説明

成分測定用チップ

【課題】成分測定用チップの中心軸回りの回転角度に係らず、チップ装着部に確実に装着され、その装着した状態で体液中の所定の成分が確実に測定され得る成分測定用チップを提供すること。
【解決手段】成分測定用チップ1は、成分測定装置10のチップ装填部50に装着して使用されるものである。成分測定用チップ1は、チップ本体13と、チップ本体13に設置され、体液の成分に起因して光学的変化を示す成分を有する試験紙と、チップ本体13に設置され、試験紙の光学的変化を測定可能な測定部7と、チップ装着部に装着されるとき、複数の回転角度で装着可能な中心軸Oとを有し、複数の回転角度のいずれの回転角度でチップ装填部50に装着したときでも、測定部7が成分測定装置10と電気的に接続されるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、糖尿病患者の増加に伴い、日常の血糖値の変動を患者自身がモニターする自己血糖測定が推奨されてきている。
【0003】
この血糖値の測定は、血中のブドウ糖量に応じて呈色する試験紙に血液を供給、展開して呈色させ、その呈色の度合いを光学的に測定(測色)して血糖値を定量化する血糖測定装置を用いて行われる。
【0004】
この血糖測定装置で前述した測定を行うには、当該血糖測定装置に、患者から血液を採取するために当該患者の皮膚を穿刺する穿刺針と、前記試験紙とを備えたチップ(成分測定用チップ)を装着する必要がある。
【0005】
チップは、それを血糖測定装置に装着した状態で、試験紙が血糖測定装置の測定手段(測定部)に対向する(近接する)よう構成されているため、血糖測定装置に対するチップの装着方向(挿入方向)が一定となっていた(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。このため、例えば指先を自由に動かすことが困難である、指先に力が入り難い等の指先に不安を持つ、血糖測定装置の使用者(例えば、高齢者や糖尿病患者)にとっては、チップを血糖測定装置に確実に装着するのは、労力を要することであった。
【0006】
また、チップが血糖測定装置に確実に装着されていない場合、穿刺針による確実な穿刺が行われなかったり、正確な測定が困難となったりするおそれがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−314494号公報
【特許文献2】国際公開第2004/112613号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、成分測定用チップの中心軸回りの回転角度に係らず、チップ装着部に確実に装着され、その装着した状態で体液中の所定の成分が確実に測定され得る成分測定用チップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的は、下記(1)〜(12)の本発明により達成される。
(1) 成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
チップ本体と、
前記チップ本体に設置され、体液の成分に起因して光学的変化を示す成分を有する試験紙と、
前記チップ本体に設置され、前記試験紙の光学的変化を測定可能な測定部と、
前記チップ装着部に装着されるとき、複数の回転角度で装着可能な中心軸とを有し、
前記複数の回転角度のいずれの回転角度で前記チップ装着部に装着したときでも、前記測定部が前記成分測定装置と電気的に接続されるよう構成されていることを特徴とする成分測定用チップ。
【0010】
(2) 前記チップ本体は、その外形形状がほぼ回転体形状をなすものである上記(1)に記載の成分測定用チップ。
【0011】
(3) 前記回転体形状は、円柱状または円錐台形状である上記(2)に記載の成分測定用チップ。
【0012】
(4) 前記測定部は、前記試験紙に光を投光する発光素子と、前記試験紙で反射した反射光を受光し、光電変換する受光素子と、前記発光素子および前記受光素子のそれぞれと電気的に接続される複数のチップ側端子とを有するものであり、
前記チップ装着部には、前記複数のチップ側端子のそれぞれと電気的に接続可能な複数の装置側端子が設けられている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0013】
(5) 前記チップ装着部は、前記成分測定用チップを挿入可能な凹部で構成されており、
前記各チップ側端子は、前記チップ本体の外周面に配置されており、
前記各装置側端子は、前記チップ装着部の内周面に配置されている上記(4)に記載の成分測定用チップ。
【0014】
(6) 前記各チップ側端子は、点状をなすものであり、
前記各装置側端子は、前記チップ装着部の内周面の周方向に沿って形成されたリング状をなすものである上記(4)または(5)に記載の成分測定用チップ。
【0015】
(7) 前記各チップ側端子は、前記チップ本体の外周面の周方向に沿って形成されたリング状のものであり、
前記各装置側端子は、点状をなすものである上記(4)または(5)に記載の成分測定用チップ。
【0016】
(8) 先端に鋭利な針先を有する針部と、該針部の基端部に固着されたハブとを有する穿刺針をさらに備え、
前記チップ本体の先端には、生体表面が当接する環状に突出した当接部が設けられており、
前記穿刺針は、前記当接部に生体表面を当接した状態で当該生体表面を穿刺する位置と、その位置から退避した位置とに移動可能に設置されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0017】
(9) 前記試験紙の少なくとも一部は、前記当接部の近傍に位置している上記(8)に記載の成分測定用チップ。
【0018】
(10) 生体表面から流出した体液を前記試験紙に誘導する導液部をさらに備える上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0019】
(11) 前記試験紙と前記測定部とは、互いに対面している上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0020】
(12) 前記中心軸方向の位置を決める位置決め手段をさらに備える上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【発明の効果】
【0021】
本発明の成分測定用チップによれば、成分測定装置のチップ装着部に対して、成分測定用チップの中心軸回りの複数の回転角度で装着可能であるため、前記回転角度に係らずチップ装着部に確実に装着することができる。また、いずれの回転角度でチップ装着部に装着したときでも測定部が成分測定装置と電気的に接続されるため、体液中の所定の成分が確実に測定され得る。
【0022】
また、チップ本体の外形形状がほぼ回転体形状をなす場合には、中心軸回りの回転角度に係らず、より容易かつ確実に成分測定装置のチップ装着部に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の成分測定用チップを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本発明の成分測定用チップの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す成分測定用チップの分解斜視図、図3は、図1中のA−A線断面図、図4は、図3中の一点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大図、図5は、図1に示す成分測定用チップの平面図、図6は、図1に示す成分測定用チップを装着して使用する成分測定装置の斜視図、図7は、図6に示す成分測定装置の側面図、図8および図9は、それぞれ、図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置の縦断面図、図10は、図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置のブロック図、図11は、図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置の制御手段の制御動作(一部、操作者の動作等を含む)を示すフローチャートである。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図4および図6〜図9中の上側を「先端」または「上」、下側を「基端」または「下」として説明する。
【0025】
図1(図2〜図9も同様)に示す本発明の成分測定用チップ(以下、単に「チップ」という)1は、チップ本体13と、チップ本体13に設置された試験紙18と、チップ本体に設けられた測定部7と、チップ本体13に対し移動可能に設置された穿刺針14とを備えている。このチップ1は、成分測定装置10のチップ装填部(チップ装着部)50に装填(装着)して使用されるものである。
【0026】
まず、チップ1について説明する前に、成分測定装置10について説明する。
図8(図9〜図11も同様)に示す成分測定装置(血液成分測定装置)10は、チップ1を装填した状態(以下、この状態を「チップ装填状態」という)で、体液(以下、本実施形態では、血液を代表として説明する。)を採取して、その体液の所定成分の量を測定する装置である。この成分測定装置10において血液の採取に用いる部位(生体表面)は、例えば、手の平、手の裏、手の側部、指(指先)、腕、腹部、太腿、耳たぶ等が挙げられるが、以下の実施形態では、手の平を穿刺する形態を代表として説明する。
【0027】
図6〜図10に示すように、成分測定装置10は、本体2と、本体2に対して回動自在(開閉自在)に設置された蓋体20と、本体2内に設置されたハウジング5と、ハウジング5内を減圧状態とする減圧手段8と、図示しない回路基板上に設けられた制御手段11と、表示部12とを備えている。
【0028】
本体2は、箱状をなしており、その内部には、ハウジング5、減圧手段8、電池(電源部)9、制御手段11および表示部12等が収納されている。
【0029】
本体2の先端側(上側)の壁部211には、本体2の内外を貫通し、横断面形状がほぼ円形の開口212が形成されている。本実施形態の成分測定装置10は、この開口212を鉛直上方に向けた状態で使用される縦置き型のものであり、開口212を介してハウジング5に形成されたチップ装填部50にチップ1が装填(保持)される。
【0030】
また、壁部211の先端側の面には、開口212の外周を囲んで、手の平の血液採取部位(生体表面)900を押し当てる当接部3が、例えば、嵌合、螺合、接着剤による接着等の方法により、固定(または固着)されている。なお、当接部3は、本体2と一体的に形成されたものであってもよい。
【0031】
当接部3のほぼ中央部には、横断面形状がほぼ円形をなす開口30が形成されている。この開口30に臨む面が、血液採取部位900を押し当てる当て面(内面)31を構成する。
【0032】
この当て面31は、本体2の開口212に向かうにしたがって、ハウジング5の中心軸Oに近づくようほぼ一定の角度(図3中θ)で傾斜している。すなわち、当て面31は、円錐台の側面形状(円錐面の頂部付近を除く部分の形状)をなしている。
これにより、血液採取部位900が当接部3に確実に当接することができる。
【0033】
また、当て面31が傾斜していることにより、チップ1をハウジング5(チップ装填部50)に挿入(装填)するとき、チップ1(針ホルダ15)の基端部が当て面31によってチップ装填部50へ案内される、すなわち、ハウジング5の中心軸Oとチップ1(チップ本体13)の中心軸Oとの軸合わせ(位置合わせ)が行われる。これにより、チップ1を成分測定装置10に容易かつ確実に装着することができる。
【0034】
なお、角度θは、特に限定されないが、例えば、45〜85°程度であるのが好ましく、65〜75°程度であるのがより好ましい。
【0035】
図9に示すように、チップ装填状態で、当接部3に血液採取部位900を当接させつつ、成分測定装置10を作動させる。これにより、血液採取部位900の表面(皮膚)が穿刺され、採取された血液中の所定成分(以下、本実施形態では、ブドウ糖を代表として説明する。)の量が測定される。
【0036】
図6および図7に示すように、ハウジング5は、チップ1を挿入可能な横断面形状がほぼ円形の凹部で構成されている。このハウジング5の先端側の部位が、チップ1を装填するチップ装填部50を構成(形成)している。
【0037】
チップ装填部50の内周面51には、その内周面51の周方向に沿って内側に突出した、すなわち、内径が縮径した突出部(縮径部)52が形成されている。チップ装填状態では、チップ1のチップ本体13の基端部(係合部17)が、突出部52に係合(嵌合)する。これにより、チップ1がチップ装填部50に確実に保持される。
【0038】
また、チップ装填状態では、チップ1の係合部17と、チップ装填部50の突出部52とが密着することにより、これらの気密性が保持されている。
【0039】
また、チップ装填部50の内周面51の突出部52より上側、すなわち、開口212付近には、複数(本実施形態では、4つ)の装置側端子41、42、43および44が、ハウジング5の中心軸O方向に沿って配置されている。図8および図9に示すように、装置側端子41、42、43および44は、それぞれ、チップ装填状態で、チップ1の測定部7のチップ側端子731、732、733および734と電気的に接続されるものである。
【0040】
図6に示すように、装置側端子41、42、43および44は、それぞれ、形状がチップ装填部50の内周面51の周方向に沿って突出形成されたリング状(円環状)をなしている。
【0041】
また、装置側端子41および42は、それぞれ、陽極端子および陰極端子であり、各端子は、制御手段11と電気的に接続されている。装置側端子43および44は、それぞれ、陽極端子および陰極端子であり、増幅器24およびA/D変換器25を介して制御手段11と電気的に接続されている。
【0042】
また、本体2の先端部(上部)には、蓋体20が軸(回転軸)213により回動可能に支持されている。
【0043】
蓋体20を閉じると、その蓋体20により、本体2の先端および当接部3が覆われる。一方、図6および図7に示すように、蓋体20を開くと、本体2の先端および当接部3が外部に露出し、チップ1の着脱や測定等を行うことができる。
【0044】
図6に示すように、本体2の正面側の面には、本体2の内外を貫通する表示窓(開口)219が形成されており、その表示窓219は、透明な材料で構成される板状部材で塞がれている。この表示窓219の内側には、表示部12が設置されている。したがって、表示窓219を介して、表示部12で表示される各種情報を確認することができる。
【0045】
表示部12は、例えば、液晶表示素子(LCD)等で構成されている。この表示部12には、例えば、電源のオン/オフ、電源電圧(電池残量)、測定値、測定日時、エラー表示、操作ガイダンス等を表示することができる。
【0046】
また、本体2の正面側の面の先端側(上側)には、凹部215が形成されており、この凹部215内には、操作ボタン216が設置されている。本実施形態の成分測定装置10では、この操作ボタン216を押圧することにより、後述の穿刺手段および減圧手段8のポンプ80が順次あるいはほぼ同時に作動するよう構成されている。なお、この操作ボタン216を押圧することにより、成分測定装置10の電源がオンされたり、制御手段11の記憶部(図示せず)に記憶されたデータを読み出すことができたりする構成としてもよい。
【0047】
制御手段11は、例えば、マイクロコンピュータで構成され、血液が採取されたか否かの判別等、チップ1の測定部7や成分測定装置10の諸動作を制御する。また、この制御手段11は、チップ1の測定部7からの信号に基づいて血液中のブドウ糖量(血糖値)を算出する演算部を内蔵している。
【0048】
また、図8および図9に示すように、本体2内には、ハウジング5(チップ装填部50)内を減圧状態にし得る減圧手段(吸引手段)8が設置されている。この減圧手段8は、ポンプ80と、管路81と、管路81の途中から分岐し、末端が開放端である分岐管82と、分岐管82の途中に設けられた電磁弁83とで構成されている。
【0049】
管路81および分岐管82は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーンゴム、ポリウレタン等の可撓性材料で構成されたチューブで構成されている。
【0050】
ハウジング5には、チップ装填部50と外部とを連通する通気路59が形成されており、管路81の一端は、この通気路59に接続されている。また管路81の他端部には、ポンプ80が設置されている。
【0051】
電磁弁83は、分岐管82の流路を開閉(開放/閉鎖)するものである。
本体2内に設置された電池9は、ポンプ80、電磁弁83、制御手段11、表示部12等と電気的に接続され、これらの作動に必要な電力を供給する。
【0052】
チップ装填状態で当接部132を血液採取部位900で塞いだ状態とし、かつ電磁弁83が閉状態において、ポンプ80を作動すると、チップ装填部50内の突出部52よりも下方の空気、およびチップ装填部50に連通するチップ1内の空気は、通気路59および管路81を介してポンプ80により吸引、排気される。これにより、チップ装填部50内の突出部52よりも下方、およびチップ装填部50に連通するチップ1内は、減圧状態となり、よって、穿刺針14により穿刺された血液採取部位900から血液が吸引される。
【0053】
また、この状態で、電磁弁83を開く(開状態とする)と、前記減圧状態のチップ装填部50に、分岐管82、管路81および通気路59を介して、外部から空気(大気)が導入され、その減圧状態が解除または緩和される。
【0054】
なお、ポンプ80は、血液採取部位900の穿刺部位から血液を吸い出すことができる程度(例えば、−100〜−500mmHg程度)に、チップ装填部50内を減圧状態とすることができるようなものであればよい。
【0055】
成分測定装置10(本体2)の内部の基端側には、チップ1の穿刺針14を先端方向へ移動操作する穿刺手段(移動手段)6が設けられている。穿刺手段6は、チップ装填状態で穿刺針14のハブ142と接続されるプランジャ61と、プランジャ61を先端方向に付勢するバネ(図示せず)とを備えている。
【0056】
この穿刺手段6の作動により、穿刺針14は、穿刺位置(図9中、二点鎖線で示した位置)と、退避位置とに移動することができる。穿刺位置は、成分測定装置10の当接部3およびチップ1(チップ本体13)の当接部132に血液採取部位900を当接した状態(図9に示す状態)で穿刺針14(針体(針部)141)の針先144が開口30(開口212)を通過して血液採取部位900を穿刺する位置であり、退避位置は、針体141の針先144が穿刺位置から退避した位置、すなわち、穿刺針14がチップ1に収納される位置である。
【0057】
このような穿刺針14の移動により、血液採取部位900が穿刺され、当該血液採取部位900(穿刺部位)から血液が確実に流出する。
【0058】
次に、本発明のチップ1について説明する。
前述したように、チップ1は、チップ本体13と、チップ本体13に設置された試験紙18と、チップ本体に設けられた測定部7と、チップ本体13に対し移動可能に設置された穿刺針14とを備えている(図1および図2参照)。以下、各部の構成について説明する。
【0059】
チップ本体13は、筒体で構成され、その外形形状(輪郭)がほぼ回転体形状、すなわち、ほぼ円柱状をなしている。
【0060】
このチップ本体13の先端開口131の縁部には、円環状(リング状)をなす当接部132が先端方向に向って突出形成されている。この当接部132の先端は、チップ装填状態で、血液採取部位900が当接する(押し当てられる)部位である(図9参照)。当接部132が円環状をなすことにより、減圧手段8の作用(作動)によりハウジング5内を減圧状態にすることができるが、減圧しない(減圧手段を有さない)成分測定装置にチップ1を用いる場合には、当接部132は、円環状をなす必要はなく、部分的に切り欠き等を有する、すなわち、皮膚と連続して当接しない部分を有していてもよい。
【0061】
また、図2に示すように、チップ本体13は、その一部(測定部用固定部133)が測定部7を固定する機能を有している。測定部用固定部133は、その横断面形状が扇形をなす部材(部位)である。なお、測定部7についての説明は、後述する。
【0062】
後述するように、成分測定装置10は、当接部3に血液採取部位900を当接した状態で、ハウジング5内(チップ装填部50内の突出部52よりも下方、およびチップ装填部50に連通するチップ1内)を減圧して血液採取部位900の穿刺部位から血液を吸引するよう構成されている。測定部用固定部133は、血液の吸引に悪影響を及ぼさない程度の気密性が保持されるようにチップ本体13に設置されている。
【0063】
チップ本体13の測定部用固定部133が設置される凹部134の底部には、円盤状の試験紙18が設置される試験紙設置部135が設けられている。この試験紙設置部135には、試験紙18の血液の展開を容易にするために空隙139が設けられている(図4参照)。
【0064】
図3および図4に示すように、チップ本体13には、試験紙設置部135と内腔部(中空部)136とを連通するクランク状の血液通路(検体通路)19が形成されている。この血液通路19は、穿刺により得られた血液を試験紙18へ導くための流路であり、内腔部136へ開放する通路開口(血液流入口)191と試験紙設置部135(試験紙18)へ開放する通路開口(血液流出口)192とを有している。通路開口(血液流出口)192には、空隙139に連通するスリット(溝)193が設けられている。これにより、血液が試験紙18に確実に展開される。なお、通路開口192は、試験紙18の中心部付近に位置している。
【0065】
図3および図5に示すように、チップ本体13の内周面137には、チップ本体13(当接部132)の中心軸Oに向かって突出する血液導入ガイド(導液部)16が形成されている。この血液導入ガイド16は、当接部132に当接した血液採取部位900の穿刺後、穿刺部位上に粒状に内腔部136に向かって隆起(流出)した血液に接触し、この血液を受け止めて、血液通路19を介して試験紙18に誘導する機能を有するものである。
【0066】
また、図7に示すように、血液導入ガイド16は、平面視でほぼV字状をなすものである。このV字の谷部161の根元は、通路開口191付近に位置している。
【0067】
このような血液導入ガイド16により、血液導入ガイド16で受け止められた血液は、V字の谷部161に向って流れることとなり、効率よく通路開口191から血液通路19内に導かれる。
【0068】
また、チップ本体13は、樹脂材料で構成されるのが好ましい。この樹脂材料としては、例えば、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフェニレンオキサイド、熱可塑性ポリウレタン、ポリメチレンメタクリレート、ポリオキシエチレン、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、アセタール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の射出成形で用いられる熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
【0069】
図2〜図4に示すように、チップ本体13の試験紙設置部135には、試験紙18の上側の端部(先端部)が当接部132の近傍に位置するように設置されている。これにより、すなわち、血液通路19の全長を短くすることができ、よって、血液採取部位900から流出した血液の量がたとえ少量であっても、当該血液が確実に試験紙18に到達することができる。
【0070】
試験紙18は、円盤状の部材で構成されている。なお、試験紙18の平面視での形状は、図示のような円形(円盤状)のものに限定されることはなく、例えば、楕円形、正方形、長方形、菱形等の四角形、三角形、六角形、八角形等、必要に応じ適宜選択して用いることができる。
【0071】
この試験紙18は、血液採取部位900から流出した血液(検体)を吸収し展開し得る担体(部材)に、試薬を担持させたものである。
【0072】
担体としては、例えば、不織布、織布、延伸処理したシート等のシート状多孔質体が挙げられる。この多孔質体は、親水性を有するものが好ましい。
【0073】
担体に担持される試薬は、検体中の測定すべき成分により適宜決定され、当該検体中の成分に起因して光学的変化を示す成分を含有している。例えば、血糖値測定用の場合、グルコースオキシターゼ(GOD)と、ペルオキシターゼ(POD)と、例えば4−アミノアンチピリン、N−エチルN−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンのような発色剤(発色試薬)とが挙げられ、その他、測定成分に応じて、例えばアスコルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等の血液成分と反応するものと、前記と同様の発色剤(発色試薬)とが挙げられる。また、さらにリン酸緩衝液のような緩衝剤が含まれていてもよい。なお、試薬の種類、成分については、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0074】
図3および図4に示すように、チップ本体13の測定部用固定部133には、測定部7が設けられて(埋設されて)いる。この測定部7は、チップ装填状態で、試験紙18に血液が供給(採取)されるのを光学的に検出するとともに、試験紙18に展開(吸収)された血液中のブドウ糖量(試験紙18の光学的変化)を比色法により光学的に測定するものである。
【0075】
この測定部7は、光学ブロックで構成され、その設置位置は、試験紙18に非接触で対面(近接)した位置(試験紙18の側位近傍)とされる(図3および図4参照)。これにより、例えば、試験紙18に展開された血液が測定部7に接触するのが防止され、よって、測定部7が血液で汚染されて正確な測定が困難となるのを確実に防止することができる。
【0076】
測定部7は、ブロック体(枠体)70と、ブロック体70に固定された発光素子(発光ダイオード)71および受光素子(フォトダイオード)72と、発光素子71と電気的に接続されるチップ側端子(陽極端子)731およびチップ側端子(陰極端子)732と、受光素子72と電気的に接続されるチップ側端子(陽極端子)733およびチップ側端子(陰極端子)734とを有している。
【0077】
発光素子71は、チップ本体13の凹部134に露出している。この発光素子71は、チップ装填状態で、チップ側端子731および732、装置側端子41および42を介して制御手段11と電気的に接続される(図8〜図10参照)。
【0078】
これにより、発光素子71は、制御手段11からの信号によって作動し、光Lを発する。なお、この光Lは、所定の時間間隔で間欠的に発光するパルス光であるのが好ましい。
【0079】
受光素子72は、チップ本体13の凹部134に露出している。この受光素子72は、チップ装填状態で、チップ側端子733および734、装置側端子43および44、増幅器24、A/D変換器25を介して制御手段11と電気的に接続される。
【0080】
これにより、チップ装填状態で、発光素子71を点灯させると、発光素子71から発せられた光Lは試験紙18に照射(投光)され、その試験紙18で反射した光Lは、受光素子72に受光され、光電変換される。受光素子72からは、その受光光量に応じたアナログ信号が出力され、その信号は、増幅器24で所望に増幅された後、A/D変換器25にてデジタル信号に変換され、制御手段11に入力される。
【0081】
また、制御手段11では、入力された信号に基づいて、血液が採取されたか否か、すなわち、血液がチップ1の試験紙18に展開されたか否かを判別する。
【0082】
また、制御手段11では、入力された信号に基づき、所定の演算処理を行い、必要に応じ補正計算等を行って、血液中のブドウ糖の量(血糖値)を求める。求められた血糖値は、表示部12に表示される。
【0083】
チップ側端子731、732、733および734は、チップ本体13(測定部用固定部133)の外周面138の周方向に重ならないように、すなわち、中心軸Oに沿って一列に配置されている。
【0084】
また、チップ側端子731、732、733および734は、それぞれ、チップ装填状態で装置側端子41、42、43および44と対応する位置に配置されている。これにより、チップ装填状態で、対応する端子同士のみが確実に電気的に接触する。
【0085】
また、チップ側端子731、732、733および734は、それぞれ、外周面138から突出形成された点状(ドーム状)をなすものである。
【0086】
このようなチップ側端子731、732、733および734と、前述したリング状の装置側端子41、42、43および44とが設けられていることにより、測定部7(チップ1)は、チップ装填状態で、チップ側端子731、732、733および734がそれぞれ、装置側端子41、42、43および44の周方向のいずれの箇所と電気的に確実に接続される(図8および図9参照)。
【0087】
チップ本体13の外形形状が回転体形状(円柱状)をなしており、また、チップ装着部50の内部空間が円柱状をなしている。これにより、チップ装着部50の中心軸O回りのいかなる回転角度で(複数の回転角度で)チップ1をチップ装填部50に挿入しても、当該チップ1をチップ装填部50に確実に装着することができる。
【0088】
また、いずれの回転角度でチップ装填部50に装着したときでも、すなわち、チップ側端子731、732、733および734が中心軸O回りのいかなる回転角度にあっても、装置側端子41、42、43および44がそれぞれリング状をなしているため、チップ側端子731、732、733および734が装置側端子41、42、43および44と電気的に確実に接続される。これにより、血液採取部位900から流出した血液中のブドウ糖量を確実に測定することができる。
【0089】
また、前述したように、チップ1の係合部17は、チップ装填状態で、成分測定装置10の突出部52に係合する。これにより、チップ1の成分測定装置10に対する中心軸O方向の位置決めがなされる。したがって、係合部17は、チップ1の成分測定装置10に対する中心軸O方向の位置を決める位置決め手段として機能している。
【0090】
また、この位置決め手段、すなわち、係合部17の突出部52への係合により、端子同士が適正に接続される。
【0091】
図1および図2に示すように、チップ本体13の基端部には、穿刺針14を収納可能な針ホルダ15が接続されて(連結されて)いる。この針ホルダ15は、筒体で構成されたものである。
【0092】
なお、針ホルダ15は、チップ本体13と別体で構成されているが、これに限定されず、例えば、チップ本体13と一体的に形成されていてもよい。
【0093】
針ホルダ15に収納される穿刺針14は、針体141と、針体141の基端部に固着されたハブ142とで構成されている。
【0094】
針体141は、例えば、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等の金属材料よりなる中空部材または中実部材で構成され、その先端には、鋭利な針先144(刃先)が形成されている。この針先144により、血液採取部位900が穿刺される。
【0095】
また、ハブ142は、ほぼ円柱状の部材で構成され、その外周面145が針ホルダ15の内周面151を摺動する。
【0096】
このハブ142の基端部には、縮径した縮径部143が形成されている。この縮径部143は、チップ装填状態で、穿刺手段6のプランジャ61と嵌合する。これにより、穿刺手段6が作動することによって、穿刺針14が退避位置から穿刺位置に確実に変位(移動)することができる。
【0097】
次に、チップ装填状態の成分測定装置10の使用方法、すなわち、成分測定装置10を用いて穿刺、血液の採取、展開および血糖値測定を行う場合の各部の動作および制御手段の制御動作について説明する。
【0098】
[1] まず、成分測定装置10の蓋体20を開き、チップ1を先端側からハウジング5のチップ装填部50に挿入する。このとき、チップ1は、中心軸O回りのいかなる回転角度でも確実に挿入されるため、チップ1をチップ装填部50に確実に装填することができる、すなわち、確実にチップ装填状態となる。
【0099】
また、チップ1は、チップ本体13がチップ装填部50(ハウジング5)の突出部52に当接(嵌合)するまで挿入される。
【0100】
チップ1がチップ装填部50に挿入されたとき、穿刺針14の縮径部143が穿刺手段6のプランジャ61に押圧されつつ、縮径部143がプランジャ61の凹部62に接続される(図8参照)。穿刺針14がプランジャ61に押圧されるため、針ホルダ15の内周面151に突出形成された凸部152とハブ142との係合が解除され、穿刺針14の先端方向へ移動する。
【0101】
また、縮径部143がプランジャ61の凹部62に接続されるとともに、測定部7のチップ側端子731、732、733および734と、成分測定装置10の装置側端子41、42、43および44とがそれぞれ電気的に接続される。
【0102】
[2] 次に、図示しない電源スイッチをオンとする。これにより、成分測定装置10の各部が起動し、測定可能な状態となる。なお、電磁弁83は、閉じている。
【0103】
成分測定装置10は、当該成分測定装置10が起動すると、測定部7のチップ側端子731、732、733および734と、成分測定装置10の装置側端子41、42、43および44とが適正に接続されているときは、その旨が表示部12に表示されるよう構成されていてもよい。
【0104】
ここで仮に、チップ本体13がチップ装填部50(ハウジング5)の突出部52に当接(嵌合)するまで挿入されておらず、このため、端子同士の接触が不良となっている(例えば、チップ側端子732と装置側端子41とが接触している)場合は、その接触不良が検出されて、その旨(エラー)が表示部12に表示される。
【0105】
なお、この接触が適正か否か(不良か否か)を判別する方法としては、特に限定されないが、例えば、装置側端子41、42、43および44それぞれの電位を検出し、その検出結果に基づいて判別を行う方法が挙げられる。
【0106】
[3] 次に、当接部3に手の平(血液採取部位900)を押し当てる。また、これに伴なって、チップ1の当接部132にも手の平の一部が当接する。なお、本実施形態の成分測定装置10は、縦置き型であるため、当接部3に手を載せるという簡単な作業で、チップ1の先端開口131は、血液採取部位900により確実に塞がれる。
【0107】
[4] 次に、操作ボタン216を押圧操作し、血液採取部位900の表面(皮膚)を穿刺する(図11のステップS101)。
【0108】
操作ボタン216を押圧すると、穿刺手段6が作動して穿刺針14が先端方向に移動し、針体141が先端開口131を通過して当該先端開口131より突出し、手の平(体液採取部位)の表面を穿刺する。これにより、針体141による穿刺部位からは、出血が生じる。
【0109】
また、前記操作ボタン216の押圧により、ポンプ80の作動スイッチ(図示せず)もほぼ同時にオンされる。
【0110】
[5] 針体141が血液採取部位900を穿刺した後は、穿刺針14は基端方向へ戻され、針体141の針先144は、チップ1内に収納される、すなわち、穿刺針14は、退避位置に変位する。
【0111】
[6] 前記ポンプ80の作動スイッチがオンすると、制御手段11は、ポンプ80の作動を開始させる(図11のステップS102)。
【0112】
すなわち、前記[4]の操作とほぼ同時にポンプ80が作動し、ハウジング5のチップ装填部50内の空気の吸引、排気が開始される。これにより、チップ装填部50(チップ1内を含む)は、その圧力が低下し、減圧状態となる。
【0113】
このとき、血液採取部位900の針体141による穿刺部位も減圧状態となっている。そのため、穿刺部位から血液が吸い出され、出血が促進されるので、必要な血液量を短時間で確保することができる。
【0114】
なお、このようなポンプ80により生じる最低圧力は、例えば−100〜−500mmHg程度であるのが好ましい。
【0115】
以上のように、成分測定装置10では、1回の操作ボタン216の押圧により、穿刺動作と減圧動作とがほぼ同時に行われるため、その操作性が極めて良い。
【0116】
[7] 前記[6]の操作で、手の平(血液採取部位900)の穿刺部位上に粒状に隆起した血液は、チップ1内に吸引され、その内部に形成された血液導入ガイド16に接触して、血液通路19に導入され、さらに、血液通路19を介して試験紙18へ導かれる。そして、試験紙18の中心部に供給され、放射状に展開される。
【0117】
試験紙18上への血液の供給、展開に伴い、血液中のブドウ糖(測定すべき成分)と試験紙18に担持された試薬とが反応し、試験紙18は、ブドウ糖量に応じて呈色する。
【0118】
一方、制御手段11は、図11に示すステップS102を実行した後、測定部7を駆動し、その測定部7を介して試験紙18の呈色を監視(モニタ)し、血液が採取されたか否かを判断する(図11のステップS103)。
【0119】
このステップS103では、測定部7の受光素子72から入力される信号の電圧レベルが予め設定されているしいき値を超えた場合には、血液が採取されたと判断し、前記信号の電圧レベルがそのしいき値以下である場合には、血液が採取されていないと判断する。
【0120】
なお、前記しきい値は、試験紙18が呈色する前の前記信号の電圧レベルより十分大きく、かつ、呈色したときの前記信号の電圧レベルより十分小さい値に設定される。
【0121】
前記ステップS103において、血液が採取されていないと判断した場合には、タイムアップか否かを判断する(図11のステップS104)。
【0122】
前記ステップS104において、タイムアップではないと判断した場合には、ステップS103に戻り、再度、ステップS103以降を実行し、タイムアップと判断した場合には、エラー処理を行う(図11のステップS105)。
【0123】
このステップS105では、ポンプ80を停止し、電磁弁83を開いて、前記減圧状態を解除するとともに、エラーである旨を示す表示(エラー表示)を表示部12に表示する。
【0124】
操作者(使用者)は、このエラー表示により、エラーであること(何らかのトラブルがあったこと)を把握することができる。
【0125】
なお、前記電磁弁83を開いたときの作用は、後に詳述する。
また、前記ステップS103において、血液が採取されたと判断した場合には、ポンプ80を停止する(図11のステップS106)。
【0126】
次いで、電磁弁83を開いて、前記減圧状態を解除する(図11のステップS107)。
【0127】
電磁弁83が開くと、分岐管82、管路81および通気路59を介して、チップ装填部50(チップ1内を含む)および血液採取部位900の穿刺部位に外気(大気)が流入し、大気圧に復帰する。
【0128】
手の平の穿刺部位の周辺における吸引感がなくなり、大気圧に戻ったことが確認されたら、手を当接部3から離す。
【0129】
[8] 制御手段11は、図11に示すステップS107を実行した後、前記試験紙18の呈色の度合いを受光素子72(測定部7)により測定する。そして、受光素子72から出力された信号が、チップ側端子733および734と装置側端子43および44とを介して制御手段11に送信される。制御手段11は、送信された信号(得られたデータ)に基づき演算処理し、温度補正計算、ヘマトクリット値補正計算等の補正を行い、血糖値を定量化する(図11のステップS108)。
【0130】
またこの場合、チップ装填部50(チップ1内を含む)の減圧状態、すなわち、試験紙18の収納空間の減圧状態が解除されているので、血液中のブドウ糖(測定すべき成分)と試験紙18に担持された試薬との反応に必要な大気中の成分(例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気等)が十分に供給され、これにより血糖値を正確に測定することができる。
【0131】
次いで、前記算出された血糖値を表示部12に表示する(図11のステップS109)。これにより、血糖値を把握することができる。
【0132】
なお、減圧状態が解除された後、次回の測定に備え、電磁弁83を再び閉じる。
また、使用済となったチップ1は、その一部が、図示しないイジェクト機構によって、成分測定装置10から突出する。これにより、前記使用済のチップ1を成分測定装置10から取り出すことができる。
【0133】
以上のような操作により、確実に血液を採取することができ、その結果、血糖値を正確かつ確実に測定することができる。
【0134】
<第2実施形態>
図12は、本発明の成分測定用チップの第2実施形態を示す斜視図である。
【0135】
以下、この図を参照して本発明の成分測定用チップの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0136】
本実施形態は、チップ本体の外形形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0137】
図12に示すチップ本体13Aは、その外形形状が円錐台形状をなすものである。この円錐台形状は、先端側の径が基端側の径より大きく設定されている。
【0138】
これにより、チップ本体13Aの中心軸O回りのいかなる回転角度で、チップ1をチップ装填部50に挿入しても、当該チップ1をチップ装填部50に確実に装着することができる。
【0139】
<第3実施形態>
図13は、本発明の成分測定用チップの第3実施形態を示す斜視図である。
【0140】
以下、この図を参照して本発明の成分測定用チップの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0141】
本実施形態は、チップ側端子および装置側端子のそれぞれの形状が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0142】
図13に示すように、チップ側端子731A、732A、733Aおよび734Aは、それぞれ、チップ本体13の外周面138の周方向に沿って突出形成されたリング状をなしている。
【0143】
また、装置側端子41A、42A、43Aおよび44Aは、それぞれ、チップ装填部50の内周面51から突出形成された点状をなすものである。
【0144】
このような構成により、測定部7(チップ1)は、チップ装填状態で、チップ側端子731A、732A、733Aおよび734Aの周方向のいずれかの箇所が、それぞれ、装置側端子41A、42A、43Aおよび44Aと電気的に確実に接続される。
【0145】
以上、本発明の成分測定用チップを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、成分測定用チップを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0146】
また、本発明の成分測定用チップは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0147】
例えば、前記第2実施形態の各チップ側端子が、前記第3実施形態の各チップ側端子のようにリング状をなすものであってもよい。
【0148】
また、チップ本体は、その外形形状が回転体形状をなすものであるのに限定されず、例えば、外形形状が正多角柱状をなすものであってもよい。
【0149】
チップ本体外形形状が正多角柱状をなす場合、チップ側端子は、前記第1実施形態のチップ側端子のように点状をなすものであってもよいし、前記第3実施形態のチップ側端子のようにリング状をなすものであってもよい。また、装置側端子は、前記第1実施形態のチップ側端子のようにリング状をなすものであってもよいし、前記第3実施形態のチップ側端子のように点状をなすものであってもよい。
【0150】
また、各チップ側端子は、チップ本体の外方に向って付勢されていてもよい。これにより、チップ装填状態で、各チップ側端子が各装置側端子と確実に接触することができる。
【0151】
また、複数のチップ側端子で構成される端子群、または複数の装置側端子で構成される端子群は、当該端子群を構成する部材の厚さ方向、すなわち、チップ本体の径方向にのみ導電性が生じ、これと直交する部材の面方向、すなわち、チップ本体の中心軸方向には導電性が生じない、いわゆる異方導電コネクタで構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の成分測定用チップの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す成分測定用チップの分解斜視図である。
【図3】図1中のA−A線断面図である。
【図4】図3中の一点鎖線で囲まれた領域[B]の拡大図である。
【図5】図1に示す成分測定用チップの平面図である。
【図6】図1に示す成分測定用チップを装着して使用する成分測定装置の斜視図である。
【図7】図6に示す成分測定装置の側面図である。
【図8】図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置の縦断面図である。
【図9】図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置の縦断面図である。
【図10】図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置のブロック図である。
【図11】図1に示す成分測定用チップを装着した状態の成分測定装置の制御手段の制御動作(一部、操作者の動作等を含む)を示すフローチャートである。
【図12】本発明の成分測定用チップの第2実施形態を示す斜視図である。
【図13】本発明の成分測定用チップの第3実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0153】
1 成分測定用チップ(チップ)
2 本体
20 蓋体
211 壁部
212 開口
213 軸
215 凹部
216 操作ボタン
219 表示窓
3 当接部
30 開口
31 当て面
41、42、43、44、41A、42A、43A、44A 装置側端子
5 ハウジング
50 チップ装填部(チップ装着部)
51 内周面
52 突出部
59 通気路
6 穿刺手段(移動手段)
61 プランジャ
62 凹部
7 測定部
70 ブロック体(枠体)
71 発光素子(発光ダイオード)
72 受光素子(フォトダイオード)
731、732、733、734、731A、732A、733A、734A チップ側端子
8 減圧手段
80 ポンプ
81 管路
82 分岐管
83 電磁弁
9 電池
10 成分測定装置
11 制御手段
12 表示部
13、13A チップ本体
131 先端開口
132 当接部
133 測定部用固定部
134 凹部
135 試験紙設置部
136 内腔部(中空部)
137 内周面
138 外周面
139 空隙
14 穿刺針
141 針体(針部)
142 ハブ
143 縮径部
144 針先
145 外周面
15 針ホルダ
151 内周面
152 凸部
16 血液導入ガイド(導液部)
161 谷部
17 係合部
18 試験紙
19 血液通路(検体通路)
191 通路開口(血液流入口)
192 通路開口(血液流出口)
193 スリット(溝)
24 増幅器
25 A/D変換器
S101〜S109 ステップ
900 血液採取部位
、O 中心軸
、L

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
チップ本体と、
前記チップ本体に設置され、体液の成分に起因して光学的変化を示す成分を有する試験紙と、
前記チップ本体に設置され、前記試験紙の光学的変化を測定可能な測定部と、
前記チップ装着部に装着されるとき、複数の回転角度で装着可能な中心軸とを有し、
前記複数の回転角度のいずれの回転角度で前記チップ装着部に装着したときでも、前記測定部が前記成分測定装置と電気的に接続されるよう構成されていることを特徴とする成分測定用チップ。
【請求項2】
前記チップ本体は、その外形形状がほぼ回転体形状をなすものである請求項1に記載の成分測定用チップ。
【請求項3】
前記回転体形状は、円柱状または円錐台形状である請求項2に記載の成分測定用チップ。
【請求項4】
前記測定部は、前記試験紙に光を投光する発光素子と、前記試験紙で反射した反射光を受光し、光電変換する受光素子と、前記発光素子および前記受光素子のそれぞれと電気的に接続される複数のチップ側端子とを有するものであり、
前記チップ装着部には、前記複数のチップ側端子のそれぞれと電気的に接続可能な複数の装置側端子が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項5】
前記チップ装着部は、前記成分測定用チップを挿入可能な凹部で構成されており、
前記各チップ側端子は、前記チップ本体の外周面に配置されており、
前記各装置側端子は、前記チップ装着部の内周面に配置されている請求項4に記載の成分測定用チップ。
【請求項6】
前記各チップ側端子は、点状をなすものであり、
前記各装置側端子は、前記チップ装着部の内周面の周方向に沿って形成されたリング状をなすものである請求項4または5に記載の成分測定用チップ。
【請求項7】
前記各チップ側端子は、前記チップ本体の外周面の周方向に沿って形成されたリング状のものであり、
前記各装置側端子は、点状をなすものである請求項4または5に記載の成分測定用チップ。
【請求項8】
先端に鋭利な針先を有する針部と、該針部の基端部に固着されたハブとを有する穿刺針をさらに備え、
前記チップ本体の先端には、生体表面が当接する環状に突出した当接部が設けられており、
前記穿刺針は、前記当接部に生体表面を当接した状態で当該生体表面を穿刺する位置と、その位置から退避した位置とに移動可能に設置されている請求項1ないし7のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項9】
前記試験紙の少なくとも一部は、前記当接部の近傍に位置している請求項8に記載の成分測定用チップ。
【請求項10】
生体表面から流出した体液を前記試験紙に誘導する導液部をさらに備える請求項1ないし9のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項11】
前記試験紙と前記測定部とは、互いに対面している請求項1ないし10のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項12】
前記中心軸方向の位置を決める位置決め手段をさらに備える請求項1ないし11のいずれかに記載の成分測定用チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−78403(P2007−78403A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263825(P2005−263825)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】