説明

感染性アッセイ

標的細胞をTSE因子感染させる方法を提供し、該方法は、i)該標的細胞と膜調製物とを接触させる工程であって、該膜調製物がTSE因子およびドナー膜を含む、工程;およびii)該標的細胞を該TSE因子に感染させる工程を含む。また、ドナー膜およびTSE因子を含有する膜を含む隣接する膜を提供し、該TSE因子が、CJD、vCJD、家族性CJD(例えばFFIまたはCSS)、医原性CJD、BSE、ヒツジBSE、およびCWDからなる群から選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染細胞系(好ましくは安定にトランスフェクトされた細胞系)を生成するためにTSE因子による細胞培養系の感染を促進する方法に関する。本発明はまた、TSE因子を検出およびTSE疾患を診断するための、そしてTSE疾患の治療に適した治療薬を同定するための、感染細胞系の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
伝染性海綿状脳症(TSEs)は、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)およびクールー病、ウシにおけるウシ海綿状脳症(BSE)、ならびにヒツジにおけるスクレイピーを含む、一群の関連した神経変性障害である。TSEsは、家族性、散発性または医原性疾患として、人口100万人につきおよそ1例の頻度で存在する(Will、1993)。しかしながら、1990年代の英国における変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の出現(おそらくはBSE感染した食肉製品の消費による(Bruceら、1997;Hillら、1997))は、CJD発生率がよりずっと高いレベルとなる可能性を生じさせた。
【0003】
TSE疾患の伝染性の特質は、プリオンと称される独特の感染体によるものであり、プリオンは核酸成分を有さないことが提言されている(Prusiner 1982)。TSE疾患は、正常細胞プリオンタンパク質(PrP)の変異型(PrPSc)の形成によって特徴づけられる。変異型プリオンであるPrPScには、物理的および化学的な分解に対する高い耐性がある。特に、PrPScには、正常プリオンであるPrPと比較して、高いプロテアーゼ耐性がある。
【0004】
プロテアーゼ耐性プリオンは、突然変異の結果として遺伝によって(すなわち家族性TSE疾患)、または未だ不明確なメカニズムによって散発して(すなわち散発性TSE疾患)発生し得る。加えて、プロテアーゼ耐性プリオンは、正常型プリオンの外生的耐性プリオンへの曝露(例えば、感染した血液の輸血によって、組織移植/移植手術によって、または汚染された医薬品/外科用器具への曝露によって)後の「感染」によって発生し得る(すなわち医原性TSE疾患)。
【0005】
農業および肉レンダリング産業においては、BSEに感染した屠殺肉とヒトによる消費が予定されている肉との間の交差汚染の危険性を低減するために、厳格な実施が採用されている。しかしながら、特に、動物が疾患の初期段階にあって、そのため感染したTSE宿主として検出されない場合には、依然として、BSE感染動物が食肉処理場で意図せずに加工され得る。BSEに感染していることがわかった材料の廃棄においてもまた、特に、廃棄作業で用いられた器具が、次いで十分に殺菌されないまま通常のレンダリング実施に再利用される場合には、重大な危険性がある。
【0006】
PrPSCプリオンのタンパク質分解耐性の特質のため、標準的な殺菌方法によって、ほとんど影響を受けない。このように、異例の安定性、多様な伝染経路、ならびに診断および検出に伴う問題が組み合わさって、重大な公衆衛生上の結果をもたらす。
【0007】
特に、外科手術、移植または輸血によるヒトプリオン障害の伝染の危険性レベルを定めることは困難であると実証されている。神経外科手術(Bernoulliら 1977;Brownら、2000)、硬膜の移植(Anon 1987;Brookeら、2004)、およびヒト成長ホルモンの使用(Brownら、2000;Swerdlowら、2003)(これらはすべて疾患の散発型が関与する)による伝染の例が、文書で十分に裏付けられている。通常の手術による伝染の可能性もまた存在し、いくつかの研究は、散発性CJD率の増大が、個人が経験したことがある外科手術の数に伴って増加することを示唆している(Collinsら、1999;Wardら、2002)。
【0008】
発症前または無症状レベルのいずれかでの疾患の長い潜伏期間(HillおよびCollinge、2003により概説されるような)のため、現在疾患を保有している人数を推定できない。これらの保有者はすべて、彼らの発症が続くかどうかに関わりなく、他人(特に、より感染しやすい遺伝子型の人)に、上述の経路のいずれかによって疾患を伝染させ得る。
【0009】
vCJDの出現により、その表現のいくらかの局面がより従来の形態とは著しく異なるので、危険性レベルの推定がはるかに困難になった。一例として、vCJD因子は、扁桃腺および虫垂などのリンパ組織(Hiltonら、2002;Joinerら、2002)および末梢神経系(Herzogら)で、ずっとより高いレベルで見出される。これらの特徴は両方とも、これらの組織に関わる外科的処置の数が中枢神経系の手術と比較してずっと多いため(プリオン物質は散発性CJD患者由来の骨格筋で見出されたが−Glatzelら、2003)、vCJDは医原性の伝染である可能性が従来型のCJDよりもさらに高いことを示唆する。現在は、vCJDは少なくとも輸血によって伝染し得る(Llewelynら、2004;Pedenら、2004)という十分な裏付けがあり、そしてこれは、通常の手術および汚染された外科用器具の取扱いに伴う危険性をさらに増大させる。
【0010】
不確実性の鍵となる領域は、一部、TSE疾患を研究するための適切な検出および/または診断ツールの欠如から生じ、ヒトおよび動物の両方のTSE疾患の取扱いにおいて、重大な問題を生じる。
【0011】
BSEに感染している疑いのあるウシ由来の脳材料の死後分析については、数多くの方法が開発されており、そしてこれらはシカの慢性消耗病の診断法に適用されている。しかし、現在、動物における生前試験のための方法はない。
【0012】
ヒトTSE疾患のすべての形態の検出および診断は、現在利用できる認証された検出方法がないために、非常に困難である。したがって、TSE疾患に感染している疑いのある人々の診断は、第1の診断基準としては神経生理学的測定および行動スコアを行い、扁桃腺生検から非常に困難である裏付けをとり、そして死後になって初めて確認する。この点において、扁桃腺生検は、診断に有用な裏付けデータを提供しているものの、現在決定的なものではなく、そしてスクリーニング目的の診断使用にはつながらない。特に、扁桃腺生検の有用性は、vCJDの検出に限定される(vCJDプリオン因子は、家族性、散発性または医原性形態のCJDでは扁桃腺組織で有意レベルでは見出されないため)。
【0013】
TSE系統の起源の同定が因子の起源を同定するのに役立ち、そして感染経路に関する価値ある証拠を提供し得るため、TSE系統型の同定は、引き続き研究の重要な領域である。異なるTSE系統の起源を同定するための公知の方法としては、生化学的方法(未だ完全には解明されていない)および多様な動物系統を用いて単離された系統の相対的な感染力を定めるバイオアッセイが挙げられる。これらの研究は、時間がかかり、費用が高く、そして、潜在的に多くの動物を用いる作業は倫理的な影響がある。
【0014】
したがって、TSE系統の検出および培養に適した方法が利用できることは、動物実験への依存を減少させることができる点だけでなく、診断に要する費用および時間を減少させる点からも、非常に価値がある。
【0015】
それらの診断可能性に加えて、TSE因子に一時的にまたは安定して感染した細胞系は、感染の病原を妨げ、そして細胞侵入および死へと導く根底にあるプロセスを精査することができる薬物のスクリーニングのために、非常に有用なモデルとなる。
【0016】
したがって、TSE感染可能な細胞系の開発は、TSE疾患の治療法の発展のために特に有用である。多くの細胞モデルが提案されているが、そのようなモデルの非常に限られた数だけが、TSE系統を安定して伝播できることが立証されている。文献に記載された細胞系は、使用できる感染因子の範囲によって、厳しく制限される。さらに詳細には、限られた数の細胞系だけが、非常に限られた範囲のTSE因子によって感染され得る。
【0017】
公表されている唯一の組み合わせは、RMLスクレイピーに感染したN2a、SMBまたはGT7細胞系である(例えば、WO 02/059615およびWO 03/081249参照、これらはN2a/RML感染システムを記載)。
【0018】
一刊行物(Arjonaら、2004)が、ヒトプリオン因子(散発性CJD)によるGT1およびN2a細胞系の感染を引用している。これらの結果はまだ立証されていないが、この文献は、非常に限定されたCJD系統を用いた感染を記載しており、なぜ特定の細胞型が特定の因子によってのみ感染され得るかについてより広範な問題に対処したものではない。
【0019】
多くの他のグループが、BSE、CJD、スクレイピーの他系統および他のTSE因子で細胞系を感染させようと試みたが、成功しなかった。他のTSE系統(例えば、BSEおよびvCJD)のための細胞感染モデルを生成できない理由は明らかでないが、TSE感染時に見られるような、感染因子の安定した伝播と細胞死との間の微妙なバランスの維持が必要であることに関連し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、当該分野において、種々のTSE因子/系統の感染および/または伝播を支持することが可能であり、したがって、TSE疾患の診断および/または潜在的な治療薬のスクリーニングに有用であり得る、細胞感染モデルが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、TSE因子による標的細胞の感染方法を提供することによって、当該分野においてこの必要性を満たし、この方法は、
i) 該標的細胞を膜調製物と接触させる工程であって、該膜調製物は該TSE因子およびドナー膜を含む工程;および
ii) 該標的細胞を、該TSE因子に感染させる工程
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
TSE因子は、好ましくは、CJD、vCJD、散発性CJD、家族性CJD、医原性CJD、BSE、ヒツジBSE、およびCWDからなる群から選択されるものである。さらなる実施態様では、TSE因子はスクレイピーであり得る。
【0023】
好ましい実施態様では、TSE因子の供給源は、リンパ組織(例えば、扁桃腺、虫垂、直腸の良性リンパ濾胞性ポリープ(rectal tonsil))、神経組織(例えば、脳、中枢神経系)、および血液(例えば、リンパ球)からなる群から選択される。1つの実施態様では、上記組織/血液は、ヒト起源であり得る。別の実施態様では、上記組織/血液は、ウシ起源であり得る。さらなる実施態様では、上記組織/血液は、ヒツジ/シカ起源であり得る。
【0024】
本発明の方法によって、細胞は、感染性TSE因子への曝露の初期段階の間、細胞死に耐えることができ、したがって、これらの細胞は、その後の増殖および細胞分裂の間、因子を安定して伝播できる。1つの実施態様では、本発明の感染細胞系は、少なくとも2週間、代表的には少なくとも4週間の安定性を示す。好ましい実施態様において、感染細胞系は少なくとも2か月、好ましくは少なくとも3か月、より好ましくは少なくとも4か月の安定性を示す。
【0025】
本発明の方法は、細胞系とTSE因子との新規な組み合わせの感染を可能にする手段を提供し、それによって「種の壁」を克服する。特に、本方法は、CJDのための診断モデルの確立に適している。
【0026】
以下により詳細に記載するように、本発明の方法は、TSE疾患の診断および潜在的な薬物候補のスクリーニングのために有用な多くの用途を有する。
【0027】
本発明の1つの実施態様では、感染材料の供給源(例えば、感染した動物の脳、組織または血液(例えばBSE−301V感染VMマウス脳))は、標的細胞の最終感染の前に中間(すなわちドナー)膜調製物と混合される。この混合は、その後の標的細胞感染の前に、特定の混合工程で、そして好ましくは全細胞が実質的に存在しない状態で、実施される。この混合工程は、TSE型と最終標的細胞との間の適合性の向上に役立つ。
【0028】
1つの実施態様において、感染因子は、ドナー膜調製物と混合する前に精製されない。この点において、感染因子が膜調製物の一部として存在することが好ましい(すなわち、感染因子は、好ましくは、全細胞を除去するために精製されるが、膜成分は保持される)。
【0029】
感染因子を中間(すなわちドナー)膜に導入することによって、因子は隣接する膜に組み込まれるようになり、その後に細胞感染が起こるのに有利であるように提示される。この点において、PrPSCによるPrPの細胞媒介変換の1つのメカニズムが、無傷のPrPSCがそのGPIアンカーを含む標的細胞へジャンプし、そして次いで他のPrP分子に対してシスに作用することを伴うと仮定されている(Hooper、2002)。PrPSCを中間(すなわちドナー)膜へあらかじめ挿入することによって、本発明の方法は、感染因子と標的細胞との間での直接的な細胞接触の明白な要求をなくし、そして、プロセスの全体効率を向上させる。
【0030】
1つの実施態様では、カベオラ様ドメインのような細胞特異的補因子が、中間(すなわちドナー)膜調製物に存在する。存在する場合、これらの補因子は感染の初期段階を補助し得、そして、エンドサイトーシスおよび様々な細胞内コンパートメントへの輸送を容易にする付添い役として個々に作用し得、そして異なる細胞プロセスに影響を及ぼす。例えば、感染因子のリソソームへの輸送は、その細胞小器官の阻害または過負荷を引き起こし得、これにより、細胞がさらなる感染分子を除去/分解する能力が弱められる。したがって、感染因子のこれらのコンパートメントへの輸送は、細胞が安定して感染していることおよびその後の世代も感染したままであることを確実にするのに役立ち得る。
【0031】
1つの実施態様では、本発明の中間(すなわちドナー)膜(組み込まれた感染因子を含む)は、標的細胞に直接影響を及ぼす。この点において、本発明の使用では、上記膜(例えばミクロソームまたはエクソソームの形態で)が、エンドサイトーシス経路を用いて標的細胞へと輸送される。これらの経路は、標的細胞の分解経路(例えばリソソーム)につながり得、過負荷になり、その結果、感染因子が標的細胞内で定着することが可能となる。
【0032】
細胞は代表的には24〜96時間、感染因子に曝露される。正確な時間は、接種物の濃度に依存し、「より弱い」調製物にはより長いインキュベーションが必要であり得、または逆に、曝露によって細胞死が認められる場合には、より短い時間であることが必要であり得る。接種物は、培地を変えることによって除去され、そして感染の程度は、例えば以下の実施例に記載されているような、PrPSC検出のための免疫学的方法によってモニターされる。曝露してからおよそ1〜2週間後、一時的に感染した細胞の集団は、死滅するかまたは安定して感染されるようになるかのいずれかとなる。これらの細胞系は、約3〜4ヶ月間の寿命であり、必要に応じてPrPSCまたはそれらの独特の形態を失うことなく分裂することができる。
【0033】
広範囲にわたる異なる型の膜調製物が、本発明の「ドナー」として用いられ得る。好ましくは、ドナー膜は、実質的に細胞を有さない調製物の形態で存在する(すなわち、無傷の核を含む全細胞を含まない)。好ましくは、ドナー膜は、実質的にプリオンを有さない(特にPrPSCを有さない)。好ましくは、ドナー膜は、感染因子(すなわちTSE)供給源の材料の細胞型とは異なる細胞型である。
【0034】
遠心分離は、膜画分(例えばミクロソーム膜またはエクソソーム膜)の富化のためのほとんどの方法の基礎を形成する。一例として、全粗ミクロソーム画分が、比較的簡単な差異を基としたアプローチを用いて調製され得る。このようなアプローチは、あらゆる型の細胞膜由来の小胞を含む膜の単離を可能にする(例えば、原形質膜、小胞体およびゴルジを含む)。上述の膜が由来する細胞内小体の多くがPrPSC(感染因子と推定される)と結合している。したがって、この型の調製物は、感染に必要とされる任意の必要な補因子とともに、プロセシングの様々な段階でプリオン因子の細胞外形態および細胞内形態の両方と結合される膜の供給源を提供する。
【0035】
あるいは、原形質膜またはエンドソーム膜が富化された調製物のような富化画分が用いられ得る。この点において、原形質膜およびエンドソーム膜は、プリオン伝播のための主要な部位のうちの1つであると考えられる。
【0036】
種々の従来の富化技術が、ミクロソーム画分の精製のために用いられ得る−例えば、密度勾配遠心分離および/またはTriton X−114を用いた温度依存性の相分離(Bordier C、1981)。
【0037】
例えば、Triton X−114を用いた温度依存性の相分離は、界面活性剤耐性脂質「ラフトドメイン」(またはカベオラ様ドメイン)の単離を促進する。これらのドメインは、高レベルの感染力を有することが示されている(Safarら、1990)。これらのドメインはまた、PrPのPrPSCへの変換においても重要であることが示されている(Taraboulos、1995)。
【0038】
感染材料および中間(すなわちドナー)細胞膜調製物の混合は、任意の従来の方法で実施され得る。例えば、このような方法は、単純な混合、膜調製物による感染材料のせん断、ならびに、限られた細胞破砕およびその後の融合による融合膜調製物の生成を含む。
【0039】
異なる方法論が、感染因子とドナー膜調製物との間、および/または得られた融合膜調製物と標的細胞との間の相互作用を促進するために用いられ得る。例えば、無傷の抗体産生B細胞と黒色腫細胞型との融合によって不死化抗体産生細胞系を作出するために、ポリエチレングリコール(PEG)が用いられることが知られている。PEGはまた、粗細胞溶解物/富化膜調製物と感染源からの類似材料との融合にも用いられ得る。同じことが、得られた融合膜調製物と標的細胞との最終的な融合に適用される。水について競合する他のポリマー(例えばデキストランおよびポリビニルピロリドン(PVP))もまた、異なる膜種間の分子間相互作用を増加させ得る。他の脂質(例えばDNAトランスフェクション剤、O−アルキルホスファチジルコリン)もまた、膜融合を促進するために用いられ得る。
【0040】
感染因子とドナー膜との間(また、得られた融合膜と標的細胞と間)の相互作用を促進するためのもう1つの手段は、細胞培地に化学薬品を添加することによって、細胞の溶解および精製の前に脂質二重層それら自身に存在する脂質含有量を変えることである。したがって、1つの実施態様では、感染因子、ドナー膜および/または標的細胞が、感染プロセスを妨害し得る細胞表面成分を除去する、または、感染因子およびドナー膜の場合では、潜在的に感染プロセスを増強する画分(例えば細胞膜の副画分、脂質ラフトまたはエンドソーム膜)を富化するように処置される。一例として、グリセロールモノオレエート(monoleate)、オレイン酸およびアラキドン酸はすべて、二重層を脱安定化し得、そしてしたがって、膜融合を促進することが知られている(Mcintosh、1999)。さらに、フモニシンB1などのセラミドシンターゼ阻害剤の添加は、脂質ラフト中に存在するスフィンゴ脂質の量を減少させる。これは、感染細胞中のPrPSCレベルの増加に至ることが示された(Naslavsky、1999)。
【0041】
1つの実施態様では、超音波処理が、膜の脱安定化に用いられ得、それによって、感染因子とドナー膜との間の、および/または融合膜(すなわち、組み込まれた感染因子を伴うドナー膜)と標的細胞との間の相互作用を促進する。
【0042】
このように、膜融合の程度は、物理的手段と化学的手段との組み合わせを用いて制御され得る。
【0043】
1つの実施態様では、感染に用いられる標的細胞系は、感染因子(すなわちTSE因子)が検出された動物種および/または細胞型と適合し得る。一例として、マウス神経芽腫細胞系N2aは、マウスで継代したBSE−301VまたはvCJDによって感染され得る。また、一例として、ヒト神経芽腫細胞系(例えば、Kelly、NB69およびSK−N−SH)は、ヒトvCJD材料によって感染され得る。ウシまたはマウスを起源とする、後根神経節由来の初代のまたは不死化された非神経細胞が、BSEまたはマウス継代BSE材料による感染の標的としてそれぞれ用いられ得る。加えて、非神経ヒト細胞(例えば、腸由来のCaco−2細胞系)が、vCJD材料による感染の標的として用いられ得る。
【0044】
好ましい実施態様では、標的細胞系および感染因子が検出された細胞系が、両方ともウシである。より好ましい実施態様では、標的細胞系および感染因子が検出された細胞系が、両方ともヒトである。
【0045】
他の実施態様では、感染に用いられる標的細胞系は、TSE因子が検出された動物種/細胞型と適合する必要はなく、混合種感染を生じる。一例として、マウスN2a標的細胞系は、ヒトvCJDまたは非変異型CJD材料(例えば、この疾患の家族型または散発型)によって感染され得る。神経表現型のラットPC12細胞系は、ヒトvCJDまたは非変異型CJD、またはBSE材料によって感染され得る。ヒト非神経芽腫細胞系(Caco−2)は、非ヒト材料(例えば、マウスで継代したBSEまたはスクレイピー)によって感染され得る。
【0046】
したがって、1つの実施態様では、マウス細胞系が、モルモット感染因子(例えば、モルモットスクレイピー)によって感染され得る。
【0047】
対応する選択基準は、使用される中間(すなわちドナー)膜の選択に適用され得る。この選択は、例えば、上述されているような、ドナー膜とのおよび/または感染因子が検出された動物種/細胞型との適合に基づき得る。好ましい実施態様では、その選択は、ドナー膜と標的細胞との間の適合に基づく。一例として、マウスN2aドナー膜が、ネズミ細胞系(例えば、Na2)を感染させるマウス継代BSEと組み合わされ得る。Kelly細胞由来のヒトドナー膜が、ヒト細胞系を感染させるvCJD材料または非変異型CJD材料と組み合わされ得る。その適合は、好ましくは種レベルで行われるが、細胞型レベルでもまた(または個々に)行われ得る。
【0048】
しかしながら、他の実施態様では、適合基準が、ドナー膜との間および/または感染因子が検出された動物種/細胞型との間に適用される必要はない。一例として、N2a細胞由来のネズミドナー膜が、ヒト材料(例えば、ヒト派生細胞系を感染させるvCJD材料または非vCJD材料)と組み合わされ得る。逆に、NB69細胞由来のヒト膜が、ネズミ派生細胞を感染させるマウス継代BSE材料と混合され得る。
【0049】
好ましい実施態様では、動物種および細胞型の適合する組み合わせが使用される。例えば、慢性消耗病(CWD)感染材料が、ヒトまたはマウス神経芽腫細胞系由来のドナー膜と組み合わせられる。次いで、この融合物が、ドナー膜を提供したのと同じ細胞型に接種するために用いられ、このように、CWDに感染したマウスまたはヒトの細胞系を作出する。
【0050】
生成され得る混合種/材料の多様性を増加させるために、感染させる標的細胞型は、感染材料が由来する種および/または細胞型へとより密接に適合するように改変され得る。例えば、一例としてvCJD感染材料に感染させるN2a(すなわちマウス)標的細胞型を用いることで、標的細胞系は、まず、RNA干渉(RNAi)によって内生ネズミPrPの発現を「ノックアウト」するように改変され得る。次いで、従来の組み換え型発現技術を用いて、このノックアウト細胞系が、ヒトPrP遺伝子を発現するように改変される(すなわちN2ahPrPc細胞)。この新たな細胞型から中間(すなわちドナー)膜が精製され、vCJD感染因子と混合され、そして次いで、本来のN2ahPrPc標的細胞系を感染させるのに用いられる。同様のアプローチが、この疾患の家族型または散発型に用いられ得る。
【0051】
上述の「トランスジェニック」ドナー膜はまた、野生型標的細胞系の感染を促進するためにも用いられ得る。N2aの例を用いて、膜をN2ahPrPc細胞型から精製し、vCJDと混合し、そして次いで、GT1系統などの未改変型ネズミ神経芽腫細胞型を感染させるために用いる。
【0052】
他の組み合わせとしては、シカPrPを発現するようにネズミまたはヒト神経芽腫細胞系を改変してCWDインビトロアッセイを作出することが挙げられる。
【0053】
より複雑な「トランスジェニック」ドナー膜は、標的細胞由来の膜と感染因子と同じ種の非感染細胞系由来の膜とを融合させることによって使用され得る。再度、N2aの例を用いるが、N2a精製膜を、ヒト神経芽腫細胞系(例えば、Kellyの細胞系)由来の精製膜と融合し、複雑な「トランスジェニック」膜調製物を作出する。これは、第2の工程でvCJD因子と融合され、そしてN2a細胞系を感染させるために用いられる。さらに、同様のプロセスが、ヒト神経芽腫細胞系(例えば、NB69の細胞系)をマウスで継代したBSEまたはCWDに感染させるために用いられ得る。
【0054】
本発明の第2の局面によれば、細胞試料中のTSE因子の存在を検出する方法を提供し、この方法は、
iii) 該標的細胞を膜調製物と接触させる工程であって、該膜調製物がTSE因子およびドナー膜を含む、工程;
iv) 該標的細胞を該TSE因子に感染させる工程;および
v) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程、
を含む。
【0055】
本発明の第1の局面について上述したすべての実施態様は、本発明の第2の局面に同様に適用される。
【0056】
本発明のこの局面の使用によって、TSE因子(感染試料中に存在する)は、容易に継代され得、それにより、それについて検出および必要に応じて系統型決定(例えば、抗体検出またはDNA配列決定によって)に適した量を提供する、上記TSE因子を伝播するための簡易で迅速な手段を提供する。
【0057】
本発明の方法によって製造される細胞系の適用の一領域は、感染プリオン因子の存在について、潜在的に感染した試料(例えば、献血(例えば白血球))をチェックする能力にある。この点において、血液中で同定された感染プリオン因子は、異なる画分に付随しており、感染の約50%が細胞外にあり、そして50%が白血球に付随する。白血球は、疾患の伝染の可能性を減少させるために、イギリスを含む多くの国において、通常献血から除去され、そして、この材料は、本発明の細胞感染モデルによる試験に理想的である。
【0058】
しかしながら、vCJDおよびスクレイピーでは、血中に比較的大きな感染力が見られるのに対して、CJDのほとんどの散発型および家族型の場合にはそうではない。これらの感染因子の検出は、感染力を示しそして試料採取が無理なく可能な試料および/または組織(例えば、種々の周辺組織または脳脊髄液)の同定に依存する。組織試料中のプリオン因子の検出についての原理は、血液について記載されたものと同様である(Head、2004)。
【0059】
交差感染のもう1つの潜在的リスクは、細胞培養物由来の生物学的製剤の製造のための動物製品の使用から生じる。この点において、細胞系が、内生のTSE因子によって汚染されたり、および/または、感染が、細胞系の増殖または培養に用いられる動物起源の材料(例えば、ウシ胎児血清)から導入されたりし得る。本発明の方法は、これらの状況(そこでは、感染材料の量が、ウエスタンブロッティングのようなインビトロ試験によって提供される感度のレベルよりもかなり低いと思われる)において、TSE因子の検出に特に有用である。
【0060】
本発明の第3の局面によれば、細胞試料中に存在するTSE因子の系統型の存在を検出する方法を提供し、この方法は:
i) 試験TSE因子を、別々のアッセイにおいて、複数のドナー膜調製物と接触させる工程であって、各々のドナー膜調製物は、異なる動物種由来の膜を含む、工程;
ii) 各々のアッセイにおいて、該TSE因子と該それぞれのドナー膜とを混合し、複数のTSEドナー膜混合物を提供する工程;
iii) 複数の該TSEドナー膜混合物を、別々のアッセイにおいて、標的細胞と接触させる工程;および
iv) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、ここで、TSE因子が検出される標的細胞の該ドナー膜成分の動物種が、該試料中の該TSE因子の系統型を示す。
【0061】
同じ実施態様のバリエーションは:
i) 試験TSE因子を、別々のアッセイにおいて、複数のドナー膜調製物と接触させる工程;
ii) 各々のアッセイにおいて、該TSE因子と該それぞれのドナー膜とを混合し、複数のTSEドナー膜混合物を提供する工程;
iii) 複数の該TSEドナー膜混合物を、別々のアッセイにおいて、複数の標的細胞と接触させる工程であって、各々の標的細胞は、異なる動物種由来である工程;および
iv) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、ここで、TSE因子が検出される標的細胞の動物種が、該試料中の該TSE因子の系統型を示す。
【0062】
本発明の第1の局面に関して記載したすべての実施態様は、本発明の第3の局面に同様に適用される。
【0063】
その速さおよび感度を考えれば、1つの実施態様では、本発明の方法は、系統型決定にもまた有用である。TSE系統間の区別は、問題のTSE因子に対する感受性が異なる多様な標的細胞(または多様なドナー膜)の使用によって達成される。一例として、ヒツジにおけるBSE感染の診断は、本発明に従って種々の標的細胞系と共にヒツジ脳材料をインキュベートすることによって達成され得る。その結果、感染因子は、その因子に感染しやすい細胞系のみを感染させる。あるいは、細胞系が、感染に対して種々の感受性を示し得る。上記のBSEの例を参照して、感染のパターンは、例えばスクレイピーまたはCJDとは異なり、異なる細胞系について異なる選択性を示す。
【0064】
この選択性を達成するために、標的細胞系は、多くの異なる動物種に由来し得る。あるいは、選択性を達成するために、標的細胞系は、種々の従来の因子を用いて、細胞応答を変更するように区別され得る。さらに他の選択肢として、標的細胞系は、細胞系の表面化学作用を変えるように異なる従来の糖タンパク質/糖脂質改変剤で処理され得る。適切な技術および試薬は、従来通りである(Naslavsky、1999)。
【0065】
本発明の第2の局面と同様に、感染が、好ましくは、PrPSCへの抗体の結合によって、そして、例えばウエスタンブロッティング法またはELISA法によるその後の視覚化によって、検出される。
【0066】
本発明の第4の局面によれば、TSE因子に対する汚染除去技術の有効性を評価する方法を提供し、この方法は:
i) 該TSE因子を該汚染除去技術に曝露する工程;
ii) 第1の標的細胞と試験膜調製物とを接触させる工程であって、該試験膜調製物が、曝露されたTSE因子およびドナー膜を含み、そして、該標的細胞を、該曝露されたTSE因子に感染させる、工程;
iii) 第2の標的細胞を、コントロール膜調製物と接触させる工程であって、該コントロール膜調製物が、曝露されていないTSE因子およびドナー膜を含み、そして、該標的細胞を、該曝露されていないTSE因子に感染させる、工程;および
iv) 該第1および第2の標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、
ここで、該第2の細胞と比較した該第1の細胞中のTSE因子の減少が、該汚染除去技術が効果的であることを示す。
【0067】
本発明の第1の局面に関して記載したすべての実施態様は、本発明の第4の局面に同様に適用される。
【0068】
1つの局面では、第1および第2の標的細胞は、同じ動物種由来であり、好ましくは、両方とも、ヒト、ヒツジ、ウシ、マウスおよびシカからなる群由来である。
【0069】
1つの局面では、標的細胞は、同じ細胞型(例えば、神経細胞(例えば神経芽腫細胞)、または線維芽細胞)である。
【0070】
1つの局面では、試験膜調製物およびコントロール膜調製物のドナー膜成分は、同じ動物種由来(好ましくは、両方とも、ヒト、ヒツジ、ウシ、マウスおよびシカからなる群由来)である。
【0071】
任意の汚染除去技術がこの方法を用いて評価され得る。この汚染除去技術には汚染除去プロセスおよび/または汚染除去化学薬品が含まれる。
【0072】
「曝露されたTSE因子」の表現は、汚染除去技術に曝露されたTSE因子を意味する。したがって、「曝露されていないTSE因子」は、汚染除去技術に曝露されていないTSE因子である。
【0073】
1つの局面では、TSE因子は、溶液中で汚染除去技術に曝露され得る。汚染除去技術への曝露の後、試料は、処理された因子を汚染除去技術から分離するために、さらなる処理(例えば、遠心分離および/または洗浄)を必要とし得、それによって、標的細胞とのインキュベーションの後の過度の細胞死を防ぐ。
【0074】
あるいは、TSE因子は、固相(例えば金属ディスク)上で、汚染除去技術に曝露され得る−それによって、外科用器具に用いるための汚染除去技術の評価がなされることを可能にする。したがって、1つの局面では、本発明の第4の局面は、汚染除去技術(例えば、清浄化または滅菌技術)に曝露する前に、TSE因子を固相上ですっかり乾燥させる初期工程をさらに含む。ドナー膜は、処理された固相と共にインキュベートされ得、融合および変換事象の発生を可能にする。
【0075】
本発明の第2および第3の局面と同様に、感染が、好ましくは、PrPSCへの抗体の結合によって、そして、例えばウエスタンブロッティング法またはELISA法によるその後の視覚化によって、検出される。
【0076】
汚染除去技術の有効性は、試験融合物に対して感染した細胞の数を、コントロール融合物から感染した細胞の数と比較することによって、感染力の対数(log)減少として評価され得る。したがって、本発明の第4の局面は、異なる汚染除去技術の有効性の直接比較がなされることを可能にする。
【実施例】
【0077】
実施例1−プリオン因子による神経芽腫細胞系の感染。
【0078】
感染脳材料からの膜調製物の生成
無傷細胞小器官をまず破砕した後、続いて、分画遠心分離によって膜を精製することによって感染膜画分を単離した。まず、粗20%(w/v)ホモジネートを、ストマッカーを用いてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)内で脳を均質化することによって生成した。得られた粗ホモジネートを、ハンドヘルドの安全乳棒付き乳鉢(PTFEプランジャーおよびガラス容器で構成される)を用いて、さらにせん断した。得られた微細な懸濁物を、3つの遠心分離工程に供した:工程1、1000g、5分間(大きな粒状物質を取り出すため);工程2、10000g、7分間(核およびミトコンドリアなどの無傷の細胞小器官を取り出すため);工程3、100000g、60分間(ミクロソーム膜をペレット化するため)。ミクロソーム膜を、PBS中で20%(w/v)に再懸濁し、必要とするまで−70℃で保存した。あるいは、より粗いミクロソーム膜調製物が必要な場合には、最後の遠心分離工程を、26000g、120分間とした。
【0079】
神経芽腫細胞系の培養、および感染用の調製
マウス神経芽腫細胞系(例えば、N2aまたはGT1)またはヒト神経芽腫細胞系(例えば、Kelly、NB69またはSK−N−SH)を、標準的な細胞培養技術を用いて培養した。用いた培地は、RPMI、DMEMまたはMEM:HAMS F12のいずれかを基礎とし、2mMのグルタミンおよび1%の非必須アミノ酸が存在するかまたは存在しない状態で、10〜15%のウシ胎児血清(FCS)を添加した。さらに、1〜5%の間のグルコースを、PrP発現のレベルを増加させ、そしてそれによって、感染プロセスを促進するために添加した。感染用の細胞を調製する場合、それらを、24ウェルプレートに、1ウェルにつき約1×10細胞の細胞密度を達成するために適切な比率を用いて分割した。細胞を分割してから2日後、感染させる準備ができた。
【0080】
膜細胞調製物の混合およびインキュベーション
この方法は、標的細胞に由来する膜関連補因子と感染因子を併用することが細胞モデルにおいて感染を補助することを新しく提示することとなる。
【0081】
以下の通り、感染させる標的細胞系を用いて、ミクロソーム膜画分を調製した。標的細胞を、上述と同じ条件下で増殖させた。約1×10細胞を得て、PBSで洗浄し、そして溶解した。細胞を、10mMのHEPES(pH7.5)+1mMのEDTA、プロテアーゼ阻害剤カクテル(完全、Roche Diagnostics GmBH)を含む緩衝液中で軽く再懸濁し、そして23Gニードルを5回通過させることによってせん断した。核の完全性を維持するために、500mMのスクロースを含む上記の溶解緩衝液を、同量添加した。懸濁液を、再度シリンジに通し、そして6000gで10分間遠心分離して、大きな粒状物をペレット化した。上清を15500gで4時間、4℃にて遠心分離した。得られた上清を廃棄し、ペレット(粗ミクロソーム膜調製物を含む)をPBSに再懸濁した。
【0082】
標的細胞由来の粗ミクロソームと、粗ホモジネートかまたは富化膜調製物のいずれかの形態での感染材料との融合を、100μgの標的ミクロソームに対して1500μgの感染材料の比率(すなわち、1:15の比率)で成分を組み合わせ、そして安全ニードルを通して合計3回シリンジに通すことによって得た。次いで、融合した材料の半分を、24ウェルプレートのウェルごとの標的細胞に添加した。
【0083】
感染細胞系の培養および分析
感染因子への曝露から2日後に、培地を交換し、細胞の増殖率をモニターした。増殖率は、感染後すぐに下降し始め、したがって、7〜10日間は、細胞を分割する必要がなかった。この状況で、細胞の生存能力を維持するために、細胞の上に新鮮な培地をさらに添加した。細胞を、コンフルエントになった時に2回分割し、そして次いで、感染力を分析した(下記参照)。感染細胞は、グルコースを添加した前述の標準的な細胞培養培地で維持し、そして必要に応じて分割した。
【0084】
細胞が感染した最初の兆候は、細胞死が認められ、残りの細胞が異形態を有していることである。感染細胞は、かなりな大きさの空胞形成を示し、細胞が感染性物質を分解しようとしつつあるので、事実上リソソームによるものであり得る。生存細胞は、主要な細胞体からの神経突起の伸長を生成した−このことは、分化事象が生じつつあることを示している。
【0085】
感染の確認は、Klohnら(2003)によって記載された方法に基づく細胞ブロット技術を用いて行った。分割後、96ウェルろ過プレート(Immobilon-P、Millipore)の1ウェル中に約5000細胞を入れ、そしてPBSで吸引洗浄し、そして1時間自然乾燥させる。
【0086】
PrPSCの存在を評価するために、乾燥した細胞を、37℃にて90分間、細胞溶解緩衝液(10mM Tris、150mM NaCl(pH 7.2)、0.5% デオキシコール酸塩、0.5% Triton)中で、5μg/mlのプロテイナーゼKで処理した。次いで、膜を、PBSで2回洗浄し、そしてプロテアーゼ阻害剤APMSF(PBS中で5mM)と共に室温にて25分間インキュベートした。膜上のタンパク質を、室温にて10分間、尿素緩衝液(10mMのTris中6Mの尿素、pH8.0)中で変性させた。膜をPBSで4回洗浄し、PBS中で5%のスキムミルクを用いて室温にて45分間ブロックし、そしてPBSで1回洗浄した。一次抗体6H4を、1%のスキムミルクを含むPBSTに1:1000の希釈率で添加し、そして膜を37℃にて1時間インキュベートした。膜をPBSTで4回洗浄し、そして次いで、37℃にて2時間、抗マウスアルカリホスファターゼ(PBST中で1/1000)と共にインキュベートした。膜をPBSTで4回洗浄した後、結合した抗体を、BCPT/NBT試薬を添加して検出した。発色の後、プレートを水で洗浄し、デジタルカメラを用いて映像化した。
【0087】
膜上のスポットのパターンは、細胞ブロット方法を用いた感染細胞の同定を可能にし、明白な感染細胞コロニーと関連付けられ、そして元の試験試料中に存在する感染レベルの概算を提供する。
【0088】
ELISpot計数装置の利用は、この方法を用いてスクリーニングされ得る試料の数を著しく増加させ、そしてマウスバイオアッセイに匹敵する感度を有する。
【0089】
感染のさらなる確認は、様々な異なる抗体による検出システムを用いることによって達成し得る。ウエスタンブロッティングを、細胞溶解物中にPrPSCを富化するためにリンタングステン酸(PTA)(Safarら、1998)を用いて行った。PTAは、溶液中に非感染型(PrP)を残しつつ、PrPSCを選択的に沈殿させる。5000〜20000の細胞を、300mlの10mM Tris/HCl(pH7.4)+1% NP40、1% Triton X−100、4% Sarkosylに溶解させた。PKを25mg/mlとなるように添加し、そして37℃にて1時間インキュベートした。Pefabloc(Roche Diagnostics GmbH)を1mMとなるように添加することによって消化を停止させ、そしてPTAを、170mM MgCl(pH7.4)の存在下で、0.3%となるように加えた。37℃にて16時間後、沈殿したPrPSCを、遠心分離によってペレット化し、上記のようにプリオン特異抗体(6H4)を用いたウエスタンブロッティングによって分析した。ブロットのバンド形成パターンはまた、系統型の同定を補助し得る(実施例8参照)。プロテイナーゼ感受性PrPSCアイソフォームを検出するために、PTA方法論を、コンフォメーション依存イムノアッセイ(CDI、Safarら、1998)に組み入れた。細胞抽出物を上述のように二連で調製し、一方のアリコートをGdnHClで変性した。ユウロピウムで標識された抗プリオン抗体(3F4)は、変性後のPrPSCのそのエピトープのみを認識し得るので、試料の天然型と変性型との間の抗体の結合比率によって、存在するPrPSCの量が、蛍光測定手段によって測定されることを可能にする。
【0090】
実施例2−モデル膜の相互作用および融合を促進するための方法
【0091】
異なる細胞型由来の膜の融合を促進するために、2つの成分を、細いニードルを通してせん断した(実施例1参照)。
【0092】
小胞の特徴付けのために、電子顕微鏡(EM)を、形成される粒子の粒径範囲を測定するために利用した。あまりに大きい(>250nm)小胞は、標的細胞によって効果的にエンドサイトーシスされ、その結果、感染に作用するようなものではないと思われる。しかしながら、生成された粒子の粒径範囲は、システムに入力するエネルギーを変えることによって、そして、異なる濃度の化学薬品を用いることによって、制御できる。加えて、EMは、好都合には、ミクロソーム膜調製物中の粗面小胞体(rER)由来の膜のパーセンテージの概算を可能にする。主要な細胞小器官由来の膜に特異的な一連のマーカー酵素を用いることによって、膜調製物の正確な構成はさらに特徴付け得る。例えば、5’−ヌクレオシダーゼ活性の測定は、原形質膜片の存在を示し、そして、b−D−ガラクトシダーゼ活性の測定は、リソソーム由来材料の存在を示す。
【0093】
実施例3−富化された原形質膜およびエンドソーム膜の単離。
【0094】
異なる型のドナー膜および/または感染因子が、感染を達成またはアッセイの選択性を変えるために用いられ得る。さらに富化された原形質調製物を調製するために、組織または細胞由来のホモジネートを低速回転に供し、粗ミクロソーム膜調製物を調製する。この工程で得たペレットを、71%のスクロースに再懸濁して、遠心管に移し、そして53%および42%のスクロースで覆って、100000gで1時間遠心分離する。高純度の原形質膜は、42%〜53%のところおよびそのちょうど上に帯状化する。異なる濃度のスクロースを用いて、リソソームまたはエンドソームのようなエンドサイトーシスに関する膜の精製もまた達成し得る。上記のスクロース勾配遠心分離技術をTriton X−100相分離と組み合わせることで、さらに高いレベルの精製を達成することが可能となり、膜内からの特定のミクロドメイン(「脂質ラフト」)の単離につながる。
【0095】
実施例4−プリオン感染因子の存在に関する献血のスクリーニング
【0096】
白血球は、通常、献血から除去され、そして様々なろ過装置が市販されており、それは当業者に知られる。献血および白血球除去(leukoreduction)の後に、フィルターユニットを分解し、そしてフィルターを洗浄して、白血球画分を単離する。
【0097】
白血球は、感染プロセスを促進するために、この時点で処理し得る。一例として、白血球は、特異的膜画分を単離するために、細胞表面からGPIで固定された感染プリオンを除去するために、または細胞糖タンパク質からグリコシル基を除去するために、上記の方法のうちの1つによって処理され得る。
【0098】
標的細胞系は、好ましくはKellyまたはNB69細胞(Schwab、1983)などのヒト神経芽腫細胞系であるが、他のヒト細胞系もまた、感染プロセスを支持するために適切であり得る。
【0099】
感染細胞画分(上記のように調製)を、23Gニードルを繰り返し通過させることによって、ドナー細胞膜調製物と共にせん断する。次いで、生存標的細胞を、融合に曝露した後、続いて、組織培養プレート上にプレーティングする。細胞を、7〜14日間、または感染が現れるために必要であれば場合によってはより長い期間培養し、そして細胞のペレットおよび/または上清を、ニトロセルロースまたはPVDF膜上へのELISpotによって収集する。
【0100】
ELISpotを、抗プリオン抗体(例えば6H4 Prionics)でプローブする。この抗体は、膜ろ過された調製物のプロテイナーゼK消化に耐性のあるエピトープを有する。これは、プロテアーゼ耐性のミスフォールド(mis-folded)PrPScの存在を同定するために行い、その存在が疾患の指標となると考えられている。あるいは、フィルターを、ミスフォールド型に特異的であって正常細胞型(PrP)を認識しない抗体でプローブする。好ましくは、抗体は、血液中に存在する感染プリオンの型に特異的であり、それによって、検出方法にさらなる特異性を提供する。陽性試料は、非感染細胞および正常白血球の陰性コントロールと比較した場合、プリオン免疫反応物質を有するとして同定されたものである。
【0101】
血液のユニットは、試験の結果がわかるまで隔離し、そしてプリオン感染性が陰性であれば、このユニットを、その後解放して使用する。
【0102】
実施例5−他の試料中の感染プリオンの検出
【0103】
散発性CJD
CFS試料を、散発性CJDを有する疑いのある個体から得る。試料を遠心分離して、CSFから無傷の細胞を単離し、これらには、星状細胞、神経膠および潜在的にいくらかの神経細胞が含まれると思われる(しかし神経細胞の存在はアッセイの成功には必須ではない)。細胞ペレットを、例えば標的細胞系(例えば、ヒト神経芽腫細胞(SK−N−SH細胞など))由来のドナー膜調製物と混合し、そして膜を、PEGの使用または類似の処理によって融合する。生存標的細胞を、融合膜調製物に曝露し、次いで、組織培養プレート上にプレートし、そして試料を必要な時間インキュベートする。感染を、直接またはプロテイナーゼKによる消化後のいずれかで適切な抗プリオン抗体でプローブされた膜を用いたELISpotによって検出する。
【0104】
必要に応じて、細胞系への感染材料の取り込みを最適化するおよび/または高めるために、実施例1〜3に記載のアプローチを用い得る。
【0105】
スクレイピー
第2の例は、疑いのあるヒツジの頬のスワブから単離した細胞からのスクレイピーの検出に関する。これらの細胞を、上記のような遠心分離によって収集し、標的細胞(例えば、N2aマウス神経芽腫細胞系)由来の膜調製物と混合する。必要に応じて、N2a細胞系においてヒツジPrPを発現しているトランスジェニック細胞系(生来のマウスprp遺伝子は、慣用の技術によってノックアウトされている)が、標的細胞系として用いられ得る。頬細胞を、例えば標的細胞由来のドナー膜調製物と共にインキュベートし、そして膜を、せん断または膜融合(上記のような)のいずれかによって合わせる。次いで、生存標的細胞を、融合膜と共にインキュベートし、そしてプレートし、そして前述のようにアッセイする。
【0106】
実施例6−プリオン感染に関する薬学的細胞培養系の試験のための細胞感染モデルの使用
【0107】
目的の標的細胞系を、必要に応じて標準的な条件下で増殖させる。細胞を、活発に増殖中の培養物から、または分化して細胞周期の進行を停止した培養物から採取する。遠心分離によって細胞を収集し、ペレット化し、そして細胞ペレットをドナー膜調製物(例えば、上記の方法のうちの1つを用いて調製した標的細胞由来の)と混合する。せん断または超音波処理に基づく融合方法は、このプロセスの間、ペレット化した細胞の溶解を確実にするために役立ち、そして、2成分系の効果的な統合を確実にするために役立つ。次いで、得られた膜融合を用い、標的細胞調製物に接種し、これをプレートしそして標的細胞を感染させるのに十分な時間増殖させ、次いで、アッセイのために十分な材料を提供するまで増殖させる。細胞は、次いでELISotまたはウエスタンブロットによって適宜感染が評価され得る。
【0108】
実施例7−抗プリオン薬物候補の試験のための感染細胞系の使用
【0109】
感染標的細胞系を、上記方法のうちの1つによって樹立する。1度樹立されると、細胞系は、抗プリオン活性の何らかの型を有すると提案された因子を試験するために用いられ得る。例えば、PrPSCに結合するモノクローナル抗体は、様々な濃度でそして経過時間を変更させて、細胞系と共にインキュベートする。細胞系を、抗体処理後のPrPSCの継続生産について評価し、そしてこれを、未処理の細胞コントロールおよび同じアイソタイプであるがPrPに指向しない抗体で処理した細胞と比較する。適切な抗体を用いたELISpotかウエスタンブロットのいずれかを用いて、抗体のプリオン伝播に関する効果を評価する。
【0110】
潜在的に興味深い候補を、細胞によって生成されたPrPSCのレベルを減少させるもの、および治療的使用と結びついた濃度でそうするものとして同定する。
【0111】
同様の方法は、PrPSCの蓄積を防ぐことを目的とする「遺伝子ターゲッティング」戦略を用いるための、および他の治療法のための、薬物候補のスクリーニングに適用される。
【0112】
実施例8−TSE系統型決定のための細胞感染モデルの使用
【0113】
異なる標的細胞系のパネルを、様々な異なる技術を用いてセットする。
【0114】
最初に、種々の異なる種および/またはPrP遺伝子型からの神経芽腫細胞モデルまたは他の標的細胞モデルを同定する。これは、例えば、ヒト神経芽腫細胞系(例えば、Kelly、NB69、SK−N−SH);マウス/ラット神経芽細胞腫(N2a、PC12);変更prp遺伝子を伴うトランスジェニック細胞系(例えば、ヒツジ、ウシまたはヒトprp遺伝子を伴うN2a);および脳の異なる部位由来の不死化細胞系(例えば、海馬、黒質、髄質、視床およびその他)を含み得る。
【0115】
これらの細胞系は、特定のタンパク質の糖付加パターンおよび/または細胞系の表面特性を変更する化学試薬(例えば、コレステロール合成、ガングリオシドが不足したN2a細胞系、グリコシルトランスフェラーゼ陰性細胞系(例えば、アルファ(1、2)フコシルトランスフェラーゼ)、グリコヒドロラーゼ陰性細胞系を変更する試薬、または同様の効果が得られる化学試薬)、または膜結合小胞の細胞内輸送を変更する化学試薬(例えば、ボツリヌス菌神経毒、ブレフェルジンA、バフィロマイシン)で、さらに処理され得る。研究に用いられる細胞系の正確なパネルは、感染因子およびその起源に依存し得る。
【0116】
系統型の評価のために、試料(例えば、脳または白血球)を、まず、上記プロトコールに従って種々の異なる標的細胞から精製されたドナー膜調製物と混合する。試験する細胞膜および感染因子を、適宜せん断するかまたはせん断することなく、一緒に混合し、そして感染させる対応する標的細胞系に適用し、そして細胞を組織培養プレート上にプレートする。細胞系を最低7日間増殖させ、そして細胞感染をELISpotおよび/またはウエスタンブロットで評価する。系統型の定義は、感染した細胞系の範囲、および起源が定義されたTSE系統に関する以前の研究(Bruce、2002)とこの情報との相関関係に依存する。
【0117】
実施例9−溶液中のTSE因子に対する汚染除去技術の有効性評価のための感染細胞系の使用
【0118】
細胞系のパネルは、それらのそれぞれのドナー膜と一緒に、上述(実施例8)と同様にセットする。
【0119】
溶液中のTSE因子に対する汚染除去技術の有効性を実証するために、まず、因子を汚染除去プロセスまたは化学薬品に指定された時間曝露する。曝露の後、試料を、必要に応じて遠心分離および/または洗浄し、処理した因子を汚染除去プロセスまたは化学薬品から分離して、過度の細胞死を防ぐ。
【0120】
それぞれの細胞系由来のドナー膜を、上記の方法のうちの1つによって、処理された因子と融合し、そして、細胞を組織培養プレート上にプレートする。同様に、コントロール融合(ドナー膜と未処理のTSE因子からなる)をセットする。適切な時間の後、感染の程度を、ELISpot法を用いて測定する。
【0121】
汚染除去技術の有効性は、試験融合に由来する感染細胞の数とコントロール融合のものとを比較することによって、感染力の対数減少として表し得る。
【0122】
実施例10−外科用器具上のTSE因子に対する汚染除去技術の有効性評価のための感染細胞系の使用
【0123】
感染力アッセイは、外科用器具で用いるための汚染除去技術評価にもまた用いられる。
【0124】
感染因子を、適切な固相トークン(例えば、金属ディスク)上で乾燥させ、そして清浄化または滅菌技術に曝露させる。ドナー膜を、処理されたトークンと共にインキュベートし(前述の方法を用いる)、融合および変換事象が生じるのを可能にし、その後標的細胞と共にインキュベートする。同様に、コントロール融合(ドナー膜および未処理のTSE因子からなる)を組み立てる。細胞をプレートから除去し、そして感染した数をELISpotによって測定する。
【0125】
再び、感染力の対数減少を未処理の感染コントロール群と比較することによって測定し、異なる汚染除去技術の有効性について、直接比較することを可能にする。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞をTSE因子に感染させる方法であって:
i) 該標的細胞を膜調製物と接触させる工程であって、該膜調製物は、該TSE因子およびドナー膜を含む工程;および
ii) 該標的細胞を該TSE因子に感染させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記膜調製物が:
i) ドナー膜と前記TSE因子とを混合する工程;および
ii) ドナー膜および該TSE因子を含む隣接する膜を得る工程
によって得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TSE因子が、膜を備える、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記TSE因子が、前記膜中に存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記膜が、前記TSE因子が得られる細胞または組織に関して内生的であって、好ましくは前記ドナー膜に関して外生的である、請求項3または請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記隣接する膜が、ドナー膜および非ドナー膜を含む、請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記TSEが、CJD、vCJD、散発性CJD、家族性CJD、医原性CJD、BSE、ヒツジBSE、およびCWDからなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記TSE因子の供与源が、リンパ組織(例えば、扁桃腺、虫垂、直腸の良性リンパ濾胞性ポリープ(rectal tonsil))、神経組織(例えば、脳、中枢神経系)、および血液(例えば、リンパ球)からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記標的細胞が、神経細胞(例えば、神経芽腫細胞)、および線維芽細胞からなる群から選択される、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記ドナー膜および前記標的細胞が、同じ動物種由来であり、好ましくはヒト、ヒツジ、ウシ、マウスおよびシカからなる群由来である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ドナー膜が、前記標的細胞のものと同じ細胞型である細胞由来であり、好ましくは神経芽腫細胞(例えば、NB69、SK−N−SH、およびKelly)からなる群由来である、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記標的細胞および前記TSE因子が得られる細胞が、同じ動物種由来であり、好ましくは、ヒト、ヒツジ、ウシ、マウスおよびシカからなる群由来である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記標的細胞および前記TSE因子が得られる細胞が、同じ細胞型であり、好ましくは神経芽腫細胞(例えば、NB69、SK−N−SH、およびKelly)からなる群由来である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記ドナー膜および前記TSE因子が得られる細胞が、同じ動物種由来であり、好ましくは、ヒト、ヒツジ、ウシ、マウスおよびシカからなる群由来である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記ドナー膜および前記TSE因子が得られる細胞が、同じ細胞型由来であり、好ましくは神経芽腫細胞(例えば、NB69、SK−N−SH、およびKelly)からなる群由来である、請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記TSE因子が、CJD、vCJD、散発性CJD、家族性CJD、医原性CJD、からなる群から選択され、前記標的細胞が、非ヒト標的細胞(例えば、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、シカ由来の細胞)である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ドナー膜が、ヒトまたは非ヒト(例えば、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、シカ)膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記TSE因子が、BSEであり、前記標的細胞が、非ウシ標的細胞(例えば、ヒト、マウス、ラット、ヒツジ、シカ由来の細胞)である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記ドナー膜が、ウシまたは非ウシ(例えば、マウス、ラット、ヒト、ヒツジ、シカ)膜である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記TSE因子が、CWDであり、前記標的細胞が、非シカ標的細胞(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ由来の細胞)である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記ドナー膜が、シカ膜または非シカ(例えば、マウス、ラット、ヒト、ヒツジ、ウシ)膜である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記TSE因子が、ヒツジBSEまたはスクレイピーであり、前記標的細胞が、非ヒツジ標的細胞(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、シカ由来の細胞)である、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記ドナー膜が、ヒツジ膜または非ヒツジ(例えば、マウス、ラット、ヒト、ウシ、シカ)膜である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ドナー膜が、ミクロソーム膜である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
【請求項25】
前記膜が、ミクロソーム膜である、請求項3から5のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
請求項1から25のいずれかに記載の方法によって得られ得る感染細胞。
【請求項27】
ドナー膜およびTSE因子を含有する膜を含む、隣接する膜であって、該TSE因子が、CJD、vCJD、家族性CJD(例えば、FFIまたはCSS)、医原性CJD、BSE、ヒツジBSE、およびCWDからなる群から選択される、膜。
【請求項28】
前記隣接する膜が、前記ドナー膜と前記TSE因子を含有する膜とを共に混合することによって形成される、請求項27に記載の膜。
【請求項29】
ミクロソームの型である、請求項28に記載の膜。
【請求項30】
ドナー膜およびTSE因子を含有する膜を含む、TSE感染細胞であって、該TSE因子が、CJD、vCJD、家族性CJD(例えば、FFIまたはCSS)、医原性CJD、BSE、ヒツジBSE、およびCWDからなる群から選択される、TSE感染細胞。
【請求項31】
前記細胞が、標的細胞を請求項27から30のいずれかに記載の隣接する膜と接触させることによって形成される、請求項30の記載のTSE感染細胞。
【請求項32】
前記細胞が、マウス、ラット、ヒト、ウシ、シカ、ヒツジからなる群から選択される動物細胞である、請求項30または請求項31に記載のTSE感染細胞。
【請求項33】
前記感染細胞が、2週間後、好ましくは3週間後にPrPSCを生成する能力を保持している、請求項30から32のいずれかに記載のTSE感染細胞。
【請求項34】
細胞試料中のTSE因子の存在を検出する方法であって:
i) 標的細胞と膜調製物とを接触させる工程であって、該膜調製物が、該TSE因子およびドナー膜を含む、工程;
ii) 該標的細胞を該TSE因子に感染させる工程;および
iii) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程
を含む、方法。
【請求項35】
前記検出工程iii)が、抗体をPrPSCへ結合させ、その後、該結合した抗体を検出することによって行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記膜調製物が:
i) ドナー膜と前記TSE因子とを混合する工程;および
ii) ドナー膜および該TSE因子を含む隣接する膜を得る工程
によって得られる、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記TSE因子が、膜を備える、請求項35または請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記TSE因子が、前記膜中に存在する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記膜が、前記TSE因子が得られる細胞または組織に関して内生的であって、好ましくは前記ドナー膜に関して外生的である、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
工程iv)を実施する前に、存在している場合はTSE因子の量を増幅するために、工程iii)の後に前記標的細胞を増殖させる工程をさらに含む、請求項34から39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
細胞試料中に存在するTSE因子の系統型の存在を検出する方法であって:
i) 試験TSE因子を、別々のアッセイにおいて、複数のドナー膜調製物と接触させる工程であって、各々のドナー膜調製物が、異なる動物種由来の膜を含む、工程;
ii) 各々のアッセイにおいて、該TSE因子と該それぞれのドナー膜とを混合し、複数のTSE−ドナー膜混合物を提供する工程;
iii) 複数の該TSE−ドナー膜混合物と標的細胞とを別々のアッセイで接触させる工程;および
iv) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、
ここで、TSE因子が検出される標的細胞のドナー膜成分の動物種が、該試料中の該TSE因子の系統型を示す、方法。
【請求項42】
前記標的細胞が、同じ動物種由来である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記標的細胞が、同じ細胞型である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
細胞試料中に存在するTSE因子の系統型の存在を検出する方法であって:
i) 試験TSE因子を、別々のアッセイにおいて、複数のドナー膜調製物と接触させる工程;
ii) 各々のアッセイにおいて、該TSE因子と該それぞれのドナー膜とを混合し、複数のTSE−ドナー膜混合物を提供する工程;
iii) 複数の該TSE−ドナー膜混合物を、別々のアッセイにおいて、複数の標的細胞と接触させる工程であって、各々の標的細胞が異なる動物種由来である、工程;
iv) 該標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、
ここで、TSE因子が検出される標的細胞の動物種が、該試料中の該TSE因子の系統型を示す、方法。
【請求項45】
前記ドナー膜が、同じ動物種由来である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記標的細胞が、同じ細胞型である、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
TSE因子に対する汚染除去技術の有効性を評価する方法であって、該方法は:
i) 該TSE因子を該汚染除去技術に曝露する工程;
ii) 第1の標的細胞と試験膜調製物とを接触させる工程であって、該試験膜調製物が、該曝露されたTSE因子およびドナー膜を含み、そして、該標的細胞を、該曝露されたTSE因子に感染させる、工程;
iii) 第2の標的細胞をコントロール膜調製物と接触させる工程であって、該コントロール膜調製物が、曝露されていないTSE因子およびドナー膜を含み、そして、該標的細胞を、該曝露されていないTSE因子に感染させる、工程;および
iv) 該第1の標的細胞および該第2の標的細胞中の該TSE因子の存在を検出する工程;
を含み、
ここで、該第2の細胞と比較した該第1の細胞中のTSE因子の減少が、該汚染除去技術が効果的であることを示す、方法。
【請求項48】
前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同じ動物種由来である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の標的細胞および前記第2の標的細胞が、同じ細胞型である、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
前記ドナー膜が、同じ動物種由来である、請求項47から49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記TSE因子が、溶液中で前記汚染除去技術に曝露される、請求項47から50のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記TSE因子が、固相上で前記汚染除去技術に曝露される、請求項47から50のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記汚染除去技術に曝露する前に、前記TSE因子を固相上で乾燥させる初期工程をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記検出工程iv)が、抗体をPrPSCに結合させ、その後、該結合した抗体を検出することによって行われる、請求項47から53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記膜調製物が:
i. ドナー膜と前記TSE因子とを混合する工程;および
ii. ドナー膜および該TSE因子を含む隣接する膜を得る工程、
によって得られる、請求項47から54のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記TSE因子が、膜を備える、請求項47から55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記TSE因子が、前記膜中に存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記膜が、前記TSE因子が得られる細胞または組織に関して内生的であって、好ましくは前記ドナー膜に関して外生的である、請求項56または57に記載の方法。
【請求項59】
工程iv)を実施する前に、存在している場合はTSE因子の量を増幅するために、工程ii)およびiii)の後に該第1の標的細胞および該第2の標的細胞を増殖させる工程をさらに含む、請求項47から58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
実施例および図を参照して本明細書中に実質的に記載されたような、標的細胞をTSE因子に感染させる方法。
【請求項61】
実施例および図を参照して本明細書中に実質的に記載されたような、TSE感染細胞。
【請求項62】
実施例および図を参照して本明細書中に実質的に記載されたような、試料中のTSE因子の存在を検出する方法。
【請求項63】
実施例および図を参照して本明細書中に実質的に記載されたような、試料中に存在するTSE因子の系統型を同定する方法。
【請求項64】
実施例および図を参照して本明細書中に実質的に記載されたような、TSE疾患を処置するための治療薬を同定する方法。

【公表番号】特表2009−527245(P2009−527245A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555874(P2008−555874)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000630
【国際公開番号】WO2007/096633
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(503191210)ヘルス プロテクション エージェンシー (19)
【Fターム(参考)】