説明

成形品及びコネクタ

【課題】高温下に曝されたり、その後に冷却されたりした場合でも反りの発生を少なくすることができる成形品を提供する。
【解決手段】高温下に曝される成形品であって、液晶ポリマーとカーボンナノチューブとガラス充填材とを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー工程などの高温下工程に供される成形品及びコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にコネクタの成形材料としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA(ポリアミド)、PS(ポリスチレン)、PC(ポリカーボネート)などが使用される場合もある(特許文献1参照)。しかし、これらのエンジニアリングプラスチックスでは、溶融粘度が高く、金型内に充填できないので、狭ピッチコネクタやFPCコネクタと呼ばれる薄肉微小な成形品は、通常、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)を用いて樹脂部分を成形している。FPC(Flexible・Printed・Circuits)は、ポリイミドフィルムをベースとして、銅電極等をパターニングした回路基板である。狭ピッチコネクタは、基板対基板、基板対FPC、FPC対FPC、回転タイプなどの種類がある。また、狭ピッチコネクタは、端子間距離が、0.2mm〜0.8mmの配列をしており、電気絶縁が必要な筐体部分が熱可塑性樹脂で形成されており、銅などでできている端子部分は樹脂成形される際にインサート成形、または後工程で圧入されたりする。
【0003】
LCPは、優れた流動性と機械特性、耐熱性を兼ね備えた樹脂材料であるが、異方性が大きいため、ガラス繊維や炭素繊維などを充填することにより、異方性を小さくすることができ、薄肉成形品を製作する際に有効に使用される。LCPの異方性のため、高温下ではLCPで成形された製品は反りが発生しやすく、また、冷却される過程で、残留応力のために反りが増長されやすい。そして、狭ピッチコネクタは、基板と金属端子がはんだで接合されるが、実装工程では、リフロー炉を通過することによって、高温下に曝される。
【0004】
また、LCPは、成形品の異方性を改良するためにガラス繊維、炭素繊維、マイカ、タルクなどの無機フィラーによる強化も行われる。この場合、ガラス繊維には、さまざまな種類があるが、φ10μm、長さ0.1mm程度のものが多く用いられる。熱変形による反りを縮小するには、製品肉厚を増やすなどの手法が取られるが、小型、薄型化が望まれる中で、設計自由度が制約される。
リフロー工程で、狭ピッチコネクタに反りが発生すると金属端子と基板に形成されている回路との間に隙間が発生し、はんだがその隙間を埋められるだけの体積を維持できないために金属端子と回路とが離れた状態ではんだが固まってしまい、電気的に導通できない接合不良となってしまう。また、同じように狭ピッチコネクタが常温まで冷却され、その後、反り変形を発生させるような場合においても、金属端子が回路から離れてしまい、電気的に導通していない接点不良を誘発してしまう。従って、狭ピッチコネクタの加熱時の反り変形が少ないことが望ましいのは、言うには及ばず、常温に冷却された後でも反り変形は少ないことが望まれる。
【0005】
しかしながら、主にガラス繊維で補強された従来の成形材料では、高温中の反りも大きく、常温に戻った後の反りに対しても大きくなる傾向があった。また、狭ピッチコネクタを実装する際にリフロー炉を通るが、その際基板温度は260℃以上になるため、熱可塑性樹脂で出来ている筐体部分は、高温下で熱変形を起こし、反りによって金属端子が基板から浮き上がることによって、はんだで端子と基板とを接合できなくなる不具合が生じることがあった。また、近年の傾向より、薄型、省スペースの製品に対応して、狭ピッチコネクタも薄肉化がすすんでいるため、より熱変形に対して不利な製品形状となっている。特に、最薄肉厚0.1mm、あるいは、部分的に肉厚が0.06mmまで製品形状が設定され、260℃高温化での反り変形に対して、不利となる傾向がある。この場合、製品肉厚が薄い部分には、繊維長の長いガラス繊維が自由に回転できない、形状に進入できないなどの理由で、強度的にも補強されず、均等な成形収縮が得られないために反り変形を増長させていると考えられる。また、リフロー後常温まで冷却される過程で、さらに反り変形が大きくなるとはんだで接合された接点を剥して、端子が浮き上がり、導通不良を発生することもある。さらに、LCPに耐熱性をあげるために比熱の高い充填材を混合すると内部に熱がこもり、リフロー中の反り変形が大きくなる傾向がある。また、狭ピッチコネクタの形状は、端子部など微細な形状となっており、また、金属端子と金属端子の間は、ガラス繊維による補強がしにくかったため、単純形状と異なり、反り変形が増長される一要因になっていると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−225548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高温下に曝されたり、その後に冷却されたりした場合でも反りの発生を少なくすることができる成形品及びコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の成形品は、高温下に曝される成形品であって、液晶ポリマーとカーボンナノチューブとガラス充填材とを含有して成ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明にあっては、前記成形品全量に対して、前記カーボンナノチューブの含有量が2.5〜15質量%、前記ガラス充填材の含有量が20〜32.5質量%、前記カーボンナノチューブと前記ガラス充填材の合計含有量が35質量%以下であることが好ましい。
【0010】
本発明にあっては、前記成形品全量に対して、前記カーボンナノチューブの含有量が5〜10質量%、前記ガラス充填材の含有量が25〜30質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明のコネクタは、前記成形品に端子部を設けて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、高温下に曝されたり、その後に冷却されたりした場合でも反りの発生を少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)はソケットの斜視図、(b)はヘッダの斜視図、(c)はソケットの一部の断面図、(d)はヘッダの一部の断面図である。
【図2】成形機の一例を示す正面図である。
【図3】本発明と従来品との反りの挙動を示す説明図である。
【図4】リフロー装置での温度履歴を示すグラフである。
【図5】CNT含有量と反り変形量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0015】
成形品は、液晶ポリマー(以下、「LCP」と略称)とカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略称)とガラス充填材とを含有する成形材料を所望の形状に成形して得ることができる。
【0016】
LCPとしては、公知の溶融型液晶ポリマー(サーモトロピック液晶ポリマー)を用いることができ、4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸共重合体やテレフタル酸/4−ヒドロキシ安息香酸重縮合体などを例示することができる。LCPの種類は、成形時の流動性、成形品のリフロー時の変形量や機械的強度、耐熱性などを考慮して選定すればよく、成形時の流動性の改善のために、骨格構造の異なる複数種のLCPを混合して使用しても良い。特に、溶融粘度の低いLCPを用いることによって、0.2mm以下の厚みで設計された狭ピッチコネクタの絶縁部分を容易に成形することが可能となる。
【0017】
CNTは炭素材料であって、化学的に安定かつ電気伝導性、摺動性、機械的強度に優れるものである。CNTとしては、直径が15〜150nm、長さが3〜10μmのものを用いることができる。また、CNTとしては、グラファイトのシートが1層に筒状に巻かれた単層CNTを用いることができるが、グラファイトのシートが2層以上の多層に巻かれた多層CNTを使用または併用しても良い。多層CNTは単層CNTよりも量産性に優れ、比較的安価に入手できるため、コストを抑えることができる点で好ましい。
【0018】
ガラス充填材としては、ガラス繊維やガラスビーズなどを用いることができる。ガラス繊維としては、直径が5〜50μm、長さが30〜150μmのものを用いることができる。ガラスビーズとしては直径が5〜50μmを使用することができる。ガラスビーズとガラス繊維とは併用してもよく、ガラスビーズは成形材料の流動性を向上する目的で使用可能である。
【0019】
そして、LCPとCNTとガラス充填材とを所定量ずつ配合して混合することにより成形材料を調製することができる。この混合には、例えば、二軸押出混練装置などの混練機を用いることができ、また、300〜370℃に加熱しながら略均一になるまで混合する。また、混合調製された成形材料を円筒形にペレット化して射出成形用等の成形材料にすることができる。
【0020】
本発明の成形品は、上記の成形材料を射出成形などで成形することによって得ることができる。成形条件としては、例えば、温度300〜370℃、注入圧力50〜200MPaなどとすることができるが、これに限定されるものではない。また、射出成形機としては、図2に示すように、固定金型及び移動金型を有し、溶融した成形材料を所望の形状に成形するための成形部Pと、この成形部Pの金型内に溶融した成型材料を射出するための射出部(可塑化装置等を含む)Sと、射出部Sに成形材料を供給するための供給部Eとを備えた竪型のものを例示することができる。また、供給部Eは円錐状のホッパーHと、ホッパーHと射出部Sを接続する円管状のパイプDとで構成されている。そして、ホッパーHに投入されたペレット状の成形材料が滑り落ちながらパイプDを通じて射出部Sに供給されるが、このときに、ホッパーHやパイプDに成形材料が詰まって射出部Sに供給されにくくなる、ホッパーブリッジと呼ばれるペレットの凝集現象が生じることがある。しかし、本発明で用いるペレット状の成形材料では、導電性を有する繊維状のCNTがペレットの表面に露出してホッパーHやパイプDの内面に点接触するために、静電気や摩擦抵抗の影響を受けにくくなる。従って、ホッパーブリッジが生じにくくなって成形材料がスムーズに供給されることになる。
【0021】
本発明の成形品Aは、リフロー工程などの高温下に曝される電子部品等の樹脂部分を構成するための成形品に好適に用いることができ、特に、銅などの金属端子を備えるコネクタの電気絶縁性を有する樹脂部分(フレーム部分)に用いることができる。また、コネクタの中でも、端子間距離が0.2mm〜0.8mmの狭ピッチコネクタに本発明の成形品を用いることが好ましい。このようなコネクタCは図1(a)(c)に示すソケットC1と、図1(b)(d)に示すヘッダC2とで構成されるものであり、金属端子Tは成形品Aの成形と同時にインサート成形したり成形品の成形後に圧入されたりして設けることができる。ソケットC1とヘッダC2はロック機構Rにより結合保持可能に形成されている。そして、本発明では熱負荷を受けたときの成形品の反り変形をガラス繊維だけで補強するよりも小さくすることができ、さらに成形性にも優れるため、成形時の不必要な残留応力が緩和されるため反り変形に対して優位な効果が得られる。
【0022】
本発明の成形品は、成形品の全量に対して、CNTの含有量が2.5〜15質量%、ガラス充填材の含有量が20〜32.5質量%、CNTとガラス充填材の合計含有量が35質量%以下であることが好ましい。フィラーの量が多いほど成形品に剛性が付与され、初期の弾性率が高いので、反り変形に対しても有利である。しかし、CNTの含有量が2.5質量%未満であると、反り低減の効果が得にくくなるおそれがあり、CNTの含有量が15質量%よりも多くなると、樹脂成分(LCP)以外のフィラーの表面積が増加し、バインダとしての樹脂部分が不足するため、成形品が脆くなるおそれがある。ガラス充填材の含有量が20質量%未満であると、反り低減の効果が得にくくなるおそれがあり、ガラス充填材の含有量が32.5質量%よりも多くなると、樹脂成分(LCP)以外のフィラーの表面積が増加し、バインダとしての樹脂部分が不足するため、成形品が脆くなるおそれがある。CNTとガラス充填材の合計含有量が35質量%よりも多いと、樹脂成分(LCP)以外のフィラーの表面積が増加し、バインダとしての樹脂部分が不足するため、成形品が脆くなるおそれがある。反り変形の低減と流れ性などの成形性とを考慮すると、成形品全量に対してCNTの含有量が5〜10質量%、ガラス充填材の含有量が25〜30質量%であることがより好ましい。尚、成形品に高い電気絶縁性を付与するためには、導電性のあるCNTの含有量を5質量%以下にすることが好ましいが、導電性を失活させたCNTを用いれば、5〜15質量%の範囲でも、反りの低減と絶縁性の確保の効果を得ることができる。
【0023】
狭ピッチコネクタの要求特性として、基板から端子が剥がれないようにリフロー中でも、また、高温から常温に温度低下する際にも製品の反りが小さくすることが求められている。このような狭ピッチコネクタの成形材料の充填材として、ガラス繊維やタルクなどの鉱物などが使用された場合、特に、ガラス繊維で補強された成形材料では、高温中の反りも大きく、常温に戻った後の反りに対しても大きくなる傾向があった。すなわち、図3に示すように、狭ピッチコネクタを実装する際にリフロー炉を通るが、その際基板温度は260℃以上になるため、熱可塑性樹脂で出来ているフレーム部分は、高温下で熱変形を起こし、反りによって端子が基板から浮き上がることによって、はんだで端子と基板が接合できなくなる不具合が生じる。特に、近年の傾向より、薄型、省スペースの製品に対応して、狭ピッチコネクタも薄肉化がすすんでいるため、より熱変形に対して不利な製品形状となっている。例えば、最薄肉厚0.1mm、あるいは、部分的に肉厚が0.06mmまで製品形状が設定され、260℃高温化での反り変形に対して、不利となる傾向がある。そして、製品肉厚が薄い部分には、繊維長の長いガラス繊維が自由に回転できない、形状に進入できないなどの理由で、強度的にも補強されず、均等な成形収縮が得られないために反り変形を増長させていると考えられる。また、リフロー後常温まで冷却される過程で、さらに反り変形が大きくなるとはんだで接合された接点を剥して、端子が浮き上がり、導通不良を発生することがある。また、LCP樹脂に耐熱性をあげるために比熱の高い充填材を混合すると内部に熱がこもり、リフロー中の反り変形が大きくなる傾向がある。狭ピッチコネクタの形状は、端子部など微細な形状となっており、また金属端子と金属端子の間にガラス繊維に補強がしにくかったため、単純形状と異なり、反り変形が増長される一要因になっている。また、狭ピッチコネクタは、高い圧力で金型内に溶融した成形材料が充填されるため、残留応力により、加熱時の反り変形が発生しやすい。
【0024】
そこで、本発明の成形品では、LCPとCNT及びガラス充填材を含有して形成されるものであり、これにより、熱負荷を受けたときの反り変形をガラス繊維だけで補強するよりも小さくすることができ、狭ピッチコネクタのリフロー工程での反り変形が小さくなると共にリフロー工程を通過後で基板からの端子剥がれによる接合不良が発生しにくくなるものである。尚、既存の成形材料にCNTを混合することは、一般に行われているが、主に導電性を付与する目的で混合されている。リフロー工程を想定した加熱冷却時の反り変形を縮小することを目的とした使用は今までになかった。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0026】
(実施例1〜5、比較例1〜3)
LCPとしては、フレーク状のLCP(上野製薬製ベースレジン)A6000を用いた。CNTとしては、昭和電工(株)製VGCF(カーボンナノチューブ繊維径φ150nm、繊維長10〜20μm)を用いた。ガラス充填材としては、直径10μm、長さ100μmの円筒形のガラス繊維、又は直径10μmのガラスビーズを用いた。
【0027】
LCPとCNTとガラス充填材との混練は表1に示す量で配合し、二軸混練機で混合した。二軸混練機はスクリュー径15mm、軸長/軸径比(L/D):60であり、350℃で加熱混合した。次に、二軸混練機で製作した成形材料を円筒状のペレットに形成し、射出成形用の成形材料とした。
【0028】
次に、ペレットの成形材料を竪型射出成形機で成形し、基板対基板用の狭ピッチコネクタ(80芯(片側40芯))のヘッダを成形した。この場合、ペレット状の成形材料を射出成形機によって、加熱溶融し(温度350℃)、金属端子をインサートとし金型中に充填・冷却を行った。また、薄肉成形品が加熱時の反り変形に対して不利になるため、連続した薄肉部分の面積が大きい基板対基板接合用の狭ピッチコネクタのヘッダを採用した。狭ピッチコネクタのヘッダの薄肉部分の厚みは概ね0.2mmであった。
【0029】
そして、以下の項目について評価をした。
(1)リフロー中の反り評価
リフロー中の試料(狭ピッチコネクタのヘッダ)の反りを評価した。リフロー温度は、180℃で100秒間予備加熱を行った後、基板の温度が最高で260℃となる設定で行われた。尚、基板の温度が260℃であるので、炉内の気中温度は、約280℃に達することも有り得る。気中の温度は炉内の基板が移動しながら、図4に示す温度履歴となるように設定される。リフロー中の反り測定には、レーザー距離測定機を搭載した加熱装置でガラス面に置かれた試料の端子平坦度を測定することによって、変化量を求めた。端子平坦度は、金属端子1本1本の基板(ガラス面)との距離を測定し、その最大値によって、大きさを比較した。また、反り方向を観察するために1本1本の端子平坦度をならべることにより、傾向を示すことが可能である。
□リフロー炉中の各温度における端子平坦度の測定として、ガラス板の上に試料を載せ、ガラス板の下に設置されたレーザー距離測定計によって、金属端子とガラス面の隙間の寸法を端子平坦度とした。その際、ガラス面の温度が最高260℃となるように実際のリフロー装置と同じ環境になるように温度プログラムされている。
(2)リフロー後の反り評価
リフロー炉を通過した後、試料が常温に冷却されて、24時間以上経過の後、上記と同様にして端子平坦度を測定した。
(3)ホッパーブリッジの有無
竪型の射出成形機の円錐形のホッパーと円筒状のパイプの部分から成る成形材料供給器でのペレットの詰まりを観察し、可塑化装置中の回転するスクリューへのペレットの導入しやすさを評価した。以下に評価基準を示す。
【0030】
×…ペレットの詰まりの発生頻度が高く、ペレットがスクリューに入っていきにくいもの。
【0031】
△…ペレットの詰まりが時々発生し、ややペレットがスクリューに入っていきにくいもの。
【0032】
○…ペレットの詰まりがほぼ発生せず、ペレットがスクリューに入っていきやすいもの。
【0033】
◎…ペレットの詰まりが全く発生せず、ペレットがスクリューにスムーズに入っていきやすいもの。
(4)充填圧力
充填圧力の測定には、射出成形機に設置された表示機により、表示値の平均値とした。
【0034】
評価結果を表1及び図5に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
実施例1〜5は比較例1〜3よりもリフロー中の反りが小さくなった。実施例1〜5は比較例1〜3よりもリフロー中で反ったとしてもリフロー後に戻す割合が大きくなった。また、実施例1〜5では比較例1〜3に比べて、CNTとガラス充填材とを配合することにより射出成形時の充填圧力が高くなるが、実用上、問題なく成形することができ、しかも、CNTとガラス充填材の配合により反りの低減を図ることができるものである。従って、実施例1〜5は成形性を損なわずに反りの小さい成形品を製造することができる。
【符号の説明】
【0037】
A 成形品
C コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温下に曝される成形品であって、液晶ポリマーとカーボンナノチューブとガラス充填材とを含有して成ることを特徴とする成形品。
【請求項2】
前記成形品全量に対して、前記カーボンナノチューブの含有量が2.5〜15質量%、前記ガラス充填材の含有量が20〜32.5質量%、前記カーボンナノチューブと前記ガラス充填材の合計含有量が35質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記成形品全量に対して、前記カーボンナノチューブの含有量が5〜10質量%、前記ガラス充填材の含有量が25〜30質量%であることを特徴とする請求項2に記載の成形品。
【請求項4】
前記成形品に端子部を設けて成ることを特徴とするコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46621(P2012−46621A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189534(P2010−189534)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】