説明

感光性組成物除去液

【課題】ガラス基板や半導体ウエーハなどに感光性組成物皮膜を形成する工程において、基板の周辺部、縁辺部または裏面部に付着した未硬化の顔料を含有する感光性組成物皮膜の除去、または装置部材や器具の表面に付着した未硬化の顔料を含有する感光性組成物の除去に有効な除去液を提供する。
【解決手段】未硬化の顔料を含有する感光性組成物の除去に用いられる除去液であって、(a)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が10〜40質量%、(d)グリコールエーテル類、カルボン酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸エステル類、ケトン類およびアルコキシカルボン酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種であるその他の溶剤が30〜90質量%であり、かつ、除去液全量に対し、(a)と(d)成分の合計が50〜100質量%となる量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板や半導体ウエーハなどに感光性組成物皮膜を形成する工程における基板の周辺部、縁辺部または裏面部の未硬化の感光性組成物皮膜の除去、または、装置部材や器具の表面に付着した未硬化の感光性組成物を除去するための除去液に関する。
【0002】
さらに詳しくは、液晶や有機EL製造工程における基板上に感光性組成物皮膜を形成する工程において、基板の周辺部、縁辺部または裏面部に残存する未硬化の顔料を含有する感光性組成物皮膜の除去、または装置部材や器具の表面に付着した未硬化の顔料を含有する感光性組成物の除去液に関する。
【背景技術】
【0003】
液晶、有機EL、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイまたは半導体の製造工程では、通常リソグラフィー技術を用いた感光性組成物のパターン形成が行われる。
【0004】
液晶や有機ELに用いられるカラーフィルター製造におけるRGBもしくは樹脂ブラックマトリックスのパターン形成方法としては、顔料分散法、染色法、印刷法、電着法などが用いられる。顔料分散法は、顔料を含有する感光性組成物を用いたフォトリソグラフィーにより各色のパターニングを行う方法であり、安定な着色皮膜が得られることからカラーフィルター製造には好適な方法である。この方法により基板上に感光性組成物皮膜を形成する場合には、顔料を含有する感光性組成物を基板上に塗布する工程が含まれ、その塗布方法としてはスピンコート、スリットコート、ワイヤーバーコート、ロールコート、ディップコート、スプレーコート或いはこれらの組み合わせなどの方法が知られている。
【0005】
スピンコートを行う場合、感光性組成物コート後の基板の周辺部、縁辺部の感光性組成物膜の盛り上がり部分や裏面に付着した感光性組成物を除去するため感光性組成物除去液によるリンス処理、いわゆるエッジリンス、バックリンスが通常行われる。更に、スピンコーティングではカップに飛散した感光性組成物を除去する工程、いわゆるカップリンスにおいても感光性組成物除去液による感光性組成物除去処理が行われる。
【0006】
また、カラーフィルター製造における感光性組成物塗布工程としては、前述のスピンコート以外にもスリットコート法による感光性組成物塗布やワイヤーバーを用いた塗布、ロールコーターによる塗布が行われるが、この方法においても感光性組成物塗布後にそれぞれスリットノズルやワイヤーバー等、塗布装置の一部または全部に付着した不要な感光性組成物の除去が実施される。
【0007】
更に、この他にも感光性組成物を移送するための装置配管など、塗布装置の部材に付着した感光性組成物の除去が実施される場合がある。通常、このような感光性組成物の除去には除去液を用いた洗浄処理が行われる。
【0008】
このような基板及び装置に付着した感光性組成物のいずれの除去工程においても、感光性組成物成分の残留が問題となる。カラーフィルター製造に用いられる顔料を含有する感光性組成物、すなわちRGB形成に用いられるカラーレジストや、樹脂ブラックマトリックス形成に用いられるブラックレジストは、顔料成分が基板や装置表面へ残留しやすく、これらが僅かであっても異物の原因となってカラーフィルター製造の不良率増加、あるいはカラーフィルターの色純度変化やコントラスト低下をきたす可能性がある。近年のカラーディスプレイに用いられるカラーフィルターには基板の大画面化、高精細化、及び低コスト化の要求が高くなっているが、このような状況にあってカラーフィルターの性能、歩留まりに影響を及ぼす感光性組成物成分残留の回避はますます重要となってきている。
【0009】
従来、感光性組成物除去剤としては、グリコールエーテルやそのエステル、あるいはその混合物が一般的に用いられることが多い(例えば、特許文献1参照。)が、上記カラーレジストの洗浄除去に応用した場合はレジスト除去性が十分でなく、大量の除去液の使用が必要となったり、除去残が発生する課題があった。
【0010】
また、顔料を含有する着色組成物の除去に、感光性組成物に使用されている溶剤成分または界面活性剤や分散剤などの感光性組成物に含有される成分を用いる方法もある(例えば、特許文献2参照。)が、感光性組成物に含有される溶剤成分のみを洗浄剤として用いた場合は顔料が沈降しやすく、十分な洗浄性が得られない。また、界面活性剤や分散剤等、感光性組成物成分に含有される成分を洗浄液組成物中に含有させた場合は、その成分が蒸発残分として基板、装置部材上に残留しやすく、更なる洗浄工程が必要となったり、蒸発残分の残留を好まない基板の端面、裏面の感光性組成物除去には実質上用いることが出来ない課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公平4−49938号公報
【特許文献2】特開2000−273370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、感光性組成物除去性能に優れた感光性組成物除去液を提供することにある。
特に、液晶や有機EL製造工程における基板上に感光性組成物皮膜を形成する工程において、基板の周辺部、縁辺部または裏面部に残存する顔料を含有する感光性組成物皮膜の除去、または装置部材や器具の表面に付着した顔料を含有する感光性組成物の除去に有効な除去液を提供する。
なお本願において、炭素数が9以上の芳香族炭化水素を成分1、非プロトン性極性溶剤を成分2、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤を成分3ということがある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定の芳香族炭化水素を含有する除去液を用いることで顔料含有感光性組成物の洗浄除去における顔料の分散性の低下を抑制し、除去性が向上することを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明は、次のとおりである。
(1)未硬化の感光性組成物の除去に用いられる除去液であって、少なくとも1種の炭素数が9以上の芳香族炭化水素を1〜80質量%含有する感光性組成物除去液。
【0015】
(2)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が、沸点150〜250℃のアルキルベンゼン類であることを特徴とする上記(1)に記載の感光性組成物除去液。
【0016】
(3)炭素数が9以上の芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜80質量%、非プロトン性極性溶剤が20〜80質量%である組成、炭素数が9以上の芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が10〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が80〜90質量%である組成、ならびに炭素数が9以上の芳香族炭化水素、非プロトン性極性溶剤および非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜30質量%、非プロトン性極性溶剤が1〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が55〜70質量%である組成からなる群から選ばれる組成であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の感光性組成物除去液。
【0017】
(4)炭素数が9以上の芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜40質量%、非プロトン性極性溶剤が60〜80質量%である組成、炭素数が9以上の芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が10〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が80〜90質量%であり、かつ、30〜60質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルを含有する組成、ならびに炭素数が9以上の芳香族炭化水素、非プロトン性極性溶剤および非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤を含有する場合には炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜30質量%、非プロトン性極性溶剤が3〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が55〜70質量%であり、かつ、非プロトン性極性溶剤がN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸メチルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルのうち少なくとも1種である組成からなる群から選ばれる組成であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【0018】
(5)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜40質量%、非プロトン性極性溶剤が60〜80質量%である組成であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の感光性組成物除去液。
(6)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が10〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が80〜90質量%であり、かつ、30〜60質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルを含有する組成であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の感光性組成物除去液。
(7)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が20〜30質量%、非プロトン性極性溶剤が3〜20質量%、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が55〜70質量%であり、かつ、非プロトン性極性溶剤がN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種、非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸メチルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルのうち少なくとも1種である組成であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の感光性組成物除去液。
【0019】
(8)非プロトン性極性溶剤が、鎖状アミド化合物、環状アミド化合物、硫黄化合物および環状エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
(9)非プロトン性極性溶剤が、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、およびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
(10)非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤が、グリコールエーテル類、グリコールエーテルカルボキシレート類、カルボン酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸エステル類、ケトン類、アルコール類、アルコキシカルボン酸エステル類および環状エーテル類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(6)に記載の感光性組成物除去液。
(11)顔料を含有する感光性組成物の除去に用いられる上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
(12)顔料を含有するアクリル系感光性組成物の除去に用いられる上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【発明の効果】
【0020】
本発明の除去液は、液晶や有機EL製造工程における基板上に感光性組成物皮膜を形成する工程において、基板周辺部、縁辺部または裏面部に残存する未硬化の顔料を含有する感光性組成物皮膜の除去、または装置部材や器具の表面に付着した未硬化の顔料を含有する感光性組成物の除去に効果を発揮するので有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の感光性組成物除去液について説明する。
【0022】
本発明の感光性組成物除去液(以下「除去液」という。)は、未硬化の感光性組成物の除去に用いられるものであり、炭素数が9以上の芳香族炭化水素を少なくとも1種含有し、その含有割合は1〜80質量%である。
【0023】
本発明に用いる炭素数が9以上の芳香族炭化水素は、アルキル基で置換された芳香族炭化水素であり、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類等を挙げることができる。アルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよいし、2つ以上の基が連結して環状構造をなしていてもよい。芳香族炭化水素の炭素数は9以上であるが、12以下が好ましい。具体的な例としては、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1−エチル−2−メチルベンゼン、1−エチル−3−メチルベンゼン、1−エチル−4−メチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2−ジメチル−3−エチルベンゼン、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−2−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−4−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−5−エチルベンゼン、1,4−ジメチル−2−エチルベンゼン、1−メチル−2−プロピルベンゼン、1−メチル−3−プロピルベンゼン、1−メチル−4−プロピルベンゼン、1−メチル−2−イソプロピルベンゼン、1−メチル−3−イソプロピルベンゼン、1−メチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2−ジエチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、メチルブチルベンゼン、エチルプロピルベンゼン、ジメチルプロピルベンゼン、メチルジエチルベンゼン、トリメチルエチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、メチルペンチルベンゼン、エチルブチルベンゼン、ジメチルブチルベンゼン、ジプロピルベンゼン、メチルエチルプロピルベンゼン、トリメチルプロピルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジメチルジエチルベンゼン、テトラメチルエチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼン、インダン、テトラヒドロナフタレン、等のアルキルベンゼン類、メチルナフタレン、ジメチルナフタレンなどのアルキルナフタレン類を例示することが出来るが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
これらの芳香族炭化水素は感光性組成物除去液中に単独で含有されていてもよいし、2種以上の芳香族炭化水素の組み合わせとして含有されていてもよい。
【0025】
これらの中でも沸点150〜250℃のアルキルベンゼン類が感光性組成物の除去性能、特に、顔料を含有する感光性組成物の除去性能が高く、更に、感光性組成物除去に適した乾燥性を有する点から好ましい。
【0026】
この中でも特に好ましいアルキルベンゼン類は、炭素数9または10のアルキルベンゼンであり、具体例としては、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、1−エチル−2−メチルベンゼン、1−エチル−3−メチルベンゼン、1−エチル−4−メチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2−ジメチル−3−エチルベンゼン、1,2−ジメチル−4−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−2−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−4−エチルベンゼン、1,3−ジメチル−5−エチルベンゼン、1,4−ジメチル−2−エチルベンゼン、1−メチル−2−プロピルベンゼン、1−メチル−3−プロピルベンゼン、1−メチル−4−プロピルベンゼン、1−メチル−2−イソプロピルベンゼン、1−メチル−3−イソプロピルベンゼン、1−メチル−4−イソプロピルベンゼン、1,2−ジエチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼンを挙げることができる。
【0027】
本発明の除去液を実際に使用するにあたっては、上の芳香族炭化水素はどのような方法によって調製されてもよいが、芳香族成分比率の高いソルベントナフサ、例えば炭素数9を中心としたアルキルベンゼン系混合溶剤の使用が有効であり、商品名シェルソルA(商標:シェル化学社製、初留点160℃、乾点182℃)、ソルベッソ100(商標:エクソン化学社製、初留点164℃、乾点176℃)、スワゾール1000(商標:丸善石油化学社製、初留点161℃、乾点179℃)、イプゾール100(商標:出光石油化学社製、初留点162℃、乾点179℃)、ハイゾール100(商標:日本石油化学社製、初留点155℃、乾点180℃)、ソルファイン−TM(商標:昭和電工社製、初留点160℃、乾点180℃)、炭素数10を中心としたアルキルベンゼン系混合溶剤である商品名シェルソルAB(商標:シェル化学社製、初留点187℃、乾点213℃)、ソルベッソ150(商標:エクソン化学社製、初留点188℃、乾点209℃)、スワゾール1500(商標:丸善石油化学社製、初留点180.5℃、乾点208.5℃)、イプゾール150(商標:出光石油化学社製、初留点186℃、乾点205℃)、ハイゾール150(商標:日本石油化学社製、初留点182℃、乾点216℃)、ソルファイン−WZ(商標:昭和電工社製、初留点195℃、乾点250℃)、炭素数10以上を中心としたアルキルベンゼン−アルキルナフタレン系混合溶剤である商品名スワゾール1800(商標:丸善石油化学社製、初留点195.5℃、乾点245℃)等の芳香族炭化水素の混合物が本発明の除去液に好適に使用できる。
【0028】
本発明の除去液には、上記芳香族炭化水素が1〜80質量%含有されるが、3〜70質量%が好ましい。より好ましくは5〜60質量%であり、さらに好ましくは10〜40質量%である。含有量が1質量%以上であれば感光性組成物除去性能、特に、顔料を含む感光性組成物における顔料の分散除去性能が発揮される。一方、80質量%以下であれば感光性組成物に含まれる樹脂成分の溶解性能が低下することがなく、結果として感光性組成物の除去性能低下を招くことがないため好ましい。
【0029】
本発明の除去液には、さらに、非プロトン性極性溶剤を1〜80質量%含有することもできる。非プロトン性極性溶剤は、プロトン供与能が低い溶剤であり、具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素などの鎖状アミド化合物、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルイミダゾリジノンなどの環状アミド化合物、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の硫黄化合物、γ−ブチロラクトン等の環状エステル等が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびγ−ブチロラクトンが感光性組成物の溶解除去性を高める点で好ましい。本発明の除去液に含有される非プロトン性極性溶剤は単独であってもよいし、2種以上が含有されていてもよい。
【0031】
非プロトン性極性溶剤を含む場合の好ましい含有量は1〜80質量%であり、より好ましくは3〜80質量%である。非プロトン性極性溶剤の含有量が80質量%以下であれば洗浄後の乾燥性が悪くなることはなく、また、顔料を含有する感光性組成物では、顔料の沈降析出が起こることがないため好ましい。
【0032】
本発明の除去液は、芳香族炭化水素及び非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤成分を含有させてもよい。すなわち、本発明の除去液は、芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤との組み合わせ、芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤との組み合わせおよび芳香族炭化水素と非プロトン性極性溶剤と非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤との組み合わせ、のいずれの組み合わせであってもよい。
好ましくは本発明の除去液は、炭素数が9以上の芳香族炭化水素(成分1)と非プロトン性極性溶剤(成分2)を含有する場合には成分1が20〜80質量%、成分2が20〜80質量%である組成、成分1と非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤(成分3)を含有する場合には成分1が10〜20質量%、成分3が80〜90質量%である組成、および成分1〜成分3を含有する場合には成分1が20〜30質量%、成分2が1〜20質量%、成分3が55〜70質量%である組成からなる群から選ばれる組成である。
より好ましくは本発明の除去液は、成分1と成分2を含有する場合には成分1が20〜40質量%、成分2が60〜80質量%である組成、成分1と成分3を含有する場合には成分1が10〜20質量%、成分3が80〜90質量%であり、かつ、30〜60質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルを含有する組成、および成分1〜成分3を含有する場合には成分1が20〜30質量%、成分2が3〜20質量%、成分3が55〜70質量%であり、かつ、成分2がN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種、成分3がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸メチルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルのうち少なくとも1種である組成からなる群から選ばれる組成である。
本発明の除去液が成分1と成分2を含有する場合には、本発明の態様は、成分1が20〜80質量%、成分2が20〜80質量%の組成である。好ましくは、成分1が20〜40質量%、成分2が60〜80質量%の組成である。より好ましくは、成分1が20〜40質量%、成分2が60〜80質量%であり、かつ、成分1がソルベッソ100およびソルファイン−TMのうち少なくとも1種、成分2がγ−ブチロラクトンおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種である組成である。
本発明の除去液が成分1と成分3を含有する場合には、本発明の態様は、成分1が10〜20質量%、成分3が80〜90質量%の組成である。好ましくは、成分1が10〜20質量%、成分3が80〜90質量%であり、かつ、30〜60質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルを含有する組成である。より好ましくは、成分1が10〜20質量%、成分3が80〜90質量%であり、30〜60質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルを含有し、かつ、成分1が1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン、ソルベッソ100およびソルファイン−TMのうち少なくとも1種、成分3がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、酢酸ブチルおよび3−メトキシプロピオン酸メチルのうち少なくとも1種ならびにプロピレングリコールモノメチルエーテルである組成である。
本発明の除去液が成分1〜成分3を含有する場合には、本発明の態様は、成分1が20〜30質量%、成分2が1〜20質量%、成分3が55〜70質量%の組成である。好ましくは、成分1が20〜30質量%、成分2が3〜20質量%、成分3が55〜70質量%の組成である。より好ましくは、成分1が20〜30質量%、成分2が3〜20質量%、成分3が55〜70質量%であり、かつ、成分2がN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種、成分3がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸メチルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルのうち少なくとも1種である組成である。更に好ましくは、成分1が20〜30質量%、成分2が3〜20質量%、成分3が55〜70質量%であり、かつ、成分1が1,2,4−トリメチルベンゼン、クメン、ソルベッソ100およびソルファイン−TMのうち少なくとも1種、成分2がN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドのうち少なくとも1種、成分3がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−メトキシプロピオン酸メチルおよび3−エトキシプロピオン酸エチルのうち少なくとも1種である組成である。
【0033】
非プロトン性極性溶剤以外のその他の溶剤の例としては、グリコールエーテル類、グリコールエーテルカルボキシレート類、カルボン酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸エステル類、ケトン類、アルコール類、アルコキシカルボン酸エステル類および環状エーテル類が挙げられる。
【0034】
具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、等のグリコールエーテルカルボキシレート類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸アミル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、コハク酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等のカルボン酸エステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、α−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジ−iso−プロピルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−iso−アミルケトン、3−メチル−2−ヘキサノン、4−メチル−2−ヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−iso−ヘキシルケトン、4−メチル−2−ヘプタノン、5−メチル−2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類、ブチルアルコール、n−アミルアルコール、iso−アミルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、フルフリルアルコール等のアルコール類、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル等のアルコキシカルボン酸エステル類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル類を挙げることができる。
【0035】
これらの中でも、グリコールエーテル類、グリコールエーテルカルボキシレート類、カルボン酸エステル類、アルコキシカルボン酸エステル類、ケトン類、アルコール類は、感光性組成物の洗浄性を高め、除去液に洗浄除去に適した乾燥性を付与させるので好ましい。具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、n−ブチルアルコール等が挙げられる。より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノンである。その他の溶剤成分は、単独であっても、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
次に、本発明の除去液が適用される感光性組成物について説明する。
【0037】
本発明の除去液が適応できる感光性組成物は、通常液晶、有機EL、半導体などの、各種電子部品の製造に使用されている感光性組成物である。特に、本発明の除去液は液晶、有機ELなどに用いられる顔料を含有する感光性組成物の洗浄除去に好適に用いられる。これら感光性組成物は、一般的にアルカリで現像可能な皮膜形成物質と感光性物質からなるものである。更に顔料を含有する感光性組成物はこれに顔料や分散剤が更に添加されるものである。感光性組成物に含まれる皮膜形成物質としては、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂などを挙げることができるが、本発明は特にアクリル系樹脂を皮膜形成物質として含有する感光性組成物の除去に好適に用いることができる。
【0038】
本発明の除去液は、被洗浄物に塗布あるいは付着された状態の感光性組成物の除去に適応することができ、特に、感光前の感光性組成物の除去に好適に用いることができる。感光性組成物は溶剤が含有されている状態であってもよいし、溶剤が揮発した後の状態であってもよい。
【0039】
感光性組成物を除去する方法としては、感光性組成物が塗布または付着した被洗浄物に本除去液をノズルなどから棒状、液滴状あるいはミスト状に吹きかけて除去する方法、本発明の除去液に被洗浄物を浸漬する方法などが挙げられる。除去を効率的に行うために、超音波照射や、ブラシ等による物理的洗浄を併用することも可能である。
【0040】
本発明の除去液は、特に液晶、半導体、有機EL製造の感光性組成物塗布工程において、基板の周辺部、縁辺部、または裏面部に付着した不要の未硬化の感光性組成物の除去、または塗布装置の一部または全部に付着した不要の未硬化の感光性組成物の除去に用いることができる。
【0041】
特に、液晶や有機ELに用いられるカラーフィルター製造工程の顔料を含有する感光性組成物の塗布工程において好適に使用される。
【0042】
本発明の除去液は、基板上にスピンコート法で感光性組成物を塗布する際の、基板周辺部、縁辺部、あるいは裏面部の未硬化の感光性組成物の除去、いわゆるエッジリンス、バックリンスのリンス剤として、またスピンコート時にカップに飛散した感光性組成物を洗浄除去する、いわゆる、カップリンスにも好適に使用可能である。
【0043】
スピンコート法以外に基板上に感光性組成物を塗布する方法としてスリットコート法やワイヤーバーコート法、あるいはロールコート法等が知られているが、スリットノズルやワイヤーバー、印刷版など、塗布装置の部材や器具の表面に付着した未硬化の感光性組成物を除去する際にも、本発明の除去液は好適に使用される。
また、本発明の別の態様は、上記除去液を用いて上記方法により未硬化の感光性組成物が除去された液晶用、半導体用または有機EL用の基盤である。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、もちろん本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0045】
なお、洗浄性は除去液に3分間浸漬後、感光性着色組成物の溶解状況を目視観察により次の3段階で評価した。
○ … 完全に除去されている
△ … 部分的に溶解している
× … ほとんど溶解していない
【0046】
<調製例1>アクリル系共重合体の調製
滴下漏斗、温度計、冷却管、撹拌機を付した4つ口フラスコにメタクリル酸(MA)12.0質量部、メタクリル酸メチル(MMA)14.0質量部、メタクリル酸n−ブチル(BMA)43.0質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEMA)6.0質量部、エチルセロソルブアセテート(EGA)225.0質量部を仕込み、1時間4つ口フラスコ内を窒素置換した。さらにオイルバスで90℃まで加温した後、MA 12.0質量部、MMA 14.0質量部、BMA 43.0質量部、HEMA 6.0質量部、EGA 225.0質量部、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3.2質量部の混合液を1時間かけて滴下した。3時間重合を行った後、AIBN 1.0質量部とEGA 15.0質量部の混合液を加えさらに100℃に昇温して1.5時間重合を行った後放冷した。このようにして得たアクリル系共重合体の固形分濃度は22.1質量%、酸価は92mgKOH/g、GPCにより測定したポリスチレン換算の質量平均分子量は22,000であった。
【0047】
<調製例2>感光性着色組成物A:黒色感光性着色組成物の調製
調製例1で得られたアクリル系共重合体30.0質量部(固形分6.6質量部)、EGA 5.0質量部、フローレンDOPA−33(商標:共栄社化学株式会社製 分散剤 固形分濃度30質量%)3.3質量部、Special Black 4(デグサ社 カーボンブラック)6.6質量部を混合後1晩放置した。さらに1時間撹拌した後、3本ロールミル(株式会社小平製作所製 型式RIII−1RM−2)に4回通した。得られた黒色インキにEGAを加えて濃度調整することにより、固形分濃度18.0質量%の黒色着色組成物を得た。
このようにして得られた黒色着色組成物100質量部に更にジペンタエルスリトールヘキサアクリレート4.4質量部、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン2.2質量部及びEGA25質量部を添加し、十分攪拌して感光性着色組成物Aを得た。
【0048】
<調製例3>感光性着色組成物B:緑色感光性着色組成物の調製
調製例1で得られたアクリル系共重合体 30.0質量部(固形分6.6質量部)、EGA 5.0質量部、フローレンDOPA−33(商標:共栄社化学株式会社製 分散剤 固形分濃度30質量%)3.3質量部、Pigment Green 36 6.6質量部を混合後1晩放置した。さらに1時間撹拌した後、3本ロールミル(株式会社小平製作所製 型式RIII−1RM−2)に4回通した。得られた緑色インキにEGAを加えて濃度調整することにより、固形分濃度18.0質量%の緑色着色組成物を得た。
このようにして得られた緑色着色組成物100質量部に更にジペンタエルスリトールヘキサアクリレート4.4質量部、4,4′−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.7質量部、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール2.3質量部、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート3.8質量部及びEGA 42質量部を加えて十分攪拌し、感光性着色組成物Bを得た。
【0049】
<調製例4>感光性着色組成物C:赤色感光性着色組成物の調製
調製例1で得られたアクリル系共重合体 30.0質量部(固形分6.6質量部)、EGA 5.0質量部、フローレンDOPA−33(商標:共栄社化学株式会社製 分散剤 固形分濃度30質量%)3.3質量部、Pigment Red 177 6.6質量部を混合後1晩放置した。さらに1時間撹拌した後、3本ロールミル(株式会社小平製作所製 型式RIII−1RM−2)に4回通した。得られた赤色インキにEGAを加えて濃度調整することにより、固形分濃度18.0質量%の赤色着色組成物を得た。該色組成物100質量部に、更に、ジペンタエルスリトールヘキサアクリレート4.4質量部、イルガキュア369(チバスペシャリティケミカルズ社製)3.0質量部、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート3.8質量部、及びEGA 42質量部を加えて十分攪拌し、感光性着色組成物Cを得た。
【0050】
<調製例5>感光性着色組成物D:青色感光性着色組成物の調製
調製例1で得られたアクリル系共重合体 30.0質量部(固形分 6.6質量部)、EGA5.0質量部,フローレンDOPA−33(商標:共栄社化学株式会社製 分散剤 固形分濃度30質量%)3.3質量部、Pigment Blue 15:6 6質量部、Pigment Violet 23 0.6部を混合後1晩放置した。さらに1時間撹拌した後、3本ロールミル(株式会社 小平製作所製 型式RIII−1RM−2)に4回通した。得られた青色インキにEGAを加えて濃度調整することにより、固形分濃度18.0質量%の青色着色組成物を得た。
このようにして得られた青色着色組成物100質量部に更にトリメチロールプロパントリアクリレート4.4質量部、2−(4−アミノフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン3.0質量部、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート3.8質量部、及びEGA42質量部を加えて十分攪拌し、感光性着色組成物Dを得た。
【0051】
実施例1
調製例2〜調製例5で作成した感光性着色組成物A〜感光性着色組成物Dをガラス板上(28mm×76mm)に1滴滴下し、室温にて24時間乾燥させた。
これをソルベッソ100(商標:エクソン化学社製、初留点164℃、乾点176℃)80gとN,N−ジメチルホルムアミド20gを混合した除去液中に3分間浸漬、静置し、表面に塗布された感光性着色組成物の洗浄除去を行った。その結果を表1に示す。
【0052】
実施例2〜24、比較例1〜5
表1に示す組成の除去液を用いて、実施例1と同様に感光性着色組成物の除去を実施した。その結果を表1に示す。
【0053】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板もしくは半導体ウエーハに感光性組成物皮膜を形成する工程における基板の周辺部、縁辺部もしくは裏面部の未硬化の顔料を含有する感光性組成物皮膜の除去、または装置部材もしくは器具の表面に付着した未硬化の顔料を含有する感光性組成物の除去に用いられる除去液であって、
(a)炭素数が9以上の芳香族炭化水素が10〜40質量%、
(d)グリコールエーテル類、カルボン酸エステル類、ヒドロキシカルボン酸エステル類、ケトン類およびアルコキシカルボン酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも1種であるその他の溶剤が30〜90質量%、
であり、かつ、
除去液全量に対し、(a)と(d)成分の合計が50〜100質量%となる量であることを特徴とする感光性組成物除去液。
【請求項2】
前記(a)と(d)成分の合計が100質量%となる量である請求項1に記載の感光性組成物除去液。
【請求項3】
前記炭素数が9以上の芳香族炭化水素が、沸点150〜250℃のアルキルベンゼン類であることを特徴とする請求項1または2に記載の感光性組成物除去液。
【請求項4】
前記炭素数が9以上の芳香族炭化水素が、炭素数が9または10の芳香族炭化水素を中心として含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【請求項5】
前記(d)成分としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを30〜56質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【請求項6】
前記(d)成分としてシクロヘキサノンを40〜67質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【請求項7】
グリコールエーテルカルボキシレート類を含む請求項1および3〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。
【請求項8】
顔料を含有するアクリル系感光性組成物の除去に用いられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性組成物除去液。

【公開番号】特開2010−231223(P2010−231223A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108615(P2010−108615)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【分割の表示】特願2004−337653(P2004−337653)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】