説明

感熱記録材料

【課題】耐水性及び耐ヘッド磨耗性に優れ、未記録部の変色性が少なく、且つ安定生産が可能な感熱記録材料を提供する。
【解決手段】アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと、最大粒子径が500μm未満であり平均粒子径が125μm以下のグリオキシル酸カルシウム塩を混合して得られた保護層用塗液を塗工することで得られた保護層を有する感熱記録材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び保護層を順次設けた感熱記録材料に関し、耐水性に優れ、未記録部の変色性が少なく、且つ安定生産が可能な感熱記録材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体、ならびに電子受容性化合物を主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体である電子供与性化合物と顕色剤である電子受容性化合物とが瞬時反応し記録画像が得られるものである。このような感熱記録材料は、比較的簡単な装置で記録が得られ、保守が容易なこと、騒音の発生がないこと等の利点があり、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、コンピューターの端末機、ラベル印字機、乗車券、チケットの発券機等広範囲の分野に利用されている。特に近年は、ガス、水道、電気料金等の領収書、金融機関のATMの利用明細書、各種レシート、宝くじ、POSシステム用の感熱記録ラベルあるいは感熱記録タグ等にも感熱記録材料が用いられるようになっている。
【0003】
また感熱記録システムの発達により、感熱記録材料の使用環境はより過酷なものへと移っており、特に水分付着に曝される環境下での使用では、耐水性に優れた保護層を有する感熱記録材料が強く望まれている。
【0004】
感熱記録材料の耐水性を改良することを目的として、さまざまな構成を有する保護層を感熱記録層の上に形成する方法が提案されている。中でも、感熱記録材料の保護層にアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを利用することは従来から知られており、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等が知られている。またアセトアセチル変性ポリビニルアルコールと組み合わせて用いる架橋剤として、特許文献4にはビニルスルホン系化合物との組み合わせが、特許文献5にはヒドラジド化合物との組み合わせが、特許文献6にはセバシン酸ジヒドラジド及びドデカン2酸ジヒドラジドとの組み合わせが、特許文献7にはアミノ基含有シランカップリング剤との組み合わせが、特許文献8には特定のアルデヒド化合物との組み合わせが、特許文献9にはジカルボン酸ジヒドラジドとの組み合わせがそれぞれ開示されるが、このような保護層は高温高湿下で感熱記録材料の未記録部が変色してしまう問題や、保護層用塗液を作製し塗工するまでの間に保護層用塗液が増粘することで安定生産が困難となるという問題があり改善が求められていた。
【0005】
一方、特許文献10、特許文献11には耐水性と耐変色性に優れた感熱記録材料として、グリオキシル酸塩及び特定のグリオキシル酸エステル誘導体により架橋された保護層を有する感熱記録材料が開示されるが、十分な耐水性が得られず改善が求められていた。また、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの架橋に利用されるグリオキシル酸塩として、グリオキシル酸ナトリウムやグリオキシル酸マグネシウム等も知られているが、グリオキシル酸ナトリウムを使用した場合、ナトリウムイオンがサーマルヘッドを磨耗させ印字障害を発生させるといった問題があり、グリオキシル酸マグネシウム塩を使用した場合、十分な耐水性が得られないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−151855号公報
【特許文献2】特開平10−151856号公報
【特許文献3】特開2004−358762号公報
【特許文献4】特開2004−034436号公報
【特許文献5】特開2004−249528号公報
【特許文献6】特開2006−212975号公報
【特許文献7】特開2009−039874号公報
【特許文献8】特開2009−113438号公報
【特許文献9】特開2009−214422号公報
【特許文献10】国際公開第09/028646号パンフレット
【特許文献11】特開2010−077385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これらの問題を解決し、耐水性及び耐ヘッド磨耗性に優れ、未記録部の変色性が少なく、且つ安定生産が可能な感熱記録材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び保護層を少なくともこの順に有する感熱記録材料において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと、最大粒子径が500μm未満であり平均粒子径が125μm以下のグリオキシル酸カルシウム塩を混合して得られた保護層用塗液を塗工することで得られた保護層を有することを特徴とする感熱記録材料。
(2)上記保護層用塗液が更にエピクロロヒドリン樹脂を含有することを特徴とする上記(1)記載の感熱記録材料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によって耐水性及び耐ヘッド磨耗性に優れ、未記録部の変色性が少なく、且つ安定生産が可能な感熱記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明におけるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの側鎖にアセトアセチル基を導入したものを指す。アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの平均重合度、鹸化度、変性率は、特に限定されるものではないが、溶解性、塗工性、被膜の耐水性、層強度などから、平均重合度500以上4000未満、鹸化度90%以上、変性率1〜10モル%程度が好ましい。本発明において、保護層中のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの含有量は、保護層の全固形分に対して、20〜80質量%が好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
【0012】
本発明では、上記アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの架橋を目的にグリオキシル酸塩としてグリオキシル酸カルシウム塩が用いられる。グリオキシル酸塩としてはカルシウム塩以外にもナトリウム塩やマグネシウム塩を利用できることが知られているが、後述する実施例でも示した通り、ナトリウム塩はサーマルヘッドを磨耗させ、マグネシウム塩は十分な耐水性が得られない。
【0013】
上記の如くグリオキシル酸カルシウム塩は、感熱記録材料に好適であるが、性状が固体であり、水溶性も低い。そのため、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとの架橋反応性が十分でなく、十分な耐水性が得られないといった問題があった。
【0014】
本発明において、グリオキシル酸カルシウム塩を使用し、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとの架橋反応性を向上させ十分な耐水性を得るために、塗工液を作製する際に用いるグリオキシル酸カルシウム塩の最大粒子径を500μm未満、平均粒子径を125μm以下とする。平均粒子径が125μmを超えるグリオキシル酸カルシウム塩では架橋反応性が低く十分な耐水性が得られないため好ましくなく、更に塗工液を作製する際に用いるグリオキシル酸カルシウム塩中に最大粒子径が500μm以上の粗大なグリオキシル酸カルシウム塩を含有せしめると、十分な耐水性が得られず好ましくない。なお、最大粒子径が500μm未満であることを確認するには、目開き500μmのメッシュで篩った後の残渣の有無で知ることができる。また、平均粒子径は好ましくは85μm以下とする。平均粒子径の下限は1.0μm以上であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって得られた粒度分布から算術される体積平均粒子径の値であり、具体的には、日機装社製マイクロトラックシリーズ、堀場製作所社製LAシリーズ、島津製作所社製SALDシリーズ、ベックマン・コールター社製LSシリーズなどによって測定することができる。
【0015】
本発明の最大粒子径が500μm未満であり、平均粒子径が125μm以下のグリオキシル酸カルシウム塩は、例えば、乾式粉砕機を用いて調整し得ることができる。また湿式粉砕機により調整し得ることができる。乾式粉砕機の具体例としては、アシザワファインテック社製ドライスターSDA、日本コークス工業社製ダイナミックミル、アトライタ、ファインミル、ストリームミル、フロイント・ターボ社製ターボミル、スムースミル、アイシンナノテクノロジー社製ナノジェットマイザー、ホソカワミクロン社製カウンタジェットミル、イノマイザなどを挙げることができる。本発明において、グリオキシル酸カルシウム塩の含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して、0.5〜20質量%が好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。
【0016】
本発明の保護層には、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、グリオキシル酸カルシウム塩以外の架橋剤を含有することができる。具体的には、グリオキザール、エピクロロヒドリン樹脂、ホウ酸、ホウ砂などのホウ素化合物、ジルコニウム、チタン、アルミニウムなどの2価以上の価数を有する金属化合物、ヒドラジド化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、N−メチロール化合物、アジリジン化合物及びオキサゾリン化合物等を挙げることができる。この中でもエピクロロヒドリン樹脂が耐水性を更に向上させることができる。
【0017】
エピクロロヒドリン樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂などを挙げることができる。具体例としては、星光PMC社製WS4020、WS4024、WS4030、CP8970、田岡化学工業社製スミレーズレジン650(30)、スミレーズレジン675A(いずれもポリアミドエピクロロヒドリン樹脂である)、星光PMC社製WS4010、WS4011(いずれもポリアミンエピクロロヒドリン樹脂である)などが挙げられる。中でもポリアミドエピクロロヒドリン樹脂が、塗液安定性を更に向上させるため好ましい。本発明において、エピクロロヒドリン樹脂の含有量は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して、0.5〜30質量%が好ましく、3〜20質量%が特に好ましい。
【0018】
本発明に係る保護層には、顔料としてケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料や、メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリエチレン、ナイロン、スチレン系プラスチック顔料、アクリル系プラスチック顔料、炭化水素系プラスチック顔料等の有機顔料を使用することができる。中でも、カオリン、水酸化アルミニウム等の平板状の構造を有する顔料が好ましく用いられる。顔料の含有量は、保護層の全固形分に対して10〜70質量%が好ましい。
【0019】
本発明の保護層には本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、上記したアセトアセチル変性ポリビニルアルコール以外にも他の接着剤を使用することができる。具体的には、完全ケン化または部分ケン化ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、スチレン・無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン・アクリル酸共重合体のアルカリ塩、スチレン・アクリル酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂、及びスチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリル系ラテックス、ウレタン系ラテックス等の疎水性樹脂などが挙げられる。これら他の接着剤は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールに対して30質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0020】
本発明に係る保護層用塗液は、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、最大粒子径が500μm未満であり平均粒子径が125μm以下のグリオキシル酸カルシウム塩を必須成分とし、他、顔料などと混合することで得られ、本発明の保護層は上記保護層用塗液を塗工することで得られる。混合は例えば10〜40℃の温度で、少なくとも30分間以上、より好ましくは60〜120分間、例えばホモミキサーやホモジナイザー等の撹拌手段を用いて混合した液を撹拌することで行うことが好ましい。塗工する具体的な手段としては、フィルムプレス塗工、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工等の各種塗工方法、あるいは平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等による塗工方法が挙げられる。なお保護層の塗工は感熱記録層を塗工、乾燥した後に塗工する逐次塗工であっても良いし、感熱記録層や必要に応じて設けられるその他の層とともに同時に塗工し乾燥しても良い(スライドカーテン塗工による多層同時塗工)。保護層の絶乾塗工量は0.2〜10g/mが好ましく、1〜5g/mがより好ましい。
【0021】
本発明に係る感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液と樹脂などを混合し、支持体上に塗工及び乾燥することにより得られる。
【0022】
感熱記録層に含有される通常無色ないし淡色の染料前駆体である電子供与性化合物は、一般に感圧記録材料や、感熱記録材料に用いられているものに代表されるが、特に限定されるものではない。
【0023】
具体的な染料前駆体の例としては、
(1)トリアリールメタン系化合物:3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等、
【0024】
(2)ジフェニルメタン系化合物:4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等、
【0025】
(3)キサンテン系化合物:ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン等、
【0026】
(4)チアジン系化合物:ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等、
【0027】
(5)スピロ系化合物:3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等を挙げることができる。またこれらの染料前駆体は必要に応じて単独、もしくは2種以上混合して使用することができる。
【0028】
感熱記録層に含有される顕色剤である電子受容性化合物としては、一般に感圧記録材料、または感熱記録材料で使用される酸性物質等を使用できるが、特に限定されるものではない。例えば、フェノール誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、N,N′−ジアリールチオ尿素誘導体、アリールスルホニル尿素誘導体、有機化合物の亜鉛塩などの多価金属塩、ベンゼンスルホンアミド誘導体、ウレアウレタン化合物等を挙げることができる。
【0029】
以下に、感熱記録層に含有される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、必ずしもこれらの化合物に限定されるものではない。
【0030】
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−プロポキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−n−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4′−ベンジルオキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンモノアリルエーテル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、3,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4′−メチルジフェニルスルホン、3,4,4′−トリヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−〔オキシビス(エチレンオキシ−p−フェニレンスルホニル)〕ジフェノール、3,4,3′,4′−テトラヒドロキシジフェニルスルホン、2,3,4−トリヒドロキシジフェニルスルホン、3−フェニルスルホニル−4−ヒドロキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
【0031】
4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシアセトフェノン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、1,4−ビス〔1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル〕ベンゼン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、
【0032】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、4,4−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、没食子酸ベンジル、没食子酸ステアリル、ペンタエリスリトールテトラ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、ペンタエリスリトールトリ(4−ヒドロキシ安息香酸)エステル、N−ブチル−4−〔3−(p−トルエンスルホニル)ウレイド〕ベンゾエート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールの重縮合物と4−ヒドロキシ安息香酸との脱水縮合物、
【0033】
N,N′−ジフェニルチオ尿素、4,4′−ビス[3−(4−メチルフェニルスルホニル)ウレイド]ジフェニルメタン、N−(4−メチルフェニルスルホニル)−N′−フェニル尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N−(4−トルエンスルホニル)−N′−[3−(4−トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、ウレアウレタン化合物、
【0034】
サリチルアニリド、5−クロロサリチルアニリド、サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−[2′−(4−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、3−(オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸あるいはこれらサリチル酸誘導体の金属塩(例えば亜鉛塩)、
【0035】
N−(4−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)−4−トルエンスルホンアミド、N−フェニル−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドなどである。
【0036】
感熱記録層には、その熱応答性を向上させるために、熱可融性物質を増感剤として含有させることができる。この場合、60〜180℃の融点を持つものが好ましく、特に80〜140℃の融点を持つものがより好ましく使用される。
【0037】
具体的には、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、2,2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α,α′−ジフェノキシ−o−キシレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4−メチルベンジル)エステル、シュウ酸ビス(4−クロロベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類など公知の熱可融性物質が挙げられるが、高級脂肪酸アミドを用いた場合には、滑剤としても機能するためより好ましい。
【0038】
これらの化合物は単独もしくは2種以上併用して使用することもできる。また、十分な熱応答性を得るためには、感熱記録層の総固形分中、増感剤が5〜50質量%を占めることが好ましい。
【0039】
本発明における感熱記録材料は、発色感度を高める等、必要に応じて支持体と感熱記録層の間に中間層を1層以上設けることができる。また、支持体を挟んで感熱記録層側の反対面(裏面)には、磁気記録層、帯電防止層、粘着層などのバックコート層を1層以上設けることもできる。
【0040】
前述した保護層以外、例えば支持体及び任意の層(中間層やバックコート層)にも、顔料としてケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、非晶質ケイ酸カルシウム、コロイダルシリカ等の無機顔料、メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリエチレン、ナイロン、スチレン系プラスチック顔料、アクリル系プラスチック顔料、炭化水素系プラスチック顔料等の有機顔料を接着剤とともに使用することができる。特に中間層の顔料としては、焼成カオリン及び/または有機中空顔料が好ましく、高い断熱性による優れた熱応答性を持った感熱記録材料を得ることができる。有機中空顔料を用いた場合、中空部位に空気を含むことで、より高い断熱性が得られるとともに、顔料形状が球形に近いため、層の柔軟性を損なうことなく密に配列することができ、高い強度と柔軟性を兼ね備えた中間層を得ることができるため、優れた熱応答性及び表面強度を示す。本発明における有機中空顔料とは、顔料内部に閉空間が存在する樹脂顔料を指し、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリロニトリル等の単量体を主成分とする単独重合体、前記の単量体2種以上よりなる共重合体等をいう。本発明に用いる有機中空顔料は、本発明の効果の範囲内において特に限定されるものではないが、レーザー回折方式の粒度分布測定法による平均粒子径が0.1〜5.0μmのものが好ましく、更に0.5〜2.0μmのものがより好ましい。また、これら有機中空顔料の含有量は、中間層の全固形分に対して3〜80質量%が好ましい。
【0041】
また、支持体及び任意の層(中間層やバックコート層)に、接着剤として任意の樹脂が使用される。具体例としては、澱粉類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、オキシベンゾイルポリエステル、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリメチルペンテン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリアリルスルホン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩またはアンモニウム塩、その他各種ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0042】
保護層及び/または感熱記録層には、スティッキング性向上等の目的から、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸アミド、パラフィン、ポリオレフィン、酸化ポリエチレン、カスターワックス等の滑剤を含有させることが好ましい。滑剤の含有量は、保護層または感熱記録層の全固形分に対して5〜50質量%が好ましい。また保護層及び/または感熱記録層には耐光性向上等の目的から、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、分散・湿潤剤として、アニオン性、ノニオン性の高分子量のものを含む界面活性剤、更には蛍光染料、消泡剤等が必要に応じて添加される。
【0043】
本発明に係る支持体としては、紙、各種織布、不織布、合成樹脂フィルム、合成樹脂ラミネート紙、合成紙、金属箔、蒸着シート、あるいはこれらを貼り合わせ等で組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に使用することができる。中でも、含水率を容易にコントロールできることから、中性紙、酸性紙などの紙が特に好ましく用いられる。
【0044】
感熱記録層、中間層、バックコート層の形成方法は特に限定されるものではなく、従来公知の技術に従って形成することができる。具体的な例としては、フィルムプレス塗工、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工、Eバー塗工などの方法により塗液を塗工し、次いで乾燥させることにより各層を形成させることができる。また、平版、凸版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等によって各層を形成させても良い。更に、各層は逐次に塗工及び乾燥を行っても良いし、各層をそれぞれ塗工した後乾燥しても良く(ウェット・オン・ウェット)、更には各層を同時に塗工し乾燥しても良い(スライドカーテン塗工による多層同時塗工)。感熱記録層の塗工量は、十分な熱応答性を得るためには、通常染料前駆体の絶乾塗工量で0.05〜2.0g/mが好ましく、0.1〜1.0g/mがより好ましい。中間層の絶乾塗工量は1〜30g/mが好ましく、3〜20g/mがより好ましい。バックコート層の絶乾塗工量は、求められる機能等により適宜選定される。
【0045】
必要に応じて、中間層塗工後、感熱記録層塗工後、保護層塗工後、またはバックコート層塗工後にスーパーカレンダー処理により印字画質を向上させることができる。
【実施例】
【0046】
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。ただし、これらに限定されるものではない。なお以下に示す部、ならびに%はいずれも質量基準であり、塗工量は絶乾塗工量である。
【0047】
実施例1
(1)中間層用塗液の作製
焼成カオリン〔BASF社製:商品名アンシレックス〕50部、固形分濃度27.5%の有機中空顔料粒子分散液〔ローム&ハース社製:商品名HP91〕100部、50%のスチレン/ブタジエン系ラテックス40部、10%の酸化澱粉水溶液50部及び水100部からなる組成物を混合撹拌し、中間層用塗液を調製した。
【0048】
(2)感熱記録層用塗液の作製1
下記の(A)(B)(C)の混合液を、それぞれダイノミル(WEB社製サンドミル)で平均粒子径1μm以下となるように粉砕し、各分散液を得た。
(A)染料前駆体分散液
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 30部
2.5%スルホン変性ポリビニルアルコール水溶液 69部
1%アセチレングリコール系界面活性剤水溶液 1部
(B)電子受容性化合物分散液
4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン 30部
2.5%スルホン変性ポリビニルアルコール水溶液 69部
1%アセチレングリコール系界面活性剤水溶液 1部
(C)顔料・増感剤分散液
水酸化アルミニウム(昭和電工社製:商品名ハイジライトH42) 50部
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン 30部
2.5%スルホン変性ポリビニルアルコール水溶液 199部
1%アセチレングリコール系界面活性剤水溶液 1部
【0049】
(3)感熱記録層用塗液の作製2
次に、(A)、(B)、(C)の各分散液の他に下記のものを混合、撹拌して感熱記録層用塗液を調製した。
(A)染料前駆体分散液 100部
(B)電子受容性化合物分散液 100部
(C)顔料・増感剤分散液 280部
30%ステアリン酸亜鉛水分散液
〔中京油脂社製:商品名Z−7−30〕 25部
40%メチロールステアリン酸アミド水分散液 25部
20%パラフィンワックス水分散液 25部
10%完全鹸化ポリビニルアルコール
〔クラレ社製:商品名PVA117〕水溶液 200部
水 100部
【0050】
(4)グリオキシル酸カルシウム塩の作製
国際公開第09/028646号パンフレットに記載の合成法により、目開き1000μm及び500μmのメッシュで篩った後に残渣が存在し、平均粒子径300μmのグリオキシル酸カルシウム塩を得た。該グリオキシル酸カルシウム塩をフロイント・ターボ社製ターボミルで乾式粉砕し、目開き1000μm及び500μmのメッシュで篩った後に残渣が無く、平均粒子径が100μmのグリオキシル酸カルシウム塩を得た。
【0051】
(5)保護層用塗液の作製
下記に示す配合にて混合して保護層用塗液を調製した。混合はホモミキサーを用いて30℃、60分間撹拌することで実施した。
10%アセトアセチル変性ポリビニルアルコール
〔日本合成化学工業社製:商品名Z−200 平均重合度:約1100〕水溶液
50部
20%カオリン〔BASF社製:商品名UW90〕水分散液 20部
30%ステアリン酸亜鉛水分散液〔中京油脂社製:Z−7−30〕 6部
グリオキシル酸カルシウム塩 0.25部
水 30部
【0052】
(6)感熱記録材料の作製
坪量66g/mの中性の上質紙ロールに、中間層用塗液の固形分塗工量が5g/m、感熱記録層用塗液の固形分塗工量が染料前駆体の塗工量で0.5g/m、保護層用塗液の固形分塗工量が3g/mとなるようにそれぞれの層をエアナイフコーター及びエアフローティング式乾燥機にて塗工及び乾燥し、カレンダー処理を行い感熱記録材料を作製した。
【0053】
実施例2
実施例1の(4)グリオキシル酸カルシウム塩の作製において、乾式粉砕時間を延長してフロイント・ターボ社製ターボミルで乾式粉砕し、目開き1000μm及び500μmのメッシュで篩った後に残渣が無い、平均粒子径が70μmのグリオキシル酸カルシウム塩を作製し、これを実施例1の(5)保護層用塗液の作製で用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0054】
実施例3
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、10%アセトアセチル変性ポリビニルアルコール〔日本合成化学工業社製:Z−200〕水溶液50部の代わりに、10%アセトアセチル変性ポリビニルアルコール〔日本合成化学工業社製:商品名Z−410 平均重合度:約2300〕水溶液50部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0055】
実施例4
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、25%ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂水溶液1部を添加した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0056】
実施例5
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、20%ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂水溶液1.25部を添加した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0057】
比較例1
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において用いた、フロイント・ターボ社製ターボミルで乾式粉砕したグリオキシル酸カルシウム塩に代わって、乾式粉砕を行っていないグリオキシル酸カルシウム塩を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0058】
比較例2
実施例1の(4)グリオキシル酸カルシウム塩の作製において、フロイント・ターボ社製ターボミルでの乾式粉砕時間を短縮して乾式粉砕することで、目開き1000μmのメッシュで篩った後に残渣が無く、目開き500μmのメッシュで篩った後に残渣が存在し、平均粒子径が250μmのグリオキシル酸カルシウム塩を作製し、これを実施例1の(5)保護層用塗液の作製で用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0059】
比較例3
実施例1の(4)グリオキシル酸カルシウム塩の作製において、フロイント・ターボ社製ターボミルでの乾式粉砕時間を短縮して乾式粉砕することで、目開き1000μmのメッシュで篩った後に残渣が無く、目開き500μmのメッシュで篩った後に残渣が無い、平均粒子径が150μmのグリオキシル酸カルシウム塩を作製し、これを実施例1の(5)保護層用塗液の作製で用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0060】
比較例4
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、グリオキシル酸カルシウム塩0.25部の代わりに、アジピン酸ジヒドラジド0.25部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0061】
比較例5
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、グリオキシル酸カルシウム塩0.25部の代わりに、40%グリオキザール水溶液0.625部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0062】
比較例6
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、グリオキシル酸カルシウム塩0.25部の代わりに、10%グリオキシル酸ナトリウム塩水溶液2.5部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0063】
比較例7
実施例1の(5)保護層用塗液の作製において、グリオキシル酸カルシウム塩0.25部の代わりに、50%グリオキシル酸マグネシウム塩水溶液0.5部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0064】
以上の実施例1〜5及び比較例1〜7で作製した感熱記録材料について、下記の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0065】
〔印字濃度〕
作製した各感熱記録材料それぞれについて、大倉電気社製ファクシミリ試験機TH−PMDを用いて印字した。ドット密度8ドット/mm、ヘッド抵抗1685Ωのサーマルヘッドを使用し、印加電圧20ボルトで、印加パルス幅1.0msecで黒ベタ及び文字を印字した。印字濃度をマクベスRD−918型反射濃度計(ビジュアルフィルター)(マクベス社製)にて測定した。印字濃度の数値は、実用上1.0以上、好ましくは1.2以上である。
【0066】
〔耐水性〕
5cm×5cmの感熱記録材料の保護層面上に純水を1mL滴下した後、その上に保護層面同士が接するように同じ感熱記録材料を重ね、3kgの重りを用いて荷重をかけたまま常温常湿の環境下で24時間静置した。その後、手で感熱記録材料と感熱記録材料を剥がし、保護層同士の貼り付き程度より耐水性を評価した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:保護層面同士が自然に離れる。
○:保護層面同士は付着しているが、容易に感熱記録材料同士が剥がれる。
×:保護層面同士が付着し、感熱記録材料同士が剥がれ難く、感熱記録材料が破れる。
【0067】
〔耐変色性〕
感熱記録材料を50℃90%RHの環境下で24時間放置し、その後日本電色工業社製色差計PF10を用いて、未記録部のb値を測定した。評価基準については下記に示す。
◎:b値が2.0未満
○:b値が2.0以上3.0未満
×:b値が3.0以上
【0068】
〔保護層用塗液安定性〕
保護層用塗液を作製後、常温常湿で72時間撹拌し、塗液の状態を目視により評価した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:塗液の状態はほとんど変化せず、問題なく塗工を行うことが可能。
○:塗液が増粘を示すが、希釈することで塗工を行うことが可能。
×:塗液が固化してしまい、塗工が行えない。
【0069】
〔耐ヘッド磨耗性試験〕
セイコーエプソン社製プリンターTM−T88IIで20km連続印字し、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−8500にてサーマルヘッドを観察し、ヘッド磨耗の有無を判定した。評価基準は以下の指標に従った。
◎:ほとんどヘッド磨耗が生じなかった。
○:わずかにヘッド磨耗が生じた。
×:大きくヘッド磨耗が生じ、印字障害が発生した。
【0070】
【表1】

【0071】
表1から明らかなように、本発明により耐水性及び耐ヘッド磨耗性に優れ、未記録部の変色性が少なく、且つ安定生産が可能な感熱記録材料が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、熱により発色する感熱記録層及び保護層を少なくともこの順に有する感熱記録材料において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールと、最大粒子径が500μm未満であり平均粒子径が125μm以下のグリオキシル酸カルシウム塩を混合して得られた保護層用塗液を塗工することで得られた保護層を有することを特徴とする感熱記録材料。
【請求項2】
前記保護層用塗液が更にエピクロロヒドリン樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の感熱記録材料。

【公開番号】特開2012−187849(P2012−187849A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54060(P2011−54060)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】