説明

感温感歪複合センサ

【課題】 従来の歪及び温度を同時に検知するセンサは感度が悪い、誤差が大きい、補償回路を必要とする。
【解決手段】 導電性基板上に絶縁性膜を形成し、さらに当該絶縁性膜上に又は絶縁性基板上に温度センサ材料及び歪センサ材料を成膜してなり、歪による温度測定誤差が0.5K以内で、かつ温度による歪量測定誤差百分率が50%以内の精度で温度及び歪を同時に検出する。 温度センサ材料が、温度感度2000ppm/K以上及び歪感度5以下の特性を有し、歪センサ材料が、歪感度2以上及び温度感度±2000ppm/K以内の特性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度及び歪(又は圧力)を同時に検出可能なセンサに関する。特に、温度感度が大きく歪感度(又は圧力感度)が小さい温度センサ、及び歪感度(又は圧力感度)が大きく温度感度が小さい歪(又は圧力)センサが、並列構造あるいは積層構造をなして構成される、温度及び歪(又は圧力)を同時に検出することが可能な複合型センサを提供することにある。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、50〜473Kにおける平均の温度感度(抵抗温度係数)が2000ppm/K以上であり、かつ歪感度(ゲージ率)が5以下である材料からなる温度センサ、及び歪感度2以上を有し、かつ50〜473Kにおける平均の温度感度が±2000ppm/K以内、さらに好ましくは173〜373Kにおける平均の温度感度が±1000ppm/K以内である歪センサから構成されることを特徴とする感温感歪複合センサ、並びに該複合センサからなり、歪による温度測定誤差が0.5K以内で、かつ温度による歪量測定誤差百分率が50%以内、さらに好ましくは、歪による温度測定誤差が0.2K以内で、かつ温度による歪量測定誤差百分率が20%以内の精度で温度と歪、圧力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に検出する、または、電気信号に変換することを特徴とする検知器または変換器を提供することにある。
【背景技術】
【0003】
印加された外力の検出方法の一つとして、印加される物体表面に歪ゲージを貼り付け、外力印加によって発生する表面歪を歪ゲージの抵抗変化で検出し、その変化量を印加された外力に換算する方法がある。しかし、歪ゲージの抵抗値は歪量に比例して変化するだけでなく、周囲温度の変化によっても変化する。そこで一般に、外力が印加される物体表面に4枚の歪ゲージを貼り、これらからなるホイートストンブリッジ回路を構成することにより温度補償を行う方策がとられる。
【0004】
歪の検知に加えて、温度も同時に測定可能とする歪・温度センサとして、歪検出用ホイートストンブリッジ回路の他に温度検出用感温抵抗素子を用いるもの(特許文献1:特開昭58−134394号)およびホイートストンブリッジ回路を構成する歪ゲージの中で、歪検出を行うもの以外の歪ゲージの一つを温度検出用として用いるもの(特許文献2:特開平1−206113号)がある。
【0005】
前者は、電源を2つ必要とすること、並びに従来の、例えば熱電対や抵抗測温体のような形状のしっかりしたものを付属させる場合には、それらの存在によって、印加された外力による表面歪の発生が阻害されてしまうことなどの問題がある。また後者は、本来歪ゲージは温度による変動を抑えるために、温度感度の小さなものが用いられているため、それを温度センサとして用いるには温度感度が悪いという欠点がある。さらに両者に共通の問題として、温度検出素子が歪測定の場合のように、ホイートストンブリッジ回路を構成していないため、歪やその他雑音等の影響を受けやすいこと、並びに個別の歪ゲージをまとめて狭い場所に貼ることができないことなどがあげられる。
【0006】
これらの問題を克服するために、薄膜抵抗体を用いた歪・温度センサが提案されている(特許文献3:特開平5−34182号)。これは、一つの絶縁基板上に、同一の薄膜抵抗を用いた歪検出用と温度検出用2つのホイートストンブリッジ回路を形成して、補償することにより、高精度に歪と温度の検出を行おうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭58−134394号
【特許文献2】特開平1−206113号
【特許文献3】特開平5−34182号
【特許文献4】特開平11−195504号
【特許文献5】特開平10−270201号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の薄膜抵抗体を用いた歪・温度センサは、歪検出および温度検出の両方に同一の薄膜抵抗体を用いており、このため、この薄膜抵抗体は、歪感度と温度感度がいずれも大きくなければならない。すなわち、このことは歪測定における温度による変動並びに温度測定における歪による変動が大きいことを意味する。従って、ホイートストンブリッジ回路及び歪センサ以外の薄膜抵抗体を歪印加方向と直交させて配置することが必要不可欠となる。
【0009】
また、先願(特許文献3:特開平5−34182号)の薄膜抵抗体を用いた歪・温度センサにおいては、検出精度を上げるため、二つのホイートストンブリッジ回路を組み込む構造になるので、小型化が制限されるという問題がある。すなわち、もし当該ブリッジ回路を組み込む必要がなければ配線も単純化できるので、センサ素子の面積を著しく小さくすることが可能となる。さらに、歪測定用以外の抵抗体については、歪を受けないようにするために歪印加方向に直交させて配置しているが、ねじれなどに起因する横歪が生じた場合、それらをむしろ高感度に受けてしまい、検出精度を損なうという問題がある。この横歪をキャンセルするためには、さらに補償回路が必要となり、結果的にはセンサ素子の面積及び作業工程を増やすことになるなどの致命的な欠陥を有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
先願(特許文献3:特開平5−34182号)の歪・温度センサにおいて、補償回路としてホイートストンブリッジ回路が必要であるのは、歪検出用及び温度検出用として歪感度及び温度感度がともに高い薄膜抵抗体を用いたことに起因している。
【0011】
本発明は、歪検出には歪感度が高く温度感度が小さい薄膜抵抗体を用い、温度検出には温度感度が高く歪感度が小さい薄膜抵抗体を用いるというように、大きく異なる特徴を持つ二つの薄膜抵抗体をそれぞれに用いることにより、上記課題を解決しようとするものである。すなわち、本発明の感温感歪複合センサは、従来補償しなければならなかった物理量による影響を受けないため、十分に高い歪感度及び温度感度を高精度に得ることができ、先願の歪・温度センサのように、センサ素子内でホイートストンブリッジ回路による補償をする必要がなく、構造が単純であるため小型化も十分達成できる。
【0012】
図1に、主要な温度センサ及び歪センサ材料の特性を示す。SiやGeなどの半導体は、温度感度及び歪感度が共に高く、本発明には適さない。これに対しCuNi及びNiCrは、感度があまり大きくはないものの温度感度が小さいので補償回路なしに歪検出素子として使用できる。また、標準抵抗測温体であるptは、歪感度が若干高いが、それと比べて十分大きな温度感度を持つことから、温度検出素子として使うことができる。故に、これらの薄膜を組み合わせることにより、本発明の感温感歪複合センサを成すことができ、補償回路なしに温度及び歪の同時検知を可能とする。
【0013】
ここでさらに、図1に示されているように、Fe−Pd合金薄膜はptよりも温度感度が高く(特許文献4:特開平11−195504号)、かつ歪感度はptよりも小さい。またCr−N合金薄膜は、Cu−Ni合金より数倍も歪感度が大きい上に温度感度は非常に小さい(特許文献5:特開平10−270201号)。そこで、これらFe−Pd合金(又はFe−Pd基合金)及びCr−N合金(又はCr−N基合金)薄膜をそれぞれ温度検出用抵抗体及び歪検出用抵抗体として用いることが、より効果的である。すなわち、Cr−N合金の温度感度はほぼゼロであることから、ホイートストンブリッジ等による温度補償を必要とせずに感度良く歪測定を行うことができる。また、Fe−Pd合金は非常に高い温度感度をもち、それに比較して歪感度は小さいことから、歪は変動要因としてあまり重大ではなく、また、互いに測定して得た情報を用いて補正を加えることも可能で、その場合、さらに正確で安定な温度及び歪の検知が可能となる。
【0014】
本発明の特徴とするところは、下記の点にある。第1発明は、導電性基板上に絶縁体膜を形成した上に、又は絶縁性基板上に、温度センサ材料及び歪センサ材料を成膜し、歪による温度測定誤差が0.5K以内、かつ、温度による歪量測定誤差百分率が50%以内の精度で温度及び歪を同時に検出することを特徴とする感温感歪複合センサに関する。
【0015】
第2発明は、温度センサ材料の温度感度および歪感度が、それぞれ2000ppm/K以上及び5以下であり、歪センサ材料の歪感度および温度感度が、それぞれ2以上及び±2000ppm/K以内であることを特徴とする第1発明に記載の感温感歪複合センサに関する。
【0016】
第3発明は、温度センサ材料が、原子量比にて鉄10〜70%及び残部パラジウムと少量の不純物からなり、歪センサ材料が、原子量比にて窒素0〜40%及び残部クロムと少量の不純物からなるとともにbcc構造のみの結晶構造又は該構造とA15構造両者共存の結晶構造を有することを特徴とする第1発明又は第2発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサに関する。
【0017】
第4発明は、温度センサ材料及び歪センサ材料を同一基板上に並べて成膜し、温度及び歪を同時に検出することを特徴とする第1発明ないし第3発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサに関する。
【0018】
第5発明は、温度センサ材料又は歪センサ材料のいずれか一方を成膜した表面に絶縁皮膜を形成した後に、さらに温度センサ材料又は歪センサ材料の残りの一方を重ねて成膜し、温度及び歪を同時に検出することを特徴とする第1発明ないし第3発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサに関する。
【0019】
第6発明は、第1発明ないし第5発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサを二個以上同一基板上に形成し、一次元又は二次元の温度分布及び歪分布を同時に検出することを特徴とする感温感歪複合センサに関する。
【0020】
第7発明は、第1発明ないし第6発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサからなり、温度と歪、圧力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に検出することを特徴とする検知器に関する。
【0021】
第8発明は、第1発明ないし第6発明のいずれかに記載の感温感歪複合センサからなり、温度と歪、圧力、加速度、変位又はトルクのいずれかを同時に電気信号に変換することを特徴とする変換器に関する。
【発明の効果】
【0022】
半導体材料は、ピエゾ効果により大きな歪(圧力)感度を有するが、他方温度感度も大きいことから、本発明の感温感歪複合センサに用いる材料としては、不適当である。これに対し金属材料は、一般に半導体と比較して強度が高いこと、使用可能な温度範囲が広いこと、温度や歪に対する電気抵抗の変化が直線的であることなどの特長を併せ持っている。また、一般には歪感度の大きな金属材料は温度感度も大きいという傾向があり、これらの感度が互いに反比例する材料は数少ないのが実状である。このような金属材料としては、一例として上記のFe−Pd及びCr−N合金薄膜があり、本発明の感温感歪複合センサは、これらの金属材料の特長を有効に発揮して達成されたものである。すなわち本発明では、Fe−Pd合金のように大きな温度感度を有し、かつ小さな歪感度を有する薄膜材料を温度センサに用い、またCr−N合金薄膜のように大きな歪感度を有し、かつ小さな温度感度を有する薄膜材料を歪センサに用いることにより、補償回路が不要な感温感歪複合センサを実現することができたのである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2に、そのような材料を用いた場合の温度及び歪に対する抵抗値の変化を模式的に示す。図中、Rは抵抗値を表す変数であり、抵抗の高い側に描かれているのが温度センサの特性(変数の添え字をTで表す)、並びに低い方に描かれているのが歪センサの特性(変数の添え字をSで表す)を示す。273Kおよび373Kにおいて、縦軸上に置かれた矢印により示されている変化は、正及び負の500μεの歪印加による抵抗値の変化を表している。ここで、歪量は長さの変化分を元の長さで割った無次元数であるが、歪量であることを明確にするためにεの記号を付記する。また、金属材料における歪量はおよそ10−6の桁を基準として表すと都合が良く、したがって本明細書では1×10−6の歪量を1μεと表記することとする。各点(白丸)における温度センサ及び歪センサの示す抵抗値RT及びRSに添えられた括弧内の数字は、左側が温度、右側が歪量を示す。例えばRT(373,500)は、373K、500μεにおける温度センサが示す抵抗値を表している。本発明に要する材料特性として、図2に示されるように、温度センサはRT(273,0)からRT(373,0)のように温度変化に対して大きな抵抗変化を示し、かつ、RT(273,0)からRT(273,500)のように歪に対する抵抗変化が小さく、一方、歪センサはRS(273,0)からRS(373,0)のように温度変化に対してほとんど抵抗値が変化しないが、RS(273,0)からRS(273,500)のように歪による変化が大きいことが望まれる。このような2つのセンサを用いて、温度と歪量を測定するのである。
【0024】
273Kの温度で、歪印加なしの状態における抵抗値を初期状態とし、そこからある温度及び歪量が加えられた状態における抵抗値を測定し、温度センサ及び歪センサにおけるそれぞれの変化量から温度及び歪量を見積もる。例えば、373Kの温度で500μεの歪が印加された場合、温度センサ及び歪センサの抵抗値は、それぞれRT(273,0)及びRS(273,0)からRT(373,500)及びRS(373,500)へと変化する。従って温度センサにおいてはRT(373,500)とRT(273,0)から温度を、歪センサにおいてはRS(373,500)とRS(273,0)から歪量を算出する。しかし、温度センサにおける温度と抵抗値の関係はRT(373,0)とRT(273,0)を結ぶ曲線の関係から導かれるものであり、歪センサにおける歪量は、RS(273,500)とRS(273,0)を結ぶ関係から導かれる。従ってRT(373,500)とRT(373,0)との差が大きい場合、すなわち温度センサが大きな歪感度を持つ場合には、温度測定における誤差は大きくなり、RS(373,0)とRS(273,0)の差が大きい場合、すなわち歪センサが大きな温度感度を持つ場合には、歪量測定における誤差は大きくなってしまう。故に、温度及び歪を同時に検知するセンサにおいては、温度センサの歪感度及び歪センサの温度感度は共に小さいことが必要であると理解できる。
【0025】
表1に、種々の材料を組み合わせて構築した感温感歪センサとして、本発明試料(No.1〜7)及び参考試料(No.8〜13)において測定した個々のセンサ特性を、また表2に該感温感歪センサに対して温度及び歪を同時に印加した場合におけるそれらの実測結果を示す。センサ材料欄の各々における上側が歪センサ材料を、下側が温度センサ材料を示す。p0は273Kの温度で歪印加なしの状態における比電気抵抗、TCRは273Kと373Kの間における温度感度(抵抗温度係数)、並びにGfは室温(約293K)における歪感度(抵抗歪係数、いわゆるゲージ率)を示す。また、右側の2つの欄に、273K及び無歪の状態に対し温度及び圧力として1K及び500μεを加えた場合、並びに100Kおよび500μεを加えた場合に測定された電気抵抗値から見積もった温度と歪量を示す。ただし、No.8のpoly−Siについての373K、500μεにおける値は他と比べて直線性が悪く、ここで説明しようとする内容から外れるので、直線性が良いと仮定した場合に特性から見込まれる数値を算出し、記載した。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
表から、これまで述べてきた通り、温度と歪が同時に加わった場合、No.8に記したSiは両物理量の影響を大きく受けてしまうため正確な測定ができないことがわかる。また、No.9〜13に記した金属バルク及び薄膜の場合には、温度センサ及び歪センサ共に歪感度が小さく温度感度が大きいため、温度センサによって測定した温度は実際の温度と極端に異なることはないが、歪センサによって測定した歪量は温度変化による大きな抵抗値の増分により全く異なる値となっていることがわかる。これに対し、No.1〜7に示したCr−N基合金及びFe−Pd基合金薄膜の組み合わせは、温度センサにおける温度感度が大きく、かつ歪感度が小さく、歪センサにおいては歪感度が大きく温度感度が小さいことから、温度及び歪量共に、No.8〜13と比較してその誤差は非常に小さくなり、歪による温度測定誤差が0.5K以内、かつ温度による歪量測定誤差百分率が50%以内となることがわかる。以上の実施結果は、本発明の有効性を明確に表している。
【0029】
さらに、上記の結果にデータ処理による補正を加えることも可能である。補正には種々の方法が考えられるが、表3に最も単純な方法を用いて行った補正結果を示す。その方法を以下に示す。ここで既知のデータは、表1に示した各センサの特性(273K、歪印加なしの状態における比電気抵抗R(273,0)、273Kと373Kの間におけるTCR、並びに室温におけるGf)と表2に示した見積もった温度及び歪量、並びにそれらの測定結果を見積もる元となった生データ、すなわち、各センサの274K及び500με並びに373Kおよび500μεにおける抵抗値R(274,500)並びにR(373,500)である。まず、誤差が少なかったことから、見積もった温度T’(274)及びT’(373)をとりあえず正しい温度と仮定し、それらの温度における歪センサの無歪状態における抵抗値RS(T’(274),0)及びRS(T’(373),0)を算出した後、実測値RS(274,500)及びRS(373,500)とそのRS(T’(274),0)及びRS(T’(373),0)との差からその温度(実際には274K及び373K)における歪量をそれぞれ計算し、これを「補正した歪量」として表に記載した。次に、274K及び373Kについての補正した歪量をE’(274,500)及びE’(373,500)とし、これらの値から273K及び373Kにおけるこれらの歪量に相当する温度センサの抵抗変化分R(273,E’(274,500))及びR(273,E’(373,500))を算出した後、実測値RT(274,500)及びR(373,500)とそのR(273,E’(274,500))及びR(273,E’(373,500))との差からその歪量(実際には500με)における温度をそれぞれ計算し、これを「補正した温度」とした。
【0030】
【表3】

【0031】
表3には、上記の補正した温度及び補正した歪量、ならびに実際の条件である274K、500μεと373K、500μεからの誤差を示した。表2と表3との比較から、この簡単な補正が有効に作用し、誤差を小さくしていることがわかる。特にNo.3〜7においては誤差がほとんどなく、高精度の測定が可能であることを示している。またNo.1,2及び9〜13の中では、No.1、No.2、No.9及びNo.10において1Kの温度増加に対する温度測定誤差10%以内、100Kの温度増加に対する温度測定誤差1%以内、及び歪量測定誤差20%以内の高精度測定を可能とする条件を満足する結果を示した。これらはいずれも、温度感度が大きく歪感度が小さい温度センサと歪感度が大きく温度感度が小さい歪センサとの組み合わせになっている。これらはさらに、請求項2において限定されているように、温度感度2000ppm/K以上及び歪感度5以下の特性を有する温度センサ材料と歪感度2以上及び温度感度±2000ppm/K以内の特性を有する歪センサ材料との組み合わせにもなっている。一方、これら以外のNo.11〜13においては誤差が大きく、これは本発明の条件に合致しないためである。特に、温度センサおよび歪センサの特性値があまり異なっていない場合には、補正の効果はむしろマイナスに作用する場合があり、No.8のpoly−Siにおいてはそれが顕著に表れている。以上の結果から、本発明にかかるセンサであるNo.1〜7は優れた測定能力を有することが明らかになり、本発明の有効性を実証することができた。
【0032】
本発明の感温感歪複合センサは、薄膜材料を用いていることから、超小型化を図る上で有利であり、そのため構造的に温度感度及び歪感度を阻害することのないのも特長である。例えば、棒状の抵抗測温体を起歪体に固定すると歪が印加されにくくなり、測定ができなくなってしまう。それ故、歪検出においては温度検出素子が歪の印加やその量の変化を妨げたり乱したりしないことが必要であるが、薄膜であれば歪の媒体、すなわち膜を支えている基板が膜よりも大きいため、温度検出用の膜が悪影響を及ぼすことはない。また、温度測定において、歪検出用素子が大きいと熱容量が増大し、正確さや応答性に影響を与えるが、薄膜は体積も小さいため、基板を考慮した場合ほとんど無視することができ、その影響もない。したがって、複合化においては薄膜を用いることによって互いの特性を損なうことがなく、それぞれの特性を十分発揮することができる。
【0033】
温度検出素子と歪検出素子を並べて形成する並列型複合素子だけでなく、一方の素子の上に絶縁体膜を介して他方の素子を重ねた構造を持つ積層型複合素子の場合、さらに必要面積を小さくすることが可能となる。そのような積層型の場合、下部(基板側)に歪素子、上部に温度素子を配置ことによって、それぞれ基板からの歪情報および接触する相手からの温度情報を、より確実に得ることが可能となる。このように、複合の構造を用途に応じて種々適した形に選択することができる。
【0034】
さらに、これらの素子を平面上に多数並べることにより、二次元の(又は一次元の)温度と歪の分布を測定することが可能である。この場合には、素子の大きさがそのまま距離分解能となるので、その分解能を高めるためには素子の超小型化が必要であり、さらに、より単純化された配線構造が要求される。これに対し本発明は、これまで述べてきたように素子の超小型化が可能であり、かつ薄膜パターン形成技術を用いて簡素化したセンサパターンが形成可能であるので、非常に有効である。このような二次元センサは、微小又は複雑な形状を認識したり、そのような物体表面の温度むら等を検知することを可能とする。
【0035】
つぎに、本発明における数値の限定理由について以下に説明する。該センサの特性について、歪による温度測定誤差を0.5K以内とした理由は、それ以外では精度が悪くなり、正確な測定ができなくなるからである。一方、温度による歪量測定誤差の百分率を50%以内とした理由は、それ以外では精度が悪くなり、正確な測定ができなくなるからである。また該センサにおいて、温度センサ材料の温度感度および歪感度をそれぞれ2000ppm/K以上及び5以下と限定した理由は、2000ppm/K未満では温度感度の温度分解能が小さくなってしまうため、感度の良い温度センサが得られず、一方、5よりも大きな歪感度の場合、歪による電気抵抗の変動が大きくなることによる。さらに、歪センサ材料の歪感度および温度感度をそれぞれ2以上及び±2000ppm/K以内と限定した理由は、2未満の歪感度ではその分解能が小さくなり、感度の良い歪センサが得られず、一方、±2000ppm/Kよりも大きな温度感度の場合は、温度による電気抵抗の変動が大きくなり、本発明の目的から外れてしまうことによる。
【0036】
該センサにおける温度センサ材料の主成分およびその組成を、原子量比にて鉄10〜70%及び残部パラジウムと限定した理由は、この組成範囲外においては2000ppm/K以上の大きな温度感度および5以下という小さな歪感度が得られず、本発明の目的から外れてしまうからである。同様に、該センサにおける歪センサ材料の主成分およびその組成を、原子量比にて窒素0〜40%及び残部クロムと限定するとともに、その材料がbcc構造か又はA15構造、もしくは両者の混在する結晶構造を有すると限定した理由は、この組成範囲外、又はこれらの結晶構造を有する材料以外においては、2以上という歪感度及び±2000ppm/K以内の温度感度が得られず、本発明の目的から外れてしまうからである。
【0037】
[実施例]
本発明の実施例について説明する。
実施例1 試料番号3の並列型感温感歪複合センサの製造と評価
センサ材料
温度センサ:Fe−60at%Pd薄膜
歪センサ :Cr−10at%N薄膜
幅15mm、長さ50mmのガラス基板(Corning社製#0211)上にFe−60at%Pd合金ターゲットを用いた高周波スパッタリング法により同成分、同組成の温度検出用抵抗薄膜を作製後、773Kで熱処理を施した後、同一基板上に該温度検出用抵抗薄膜と並べてCrターゲットを使用すると同時に窒素ガスを導入して行う反応性スパッタリング法によりCr−10%Nの組成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、623Kで熱処理を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能とするCu電極を、Cuターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法により作製し、並列型感温感歪複合センサを作製した。
【0038】
図3に、作製した薄膜センサのパターンを示す。電圧測定電極間距離を100μm、センサ薄膜の幅を10μm、並びに膜厚を約0.5μmとした。基板の長手方向に対して両薄膜センサの長手方向が平行になるように薄膜を形成した。パターン形成にはフォトレジストを使用して行うリフトオフ法を用いた。
【0039】
複合センサが形成された基板の一端を万力に挟んで固定し、他端に力を加えることによって基板に片持ち梁の要領で歪を印加できるようにした。印加される歪の量はセンサ薄膜と並べて貼った市販の歪ゲージにより測定した。この装置を温度制御可能な恒温槽内に設置し、所望の温度の下で歪を印加できるようにした。
【0040】
半田を用いてCu電極にリード線を溶接し、それに直流電源を接続して定電流を流すとともに、デジタルマルチメーターを用いてセンサからの出力電圧値を読み取った。0.1mAの電流を流し、種々異なる温度において歪印加を行い、その時測定される電圧値から抵抗の変化を見積もった。図4に歪センサ薄膜および温度センサ薄膜各々についての273Kから373Kまでの異なる温度で測定した相対抵抗値(273Kの抵抗値で規格化した値)を示す。この結果は、両者の抵抗温度係数がそれぞれ−60ppm/K及び4400ppm/Kであることを示した。また、図5に、両センサ薄膜各々について273K及び373Kの温度のもとで測定した−500μεから+500μεの歪印加に対する抵抗値の変化分(歪が0のときの抵抗値との差分)を示す。この結果は、273K及び373Kにおける両者の歪感度が、歪センサにおいてそれぞれ約6.2及び5.9であり、温度センサにおいてそれぞれ1.9及び2.1であることを示した。
【0041】
これらの結果から、Cr−N歪センサにおける歪感度は約6と大きく、かつ温度感度は約−60ppm/Kと小さいことがわかった。また、Fe−Pd温度センサにおける温度感度は約4400ppm/Kと大きく、歪感度は2.0と小さいこともわかった。これらの値はいずれも本発明において限定された数値の範囲内に含まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほとんど変化がないことから、複合化による特性の劣化がなく、感温感歪センサとして使用可能であることを示した。
【0042】
100Kの温度及び500μεの歪を印加した状態における温度センサの抵抗値RT(273,500)は1.15315×10−6Ω・mであった。該センサの使用に際して実際に得られるデータは、このような温度と歪が同時に加わったときの抵抗値のみである。この値から、基準となる抵抗値、例えば273Kで無歪の状態における抵抗値RT(273,0)及び温度センサの温度感度(抵抗温度係数)を用いて見積もった温度は373.3Kであり、誤差を含むもののほぼ実際の条件通りの温度を示した。同様に、同条件における歪センサの抵抗値RS(373,500)=1.29646×10−6Ω・mからRS(273,0)及び歪感度(ゲージ率)を用いて見積もった歪量は412μεと、やや大きな誤差を含むものの、こちらもほぼ実際の条件に近い歪量を示した。
【0043】
誤差を補正するために、簡単な計算を行った。誤差が小さかった測定温度を正しい温度と仮定して、歪センサにおける温度による抵抗値の変化分を計算し、RS(373.3,0)を求める。この値を用いて、実際に測定して得られたRS(373,500)を補正して求めた歪量は503μεと、ほぼ実際の条件と一致した。次に、この補正した歪量を正しい値と仮定して、温度センサにおける歪による抵抗値の変化分を計算し、実測値であるRT(373,500)から差し引くことによって、373Kにおける無歪状態の抵抗値RT(373,0)を求めた。この値を用いて見積もった補正温度は373.0Kと、実際の条件と誤差なく一致した。以上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検知するのに有効であることがわかった。
【0044】
実施例2 試料番号4の並列型感温感歪複合センサの製造と評価
センサ材料
温度センサ:Fe−50at%Pd薄膜
歪センサ :Cr−15at%N薄膜
幅15mm、長さ50mmの合成石英基板上にFe−50at%Pd合金ターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法により同成分、同組成の温度検出用抵抗薄膜を作製後、973Kで熱処理を施した後、同一基板上に該温度検出用抵抗薄膜と並べて99.9%純度のCrを蒸発源として使用すると同時に窒素ガスを導入して行う反応性の真空蒸着法によりCr−10%Nの組成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、653Kで熱処理を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能とする電極を、Cuターゲットを用いた高周波スパッタリング法により作製し、並列型感温感歪複合センサを作製した。
【0045】
作製した薄膜センサのパターンは実施例1と同様、図3に示したパターンを用い、電圧測定用電極間距離を100μm、薄膜の幅を10μm、並びに膜厚を約0.5μmとした。基板の長手方向に対して両薄膜センサの長手方向が平行になるように薄膜を形成した。パターン形成にはフォトレジスト及びプラズマエッチング装置を使用して行うドライエッチング法を用いた。
【0046】
温度及び歪量に対する抵抗値の変化を、実施例1と同様の方法で測定した。歪センサ薄膜および温度センサ薄膜各々についての273Kから373Kまでの異なる温度で測定した相対抵抗値の変化は、両者の抵抗温度係数がそれぞれ5ppm/K及び6050ppm/Kであることを示した。また、両センサ薄膜各々について273K及び373Kの温度のもとで測定した−500μεから+500μεの歪印加に対する相対抵抗値の変化は、273K及び373Kにおける両者の歪感度が、歪センサにおいてそれぞれ約6.2及び6.0であり、温度センサにおいてそれぞれ1.9及び2.0であることを示した。
【0047】
これらの結果から、Cr−15%N歪センサにおける歪感度は約6と大きく、かつ温度感度は約5ppm/Kと小さいことがわかった。また、Fe−50%Pd温度センサにおける温度感度は約6050ppm/Kと大きく、歪感度は約2と小さいこともわかった。これらの値はいずれも本発明において限定された数値の範囲内に含まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほとんど変化がないことから、複合化による特性の劣化がなく、感温感歪圧センサとして使用可能であることを示した。
【0048】
100Kの温度及び500μεの歪を印加した状態における温度センサの抵抗値RT(373,500)は1.44587×10−6Ω・mであった。この値から見積もった温度は373.3℃であり、誤差を含むもののほぼ実際の条件通りの温度を示した。同様に、同条件における歪センサの抵抗値RS(373,500)=1.50540×10−6Ω・mから見積もった歪量は581μεと、やや大きな誤差を含むものの、こちらもほぼ実際の条件に近い歪量を示した。
【0049】
誤差の補正も実施例1と同様の方法で行った。その結果、補正した歪量は500μεと、実際の条件と一致し、この補正した歪量から見積もった補正温度は373.0Kと、実際の条件と誤差なく一致した。以上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検知するのに有効であることがわかった。
【0050】
実施例3
試料番号7の並列型感温感歪複合センサの製造と評価
センサ材料
温度センサ:Fe−60%Pd−3%Ni薄膜
歪センサ :Cr−10%N−3%Al薄膜
幅15mm、長さ50mmのステンレス(SUS304)基板上にSiO2ターゲットを使用すると同時に酸素ガスを導入して行う反応性スパッタリング法によりSiO絶縁層を形成後、該絶縁層の上にFe−60at%Pd−3%Ni合金を蒸発源として用いた真空蒸着法により同成分、同組成の温度検出用抵抗薄膜を作製し、これを973Kで熱処理を施した後、さらに同一基板上のSiO絶縁層の上に、該温度検出用抵抗薄膜と並べてCr−4%Al合金ターゲットを備えたイオンビームスパッタリング装置を使用すると同時にスパッタリングガスであるArとともに微量の窒素ガスを導入して行う反応性スパッタリング法によりCr−10%N−3%Alの組成を持つ歪検出用抵抗薄膜を作製後、633Kで熱処理を施し、さらに4端子法による抵抗測定を可能とする電極を、Cuターゲットを用いた高周波マグネトロンスパッタリング法により作製し、並列型感温感歪複合センサを作製した。
【0051】
作製した薄膜センサのパターンは図2と同様の形式のパターンを用い、電圧測定用電極間距離を200μm、薄膜の幅を20μm、並びに膜厚を約0.5μmとした。基板の長手方向に対して両薄膜センサの長手方向が平行になるように薄膜を形成した。パターン形成には放電加工及び化学エッチングにより作製した金属マスクを使用して行うマスク法を用いた。
【0052】
温度及び歪量に対する抵抗値の変化は、実施例1と同様の方法によって測定した。歪センサ薄膜および温度センサ薄膜各々についての273Kから373Kまでの異なる温度で測定した相対抵抗値の変化は、両者の抵抗温度係数がそれぞれ7ppm/K及び6300ppm/Kであることを示した。また、両センサ薄膜各々について273K及び373Kの温度のもとで測定した−500μεから+500μεの歪印加に対する相対抵抗値の変化は、273K及び373Kにおける両者の歪感度が、歪センサにおいてそれぞれ約7.2及び7.0であり、温度センサにおいてそれぞれ2.0及び1.9であることを示した。
【0053】
これらの結果から、Cr−10%N−3%Al合金薄膜歪センサにおける歪感度は約7と大きく、かつ温度感度は約7ppm/Kと小さいことがわかった。また、Fe−60%Pd−3%Ni合金薄膜温度センサにおける温度感度は約6300ppm/Kと大きく、歪感度は約2と小さいこともわかった。これらの値はいずれも本発明において限定された数値の範囲内に含まれると共に、各薄膜個々の場合の特性とほとんど変化がないことから、複合化による特性の劣化がなく、感温感歪センサとして使用可能であることを示した。
【0054】
100Kの温度及び500μεの歪を印加した状態における温度センサの抵抗値RT(373,500)は1.65718×10−6Ω・mであった。この値から見積もった温度は373.3Kであり、誤差を含むもののほぼ実際の条件通りの温度を示した。同様に、同条件における歪センサの抵抗値RS(373,500)=2.15375×10−6Ω・mから見積もった歪量は596μεと、やや大きな誤差を含むものの、こちらもほぼ実際の条件に近い歪量を示した。
【0055】
誤差の補正も実施例1と同様の方法で行った。その結果、補正した歪量は500μεと、実際の条件とよく一致し、この補正した歪量から見積もった補正温度は373.0Kと、これも実際の条件と誤差なく一致した。以上の結果から、本試料が歪と温度を同時に検知するのに有効であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の感温感歪複合センサは、従来の技術では補償回路なしには実現できなかった高感度・高安定な温度及び歪の同時検出を、補償回路なしで可能とする効果がある。このため該センサおよび該センサを用いた検知機及び変換機などは小型化が可能であり、また高分解能2次元温度・歪分布測定も可能であることから、従来行われていない新たな温度・歪計測及びその用途を開拓することが期待でき、該センサ及び該センサを用いた計測手段のさらなる応用分野の拡大並びにこれらを用いることによる諸産業の発展と社会生活の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、主要な温度センサ及び歪センサ材料における温度感度と歪感度を示す図である。
【図2】図2は、温度センサ及び歪センサにおける温度及び歪に対する電気抵抗値の変化を説明するための概念図である。
【図3】図3は、作製したセンサパターンを示す図である。
【図4】図4は、Fe−60at%Pd合金薄膜及びCr−10at%N合金薄膜について無歪状態で測定した、273Kから373Kまでの温度と電気抵抗値との関係を示した特性図である。
【図5】図5は、Fe−60at%Pd合金薄膜及びCr−10at%N合金薄膜について273K及び373Kにおいて測定した、歪量と電気抵抗値との関係を示した特性図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基板上に絶縁性膜を形成し、さらに当該絶縁性膜上に又は絶縁性基板上に温度センサ材料及び歪センサ材料を成膜してなり、歪による温度測定誤差が0.5K以内で、かつ温度による歪量測定誤差百分率が50%以内の精度で温度及び歪を同時に検出することを特徴とする感温感歪複合センサ。
【請求項2】
温度センサ材料が、温度感度2000ppm/K以上及び歪感度5以下の特性を有し、歪センサ材料が、歪感度2以上及び温度感度±2000ppm/K以内の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の感温感歪複合センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−117971(P2011−117971A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24384(P2011−24384)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【分割の表示】特願2000−74937(P2000−74937)の分割
【原出願日】平成12年2月10日(2000.2.10)
【出願人】(000173795)財団法人電気磁気材料研究所 (28)
【Fターム(参考)】