説明

感熱記録材料及びこれを適用した感熱記録ラベル

【課題】高感度かつ高白色度で地肌カブリがなく、水性フレキソインク印刷画像の耐水性が優れ、高温高湿環境条件下における搬送性及び低温低湿環境条件下でのスティッキング性が良好な感熱記録材料とこれを適用した感熱記録ラベルを提供する。
【解決手段】支持体1上に、ロイコ染料、顕色剤塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含む感熱記録層2と、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂を含有する保護層3とを順次設けて感熱記録材料とし、これを用いて感熱記録ラベルを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱記録材料に関し、特に、ヘッドマッチング、画像保存性及び水性フレキソインキ等に対する印刷適正に優れ、高感度で地肌かぶりが少なく、地肌の白色度に優れた感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の多様化やニーズの拡大に伴い、情報記録分野に於いて各種の記録材料が研究・開発され実用化されている。中でも感熱記録材料は、(1)加熱プロセスのみによる簡易な画像の記録が可能なこと、(2)必要な装置のメカニズムが簡単でコンパクト化が容易であり、記録材料が取扱い易く安価であることなどの利点を有するため、情報処理分野(例えば、卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低、高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野、P0Sシステムのラベル分野等、多岐にわたり用いられている。
【0003】
また近年では、記録画像(例えば、ラベル等)の信頼性が重視される分野で感熱記録材料が多量に使用されるようになってきており、このような感熱記録材料では、発色した画像及び地肌の堅牢性及び耐水性の高いものや、包装に使用される有機高分子材料に含まれる可塑剤や油脂類等に対して保存安定性の高いものが要望されている。
上記要望に対処するため、感熱発色層上に保護層を設けること等により改善が試みられている。特に、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、又はこれらのポリビニルアルコールと耐水化剤を併用した保護層を使用することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかし、特許文献1に記載のジアセトン基を含有するポリビニルアルコールに対して所定重量部のヒドラジンを反応させるポリビニルアルコール系樹脂の耐水化手法によれば、塗布状態で耐水化反応が促進されて保護層塗布液が経時で増粘してしまうという問題がある。また、特許文献2に記載の保護層中にジアセトン変性ポリビニルアルコールを接着剤として含有する手法によれば、形成される保護層の耐水性が不十分であり、耐水化剤(ヒドラジン系化合物)によって感熱記録層(感熱発色層)の発色が阻害されるという問題がある。
また、ジアセトンアクリルアミド共重合変性ポリビニルアルコール、水溶性ヒドラジン化合物、及び水溶性有機アミン又はアンモニアを配合した樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この樹脂系を保護層に用いた場合には、水溶性アミンが用いられているため、これが感熱発色層に悪影響を与えて地肌発色を起生し、更にpH制御が難しく、塗工液の増粘を促進する等の問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は先に、上記の問題を改善する方法として、保護層に、樹脂(反応性カルボニル基を有するポリビニルアルコール)と、架橋剤(ヒドラジド化合物)と、フィラー(塩基性フィラー)を含有させることを提案した(例えば、特許文献4参照。)。
この提案により、安定性の良い塗工液が得られ、耐水性、耐薬品性、水剥がれ、地肌発色など一定の改善効果が図れる。しかし、前記感熱記録材料では、水性フレキソインクで印刷した画像が長時間水と接触することにより、外力の作用で画像が剥がれてしまうという課題があり、今だ十分とは言えない。
【0005】
一方、感熱記録材料の需要増加に伴いサーマルプリンターが高速化している。サーマルプリンター内部にはサーマルヘッドがあり、このサーマルヘッドが感熱記録材料表面に接して熱エネルギーを感熱記録材料に与えることにより画像情報が形成される。つまり、高速で印字を行うためには感熱記録材料の発色感度が高いことが重要となる。
【0006】
発色感度を上げる方法としては多様な技術がこれまで提案されているが、その一つとして、発色体であるロイコ染料の粒子径を細かくし、サーマルヘッドからの熱に対して容易に溶融発色するようにする方法がある。
しかしながら、染料の微粒子化(平均粒子径0.3μm以下)を行った場合、発色感度が向上する一方で背反特性として地肌白色度の低下が顕著となる。そのメカニズムは、ロイコ染料の微粒子化が進むにつれて、感熱液(ロイコ染料分散液と顕色剤分散液を混合したもの)を調整した場合に顕色剤の分散体との接触面積が大きくなり、弱い発色体構造を形成することになり、感熱記録材料として地肌の白色度が低下するというものである。これを改善するため、感熱記録層に炭酸カルシウム等の塩基フィラーを用いることが知られている。
【0007】
しかしながら、保護層を構成する特定の樹脂組成分によっては、高感度化、且つ地肌白色化の機能を付与するために、感熱記録層へ微粒子化したロイコ染料と塩基性フィラーを用いると、塩基性フィラーが保護層表面に析出し、水性フレキソインクの耐水化を阻害し、水性フレキソインクを印刷した感熱紙が水と接触すると印刷部が容易に剥がれてしまうという課題があった。すなわち、画像保存性、水性フレキソインキ等の印刷適正、高感度、地肌カブリ防止などの性能を同時に満足できるものはなかった。
【0008】
【特許文献1】特開平8−151412号公報
【特許文献2】特開平11−314457号公報
【特許文献3】特開平10−87936号公報
【特許文献4】特開2002−283717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、保護層中にジアセトン変性ポリビニルアルコール、及び(メタ)アクリル樹脂を含むことにより、感熱記録材料表面に水性フレキソインクにて印刷した画像の耐水性が向上することを見出した。すなわち、水性フレキソインク印刷画像が水と接触した際の剥がれを抑制することができる。
しかしながら、上記において、高感度化且つ地肌白色化の機能を付与するために、感熱記録層へ微粒子化した染料と塩基性フィラーを用いると、塩基性フィラーが保護層表面に析出し、水性フレキソインクの耐水化を阻害し、水性フレキソインクを印刷した感熱紙が水と接触すると印刷部が容易に剥がれてしまうという課題があった。
【0010】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
すなわち、本発明は、高感度かつ高白色度で地肌カブリがなく、水性フレキソインク印刷画像の耐水性が優れ、高温高湿環境条件下における搬送性及び低温低湿環境条件下でのスティッキング性が良好な感熱記録材料と、これを適用した感熱記録ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、高感度かつ高白色度、地肌カブリ防止、画像保存性などの性能を維持したまま、感熱記録材料が水と接触する環境下(長時間の水との接触)で、感熱記録材料表面の水性フレキソインク印刷画像が容易に剥がれてしまう問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の〔1〕〜〔12〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
〔1〕:上記課題は、支持体上に、少なくともロイコ染料及び顕色剤を主成分として含有する感熱記録層)と、保護層とを順次設けてなる感熱記録材料において、
前記感熱記録層が塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含むと共に、前記保護層が少なくとも、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とする感熱記録材料により解決される。
【0013】
〔2〕:上記〔1〕に記載の感熱記録材料において、前記カチオン性界面活性剤の添加量が、前記塩基性フィラー1質量部に対して0.003〜0.05質量部であることを特徴とする。
【0014】
カチオン性界面活性剤の添加量を上記範囲とすることにより、保護層表面への塩基フィラーのマイグレーション抑制と水性フレキソインク印刷画像の剥がれ防止を効果的に両立することができる。
【0015】
〔3〕:上記〔1〕又は〔2〕に記載の感熱記録材料において、前記塩基性フィラーのpH値が、8以上であることを特徴とする。
【0016】
pH値を8以上とすることにより、ロイコ染料の粒子径を細かくした際にも地肌の白色度低下を抑制することができる。
【0017】
〔4〕:上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記塩基性フィラーの添加量が、前記ロイコ染料及び顕色剤の総量100質量部に対して40〜80質量部であることを特徴とする。
【0018】
塩基性フィラーの添加量を上記範囲とすることにより、高温高湿下での搬送性を良好に維持しつつ、印字濃度を良好に保つことができる。
【0019】
〔5〕:上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記(メタ)アクリル樹脂が、スチレン−アクリル酸共重合体であることを特徴とする。
【0020】
(メタ)アクリル樹脂がスチレン−アクリル酸共重合体であれば、水性フレキソインク内に含有されている樹脂との結着性が良好であり、印刷画像に対するより良好な耐水性が得られる。
【0021】
〔6〕:上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して1〜50質量部であることを特徴とする。
【0022】
(メタ)アクリル樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、水性フレキソインクによる印刷画像に対して良好な耐水性効果が発揮され、低温低湿環境下でのスティッキング性も良好に維持される。
【0023】
〔7〕:上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記(メタ)アクリル樹脂の酸価が、100mgKOH/g以上であることを特徴とする。
【0024】
(メタ)アクリル樹脂の酸価を100mgKOH/g以上とすることによって、水性フレキソインクによる印刷画像に対してより良好な耐水性効果が得られる。
【0025】
〔8〕:上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記感熱記録材料における感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、粘着剤層と、該粘着剤層表面に剥離紙を有することを特徴とする。
【0026】
〔9〕:上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の感熱記録材料において、前記感熱記録材料における感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着層を有することを特徴とする。
【0027】
〔8〕又は〔9〕の構成とすれば、水性フレキソインク画像の耐水性が優れており、高温環境下保管時においても地肌の白色度低下が防止されているためPOS分野、複写分野、通信分野、発券分野及びバッゲージ用タグ分野などの広い分野で応用することができる。
【0028】
〔10〕:上記課題は、〔8〕又は〔9〕に記載の感熱記録材料を適用したことを特徴とする感熱記録ラベルにより解決される。
【0029】
〔11〕:上記〔10〕に記載の感熱記録ラベルにおいて、前記感熱記録ラベルが、印刷及び打抜きされた状態であることを特徴とする。
【0030】
〔12〕:上記〔10〕又は〔11〕に記載の感熱記録ラベルにおいて、前記感熱記録ラベルが、ロール形態であることを特徴とする。
【0031】
〔11〕又は〔12〕によれば、操作性、取扱い性等が向上し、簡便、且つ容易にPOS分野、複写分野、通信分野、発券分野及びバッゲージ用タグ分野などの感熱記録ラベルとして用いることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の感熱記録材料によれば、高感度かつ高白色度で地肌カブリがなく、水性フレキソインク印刷画像の耐水性が優れ、高温高湿環境条件下における搬送性及び低温低湿環境条件下でのスティッキング性が良好である。
本発明の感熱記録ラベルによれば、水性フレキソインキ等の印刷適正、高感度、地肌カブリ防止、画像保存性、良好な搬送性及びスティッキング性など、要求性能を同時に満足できる感熱記録材料を適用しているので、情報処理分野(例えば、卓上計算機、コンピュータ等のアウトプット)、医療計測用レコーダー分野、低、高速ファクシミリ分野、自動券売機分野(乗車券、入場券等)、感熱複写機分野等多岐にわたって応用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
前述のように本発明における感熱記録材料は、支持体上に、少なくともロイコ染料及び顕色剤を主成分として含有する感熱記録層と、保護層とを順次設けてなる感熱記録材料において、
前記感熱記録層が塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含むと共に、前記保護層が少なくとも、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とするものである。
【0034】
すなわち、本発明者らが、高感度でしかも高白色度、地肌カブリ防止、画像保存性などの性能を維持しつつ、感熱記録材料表面に印刷した水性フレキソインク画像が長時間の水との接触において容易に剥がれてしまう問題を解決するため、感熱記録材料の構成を鋭意検討した結果、支持体上に、少なくともロイコ染料及び顕色剤を主成分として含有し、且つ塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含む感熱記録層(感熱発色層)を設けると共に、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有する分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂(以降、「ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂」と略称することがある。)、及び(メタ)アクリル樹脂を含有する保護層を順次設けることにより、感熱記録層中のカチオン界面活性剤が、塩基性フィラーを凝集させて、水性フレキソインクの耐水化を阻害する塩基性フィラーの保護層表面へのマイグレーションを抑制し、塩基フィラーによる高白色度効果を維持したまま、感熱記録材料表面に印刷した水性フレキソインク画像が、水と接触した際にも剥がれが抑制され印刷画像の耐水性が向上することを見い出した。ここで、保護層中にジアセトン変性ポリビニルアルコール、及び(メタ)アクリル樹脂を含むことにより、感熱記録材料の保護層と水性フレキソインクとの界面において、保護層内のアクリル樹脂のカルボキシル基を介して水性フレキソインク内の結着樹脂と結合し、水性フレキソインクとの結着性が強まる。そのため、感熱記録材料表面に水性フレキソインクにて印刷した画像が、水と接触した際の剥がれを抑えることができ、印刷画像の耐水性が向上する。
なお、上記フレキソインクには使用溶剤のタイプによって、アルコール型と水性型とがある。アルコール型フレキソインクは、使用溶剤がエタノール等の低沸点物とグリコール等の遅乾燥性のアルコール系溶剤によって作製される。一方、水性型フレキソインクは、水あるいは微量のアルコールの併用によるインクタイプであり、溶剤を含んでいないため、省資源、環境衛生面において大きく貢献することができるので汎用されているものである。
【0035】
以下、本発明の感熱記録材料について、図面を用いて詳しく説明する。
図1は、本発明の感熱記録材料の構成例を示す断面図であり、支持体1上に、ロイコ染料、顕色剤、塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含む感熱記録層2と、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂を含有する保護層3を順次設けた構成からなる。
なお、本発明の感熱記録材料は、更に必要に応じてバック層、中間層などのその他の層を有しても構わない。以下、各層について説明する。
【0036】
<保護層>
本発明の感熱記録材料における保護層には、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂(略称「ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂」)及び(メタ)アクリル樹脂が含有され、必要により架橋剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0037】
〔ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂〕
前述のように、ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂は、分子鎖中に、ビニルアルコール構造の繰り返し単位と共に、ジアセトン基が結合したビニル誘導体構造が繰り返し単位として含まれるものであり、このような樹脂は適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
【0038】
上記ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂として合成したものを使用する場合には、例えば、ジアセトン基が結合したビニル誘導体(ジアセトン基を有するビニルモノマー)と、脂肪酸ビニルエステルとを共重合し、得られた共重合体を鹸化する等の公知の方法により製造したものを用いることができる。
【0039】
前記ジアセトン基を有するビニルモノマーとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタアクリルアミドなどが挙げられる。
前記脂肪酸ビニルエステルとしては、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられるが、これらの中でも、酢酸ビニルが特に好ましい。
【0040】
また、前記ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂は、他の共重合可能なビニルモノマーを共重合させたものでもよい。これらの共重合可能なビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル、ブタジエン、エチレン、プロピレン、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。
【0041】
前記ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂中のジアセトン基(反応性カルボニル基)の含有量は、ポリマー中に0.5〜20モル%が好ましく、2〜10モル%がより好ましい。前記含有量が2モル%未満であると、実用上耐水性が不十分となることがあり、10モル%を超えると、耐水化の向上効果が見られなく、経済的にも高価となる傾向がある。
前記ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂の重合度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300〜3,000が好ましく、500〜2,000がより好ましい。
【0042】
〔(メタ)アクリル樹脂〕
前記(メタ)アクリル樹脂としては、特に制限はなく、アクリル樹脂およびメタアクリル樹脂であればよく、公知のものの中から適宜選択することができ、適宜合成したものであってよく、市販品であってもよい。
適宜合成するアクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸エステルのいずれかを重合させてなる単独重合体、並びに(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらと共重合可能なモノマーを共重合させてなる共重合体のいずれかが好適である。
【0043】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般に、紫外線硬化用樹脂又は電子線硬化用樹脂などに用いられるモノマー乃至オリゴマーなどが好適に挙げられる。これらの中でも、柔軟な構造を有するものが好ましく、脂肪族化合物が好ましく、芳香族化合物では鎖式構造を有するものが好ましく、また、3官能性以上の多官能性モノマーよりも単官能性モノマー乃至2官能性モノマーが好ましい。
【0044】
前記(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステル、グリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、アリル(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリベン(メタ)アクリル酸エステル、アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルメチルクロライド塩、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
前記アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜18のものが好ましく、3〜15がより好ましい。具体的には、メチル(メタ))アクリル酸エステル、エチル(メタ)アクリル酸エステル、n−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、i−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸エステル、ラウリル(メタ)アクリル酸エステル、ステアリル(メタ)アクリル酸エステル、などが挙げられる。
前記アルキル基の炭素数が、短すぎると、該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがあり、長すぎると、側鎖のメチレン鎖同士が規則的に並び該アクリル樹脂の柔軟性に欠けることがある。
【0046】
前記アルキル基を有するアミノ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1〜5のものが好ましく、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸エステルジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
前記グリコールジ(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ブチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0047】
前記共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類;ハロゲン化アルケン類;アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能モノマーなどが挙げられる。
【0048】
これらの(メタ)アクリル樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルを共重合成分、あるいはこれら共重合成分にメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトル、酢酸ビニル等を共重合成分とするアクリル樹脂が好ましく、水性フレキソインク内に含有されている樹脂との結着性の点からスチレン−アクリル酸共重合体が特に好ましい。
上記アクリル樹脂は水溶性タイプ、及びエマルションタイプのどちらでも同等の印刷画像の耐水性効果が得られるが、エマルションタイプを使用した場合、耐可塑剤性、耐油性等のバリア性品質が低下するという背反作用があるため、水溶性タイプの方が好ましい。
【0049】
前記(メタ)アクリル樹脂の前記保護層における含有量は、前記分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対し1〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。前記含有量が1質量部未満であると、水性フレキソインクの印刷画像に対し耐水性の効果が見られないことがあり、50質量部を超えると、低温低湿環境下でのスティッキング性が劣ることがある。
【0050】
前記(メタ)アクリル樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上が好ましく、150〜250mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が100mgKOH/g未満であると、水性フレキソインクの印刷画像の耐水性に対し十分な効果が得られないことがある。
ここで、前記(メタ)アクリル樹脂の酸価は、JIS K0070にて定める試験法により測定することができる。
【0051】
前記(メタ)アクリル樹脂の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜300,000が好ましい。
【0052】
〔架橋剤〕
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヒドラジド化合物が好適である。
前記ヒドラジン化合物としては、ヒドラジド基を有すれば特に制限はないが、例えば、ヒドラジン、カルボヒドラジド、蓚酸ジヒドラジド、蟻酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、安息香酸ヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、ジグリコール酸ヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,7−ナフトエ酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性及び安全性の面からアジピン酸ジヒドラジドが特に好ましい。
【0053】
前記架橋剤の添加量は、架橋剤の官能基の変性量、種類によっても異なるが、前記ジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0054】
なお、本発明の架橋剤には機能を損ねない範囲で、例えば、グリオキザール、メラミン、アジリジン化合物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、炭酸ジルコニウムアンモン、エチレンジアミン等の公知の架橋剤を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
前記保護層には、更に必要に応じてフィラーを含有することができる。該フィラーとして、例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウム、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末;尿素ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂などの有機系微粉末などが挙げられる。これらの中でも、長期にわたって印字を行った際のサーマルヘッドに対する耐磨耗性が良好である点から水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムが特に好ましい。
【0056】
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感熱記録層(感熱発色層)上に保護層塗布液を塗布して、保護層を形成する方法が好適である。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ニーダーコート法、カーテンコート法、ブレードコート法、などが挙げられる。これらの中でも、塗布効率等の点で、スピンコート法、ディップコート法等が好ましい。
前記塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
【0057】
前記塗布の後、必要に応じて乾燥させてもよく、この場合の乾燥の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100〜250℃程度が好ましい。
前記保護層の乾燥塗布量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜5.0g/m2が好ましく、1.5〜3.5g/m2がより好ましい。前記乾燥塗布量が0.5g/m2未満であると、保護層としての十分な機能が得られず、油、可塑剤、水などの外部からの薬品等で印字画像が退色してしまうことがあり、5.0g/m2を超えると、保護層の機能として更なる向上は見られず、逆に発色感度が低下してしまうことがある。
【0058】
<感熱記録層>
前記感熱記録層(感熱発色層)は、ロイコ染料、顕色剤、塩基性フィラー、カチオン性界面活性剤を含むが、バインダー樹脂や、更に必要に応じてその他の成分を含有することができる。
【0059】
〔ロイコ染料〕
前記ロイコ染料としては、特に制限はなく、通常感熱記録材料に使用されているものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0060】
このようなロイコ染料の具体例としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6’−クロロ−8’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6’−ブロモ−3’−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’クロルフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−ニトロフェニル)フタリド、3−(2’−ヒドロキシ−4’−ジエチルアミノフェニル)−3−(2’−メトキシ−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(2’−メトキシ−4’−ジメチルアミノフェニル)−3−(2’−ヒドロキシ−4’−クロル−5’−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−プロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’、5’−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,4’−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピベリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−N−ブチルアニリノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3’)−6’−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4’−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(−2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4’,5’−ベンゾフルオラン、3−p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−{1,1−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル}−6−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニルエチレン−2−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1−p−クロロフェニルエチレン−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−メトキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−p−クロロフェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−(4’−ジメチルアミノ−2’−ベンジルオキシ)−3−(1”−p−ジメチルアミノフェニル−1”−フェニル−1”,3”−ブタジエン−4”−イル)ベンゾフタリド、3−ジメチルアミノ−6−ジメチルアミノ−フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,3−ビス(2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−p−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−ビス{1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル}−5,6−ジクロロ−4,7−ジプロモフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−ナフタレンスルホニルメタン、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−1−p−トリルスルホニルメタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0061】
〔顕色剤〕
前記顕色剤としては、前記ロイコ染料を接触時発色させる電子受容性の種々の化合物、又は酸化剤等が適用される。このようなものは従来公知であり、その具体例としては以下に示すようなものが挙げられるがこれらに限られるものではない。
例えば、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4’−セカンダリーブチリデンビスフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−ターシャリーブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−ターシャリーブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4’−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−{β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ}サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム塩、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリ−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−ターシャリ−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ターシャリ−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(6−ターシャリ−ブチル−2−メチル)フェノール、4,4’−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキユ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N’−ジフェニルチオ尿素、N,N’−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルエステル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジルエステル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4’−ジフェノールスルホン、2,2’−ジアリル−4,4’−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4’−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロフェノール)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
前記顕色剤の含有量は、前記発色剤(ロイコ染料)1質量部に対し1〜20質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
【0063】
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉又はその誘導体;メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタクリル酸三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体等のラテックス類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
前記感熱記録層(感熱発色層)には、感度向上剤として種々の熱可融性物質を使用することができる。該熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p−ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β−ベンジルオキシナフタレン、β−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチルエステル、ジフェニルカーボネート、テレフタル酸ジベンジルエステル、テレフタル酸ジメチルエステル、1,4−ジメトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ビス(フェノキシ)ブタン、1,4−ビス(フェノキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4−ビス(フェニルチオ)ブタン、1,4−ビス(フェニルチオ)−2−ブテン、1,2−ビス(4−メトキシフェニルチオ)エタン、1,3−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p−(2−ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p−アリールオキシビフェニル、p−プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1−ジフェニルエタノール、1,1−ジフェニルプロパノール、p−(ベンジルオキシ)ベンジルアルコール、1,3−ジフェノキシ−2−プロパノール、N−オクタデシルカルバモイル−p−メトキシカルボニルベンゼン、N−オクタデシルカルバモイルベンゼン、蓚酸ジベンジルエステル、1,5−ビス(p−メトキシフェニルオキシ)−3−オキサペンタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
〔塩基性フィラー〕
前記感熱記録中に、酸性もしくは中性フィラーであるシリカを用いると地肌カブリを招き白色度が低下する。地肌カブリのメカニズムは必ずしも明確でないが、地肌カブリは感熱記録層中がアルカリ性条件下で抑制されるため、中性であるシリカは地肌カブリを抑制する効果がない可能性がある。
そこで、本発明において記録相中に填料として塩基性フィラーを用いることが好ましく、塩基性フィラーのpH値は8以上であることが好ましい。例として、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられるが、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の種類は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0066】
前記塩基性フィラーの添加量は、感熱記録層の染料と顕色剤の総量100質量部に対して40〜80質量部含有させることが好ましい。40質量部より低いと、高温高湿下での搬送性が悪く、80質量部を超えると発色成分以外の成分の比率が大きくなるため著しい印字濃度の低下を招く。塩基性フィラーの添加量が感熱記録層の全固形分に対して30〜60質量部であると、高温高湿下における搬送性及び印字濃度の点からより好ましい。
【0067】
〔カチオン性界面活性剤〕
前記感熱記録層において含有されるカチオン性界面活性剤としては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤、及びカチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
上記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0068】
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0069】
具体的には、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
【0070】
また、アリルアミン、ジアリルアミンやその誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としては、アリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びその塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びその塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)が挙げられる。
【0071】
なお、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体は、アミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的である。また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
【0072】
前記感熱記録層(感熱発色層)に含有するカチオン性界面活性剤は、塩基性フィラー1に対して0.003〜0.05質量部である部が望ましい。0.003質量部以下だと、感熱記録相中の塩基フィラーの保護層表面へのマイグレーションを抑制する効果が弱く、0.05質量部以上では、感熱記録層が耐水剥がれする。
【0073】
前記感熱発色層には、更に必要に応じて、各種補助添加成分、例えば、界面活性剤、滑剤、等を併用することができる。該滑剤としては、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、石油系ワックスなどが挙げられる。
【0074】
前記感熱発色層は、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができる。例えば、ロイコ染料、顕色剤を別々にバインダー樹脂、その他の成分と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル等の分散機により、分散粒径が0.1〜3μmになるまで粉砕分散した後、塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤、及び必要に応じて滑剤等と共に、一定処方で混合して感熱発色層塗布液を調製し、これを支持体上に塗布することによって感熱発色層を形成することができる。
前記感熱発色層の乾燥後の付着量は、前記感熱発色層の組成や感熱性粘着材料の用途等により異なり一概には規定できないが、1〜20g/m2が好ましく、3〜10g/m2がより好ましい。
【0075】
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。支持体の形状としては、例えば、シート状、ロール状、平板状などが挙げられ、その構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよう。支持体の大きさとしては、前記感熱記録材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
【0076】
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、フィルム、合成紙、剥離紙等を用いることができる。紙は酸性紙、中性紙のいずれも用いることができる。
また、上記中性紙支持体及び中性紙からなる剥離紙に関しては、カルシウム量の少ないものが好ましい。カルシウム量が少ない中性紙及び中性紙からなる剥離紙は、抄造に用いる古紙の割合を少なくすることによって得られる。また、通常内添剤として炭酸カルシウムが用いられ、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー又は無水アルケニルコハク酸などが用いられているのに対し、カルシウム量が少ない中性紙の抄造には内添剤をタルクやクレーに代え、中性ロジンサイズ剤と組み合わせることによって得られる。
【0077】
本発明の感熱記録材料の層構成としては、支持体と、該支持体上に感熱記録層を設け、更にその上に保護層を有し、更に支持体の感熱記録層を有さない側の面(裏面)にバック層、あるいは支持体と感熱発色層の間、感熱発色層と保護層間、また支持体とバック層間に中間層(断熱層)を形成してもよい。特に支持体と感熱発色層の間に断熱層を形成することが好ましく、この断熱層は中空率が80%以上の中空樹脂粒子をフィラーとして用いることが好ましい。更にこれらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
【0078】
本発明の感熱記録材料は、キャレンダー処理によるサーマルヘッドとの密着性の向上が著しいので、感熱記録層、又は保護層へキャレンダー処理を施すことは、非常に好ましい。すなわち、感熱記録層又は保護層へのキャレンダーの圧力の大きさで表面の平滑度をコントロールすることにより、地肌かぶりが無く、しかも従来よりも高精細な感熱記録材料を得ることができる。
【0079】
本発明の感熱記録材料の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ラベル状、シート状、ロール状、などが好適に挙げられる。
【0080】
本発明の感熱記録材料においては、感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、粘着剤層と、該粘着剤層表面に剥離紙を有する構成とすることができる。あるいは、感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着層を有する構成とすることができる。
そして、これらの感熱記録材料を適用して感熱記録ラベルとすることができ、印刷及び打抜きされた状態、ロール状などで好適に用いることができる。
【0081】
本発明の感熱記録材料を用いた記録方法は、使用目的によって、熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等で行われ、特に限定されない。
本発明の感熱記録材料は、水と接触する環境下、例えば、冷蔵庫中、スーパーの陳列棚、水周りなどで長時間水と接触した場合でも、感熱記録材料表面に印刷した水性フレキソインク画像が容易に剥がれてしまうことがなく、且つ高温環境下に保管時しても地肌の白色度が高い。このため、生鮮食料品、弁当、惣菜用等のPOS分野;図書、文書等の複写分野;ファクシミリ等の通信分野;券売機、レシート、領収書等の発券分野;航空機業界のバッゲージ用タグなどの各種分野に好適に用いられる。
【実施例】
【0082】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。なお、以下に示す添加量「部」はいずれも質量比(質量基準)である。
【0083】
[実施例1〜17]及び[比較例1〜6]
以下の要領で感熱記録層(感熱発色層)塗布液、保護層塗布液をそれぞれ調製し、これらを用いて感熱記録紙を作製した。
【0084】
(1)感熱発色層、保護層を構成するために用いる〔A]液〜〔F]液の調製
下記組成からなる各液をサンドグラインダーを用いて分散し、〔A]液〜〔F]液を調製した。
【0085】
〔A液〕:染料分散液
3−NーシクロヘキシルーNーメチルアミノー6−メチルー
7−アニリノフルオラン・・・20質量部
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製;
ゴーセランL‐3266)の10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
なお、上記ロイコ染料分散液の粒子径は0.3μm以下になるように調整。
【0086】
〔B液〕:顕色剤分散液
4-ヒドロキシ 4’-アリルオキシジフェニルスルホン・・・10質量部
顕色剤(日本曹達社製;D−90)・・・10質量部
ポリビニルアルコール(電気化学工業株式会社製;DR−187)
の10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
【0087】
〔C液〕
非晶質シリカ(水澤化学工業(株)製;ミズカシルP-527、pH=6.5)・・・20質量部
ポリビニルアルコール(電気化学工業株式会社製;DR−187)
の10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
【0088】
〔D液〕
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製;PCX-850、pH=7.5)・・・20質量部
ポリビニルアルコール(電気化学工業株式会社製;DR−187)
の10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
【0089】
〔E液〕
炭酸カルシウム(白石カルシウム社製;BR-15、pH=9.9)・・・20質量部
ポリビニルアルコール(電気化学工業株式会社製;DR−187)
の10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
【0090】
〔F液〕
水酸化アルミニウム(平均粒径0.6μm、昭和電工社製;
ハイジライトH−43M)・・・20質量部
ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製;
ゴーセランL‐3266)10%水溶液・・・20質量部
水・・・60質量部
【0091】
(2)感熱発色層塗布液の調製
上記のようにして得た〔A液〕〜〔E液〕、及び界面活性剤(カチオン性:三洋化成工業株式会社製;ケミスタット7005、アニオン性:三洋化成工業株式会社製;サンデットEND、ノニオン性:日信化学工業(株)製;オルフィンEXP.4036)を下記表1及び下記表2に記載の配合割合で混合して実施例1〜17、比較例1〜6で用いる感熱発色層塗布液を調製した。
【0092】
(3)保護層塗布液の調製
〈実施例1〜10で用いる保護層塗布液〉
下記の組成分を混合して実施例1〜10で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2にこれらの配合割合をまとめて示す。
【0093】
〈実施例1〜10で用いる保護層塗布液の組成〉
上記〔F液〕・・・60質量部
ジアセトン変性ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール株式会社製;D−700VH、固形分=10質量%)・・・100質量部
アクリル樹脂水溶液(酸価=600mgKOH/g、ポリアクリル酸ナトリウム、
日本純薬株式会社製;ジュリマーAC103、固形分=10質量%)・・・20質量部
アジピン酸ジヒドラジド水溶液(固形分=10質量%)・・・10質量部
ジオクチルスルホコハク酸水溶液(固形分=5質量%)・・・1質量部
【0094】
〈実施例11で用いる保護層塗布液〉
実施例1の保護層塗布液に用いたアクリル樹脂の代わりに、スチレン−アクリル酸共重合体(酸価=195mgKOH/g、ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)20質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例11で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0095】
〈実施例12で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体(酸価=195mgKOH/g、ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を0.5質量部に用いた以外は、実施例11と同様にして実施例12で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0096】
〈実施例13で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体(酸価=195mgKOH/g、ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を2質量部に用いた以外は、実施例11と同様にして実施例13で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0097】
〈実施例14で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体(酸価=195mgKOH/g、ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を45質量部に用いた以外は、実施例11と同様にして実施例14で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0098】
〈実施例15で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体(酸価=195mgKOH/g、ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を55質量部に用いた以外は、実施例11と同様にして実施例15で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0099】
〈実施例16で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体の代わりに、スチレン−アクリル共重合樹脂(酸価100mgKOH/g、ジョンクリル450、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を20質量部添加した以外は、実施例11と同様にして実施例16で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0100】
〈実施例17で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液に用いたスチレン−アクリル酸共重合体の代わりに、スチレン−アクリル共重合樹脂(酸価=55mgKOH/g、ジョンクリル775、ジョンソンポリマー株式会社製、固形分=10質量%)を20質量部添加した以外は、実施例11と同様にして実施例17で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0101】
〈比較例1〜4で用いる保護層塗布液〉
実施例11の保護層塗布液と同様にして、保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0102】
〈比較例5で用いる保護層塗布液〉
実施例1で用いたジアセトン変性ポリビニルビニルアルコールの代わりに、カルボン酸変性ポリビニルアルコール(固形分=10質量%)を100質量部用いた以外は、実施例1と同様にして比較例5で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0103】
〈比較例6で用いる保護層塗布液〉
実施例1の保護層塗布液にアクリル樹脂を添加しない以外は、実施例1と同様にして比較例6で用いる保護層塗布液を調製した。下記表1及び下記表2に配合割合をまとめて示す。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
(4)感熱記録紙の作製
坪量60g/m2の紙上に上記で得た感熱発色塗布液を、染料付着量が0.50g/m2になるように塗布乾燥し感熱発色層を設け、更にその上に上記で得た保護層塗布液を乾燥塗布量が3.0g/m2になるように塗布・乾燥し、その後スーパーキャレンダーにて処理し、40℃環境下で3日間キュアし、実施例1〜17、比較例1〜6の感熱記録材料を得た。
【0107】
[評価試験]
以上のようにして作製した感熱記録材料について、下記条件で地肌反射率試験、水性フレキソ印刷の耐水性評価、低温低湿環境条件下でのスティッキング性の評価、高温高湿環境条件下での搬送性の評価、発色特性試験及び感熱記録層ハガレ試験を実施した。評価結果を下記表3に示す。
【0108】
<地肌反射率試験>
感熱記録層の白色度の違いを定量化するため、フォトボルト社製地肌反射率計モデル577を用いて地肌反射率を測定(フィルター:グリーン使用)した。値が大きいほど白色度が高いことを示す。
【0109】
<水性フレキソ印刷の耐水性評価>
各感熱記録材料に25質量%に希釈した水性フレキソインク(AKZO Nobel社製、MTQ 30302−404)を線径0.10mmのワイヤーバーにて塗布し、22℃、65%RHの環境下、1時間放置して乾燥させた。その後、印刷画像上に水を1滴滴下し、5分間後に指で1回強く擦り、印刷画像の剥がれ具合より、下記基準から耐水性の評価を行った。
【0110】
〔水性フレキソ印刷の耐水剥がれ試験ランク(4水準)〕
◎:印刷部に全く剥がれ無し
○:印刷部に1〜25%未満の剥がれが発生
△:印刷部に25〜50%未満の剥がれが発生
×:印刷部に50%以上の剥がれが発生
【0111】
<低温低湿環境条件下でのスティッキング性の評価>
各々の感熱記録材料及びプリンター(L’esprit R−12、サトー株式会社製)を5℃、30%RHの低温低湿環境下に1時間放置して調湿した後、印字した。
スティッキング性が優れている場合は、印字パターンが正確に印字される。一方、スティッキング性が劣る場合は、感熱記録材料の同一部分に重複して印字されるため、印字パターンが正確に印字されない。印字画像を目視にて確認し、下記の基準によりスティッキング性の評価を行った。
【0112】
〔スティッキング性の目視によるランク(5水準)〕
◎:スティッキングは発生しない。
○:スティッキングは発生するが、品質には問題ない程度である。
△:スティッキングが発生し、品質にも問題がある程度である。
×:完全に搬送されず、スティッキングが発生する。
××:全く搬送されない。
【0113】
<高温高湿環境条件下での搬送性の評価>
各感熱記録材料及びプリンター(SM−90、寺岡精工株式会社製)を40℃、90%RHの高温高湿環境下に1時間放置して調湿した後印字し、印字長より評価した。印字長とは、プリンターによって特定の印字パターンを印字した際の印字スタート部から印字ラスト部までの長さである。搬送性が優れている場合は、印字パターンが正確に印字され、印字パターンの印字長と実際に印字したサンプルの印字長が同一長になる。これに対し、搬送性が劣っている場合は、感熱記録材料とサーマルヘッドの貼り付きによる搬送不良、及び印字部が短縮して印字されてしまい、更に感熱記録材料の搬送の際に蛇行するなどして、印字パターンの印字長よりも短くなる。この試験では、印字長が100mmの印字パターンを使用した。
【0114】
<発色特性試験>
キャレンダー済の各感熱記録材料について、松下電器部品株式会社製の薄膜ヘッドを有する感熱印字実験装置で、ヘッド電力0.45W/ドット1ライン、記録時間20msec/L、走査密度8×385ドット/mm条件下で、1msec毎にパルス巾0.0〜0.7mmsecに印字し、印字濃度をマクベス濃度計RD−914にて測定し、濃度が1.0となるパルス巾を計算した。
比較例1を基準として、(比較例1のパルス巾)/(測定したサンプルのパルス巾)=感度倍率として計算する。値が大きいほど感度(熱応答性)が良好である。
【0115】
<感熱記録層ハガレ試験>
感熱記録材料を水に24時間浸した後に取り出し、1分以内に指で50回強く擦り、感熱記録層のハガレ具合より、下記基準から感熱記録層の耐水性の評価を行った。
【0116】
〔感熱記録材料の耐水剥がれ試験ランク(3水準)〕
○:全く剥がれ無し
△:10〜50回指擦りの間にハガレ発生
×:10回以内にハガレ発生
【0117】
【表3】

【0118】
表3の結果から、本発明の実施例1〜17の本発明の感熱記録材料は、比較例1〜6に比べて、白色度が高く、高温高湿環境条件下での搬送性及び低温低湿環境条件下でのスティッキング性が良好であり、高感度を保持したまま、水性フレキソインクによる印刷画像の耐水性が向上していることが認められる。
すなわち、本発明の感熱記録材料は、例えば、情報処理分野、ファクシミリ分野、感熱複写機分野等の感熱記録ラベルとして幅広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明における感熱記録材料の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 支持体
2 感熱記録層
3 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、少なくともロイコ染料及び顕色剤を主成分として含有する感熱記録層と、保護層とを順次設けてなる感熱記録材料において、
前記感熱記録層が塩基性フィラー及びカチオン性界面活性剤を含むと共に、前記保護層が少なくとも、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂を含有することを特徴とする感熱記録材料。
【請求項2】
前記カチオン性界面活性剤の添加量が、前記塩基性フィラー1質量部に対して0.003〜0.05質量部であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
【請求項3】
前記塩基性フィラーのpH値が、8以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感熱記録材料。
【請求項4】
前記塩基性フィラーの添加量が、前記ロイコ染料及び顕色剤の総量100質量部に対して40〜80質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル樹脂が、スチレン−アクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル樹脂の含有量が、分子鎖中にビニルアルコール構造とジアセトン基が結合したビニル誘導体構造とを繰り返し単位として有するジアセトン変性ポリビニルアルコール樹脂100質量部に対して1〜50質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル樹脂の酸価が、100mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項8】
前記感熱記録材料における感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、粘着剤層と、該粘着剤層表面に剥離紙を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項9】
前記感熱記録材料における感熱記録層が設けられた側とは逆の支持体裏面に、加熱によって粘着性を発現する感熱性粘着層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の感熱記録材料。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の感熱記録材料を適用したことを特徴とする感熱記録ラベル。
【請求項11】
前記感熱記録ラベルが、印刷及び打抜きされた状態であることを特徴とする請求項10に記載の感熱記録ラベル。
【請求項12】
前記感熱記録ラベルが、ロール形態であることを特徴とする請求項10又は11に記載の感熱記録ラベル。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−66840(P2009−66840A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236401(P2007−236401)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】