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物9を作成した。
【0093】
(感光性着色組成物9の評価)
感光性着色剤組成物9は、パターン幅が49μmであり、実施例5に比較してやや感光特性が低下しており、初期には異物が7個で良好であったものの、保管後に異物が40個とやや増加した。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0094】
実施例6
(染料の溶解性測定)
50gのReactiv Blue 224(ダイスター(株)製“Lavafix Royal Blue E-FR”)、950gのPMAを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.02質量%であった。
【0095】
(染料分散液10の作製)
50gのReactiv Blue 224、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gのPB821、850gのPMAを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液10を作製した。染料分散液10の平均粒子径測定をしたところ、150nmであった。
【0096】
(感光性着色組成物10の作成)
つぎに、80gの染料分散液10、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、
および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、感光性着色剤組成物10を作製した。
【0097】
(感光性着色組成物10の評価)
この感光性着色剤組成物10の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物10は、線幅51μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は5個で良好あり、保管後の異物は5個で良好あり、したがって異物の増加がない良好な組成物であった。
【0098】
比較例5
(染料の溶解性測定)
50gのReactiv Blue 224、950gのNMPを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.22質量%であった。
【0099】
(染料分散液11の作製)
実施例6の染料分散液10のPMAをNMPにした以外は、染料分散液10と全く同様にして、染料分散液11を作製した。この染料分散液の平均粒子径は150nmであった。
【0100】
(感光性着色組成物11の作成)
実施例6の染料分散液10を染料分散液11に変更し、PMAをNMPにした以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物11を作成した。
【0101】
(感光性着色組成物11の評価)
感光性着色剤組成物11は、パターン幅が48μmであり、実施例6に比較してやや感光特性が低下しており、初期には異物が5個で良好であったものの、保管後に異物が23個とやや増加した。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0102】
実施例7
(染料の溶解性測定)
50gのAcid Blue 9(東京化成(株)製“Acid Blue 9”)、950gのPMAを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.04質量%であった。
【0103】
(染料分散液12の作製)
50gのAcid Blue 9、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gのPB821、850gのPMAを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液12を作製した。染料分散液12の平均粒子径測定をしたところ、350nmであった。
【0104】
(感光性着色組成物12の作成)
つぎに、80gの染料分散液12、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、
および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、感光性着色剤組成物12を作製した。
【0105】
(感光性着色組成物12の評価)
この感光性着色剤組成物12の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物12は、線幅52μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は20個でやや多いものの、保管後の異物は16個であり、したがって異物の増加がない組成物であった。
【0106】
比較例6
(染料の溶解性測定)
50gのAcid Blue 9、950gのNMPを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.50質量%であった。
【0107】
(染料分散液13の作製)
実施例7の染料分散液12のPMAをNMPにした以外は、染料分散液12と全く同様にして、染料分散液13を作製した。この染料分散液の平均粒子径は600nmであった。
【0108】
(感光性着色組成物13の作成)
実施例7の染料分散液12を染料分散液13に変更し、PMAをNMPにした以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物13を作成した。
【0109】
(感光性着色組成物13の評価)
感光性着色剤組成物13は、パターン幅が48μmであり、実施例7に比較してやや感光特性が低下しており、平均粒子径が500nmと大きいため、初期には異物が50個でややや多く、保管後に異物が100個以上と大幅に増加した。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0110】
実施例8
(染料の溶解性測定)
50gのSolvent Blue45(有本化学(株)製、“Plast Blue DB463”)、950gのPMAを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は0.09質量%であった。
【0111】
(染料分散液14の作製)
50gのSolvent Blue45、50gの無溶媒バインダーポリマ、50gのPB821、850gのPMAを混合してスラリーを作製した。スラリーを入れたビーカーをダイノーミルとチューブでつなぎ、メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズを使用して、周速14m/sで8時間の分散処理を行い、染料分散液14を作製した。染料分散液14の平均粒子径測定をしたところ、98nmであった。
【0112】
(感光性着色組成物14の作成)
つぎに、80gの染料分散液14、12gのPMA、1gの無溶剤バインダーポリマ、5gのDPHA、1.5gのイルガキュア907、
および0.5gのカヤキュアDETX−Sを添加し、感光性着色剤組成物14を作製した。
【0113】
(感光性着色組成物14の評価)
この感光性着色剤組成物14の、感光特性評価、初期の塗膜の異物評価、保管後の塗膜の異物評価を行った。感光性着色剤組成物14は、線幅51μmで充分な感光特性を持ち、初期の異物は3個で良好であり、保管後の異物は9個であり、したがって保管によりわずかに異物が増加するものの安定性の良好な組成物であった。
【0114】
比較例7
(染料の溶解性測定)
50gのSolvent Blue45、950gのシクロヘキサノンを混合した。染料の溶解性評価を行ったところ、溶解性は1.2質量%であった。
【0115】
(染料分散液15の作製)
実施例8の染料分散液15のPMAをシクロヘキサノンにした以外は、染料分散液14と全く同様にして、染料分散液15を作製した。この染料分散液の平均粒子径は210nmであった。
【0116】
(感光性着色組成物15の作成)
実施例8の染料分散液14を染料分散液15に変更し、PMAをシクロヘキサノンにした以外は、全く同様に作製した感光性着色剤組成物15を作成した。
【0117】
(感光性着色組成物15の評価)
感光性着色剤組成物15は、パターン幅が32μmであり、実施例8に比較して大幅に感光特性が低下しており、初期には異物が1個で良好なものの、保管後に異物が60個と大幅に増加した。したがって保管中に染料の溶解析出を繰り返して、異物が増加する不安定な組成物であった。
【0118】
実施例および比較例の組成および評価結果を表1に示す。
【0119】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の感光性着色剤組成物は、カラーフィルタ用感光性着色剤組成物に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、染料と、樹脂と、光重合開始剤と、溶剤を含有する感光性着色剤組成物であって、前記染料の前記溶剤に対する溶解性が0.1wt%以下であることを特徴とする感光性着色剤組成物。
【請求項2】
前記染料の平均粒子径が30〜200nmである請求項1記載の感光性着色剤組成物。
【請求項3】
前記感光性着色剤組成物に、さらに顔料を含む請求項1または2記載の感光性着色剤組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の感光性着色剤組成物を使用したことを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の感光性着色剤組成物を使用したことを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2013−61623(P2013−61623A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−73334(P2012−73334)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】