説明

成分抽出システム

【課題】1台の昇圧ポンプと1台の循環ポンプとを利用して複数の気密容器の成分抽出サイクルを短時間に行うことができる成分抽出システムを提供する。
【解決手段】成分抽出システム10Bは、サブ流路第1循環手段の実行時に昇圧ポンプ13を利用してメイン流路33から他方の気密容器16に流入する流体を第2昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段、メイン流路第1循環手段の実行時に循環ポンプ43を利用して流体をサブ流路34から気密容器16に第3洗浄時間の間流通させるサブ流路第2循環手段、第1減圧手段の実行時に昇圧ポンプ13を利用して流体をメイン流路33から気密容器16に第4洗浄時間の間流通させるメイン流路第2循環手段、メイン流路第2循環手段を実行してから第4洗浄時間経過後であって第1昇圧手段の実行中に気密容器16内の流体の圧力を大気圧に向かって第2減圧時間の間に減圧する第2減圧手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界または亜臨界のいずれかの流体を使用して気密容器に収容された被収容物から所定の成分を抽出する成分抽出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超臨界の二酸化炭素洗浄流体が循環するメイン流路と、二酸化炭素洗浄流体が循環するサブ流路と、それら流路につながって二酸化炭素洗浄流体が流入する1つの洗浄容器と、主流路に設置された1台の昇圧ポンプと、サブ流路に設置された1台の循環ポンプと、洗浄容器の下流側に延びるサブ流路に設置された濾過フィルタとから形成された洗浄システムがある(特許文献1参照)。昇圧ポンプは、洗浄容器に流入する二酸化炭素を所定の圧力に昇圧する。循環ポンプは、被洗浄物の洗浄中に洗浄容器内部に流通する二酸化炭素洗浄流体の圧力を一定に保持しつつ、その洗浄流体をサブ流路に循環させる。濾過フィルタは、洗浄流体に含まれる不純物を濾過する。この洗浄システムは、超臨界の二酸化炭素洗浄流体をサブ流路に循環させつつ洗浄容器内部に収容された被洗浄物の洗浄を行うから、被洗浄物の洗浄時間を短縮することができる。また、濾過フィルタをサブ流路に設置することで、洗浄流体に含まれる微細な不純物を取り除くことができ、洗浄流体を清潔に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−206485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公報に開示の洗浄システムは、1台の昇圧ポンプを利用して超臨界の二酸化炭素洗浄流体を1つの洗浄容器に流入させ、1台の循環ポンプを利用して1つの洗浄容器にその洗浄流体を流通させているが、洗浄容器が複数設置された場合、1台の昇圧ポンプで2つの洗浄容器の洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)を実施すると、1回の洗浄サイクルに要する時間が2倍になる。その一例を、1台の昇圧ポンプと1つの洗浄容器とにおいて洗浄を行う場合の洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図13と、1台の昇圧ポンプと2つの洗浄容器とにおいて洗浄を行う場合の洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図14とに基づいて説明すると、以下のとおりである。
【0005】
1台の昇圧ポンプを用いて1つの洗浄容器を洗浄運転する場合、図13に示すように、たとえば、洗浄容器に流入する洗浄流体の圧力を30分(昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧し、30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了した後、その圧力を保持した状態で洗浄流体を第1洗浄容器に1時間(洗浄時間)流通させる。次に、1時間(減圧時間)の間に洗浄流体の圧力を大気圧に戻す。1台の昇圧ポンプと1つの洗浄容器とを用いてこのような洗浄サイクルを行う場合、7時間30分で3回の洗浄サイクルを繰り返すことができる。しかし、1台の昇圧ポンプを用いて2つの洗浄容器を並行して洗浄運転する場合、図14に示すように、昇圧時間と洗浄時間とが図13のそれに比較して2倍になり、8時間で4回の洗浄サイクルしか繰り返すことができず、洗浄サイクルを所定時間内に効率よく繰り返すことができない。一方、昇圧および洗浄に要する時間を1つの洗浄容器の場合と同じにするため、それぞれの洗浄容器に対応する複数台の昇圧ポンプを設置すると、それら昇圧ポンプの設置コストや運転コストが上昇し、その結果、洗浄システムの運転コストが上昇する。
【0006】
本発明の目的は、1台の昇圧ポンプと1台の循環ポンプとを利用して複数の気密容器の成分抽出サイクル(昇圧・抽出・減圧)を短時間に行うことができ、成分抽出サイクルを所定時間内に効率よく繰り返すことができる成分抽出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、超臨界または亜臨界のいずれかの流体が流入する気密容器に流体を流入させ、その流体を利用して気密容器に収容された被収容物に含まれる成分を抽出する成分抽出システムである。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、成分抽出システムが、複数の気密容器と、それら気密容器につながって流体が循環するメイン流路と、それら気密容器につながって流体が循環するサブ流路と、それら気密容器の上流側におけるメイン流路に設置されてそれら気密容器に流入する流体を昇圧する1台の昇圧ポンプと、気密容器と昇圧ポンプとの間のメイン流路に設置されて流体に含まれる成分を流体から分離する気液分離装置と、サブ流路に設置されて流体をサブ流路に循環させる1台の循環ポンプと、それら流路に設置されて流体をメイン流路とサブ流路とのいずれか一方に循環させる切換弁と、制御装置とを含み、制御装置が、切換弁を利用して流体をメイン流路から一方の気密容器に流通させつつ、昇圧ポンプを利用し、メイン流路を循環しつつ一方の気密容器に流入する流体を第1昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧する第1昇圧手段と、第1昇圧手段を実行してから第1昇圧時間経過後に、切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をメイン流路からサブ流路に循環させ、循環ポンプを利用して流体をサブ流路から一方の気密容器に第1抽出時間の間流通させるサブ流路第1循環手段と、サブ流路第1循環手段を実行してから第1抽出時間経過後に、切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をサブ流路からメイン流路に循環させ、昇圧ポンプを利用して流体をメイン流路から一方の気密容器に第2抽出時間の間流通させるメイン流路第1循環手段と、メイン流路第1循環手段を実行してから第2抽出時間経過後に、一方の気密容器内の流体の圧力を第1減圧時間の間に大気圧に減圧する第1減圧手段と、サブ流路第1循環手段の実行時に切換弁を利用して流体をメイン流路から他方の気密容器に流通させつつ、昇圧ポンプを利用し、メイン流路を循環しつつ他方の気密容器に流入する流体を第2昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段と、第2昇圧手段を実行してから第2昇圧時間経過後であってメイン流路第1循環手段の実行時に、切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をメイン流路からサブ流路に循環させ、循環ポンプを利用して流体をサブ流路から他方の気密容器に第3抽出時間の間流通させるサブ流路第2循環手段と、サブ流路第2循環手段を実行してから第3抽出時間経過後であって第1減圧手段の実行時に、切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をサブ流路からメイン流路に循環させ、昇圧ポンプを利用して流体をメイン流路から他方の気密容器に第4抽出時間の間流通させるメイン流路第2循環手段と、メイン流路第2循環手段を実行してから第4抽出時間経過後であって第1減圧手段の実行中に、他方の気密容器内の流体の圧力を大気圧に向かって第2減圧時間の間に減圧する第2減圧手段とを有し、第1昇圧手段では、第2減圧手段の実行中に切換弁を利用して流体をメイン流路から一方の気密容器に流通させつつ、昇圧ポンプを利用し、メイン流路を循環しつつ一方の気密容器に流入する流体を第1昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧することにある。
【0009】
本発明の一例として、成分抽出システムでは、第1昇圧時間と第2昇圧時間とが同一であり、第1抽出時間と第3抽出時間とが同一であり、第2抽出時間と第4抽出時間とが同一であるとともに、第1減圧時間と第2減圧時間とが同一である。
【0010】
本発明の他の一例としては、成分抽出システムが、気密容器の下流側に設置されてメイン流路を循環する流体に含まれる成分を分析する成分分析装置を含み、成分分析装置が、被収容物から所定の成分を抽出した後の流体に含まれる成分を分析する成分分析手段と、成分分析手段によって分析した成分分析結果を制御装置に出力する分析結果出力手段とを有し、制御装置が、成分分析装置から出力された成分分析結果に基づいて、流体に含まれる成分の種類を特定する種類特定手段と、気液分離装置内の流体の圧力を成分の種類に適した圧力に調節する圧力調節手段と、気液分離装置内の流体の温度を成分の種類に適した温度に調節する温度調節手段とを含む。
【0011】
本発明の他の一例として、種類特定手段では、流体に含まれる成分の種類からその成分の沸点と飽和蒸気圧とのうちの少なくとも一方を特定し、圧力調節手段では、種類特定手段によって特定した沸点と飽和蒸気圧との少なくとも一方に基づいて成分の種類に適した圧力を決定し、温度調節手段では、種類特定手段によって特定した沸点と飽和蒸気圧との少なくとも一方に基づいて成分の種類に適した温度を決定する。
【0012】
本発明の他の一例として、成分抽出システムでは、第1昇圧手段→サブ流路第1循環手段→メイン流路第1循環手段→第1減圧手段の成分抽出サイクルと第2昇圧手段→サブ流路第2循環手段→メイン流路第2循環手段→第2減圧手段の成分抽出サイクルとを複数回繰り返す。
【0013】
本発明の他の一例としては、被収容物が洗浄対象の被洗浄物であり、被収容物に含まれる成分が不純物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる成分抽出システムによれば、メイン流路とサブ流路とを利用しつつ、1台の昇圧ポンプと1台の循環ポンプとを利用して複数の気密容器の成分抽出サイクルを行い、1台の昇圧ポンプを利用してメイン流路から一方の気密容器に流入する流体を所定の圧力に昇圧してから所定時間経過後、1台の循環ポンプによって流体をサブ流路から一方の気密容器に循環させ、それと同時に、その昇圧ポンプを利用してメイン流路から他方の気密容器に流入する流体を所定の圧力に昇圧し、さらに、他方の気密容器に流入する流体を所定の圧力に昇圧してから所定時間経過後、その循環ポンプによって流体をサブ流路から他方の気密容器に循環させ、それと同時に、昇圧ポンプによって流体をメイン流路から一方の気密容器に循環させるから、一方の気密容器に流入する流体の昇圧ポンプによる昇圧が終了した後、一方の気密容器に対する流体の循環を循環ポンプによって行い、昇圧ポンプを他方の気密容器に流入する流体の昇圧に利用することができ、さらに、他方の気密容器に流入する流体の昇圧が終了した後、他方の気密容器に対する流体の循環を循環ポンプによって行い、一方の気密容器に対する流体の循環を昇圧ポンプによって行うことができる。また、メイン流路から一方の気密容器に流通する流体の圧力を減圧しつつ、他方の気密容器に対する流体の循環を1台の昇圧ポンプによって行い、メイン流路から他方の気密容器に流通する流体の圧力を減圧しつつ、メイン流路から一方の気密容器に流入する流体の昇圧をその昇圧ポンプによって行うことができる。成分抽出システムは、時間差を利用して1台の昇圧ポンプと1台の循環ポンプとで複数の気密容器に対する成分抽出サイクル(昇圧・抽出・減圧)を短時間に行うことができ、所定時間内に成分抽出サイクルを効率よく繰り返すことができる。この成分抽出システムは、昇圧ポンプおよび循環ポンプが1台であったとしても、複数の気密容器に収容された被収容物に含まれる成分をそれら被収容物から短時間に抽出することができる。
【0015】
成分抽出システムは、メイン流路を循環する流体に含まれる成分を分析する成分分析装置を含み、気液分離装置内の流体の圧力を成分の種類に適した圧力に調節するとともに、気液分離装置内の流体の温度を成分の種類に適した温度に調節するから、特定した成分の種類に適した圧力・温度条件で気液分離装置を運転することができ、成分の蒸気圧の差を効率的に利用して流体に含まれる成分をその流体から効率よく分離することができる。
【0016】
成分抽出システムは、成分の種類からその成分の沸点と飽和蒸気圧とのうちの少なくとも一方を特定し、特定した沸点と飽和蒸気圧との少なくとも一方に基づいて成分の種類に適した圧力と温度とを決定するから、その成分に最も適した圧力・温度条件を気液分離装置に適用し、その圧力・温度条件で気液分離装置を運転することができ、成分の蒸気圧の差を効率的に利用して流体に含まれる成分を流体から効率よく分離することができる。成分抽出システムは、特定した成分に適した圧力・温度条件で気液分離装置を運転するから、気液分離装置の過度の運転を防ぐことができ、その結果、システムのエネルギー効率を向上させることができる。
【0017】
成分抽出システムは、被収容物が洗浄対象の被洗浄物であり、被収容物に含まれる成分が不純物であり、複数の気密容器に収容された被洗浄物に含まれる不純物をそれら被洗浄物から短時間に抽出することができるから、短時間に複数の被洗浄物を洗浄することができ、被洗浄物に対する洗浄効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一例として示す成分抽出システムの構成図。
【図2】洗浄手順の一例を示すフローチャート。
【図3】洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図
【図4】他の一例として示す成分抽出システムの構成図。
【図5】洗浄手順の一例を示すフローチャート。
【図6】洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図。
【図7】他の一例として示す成分抽出システムの構成図。
【図8】洗浄手順の一例を示すフローチャート。
【図9】洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図。
【図10】特定した不純物の種類、沸点、飽和蒸気圧の一例を示す図。
【図11】不純物の種別区分と沸点および飽和蒸気圧との第1関係を示す図。
【図12】沸点および飽和蒸気圧と設定圧力および設定温度との第2関係を示す図。
【図13】1台の昇圧ポンプと1つの洗浄容器とにおいて洗浄を行う場合の洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図。
【図14】1台の昇圧ポンプと2つの洗浄容器とにおいて洗浄を行う場合の洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付の図面を参照し、本発明に係る成分抽出システムの詳細をフィルタの洗浄を例として説明すると、以下のとおりである。なお、図1は、参考例として示す成分抽出システム10Aの構成図である。この成分抽出システム10Aは、気体を濾過した後の使用済のエアフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄や液体を濾過した後の使用済のリキッドフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄に好適に利用される。それらフィルタの洗浄には、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体(流体)が使用される。
【0020】
なお、このシステム10Aで洗浄される被洗浄物は、フィルタのみならず、超臨界や亜臨界の洗浄流体によって洗浄可能なすべての被洗浄物が含まれる。また、このシステム10Aは、フィルタの洗浄のみならず、たとえば、コーヒー豆からカフェイン(成分)を抽出するように、被収容物から所定の成分を抽出する場合にも利用することができる。システム10Aにおいて成分を抽出する対象物(被収容物)に特に限定はなく、超臨界や亜臨界の流体によって成分を抽出可能なすべての被収容物が含まれる。
【0021】
成分抽出システム10Aは、二酸化炭素を液化する凝縮器11、液化された二酸化炭素を収容する真空断熱の貯留タンク12、タンク12から供給された二酸化炭素を所定圧力に加圧可能な1台の昇圧ポンプ13、二酸化炭素を所定温度に加熱可能な加熱器14、フィルタを収容かつ洗浄する2つの第1および第2洗浄容器15,16(複数の気密容器)、洗浄流体を冷却可能な冷却器17、洗浄流体に含まれる不純物(汚れ成分)を洗浄流体から分離可能な気液分離装置18、各機器をコントロールするコントローラ19(制御装置)を備えている。
【0022】
凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、洗浄容器15,16、冷却器17、気液分離装置18は、管路20(流路)を介して互いに連結されている。それら機器の連結順序は、図1に示すように、凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→冷却器17→気液分離装置18であり、凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→冷却器17→気液分離装置18である。
【0023】
第1洗浄容器15と冷却器17とを連結する管路20には、第1圧力制御弁21が設置されている。第2洗浄容器16と冷却器17とを連結する管路20には、第2圧力制御弁22が設置されている。第1および第2圧力制御弁21,22は、その弁機構の開度を変更することで、第1および第2洗浄容器15,16内部の洗浄流体の圧力を調節可能である。凝縮器11と貯留タンク12とを連結する管路20には、第3圧力制御弁46が設置されている。第3圧力制御弁46は、その弁機構の開度を変更することで、気液分離装置18内部の洗浄流体の圧力、温度を調節可能である。なお、このシステム10Aでは、第3圧力制御弁46の弁機構の開度が常時一定に保持されている。
【0024】
加熱器14と第1洗浄容器15とを連結する管路20には、切換弁23が設置され、加熱器14と第2洗浄容器16とを連結する管路20には、切換弁24が設置されている。第1洗浄容器15と第1圧力制御弁21とを連結する管路20には、切換弁25が設置され、第2洗浄容器16と第2圧力制御弁22とを連結する管路20には、切換弁26が設置されている。それら切換弁23〜26の弁機構を開閉することで、洗浄流体の循環経路を変えることができる。
【0025】
第1および第2洗浄容器15,16には、図示はしていないが、それら容器の内部温度を測定する温度センサが取り付けられ、それら容器の内部圧力を測定する圧力センサが取り付けられている。それら洗浄容器15,16の内部には、気密構造洗浄室(図示せず)が作られている。管路20には、図示はしていないが、流量センサが設置されている。
【0026】
気液分離装置18は、不純物の蒸気圧の差を利用して洗浄流体に含まれる不純物を洗浄流体から分離する。気液分離装置18には、それを加熱するヒータが内蔵され、図示はしていないが、その内部温度を測定する温度センサが取り付けられているとともに、その内部圧力を測定する圧力センサが取り付けられている。気液分離装置18には、回収器27が取り付けられている。回収器27には、気液分離装置18によって分離された不純物(液体)が回収される。
【0027】
被洗浄物であるエアフィルタには、セパレータ型エアフィルタやミニプリーツ型エアフィルタ等がある。エアフィルタは、主に空調用フィルタや空気清浄用フィルタ、排気処理用フィルタ、車両用エアフィルタとして使用される。被洗浄物であるリキッドフィルタは、浄水装置用フィルタや浸透圧を利用する膜装置用フィルタとして使用される。
【0028】
エアフィルタやリキッドフィルタには、粗大な不純物を除去するプレフィルタ、微細な不純物を除去する中性能フィルタまたは高性能フィルタ、極めて微細の不純物を除去するHEPA(ヘパ)フィルタやULPA(ウルパ)フィルタ、化学物質を除去するケミカルフィルタ、それら各フィルタを組み合わせた複合フィルタ等が使用される。
【0029】
エアフィルタやリキッドフィルタは、ガラス繊維や吸着剤、合成樹脂繊維を濾材とし、フィルタカートリッジに収納して使用される。それらフィルタは、蛇腹に折り畳まれた四角柱状の立体構造を有する。なお、このシステムで洗浄されるフィルタには、立体構造を有するそれの他に、略扁平のものも含まれ、さらに、円柱状や多角柱状のものも含まれる。吸着剤には、活性炭やゼオライト、セラミック多孔体等が使用される。
【0030】
合成樹脂繊維を形成する合成樹脂には、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ナイロン6、ポリフェニレンサルファイド等が使用される。濾材としては、それら繊維のみを重ね合わせたもの、それら繊維間に粒状活性炭や粒状ゼオライト、粒状セラミック多孔体等の吸着剤を担持させ、それら繊維を重ね合わせたもの、重なり合う繊維集合物の間に粒状活性炭や粒状ゼオライト、粒状セラミック多孔体等の吸着剤を介在させたものも含まれる。
【0031】
超臨界や亜臨界のいずれかの洗浄流体は、気体と液体との性質を有し、エアフィルタやリキッドフィルタを形成する濾材の微細な間隙に容易に進入し、濾材表面に付着した不純物を溶かし込むとともに、濾材内部に浸透して濾材内部に滲入した不純物を溶かし込む。洗浄流体は、それを利用することで、濾材表面に付着した不純物を落とすことができるのみならず、濾材内部に滲入した不純物を落とすことができる。また、洗浄流体は、被収容物の内部に容易に進入し、被収容物の内部に浸透して被収容物に含まれる成分を溶かし込む。洗浄流体は、それを利用することで、被収容物に含まれる成分を抽出することができる。
【0032】
貯留タンク12から供給された二酸化炭素は、昇圧ポンプ13によって5.0〜30.0MPaの圧力に加圧された後、加熱器14によって30〜120℃の温度に加熱され、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体になる。洗浄流体は、昇圧ポンプ13によって強制的に第1および第2洗浄容器15,16に供給され、洗浄容器15,16の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。洗浄容器15,16から流出した洗浄流体は、管路20を通って気液分離装置18に流入し、気液分離装置18によってそれに含まれる不純物が分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。
【0033】
システム10Aにおけるフィルタ洗浄運転中では、洗浄流体が管路20を通り、第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14の順で循環するとともに、第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14の順で循環する。
【0034】
洗浄時間が終了すると、洗浄容器15,16から流出した洗浄流体が第1および第2圧力制御弁21,22によって減圧されて非超臨界または非亜臨界の洗浄流体(二酸化炭素)に戻る。なお、必要であれば、制御弁21,22による減圧に加えて洗浄容器15,16から流出した洗浄流体を冷却器17によって冷却する場合もある。洗浄流体は、凝縮器11に流入し、凝縮器11によって液体に戻り、貯留タンク12に流入した後、再びタンク12から管路20に供給され、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体になって第1および第2洗浄容器15,16に供給される。
【0035】
コントローラ19は、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを備えたコンピュータであり、大容量ハードディスクが内蔵されている。コントローラ19には、インターフェイス28(有線または無線)を介して凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、それら洗浄容器15,16の温度センサや圧力センサ、流量センサ、冷却器17、気液分離装置18、気液分離装置18の温度センサや圧力センサ、圧力制御弁21,22、切換弁23〜26が接続されている。コントローラ19は、フィルタの洗浄において、洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)(成分抽出サイクル(昇圧・抽出・減圧))を繰り返し実行する。
【0036】
コントローラ19は、凝縮器11の温度、タンク12からの二酸化炭素供給量や昇圧ポンプ13の出力、加熱器14の出力、冷却器17の出力、圧力制御弁21,22の開度を監視する。コントローラ19は、温度センサや圧力センサ、流量センサから出力される計測結果に基づいて、二酸化炭素供給量、それら機器の温度や出力、制御弁21,22の開度をコントロールする。なお、コントローラ19には、図示はしていないが、ON/OFFスイッチやキーユニット等の入力装置、プリンタやディスプレイ等の出力装置がインターフェイスを介して接続されている。
【0037】
フィルタの洗浄運転中、コントローラ19は、それに接続された凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、洗浄容器15,16、冷却器17、圧力制御弁21,22を最適な運転状態(フィルタを最も効率よく洗浄し得る状態)に保持する。具体的にコントローラ19は、洗浄容器15,16に収容されたフィルタを最適な状態で洗浄し得るように、それら機器をあらかじめ設定された運転条件(設定供給量や設定出力、設定開度)に合致させる。
【0038】
コントローラ19は、各センサから入力される計測結果に基づいて各運転条件に誤差が生じたと判断すると、それら機器を調節して運転条件を設定時のそれに戻すフィードバック制御を実行する。コントローラ19は、洗浄流体の洗浄容器15,16への流入量や洗浄容器15,16からの流出量を昇圧ポンプ13によって調節し、洗浄容器15,16内に流入する洗浄流体の圧力を圧力制御弁21,22によって調節するとともに、洗浄容器15,15内に流入する洗浄流体の温度を加熱器14によって調節する。
【0039】
コントローラ19の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。コントローラ19の中央処理部は、切換弁23〜26を利用して管路20を循環する洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由しつつ第1洗浄容器15に流通させ、昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧する第1昇圧手段を実行する。中央処理部は、第1昇圧手段を実行してから所定時間経過後に、切換弁23〜26を利用して第1洗浄容器15に対する昇圧ポンプ13の負荷を解除しつつ、昇圧後の洗浄流体を利用して第1洗浄容器15に収容されたフィルタから不純物を抽出する第1抽出手段を実行する。中央処理部は、第1抽出手段を実行してから所定時間経過後に第1洗浄容器15内の洗浄流体を大気圧に減圧する第1減圧手段を実行する。
【0040】
コントローラ19の中央処理部は、第1抽出手段の実行時に切換弁23〜26を利用して管路20を循環する洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由しつつ第2洗浄容器16に流通させ、昇圧ポンプ13を利用して第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段を実行する。中央処理部は、第2昇圧手段を実行してから所定時間経過後に、切換弁23〜26を利用して第2洗浄容器16に対する昇圧ポンプ13の負荷を解除しつつ、昇圧後の洗浄流体を利用して第2洗浄容器16に収容されたフィルタから不純物を抽出する第2抽出手段を実行する。中央処理部は、第2抽出手段を実行してから所定時間経過後であって第1減圧手段の実行中に、第2洗浄容器16内の洗浄流体を大気圧に向かって減圧する第2減圧手段を実行する。
【0041】
図2は、このシステム10Aにおける洗浄手順の一例を示すフローチャートであり、図3は、このシステム10Aにおける洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図である。図2,3を参照しつつ、このシステム10Aにおけるフィルタ洗浄運転の一例を説明すると以下のとおりである。なお、洗浄容器15,16の気密構造洗浄室には、被洗浄物である使用済のフィルタが収容されている。洗浄サイクル(成分抽出サイクル)の設定回数は6回に設定されているものとする。洗浄サイクルの繰り返し回数は、入力装置を介してコントローラ19に入力される。繰り返し回数に特に限定はなく、繰り返し回数を任意に設定または変更することができる。なお、繰り返し回数は奇数回であってもよい。
【0042】
システム10Aを起動させると、各機器が稼動する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第1圧力制御弁21の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量を管路20に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、圧力制御弁21の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0043】
コントローラ19は、切換弁23,25の弁機構を開け、切換弁24,26の弁機構を閉め、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第1洗浄容器15(一方の気密容器)に流通させつつ、図3に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPa(所定の圧力)に昇圧する(第1昇圧手段)(S−1)。第1昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順で管路20を循環する。第1昇圧時間に特に限定はなく、第1昇圧時間を任意に設定または変更することができる。なお、昇圧ポンプ13の稼働と同時に切換弁23,25の弁機構が開状態になる。
【0044】
第1昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第1昇圧手段を実行してから所定時間(第1昇圧時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁23の弁機構を閉め、超臨界または亜臨界の洗浄流体を第1洗浄容器15の内部に30分の間封入する。コントローラ19は、洗浄流体の昇圧が終了した後(第1昇圧手段を実行してから所定時間(第1昇圧時間)経過後)、第1圧力制御弁21の弁機構の開度を拡大し、第1洗浄容器15内部の洗浄流体の圧力を30分の間に20MPaから15MPa(所定の圧力)に次第に減圧する。圧力の減圧時間に特に限定はなく、減圧時間を任意に設定または変更することができる。
【0045】
コントローラ19は、洗浄流体の圧力を減圧した後、切換弁23の弁機構を開け、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第1洗浄容器15に流通させつつ、第1圧力制御弁21の弁機構の開度を縮小し、洗浄容器15内部の洗浄流体の圧力を30分の間に15MPaから20MPa(所定の圧力)に次第に上昇させる。圧力の昇圧時間に特に限定はなく、昇圧時間を任意に設定または変更することができる。減圧時間と昇圧時間との和が第1洗浄時間となるが、第1洗浄時間に特に限定はなく、第1洗浄時間を任意に設定または変更することができる。コントローラ19は、第1洗浄時間の間に洗浄流体を利用して第1洗浄容器15の内部に収容されたフィルタに含まれる不純物を抽出する(第1抽出手段)(S−2)。
【0046】
第1抽出手段では、5MPaの範囲で洗浄流体の圧力を減圧および昇圧(圧力変動)させているが、圧力の変動範囲に特に限定はなく、フィルタに含まれる不純物の種類によって圧力の変動範囲を任意に設定または変更することができる。第1抽出手段において洗浄流体は、第1洗浄容器15の気密構造洗浄室に収容されたフィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離する。気液分離装置18では、洗浄流体に含まれる不純物が洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。なお、第1洗浄時間(減圧時間および昇圧時間)において洗浄容器15内部の洗浄流体の圧力を減圧および昇圧させているが、減圧および昇圧させることなく、第1洗浄時間において洗浄流体の圧力を一定圧に保持することもできる。
【0047】
コントローラ19は、第1抽出手段と同時に(第1昇圧時間経過後であって、第1抽出手段の実行時)、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第2圧力制御弁22の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量を管路20に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、制御弁22の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0048】
コントローラ19は、第1抽出手段(第1洗浄時間のうちの第3減圧時間と並行して)と同時に、切換弁24,26の弁機構を開け、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第2洗浄容器16(他方の気密容器)に流通させつつ、図3に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の圧力を30分(第2昇圧時間)の間に0MPaから20MPa(所定の圧力)に昇圧する(第2昇圧手段)(S−3)。このとき切換弁23の弁機構は、閉状態にある。第2昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順で管路20を循環する。第2昇圧時間に特に限定はないが、第2昇圧時間が第1洗浄容器15における第1昇圧時間と一致している必要がある。なお、昇圧ポンプ13の稼働と同時に切換弁24,26の弁機構が開状態になる。
【0049】
第1抽出手段を実行してから1時間経過後(第1洗浄時間経過後)、コントローラ19は、切換弁23の弁機構を閉め、第1圧力制御弁21の弁機構の弁開度を拡大し、第1洗浄容器15内の洗浄流体の圧力を1時間(第1減圧時間)の間に大気圧に減圧する(第1減圧手段)(S−4)。なお、第1減圧手段において必要であれば、制御弁21による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。
【0050】
第1減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。洗浄流体は、凝縮器11によって液体に戻り、貯留タンク12に流入する。第1洗浄容器15内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器15内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器15から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器15に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第1減圧時間に特に限定はなく、第1減圧時間を任意に設定または変更することができる。
【0051】
第2昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第2昇圧手段を実行してから所定時間(第2昇圧時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁24の弁機構を閉め、超臨界または亜臨界の洗浄流体を第2洗浄容器16の内部に30分の間封入する。コントローラ19は、洗浄流体の昇圧が終了した後(第2昇圧手段を実行してから所定時間(第2昇圧時間)経過後)、第2圧力制御弁22の弁機構の開度を拡大し、第2洗浄容器16内部の洗浄流体の圧力を30分の間に20MPaから15MPa(所定の圧力)に次第に減圧する。圧力の減圧時間に特に限定はないが、減圧時間が第1洗浄容器15における減圧時間と一致している必要がある。
【0052】
コントローラ19は、洗浄流体の圧力を減圧した後、切換弁24の弁機構を開け、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第2洗浄容器16に流通させつつ、第2圧力制御弁22の弁機構の開度を縮小し、洗浄容器16内部の洗浄流体の圧力を30分の間に15MPaから20MPa(所定の圧力)に次第に上昇させる。圧力の昇圧時間に特に限定はないが、昇圧時間が第1洗浄容器15における昇圧時間と一致している必要がある。減圧時間と昇圧時間との和が第2洗浄時間となる。第2洗浄時間に特に限定はないが、第2洗浄時間が第1洗浄容器15における第1洗浄時間と一致している必要がある。コントローラ19は、第2洗浄時間において洗浄流体を利用して第2洗浄容器16の内部に収容されたフィルタに含まれる不純物を抽出する(第2抽出手段)(S−5)。
【0053】
第2抽出手段では、5MPaの範囲で洗浄流体の圧力を減圧および昇圧(圧力変動)させているが、圧力の変動範囲に特に限定はなく、フィルタに含まれる不純物の種類によって圧力の変動範囲を任意に設定または変更することができる。第2抽出手段において洗浄流体は、第2洗浄容器16の気密構造洗浄室に収容されたフィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離する。気液分離装置18では、洗浄流体に含まれる不純物が洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。なお、第2洗浄時間において洗浄容器16内部の洗浄流体の圧力を減圧および昇圧させているが、減圧および昇圧させることなく、第2洗浄時間において洗浄流体の圧力を一定圧に保持することもできる。
【0054】
第2抽出手段を実行してから1時間経過後(第2洗浄時間経過後)、コントローラ19は、切換弁24の弁機構を閉め、第2圧力制御弁22の弁機構の弁開度を拡大し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を1時間(第2減圧時間)の間に大気圧に減圧する(第2減圧手段)(S−6)。なお、第2減圧手段において必要であれば、制御弁22による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。第2減圧手段では、第1減圧手段の実行中に第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力の減圧を開始し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧に向かって減圧する。
【0055】
第2減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。洗浄流体は、凝縮器11によって液体に戻り、貯留タンク12に流入する。第2洗浄容器16内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器16内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器16から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器16に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第2減圧時間に特に限定はないが、第1減圧時間と一致する必要がある。
【0056】
第1減圧手段と第2減圧手段とが終了すると、コントローラ19は、設定回数の洗浄サイクルが行われたかを判断する(S−7)。設定回数(6回)の洗浄サイクルが行われたと判断すると、コントローラ19は、システム10Aを停止する。設定回数の洗浄サイクルが行われていないと判断すると、コントローラ19は、第1減圧手段が終了した後であって第2減圧手段の実行中に、切換弁23の弁機構を開け、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第1洗浄容器15に流通させ、図3に示すように、第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第1昇圧手段)(S−1)。その後コントローラ19は、ステップ2(S−2)からの各手段を繰り返す。
【0057】
コントローラ19は、第1昇圧手段→第1流通手段→第1減圧手段の洗浄サイクルと第2昇圧手段→第2流通手段→第2減圧手段の洗浄サイクルとの合計を6回繰り返した後、フィルタの洗浄を終了する。6回の洗浄サイクルを繰り返す時間は、図2に示すように8時間である。なお、このシステム10Aを利用せずに1台の昇圧ポンプと2つの洗浄容器とにおいて洗浄を行うと、図14に示すように、8時間で4回の洗浄サイクルを繰り返すことができるに過ぎないが、このシステム10Aを利用することによって8時間で6回の洗浄サイクルを繰り返すことができる。
【0058】
成分抽出システム10Aは、1台の昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧してから所定時間経過後、第1洗浄容器15に対する昇圧ポンプ13の負荷を解除し、それと同時に、その昇圧ポンプ13を利用して第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧し、さらに、第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を大気圧に減圧しつつ、昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧するから、第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の昇圧ポンプ13による昇圧が終了した後、その昇圧ポンプ13を第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の昇圧に利用することができ、さらに、第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を減圧しつつ、その昇圧ポンプ13を第1洗浄容器15に流入する流体の昇圧に利用することができる。
【0059】
成分抽出システム10Aは、1台の昇圧ポンプ13で複数の洗浄容器15,16の洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)を実施したときの1回のサイクルに要する時間が2倍になることはなく、時間差を利用して1台の昇圧ポンプ13で複数の洗浄容器15,16に対する洗浄サイクルを短時間に行うことができ、所定時間内に洗浄サイクルを効率よく繰り返すことができる。成分抽出システム10Aは、昇圧ポンプ13が1台であったとしても、複数の洗浄容器15,16に収容されたフィルタに含まれる不純物をそれらフィルタから短時間に抽出することができる。
【0060】
成分抽出システム10Aは、第1抽出手段において第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の減圧と昇圧とを行うとともに、第2抽出手段において第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の減圧と昇圧とを行うから、不純物の種類によってそれら不純物を抽出するときの洗浄流体の圧力が異なるとしても、不純物の抽出時に洗浄流体の圧力を変化させることで、洗浄流体の圧力を各種不純物の抽出圧力に対応させることができ、フィルタに各種の不純物が含まれていたとしても、それら不純物をフィルタから確実に抽出することができる。
【0061】
図4は、本発明に係る成分抽出システム10Bの一例を示す構成図である。図4では、サブ管路34を一点鎖線で示す。この成分抽出システム10Bは、気体を濾過した後の使用済のエアフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄や液体を濾過した後の使用済のリキッドフィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄に好適に利用される。それらフィルタの洗浄には、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体(流体)が使用される。
【0062】
なお、このシステム10Bで洗浄される被洗浄物は、フィルタのみならず、超臨界や亜臨界の洗浄流体によって洗浄可能なすべての被洗浄物が含まれる。また、このシステム10Bは、フィルタの洗浄のみならず、たとえば、コーヒー豆からカフェイン(成分)を抽出するように、被収容物から所定の成分を抽出する場合にも利用することができる。システム10Bにおいて成分を抽出する対象物(被収容物)に特に限定はなく、超臨界や亜臨界の流体によって成分を抽出可能なすべての被収容物が含まれる。
【0063】
成分抽出システム10Bは、洗浄流体が循環するメイン管路33(メイン流路)と、洗浄流体が循環するサブ管路34(サブ流路)とを有する。システム10Bは、二酸化炭素を液化する凝縮器11、液化された二酸化炭素を収容する真空断熱の貯留タンク12、タンク12から供給された二酸化炭素を所定圧力に加圧可能な1台の昇圧ポンプ13、二酸化炭素を所定温度に加熱可能な加熱器14、フィルタを収容かつ洗浄する2つの第1および第2洗浄容器15,16(複数の気密容器)、洗浄流体を冷却可能な冷却器17、洗浄流体に含まれる不純物(汚れ成分)を洗浄流体から分離可能な気液分離装置18、洗浄流体をサブ管路34に循環させる循環ポンプ43、各機器をコントロールするコントローラ19(制御装置)を備えている。
【0064】
凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、洗浄容器15,16、冷却器17、気液分離装置18は、メイン管路33を介して互いに連結されている。メイン管路33におけるそれら機器の連結順序は、図4に示すように、凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→冷却器17→気液分離装置18であり、凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→冷却器17→気液分離装置18である。
【0065】
第1洗浄容器15と冷却器17とを連結する管路33には、第1圧力制御弁21が設置されている。第2洗浄容器16と冷却器17とを連結する管路33には、第2圧力制御弁22が設置されている。第1および第2圧力制御弁21,22は、その弁機構の開度を変更することで、第1および第2洗浄容器15,16内部の洗浄流体の圧力を調節可能である。凝縮器11と貯留タンク12とを連結する管路33には、第3圧力制御弁46が設置されている。第3圧力制御弁46は、その弁機構の開度を変更することで、気液分離装置18内部の洗浄流体の圧力、温度を調節可能である。なお、このシステム10Bでは、第3圧力制御弁46の弁機構の開度が常時一定に保持されている。
【0066】
加熱器14と第1洗浄容器15とを連結するメイン管路33には、切換弁35が設置され、加熱器14と第2洗浄容器16とを連結するメイン管路33には、切換弁36が設置されている。第1洗浄容器15と第1圧力制御弁23とを連結するメイン管路33には、切換弁37が設置され、第2洗浄容器16と第2圧力制御弁24とを連結するメイン管路33には、切換弁38が設置されている。サブ管路34には、切換弁39〜42が設置されている。それら切換弁35〜42を開閉することで、洗浄流体の循環経路をメイン管路33からサブ管路34に変えることができるとともに、洗浄流体の循環経路をサブ管路34からメイン管路33に変えることができる。循環ポンプ43は、サブ管路34に設置されている。
【0067】
第1および第2洗浄容器15,16には、図示はしていないが、温度センサや圧力センサが取り付けられている。それら洗浄容器15,16の内部には、気密構造洗浄室(図示せず)が作られている。メイン管路33には、図示はしていないが、流量センサが設置されている。
【0068】
気液分離装置18は、不純物の蒸気圧の差を利用して洗浄流体に含まれる不純物を洗浄流体から分離する。気液分離装置18には、それを加熱するヒータが内蔵され、図示はしていないが、その内部温度を測定する温度センサが取り付けられているとともに、その内部圧力を測定する圧力センサが取り付けられている。気液分離装置18には、回収器27が取り付けられている。回収器27には、気液分離装置18によって分離された不純物(液体)が回収される。
【0069】
貯留タンク12から供給された二酸化炭素は、昇圧ポンプ13によって5.0〜30.0MPaの圧力に加圧された後、加熱器14によって30〜120℃の温度に加熱され、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体になる。洗浄流体は、昇圧ポンプ13または循環ポンプ43によって強制的に第1および第2洗浄容器15,16に供給され、洗浄容器15,16の気密構造洗浄室に流入し、洗浄室に収容されたフィルタを洗浄する。洗浄容器15,16から流出した洗浄流体は、メイン管路33を通って気液分離装置18に流入し、気液分離装置18によってそれに含まれる不純物が分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。
【0070】
システム10Bにおけるフィルタ洗浄運転中では、洗浄流体がメイン管路33を通り、第1洗浄容器15→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15の順で循環するとともに、第2洗浄容器16→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16の順で循環する。また、洗浄流体がサブ管路34を通り、第1洗浄容器15→循環ポンプ43→第1洗浄容器15の順で循環するとともに、第2洗浄容器16→循環ポンプ43→第2洗浄容器16の順で循環する。
【0071】
洗浄時間が終了すると、洗浄容器15,16から流出した洗浄流体が第1および第2圧力制御弁21,22によって減圧されて非超臨界または非亜臨界の洗浄流体(二酸化炭素)に戻る。なお、必要であれば、制御弁21,22による減圧に加えて洗浄容器15,16から流出した洗浄流体を冷却器17によって冷却する場合もある。洗浄流体は、凝縮器11に流入し、凝縮器11によって液体に戻り、貯留タンク12に流入した後、再びタンク12からメイン管路33に供給され、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体になって第1および第2洗浄容器15,16に供給される。
【0072】
コントローラ19は、図1のシステム10Aのそれと同様に、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを備えたコンピュータであり、大容量ハードディスクが内蔵されている。コントローラ19には、インターフェイス28(有線または無線)を介して凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、それら洗浄容器15,16の温度センサや圧力センサ、流量センサ、冷却器17、気液分離装置18、気液分離装置18の温度センサや圧力センサ、圧力制御弁21,22、切換弁35〜42、循環ポンプ43が接続されている。コントローラ19は、フィルタの洗浄において、洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)(成分抽出サイクル(昇圧・抽出・減圧))を繰り返し実行する。
【0073】
コントローラ19は、凝縮器11の温度、タンク12からの二酸化炭素供給量や昇圧ポンプ13の出力、加熱器14の出力、冷却器17の出力、圧力制御弁21,22の開度、循環ポンプ43の出力を監視する。コントローラ19は、温度センサや圧力センサ、流量センサから出力される計測結果に基づいて、二酸化炭素供給量、それら機器の温度や出力、制御弁21,22の開度をコントロールする。フィルタの洗浄中、コントローラ19は、それに接続された凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、洗浄容器15,16、冷却器17、圧力制御弁21,22、循環ポンプ43を最適な運転状態(フィルタを最も効率よく洗浄し得る状態)に保持する。
【0074】
コントローラ19は、各センサから入力される計測結果に基づいて各運転条件に誤差が生じたと判断すると、それら機器を調節して運転条件を設定時のそれに戻すフィードバック制御を実行する。コントローラ19は、洗浄流体の洗浄容器15,16への流入量や洗浄容器15,16からの流出量を昇圧ポンプ13または循環ポンプ43によって調節し、洗浄容器15,16内に流入する洗浄流体の圧力を圧力制御弁21,22によって調節するとともに、洗浄容器15,16内に流入する洗浄流体の温度を加熱器14によって調節する。
【0075】
コントローラ19の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。コントローラ19の中央処理部は、切換弁35〜42を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第1洗浄容器15に流通させ、昇圧ポンプ13を利用してメイン流路33を循環する洗浄流体(第1洗浄容器15に流入する洗浄流体)を所定の圧力に昇圧する第1昇圧手段を実行し、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をメイン流路33からサブ流路34に循環させ、循環ポンプ43を利用して洗浄流体をサブ流路34を通じて第1洗浄容器15に流通させるサブ流路第1循環手段を実行する。
【0076】
コントローラ19の中央処理部は、サブ流路第1循環手段を実行してから所定時間経過後に、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第1洗浄容器15に流通させるメイン流路第1循環手段を実行し、メイン流路第1循環手段を実行してから所定時間経過後に、第1洗浄容器15内の洗浄流体の圧力を大気圧に減圧する第1減圧手段を実行する。
【0077】
コントローラ19の中央処理部は、サブ流路第1循環手段の実行時に(サブ流路第1循環手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第2洗浄容器16に流通させ、昇圧ポンプ13を利用してメイン流路33を循環する洗浄流体(第2洗浄容器16に流入する洗浄流体)を所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段を実行し、メイン流路第1循環手段の実行時に(メイン流路第1循環手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をメイン流路33からサブ流路34に循環させ、循環ポンプ43を利用して洗浄流体をサブ流路34を通じて第2洗浄容器16に流通させるサブ流路第2循環手段を実行する。
【0078】
コントローラ19の中央処理部は、第1減圧手段の実行時に(第1減圧手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第2洗浄容器16に流通させるメイン流路第2循環手段を実行し、第2メイン循環手段を実行してから所定時間経過後であって第1減圧手段および第1昇圧手段の実行中に、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧に減圧する第2減圧手段を実行する。
【0079】
図5は、このシステム10Bにおける洗浄手順の一例を示すフローチャートであり、図6は、このシステム10Bにおける洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図である。図5,6を参照しつつ、このシステム10Bにおけるフィルタ洗浄運転の一例を説明すると以下のとおりである。洗浄容器15,16の気密構造洗浄室には、被洗浄物である使用済のフィルタが収容されている。洗浄サイクル(成分抽出サイクル)の設定回数は6回に設定されているものとする。洗浄サイクルの繰り返し回数は、入力装置を介してコントローラ19に入力される。繰り返し回数に特に限定はなく、繰り返し回数を任意に設定または変更することができる。なお、繰り返し回数は奇数回であってもよい。
【0080】
システム10Bを起動させると、各機器が稼動する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第1圧力制御弁21の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量をメイン管路33に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、圧力制御弁21の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0081】
コントローラ19は、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁36,38,39,40,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体(流体)を昇圧ポンプ13を経由させてメイン管路33(メイン流路)から第1洗浄容器15(一方の気密容器)に流通させつつ、図6に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第1昇圧手段)(S−10)。第1昇圧時間に特に限定はなく、第1昇圧時間を任意に設定または変更することができる。第1昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。なお、昇圧ポンプ13の稼働と同時に切換弁35,37の弁機構が開状態になる。
【0082】
第1昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第1昇圧手段を実行してから所定時間(第1昇圧時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁39,40の弁機構を開け、切換弁35,37,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体をメイン管路33からサブ管路34(サブ流路)に流入させ、洗浄流体を循環ポンプ43を利用してサブ管路34から第1洗浄容器15に30分(第1洗浄時間)(第1抽出時間)の間流通させる(サブ流路第1循環手段)(S−11)。第1洗浄時間に特に限定はなく、第1洗浄時間を任意に設定または変更することができる。
【0083】
サブ流路第1循環手段において洗浄流体は、洗浄容器15の気密構造洗浄室に流入し、第1洗浄容器15→循環ポンプ43→第1洗浄容器15の順でサブ管路34を循環する。サブ管路34を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離する。
【0084】
コントローラ19は、サブ流路第1循環手段と同時に(第1昇圧時間経過後であって、サブ流路第1循環手段の実行時)、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第2圧力制御弁22の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量をメイン管路33に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、圧力制御弁22の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0085】
コントローラ19は、サブ流路第1循環手段と同時(サブ流路第1循環手段の実行時)に、切換弁36,38の弁機構を開け、切換弁35,37,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させてメイン管路33から第2洗浄容器16(他方の気密容器)に流通させつつ、図6に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の圧力を30分(第2昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第2昇圧手段)(S−12)。このとき切換弁39,40の弁機構は、開放状態にある。第2昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。第2昇圧時間に特に限定はないが、第2昇圧時間が第1昇圧時間と一致している必要がある(第1昇圧時間と第2昇圧時間とが同一)。
【0086】
サブ流路第1循環手段を実行してから30分が経過すると(サブ流路第1循環手段を実行してから所定時間(第1洗浄時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁39,40の弁機構を閉め、昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33から第1洗浄容器15に30分(第2洗浄時間)(第2抽出時間)の間流通させる(メイン流路第1循環手段)(S−13)。第2洗浄時間に特に限定はなく、第2洗浄時間を任意に設定または変更することができる。
【0087】
メイン流路第1循環手段において洗浄流体は、第1洗浄容器15の気密構造洗浄室に流入し、昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。メイン管路33を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離した後、第1洗浄容器15から流出する。気液分離装置18では、洗浄流体に含まれる不純物が洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。不純物が除去された洗浄流体は、気液分離装置18からメイン管路33を通って第1洗浄容器15に流入する。
【0088】
第2昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第2昇圧手段を実行してから所定時間(第2昇圧時間)経過後であってメイン流路第1循環手段の実行時)、コントローラ19は、切換弁41,42の弁機構を開け、切換弁36,38の弁機構を閉め、洗浄流体をメイン管路33からサブ管路34に流入させ、洗浄流体を循環ポンプ43を利用してサブ管路34から第2洗浄容器16に30分(第3洗浄時間)(第3抽出時間)の間流通させる(サブ流路第2循環手段)(S−14)。第3洗浄時間に特に限定はないが、第3洗浄時間が第1洗浄時間と一致している必要がある(第1洗浄時間と第3洗浄時間とが同一)。
【0089】
サブ流路第2循環手段において洗浄流体は、第2洗浄容器16の気密構造洗浄室に流入し、第2洗浄容器16→循環ポンプ43→第2洗浄容器16の順でサブ管路34を循環する。サブ管路34を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離する。
【0090】
メイン流路第1循環手段を実行してから30分が経過すると、(メイン流路第1循環手段を実行してから所定時間(第2洗浄時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁35の弁機構を閉め、第1圧力制御弁24の弁機構の弁開度を拡大し、第1洗浄容器15内の洗浄流体の圧力を1時間(第1減圧時間)の間に大気圧に減圧する(第1減圧手段)(S−15)。なお、第1減圧手段において必要であれば、制御弁21による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。
【0091】
第1減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。第1洗浄容器15内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器16内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器15から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器15に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第1減圧時間に特に限定はなく、第1減圧時間を任意に設定または変更することができる。
【0092】
サブ流路第2循環手段を実行してから30分が経過すると(サブ流路第2循環手段を実行してから所定時間(第3洗浄時間)経過後であって第1減圧手段の実行時)、コントローラ19は、切換弁36,38の弁機構を開け、切換弁41,42の弁機構を閉め、昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33から第2洗浄容器16に30分(第4洗浄時間)(第4抽出時間)の間流通させる(メイン流路第2循環手段)(S−16)。第4洗浄時間に特に限定はないが、第4洗浄時間が第2洗浄時間と一致している必要がある(第2洗浄時間と第4洗浄時間とが同一)。
【0093】
メイン流路第2循環手段において洗浄流体は、第2洗浄容器16の気密構造洗浄室に流入し、昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。メイン管路33を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離した後、第2洗浄容器16から流出する。気液分離装置18では、洗浄流体に含まれる不純物が洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。不純物が除去された洗浄流体は、気液分離装置18からメイン管路33を通って第2洗浄容器16に流入する。
【0094】
メイン流路第2循環手段を実行してから30分が経過すると、(メイン流路第2循環手段を実行してから所定時間(第4洗浄時間)経過後であって第1減圧手段および第1昇圧手段の実行中)、コントローラ17は、切換弁36の弁機構を閉め、第2圧力制御弁22の弁機構の弁開度を拡大し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を1時間(第2減圧時間)の間に大気圧に向かって減圧する(第2減圧手段)(S−17)。なお、第2減圧手段において必要であれば、制御弁22による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。第2減圧手段では、第1減圧手段の実行中に第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力の減圧を開始し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧に向かって減圧し、第1昇圧手段の完了時と同時に第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧まで減圧する。
【0095】
第2減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。第2洗浄容器16内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器16内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器16から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器16に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第2減圧時間に特に限定はないが、第2減圧時間が第1減圧時間と一致している必要がある(第2減圧時間と第1減圧時間とが同一)。
【0096】
第1減圧手段と第2減圧手段とが終了すると、コントローラ19は、設定回数の洗浄サイクルが行われたかを判断する(S−18)。設定回数(6回)の洗浄サイクルが行われたと判断すると、コントローラ19は、システム10Bを停止する。設定回数の洗浄サイクルが行われていないと判断すると、コントローラ19は、第1減圧手段が終了した後であって第2減圧手段の実行中に、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁39,40の弁機構を閉め、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第1洗浄容器15に流通させ、図6に示すように、第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第1昇圧手段)(S−10)。その後コントローラ19は、ステップ11(S−11)からの各手段を繰り返す。
【0097】
コントローラ19は、第1昇圧手段→サブ流路第1循環手段→メイン流路第1循環手段→第1減圧手段の洗浄サイクルと第2昇圧手段→サブ流路第2循環手段→メイン流路第2循環手段→第2減圧手段の洗浄サイクルとの合計を6回繰り返した後、フィルタの洗浄を終了する。6回の洗浄サイクルを繰り返す時間は、図6に示すように8時間である。なお、このシステム10Bを利用せずに1台の昇圧ポンプと2つの洗浄容器とにおいて洗浄を行うと、図14に示すように、8時間で4回の洗浄サイクルを繰り返すことができるに過ぎないが、このシステム10Bを利用することによって8時間で6回の洗浄サイクルを繰り返すことができる。
【0098】
成分抽出システム10Bは、1台の昇圧ポンプ13を利用してメイン管路33から第1洗浄容器15に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧してから所定時間経過後、1台の循環ポンプ43によって洗浄流体をサブ管路34から第1洗浄容器15に循環させ、それと同時に、その昇圧ポンプ13を利用してメイン管路33から第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧し、さらに、第2洗浄容器16に流入する洗浄流体を所定の圧力に昇圧してから所定時間経過後、その循環ポンプ43によって洗浄流体をサブ管路34から第2洗浄容器16に循環させ、それと同時に、昇圧ポンプ13によって洗浄流体をメイン管路33から第1洗浄容器15に循環させるから、第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の昇圧ポンプ13による昇圧が終了した後、第1洗浄容器15に対する洗浄流体の循環を循環ポンプ43によって行い、昇圧ポンプ13を第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の昇圧に利用することができ、さらに、第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の昇圧が終了した後、第2洗浄容器16に対する洗浄流体の循環を循環ポンプ43によって行い、第1洗浄容器15に対する洗浄流体の循環を昇圧ポンプ13によって行うことができる。また、メイン管路33から第1洗浄容器15に流通する洗浄流体の圧力を減圧しつつ、第2洗浄容器16に対する洗浄流体の循環を1台の昇圧ポンプ13によって行い、メイン管路33から第1洗浄容器15に流通する洗浄流体の圧力を減圧しつつ、メイン管路33から第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の昇圧をその昇圧ポンプ13によって行うことができる。
【0099】
成分抽出システム10Bは、1台の昇圧ポンプ13と1台の循環ポンプ43とで複数の洗浄容器の洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)を実施したときの1回のサイクルに要する時間が2倍になることはなく、時間差を利用して1台の昇圧ポンプ13と1台の循環ポンプ43とで複数の洗浄容器に対する洗浄サイクルを短時間に行うことができ、所定時間内に洗浄サイクルを効率よく繰り返すことができる。この成分抽出システム10Bは、昇圧ポンプ13および循環ポンプ43が1台であったとしても、複数の洗浄容器15,16に収容されたフィルタに含まれる不純物をそれらフィルタから短時間に抽出することができる。
【0100】
図7は、他の一例として示す成分抽出システム10Cの構成図である。図7では、サブ管路34を一点鎖線で示す。この成分抽出システム10Cは、図1,4のそれと同様に、フィルタ(被収容物)(被洗浄物)の洗浄に好適に利用される。それらフィルタの洗浄には、超臨界または亜臨界のいずれかの洗浄流体(流体)が使用される。なお、このシステム10Cは、フィルタの洗浄のみならず、たとえば、被収容物から所定の成分を抽出する場合にも利用することができる。
【0101】
このシステム10Cが図4のシステム10Bと異なるのは、ガスクロマトグラフ44(成分分析装置)を備えている点、第3圧力制御弁46を利用して気液分離装置18内の洗浄流体の圧力、温度を調節する点にあり、このシステム10Cにおけるその他の構成は図4のシステム10Bのそれらと同一であるから、図4と同一の符号を付すことで、このシステム10Cにおけるその他の構成の説明は省略する。第3圧力制御弁46は、凝縮器11と貯留タンク12とを連結するメイン管路33に設置されている。第3圧力制御弁46は、その弁機構の開度を変更することで、気液分離装置18内部の洗浄流体の圧力、温度を調節可能である。
【0102】
ガスクロマトグラフ44は、洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析する。ガスクロマトグラフ44による第1サンプリングポイントP1は、第1洗浄容器15と第1圧力制御弁21とを連結するメイン管路33に設定され、第2サンプリングポイントP2は、第2洗浄容器16と第2圧力制御弁22とを連結するメイン管路33に設定されている。ガスクロマトグラフ44から延びるサンプリング管47は、洗浄容器15,16と圧力制御弁21,22とを連結するメイン管路33に接続されている。フィルタを洗浄した直後の洗浄流体の一部は、管路33からサンプリング管47に流入し、減圧弁(図示せず)によって減圧されてガスクロマトグラフ44に送られる。
【0103】
ガスクロマトグラフ44は、メイン流路第1循環手段の実行中(メイン流路第1循環手段の実行と略同時)とメイン流路第2循環手段の実行中(メイン流路第2循環手段の実行と略同時)とに、フィルタを洗浄した後の洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析する成分分析手段を実行し、成分分析手段によって分析した成分分析結果をコントローラ19に出力する分析結果出力手段を実行する。なお、ガスクロマトグラフ44は、サブ流路第1循環手段の実行中(サブ流路第1循環手段の実行と略同時)とサブ流路第2循環手段の実行中(サブ流路第2循環手段の実行と略同時)とに成分分析手段を実行することもできる。
【0104】
サブ流路第1循環手段の実行中とサブ流路第2循環手段の実行中とに成分分析手段を実行する場合は、第1サンプリングポイントP1が第1洗浄容器15と切換弁40とを連結するサブ管路34に設定され、第2サンプリングポイントP2が第2洗浄容器16と切換弁42とを連結するサブ管路34に設定される。ガスクロマトグラフ44から延びるサンプリング管47は、洗浄容器15,16と切換弁40,42とを連結するサブ管路34に接続される。フィルタを洗浄した後の洗浄流体の一部は、管路34からサンプリング管47に流入し、減圧弁(図示せず)によって減圧されてガスクロマトグラフ44に送られる。
【0105】
コントローラ19は、図1,4のシステム10A,10Bのそれと同様に、中央処理部(CPUまたはMPU)とメモリとを備えたコンピュータであり、大容量ハードディスクが内蔵されている。コントローラ19には、インターフェイス32(有線または無線)を介して凝縮器11、タンク12、昇圧ポンプ13、加熱器14、それら洗浄容器15,16の温度センサや圧力センサ、流量センサ、冷却器17、気液分離装置18、気液分離装置18の温度センサ、圧力制御弁23,24,46、切換弁35〜42、循環ポンプ43、ガスクロマトグラフ44が接続されている。コントローラ19は、フィルタの洗浄において、洗浄サイクル(昇圧・洗浄・減圧)(成分抽出サイクル(昇圧・抽出・減圧))を繰り返し実行する。
【0106】
コントローラ19の中央処理部は、オペレーティングシステムによる制御に基づいて、メモリに格納されたアプリケーションを起動し、起動したアプリケーションに従って、以下の各手段を実行する。コントローラ19の中央処理部は、切換弁35〜42を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第1洗浄容器15に流通させ、昇圧ポンプ13を利用してメイン流路33を循環する洗浄流体(第1洗浄容器15に流入する洗浄流体)を所定の圧力に昇圧する第1昇圧手段を実行し、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をメイン流路33からサブ流路34に循環させ、循環ポンプ43を利用して洗浄流体をサブ流路34を通じて第1洗浄容器15に流通させるサブ流路第1循環手段を実行する。
【0107】
コントローラ19の中央処理部は、サブ流路第1循環手段を実行してから所定時間経過後に、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第1洗浄容器15に流通させるメイン流路第1循環手段を実行する。中央処理部は、メイン流路第1循環手段の実行中(メイン流路第1循環手段の実行と略同時)に、ガスクロマトグラフ44から出力された成分分析結果(ガスクロマトグラフ44において分析された不純物の種類)に基づいて、洗浄流体に含まれる不純物の種類を特定する種類特定手段を実行する。種類特定手段では、洗浄流体に含まれる不純物の種類からその不純物の沸点と飽和蒸気圧とを特定する。
【0108】
コントローラ19の中央処理部は、メイン流路第1循環手段の実行中(メイン流路第1循環手段の実行と略同時)であって、種類特定手段を実行した後に、気液分離装置18内の洗浄流体の圧力を不純物の種類に適した設定圧力に調節する圧力調節手段を実行し、気液分離装置18内の洗浄流体の温度を不純物の種類に適した設定温度に調節する温度調節手段を実行する。圧力調節手段では、種類特定手段によって特定した不純物の沸点と飽和蒸気圧とに基づいて設定圧力を決定し、温度調節手段では、種類特定手段によって特定した不純物の沸点と飽和蒸気圧とに基づいて設定温度を決定する。中央処理部は、メイン流路第1循環手段を実行してから所定時間経過後に、第1洗浄容器15内の洗浄流体の圧力を大気圧に減圧する第1減圧手段を実行する。
【0109】
コントローラ19の中央処理部は、サブ流路第1循環手段の実行時に(サブ流路第1循環手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第2洗浄容器16に流通させ、昇圧ポンプ13を利用してメイン流路33を循環する洗浄流体(第2洗浄容器16に流入する洗浄流体)を所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段を実行し、メイン流路第1循環手段の実行時に(メイン流路第1循環手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をメイン流路33からサブ流路34に循環させ、循環ポンプ43を利用して洗浄流体をサブ流路34を通じて第2洗浄容器16に流通させるサブ流路第2循環手段を実行する。中央処理部は、第1減圧手段の実行時に(第1減圧手段と並行し)、切換弁35〜42を利用して昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33を通じて第2洗浄容器16に流通させるメイン流路第2循環手段を実行する。
【0110】
コントローラ19の中央処理部は、メイン流路第2循環手段の実行中(メイン流路第2循環手段の実行と略同時)に、ガスクロマトグラフ44から出力された成分分析結果に基づいて、洗浄流体に含まれる不純物の種類を特定する種類特定手段を実行する。中央処理部は、メイン流路第2循環手段の実行中(メイン流路第2循環手段の実行と略同時)であって、種類特定手段を実行した後に、気液分離装置18内の洗浄流体の圧力を不純物の種類に適した設定圧力に調節する圧力調節手段を実行し、気液分離装置18内の洗浄流体の温度を不純物の種類に適した設定温度に調節する温度調節手段を実行する。中央処理部は、メイン流路第2循環手段を実行してから所定時間経過後であって第1減圧手段および第1昇圧手段の実行中に、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧に減圧する第2減圧手段を実行する。
【0111】
図8は、このシステム10Cにおける洗浄手順の一例を示すフローチャートであり、図9は、このシステム10Cにおける洗浄流体の圧力の変化を時系列に示す図である。図10は、特定した不純物の種類、沸点、飽和蒸気圧の一例を示す図であり、図11は、不純物の種別区分とその沸点および飽和蒸気圧との第1関係を示す図である。図12は、不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係を示す図である。
【0112】
それら図を参照しつつ、このシステム10Cにおけるフィルタ洗浄運転の一例を説明すると以下のとおりである。洗浄容器15,16の気密構造洗浄室には、被洗浄物である使用済のフィルタが収容されている。洗浄サイクル(成分抽出サイクル)の設定回数は6回に設定されているものとする。洗浄サイクルの繰り返し回数は、入力装置を介してコントローラ19に入力される。繰り返し回数に特に限定はなく、繰り返し回数を任意に設定または変更することができる。使用済のフィルタには、主な不純物としてイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが含まれているものとする。コントローラ19のハードディスクには、図11の不純物の種類とその沸点および飽和蒸気圧の第1関係が格納され、図12の不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係が格納されている。
【0113】
システム10Cを起動させると、各機器が稼動する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第1圧力制御弁21の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量をメイン管路33に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、制御弁21の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0114】
コントローラ19は、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁36,38,39,40,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体(流体)を昇圧ポンプ13を経由させてメイン管路33(メイン流路)から第1洗浄容器15(一方の気密容器)に流通させつつ、図9に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第1昇圧手段)(S−30)。第1昇圧時間に特に限定はなく、第1昇圧時間を任意に設定または変更することができる。第1昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。なお、昇圧ポンプ13の稼働と同時に切換弁35,37の弁機構が開状態になる。
【0115】
第1昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第1昇圧手段を実行してから所定時間(第1昇圧時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁39,40の弁機構を開け、切換弁35,37,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体をメイン管路33からサブ管路34(サブ流路)に流入させ、洗浄流体を循環ポンプ43を利用してサブ管路34から第1洗浄容器15に30分(第1洗浄時間)(第1抽出時間)の間流通させる(サブ流路第1循環手段)(S−31)。第1洗浄時間に特に限定はなく、第1洗浄時間を任意に設定または変更することができる。
【0116】
サブ流路第1循環手段において洗浄流体は、洗浄容器15の気密構造洗浄室に流入し、第1洗浄容器15→循環ポンプ43→第1洗浄容器15の順でサブ管路34を循環する。サブ管路34を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物をフィルタから分離する。
【0117】
コントローラ19は、サブ流路第1循環手段と同時に(第1昇圧時間経過後であって、サブ流路第1循環手段の実行時)、昇圧ポンプ13の出力を調節しつつ、第2圧力制御弁22の開度を調節し、タンク12に貯留された液化二酸化炭素の設定量をメイン管路33に供給する。コントローラ19は、昇圧ポンプ13の出力を設定出力に保持しつつ、制御弁22の開度を設定開度に保持し、二酸化炭素を所定の圧力に加圧するとともに、加熱器14の出力を設定出力に保持し、加圧された二酸化炭素を所定の温度に加熱する。
【0118】
コントローラ19は、サブ流路第1循環手段と同時(サブ流路第1循環手段の実行時)に、切換弁36,38の弁機構を開け、切換弁35,37,41,42の弁機構を閉め、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させてメイン管路33から第2洗浄容器16(他方の気密容器)に流通させつつ、図9に示すように、昇圧ポンプ13を利用して第2洗浄容器16に流入する洗浄流体の圧力を30分(第2昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第2昇圧手段)(S−32)。このとき切換弁39,40の弁機構は、開放状態にある。第2昇圧手段において洗浄流体は、昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。第2昇圧時間に特に限定はないが、第2昇圧時間が第1昇圧時間と一致している必要がある(第1昇圧時間と第2昇圧時間とが同一)。
【0119】
サブ流路第1循環手段を実行してから30分が経過すると(サブ流路第1循環手段を実行してから所定時間(第1洗浄時間)経過後)、コントローラ19は、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁39,40の弁機構を閉め、昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33から第1洗浄容器15に30分(第2洗浄時間)(第2抽出時間)の間流通させる(メイン流路第1循環手段)(S−33)。第2洗浄時間に特に限定はなく、第2洗浄時間を任意に設定または変更することができる。
【0120】
メイン流路第1循環手段において洗浄流体は、第1洗浄容器15の気密構造洗浄室に流入し、昇圧ポンプ13→加熱器14→第1洗浄容器15→第1圧力制御弁21→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。メイン管路33を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)をフィルタから分離した後、第1洗浄容器15から流出する。第1洗浄容器15から流出した直後の洗浄流体(フィルタを洗浄した直後の洗浄流体)に含まれる不純物(汚れ)は、その大部分がイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルである。
【0121】
第2昇圧手段を実行してから30分が経過し、洗浄流体の昇圧が終了すると(第2昇圧手段を実行してから所定時間(第2昇圧時間)経過後であってメイン流路第1循環手段の実行時)、コントローラ19は、切換弁41,42の弁機構を開け、切換弁36,38の弁機構を閉め、洗浄流体をメイン管路33からサブ管路34に流入させ、洗浄流体を循環ポンプ43を利用してサブ管路34から第2洗浄容器16に30分(第3洗浄時間)(第3抽出時間)の間流通させる(サブ流路第2循環手段)(S−34)。第3洗浄時間に特に限定はないが、第3洗浄時間が第1洗浄時間と一致している必要がある(第1洗浄時間と第3洗浄時間とが同一)。
【0122】
サブ流路第2循環手段において洗浄流体は、第2洗浄容器16の気密構造洗浄室に流入し、第2洗浄容器16→循環ポンプ43→第2洗浄容器16の順でサブ管路34を循環する。サブ管路34を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)をフィルタから分離する。
【0123】
メイン流路第1循環手段の実行中(メイン流路第1循環手段の実行と略同時)に洗浄流体の一部は、メイン管路33に設置されたサンプリング管47からガスクロマトグラフ44に送られる。ガスクロマトグラフ44は、洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析し(成分分析手段)、その分析結果をコントローラ19に出力する(分析結果出力手段)。なお、サブ流路第1循環手段の実行中に成分分析手段を実行する場合は、サブ流路第1循環手段の実行中に洗浄流体の一部がサブ管路34に設置されたサンプリング管47からガスクロマトグラフ44に送られ、ガスクロマトグラフ44が洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析し、その分析結果をコントローラ19に出力する。
【0124】
コントローラ19は、ガスクロマトグラフ44から出力された分析結果に基づき、洗浄流体に含まれる不純物の種類を特定した後、不純物の種類からその不純物の沸点と飽和蒸気圧とを特定する(種類特定手段)(S−35)。コントローラ19は、特定した不純物の種類、沸点、飽和蒸気圧をハードディスクに格納する。特定した不純物は、図10に示すように、沸点が82(℃)および飽和蒸気圧が33(mmHg)のイソプロピルアルコール、沸点が110(℃)および飽和蒸気圧が22.5(mmHg)のトルエン、沸点が386(℃)および飽和蒸気圧が2.28×10−7(mmHg)のフタル酸ジオクチルである。
【0125】
コントローラ19は、不純物の種類(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)、沸点、飽和蒸気圧を特定すると、ハードディスクに格納された不純物の種別区分とその沸点および飽和蒸気圧の第1関係(図11参照)を抽出する。コントローラ19は、イソプロピルアルコールの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、イソプロピルアルコールがVVOC(高揮発性有機化合物、沸点:50(℃)未満、飽和蒸気圧:15(kPa)以上)に属すると判断し、トルエンの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、トルエンがVOC(揮発性有機化合物、沸点:50(℃)以上260(℃)未満、飽和蒸気圧:10−2(kPa)以上)に属すると判断する。さらに、フタル酸ジオクチルの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、フタル酸ジオクチルがSVOC(準揮発性有機化合物、沸点:260(℃)以上400(℃)未満、飽和蒸気圧:10−8〜10−2(kPa)以上)に属すると判断する。
【0126】
洗浄流体にはVVOC、VOC、SVOCに属する不純物が含まれているが、コントローラ19は、それらのうち、VVOCに属する不純物が含まれると判断すると、VOCやSVOCが含まれるにもかかわらず、VVOCに対応する最も厳しい運転条件を気液分離装置18に適用する。具体的にコントローラ19は、不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係(図12参照)をハードディスクから抽出し、その第2関係から、VVOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を2(MPa)に決定し、設定温度を−20(℃)に決定する(S−36)。
【0127】
コントローラ19は、第3圧力制御弁46の弁機構を調節して気液分離装置18に流入する洗浄流体の圧力(気液分離装置18内の洗浄流体の圧力)を2(MPa)(設定圧力)に保持し(圧力調節手段)、気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を−20(℃)(設定温度)に保持する(温度調節手段)(S−37)。なお、冷却器17の出力を調整して気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を−20(℃)に微調整する。気液分離装置18内の洗浄流体の温度や圧力は装置18に取り付けられた温度センサや圧力センサによって計測され、その計測結果がそれらセンサからコントローラ19に出力される。
【0128】
フィルタに含まれる主な不純物がトルエン、フタル酸ジオクチルである場合、コントローラ19は、VOCに属する不純物が含まれると判断するとともに、SVOCに属する不純物が含まれていると判断する。コントローラ19は、VOCに属する不純物が含まれると判断すると、SVOCが含まれるにもかかわらず、VOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。具体的にコントローラ19は、不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係(図12参照)から、VOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を4(MPa)に決定し、設定温度を5(℃)に決定する(S−36)。
【0129】
この場合、コントローラ19は、第3圧力制御弁46の弁機構を調節して気液分離装置18に流入する洗浄流体の圧力(気液分離装置18内の洗浄流体の圧力)を4(MPa)(設定圧力)に保持し(圧力調節手段)、気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を5(℃)(設定温度)に保持する(温度調節手段)(S−37)。なお、冷却器17の出力を調整して気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を5(℃)に微調整する。
【0130】
フィルタに含まれる主な不純物がフタル酸ジオクチルである場合、コントローラ19は、SVOCに属する不純物が含まれていると判断する。コントローラ19は、SVOCに属する不純物が含まれると判断すると、SVOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。具体的にコントローラ19は、不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係(図12参照)から、SVOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を6(MPa)に決定し、設定温度を22(℃)に決定する(S−36)。
【0131】
この場合、コントローラ19は、第3圧力制御弁46の弁機構を調節して気液分離装置18に流入する洗浄流体の圧力(気液分離装置18内の洗浄流体の圧力)を6(MPa)(設定圧力)に保持し(圧力調節手段)、気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を22(℃)(設定温度)に保持する(温度調節手段)(S−37)。なお、冷却器17やヒータ45の出力を調整して気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を22(℃)に微調整する。
【0132】
VVOCに属する不純物には、イソプロピルアルコールの他に、メタン(沸点:−161℃)、ホルムアルデヒド(沸点:−21℃)、メチルメルカプタン(沸点:6℃)、アセトアルデヒド(沸点:20℃)、ジクロロメタン(沸点:40℃)等がある。ガスクロマトグラフ44によってそれらが検出されると、コントローラ19は、VVOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。
【0133】
VOCに属する不純物には、トルエンの他に、酢酸メチル(沸点:77℃)、エタノール(沸点:78℃)、ベンゼン(沸点:80℃)、メチルエチルケトン(沸点:80℃)、トリクロロエタン(沸点:113℃)、キシレン(沸点:140℃)、リモネン(沸点:178℃)、Lニコチン(沸点:247℃)等がある。ガスクロマトグラフ44によってそれらが検出されると、コントローラ19は、VOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。
【0134】
SVOCに属する不純物には、フタル酸ジオクチルの他に、クロロピリホス(沸点:290℃)、フタル酸ジブチル(沸点:340℃)等がある。ガスクロマトグラフ20によってそれらが検出されると、コントローラ21は、SVOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。なお、沸点が400℃以上のPOM(粒子状有機物:PCB、ベンゾピレン)がガスクロマトグラフ44によって検出された場合、コントローラ21は、SVOCに対応する運転条件を気液分離装置19に適用する。
【0135】
気液分離装置18では、洗浄流体に含まれるイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルを洗浄流体から効率よく分離することができるように、装置18内の洗浄流体の圧力が設定圧力(2MPa)に保持され、装置18内の洗浄流体の温度が設定温度(−20℃)に保持される。ゆえに、洗浄流体に含まれるイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが装置18によって確実に分離され、イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが回収器27に回収される。イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが分離された洗浄流体は、気液分離装置18から凝縮器11に流入し、メイン管路33を通って第1洗浄容器15に流入する。
【0136】
メイン流路第1循環手段を実行してから30分が経過すると、(メイン流路第1循環手段を実行してから所定時間(第2洗浄時間)経過後)、コントローラ19は、VVOCに対応する運転条件を解除した後、切換弁35の弁機構を閉め、第1圧力制御弁21の弁機構の弁開度を拡大し、第1洗浄容器15内の洗浄流体の圧力を1時間(第1減圧時間)の間に大気圧に減圧する(第1減圧手段)(S−38)。なお、第1減圧手段において必要であれば、制御弁21による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。
【0137】
第1減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。第1洗浄容器15内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器15内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器15から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器15に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第1減圧時間に特に限定はなく、第1減圧時間を任意に設定または変更することができる。
【0138】
サブ流路第2循環手段を実行してから30分が経過すると(サブ流路第2循環手段を実行してから所定時間(第3洗浄時間)経過後であって第1減圧手段の実行時)、コントローラ19は、切換弁36,38の弁機構を開け、切換弁41,42の弁機構を閉め、昇圧後の洗浄流体をサブ流路34からメイン流路33に循環させ、昇圧ポンプ13を利用して洗浄流体をメイン流路33から第2洗浄容器16に30分(第4洗浄時間)(第4抽出時間)の間流通させる(メイン流路第2循環手段)(S−39)。第4洗浄時間に特に限定はないが、第4洗浄時間が第2洗浄時間と一致している必要がある(第2洗浄時間と第4洗浄時間とが同一)。
【0139】
メイン流路第2循環手段において洗浄流体は、第2洗浄容器16の気密構造洗浄室に流入し、昇圧ポンプ13→加熱器14→第2洗浄容器16→第2圧力制御弁22→冷却器17→気液分離装置18→凝縮器11→タンク12→昇圧ポンプ13の順でメイン管路33を循環する。メイン管路33を循環する洗浄流体は、フィルタを流通し、それに含まれる不純物(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)をフィルタから分離した後、第2洗浄容器16から流出する。第2洗浄容器16から流出した直後の洗浄流体(フィルタを洗浄した直後の洗浄流体)に含まれる不純物(汚れ)は、その大部分がイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルである。
【0140】
メイン流路第2循環手段の実行中(メイン流路第2循環手段の実行と略同時)に洗浄流体の一部は、メイン管路33に設置されたサンプリング管47からガスクロマトグラフ44に送られる。ガスクロマトグラフ44は、洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析し(成分分析手段)、その分析結果をコントローラ19に出力する(分析結果出力手段)。なお、サブ流路第2循環手段の実行中に成分分析手段を実行する場合は、サブ流路第2循環手段の実行中に洗浄流体の一部がサブ管路34に設置されたサンプリング管47からガスクロマトグラフ44に送られ、ガスクロマトグラフ44が洗浄流体に含まれる不純物の成分を分析し、その分析結果をコントローラ19に出力する。
【0141】
コントローラ19は、ガスクロマトグラフ44から出力された分析結果に基づき、洗浄流体に含まれる不純物の種類を特定した後、不純物の種類からその不純物の沸点と飽和蒸気圧とを特定する(種類特定手段)(S−40)。コントローラ19は、特定した不純物の種類(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)、沸点、飽和蒸気圧をハードディスクに格納する。
【0142】
コントローラ19は、不純物の種類(イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチル)、沸点、飽和蒸気圧を特定すると、ハードディスクに格納された不純物の種別区分とその沸点および飽和蒸気圧の第1関係(図11参照)を抽出する。コントローラ19は、イソプロピルアルコールの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、イソプロピルアルコールがVVOCに属すると判断し、トルエンの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、トルエンがVOCに属すると判断する。さらに、フタル酸ジオクチルの沸点および飽和蒸気圧を第1関係に当て嵌め、フタル酸ジオクチルがSVOCに属すると判断する。
【0143】
コントローラ19は、それらのうち、VVOCに属する不純物が含まれると判断すると、VVOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用する。コントローラ19は、不純物の種別区分と設定圧力および設定温度との第2関係(図12参照)をハードディスクから抽出し、その第2関係から、VVOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を2(MPa)に決定し、設定温度を−20(℃)に決定する(S−41)。
【0144】
コントローラ19は、第3圧力制御弁46の弁機構を調節して気液分離装置18に流入する洗浄流体の圧力(気液分離装置18内の洗浄流体の圧力)を2(MPa)(設定圧力)に保持し(圧力調節手段)、気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を−20(℃)(設定温度)に保持する(温度調節手段)(S−42)。なお、冷却器17の出力を調整して気液分離装置18に流入する洗浄流体の温度(気液分離装置18内の洗浄流体の温度)を−20(℃)に微調整する。
【0145】
フィルタに含まれる主な不純物がトルエン、フタル酸ジオクチルである場合、コントローラ19は、VOCに属する不純物が含まれると判断するとともに、SVOCに属する不純物が含まれていると判断する。コントローラ19は、VOCに属する不純物が含まれると判断すると、VOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用し、第2関係(図12参照)から、VOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を4(MPa)に決定し、設定温度を5(℃)に決定する(S−41)。
【0146】
フィルタに含まれる主な不純物がフタル酸ジオクチルである場合、コントローラ19は、SVOCに属する不純物が含まれていると判断する。コントローラ19は、SVOCに属する不純物が含まれると判断すると、SVOCに対応する運転条件を気液分離装置18に適用し、第2関係(図12参照)から、SVOCが検出された場合の気液分離装置18の運転条件として、設定圧力を6(MPa)に決定し、設定温度を22(℃)に決定する(S−41)。
【0147】
気液分離装置18では、洗浄流体に含まれるイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルを洗浄流体から効率よく分離することができるように、装置18内の洗浄流体の圧力が設定圧力(2MPa)に保持され、装置18内の洗浄流体の温度が設定温度(−20℃)に保持される。ゆえに、洗浄流体に含まれるイソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが装置18によって確実に分離され、イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが回収器27に回収される。イソプロピルアルコール、トルエン、フタル酸ジオクチルが分離された洗浄流体は、気液分離装置18からメイン管路33を通って第2洗浄容器16に流入する。
【0148】
メイン流路第2循環手段を実行してから30分が経過すると、(メイン流路第2循環手段を実行してから所定時間(第4洗浄時間)経過後であって第1減圧手段および第1昇圧手段の実行中)、コントローラ19は、VVOCに対応する運転条件を解除した後、切換弁36の弁機構を閉め、第2圧力制御弁24の弁機構の弁開度を拡大し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を1時間(第2減圧時間)の間に大気圧に向かって減圧する(第2減圧手段)(S−43)。なお、第2減圧手段において必要であれば、制御弁22による減圧に加えて洗浄流体を冷却器17によって冷却する。第2減圧手段では、第1減圧手段の実行中に第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力の減圧を開始し、第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧に向かって減圧し、第1昇圧手段の完了時と同時に第2洗浄容器16内の洗浄流体の圧力を大気圧まで減圧する。
【0149】
第2減圧手段では、洗浄流体に含まれる不純物が気液分離装置18によって洗浄流体から分離される。洗浄流体から分離された不純物は、回収器27に回収される。第2洗浄容器16内の圧力が大気圧に戻り、洗浄容器16内の温度が室温に戻った後、洗浄後のフィルタを洗浄容器16から取り出すとともに、次の使用済のフィルタを洗浄容器16に収容し、そのフィルタの洗浄を開始する。第2減圧時間に特に限定はないが、第2減圧時間が第1減圧時間と一致している必要がある(第2減圧時間と第1減圧時間とが同一)。
【0150】
第1減圧手段と第2減圧手段とが終了すると、コントローラ19は、設定回数の洗浄サイクルが行われたかを判断する(S−44)。設定回数(6回)の洗浄サイクルが行われたと判断すると、コントローラ19は、システム10Cを停止する。設定回数の洗浄サイクルが行われていないと判断すると、コントローラ19は、第1減圧手段が終了した後であって第2減圧手段の実行中に、切換弁35,37の弁機構を開け、切換弁39,40の弁機構を閉め、洗浄流体を昇圧ポンプ13を経由させて第1洗浄容器15に流通させ、図9に示すように、第1洗浄容器15に流入する洗浄流体の圧力を30分(第1昇圧時間)の間に0MPaから20MPaに昇圧する(第1昇圧手段)(S−30)。その後コントローラ19は、ステップ31(S−31)からの各手段を繰り返す。
【0151】
コントローラ19は、第1昇圧手段→サブ流路第1循環手段→メイン流路第1循環手段→第1減圧手段の洗浄サイクルと第2昇圧手段→サブ流路第2循環手段→メイン流路第2循環手段→第2減圧手段の洗浄サイクルとの合計を6回繰り返した後、フィルタの洗浄を終了する。6回の洗浄サイクルを繰り返す時間は、図9に示すように8時間である。なお、このシステム10Cを利用せずに1台の昇圧ポンプと2つの洗浄容器とにおいて洗浄を行うと、図14に示すように、8時間で4回の洗浄サイクルを繰り返すことができるに過ぎないが、このシステム10Cを利用することによって8時間で6回の洗浄サイクルを繰り返すことができる。
【0152】
この成分抽出システム10Cでは、特定した沸点と飽和蒸気圧とに基づいて設定圧力を決定し、特定した沸点と飽和蒸気圧とに基づいて設定温度を決定しているが、特定した沸点と飽和蒸気圧とのいずれか一方に基づいて設定圧力を決定し、特定した沸点と飽和蒸気圧とのいずれか一方に基づいて設定温度を決定してもよい。また、成分分析装置としてガスクロマトグラフ44を利用しているが、ガスクロマトグラフ44の他に、ガスクロマトグラフ質量分析装置、高速液体クロマトグラフ質量分析装置、誘導結合プラズマ質量分析装置、単収束扇形磁場型質量分析装置、二重収束扇形磁場型質量分析装置、四重極型質量分析装置、四重極イオントラップ型質量分析装置、飛行時間型質量分析装置のいずれかを使用することもできる。
【0153】
この成分抽出システム10Cは、図4に示すシステム10Bが有する効果に加え、以下の効果を有する。成分抽出システム10Cは、気液分離装置18内の洗浄流体の圧力を不純物(成分)の種類に適した設定圧力に調節しつつ、気液分離装置18内の洗浄流体の温度を不純物の種類に適した設定温度に調節するから、特定した不純物の種類に適した圧力・温度条件で気液分離装置18を運転することができ、不純物の蒸気圧の差を効率的に利用して洗浄流体に含まれる不純物をその洗浄流体から効率よく分離することができる。成分抽出システム10Cは、特定した不純物に適した圧力・温度条件で気液分離装置18を運転するから、気液分離装置18の過度の運転を防ぐことができ、その結果、システム10Cのエネルギー効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0154】
10A 成分抽出システム
10B 成分抽出システム
11 凝縮器
12 貯留タンク
13 昇圧ポンプ
14 加熱器
15 第1洗浄容器
16 第2洗浄容器
17 冷却器
18 気液分離装置
19 コントローラ(制御装置)
20 管路(流路)
21 第1圧力制御弁
22 第2圧力制御弁
23〜26 切換弁
33 メイン管路(メイン流路)
34 サブ管路(サブ流路)
35〜42 切換弁
43 循環ポンプ
44 ガスクロマトグラフ(成分分析装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超臨界または亜臨界のいずれかの流体が流入する気密容器に該流体を流入させ、前記流体を利用して前記気密容器に収容された被収容物に含まれる成分を抽出する成分抽出システムにおいて、
前記成分抽出システムが、複数の前記気密容器と、それら気密容器につながって前記流体が循環するメイン流路と、それら気密容器につながって前記流体が循環するサブ流路と、それら気密容器の上流側における前記メイン流路に設置されてそれら気密容器に流入する前記流体を昇圧する1台の昇圧ポンプと、前記気密容器と前記昇圧ポンプとの間のメイン流路に設置されて前記流体に含まれる成分を該流体から分離する気液分離装置と、前記サブ流路に設置されて前記流体を該サブ流路に循環させる1台の循環ポンプと、それら流路に設置されて前記流体をメイン流路とサブ流路とのいずれか一方に循環させる切換弁と、制御装置とを含み、
前記制御装置が、前記切換弁を利用して前記流体をメイン流路から一方の気密容器に流通させつつ、前記昇圧ポンプを利用し、前記メイン流路を循環しつつ一方の気密容器に流入する流体を第1昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧する第1昇圧手段と、前記第1昇圧手段を実行してから前記第1昇圧時間経過後に、前記切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をメイン流路からサブ流路に循環させ、前記循環ポンプを利用して前記流体をサブ流路から一方の気密容器に第1抽出時間の間流通させるサブ流路第1循環手段と、前記サブ流路第1循環手段を実行してから前記第1抽出時間経過後に、前記切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をサブ流路からメイン流路に循環させ、前記昇圧ポンプを利用して前記流体をメイン流路から一方の気密容器に第2抽出時間の間流通させるメイン流路第1循環手段と、前記メイン流路第1循環手段を実行してから前記第2抽出時間経過後に、一方の気密容器内の流体の圧力を第1減圧時間の間に大気圧に減圧する第1減圧手段と、
前記サブ流路第1循環手段の実行時に前記切換弁を利用して前記流体をメイン流路から他方の気密容器に流通させつつ、前記昇圧ポンプを利用し、前記メイン流路を循環しつつ他方の気密容器に流入する流体を第2昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧する第2昇圧手段と、前記第2昇圧手段を実行してから前記第2昇圧時間経過後であって前記メイン流路第1循環手段の実行時に、前記切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をメイン流路からサブ流路に循環させ、前記循環ポンプを利用して前記流体をサブ流路から他方の気密容器に第3抽出時間の間流通させるサブ流路第2循環手段と、前記サブ流路第2循環手段を実行してから前記第3抽出時間経過後であって前記第1減圧手段の実行時に、前記切換弁を利用して昇圧後の超臨界または亜臨界の流体をサブ流路からメイン流路に循環させ、前記昇圧ポンプを利用して前記流体をメイン流路から他方の気密容器に第4抽出時間の間流通させるメイン流路第2循環手段と、前記メイン流路第2循環手段を実行してから前記第4抽出時間経過後であって前記第1減圧手段の実行中に、他方の気密容器内の流体の圧力を大気圧に向かって第2減圧時間の間に減圧する第2減圧手段とを有し、
前記第1昇圧手段では、前記第2減圧手段の実行中に前記切換弁を利用して前記流体をメイン流路から一方の気密容器に流通させつつ、前記昇圧ポンプを利用し、前記メイン流路を循環しつつ一方の気密容器に流入する流体を前記第1昇圧時間の間に所定の圧力に昇圧することを特徴とする成分抽出システム。
【請求項2】
前記成分抽出システムでは、前記第1昇圧時間と前記第2昇圧時間とが同一であり、前記第1抽出時間と前記第3抽出時間とが同一であり、前記第2抽出時間と前記第4抽出時間とが同一であるとともに、前記第1減圧時間と前記第2減圧時間とが同一である請求項1に記載の成分抽出システム。
【請求項3】
前記成分抽出システムが、前記気密容器の下流側に設置されて前記メイン流路を循環する流体に含まれる成分を分析する成分分析装置を含み、前記成分分析装置が、前記被収容物から所定の成分を抽出した後の流体に含まれる成分を分析する成分分析手段と、前記成分分析手段によって分析した成分分析結果を前記制御装置に出力する分析結果出力手段とを有し、前記制御装置が、前記成分分析装置から出力された成分分析結果に基づいて、前記流体に含まれる成分の種類を特定する種類特定手段と、前記気液分離装置内の流体の圧力を前記成分の種類に適した圧力に調節する圧力調節手段と、前記気液分離装置内の流体の温度を前記成分の種類に適した温度に調節する温度調節手段とを含む請求項1または請求項2に記載の成分抽出システム。
【請求項4】
前記種類特定手段では、前記流体に含まれる成分の種類から該成分の沸点と飽和蒸気圧とのうちの少なくとも一方を特定し、前記圧力調節手段では、前記種類特定手段によって特定した前記沸点と前記飽和蒸気圧との少なくとも一方に基づいて前記成分の種類に適した圧力を決定し、前記温度調節手段では、前記種類特定手段によって特定した前記沸点と前記飽和蒸気圧との少なくとも一方に基づいて前記成分の種類に適した温度を決定する請求項3に記載の成分抽出システム。
【請求項5】
前記成分抽出システムでは、前記第1昇圧手段→前記サブ流路第1循環手段→前記メイン流路第1循環手段→前記第1減圧手段の成分抽出サイクルと前記第2昇圧手段→前記サブ流路第2循環手段→前記メイン流路第2循環手段→前記第2減圧手段の成分抽出サイクルとを複数回繰り返す請求項1ないし請求項4いずれかに記載の成分抽出システム。
【請求項6】
前記被収容物が、洗浄対象の被洗浄物であり、前記被収容物に含まれる成分が、不純物である請求項1ないし請求項5いずれかに記載の成分抽出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−232310(P2012−232310A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183064(P2012−183064)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【分割の表示】特願2008−303136(P2008−303136)の分割
【原出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(591023479)ダイダン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】