説明

懸滴装置、懸滴システム、および/または懸滴方法

本開示内容は、装置、システム、およびこのような装置を流体の懸滴の生成および取扱に使用する方法に広く関連する。また、本開示内容は、細胞培養用装置と、この細胞培養用装置の使用方法および/またはシステムと、例えば研究およびハイスループットのスクリーニングのための、この細胞培養用装置の利用とにも関連する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は米国特許出願No.61/299,011号(出願日:2010年1月28日)に基づく優先権を主張するものであり、上記米国特許出願を参照することによりその全開示内容を援用する。さらに、本願は、Sambrook, J. et al.によるマニュアル“Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989) pp.16.9-16.15”を援用することによりその全開示内容を援用する。
【0002】
[技術分野]
本開示内容は、装置、システム、および懸滴の発生および取扱においてそのような装置を使用する方法に広く関連する。また、本開示内容は、細胞培養装置、システム、およびこのような装置を使用する方法にも広く関連する。また、本開示内容は、上記細胞培養装置の研究およびハイスループット・スクリーニング(high throughput screening)のための使用用途にも広く関連する。
【0003】
[背景技術]
薬剤物検査およびスクリーニング(screening)実験用のインビトロ(in vitro)細胞モデルおよびインビトロ組織モデルは、製薬産業における新規の治療学の発展の中核をしばし成している。現在、ほとんどのインビトロ研究は従来の2次元(2D)細胞培養系の下で実施されているが、こうした2次元細胞培養系は機能性組織および腫瘍の生理学的モデルではない場合が多い。よって、このようなモデルを使用する薬剤研究では、正確な読み出し情報(read out)が得られないことがある。より有意義な結果を得るために、動物を使用するインビボ(in vivo)研究がしばしば利用される。一方で、インビボ研究の明らかな欠点の1つとして、多大な時間を必要とすることと、実験の費用が高くなることが挙げられる。従来の非生理的な2Dモデルとインビボ実験との間のギャップを埋めるために、製薬産業における薬剤検査とスクリーニングの治療予測的且つ生理学的に適切な結果を提供する3次元(3D)のインビトロモデルが必要とされている。3D細胞培養モデルを作製する1つの方法として、スフェロイド(spheroid)、または3Dの細胞集合または細胞集合体を介して行う作製方法がある。
【0004】
ハイスループット・スクリーニングおよび試験など特定の用途に適した方法によるスフェロイド培養物の成長は幾つかの欠点を抱えている。従来のスフェロイド形成は、ペトリ皿の蓋部の裏面の懸滴中で細胞浮遊液を培養することを含んでいる。この処理では、液滴の配置後に上記蓋部を反転させることが必要である。その結果、上記液滴が摂動の影響を受けやすくなり、落下、広がり、および隣接する滴との融合を起こす。この方法は、費用は高くないが、大きな労働力を必要とし、効率的なスケーラブル(scalable)生産が不可能であり、ハイスループット・スクリーニング用の自動化器具に対応しないものである。上記スフェロイドを損傷させずに培地を交換するのは難しいため、この方法は通常、上記スフェロイドを人手によって1つずつ長期培養、処理、分析、および収集(ハーベスト)のためにマルチウェル培養プレートへ移す他の労働集約的な工程を必要とする。
【0005】
代わりの方法としては、スピナーフラスコおよび回転型の培養容器などの生物反応器内で細胞懸濁液を、連続攪拌する条件下でスフェロイドの形成を誘発する。この方法では、大量の培地を消費することが必要である。また、この方法は特殊な器具を必要とし、上記スフェロイドのサイズと均一性を制御することが困難である。スフェロイドの変動性は高く、スフェロイドを多くの用途に使用することができない。
【0006】
3次元のミクロウェル(micro well)構造と平面状の微細パターンを使用してスフェロイドを産出する方法も可能である。しかし、これらの方法は、上記ミクロウェル構造と上記微細パターンを発生させる特殊な器具と高価な器具と必要とする。さらに、複数のスフェロイドを1つの流体区内で培養するため、上記スフェロイドを個別にモニタリングや操作することが不可能であり、試験化合物で個別に処理することも不可能である。また、処理の前後に個々のスフェロイドを分析することが困難なので、上記方法は、例えば、薬剤試験用途およびスクリーニング用途など特定の用途に不適当である。
【0007】
他の最近の進歩は、スフェロイドを発生および操作するように設計された微小流体素子を含む。しかし、これらの素子は設計および作製するには費用が高い。また、これらの素子はスフェロイドの長期的な培養には適しておらず、特定の薬剤と化学的に対応しておらず、ハイスループット・スクリーニングを行う自動化器具とも対応していない。
【0008】
上述の技術における問題に対処するために、本願に開示する装置、方法、および/またはシステムが必要とされている。
【0009】
[発明の概要]
本開示内容は、装置、システム、および流体の懸滴およびその取扱にそのような装置を使用する方法に広く関連する。また、本開示内容は、このような装置を使用する細胞培養装置、システム、および方法にも広く関連する。また、本開示内容は、研究用途とハイスループット・スクリーニング用途への細胞培養装置の利用にも広く関連する。
【0010】
例えば、一部の実施形態では、本開示内容は、(a)上面と、底面と、複数の孔とを有している少なくとも1つのアレイプレート(array plate)であって、上記複数の孔の各々は上部と底部とを有し、該少なくとも1つアレイプレートの上記底面は上記複数の孔のうち少なくとも1つ以上の底部に実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー(plateau)部を有している少なくとも1つのアレイプレートを備え;(b)上記少なくとも1つのアレイプレートは複数の懸滴を収容するように構成され、各滴液は上記複数の孔のうち対応する1つから懸下して、上記孔の下方で広がり、上記少なくとも1つのアレイプレートが収容できる懸滴の数は、上記少なくとも1つのアレイプレートに形成されている孔の数以下であるシステムを提供する。特定の実施形態では、上記システムが、上記少なくとも1つのアレイプレートの下方に配置された少なくとも1つの第2のプレートを更に備えている。特定の実施形態では、上記少なくとも1つのアレイプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えている。特定の実施形態では、上記複数の懸滴のうち1つ以上が下記の1つ以上を含んでいる:複数の細胞;少なくとも1つの複合組織または有機体;生体物質および/または化学物質を含んでいる水性の流体;1つ以上のタンパク質;1つ以上のナノ粒子;1つ以上の試験化合物;1つ以上の薬剤;水性の液体からなる固形物またはゲル;または、これらの組み合わせ。特定の実施形態では、対応する処理面の特性を変更するように、上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの第2のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部を処理する。特定の実施形態では、上記システムが、米国規格協会(American National Standard Institute)および/または生体分子化学規格協会(Society for Biomolecular Science)に準拠している。特定の実施形態では、上記システムがハイスループット・スクリーニングに適合可能である。特定の実施形態では、上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の配置を安定させるように構成されている。特定の実施形態では、上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面上に設けた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の位置を安定させるように構成されている。特定の実施形態では、上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の懸滴の測定可能な特性を安定および保持するように構成されている。特定の実施形態では、上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の孔のうち少なくとも1つの上部に実質的に隣接している上記上面に設けられた少なくとも1つのプラトー部を更に備え、上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記孔への液体の輸送および/または上記孔からの液体の輸送を向上するように構成されている。特定の実施形態では、上記システムが、実質的に安定している湿度を保持するように構成されている。特定の実施形態では、上記システムが、上記複数の懸滴の環境の測定可能な特性を保持するように構成されている。特定の実施形態では、上記システムが、少量の流体を取り扱うように構成されている。特定の実施形態では、上記システムが、上記複数の懸滴の1つ以上において複数の細胞の長期的培養を可能とするように構成されている。特定の実施形態では、上記システムが、以下の1つ以上を可能とするように構成されている:複数の細胞の長期的培養、保持、分析、および/または試験;少なくとも1つの複合組織または有機体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;生体物質および/または化学物質を含む液体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のタンパク質の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のナノ粒子の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の試験化合物の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の薬剤の長期的培養、保持、分析、および/または試験;または、これらの組み合わせ。
【0011】
例えば、特定の実施形態は、複数の懸滴をシステム内へと導入する工程を含む方法であって、上記システムは、(a)上面と、底面と、複数の孔とを有する少なくとも1つのアレイプレートを備え、上記複数の孔のそれぞれは上部と底部を有し、上記アレイプレートの上記底面は、上記複数の孔のうち少なくとも1つの孔の底部と実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を備え、(b)上記少なくとも1つのアレイプレートが複数の懸滴を収容するように構成され、上記複数の懸滴の各々は、上記複数の孔のうち対応する1つの孔から懸下し、上記対応する1つの孔の下方で広がり、上記少なくとも1つのアレイプレートが収容できる上記複数の懸滴の数は、上記少なくとも1つのアレイプレートに形成された上記複数の孔の数以下であり、上記複数の懸滴のうち1つ以上に対して、培養と、保持と、分析と、試験との何れか、またはそれらの組み合わせを行う方法である。
【0012】
例えば、特定の実施形態は、上面と底面とを有するアレイプレートを備え、上記アレイプレートには複数の孔が形成され、上記複数の孔の各々は上面と底面を有し、上記アレイプレートの上面は、上記複数の孔のうち1つ以上の上面に隣接または実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を備えている装置である。
【0013】
例えば、特定の実施形態は、上面および底面を有している1つ以上のアレイプレートと、このアレイプレートの下方に配置されている貯水プレート(例えば、96ウェルプレート)とを備えている装置であって、(a)上記アレイプレートは、複数の行列状に配置された複数の孔を有し、上記複数の孔のそれぞれは上面と底面を有し、上記アレイプレートの上記底面は、上記複数の孔のそれぞれの底面に隣接しているプラトー部を備え、(b)上記貯水プレートは上記アレイプレートの端部(例えば、端部のみ)と接触し、上記複数の孔とは接触していない装置を提供する。一部の実施形態では、上記装置が上記装置のためのカバーを含み、上記カバーが上記アレイプレートの上に配置され、上記カバーが上記複数の孔と接触していない。一部の実施形態では、上記貯水部が水性の流体を含んでいる。一部の実施形態では、上記装置がポリマー・プラスチック(polymer plastic)(例えば、ポリスチレン)から作製されている。一部の実施形態では、上記アレイプレートが384個の孔を有している。一部の実施形態では、上記複数の孔の直径が約1.6mmである。一部の実施形態では、上記複数の孔は互いから約4.5mm離れている。一部の実施形態では、上記装置が、上記複数の孔の少なくとも片側(例えば、両側)の上部および/または底部に隣接または実質的に隣接している追加のプラトー部または環状構造を更に備えている。一部の実施形態では、上記プラトー部の端部は(例えば液滴を安定させるために)環状構造を備えている。一部の実施形態では、上記装置の1つ以上の要素に対して表面処理(例えば、コーティング、プラズマ処理など)を行っている。
【0014】
特定の実施形態では、以下のように構成したシステムを提供する。すなわち、(a)上面および底面を有する1つ以上のアレイプレートを備え、上記1つ以上のアレイプレートの各々は、複数の行列状に配置された孔を有し、上記孔の各々は上面と底面を有し、上記アレイプレートの底面は、上記孔の各々の底面に実質的に隣接しているプラトー部を備え、(b)上記貯水プレートは上記アレイプレートの端部(例えば、端部のみ)に接触し、上記孔には接触せず、c)上記流体の液滴が上記孔のうち1つ以上から懸下し、上記孔の下方で広がるシステム。一部の実施形態では、上記懸滴が複数の細胞を含んでいる。一部の実施形態では、上記細胞が懸濁液中にある。一部の実施形態では、上記細胞が凝集体、クラスター(cluster)、またはスフェロイドを形成している。一部の実施形態では、上記細胞が、例えば、胚、組織、微小有機体、蠕虫などの複合組織または複合有機体である。他の実施形態では、上記懸滴は、生体物質および/または化学物質、または、これらの組み合わせを含む水性の流体である。例えば、上記物質として、タンパク質、ナノ粒子、ヒドロゲル(hydrogel)が挙げられる。一部の実施形態では、上記細胞は癌細胞(例えば、スフェロイドに成長した細胞)である。一部の実施形態では、上記システムが試験化合物(例えば、抗癌剤)を更に備えている。一部の実施形態では、上記システムが更に蓋部を備え、上記蓋部が上記細胞に接触せずに上記アレイプレートを覆う。一部の実施形態では、上記アレイプレート、上記貯水部、および上記カバーは、水分の喪失を防止または抑制するフィルムで巻かれている。一部の実施形態では、上記システムは1つ以上のハイスループット試料取扱装置(例えば、試料取扱用ロボット装置またはプレート読取器)を更に備えている。
【0015】
本開示内容は更に、以下の肯定を含む方法を提供する。すなわち、(a)複数の懸滴を装置に流入させる工程であって、上記装置は、i)上記1つ以上のアレイプレートの各々は上面および底面を有し、上記1つ以上のアレイプレートの各々は複数の行列状に配置された孔を有し、上記アレイプレートの底面は、上記孔の各々の底面に実質的に隣接するプラトー部を備え、ii)上記貯水プレートは上記アレイプレートの下方に位置しており、上記貯水プレートは上記アレイプレートの端部(例えば、端部のみ)と接触する一方で、上記孔とは接触せず、上記液滴が上記アレイプレートに形成された上記孔のうち1つ以上から懸下して、この1つ以上の孔の下方で広がる装置である工程と、(b)懸滴中において、細胞が成長および/または生存を保守する条件下で細胞を培養する工程。一部の実施形態では、上記細胞は癌細胞、胚幹細胞、肝細胞など(例えば、スフェロイド状に成長している細胞)である、一部の実施形態では、上記方法は、上記細胞を試験化合物(例えば、薬剤、化学物質、気体、生体分子、またはナノ粒子)に接触させ、上記細胞の成長または他の特性に対する上記試験細胞の効果を分析(アッセイ(assay))する工程を更に備えている。一部の実施形態では、懸滴が、上記アレイプレートの上方側または下方側から上記孔または上記孔の1つの開口部を介して配置される。一部の実施形態では、上記方法が、上記液体を上記孔または上記孔の1つの開口部に供給して、追加の液体および/または細胞を上記懸滴に添加する工程を更に備えている。一部の実施形態では、上記方法は、上記液体および/または細胞を、上記孔を介して除去する工程を更に備えている。一部の実施形態では、上記アレイプレートの異なる部位(例えば、異なる懸滴または異なる細胞集団)を異なる試験化合物および/または成長条件下に曝す。
【0016】
特定の実施形態は、以下のシステムに関する。すなわち、アレイプレートと、蓋部と、トレイとを備えているシステムであって、上記アレイプレートが上面および底面と、貯水部と、複数の孔またはアクセス孔とを有し、上記複数のアクセス孔の各々は上面と底面とを有し、上記アレイプレートの上記底面は、上記複数のアクセス孔の底面に隣接または実質的に隣接している1つ以上のプラトー構造を備え、上記アレイプレートの上面は、上記複数のアクセス孔の上面に隣接または実質的に隣接している1つまたは複数の第2のプラトー構造を備えているシステム。システムの特定の実施形態では、上記蓋部と上記トレイによって上記アレイプレートが取り囲まれ、細胞培養が外部環境および外部物質から隔離される。特定の実施形態では、上記アレイプレート、上記蓋部、および上記トレイが同じ材料から形成される。他の実施形態では、上記アレイプレートと、上記蓋部と、上記トレイとの1つ以上が異なる材料から形成されている。一部の実施形態では、上記システムは実質的に密閉されている。他の実施形態では、上記システムは、上記システムの内と外との間でのガス交換および/または上記システム内の湿度の保持を可能にするのに十分な程度に密閉されている。一部の実施形態では、上記アレイプレートと上記トレイの一方または両方が、水性の液体を収容している貯水部を備えている。一部の実施形態では、上記液体は、上記システム内の湿度を保つように気体を提供する。他の実施形態では、上記貯水部は他の物質を収容している。一部の実施形態では、上記トレイの底面は、実質的に、光学的に透明である。一部の実施形態では、実質的に光学的に透明な上記トレイの底面は実質的に平坦であり、光学的イメージングおよび光学的分析(顕微鏡法のイメージングおよび測定、比色法のイメージングおよび測定、蛍光法のイメージングおよび測定、発光法のイメージングおよび測定など)を行う場合、細胞培養の様子を実質的に妨げられることなく観察できる。一部の実施形態では、上記システム(または複数の上記システム)は、例えば、ANSI/SBS(米国規格協会/生体分子化学規格協会)による現行の標準規格などの標準規格と適合する配置および測定を有しているので、上記システムが、研究開発(例えば、ハイスループット・スクリーニング)で使用されている主流の撮像システムおよび自動化装置と適合可能になる。
【0017】
追加の実施形態を以下に説明する。
【0018】
[図面の説明]
添付図面により、この技術の一例である各実施形態の理解が容易になるであろう。
【0019】
図1は、本開示内容のある実施形態に係る装置の例を示し、(a)は本発明の実施形態で使用される384−ウェル仕様の細胞スフェロイド培養用アレイプレートを示す断面図であり、(b)は上記アレイプレートの写真および上記アレイプレートの寸法を示し、(c)は96箇所の細胞培養部位を同時にピペット操作可能な液体取扱ロボットによって作動される上記アレイプレートの写真を示し、(d)は加湿室の図を示す。
【0020】
図2の(a)はある実施形態に係る、細胞集団の異なるCOS7細胞スフェロイドと、mES細胞スフェロイドと、A431.H9細胞スフェロイドとについて、7日間を超え12日間までの培養中における重量オスモル濃度を示し、ある実施形態に係る、(b)は染色した生/死COS7細胞スフェロイドと生/死mES細胞スフェロイドとについて、12日間の培養中の様子を写した蛍光画像を示し、(c)は細胞の開始数に対するA431.H9スフェロイドのサイズ(直径)を示し、(d)は、ある実施形態について、様々な開始数の細胞/スフェロイドの培養時間に対するA431.H9スフェロイドのサイズ(体積)を示す。
【0021】
図3は、特定の実施形態におけるTPZを使用する薬剤処理の結果を示し、異なる濃度におけるA431.H9細胞のスフェロイドの経時画像と、全てのスフェロイドサイズと従来の2D培養条件について、薬剤処理から96時間後の対照細胞の生存率(%)を異なる濃度毎に概説する棒グラフとを示す。
【0022】
図4は、特定の実施形態における5−FUを使用する薬剤処理の結果を示し、異なる濃度におけるA431.H9細胞のスフェロイドの経時画像と、全てのスフェロイドサイズと従来の2D培養条件について、薬剤処理から96時間後の対照細胞の生存率(%)を異なる濃度毎に概説する棒グラフとを示す。
【0023】
図5は、特定の実施形態で使用する装置例の概略図を示す。
【0024】
図6は、特定の実施形態で使用する装置例の概略図を示す。
【0025】
図7は、特定の実施形態で使用する装置例の詳細図を示す。
【0026】
図8は、特定の実施形態で使用する装置例の詳細図を示す。
【0027】
図9は、特定の実施形態に係るプラトー部の図を示す。
【0028】
図10は、特定の実施形態に係る装置に細胞と液体を加え、この装置から上記細胞と液体を除去する方法例の概略図を示す。
【0029】
図11は、特定の実施形態に係る方法を使用して培養したmESスフェロイドを示す。
【0030】
図12は、特定の実施形態に係る方法を使用して培養したmESスフェロイドを示す。
【0031】
図13は、特定の実施形態に係る方法を使用して培養した肝細胞スフェロイドを示す。
【0032】
図14は、特定の実施形態で使用する装置例の概略図を示す。A:全体図。B:環状構造の拡大図。
【0033】
図15は、特定の実施形態において異なる濃度で測定した蛍光分析と吸光分析とのZファクタ(Z-factors)を示す。
【0034】
図16のA−Fは、特定の実施形態におけるアレイプレートの例を示す。図16のAは上面図を示し;図16のBは上方からの等角図を示し;図16のCは側面図を示し;図16のDは端面図を示し;図16のEは、図16のAに示すM−M切断線に沿った断面図を示し;図16のFは、図16のCに示すL−L切断線に沿ったアレイプレートの断面図を示す。
【0035】
図17のA−Dは、特定に実施形態に係るプラトー構造の例を示す。図17のAは上面図を示し;図17のBは上方からの等角図を示し;図17のCは底面図を示し;図17のDは底面からの等角図を示す。
【0036】
図18は、特定の実施形態に係るアクセス孔構造の例の上面図、断面図、および底面図を示す。
【0037】
図19は、特定の実施形態に係るアクセス孔の配列例の断面描写と、上面および底面からの等角3D描写とを示す。
【0038】
図20のA−Fは、特定の実施形態に係る、図16に示すアレイプレートと共に使用されるトレイの例を示す。図20のAは上面図を示し;図20のBは上面からの等角図を示し;図20のCは側面図を示し;図20のDは端面図を示し;図20のEは、図20のAに示すP−P切断線に沿う断面図を示し;図20のFは、図20のCに示すN−N切断線に沿ったトレイの断面図を示す。
【0039】
図21のA−Fは、特定の実施形態に係る、図16に示すアレイプレートと共に使用される蓋部の例を示す。図21のAは上面図を示し;図21のBは上面からの等角図を示し;図21のCは側面図を示し;図21のDは端面図を示し;図21のEは、図21のAに示すR−R切断線に沿う断面図を示し;図21のFは、図21のCに示すT−T切断線に沿った蓋部の断面図を示す。
【0040】
図22のA−Fは、特定の実施形態に係る、アレイプレートと、トレイと、蓋部とを組み合わせた組立部の例を示す。図22のAは上面図を示し;図22のBは等角図を示し;図22のCは側面図を示し;図22のDは端面図を示し;図22のEは、図22のAに示すV−V切断線に沿う断面図を示し;図22のFは、図22のCに示すU−U切断線に沿った上記組立部の断面図を示す。
【0041】
図23のA−Bは、特定の実施形態に係る、図22のA−Fに示す上記組立部の積み重ねの例を示す。図23のAは側面図を示し、図23のBは端面図を示す。
【0042】
図24のA−Dは、特定の実施形態に係る、アクセス孔構造の変形例を示す。図24のAは、高くて薄いプラトー構造が上面に設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のBは、短くて薄いプラトー構造が上部に設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のCは、高くて厚いプラトー構造が上部に設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のDは、高くて薄いプラトー構造が上部に設けられ、インジェクション形成用の異なる分割線が設けられたアクセス孔構造の例を示す。
【0043】
[定義]
本開示内容の理解を容易にするために、以下に多くのタームとフレーズの定義を示すが、タームの定義を本開示内容の他の箇所に示すこともある。
【0044】
“試料”は、係るタームの最も広義の意味で使用する。一方では、“試料”は標本(specimen)または培養物を含む。他方では、“試料”は生体試料と環境試料との両方を含む。
【0045】
生体試料は、ヒトを含む動物、流体、固体(例えば排泄物)または組織であってよく、乳製品、植物性食品、食用肉および食肉処理された獣の肉以外の有用物、および廃棄物などの液体状および固体状の食料と飼料と、その成分とであってもよい。生体試料は、多様な族を含む家畜および野生動物から得ることができる。このような動物としては、有蹄動物、熊、魚、重歯目、齧歯目などの動物、または、これらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0046】
環境試料は、表面試料、土壌試料、水試料、および工業試料などの環境物質を含み、食品・乳製品加工器具、装置、機器、用具、使い捨て用品および廃棄不可能用品、またはこれらの組み合わせを使用して得られる試料をも含む。これらの例は、本開示内容に利用可能な試料のタイプを限定するものではない。
【0047】
本開示内容で使用するように、“細胞”は、インビトロ、インビボ、およびそれらの組み合わせの何れにあるのかに関わらず、任意の真核細胞または原核細胞(例えば、E. coliなどの細菌性細胞、酵母細胞、哺乳類細胞、鳥類細胞、両生類細胞、植物細胞、魚細胞、昆虫細胞)を指す。また、“細胞”は、懸濁液中、細胞集合または細胞集合体中に1つ以上の細胞を含む液体または溶液をも指す。
【0048】
本開示内容で使用するように、“細胞培養”は任意のインビトロ細胞培養を指す。そして、“細胞培養”に含まれるものは、連続継代細胞系(例えば、不死化表現型の連続継代細胞系)、細胞初代培養、形質転換細胞系、有限細胞系(例えば、非形質転換細胞)、インビトロで操作を行った他の細胞集団、または、これらの組み合わせである。
【0049】
本開示内容で使用する“トランスフェクション(transfection)”は、外来核酸の真核細胞への導入を指す。トランスフェクションは、本技術に公知の多様な手段によって行ってもよい。これら手段としては、リン酸カルシウム共沈法、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション法、ポリブレン媒介トランスフェクション法、電気穿孔法、マイクロインジェクション法、リポソーム融合、リポフェクション、原形質融合、レトロウイルス感染、および微粒子銃法が挙げられる。
【0050】
本開示内容で使用するように、“選択可能なマーカー”は、成長に必須の栄養素が不足している培地中においても成長できる能力を付与する酵素活性をエンコードする遺伝子(例えば、酵母細胞のHIS3遺伝子)の使用を指す。さらに、選択可能なマーカーは、上記選択可能なマーカーを発現する細胞に、抗生物質と薬剤との何れかに対する耐性を付与してもよい。選択可能なマーカーは“優性”でもよく、すなわち、任意の真核細胞系内で検出できる酵素活性をエンコードする選択可能な優性マーカーでもよい。例えば、選択可能な優性マーカーとしては、哺乳類細胞において薬剤G418に対する耐性を付与する細菌アミノグリコシド3’ホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo遺伝子(neo gene)とも称する)と、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を付与する細菌ハイグロマイシンGホスホトランスフェラーゼ(hyg)遺伝子とミコフェノール酸の存在下で成長する成長能力を付与する細菌キサンチンーグアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(gpt遺伝子とも称する)とが挙げられる。他の選択可能なマーカーとしては、関連酵素活性の欠如した細胞系と併せて使用する必要があるという点において、優性以外のマーカーでもよい。例えば、選択可能な非優性マーカーとして、tk−細胞系と併せて使用するチミジンキナーゼ(tk)遺伝子と、CAD欠失細胞と併せて使用するCAD遺伝子と、hprt−細胞系と併せて使用する哺乳類ヒポキサンチンーグアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(hprt)遺伝子とが挙げられる。哺乳類細胞系内での選択可能なマーカーの使用の再検討は、Sambrook, J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed.,(Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1989) pp.16.9-16.15)に提供されている。
【0051】
本開示内で使用するように、“真核生物”は、“原核生物”と区別可能な有機体を指す。“真核生物”としては、真核生物の一般的な特性を示す細胞を有する有機体が含まれ、このような特性としては、核膜によって包まれた、染色体を内部に有する真核の存在と、膜結合性の細胞小器官の存在と、真核生物に共通して確認される他の特性とが挙げられる。したがって、“真核生物”は、菌類、原生動物類、獣類(例えば、ヒト)などの有機体を含むが、これに限定されない。
【0052】
本開示内容で使用するように、“インビトロ”は、人工環境と、人工環境内で生じる処理または反応とを指す。インビトロ環境は、試験管および/または細胞培養とからなるものであればよいが、これに限定されない。“インビボ”は、自然環境(例えば、動物または細胞)と、自然環境内で生じる処理または反応とを指す。
【0053】
“試験化合物”と“候補化合物”は、任意の化学物質、調合剤、薬剤など、身体機能の疾患、疾病、病気、または障害の治療と予防の何れかの用途に利用する化合物の候補を指す。試験化合物は、公知の治療化合物と潜在的な治療化合物の両方を含む。試験化合物は、本開示内容のスクリーニング方法、装置、および/またはシステムを使用するスクリーニングによって、治療効果を有するものであると定めてもよい。本開示内容の幾つかの実施形態では、試験化合物は、アンチセンス化合物、siRNA化合物、および/またはshRNA化合物を含むものでよい。
【0054】
“スフェロイド”は、細胞集合または細胞集合体の何れか、および/または細胞群体を指す。スフェロイドは、例えば、初代細胞、細胞系、腫瘍細胞、幹細胞などの多様な種類の細胞から構成されてよい。また、スフェロイドは、スフェロイド状の形状または不規則状の形状を有するものでもよい。スフェロイドは、細胞、細胞の種類、異なる状態の細胞の不均一集団を含んでよく、例えば増殖細胞、静止細胞、および壊死細胞などを含んでよい。
【0055】
[詳細な説明]
共通の特性と特徴を有する幾つかの実施形態に関して、以下の説明を行う。ある実施形態の1つまたは複数の特徴が他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせ可能であることは理解されるであろう。さらに、任意の実施形態の単一の特徴または複数の特徴の組み合わせによって、さらなる実施形態を構成してもよい。
【0056】
本明細書の“含んでいる・構成される(comprising)”は“非制限的”な意味の語(すなわち、“含む(including)”の意味)であり、“制限的”な意味の語(すなわち、“それらのみで構成される”の意味)ではないことは理解されるであろう。また、“含む・構成する(comprise)”および“含まれた・構成された(comprised)”などの対応語を使用する箇所についても、対応する意味を割り当てるものとする。
【0057】
詳細な説明で使用する見出しは、本明細書の読者の参照を容易にするためのものであり、本開示内容または特許請求の範囲を通じて見られる発明特定事項を限定するものではない。上記見出しは、特許請求の範囲または請求項に記載の限定事項を解釈するものとしては使用していない。
【0058】
ある実施形態では、上記装置は2D細胞培養法と3D細胞培養法とを組み合わせている。例えば、ある実施形態では、一部の細胞はアクセス孔の内壁で培養され(2D細胞培養法)、他の細胞は、上記アクセス孔の底面の懸滴中で、スフェロイドとして培養される(3D細胞培養)。例えば、ある実施形態では、上記装置が、従来のマルチウェルプレートにおいて見られるアクセス孔とウェル構造を含み、同一装置内で細胞の3D培養と2D培養との両方を行えるようにしている。他の実施形態では、上記アクセス孔の内部と上記ウェルの内部とは接続し、上記アクセス孔内の細胞と上記ウェル内の細胞とが、細胞生産物(例えば、化学分子または生体分子)の分泌および/または検出により相互作用を行えるようにしてもよい。
【0059】
スフェロイドは、腫瘍組織および/または機能性組織用の優れた3Dモデルとして役立つ。スフェロイドは、細胞−細胞間の相互作用が細胞−基板間の相互作用に対して優位性を有する場合に、自己組織化によって形成される細胞群体の球状の集合である。スフェロイドは、通常、細胞の集合または集合体、および/または、細胞−細胞間の相互作用が細胞−基板間の相互作用に対して優位性を有する場合に自己組織化によって形成される、細胞群体の集合または集合体として定義されることがある。スフェロイドは、例えば、初代細胞、細胞系、腫瘍細胞、幹細胞などの多様な種類の細胞から形成されてよい。スフェロイドは球状の形状または不規則な形状を有してもよい。スフェロイドは、複数種の細胞や異なる状態の細胞(増殖細胞、静止細胞、および壊死細胞など)からなる混成群を含んでよい。スフェロイドは腫瘍を模倣してもよく、信頼性および重要性がより高められた治療上の情報を提供することが知られた、優れた生理学的な腫瘍モデルとして役立つものでよい。スフェロイドは、一貫した、および/または、再現可能な結果および/または測定を提供してもよい。例えば、同一の実験または同一の実験を複製した実験において、同一の処理が行われた試料は、一貫した測定結果または許容可能な標準偏差範囲内(例えば、10%から30%の範囲内)の測定結果をもたらす。他の許容可能な数値範囲も意図する。スフェロイドのこれらの利点は認められていたが、形成、保持、溶液交換、および細胞と液体のミクロスケール操作に要求される退屈で困難な処置のため、十分に有効なスフェロイド組織モデルが産業界で幅広く使用されることが阻害されている。さらに、3Dモデルの複雑性のため、スクリーニングと他の検査用途のために高ハイスループットな手法において3D培養を拡大するのが困難である。
【0060】
一般的なスフェロイド形成方法としては、懸滴法、非接着性の表面上での細胞培養法、スピナーフラスコ培養法、およびNASA回転細胞培養システムが挙げられる。しかし、これら従来のスフェロイド形成および培養システムは、多くの場合単調であり、スループットが高くなく、取扱が難しい。スフェロイド形成効率を高めるために、多様なミクロ流体(スフェロイド・オン・チップ(spheroid on chip))デバイスも開発されてきた。しかし、これらの技術の多くが、長期培養および機器の薬剤に対する融和性などの問題を抱えている。さらに、これらのマイクロ流体デバイスの多数が、既存の多様なハイスループット・スクリーニング(HTS)システムとの融和性を有していないため、製薬剤産業を益するように商品化できない。
【0061】
本開示内容のある実施形態を構築している過程で行われた実験の結果、サイズの均一なスフェロイドの効率的な形成、および/または、市販されている多様なHTSシステムとの融和性を有する標準プレート仕様でのスフェロイドの長期的培養を可能にするハイスループットの懸滴用アレイシステムが開発され、これにより上記システムが幅広い使用用途への商品化に最適となった。
【0062】
本開示内容に記載の装置、方法、および/またはシステムの特定の実施形態では、例えば、液滴のロバスト処理の障害を克服する。このような障害としては、例えば、ピペット位置決めの不正確さに起因して、液体が上記プレートの他の部分に広がることなく、上記プレートにおいて液体が送られるべき領域へと液体を確実に操作することの困難性、例えば、振動や運動により、液体が上記プレートの所望の領域を越えて広がること、濡れ特性により液体が広がること、およびそれらの組み合わせがあげられる。例えば、特定の実施形態では、懸滴の拡散を防止または最小限に抑えつつ、高度に再現性のある形状とサイズを有する懸滴を、限定された位置で形成可能な上記プレート底面のプラトー構造を1つの要因として、より確固とした液滴操作を得られる。他の実施形態では、再現可能な量の流体の、アクセス孔内への流入およびアクセス孔内からの流出が容易に行われる。他の実施形態では、ピペットチップまたはピペットピンなどの液体操作装置をより簡単に、より早く、且つより正確に、アクセス孔に対して配置することができる。
【0063】
特定の実施形態は、以下の1つまたは複数を含む流体の懸滴の操作および/または生成を対象としている:細胞懸濁液および/または細胞集合体;複合生体構造(例えば、1つまたは複数の胚、組織試料、小さい有機体、蠕虫など、または、それらの組み合わせ);物理的物質と、化学物質と、および/または生体物質、または、それらの組み合わせを含む流体。特定の実施形態は、流体の懸滴の操作および/または生成を対象とし、上記懸滴は細胞懸濁液および/または細胞集合体を含む。特定の実施形態は、流体の懸滴の操作および/または生成を対象とし、上記懸滴は複合生体構造(例えば、1つまたは複数の胚、組織試料、小さい有機体、蠕虫など、または、それらの組み合わせ)を含む。特定の実施形態は、流体の懸滴の操作および/または生成を対象とし、上記懸滴は、物理的物質、化学物質、および/または生体物質、またはそれらの組み合わせを含む。
【0064】
特定の実施形態は、流体の操作および/または懸滴液の生成を対象とし、細胞懸濁液および/または細胞集合体の成長、検査、分析、または、それらの組み合わせを行ってもよく;1種類または複数種類のタンパク質が懸濁液の蒸発によって結晶化および/または、分析されてもよく;ナノ粒子を上記懸濁液中で観察および/または分析してもよく;上記懸濁液が、化学変化、物理変化、および/または生体変化を生じさせる反応器として役目を果たしてもよく;これらの組み合わせが行われてもよい。特定の実施形態は、流体の操作および/または懸滴液の生成を対象とし、細胞懸濁液および/または細胞集合体の成長、検査、分析、または、それらの組み合わせを行ってもよい。特定の実施形態は、流体の操作および/または懸滴液の生成を対象とし、懸濁液の蒸発による1種類または複数種類のタンパク質の結晶化、1種類または複数種類のタンパク質の分析、および/または、これらの組み合わせを行ってよい。特定の実施形態は、流体の操作および/または懸滴液の生成を対象とし、ナノ粒子を上記懸濁液中での観察および/または分析を行ってもよい。特定の実施形態は、流体の操作および/または懸滴液の生成を対象とし、上記懸滴液が、化学変化、物理変化、生体変化を生じさせる反応器としての役目を果たしてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0065】
開示された特定の実施形態では、液体輸送の簡便性を向上させている。例えば、特定の実施形態では、液体処理を人手および自動化システムの何れで行うかに関わらず、上記アクセス孔上面のプラトー構造が、液体輸送中にピペットチップまたは輸送ピンを上記アクセス孔に対して配列することを容易にする。また、上記上面に設けられた上記プラトー構造は、ひとつのアクセス孔から他のアクセス孔へ溢れ出たり、広がったりすることも防止する。
【0066】
通常、細胞は3D状態で成長する。したがって、正確で有益な治療上の情報を取得するために、製薬剤業界および他の業界においては、ミクロの生理環境をハイスループットな仕方で模倣する、新規の3Dスクリーニングおよび検査のプラットフォーム(例えば、3Dスフェロイド培養法)が有用である。“正確で有益”とは、例えば、得られる結果および/または測定が、調査対象に関連し、且つ、調査対象にとって貴重であることを意図する。例えば、試料は、インビボ実験、動物実験、および/または人体実験から得られる結果と密接に類似した結果および/または測定をもたらしうる。これは、インビボ実験、動物実験、および/または人体実験から得られる結果に対し、同様の傾向を示すか、または許容可能な数値範囲内(例えば、10%〜30%の範囲内)にある定量的結果および定性的結果を含んでもよい。他の許容可能な数値範囲も意図し、この数値範囲は算出対象の測定に依存する。
【0067】
ミクロの生理環境において効率的および/またはハイスループットの細胞培養を提供する複雑な装置が開発されてきた。しかし、学術研究所で開発されてきた上記複雑な装置の大半は、産業界で広い用途に利用されるように商品化できるものではない。本開示内容の特定の実施形態の開発過程で実施された実験により、多様なスフェロイド形成と、ハイスループットのスフェロイド形成および長期的培養を行うために市販されている多様なHTS器具と道具に対して融和性を有する培養懸滴用アレイプレートとが開発された。上記システムは、薬剤スクリーニングおよび薬剤検査、細胞に基づいた他の用途、または、それらの組合せのための優れた3D生理モデル(組織モデルと腫瘍モデル)として、スフェロイドを効率的に形成する。特定の実施形態では、通常、長期培養は、従来のスフェロイド培養方法よりも長い期間(例えば、1週間〜6週間、または、それより長い期間)、細胞および/または細胞集合を生存状態で保持できることを意味する。本開示内容に開示するが、他のタイムフレーム(time frame)も意図される。このことは、人手によるピペット操作および/または自動化された液体操作システムを使用して、スフェロイドの成長および生存に適切な条件(栄養水準など)を保持する上記アクセス孔を介して、培地を容易に交換できるために可能となる。これにより、培地中の限られた栄養によって上記スフェロイドが特定のサイズまたは特定の培養時間を越えた後に、上記スフェロイドを分離容器に移さずに、スフェロイドを上記アレイプレート上で継続的に培養することが可能になる。
【0068】
通常、ハイスループット・スクリーニング(HTS)法は、上記実施形態が、創薬剤分野とこれに関連する化学分野および生物学分野とにおいて使用される顕微鏡法システム、分析システム、および/または自動化システムに対して融和性を有することを意味している。1つのシステム(または上記システムの組み合わせ)により、研究者が1日の間に多くの検査(例えば、100回〜100,000回の検査)を行うことが可能になる。特定の実施形態では、一日の間に行える検査の回数は、100回〜10,000回、500回〜10,000回、100回〜20,000回、1,000回〜30,000回、1,000回〜50,000回、10,000回〜80,000回などである。HTS法では、研究者が関連する化学物質と生体物質を同定し、生体プロセスの理解を得ることが可能である。HTS機器の主流は、ANSI/SBB規格仕様のミクロタイタープレート(microtiter plate)に含まれている試料に対して、液体操作、撮像、顕微鏡の使用、光学的探知などの動作または仕事を行うように設計されている。幾つかの実施形態では、上記装置(アレイプレート、または、蓋部および底面プレートを含むアレイプレートの組み合わせ)が、例えば、現行のANSI/SBS規格などの規格仕様であるため、上記装置をHTS機器と併せて使用することができる。すなわち、懸滴またはスフェロイドの生成と評価を容易にスケールアップすることが可能である。
【0069】
特定の実施形態では、容易な操作性および培地変換方法を提供する懸滴用多重アレイプレート(例えば、1536、384、96など)を提供する。他の実施形態では、上記アクセス孔を、他の適当な多重構成に行列状(例えば、3×6=18個、5×5=25個、6×12=72個、10×10=100個、25×25=625個など)に配置している。例えば、ANSI/SBS(米国規格協会/生体分子科学協会)規定の現行規格などの規格に適合する標準化された(例えば、16×24=384ウェル、8×12=96ウェル)フォーマットの使用は、市販品を最も利用可能なHTS機器への適合性を提供する。図lのcに、懸滴形成、およびそれに続く液体取扱ロボットを使用する培地変換処置を示す。本開示内容に記載する上記懸滴用アレイプレートは、例えば、多様な用途に利用可能な、ハイスループットの3Dスクリーニング/検査プラットフォームとして使用できる。
【0070】
本開示内容の特定の実施形態に係る上記装置、方法、および/またはシステムは、現在利用可能な装置に優る1つまたは複数の利点を持つ。この利点の一部として、以下が挙げられるが、これに限定されない:均一かつ調整可能な細胞凝集体サイズ(例えば、細胞凝集体のサイズ/体積は、プレート構造の幾何学形状、細胞の播種数、または培養時間によって制御される)の細胞を成長させる能力;液体操作システムおよびプレート読取器などの現存のハイスループット・スクリーニング用機器との適合性;生理的に適切なモデル(例えば、固形腫瘍内と固形組織内に存在する細胞の酸素勾配、拡散輸送、および分布を模倣して生理的に適切化したモデル)形成への適合性;ハイスループット・スクリーニングへの適合性;細胞凝集体の大量生産への適合性;細胞凝集体の長期培養への適合性;培養液滴とガスとの間に生ずる最大表面接触に起因する効率的なガス交換の提供;細胞播種中、培地変換中、および試薬剤の添加および除去中における、上記プレートへの/からの、内容物の効率的な輸送(ピペッティング(pipetting));実験中の異なる時点での、細胞と、培地と、試薬剤と、他の内容物との添加および除去の容易性;上記プレートの上面と底面からの細胞凝集体の収集(ハーベスト);作業、時間、およびコスト、またはこれらの組み合わせの減少。細胞凝集体の分析は、同じプレートで実施され、簡単に実施することができるので、例えば細胞凝集体の成長と検査と、形成と、保持とを効率化および簡略化することでコスト削減が実現される。または、細胞凝集体を効率的に形成することでコスト削減が実現される(例えば、標準化384ウェル仕様は、試験化合物と試薬剤の消費とを減少させ、また複合ウェル仕様は、液体の分注時間が短縮し、終点の数を一定としたときのプレート操作の回数が減少することを意味する)。または、上記の2通りの方法によってコスト削減が実現される。
【0071】
特定の実施形態の他の利点は、培地の消費を最小限に抑えられること、および/または、細胞の処理に必要な薬剤または他の試験化合物の量を最小限に抑えられることである。上記スフェロイドは、体積の小さい培養培地の個々の液滴中(例えば、20μl〜100μl以下)で成長するため、スフェロイド培養に必要な培養培地を大幅に減少できる。したがって、上記細胞の処理に必要となる薬剤と試験化合物を大幅に減少し、液滴中の薬剤濃度が望ましい値になる。特定の実施形態では、上記液滴の体積は、200μl未満、125μl未満、100μl未満、80μl未満、60μl未満、40μl未満、20μl未満、または10μl未満としてもよい。特定の実施形態では、上記液滴の体積は、10μl〜250μlの範囲、10μl〜200μlの範囲、20μl〜200μlの範囲、20μl〜100μlの範囲、または、100μl〜250μlの範囲であってよい。
【0072】
例えば、特定の実施形態は、均一で調整可能な細胞凝集体サイズの細胞を成長させる能力を提供する。一部の実施形態では、均一なサイズとは、スフェロイドのサイズまたは体積のバラツキが、上記培養の期間中、小さな範囲内(3%〜5%など)に保たれることを意味する。一部の実施形態では、調整可能なサイズとは、細胞の播種数、培養期間の長さ、および/または他のパラメータによって、スフェロイドの最終的なサイズまたは体積を制御できることを意味する。特定の実施形態では、均一なサイズとは、スフェロイドのサイズまたは体積のバラツキを、上記培養期間中または上記培養期間のうちの十分な部分期間中、1%〜10%、2%〜8%、2%〜5%、3%〜8%、4%〜10%、5%〜10%などの範囲内に保たれることを意味する。特定の実施形態では、調整可能なサイズとは、細胞の播種数、培養期間の長さ、および/または他のパラメータによって、スフェロイドの最終的なサイズまたは体積を制御できることを意味する。
【0073】
特定の実施形態は、例えば、液体操作システムおよびプレート読取器などの既存のハイスループット・スクリーニング機器と適合可能である。顕微鏡法システム、液体操作などの自動化装置、検出、および/またはハイスループット・スクリーニングおよびハイコンテント・スクリーニングで使用される撮像システムとの適合性は、本開示内容が取り組む必須の利点である。特定のシステムの実施形態は、主流機器に合った規格(例えば、現行のANSI/SBS規格)に適合するマルチウェルプレート形式で設計されている。自動化装置を使用した場合、本開示内容に開示している多重アレイプレートを使用して、スフェロイドの生成および/またはアセスメントをスケールアップすることができる。上記アクセス孔は、スフェロイドの保持および処理のために上記水滴へ液体を簡易に輸送すること、および、この水滴から液体を簡易に輸送することを可能にする。ハイスループット機器を使用した場合、多重アレイプレートを使用して、スフェロイドの生成およびアセスメントを簡単にスケールアップすることができる。
【0074】
特定の実施形態は、生理学的に適切なモデル(例えば、固形腫瘍内と固形組織内に存在する細胞の酸素勾配、拡散輸送、および分布を模倣して生理的に適切化したモデル)の形成に好適である。例えば、特定の試験化合物は、細胞による酸素消費が活発であり、また/または拡散性の酸素運搬が制限されている、固形腫瘍に似たスフェロイドの低酸素コア内に存在する細胞に対してより効果的である。例えば、特定の試験化合物は、通常はスフェロイドの内部に存在しており、また2D細胞培養法では複製が困難である静止細胞の成長を抑制する点に関してはあまり効果的ではない。よって、2D培養内のより増殖性の強い細胞について行われた試験からは、生理学的に正確性の劣る結果が得られた。
【0075】
特定の実施形態は、細胞凝集体の大量生産に好適であるかもしれない。一部の実施形態では、各装置が懸滴中で384スフェロイドの形成を可能にする。自動化システムと複数の装置を使用することで、スフェロイドを形成する細胞をそれぞれ含む、例えば1,000〜100,000の懸滴を、妥当な時間(例えば、5分、15分、1時間、2時間、5時間、10時間、または24時間)内に形成することができる。
【0076】
特定の実施形態は、細胞凝集体の長期培養に好適である。例えば、特定の実施形態では、細胞凝集体を少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、または6週間の間培養してもよい。例えば、特定の実施形態では、細胞凝集体を1週間〜6週間の間、1週間〜2週間の間、1週間〜4週間の間、または2週間〜5週間の間培養してもよい。
【0077】
特定の実施形態は、細胞凝集体をより短い期間で培養することにも好適である。例えば、特定の実施形態では、細胞凝集体を少なくとも30分間、1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、12時間、24時間、2日間、3日間、または6日間の間培養してもよい。例えば、特定の実施形態では、細胞凝集体を最長で30分間、1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、12時間24時間、2日間、3日間、6日間、または7日間まで培養してもよい。例えば、特定の実施形態では、細胞凝集体を30分間から7日間の間、2時間から24時間の間、30分間から48時間の間、1時間から5日間、または1時間から7日間培養してもよい。
【0078】
特定の実施形態は、培養液滴とガスとの表面接触が最大であることを1つの要因として、効率的なガス交換を提供する。例えば、ガス交換が生じるように液体体積の上面を空気に曝している従来のマルチウェルプレート中の液体と比較して、特定の実施形態で形成される懸滴は、ガス交換されるように空気に曝されている表面面積の割合が大幅に増大されている(上記アクセス孔と上記アクセス孔の上部開口の下に位置する液滴の表面全体)。効率的なガス交換は、特定のガス状成分(例えば、酸素)の濃度が細胞行動の核心に関連する研究では有用である。
【0079】
特定の実施形態は、細部播種の間、培地交換の間、および/または試薬剤の添加・除去の間における、上記プレートへおよび上記プレートからのコンテントの効率的な移動(ピペット操作);実験の異なる期間における、細胞、培地、試薬剤、および/またはコンテントの添加と除去との容易化;上記プレートの上記上面および上記底面から細胞凝集体を収集し;作業、時間、およびコストの低下;または、これらの組み合わせをもたらす。
【0080】
個別のスフェロイドのモニタリングおよび/または操作は、開示される特定の実施形態の他の利点である。処置の前後に個別のスフェロイドを分析できることも、開示される特定の実施形態の利点である。各スフェロイドはそれぞれの水滴中に分離させられて成長するので、上記スフェロイドに対して、化合物を使用して個別に処理すること、顕微鏡検査技術および分析手法を使用して個別にモニタリングおよび分析すること、更なる処理のために個別に収集すること、または、こられの組み合わせを行うことを可能にする。さらには、1週間から6週間の期間に亘り、スフェロイドを個別に長期培養することと、スフェロイドに個別にアセスメントを行うことが可能である。他の長さの期間も意図される。手動ピペット操作または自動化液体制御システムを利用することで、上記アクセス孔を介して上記培養培地を簡単に変換して、スフェロイドの成長と生存にとって適切な栄養水準を保持できる。これにより、スフェロイドが一定サイズを超えて大きくなった後または一定の培養時間が経過した後、培地内の栄養が限られることに起因して、スフェロイドをより大きな容器に移動させる必要がなくなる。
【0081】
特定の実施形態では、例えば、細胞凝集体の成長および試験の合理化と簡易化、形成、(細胞凝集体の分析は上記培養を行ったのと同じプレートで実施でき、分析自体も簡単に行えるため)保持によってコストが削減され、細胞凝集体の効率的な形成(例えば、標準規格の384ウェル形式は試験化合物と試薬剤の消費を抑え、マルチウェル形式は液体を分注している時間が短縮されることと、エンドポイントの定数に対するプレート操作数も減少されることを意味する)、または、これらの組み合わせによってコストが削減される。例えば、各試料(各ウェル)が200μlの細胞培養用培地を必要とするような従来の96ウェルプレートを使用して行われる標準検査と比較して、特定の実施形態では、各試料に必要な培地は20μlのみであり、培養培地の量およびコストを削減している。同様に、幾つかの実施形態では、各試料において従来と同じ処理濃度を実現するために必要な試験化合物の量が、10分の1にまで減少される。前臨床実験および臨床実験で使用される多くの薬剤は製薬剤費が高く、極めて少量で製薬剤されるので、幾つかの実施形態で得られる上述の効果は特筆すべきことである。従来の方法を使用してペトリ皿の上方側に形成した懸滴と比較して、特定の実施形態では、自動化システムを使用した384スフェロイドの生成は、1秒から15秒の範囲の僅かな時間(および労力)で行われるが、従来の方法では5分から15分が必要である。
【0082】
幾つかの実施形態では、上記装置は、上記プレートの上面および/または底面から細胞を収集する能力、および上記懸滴用プレートと下層プレートとの1つまたは両方に貯蔵部(例えば、貯水部)を備えている能力;製造中にモールディングと鋳型の取り外しとを簡単に行えるシンプルなプレート設計と、細胞凝集体および化学物質をプレート上で分析(on-plate analysis)する能力(例えば、分析をおこなうために、上記プレートの内容物を採取して、他のプレート、容器、または装置に移動させる必要が無く;内容物を含む上記プレートをプレート読取器などの標準化ハイスループット・スクリーニング機器内に配置することで、上記内容物の分析(比色分析、蛍光分析、光測定(lumniometric)分析など)を行うことが可能であり、従来のマルチウェルプレートと異なり、上記試料の下方に可塑材が設けられていないため、培養後の上記液滴の光信号を直接照射および検出することが可能である)、または、これらの組み合わせにより区別される。他の実施形態では、上記下層プレートは、実質的に、光学的に透明であって、上記液滴を妨げられることなく見ることができ、上記アレイプレートを上記下層プレート上に置いたまま、上記液滴の光信号の照射および検出が可能である。
【0083】
特定の実施形態によれば、上記下層プレートでは上記スフェロイドを妨げられるこなく視認できるので、撮像および分析が簡易になっている。特定の実施形態によれば、上記下層プレートでは、上記スフェロイドの便利な撮像と光学分析を行えるように、上記アレイプレート上のスフェロイドの妨げのない視認を提供する。
【0084】
特定の実施形態では、長期間を含む異なる期間に亘ってスフェロイドを培養するために、上記懸滴中の上記細胞培養液の重量オスモル濃度を、比較的安定している範囲内に保持することが好ましい。特定の実施形態では、比較的安定している範囲は、上記懸滴の所望のパラメータを、所望のまたは上記のパラメータの±1%、±3%、±5%、±8%、±10%、±15%、±20%、または±25%に保持してもよい。特定の実施形態では、比較的安定している範囲は、上記懸滴の所望または記載のパラメータを、上記培養の最終結果が達成できるか、または、実質的に達成できるような、十分に多様な範囲に保持してもよい。特定の実施形態では、上記懸滴中の上記細胞培養液の重量オスモル濃度は比較的安定している範囲内に保持される。例えば、重量オスモル濃度の当初測定の10%から20%。他の例では、重量オスモル濃度の当初測定の3%〜20%、5%〜15%、5%〜25%、5%〜10%、または15%〜20%の範囲内である。特定の実施形態では、スフェロイドの培養を1週間〜6週間に亘って安定範囲内に保持できる。例えば、特定の実施形態では、スフェロイドの培養を少なくとも30分間、1時間、2時間、3時間、5時間、8時間、12時間、24時間、2日間、3日間、または6日間に亘って安定範囲に保持できる。例えば、特定の実施形態では、スフェロイドの培養を30分間〜7日間の間、2時間〜24時間の間、30分間から48時間の間、1時間〜5日間の間、または1時間〜7日間の間に亘って安定範囲に保持できる。また、他の範囲も含むものとする。
【0085】
特定の実施形態は、懸滴中においてスフェロイド形成の高い再現性を生み出す能力を提供する。実質的に同一の初期細胞数を使用してスフェロイドを形成でき、またスフェロイドをそれぞれ独立した体積を有するように成長させるため、スフェロイドの成長の再現性が高く、個々のスフェロイド間の接触が避けられるため、サイズのバラツキの原因となる隣接するスフェロイド同士の融合が避けられる。特定の実施形態では、スフェロイドのサイズのバラツキを、上記培養期間を通して3%〜5%の範囲内に抑えられる。特定の実施形態では、上記培養期間を通して、スフェロイドのサイズのバラツキを3%〜5%、2%〜6%、1%〜6%、または3%〜6%の範囲内に抑えられる。特定の実施形態では、上記培養期間の一部を通して、スフェロイドのサイズのバラツキを3%〜5%、2%〜6%、1%〜6%、または3%〜6%の範囲内に抑えられる。
【0086】
特定の実施形態では、上記アクセス孔底面のプラトー構造を1つの要因として、液滴の安定性を向上させてもよい。上記液滴を既定のサイズと位置で安定化および保持することで、上記液滴の拡散を実質的に制限している。
【0087】
上記懸滴の量は少ないため、蒸発により培地の重量オスモル濃度が変化する。幾つかの実施形態では、蒸発による培地の重量オスモル濃度の変化を防止するために、または、これを実質的に防止するために、スフェロイドの培養期間中、ウェルプレートの蓋部と蒸留水または他の水溶液を満たしたプレート(例えば、96ウェルプレート)とによって、上記懸滴用アレイプレートを挟み、これら全ての機構をパラフィルムまたは他のシーリング材で覆う。懸滴の底部に設けられた、上記蒸留水で満たした上記プレート(または上記水溶液で満たしたプレート)は、上記懸滴を加湿する。幾つかの実施形態では、上記プレートの周縁部に設けられた貯水部または貯水溶液部(例えば、図1bと1dに示すような貯水溶液部)は、パラフィルムと共同して、懸滴からの大規模な蒸発を防ぎ、特に、液滴がより蒸発しやすい上記プレートの側面の近傍にある水滴からの蒸発を防ぐ。このような機構の使用と一日おきの培地変換とにより、mES細胞と、Cos−7細胞と、A431.H9細胞培地との重量オスモル濃度を、300mmol/kg〜360mmol/kg(図2(a)の安定した範囲内に保持することができる。なお、上記範囲は、細胞培養にとって最適な範囲内に含まれる範囲である。特定の実施形態では、懸滴中の細胞培地の重量オスモル濃度を比較的安定した範囲内に保持する。例えば、このような範囲として、重量オスモル濃度の初期測定値の10%〜20%以内の範囲が挙げられる。生細胞/死細胞の染色画像は、大半の細胞は2週間の培養後において生存していたことを更に示す。さらに、異なる様々なサイズのA431.H9スフェロイドが、1週間の期間を通して増殖しているように見られた(図2c)。懸滴の統合性のローバスト性と共同して、上記懸滴アレイプレートシステムは、従来の懸滴システムまたは懸滴方法では不可能だったスフェロイドの長期培養を実現する。
【0088】
実施形態の例に基づいて薬剤スクリーニングを説明するために、A431.H9細胞を対象にして、2つの薬剤(非従来的な低酸素感受性薬剤であるチラパザミン(TPZ)と従来の抗癌剤である5−フルオロウシル(5−Fu)))を2D培養条件および3D培養条件下で検査した。TPZは、低酸素性のサイトトキシンであり、低酸素条件下でのみ活性化されるので、代謝産物がDNAに損傷を与える。TPZは、細胞内レダクターゼによって、低酸素条件下でDNAの一本鎖切断および二本鎖切断と、塩基損傷と、染色体異常とを生じさせる細胞傷害性のラジカルに変換される。通常の条件下において、酸素は、TPZラジカルを非毒性の親化合物へと酸化(back-oxidation)させ、これにより細胞毒性を著しく減少させる。384懸滴アレイプレートを使用して、従来の2D条件および3Dスフェロイド下で、吸着細胞として培養したA431.H9細胞に対するTPZの効果を検査した。その結果、2D条件のIC50(〜50μM)が3D条件のIC50(〜8μM)よりも大きいことが判明した。したがって、大半の薬剤試験に反して、A431.H9細胞は、従来の2D条件下で培養された場合、3Dスフェロイドと比較してTPZに対してより高い耐性を示した。これは、主に、3Dスフェロイド内に存在する先天的な酸素勾配によるものである。拡散限界のため、直径が500μmより大きいスフェロイドは、通常、その中心部に低酸素性の核を有し、外面方向の対応する酸素勾配を有する。TPZは低酸素条件下でより一層細胞傷害性が高くなる低酸素性の薬剤であるため、酸素勾配の存在しない2Dで培養されたものと比較して、3Dスフェロイドとして培養されたA431.H9細胞に対してより敏感である。2つの異なる培養条件下で行われた同一の薬剤検査から得られた上記IC50間のこの明白な差異は、薬剤スクリーニング目的および試験目的のための3Dモデルの使用の有用性を示している。スフェロイドと同様に、充実性腫瘍にも先天的な酸素勾配が存在する。よって、3D腫瘍モデルは、より一層正確で有意義な治療用の読出し情報をもたらす。3D腫瘍モデルは、腫瘍の低酸素性の内部にある静止細胞を標的にする薬剤のスクリーニングに有用である。
【0089】
5−Fは、細胞増殖を抑制する従来の抗癌薬剤である。5−FUの場合、3D(〜1から100μM)条件下では、2D条件下(〜0.1μM)と比較して、IC50が増大することが判明した。予期されたように、A431.H9細胞を3Dスフェロイドとして培養した場合、このA431.H9細胞の5−Fに対する耐性が、2D条件下で培養した場合よりも高くなった。スフェロイドの3Dの統合性により、5−FUにとって、中心細胞集団内に侵入し、拡散することがより困難であったと推測される。さらに、5−FUは増殖細胞を特異的に標的にし、これによりスフェロイドの内部の静止細胞を死滅させられなかった可能性がある。しかし、これは、薬剤試験途用途とスクリーニング用途における3Dモデルの重要性を示している。A431.H9細胞について、2D試験プラットフォームと3D試験プラットフォームからの5−FUのIC50から判明したことは著しく異なるものであった。
【0090】
生理的な3Dモデルによって、大局的には時間および資材を節約する、より一層正確で有意義な結果をもたらす。本開示内容の実施形態の開発過程で行われた実験は、市販の多様なハイスループット・スクリーニング機器と適合可能な標準化フォーマットで懸滴用アレイプレートを開発することで、長期的な3D細胞培養をハイスループットする方法をスケールアップすることの困難性を克服した。
【0091】
〔I.装置とシステム〕
以下、本開示内容の実施形態の装置例を詳細に説明する。以下に説明する装置は一例であり、本開示内容の実施形態を限定するものではない。本願の開示内容は、以下に記載する装置例に限定されるものではない。
【0092】
図5にアッセイプレート1の例を示す。図6に他のアッセイプレート4を示す。アッセイプレート1と4のそれぞれが、複数のウェル3を有している。しかし、本開示内容は特定の構成に限定されないことは理解されるであろう。アッセイプレートは、任意の数のウェルを有していても良い。ある実施形態では、12×8、24×16、または他の構成を採用している。ある実施形態では、複数のアレイプレート(例えば、24×16の構成のアレイプレート)の分析を使用してもよい。また、アッセイプレート1と4が、上記プレートの1つまたは複数の端部(例えば、4つ全ての端部)に沿って貯水部2を備えている。
【0093】
図7と8にアッセイプレート1の断面を示す。上記断面には、底面9と上面10とを有している孔6を有するウェル3が示されている。ある実施形態では、上記孔6の直径は約1.6mmである。また、ある実施形態では、上記孔6間の距離は約4.5mmである。また、ある実施形態では、上記ウェルは、上記孔6の近傍に設けられた突出部、プラトー部、または、リング部5を更に備えている。また、ある実施形態では、上記突出部5の高さは約0.5mmである。図7に、蓋部1とマイクロタイタープレート(例えば、96ウェルプレート)8とを示す上記アッセイプレート1の断面を示す。上記マイクロタイタープレート8はウェル3の下方に設けられている。ある実施形態では、上記プレートは、上記プレートのウェル内に液体(例えば、水)を有している。また、ある実施形態では、上記マイクロタイタープレート8の上記貯水部が端部の周辺または他の領域に設けられている。ある実施形態では、1つまたは複数の貯水部が、上記プレートの周辺の1つまたは複数の端部に設けられている。他の実施形態では、1つまたは複数の貯水部が、上記アクセス孔の設置位置に干渉しない、または、実質的に干渉しない位置に配置されている。ある実施形態では、上記貯水部が流体を含んでいる。他の実施形態では、上記貯水部が、流体と違ってこぼれにくく、加湿用の気体を供給できるヒドロゲル(アガロース・ゲルなど)を含んでいる。他の実施形態では、上記貯水部が、例えば、試験化合物として気化する化学物資などの個体物を含んでいる。
【0094】
図14に上記装置の追加の実施形態を示す。一部の実施形態では、上記装置が上記孔6の上方および/または下方の設けられた追加の環11を備えている。一部の実施形態では、上記環の幅は0.25μMであるが、他のサイズも意図されている。一部の実施形態では、上記プレートの上面または上記プラトー部の底面から測定した上記環11の高さは約0.5μMである。一部の実施形態では、上記孔の上方に配置された環11が、液体が上記上面の上に広がるのを防止するように機能する。一部の実施形態では、上記プラトー部の底部に配置された環11が液滴の安定性を向上させる。
【0095】
一部の実施形態では、上記プレート8が、水、他の流体、ゲル、試験化合物、収着剤、またはそれらの組み合わせを含む。
【0096】
一部の実施形態では、図1のAに示すように、液滴が上記底面9から滴下し、ウェル6の底部の下方において突出部5まで広がるように、液滴を上記孔6の上記上面10を介して上記穴6内へと挿入している。一部の実施形態では、上記ウェル8内の液体と上記蓋部7とを組み合わせて、上記液滴用の加湿室を提供している。また、一部の実施形態では、上記アッセイプレートと、加湿室と、カバーとを備えている上記装置をPARFILMラップなどの実験用ラップで覆い、蒸発を更に防止している。
【0097】
一部の実施形態では、装置が、上記蓋部または他の構成要素とアクセス孔、懸滴液、および端部との間に(例えば、細胞と試薬剤をプレートへ輸送するため、および、プレートから輸送するために)多少の接触、接触、または実質的な接触がある構成を含んでいる。
【0098】
一部の実施形態では、上記プレート8がマルチウェルプレートである。一方、他の実施形態では追加構成が利用されており、これら追加構成としては、アッセイブロック、容器、ゲルからなるベッドなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0099】
図16−24に追加の実施形態を示す。一部の実施形態では、上記装置が、アッセイプレート161と、トレイ201と、蓋部211とを備えている。アッセイプレート161は、複数のウェル163と、上記プレートの1つまたは複数(例えば、4つ全て)の端部に沿った貯水部162とを備えている。一部の実施形態では、上記アッセイプレート161の底部の寸法は85.49mm×127.77mmである。図17のA−Dに、アッセイプレート161上にアレイ状に配置されたウェル163の様々な図を示す。ウェル163は、上面172と底面173とを有する孔171を備えている。一部の実施形態では、上記孔171の直径は約1.6mmである。一部の実施形態では、孔171間の距離は約4.5mmである。一部の実施形態では、上記孔171が、上記上面172の上に複数の上層プラトー構造174を備えている。一部の実施形態では、上記孔171が、上記上面173の上に複数の下層プラトー構造175を備えている。一部の実施形態では、上記上層プラトー構造174は、液体操作用の装置を上記孔171に対して位置合わせするのを補助し、および/または、液体が1つのウェルから他のウェルへ広がらないようにすることを補助する。一部の実施形態では、下記下層プラトー構造175が、実質的に、懸滴を特定の領域内および幾何学形状に閉じ込め、および/または、懸滴が隣接するウェルに広がることを防止する。
【0100】
一部の実施形態では、上記上層プラトー構造174および/または上記下層プラトー構造175を、上記アッセイプレート161と実質的に同じ材料および/または工程を使用して作製している。他の実施形態では、上記上層プラトー構造174および/または上記下層プラトー構造175を、上記アッセイプレート161とは実質的に異なる工程および/または材料を使用して作製している。一部の実施形態では、上記プラトー構造は、3Dプロトタイプ方法を使用して作製したプラスチックである。他の実施形態では、上記プラトー構造は、化学物質、生体物質、またはこれらの組み合わせの印刷構造である。
【0101】
図18に1つのウェル163の上面図、断面図、および底面図を示す。また、図19にアレイ状に配列されたウェル163の断面図と3D描写を示す。
【0102】
図20のA−Fにトレイ201の様々な図を示す。図21のA−Fに蓋部211の様々な図を示す。図22のA−Fに、上記アッセイプレート161と、上記トレイ201と、上記蓋部211とから構成される上記組立部221の様々な図を示す。上記蓋部211は、上記アッセイプレート161の上面を覆い、アッセイプレート161の上面の上に位置する。上記アッセイプレート161は上記トレイ201の上に位置する。一部の実施形態では、アッセイプレート161は、トレイ201と蓋部211によって実質的に囲われている。
【0103】
一部の実施形態では、上記トレイが、当該プレートの1つまたは複数(例えば、4つ全て)の端部に沿って貯水部202を有するプレートを備えている。他の実施形態では、上記貯水部が1つまたは複数の領域に設けられている。一部の実施形態では、撮像および分析を間単にするような、ウェル163が遮られずに視認される場所に、1つまたは複数の貯水部が配置されている。特定の実施形態では、上記トレイ201は、実質的に、光学的に透明であるので、上記懸滴を撮像および光学分析するのに好都合である。一部の実施形態では、上記貯水部が水性の流体を蓄えている。一部の実施形態では、上記貯水部202が湿度の保持に実質的に貢献している。一部の実施形態では、水性の流体のようにこぼれにくくかつ加湿性を有する蒸気を提供する、アガロースゲル(agarose gel)などのヒドロゲルが、上記貯水部に含まれていてもよい。他の実施形態では、上記貯水部が固形物(例えば、試験化合物として蒸発する薬剤品)を含んでいる。
【0104】
一部の実施形態では、上記組立部221の1つまたは複数の構成要素は、実質的に、光学的に透明である。一部の実施形態では、上記組立部は、上記組立部の内部と外部との間のガス交換を可能にするのに十分な程度に気密されている。一部の実施形態では、上記組立部は、上記組立部内の湿度の維持を向上させている。一部の実施形態では、上記組立部の構成要素を実質的に隙間無く適合し、操作中に上記構成要素が他の構成要素の上に確実に配置されることを可能にしている。
【0105】
図23のAとBに、3つの組立部221を積み重ねた構造の側面図と正面図を示す。一部の実施形態では、上記トレイが構造203を備え、上記蓋部が構造212を備え、上記構造212は、組立部221の上に他の組立部221を実質的にしっかりと積み重ね、操作中にその状態を保たせることができる。
【0106】
図24のA−Dに、特定の実施形態に係るアクセス孔構造の変形例を示す。射出成形法の製造用の潜在的な分割線を腺241によって示す。上記分割線を他の場所に配してもよい。図24のAに、上記上面に高くて薄いプラトー構造が設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のBに、上記上部に短くて薄いプラトー構造が設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のCに、上記上部に高くて厚いプラトー構造が設けられたアクセス孔構造の例を示す。図24のDに、上記上部に高くて薄いプラトー構造が設けられたアクセス孔構造の例を示す。
【0107】
一部の実施形態では、アクセス孔は、行列状の多層型またはマルチウェル型に形成されている。他の実施形態では、代わりとなる幾何学形状構成(例えば、円形の構成、不規則パターンなど)を利用している。一部の実施形態では、各プレートにおいて、アクセス孔とプラトー部のサイズ、幾何学形状構成、および/または設計が互いに同じものでもよい。一部の実施形態では、各プレートにおける、アクセス孔とプラトー部のサイズ、幾何学形状構成、および/または設計が互いに実質的に同じである。他の実施形態では、上記アクセス孔とプラトー部のサイズおよび/または形状が異なってもよい。一部の実施形態では、アクセス孔の構造/幾何学形状を他の装置(例えば、分析装置)に取り入れてもよい。
【0108】
装置は、好適な材料またはその組み合わせによって構成されてもよい。例えば、上記材料としては、プラスチック(例えば、生体適合性プラスチック、ポリスチレン、または他のポリマー・プラスチック(polymeric plastic))、紙、金属、ガラス、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。一部の実施形態では、射出成形法を使用して装置を作製する。他の実施形態では、好適な方法または方法の組み合わせを使用して装置を作製する。例えば、上記方法としては、成形法(例えば、射出成形法)、ラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)法(ステレオリソグラフィー法、3D印刷法、選択的レーザ焼結法、熱溶解積層法など)、リソグラフィー法(ソフトリソグラフィー法)、印刷法、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。一部の形態では、装置の一部または複数部が、実質的に異なる材料および/または処理を使用して作製される。
【0109】
一部の実施形態では、プレートは、例えば、細胞行動、液滴サイズ、幾何学形状、幾何学形状などを制御するように処理(例えば化学的方法、物理的方法、生物学的方法、テクスチャ方法)が行われている。表面処理の方法としては、DNAおよびタンパク質などの化学物質および/または生体物質の、化学的修飾法、物理的修飾法、プラズマ処理法、蒸着法、吸着法および/またはコーティング法、および、これらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。一部の実施形態では、以下の1つ以上をもたらすように処理を行う:上記アレイプレートの表面性質(例えば、疎水性、タンパク質付着、化学組成、生物学的組成など、または、これらの組み合わせ)の変更;上記懸滴の特性(液滴サイズ、幾何学形状、配列など、または、これらの組み合わせ)の操作;細胞行動(増殖速度および/または分化速度、分化系統、特定のタンパク質と代謝産物の生成など)の制御。他の実施形態では、化学物質および/または生体物質を上記液滴および/または細胞に対して放出および/または輸送を行うことを可能にするために、例えばコーティングなどにより表面処理を行う。他の実施形態では、上記液滴および/または細胞の特性の変化を、抗体結合および/または抗原結合などのメカニズムを介して検出するコーティングを施すように表面処理を行う。他の実施形態では、コーティングの結果、上記コーティングの光学的特質、電気的特質、または他の測定可能な特質の変性による変化が示される。例えば、一部の実施形態では、作製およびパターニングなどを行った後に、親水性皮膜を使用して装置をコーティングする。
【0110】
一部の実施形態では、使用前または凝縮前にプレートを殺菌している。殺菌は、上記プレートの材料と使用(例えば、熱、高圧、薬剤品、照射、またはこれらの組み合わせ)に好適な任意の方法を使用して行われる。
【0111】
一部の実施形態では、上記プレートは、酸素濃度、温度、湿度などを制御するための室/筐体(例えば、環境制御装置)と一体化されている。
【0112】
一部の実施形態では、湿度の保全性は向上している。例えば、上記アレイプレートおよび/または上記下層プレートが、閉鎖系内の空気を加湿するのを助けるための貯水部を備えている。
【0113】
一部の実施形態では、本開示内容は、装置(例えば、アッセイプレート、貯水部、およびカバー)を単独で備えているか、または、このような装置(例えば、細胞、バッファ、成長培地、試験化合物、対照物など)を使用して細胞の培養と特徴付けとを行う他の試薬剤を併せて備えているシステムおよび/またはキットを提供する。一部の実施形態では、システムおよびキットが、ハイスループット分析用のロボット工学(例えば、試料の取扱と分析(例えば、プレート読取器)を行うための機器)を備えている。
【0114】
〔II.用途〕
本開示内容の特定の実施形態に係る上記アッセイプレート装置は、多様な用途に利用できる。一部の実施形態では、本開示内容に記載する装置をスフェロイド(例えば、癌細胞株スフェロイド)などの細胞または他の微生物または生体分子の培養に使用している。一部の実施形態では、スフェロイドを本開示内容に記載する懸滴中で培養している。培養後の上記スフェロイドまたは他の細胞は、様々な研究用途およびスクリーニング用途に利用される。
【0115】
一部の実施形態では、懸滴を形成するために、細胞懸濁液を上記上側から上記孔を介して移動(例えば、ピペットを使用して)させる。一部の実施形態では、ピペットチップの端部と他の液体移動装置の端部の何れかを上記穴に差し込んで、上記試料液体を上記底面へと案内する(例えば、図10c参照)。上記下層面に液滴が形成されると、上記孔を通過するピペットチップ、ピンディスペンサー、または他の道具の何れも使用することなく、上記上面の孔に接触させるだけで、更なる液体(例えば、成長培地、試験化合物など)の添加を行うことができる。下方の液滴がより大きいので、表面張力によって流体が上記上面から上記下層面の液滴へ流れる。これにより、その後の液体の取扱時に、上記懸滴中の細胞の乱れを最小限に抑えることができる。一部の実施形態では、培地が変換され、細胞の処理がプレートの上記上面を介した吸引によって、または、毛管作用および/または微小流体作用および/または装置を利用して行われる。
【0116】
本開示内容の特定の実施形態の装置は、時間と、スフェロイド化と、スフェロイド組成物(例えば、細胞の種類、細胞の組成、細胞の物理的分布)と、処理(例えば、試験化合物、スケジュール、継続期間、濃度)と、環境(例えば、温度、酸素濃度、湿度など)との何れか、または、それらの組み合わせを制御できるという利点を有する。
【0117】
上記液体または細胞試料は、例えば、ピペットまたはスロットピン(V&P Scientific社、サンディエゴ、カリフォルニア州)を使用して、上記液体から上記アクセス孔を介して除去できる。また、懸滴内では、固いウェルの底部が無く、流体容積に応じて位置を変える液滴−空気界面が存在するので、ピペットの先端が、硬質壁に対して上記細胞またはスフェロイドを衝突させ押しつぶすという心配をする必要が無く、上記細胞をピペットによって取り出すことができる。上記液滴から細胞を除去する追加の方法としては、上記プレートの上面から吸引を行う方法と、下側のプレート、装置、または容器へと洗い流す方法と、上記液滴に接触して、下側のプレート、装置、または容器へ移動させる方法と、下側のプレート、装置、または容器(例えば、空の容器、または、更なる成長と分化の何れかの発生または分析用の回収を行うために試薬剤とゲルの何れかを備えている容器)へ遠心分離させる方法と、毛管作用および/または微小流体作用を利用して、別のプレート、装置、容器などに移動させる方法との何れか、または、これら方法の組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0118】
上記懸滴のサイズは、少なくとも一部分において、上記底面上の上記プラトー部の直径によって限定されている。その結果、上記培養プロセス中、上記懸滴の幾何学形状は広がること無く、一貫したものまたは実質的に一貫したものに保たれる。これによって、従来の平坦な懸滴用基板では不可能であった、ローバスト性と安定性がより増大した培養条件が得られる。従来の懸滴方法は、ペトリ皿の蓋部の内側に液滴を供給した後、上記ペトリ皿の蓋部をひっくり返すことを含んでいた。しかし、こうした上記ペトリ皿の蓋部のひっくり返しによる動きと、各液滴を閉じ込める物理的構造の欠如とによって、上記液滴の広がり、融合、落下、および他の変化が生じ、その結果、上記液滴中の上記スフェロイドのサイズ、幾何学形状、生存率、および他の測定可能な特性のバラツキが生じる。
【0119】
本開示内容の実施形態の装置は、研究用途、臨床用途、スクリーニング用途などの多様な用途に利用される。例えば、研究、創薬剤、毒性検査を行うための細胞凝集体の形成;胚、組織切片、微小有機体、および蠕虫(例えば、c. elegans)の培養;細菌の培養(表面との接触を最小に抑えることにより、多種の細菌にとって重要な、生物膜形成の防止とガス交換の増大を行う);環境モニタリング;ガス状物質の毒性研究;水質検査;種子の発芽化;例えば、細胞、ナノ粒子、タンパク質、ペプチド、DNAなどの生体物質と化学物質の自己組織化;化学種の結晶化;段階的な蒸発による水溶液の濃縮、撮像(例えば、上述のプロセスの撮像);インビトロでの生化学分析(例えば、酵素的分析と、受容体のタンパク質−タンパク質相互作用の分析);測定(例えば、比色測定、蛍光測定、発光測定、放射測定など);細胞播種など、または、これらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。特定の用途例を本明細書に説明する。
【0120】
一部の実施形態では、細胞播種の用途に装置を使用する。一部の実施形態では、水性媒体/試薬剤またはゲルに細胞を播種する。一部の実施形態では、化学物質、生体分子、および/または粒子(例えば、ナノ粒子、ミクロスフェア(microsphere)など)と併せて細胞を播種する。一部の実施形態では、細胞分散液または個別の細胞または細胞凝集体の何れかとして細胞を播種する。本開示内容は、特定の細胞源に限定されない。一部の実施形態では、細胞は多様な源(例えば、ヒト、ラット、マウスなど)に由来し、異なる形態(例えば、一次細胞、細胞系、幹細胞、誘導性の多能性幹細胞など)を使用してもよい。一部の実施形態では、細胞の共培養(例えば、一度に播種された多細胞種の混合、または、連続的に播種された単一の多細胞種または多細胞種の混合)を実現するように、多細胞種を播種する。一部の実施形態では、生きている細胞、成長している細胞、休眠している細胞、または、化学処理を行った細胞(例えば、化学固定剤を使用して固定した細胞)を使用してもよい。
【0121】
一部の実施形態では、本開示内容の装置と方法を使用して培養した細胞またはスフェロイドを薬剤スクリーニングの用途に使用する。例えば、一部の実施形態では、培養癌細胞系のスフェロイドと他の細胞の何れかに抗癌剤または他の試験薬剤を接触させる。一部の実施形態では、化学物質、気体(例えば、ナフタレン)、生体分子、またはナノ粒子などの試験化合物または試験条件を(例えば、単独または薬剤と結合させた状態で)使用する。その後、(例えば、生存状態を染色する顔料とプレート読取器を使用して)上記細胞の生存率をモニタリングする。
【0122】
一部の実施形態では、幹細胞(例えば、癌が発生している幹細胞)の維持に上記装置を使用する。一部の実施形態では、腫瘍のインビボ環境を再現するために、癌が発生している細胞をスフェロイドと共に共培養する。このような方法を使用して培養させた、癌が発生している細胞は、研究用途および薬剤スクリーニングの用途に使用される。
【0123】
特定の実施形態に基づくアレイ装置の使用は、ハイスループットのスクリーニングの用途と研究用途への利用を可能にする。一部の実施形態では、装置が96ウェル型、384ウェル型、または他のサイズのウェル配列を有していてもよい。標準化サイズの配置の使用する場合、既存のロボット設備(例えば、液体取扱器やプレート読取器などの市販の設備)のハイスループット・スクリーニング用途への利用が可能になる。本開示内容の特定の装置の実施形態は、積み重ねることができるように変更可能でもある。
【0124】
[実験]
本開示内容の特定の好適な実施形態および様態を示し、更に説明するために以下の実施例を説明する。また、以下の実施例は本開示内容の範囲を限定するものではない。
【0125】
〔実施例1〕
(A.方法)
(装置設計:)
図1のaに懸滴細胞培養技術に基づくスフェロイド培養装置を示す。上記装置は、ポリスチレン樹脂を使用する射出成形によって作製した。上記懸滴方法の液体の取扱における欠点を克服するために、各細胞培養部位は、底面上にプラトー部が設けられた基板を貫通するように形成されたアクセス孔で構成されている。これらの細胞培養部位は384ウェル型プレートのフォーマット(図1のbと1のcに示すように、16行×24列で、双方向に4.5mm離間)で配列され、これにより、生物医学研究所で一般に使用されている市販のハイスループット・スクリーニング用機器(例えば流体操作ロボットとプレート読取器)を使用することが可能である。さらに、上記プレートの寸法は通常の384ウェル型プレートと同じように設計され、他のウェルプレートを重ねることができる。上記懸滴の体積が小さい(数十μl)ことに起因して一般的に直面される蒸発問題を緩和するために、上記培養部位の外周の周辺に貯水部を形成した。
【0126】
上記プレートの使用前に、上記装置の表面全体に親水性皮膜(Pluronic F108、0.1%)を1時間塗布した。その後、上記プレートを蒸留水で洗浄し、窒素ガスを使用して乾燥させ、紫外線に半時間曝して殺菌した。懸滴を形成するために、単一チャンネルのピペットと複数チャンネルのピペットと液体取扱用の自動化ロボットとの何れかを使用して、細胞懸濁液をアクセス孔内にピペットで取り出した。なお、各ピペットの先端部を上記アクセス孔内に差し込み、上記試料液体を上記底面へと案内した。上記液体試料または上記細胞試料を、ピペットまたはスロットピンのレプリケータ(V&P Scientific社)を使用してアクセス孔を通し、液滴中から除去することができる。その結果、上記試料取扱プロセスの全体を上記プレートの上記上面から遂行することができる。これによって、従来の懸滴方法で採用されていたペトリ皿の面倒な反転作業を避けることができる。さらに、この液体取扱スキームにより、上記装置がハイスループット・スクリーニング用の自動化機器と完全に適合可能となり、スフェロイド実験のスケールアップを実現可能にする。さらに、上記懸滴のサイズは上記底面上の上記プラトー部の直径によって制限された。その結果、上記懸滴の幾何学形状は、広がりを見せることなく、上記培養プロセスに沿って一貫性のあるものに保持できる。これにより、ローバスト性と安定性がより高い培養条件が得られる。
【0127】
(方法:)
上記設計したアレイプレートを使用する長期のスフェロイドの懸滴培養の安定性を調べるため、3種類の細胞(腎臓線維芽細胞(COS7)、マウス胚幹(mES)細胞(ES−D3)、メソテリンを安定的に発現するヒト癌細胞(A431.H9))を培養する一方で重量オスモル濃度の測定を行った。上記プレートを使用して懸滴培養を行う前に、0.1%w/vブタゲル(Sigma- Aldrich社)を塗布したディッシュ内でES−D3細胞を培養し、15%v/vのウシ胎仔血清(FBS)(Gibco 10082、 Invitrogen社)と、4mMのL-グルタミン(Invitrogen社)と、0.1mMの2−メルカプトーエタノール(Sigma-Aldrich社)と、0.02%v/vのピルビン酸ナトリウム(Sigma- Aldrich社)と、100Uml−1のペニシリン(Invitrogen社)と、100Uml−1のストレプトマイシン(Invitrogen社)と、白血病抑制因子(LIF)を含む100Uml−1のESGR0(Invitrogen社)とを含むDulbecco's Modified Eagle's培地(DEEM)(Gibco 11960、Invitrogen社)からなる培地内に保持した。10%v/vのFBS(Gibco 10082、Invitrogen社)と1%v/vのantibiotic-antimicotic(Gibco 15240、Invitrogen社)を含めたDMEM(Gibco 11965、Invitrogen社)内で、COS7細胞とA431.H9細胞を培養した。加湿した培養器(5%CO2大気で37℃)内で、上記全細胞の培養を行った。上記懸滴実験用の細胞懸濁液は、0.25%トリプシン−EDTA(Gibco 25200、Invitrogen社)で細胞を解離し、解離細胞を室温下で1時間遠心(1000rpm)し、成長培地内に再度懸濁することで調製した。血球計算板を使用して細胞密度を見積もった。
【0128】
スフェロイドの培養用プレート上で、15μlの細胞懸濁液を各細胞培養部位のアクセス孔の内部へ供給して、懸滴を形成した。蒸発を防ぐために、4mlの蒸留水を周辺貯水部に加えた。さらに、上記プレートをウェルプレートの蓋部と蒸留水で満たした96ウェル型プレートとで挟み、パラフィルムで覆った。液滴から5μリットルの溶液を採取し、7μlの新しい成長培地を液滴に添加して、上記成長培地を一日おきに交換した。重量オスモル濃度の測定には、10μlの試料液を液滴からピペットで取り出し、分析のために蒸気圧浸透圧計(Vapro Model 5520、Wesco社)へ移動させた。
【0129】
抗癌剤感受性の検査を実演するために、3つの異なるサイズのA431.H9スフェロイド(細胞数が300、1500、7500のスフェロイド)を2種類の薬剤(tirapazamine(TPZ)(Toronto Research Chemicals社)と5−フルオロウラシル(5−FU)(Sigma- Aldrich社))の影響下で検査した。上述の手順では、上記指定の細胞数のA431.H9スフェロイドを形成し、それらの成長培地を一日おきに交換した。最終試験濃度の4倍の濃度になるようにTPZと5−FUの原液(0、0.1、1、10、100、1000、5000μM)をDulbecco'sリン酸緩衝生理食塩水(D−PBS)(Gibco 14190、Invitrogen社)内で初期調整した。その後、A431.H9スフェロイドの培養2日目に、A431.H9細胞懸滴の各15μlに対して、上記適切な濃度のTPZ(または5−FU)原液を5μlずつ添加した。alamarBlue(Invitrogen社)を使用する薬剤培養の24時間後、48時間後、72時間後、96時間後に、細胞の生存率をモニタリングした。製造者の手順に従って、2μl(各懸滴試料の体積の10分の1)のalamarBlueを各A431.H9懸滴スフェロイド試料に添加し、2時間インキュベート(保温培養)した。このインキュベーション後、プレート読取器(FLx800 Fluorescence Microplate Reader、Biotek社)を使用して、525nmの励起と590nmの発光状態で、各A431.H9懸滴スフェロイド試料用プレートの読取を行うことによって、蛍光強度の読取を行った。AlamarBlueの蛍光強度が細胞数に正比例するので、0μMの未処理の対照スフェロイドに標準化することで、各薬剤物濃度に対する細胞生存率の平均値を簡単に求められる。2D制御条件下での抗癌剤感受性実験を、96ウェル型プレート(Corning Costar 3596)を使用し、それ以外は上記3Dスフェロイド実験と同様とした標準組織培養に対して行った。培養培地の50%を一日おきに新しい培地と交換した。
【0130】
(B.結果)
図1のaに、上記懸滴用の384ウェル型アレイプレートの概略図を示す。図1のbに、交互に配列された192個の懸滴を有する上記プレートの図を示す。上記スフェロイドの懸滴培養部位は、16行×24列で、互いから双方向に4.5mm離間されている標準化384ウェルプレートのフォーマットで配置されている。上記プレートの外環に設計された貯水部は、4mLまでの水分を更に保持して、蒸発を緩和させている。図1のaの拡大図に、液体の滴が滴下し、かつ上記底面上の上記プラトー部の直径によって制限されている、上記プレートの上記上面の上記アクセス孔を示す。このようなオーダーメードのポリスチレンプレートは、ハイスループットのアレイフォーマットで懸滴が効率的に形成されることを可能にする。図1のcは、市販の液体取器(CyBi-Well)による384懸滴用アレイプレートでの上記懸滴の形成プロセスを示すスナップ写真であり、このプレートをハイスループット可能に使用して、スフェロイドの懸滴培養をスケールアップすることの有用性を示している。
【0131】
図2のaに、上記COS7細胞の培地と、上記mES細胞の培地と、上記A431.H9細胞の培地との平均重量オスモル濃度の5日間の間の変化をプロットした図を示す。−50%の培地変換を一日おきに行った場合、上記細胞の培地の重量オスモル濃度は2週間の間比較的安定している。図2のbに上記COS7細胞のスフェロイドと上記mES細胞のスフェロイドの生死写真を示す。これによると、大半の細胞が12時間の培養後に生存していたことが示されている。図2のcにA431.H9細胞のスフェロイドのサイズ(直径)と細胞数との関係を示す。上記384懸滴用アレイプレートで培養したスフェロイドが適切に成長しているか否かを調査するために、上記スフェロイドのサイズを毎日測定した。また、図2のcに1週間の間のA431.H9細胞のスフェロイドの平均サイズも示す。上記プロットは、異なるサイズのA431.H9細胞のスフェロイドが7日間の培養期間の間増殖していることを明示している。上記培地の重量オスモル濃度の安定性と上記スフェロイドの適切な成長との組み合わせは、上記384懸滴用アレイプレートがスフェロイドの培養に好適な環境を提供することを示している。上記懸滴培養の条件の安定性と、広がりを伴わない上記懸滴の幾何学形状のローバスト性とが、スフェロイドの簡単な長期培養を可能にする。
【0132】
上記384懸滴用アレイプレートでの抗癌剤感受性の試験の実証として、TPZと5−FUの2種類の抗癌剤を試験した。図3のa−cに、0μM、10μM、5000μMのTPZを使用して処理した異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイド(細胞数300、1500、7500のスフェロイド)の経時画像を示す。上記処理を行っていないA431.H9細胞の異なる3つのサイズの対照スフェロイドは、薬剤処理の期間中でも成長し、適切に増殖する。一方、10μMのTPZを使用して処理した上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドのサイズは、上記薬剤処理の期間中比較的安定しており、スフェロイド成長の阻害を示した。最後に、5000μMのTPZを使用して処理した異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドについては、96時間の薬剤処理期間中に低い生存率が次第に示され、薬剤の毒性を示した。図3のdに、上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドのそれぞれと2D培養条件とについて、様々なTPZ濃度における、初期薬剤処理の96時間後の細胞の生存率(%)を概説する棒グラフを示す。従来の2D条件で培養したA431.H9細胞のIC50は約50μMであり、3D条件で培養した上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドのIC50は約8μMである。大半の抗癌剤に反して、TPZを使用して処理したA431.H9細胞は、2D条件で培養された場合に、3D条件で培養された場合よりも高い耐性をしめした。
【0133】
同様に、図4のa−cに、0μM、10μM、5000μMの5−FUを使用して処理した異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイド(細胞数300、1500、7500のスフェロイド)の経時画像を示す。上記処理を行っていない異なる3つのサイズの対照A431.H9細胞のスフェロイドの全ては健康を示し、薬剤処理期間中に適切に増殖している。しかし、A431.H9細胞のスフェロイドを10μMの5−FUを使用して処理した場合、上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドは上記薬剤処理後の96時間に徐々に小さくなり、スフェロイド成長の阻害が示された。最後に、A431.H9細胞のスフェロイドを、5000μMの5−FUを使用して処理した場合、上記異なる3つのサイズ全てについて、薬剤処理の48時間後に細胞が解離し始め、スフェロイドの全体性が毀損された。A431.H9細胞のかなりの部分は、薬剤処理後から96時間までに、A431.H9スフェロイドから既に解離しており、薬剤の毒性が示された。図4のdは、上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドと従来の2D培養条件とについて、異なる5−FU濃度において、細胞の薬剤処理から96時間後の生存率(%)を概説する棒グラフの結果を要約するものである。従来の2D条件下で培養したA431.H9細胞のIC50は約0.1μMであり、3D条件で培養した上記異なる3つのサイズのA431.H9細胞のスフェロイドのIC50は、それぞれ、約3μM(細胞数が300のスフェロイド)、約1μM(細胞数が1500のスフェロイド)、約90μM(細胞数が7500のスフェロイド)である。大半の抗癌剤で予期していたように、5−FUを使用して処理を行っていたA431.H9細胞は、3D条件で培養された場合、2D条件で培養された場合よりも高い耐性を示す。
【0134】
〔実施例2〕
(付加的なプレート設計)
本開示内容の特定の実施形態の装置は、懸滴をローバスト性高く形成でき、この懸滴を保持でき、上記懸滴に流体を添加および/または除去する能力を提供し、または、これらの組み合わせを実現することが可能である。各アクセス孔は懸滴を適切な位置にしっかりと保持するように構成されているので、大量の懸滴を再生可能に形成することができる。特定の実施形態では、各アクセス孔は実質的に同一である。上記アレイプレートの上面に開口部を有する上記アクセス孔は、流体を回収または添加して懸滴を形成することと、既に形成された懸滴からの流体の回収または既に形成された懸滴への流体の添加を行うことの何れかを可能にする。これは、上記懸滴および/または上記懸滴の内容物の測定可能な特性を、操作および/または保持するように、流体を実験の間中回収または添加できることを意味する。この実施例は、上記液滴を安定的に閉じ込める追加の局所的な障壁を提供する装置(例えば、図14に説明するような装置)を説明する。上記障壁を図14Bに示す。上記装置は、上記孔の上部と下部の両方に設けられた付加的な環(幅:0.25μM、上記プラトー部の上面または底面からの高さ:0.5μM)を備えている。液体が当該孔を介して上方および下方に移動できる貫通孔であって、上記環が当該孔の表面ではなく端部に設けられている貫通孔内に存在する上記液滴を安定させるために、上記障壁を使用してもよい。
【0135】
Z因子分析によって上記装置の性能を分析した。上記Z因子は、スクリーニング検定において、信号反応のダイナミックレンジおよびそのバラツキを最適化するために使用される分析用の性能測定器具である。上記Z因子が0.5より大きくなる場合は、典型的に、上記分析結果は“良”とされる。しかし、特定の用途では、より低い値のZ因子でも十分である。
【0136】
384懸滴用プレートと標準化384ウェルプレートでの蛍光ベース分析と吸収ベース分析のためのZ因子は以下のように算出される。フルオレセインまたは黄色食品色素の幅を有する濃縮を上記384懸滴用プレートと384標準化ウェルプレートに配置した。プレート読取器を使用して読取の測定を行った。Z因子は、各種プレートの各濃縮度で得られた値に基づいて算出した。この結果を図15に示す。ほとんどの濃縮においては、上記Z因子は0.5を越えている。上記384懸滴用プレートのZ因子は、上記標準化384ウェルプレートにおけるZ因子に匹敵する。
【0137】
〔実施例3〕
本実施例は、本開示内容の特定の実施形態をさらに説明する方法例、システム例、および装置例を提供する。なお、上記特定の実施形態は本開示内容を限定するものではない。
【0138】
例1.(a)上面および底面を有し、かつそれらに複数の孔が形成されている少なくとも1つのアレイプレートであって、上記複数の孔の各々は上部と底部とを有しており、該アレイプレートの上記底面は上記複数の孔のうち少なくとも1つ底部に対して実質的に隣接する少なくとも1つのプラトー部を有しているアレイプレートを備え、
(b)上記少なくとも1つのアレイプレートは複数の懸滴を収容するように構成され、各滴液は上記複数の孔のうち対応する1つの孔から懸下して上記孔の下方で広がり、上記少なくとも1つのアレイプレートが収容できる懸滴の数は、上記少なくとも1つのアレイプレートに形成される孔の数以下であるシステム。
【0139】
2.上記少なくとも1つのアレイプレートの下方に配置された少なくとも1つの第2のプレートを更に備えている例1に記載のシステム。
【0140】
3.上記少なくとも1つのアレイプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えていることを特徴とする例1または2のシステム。
【0141】
4.上記少なくとも1つの第2のプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えていることを特徴とする例1、2、または3のシステム。
【0142】
5.上記少なくとも1つのアレイプレートと上記少なくとも1つの第2のプレートとの両方が少なくとも1つの貯水部を備えていることを特徴とする例1−3または4のシステム。
【0143】
6.下記の1つまたは複数を備えている例1−4または5のシステム:上記少なくとも1つのアレイプレート内に設けられた1つまたは複数の貯水部;上記少なくとも1つの第2のプレートを備えている1つまたは複数の貯水部;上記少なくとも1つのアレイプレートに設けられた1つまたは複数の貯水部。一方、上記少なくとも1つの第2のプレートに貯水部は設けられない;位置合わせした上記第2のプレートに設けられた1つまたは複数の貯水部。一方、上記少なくとも1つのアレイプレートに貯水部は設けられない;または、上記少なくとも1つのアレイプレートと上記少なくとも1つの第2のプレートの両方に設けられた1つまたは複数の貯水部。
【0144】
7.各滴液は上記複数の孔のうち対応する1つから懸下し、上記孔の下方で広がる、例1−5または6のシステム。
【0145】
8.上記少なくとも1つの第2のプレートが、上記少なくとも1つのアレイプレートの端部の少なくとも一部に接触し、上記少なくとも1つの第2のプレートが、上記懸滴の1つまたは複数と実質的に接触してない、例1−6または7のシステム。
【0146】
9.上記少なくとも1つのアレイプレートのための少なくとも1つの蓋部を更に備え、上記少なくとも1つの蓋部は1つまたは複数の上記少なくとも1つのアレイプレートの上面上に設置され、また上記少なくとも1つの蓋部は上記複数の懸滴を収容するように構成された上記複数の孔の部分に接触していない、例1−7または8のシステム。
【0147】
10.上記1つまたは複数の貯水部が1つまたは複数の物質を有する例1−8または9のシステム。
【0148】
11.上記複数の懸滴の1つ以上が以下の1つ以上を含む、例1−9または10のシステム:複数の細胞;少なくとも1つの複合組織または有機体;生体物質および/または化学物質を含む水性の流体;1つ以上のタンパク質;1つ以上のナノ粒子、1つ以上の試験化合物;1つ以上の薬剤;水性の流体によって構成された固形物またはゲル;または、これらの組み合わせ。
【0149】
12.上記孔の直径は約1.6mmである、例1−10または11のシステム。
【0150】
13.上記孔は互いから約4.5mm離間している、例1−11または12のシステム。
【0151】
14.上記アレイプレートが上記孔の複数の行および列を有している、例1−12または13のシステム。
【0152】
15.上記少なくとも1つのプラトー部の端部が少なくとも1つの環状構造を備えている、例1−10または11のシステム。
【0153】
16.上記少なくとも1つのアレイプレートの特性を変更するように、上記少なくとも1つのアレイプレートを処理する、例1−14または16のシステム。
【0154】
17.上記少なくとも1つのアレイプレートの物理的特性、化学的特性、および/または生物学的特性を変更するように、上記少なくとも1つのアレイプレートを処理する、例1−15または16のシステム。
【0155】
18.上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの第2のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部のうち、1つまたは複数について、対応する処理面の特性を変更するように処理する、例1−16または17のシステム。
【0156】
19.上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの第2のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部について、対応する処理面の物理的特性、化学的特性、および/または生物学的特性を変更するように処理する、例1−17または18のシステム。
【0157】
20.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面は、上記少なくとも1つのアレイプレートに形成されている上記孔の1つまたは複数の上面に実質的に隣接しているか、または隣接している第2のプラトー部を備えている、例1−18または19のシステム。
【0158】
21.米国規格協会および/または生体分子化学規格協会に準拠している、例1−19または20のシステム。
【0159】
22.上記少なくとも1つのアッセイプレートと、上記少なくとも1つの他のプレートと、上記少なくとも1つの蓋部とのうち1つ以上が光学的に透明であり、光学的イメージングおよび/または光学的分析用に実質的に遮るものがない視界を提供する、例1−20または21のシステム。
【0160】
23.ハイスループット・スクリーニングに適合する、例1−21または22のシステム。
【0161】
24.積み重ね可能である、1−22または23のシステム。
【0162】
25.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の幾何学形状を安定させるように構成されている、例1−23または24のシステム。
【0163】
26.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の位置を安定させるように構成されている、例1−24または25のシステム。
【0164】
27.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の懸滴の測定可能な特性を安定および保持するように構成されている、例1−25または26のシステム。
【0165】
28.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の孔のうち少なくとも1つの上部に実質的に隣接している上記上面に設けられた少なくとも1つのプラトー部を更に備えている、例1−26または27のシステム。
【0166】
29.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の孔のうち少なくとも1つの上部に実質的に隣接している上記上面に設けられた少なくとも1つのプラトー部を更に備え、上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面の上記少なくとも1つのプラトー部が、上記孔への液体の輸送および/または上記孔からの液体の輸送を向上するように構成されている、例1−27または28のシステム。
【0167】
30.実質的に安定している湿度を保持する、例1−28または29のシステム。
【0168】
31.上記複数の懸滴の環境の測定可能な特性を保持するように構成されている、例1−29または30のシステム。
【0169】
32.少量の流体を取り扱うように構成されている、例1−30または31のシステム。
【0170】
33.上記複数の懸滴の1つ以上における複数の細胞の長期培養を可能とするように構成されている、例1−31または32のシステム。
【0171】
34.以下の1つ以上を可能とするように構成されている、例1−32または33のシステム:複数の細胞の長期的培養、保持、分析、および/または試験;少なくとも1つの複合組織または有機体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;生体物質および/または化学物質を含む水性の流体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のタンパク質の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のナノ粒子の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の試験化合物の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の薬剤の長期的培養、保持、分析、および/または試験;または、これらの組み合わせ。
【0172】
35.上記複数の細胞が球状に成長している、例1−33または34のシステム。
【0173】
36.試料取扱ロボット装置とプレート読取器とからなる一群から選択される1つ以上のハイスループット試料取扱装置を更に備えている、例1−34または35のシステム。
【0174】
37.例1−35または36のシステムを1つ以上使用する方法。
【0175】
38.複数の懸滴をシステム内へと導入する工程を含む方法であって、
(a)上面と、底面と、複数の孔とを有し、上記複数の孔の各々は上部および底部を有し、上記アレイプレートの上記底面は、上記複数の孔のうち少なくとも1つの底部と実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を有している、少なくとも1つのアレイプレートを備え;
(b)上記少なくとも1つのアレイプレートが、複数の懸滴を収容するように構成され、上記複数の懸滴の各々は、上記複数の孔のうち対応する1つから滴下し、上記対応する1つの孔の下方で広がり、上記少なくとも1つのアレイプレートが収容できる上記複数の懸滴の数は、上記少なくとも1つのアレイプレート内にある上記複数の孔の数以下であり;そして、
上記複数の懸滴の1つ以上に対して、培養、保持、分析、試験、またはそれらの組み合わせを行う方法。
【0176】
39.上記各液滴が、上記少なくとも1つのアレイプレートの上側または下側から上記孔を介して注入される、例38の方法。
【0177】
40.上記懸滴を上記孔を介して除去する工程を更に含んだ、例38または39の方法。
【0178】
41.少なくとも1つ以上の懸滴から流体を除去、または、少なくとも1つ以上の懸滴に流体を添加する工程を更に含んだ、例38、39、または40の方法。
【0179】
42.上記少なくとも1つのアレイプレートの下に配置された少なくとも1つの第2のプレートを更に備えている、例38−40または41の方法。
【0180】
43.上記少なくとも1つのアレイプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えている、例38−41または42の方法。
【0181】
44.上記少なくとも1つの第2のプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えている、例38−42または43の方法。
【0182】
45.上記少なくとも1つのアレイプレートと上記少なくとも1つの第2のプレートとの両方が少なくとも1つの貯水部を備えている、例38−43または44の方法。
【0183】
46.各滴液は上記複数の孔のうち対応する1つから懸下し、上記孔の下方で広がる、例38−44または45の方法。
【0184】
47.上記複数の懸滴の1つ以上が以下の1つ以上を含んでいる、例38−45または46の方法:複数の細胞;少なくとも1つの複合組織または有機体;生体物質および/または化学物質を含む水性の流体;1つ以上のタンパク質;1つ以上のナノ粒子、1つ以上の試験化合物;1つ以上の薬剤;または、これらの組み合わせ。
【0185】
48.上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの他のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部の1つまたは複数について、対応する処理面の特性を変更するように処理する、例38−46または47の方法。
【0186】
49.上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの他のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部について、対応する処理面の物理的特性、化学的特性、および/または生物学的特性を変更するように処理する、例38−47または48の方法。
【0187】
50.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面が、1つまたは複数の上記孔の上面と実質的に隣接しているかまたは隣接している少なくとも1つの第2のプラトー部を備えている、例38−48または49に記載の方法。
【0188】
51.米国規格協会および/または生体分子化学規格協会に準拠している、例38−49または50の方法。
【0189】
52.上記少なくとも1つのアッセイプレートと、上記少なくとも1つの第2のプレートと、上記少なくとも1つの蓋部とのうち1つ以上が光学的に透明であり、光学的イメージングおよび/または光学的分析のための実質的に遮るものがない視界を提供する、例38−50または51の方法。
【0190】
53.ハイスループット・スクリーニングに対応する、例38−51または52の方法。
【0191】
54.上記システムが積み重ね可能である、例38から52または53の方法。
【0192】
55.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の幾何学形状を安定させるように構成されている、例38−53または54の方法。
【0193】
56.上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の位置を安定させるように構成されている、例38−54または55の方法。
【0194】
57.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の懸滴の測定可能な特性を安定および保持するように構成されている、例38−55または56の方法。
【0195】
58.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の孔のうち少なくとも1つ上部に実質的に隣接している上記上面に設けられた少なくとも1つのプラトー部を更に備えている、例38−56または57の方法。
【0196】
59.上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の孔のうち少なくとも1つの孔の上部に実質的に隣接している上記上面に設けられた少なくとも1つのプラトー部を更に備え、上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面に設けた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記孔への液体の輸送および/または上記孔からの液体の輸送を向上するように構成されている、例38−57または58の方法。
【0197】
60.実質的に安定した湿度を保持するように構成されている、例38−58または59の方法。
【0198】
61.上記複数の懸滴の環境の測定可能な特性を保持するように構成されている、例38−59または60の方法。
【0199】
62.少量の液体を取り扱うように構成されている、例38−60または61の方法。
【0200】
63.上記複数の懸滴の1つ以上において複数の細胞の長期培養を可能とするように構成されている、例38−61または62の方法。
【0201】
64.以下の1つ以上を可能とするように構成されている、例38−62または63の方法:複数の細胞の長期的培養、保持、分析、および/または試験;少なくとも1つの複合組織または有機体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;生体物質および/または化学物質を含む水性野流体の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のタンパク質の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のナノ粒子の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の試験化合物の長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の薬剤の長期的培養、保持、分析、および/または試験;または、これらの組み合わせ。
【0202】
65.試料取扱ロボット装置とプレート読取器とからなる一群から選択される1つ以上のハイスループットな試料取扱装置を更に備えている、例38−63または64の方法。
【0203】
以下の追加実施例に、本開示内容の装置の特定の実施形態を説明する。なお、本開示内容はこの実施形態に限定されない。
【0204】
装置例1.上面と底面とを有するアレイプレートであって、該アレイプレートには複数の孔が形成され、上記複数の孔の各々は上面と底面とを有し、該アレイプレートの上面は、上記孔のうち1つ以上の底面に隣接しているかまたは実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を備えているアレイプレートを備えている装置。
【0205】
2.貯水プレートを更に備え、上記貯水プレートが上記アレイプレートの端部と実質的に接触し、上記貯水プレートが1つ以上の上記孔と実質的に接触していない、例1の装置。
【0206】
3.上記貯水プレートが、上記アレイプレートの端部とのみ接触している、例1または2の装置。
【0207】
4.上記アレイプレートのためのカバーを更に備え、上記カバーが上記アレイプレートの上面に配置され、上記カバーが1つ以上の上記孔と実質的に接触していない、例1、2、または3の装置。
【0208】
5.上記貯水部が加湿物質を更に備えている、例1−3または4の装置。
【0209】
6.上記貯水プレートが上記アレイプレートの実質的に下方に配置されている、例1−4または5の装置。
【0210】
7.上記貯水プレートが、上記アレイプレートの上記複数の孔に接触していない、例1−5または6の装置。
【0211】
8.上記アレイプレートが384個の孔を有している、例1−6または7の装置。
【0212】
9.上記孔の直径は約1.6mmである、例1−7または8の装置。
【0213】
10.上記孔は互いから約4.5mm離間している、例1−8または9の装置。
【0214】
11.上記アレイプレートが複数の行および列の上記孔を有している、例1−9または10の装置。
【0215】
12.上記少なくとも1つのプラトー部の端部が、少なくとも1つの環状構造を有している、例1−10または11の装置。
【0216】
13.上記アレイプレートの上記底面が、少なくとも1つの表面処理材料によってコーティングされている、例1−11または12の装置。
【0217】
14.上記アレイプレートの上記上面が、上記孔のうち1つ以上の上面と実質的に隣接している少なくとも1つの第2のプラトー部を備えている、例1−12または13の装置。
【0218】
15.米国規格協会および/または生体分子化学規格協会に準拠している、例1−13または14の装置。
【0219】
16.上記貯水プレートが、光学的に透明な底面部を更に有し、光学的イメージングおよび/または光学的分析のための、遮えられることのない視界を提供する、例1−14または15の装置。
【0220】
17.ハイスループットなスクリーニングに適合可能である、例1−15または16の装置。
【0221】
18.積み重ねることが可能である、例1−16または17の装置。
【0222】
上記明細書に記載した刊行物および特許は、参照することによりその全開示内容が本願に援用される。本開示内容に記載の装置、方法、および/またはシステムを本開示内容の範囲および精神から逸脱することなく多様に変更および変形できることは、当業者にとって明らかであろう。本願の発明を特定の好適な実施形態に関連して説明したが、特許請求を行う発明がこれら特定の実施形態に不当に限定されないことは理解されるものであろう。実際には、本願発明を行うための上述の様態の、当業者にとって明らかな多様な変更様態も、下記の特許請求に範囲に含めるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0223】
【図1】本開示内容のある実施形態に係る装置の例を示し、(a)は本発明の実施形態で使用される384−ウェル仕様の細胞スフェロイド培養用アレイプレートを示す断面図であり、(b)は上記アレイプレートの写真および上記アレイプレートの寸法を示し、(c)は96箇所の細胞培養部位を同時にピペット操作可能な液体取扱ロボットによって作動される上記アレイプレートの写真を示し、(d)は加湿室の図を示す。
【図2】(a)はある実施形態に係る、細胞集団の異なるCOS7細胞スフェロイドと、mES細胞スフェロイドと、A431.H9細胞スフェロイドとについて、7日間を超え12日間までの培養中における重量オスモル濃度を示し、ある実施形態に係る、(b)は染色した生/死COS7細胞スフェロイドと生/死mES細胞スフェロイドとについて、12日間の培養中の様子を写した蛍光画像を示し、(c)は細胞の開始数に対するA431.H9スフェロイドのサイズ(直径)を示し、(d)は、ある実施形態について、様々な開始数の細胞/スフェロイドの培養時間に対するA431.H9スフェロイドのサイズ(体積)を示す。
【図3】特定の実施形態におけるTPZを使用する薬剤処理の結果を示し、異なる濃度におけるA431.H9細胞のスフェロイドの経時画像と、全てのスフェロイドサイズと従来の2D培養条件について、薬剤処理から96時間後の対照細胞の生存率(%)を異なる濃度毎に概説する棒グラフとを示す。
【図4】特定の実施形態における5−FUを使用する薬剤処理の結果を示し、異なる濃度におけるA431.H9細胞のスフェロイドの経時画像と、全てのスフェロイドサイズと従来の2D培養条件について、薬剤処理から96時間後の対照細胞の生存率(%)を異なる濃度毎に概説する棒グラフとを示す。
【図5】特定の実施形態で使用する装置例の概略図である。
【図6】特定の実施形態で使用する装置例の概略図である。
【図7】特定の実施形態で使用する装置例の詳細図である。
【図8】特定の実施形態で使用する装置例の詳細図である。
【図9】特定の実施形態に係るプラトー部の図である。
【図10】特定の実施形態に係る装置に細胞と液体を加え、この装置から上記細胞と液体を除去する方法例の概略図である。
【図11】特定の実施形態に係る方法を使用して培養したmESスフェロイドである。
【図12】特定の実施形態に係る方法を使用して培養したmESスフェロイドである。
【図13】特定の実施形態に係る方法を使用して培養した肝細胞スフェロイドである。
【図14】特定の実施形態で使用する装置例の概略図を示すものであり、Aは全体図、Bは環状構造の拡大図である。
【図15】特定の実施形態において異なる濃度で測定した蛍光分析と吸光分析とのZファクタ(Z-factors)である。
【図16】A−Fは、特定の実施形態におけるアレイプレートの例を示すものであり、Aは上面図を示し;Bは上方からの等角図を示し;Cは側面図を示し;Dは端面図を示し;Eは、Aに示すM−M切断線に沿った断面図を示し;Fは、Cに示すL−L切断線に沿ったアレイプレートの断面図を示す。
【図17】特定に実施形態に係るプラトー構造の例を示すものであり、Aは上面図を示し;Bは上方からの等角図を示し;Cは底面図を示し;Dは底面からの等角図を示す。
【図18】特定の実施形態に係るアクセス孔構造の例の上面図、断面図、および底面図である。
【図19】特定の実施形態に係るアクセス孔の配列例の断面描写と、上面および底面からの等角3D描写である。
【図20】A−Fは、特定の実施形態に係る、図16に示すアレイプレートと共に使用されるトレイの例を示すものであり、Aは上面図を示し;Bは上面からの等角図を示し;Cは側面図を示し;Dは端面図を示し;Eは、Aに示すP−P切断線に沿う断面図を示し;Fは、Cに示すNーN切断線に沿ったトレイの断面図を示す。
【図21】A−Fは、特定の実施形態に係る、図16に示すアレイプレートと共に使用される蓋部の例を示すものであり、Aは上面図を示し;Bは上面からの等角図を示し;Cは側面図を示し;Dは端面図を示し;Eは、Aに示すR−R切断線に沿う断面図を示し;Fは、Cに示すT−T切断線に沿った蓋部の断面図を示す。
【図22】A−Fは、特定の実施形態に係る、アレイプレートと、トレイと、蓋部とを組み合わせた組立部の例を示すものであり、Aは上面図を示し;Bは等角図を示し;Cは側面図を示し;Dは端面図を示し;Eは、Aに示すV−V切断線に沿う断面図を示し;Fは、Cに示すU−U切断線に沿った上記組立部の断面図を示す。
【図23】A−Bは、特定の実施形態に係る、図22のA−Fに示す上記組立部の積み重ねの例を示すものであり、Aは側面図を示し、Bは端面図を示す。
【図24】A−Dは、特定の実施形態に係る、アクセス孔構造の変形例を示すものであり、Aは、高くて薄いプラトー構造が上面に設けられたアクセス孔構造の例を示し、Bは、短くて薄いプラトー構造が上部に設けられたアクセス孔構造の例を示し、Cは、高くて厚いプラトー構造が上部に設けられたアクセス孔構造の例を示し、Dは、高くて薄いプラトー構造が上部に設けられ、インジェクション形成用の異なる分割線が設けられたアクセス孔構造の例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)上面と、底面と、複数の孔とを有しており、上記複数の孔の各々は上部と底部とを有し、上記底面は上記複数の孔のうち少なくとも1つ以上の底部に実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を有している少なくとも1つのアレイプレートを備え、
(b)上記少なくとも1つのアレイプレートは複数の懸滴を収容するように構成され、各滴液は上記複数の孔のうち対応する1つから懸下して、上記孔の下方で広がり、上記少なくとも1つのアレイプレートが収容できる懸滴の数は、上記少なくとも1つのアレイプレートに形成されている孔の数以下であるシステム。
【請求項2】
上記少なくとも1つのアレイプレートの下方に配置された少なくとも1つの第2のプレートを更に備えている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記少なくとも1つのアレイプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えている請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
上記少なくとも1つの第2のプレートが少なくとも1つの貯水部を更に備えている請求項1〜3の何れか1項に記載のシステム。
【請求項5】
上記少なくとも1つのアレイプレートおよび上記少なくとも1つの第2のプレートの両方が、少なくとも1つの貯水部を備えている請求項1〜4の何れか1項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のシステムであって、
上記少なくとも1つのアレイプレート内に設けられた1つまたは複数の貯水部;上記少なくとも1つの第2のプレートに設けられた1つまたは複数の貯水部;上記少なくとも1つのアレイプレートに1つまたは複数の貯水部が設けられている一方、上記少なくとも1つの第2のプレートには貯水部が設けられていない構成;位置決めした上記第2のプレートに1つまたは複数の貯水部が設けられている一方、上記少なくとも1つのアレイプレートには貯水部が設けられていない構成;または、上記少なくとも1つのアレイプレートおよび上記少なくとも1つの第2のプレートの両方に設けられた1つまたは複数の貯水部;のうち1つまたは複数を備えているシステム。
【請求項7】
各液滴は上記複数の孔のうち対応する1つから懸下し、上記対応する1つの孔の下方で広がる請求項1〜6の何れか1項に記載のシステム。
【請求項8】
上記少なくとも1つの第2のプレートが、上記少なくとも1つのアレイプレートの端部の少なくとも一部に接触し、上記少なくとも1つの第2のプレートが、上記懸滴の1つまたは複数と実質的に接触してない請求項1〜7の何れか1項に記載のシステム。
【請求項9】
上記少なくとも1つのアレイプレートのための少なくとも1つの蓋部を更に備え、
上記少なくとも1つの蓋部は、上記少なくとも1つのアレイプレートの1つまたは複数の上面に設置され、上記複数の懸滴を収容するように構成された上記複数の孔の部分に接触しない請求項1〜8の何れか1項に記載のシステム。
【請求項10】
上記1つまたは複数の貯水部が1つまたは複数の物質を更に含んでいる請求項1〜9の何れか1項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載のシステムであって、
複数の細胞;少なくとも1つの複合組織または有機体;生体物質および/または化学物質を含む水性の流体;1つ以上のタンパク質;1つ以上のナノ粒子、1つ以上の試験化合物;1つ以上の薬剤;水性の液体で形成された固形物またはゲル;または、これらの組み合わせ;のうち1つ以上を、上記複数の懸滴の1つ以上が有しているシステム。
【請求項12】
上記孔の直径は約1.6mmである請求項1〜11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項13】
上記孔は互いから約4.5mm離間している請求項1〜12の何れか1項に記載のシステム。
【請求項14】
上記アレイプレートが複数の行および列の上記孔を備えている請求項1〜13の何れか1項に記載のシステム。
【請求項15】
上記少なくとも1つのプラトー部の端部が少なくとも1つの環状構造を備えている請求項1〜11の何れか1項に記載のシステム。
【請求項16】
上記少なくとも1つのアレイプレートの特性を変更するように、該少なくとも1つのアレイプレートを処理する請求項1〜15の何れか1項に記載のシステム。
【請求項17】
上記少なくとも1つのアレイプレートの物理的特性、化学的特性、および/または生物学的特性を変更するように、該少なくとも1つのアレイプレートを処理する請求項1〜16の何れか1項に記載のシステム。
【請求項18】
対応する処理面の特性を変更するように、上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの第2のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部のうち1つ以上を処理する請求項1〜17の何れか1項に記載のシステム。
【請求項19】
対応する処理面の物理的特性、化学的特性、および/または生物学的特性を変更するように、上記少なくとも1つのアレイプレート、上記少なくとも1つの第2のプレート、および/または上記少なくとも1つの蓋部を処理する請求項1〜18の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
上記少なくとも1つのアレイプレートの上面が、該少なくとも1つのアレイプレートに形成された上記孔の1つ以上の上面に隣接または実質的に隣接して設けられた少なくとも1つの第2のプラトー部を備えている請求項1〜19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項21】
米国規格協会および/または生体分子化学規格協会に準拠している請求項1〜20の何れか1項に記載のシステム。
【請求項22】
上記少なくとも1つのアッセイプレートの1つ以上と、上記少なくとも1つの第2のプレートと、上記少なくとも1つの蓋部とが光学的に透明であり、光学的イメージングおよび/または光学的分析のための、実質的に遮えられることのない視界を提供する請求項1〜21の何れか1項に記載のシステム。
【請求項23】
ハイスループットなスクリーニングに適合可能である請求項1〜22の何れか1項に記載のシステム。
【請求項24】
積み重ねることが可能である請求項1〜23の何れか1項に記載のシステム。
【請求項25】
上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面に設けられた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の幾何学形状を安定させるように構成されている請求項1〜24の何れか1項に記載のシステム。
【請求項26】
上記少なくとも1つのアレイプレートの上記底面の上に設けた上記少なくとも1つのプラトー部が、上記複数の懸滴の位置を安定させるように構成されていることを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載のシステム。
【請求項27】
上記少なくとも1つのアレイプレートが、上記複数の懸滴の測定可能な特性を安定および保持するように構成されている請求項1〜26の何れか1項に記載のシステム。
【請求項28】
上記少なくとも1つのアレイプレートが、その上面に、上記複数の孔のうち少なくとも1つの上部に実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を更に備えている請求項1〜27の何れか1項に記載のシステム。
【請求項29】
上記少なくとも1つのアレイプレートが、その上面に、上記複数の孔のうち少なくとも1つの上部に実質的に隣接している少なくとも1つのプラトー部を更に備え、
上記少なくとも1つのアレイプレートの上記上面にある上記少なくとも1つのプラトー部が、上記孔への液体の輸送および/または上記孔からの液体の輸送を向上するように構成されている請求項1〜28の何れか1項に記載のシステム。
【請求項30】
実質的に安定している湿度を保持するように構成されている請求項1〜29の何れか1項に記載のシステム。
【請求項31】
上記複数の懸滴の環境の測定可能な特性を保持するように構成されている請求項1〜30の何れか1項に記載のシステム。
【請求項32】
少量の流体を取り扱うように構成されている請求項1〜31の何れか1項に記載のシステム。
【請求項33】
上記複数の懸滴の1つ以上において、複数の細胞の長期的培養を可能とするように構成されている請求項1〜32の何れか1項に記載のシステム。
【請求項34】
請求項1〜33の何れか1項に記載のシステムであって、
複数の細胞の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;少なくとも1つの複合組織または有機体の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;生体物質および/または化学物質を含む水性の流体の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のタンパク質の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上のナノ粒子の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の試験化合物の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;1つ以上の薬剤の、長期的培養、保持、分析、および/または試験;または、これらの組み合わせ;のうち1つ以上を可能とするように構成されているシステム。
【請求項35】
上記複数の細胞がスフェロイド状に成長している請求項1〜34の何れか1項に記載のシステム。
【請求項36】
試料取扱ロボット装置とプレート読取器とからなる一群から選択される1つ以上のハイスループットな試料取扱装置を更に備えている請求項1〜35の何れか1項に記載のシステム。
【請求項37】
請求項1〜36の何れか1項に記載のシステムを1つ以上使用する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図21F】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図22F】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【公表番号】特表2013−517809(P2013−517809A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551337(P2012−551337)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2011/022966
【国際公開番号】WO2011/094572
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(506277410)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (19)
【出願人】(512198958)スリーディー バイオマトリックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】3D BIOMATRIX,INC.
【住所又は居所原語表記】1600 Huron Parkway Builiding 520,2nd Floor AnnArbor, MI 48109−2590,United States of America
【Fターム(参考)】