成形品取出機の制御装置
【課題】 成形品取出機のアームの基本的な動作に新たな動作を加えたい場合に、制御装置の操作パネルを操作してプログラムを容易に変更することが可能な成形品取出機の制御装置を提供する。
【解決手段】 CPU内のROMに、アームの基本動作を指令する基本プログラムの他に、基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておき、操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能とし、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能にする。
【解決手段】 CPU内のROMに、アームの基本動作を指令する基本プログラムの他に、基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておき、操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能とし、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成形機に搭載された成形品取出機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品取出機のアーム先端にはチャック板が取り付けられており、チャック板が待機位置から移動して型開した金型間に入り込んで成形品を取出し、排出位置に移動してそこで成形品を排出し、再び待機位置に戻る基本的なサイクルを繰り返すが、このアームの動作は、制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて行われる。このプログラムを作成するには、プログラマーが成形機のアームの動作を想定しながらパソコンなどの外部端末機を利用してプログラムを組み、手動運転にて動作を確認しながらプログラムを完成させている。この外部端末機は、成形品取出機とは切り離されてオフライン状態にあり、また、完成されたプログラムは専用ソフトを利用してプログラム言語からマシン言語に翻訳されているために制御装置の操作パネル上からはプログラムを確認したり変更することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
成形品取出機のアーム動作の基本的なサイクルは前述のとおりであるが、プログラムを変更して基本的な動作に新たな動作を追加したいことがある。例えば、インサート成形のように、チャック板がインサート用の部品を保持した状態で待機し、型開き時に金型内にこの部品を挿入して成形を行い、次の型開き時にインサート済みの成形品を取出す場合や、金型から取出した成形品を一旦排出場所に排出してそこで冷却させ、次にこの排出場所と異なる位置にあるパレット上に移動してこのパレットから冷却した成形品を取出してコンベアに移し変える場合などである。
【0004】
しかし、プログラムを変更するには、外部端末機と専用ソフトを利用してプログラムを参照しながら変更しなければならないが、これには高度の専門知識を要するため、一般ユーザーが簡単に行うことは困難であり、専門メーカーに依頼して変更しているのが実情である。
【特許文献1】特開2002−120175公報
【0005】
そこで本発明は、成形品取出機のアームの前述の基本的な動作に新たな動作を加えたい場合に、制御装置の操作パネルを操作してプログラムを容易に変更することが可能な成形品取出機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明は、制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて成形品取出機のアームが所定の動作を行い、その動作の各ステップが制御装置の操作パネルに表示される成形品取出機の制御装置において、CPU内のROMに、アームに取り付けられたチャック板が待機位置から移動して金型の成形品を取出し、排出位置に移動して成形品を排出し、待機位置に戻る基本動作を指令する基本プログラムの他に、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておき、操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能とし、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能にする。
【発明の効果】
【0007】
CPU内のROMに、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておくので、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムの基本プログラムへの挿入が操作パネルの操作によって可能となり、極めて簡単にプログラムを変更することができる。また、挿入された付加プログラムの挿入解除も操作パネルの操作によって可能であるので、一旦変更したプログラムを他のプログラムに変更したり、元の基本プログラムに戻すことも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1において、成形機5の固定ダイプレート51と可動ダイプレート52に金型53が取り付けられている。そして、成形機5に成形品取出機4が搭載されている。成形品取出機4の走行軸部材41は固定ダイプレート51の上に取り付けられており、金型53の開閉方向に直行する方向に伸びている。走行軸部材41上に水平軸部材42が走行軸部材41に沿って移動可能に配置されており、また、垂直方向のアーム43が水平軸部材42に上下動可能かつ金型53の開閉方向に移動可能に配置されている。アーム43の下端部がチャック部44であり、チャック部44に金型53の対応したチャック板(図示せず)が取り付けられる。チャック板には成形品を取出すのに必要な吸盤チャックやランナーチャックなどが取り付けられている。走行軸部材41と水平軸部材42およびアーム43は図示しないステッピングモータやサーボモータなどによって駆動される。
【0009】
成形品取出機4は、図1に示したもの以外に、チャック部44を成形機5の縦方向(金型開閉と同一方向)および上下方向に移動して成形品を成形機5の縦方向端部である可動ダイプレート52側または固定ダイプレート51側へ取り出すタイプのものであってもよい。
【0010】
アーム43の動作は、制御装置本体1および制御装置本体1に信号ケーブル線で接続されたタッチパネルタイプの操作パネル2からなる制御装置により制御される。つまり、制御装置本体1のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令によりアーム43、すなわちチャック部44に取り付けられたチャック板の動作が実行される。
【0011】
図2はチャック板の基本的な動作線図であり、図3はそのプログラムを記述したステップ表である。図2の(1)、(2)などの数字は動作のステップを示すが、この数字は図3のStep1、Step2などに対応する。ステップ1で待機位置にあるチャック板は金型53が開くとステップ2でアーム43が上下軸方向に下降してチャック板が金型の間に入り、ステップ3でアーム43が水平軸方向に移動し、チャック板の吸盤チャックが製品(成形品)に当接するとステップ4で吸盤チャックの真空検知がONになり、製品をチャックする。吸盤チャックが製品をチャックすると、ステップ5で型内上昇位置まで水平軸方向に移動し、ステップ6で上下軸方向に上昇して待機位置に移動する。そして、ステップ7で製品排出位置まで移動し、ステップ8で下降して製品排出位置に移動し、ステップ9で吸盤チャックの真空検知がOFFになり、製品を排出する。続いてステップ10で上下軸方向に上昇し、ステップ11で待機位置に移動して1サイクルが完了する。この基本的なサイクルは制御装置本体1のCPU内のROMに格納された基本プログラムの指令により実行される。そして、CPUから生産終了指令が出力されるまで自動的に繰り返し実行される。
【0012】
ここで、CPU内のROMには前述のアーム43の基本動作を指令する基本プログラム以外に、基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラム(図面においてはMyProと表示している。)が格納されており、操作パネル2の画面3を操作することによって任意の付加プログラムを基本プログラムに挿入することができる。つまり、付加プログラムを基本プログラムに挿入することにより新たなプログラムが完成し、この新たなプログラムの指令によりアーム43は基本動作のステップとステップの間に新たに別の動作が加わったサイクルを実行することができる。
【0013】
また、挿入した付加プログラムを挿入解除することも操作パネル2の操作によって可能であり、したがって、基本プログラムに戻すことが可能であり、更には複数の付加プログラムを挿入したプログラムからいずれかの付加プログラムを挿入解除したり、挿入解除した後に別の付加プログラムを挿入するなどして別の新たなプログラムを作成することも可能である。
【0014】
図4は、図2の基本動作を指令する基本プログラムに付加プログラムを挿入して新たなプログラの指令で実行させる動作線図であり、図5は新たなプログラムを記述したステップ表である。これは製品を排出位置に一旦排出して冷却させ、別の位置にある冷却済みの製品をチャックして次工程に排出するようにプログラムを変更した例である。すなわち、図2の基本動作のステップ8とステップ9の間に付加プログラム1(MyPro1)から付加プログラム8(MyPro8)の8つの付加プログラムを挿入し、基本動作のステップ8とステップ9の間でステップ9−1からステップ9−8の新たな動作を実行するものである。
なお、この例では基本動作のステップ8とステップ9の間のみに付加プログラムを挿入したが、基本動作の他のステップとステップの間にも同時に付加プログラムを挿入することも可能である。
【0015】
この新たな動作を説明すると、ステップ1からステップ8までは図2の基本動作と同じであるが、ステップ9−1で吸盤チャックの真空検知がOFFして製品を排出して冷却させる。次に、ステップ9−2でタイマーの完了を待ってからステップ9−3でアーム43は走行軸方向に移動して冷却済みの製品が置かれた上方に移動し、ステップ9−4で上下軸方向に下降し、吸盤チャックが冷却済みの製品に当接するとステップ9−5で吸盤チャックの真空検知がONし、冷却済みの製品をチャックする。そして、ステップ9−6でチャックした冷却済みの製品を任意の位置まで上昇させ、ステップ9−7で次工程の排出位置に移動し、ステップ9−8で下降して次工程の排出位置に接近する。次に、吸盤チャックの真空検知がOFFして製品を排出する。ステップ10から待機位置に戻るステップ12までは基本動作のステップ9からステップ11と同じである。
【0016】
次に図6から図11に示す操作パネル2の画面3に基づいて基本プログラムに付加プログラムを挿入する操作、および挿入した付加プログラムを挿入解除する操作を説明する。電源スイッチを入れると図6のメインメニュー画面が表示され、この画面の確認運転ボタン301をタッチすると図7の確認運転画面に変わる。図7の確認運転画面の確認運転1サイクルボタン320をタッチすると1サイクル運転が実行され、正常終了する。そして、基本プログラムに付加プログラムを挿入するときはこの画面のMyPro教示ボタン302をタッチし、パスワードを入力する。これにより図8の動作画面に変わり、この動作画面には、図2に示す基本動作の各ステップが表示されている。図4に示す例で基本動作のステップ8とステップ9の間に付加プログラムを挿入するときは動作画面のStep8の表示303をタッチすると、図9に示すMyPro動作設定画面に変わる。ここに挿入する付加プログラムは基本動作のステップ8に続く新たなステップ9の動作を設定するものであるので画面の右上にStep9と表示される。そして、先ずMyPro1の表示304をタッチし、タイマーボタン305、位置ボタン306、入力ボタン307、出力ボタン308のいずれかをタッチして付加プログラム1(MyPro1)の動作設定を行う。
【0017】
タイマーボタン305は、動作中のステップから次のステップへ移行するまでの待ち時間を設定するものであり、位置ボタン306は、付加プログラムによる動作中の成形品取出機のアームの各軸、つまり上下軸、水平軸、走行軸を設定した位置に移動させるものであり、入力ボタン307は、付加プログラムによる動作中のチャック板が製品をチャックしたことを知らせる検知センサーなどのON/OFF信号などの外部装置からの入力信号のON/OFFの設定を行うものであり、出力ボタン308は、逆に外部装置への出力信号のON/OFFの設定を行うものである。そして、MyPro1は吸着式、電光式、機械式などの製品チャックの信号検知OFFの信号を出力するものであるので出力ボタン308をタッチするが、出力ボタン308をタッチすると信号が入力される外部装置が表示された画面に変わるので吸盤チャックを選定する。次にMyPro2の表示311をタッチし、MyPro2の動作設定を行うが、MyPro2はタイマー完了の待ち時間であるので、タイマーボタン305をタッチし、次の画面からタイマー時間を選定する。このようにMyPro1からMyPro8までを順次表示させて動作設定を行う。また設定を行ったMyPro1からMyPro8のいずれかのMyProを削除するときは、そのMyProを表示して不使用ボタン309をタッチすると、そのMyProは不使用と上書きされ、そのMyProの動作を不使用に設定する方法と、削除ボタン321をタッチして、そのMyProを削除する方法のどちらかを採用する。削除ボタン321をタッチすると、そのMyProは削除され、削除されたMyPro以降の番号が1つづつ繰り上がる。
【0018】
MyPro1からMyPro8での動作設定が完了すると、不使用/使用ボタン310を「使用」にして前画面ボタン312をタッチすると、図10に示すMyPro動作が有効であることを示す動作画面に変わり、ここでステップ9がMyPro動作によるものであることが確認できる。なお、動作設定したMyPro1からMyPro8が不要であると判断したときは、不使用/使用ボタン310を「不使用」にして前画面ボタン312をタッチすると、図8の画面に変わり、MyPro動作が無効であることが確認できる。また、以前にステップ9と異なるステップにMyPro動作が設定されているときは、不使用/使用ボタン310を「不使用」にして前画面ボタン312をタッチしても、以前に設定してあるMyPro動作は有効であることが表示される。
【0019】
次に、図10の画面の前画面ボタン313、又は図8の画面の前画面ボタン314をタッチすると、図11の確認運転画面に変わり、確認運転1サイクルボタン315をタッチすると1サイクル運転が実行され、1サイクルの各ステップが画面の左中央に自動的に順次表示される。1ステップごとに動作を確認したいときはステップ送りボタン316をタッチし、ステップ+ボタン317ないしステップ−ボタン318をタッチすると1ステップごとに順送り、または逆送りすることができる。また、挿入した全てのMyPro動作を削除するときは、図10の画面のMyPro全不使用ボタン319をタッチすればよく、これにより、基本プログラムに挿入した付加プログラムの挿入が解除され、基本プログラムに戻る。
このように、操作パネル2の画面3を操作することにより、容易に基本プログラムに付加プログラムを挿入して新たなプログラムにすることができ、また、付加プログラムの挿入を解除することにより、基本プログラムに戻したり、別の新たなプログラムにすることかできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】成形機、成形品取出機、制御装置の説明図である。
【図2】基本プログラムによる動作線図である。
【図3】基本プログラムを記述したステップ表である。
【図4】基本プログラムに付加プログラムを挿入した新たなプログラムによる動作線図である。
【図5】新たなプログラムを記述したステップ表である。
【図6】操作パネルの画面の説明図である。
【図7】操作パネルの画面の説明図である。
【図8】操作パネルの画面の説明図である。
【図9】操作パネルの画面の説明図である。
【図10】操作パネルの画面の説明図である。
【図11】操作パネルの画面の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 制御装置本体
2 操作パネル
3 操作パネルの画面
4 成形品取出機
5 成形機
53 金型
【技術分野】
【0001】
本発明は成形機に搭載された成形品取出機の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形品取出機のアーム先端にはチャック板が取り付けられており、チャック板が待機位置から移動して型開した金型間に入り込んで成形品を取出し、排出位置に移動してそこで成形品を排出し、再び待機位置に戻る基本的なサイクルを繰り返すが、このアームの動作は、制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて行われる。このプログラムを作成するには、プログラマーが成形機のアームの動作を想定しながらパソコンなどの外部端末機を利用してプログラムを組み、手動運転にて動作を確認しながらプログラムを完成させている。この外部端末機は、成形品取出機とは切り離されてオフライン状態にあり、また、完成されたプログラムは専用ソフトを利用してプログラム言語からマシン言語に翻訳されているために制御装置の操作パネル上からはプログラムを確認したり変更することはできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
成形品取出機のアーム動作の基本的なサイクルは前述のとおりであるが、プログラムを変更して基本的な動作に新たな動作を追加したいことがある。例えば、インサート成形のように、チャック板がインサート用の部品を保持した状態で待機し、型開き時に金型内にこの部品を挿入して成形を行い、次の型開き時にインサート済みの成形品を取出す場合や、金型から取出した成形品を一旦排出場所に排出してそこで冷却させ、次にこの排出場所と異なる位置にあるパレット上に移動してこのパレットから冷却した成形品を取出してコンベアに移し変える場合などである。
【0004】
しかし、プログラムを変更するには、外部端末機と専用ソフトを利用してプログラムを参照しながら変更しなければならないが、これには高度の専門知識を要するため、一般ユーザーが簡単に行うことは困難であり、専門メーカーに依頼して変更しているのが実情である。
【特許文献1】特開2002−120175公報
【0005】
そこで本発明は、成形品取出機のアームの前述の基本的な動作に新たな動作を加えたい場合に、制御装置の操作パネルを操作してプログラムを容易に変更することが可能な成形品取出機の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明は、制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて成形品取出機のアームが所定の動作を行い、その動作の各ステップが制御装置の操作パネルに表示される成形品取出機の制御装置において、CPU内のROMに、アームに取り付けられたチャック板が待機位置から移動して金型の成形品を取出し、排出位置に移動して成形品を排出し、待機位置に戻る基本動作を指令する基本プログラムの他に、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておき、操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能とし、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能にする。
【発明の効果】
【0007】
CPU内のROMに、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムを格納しておくので、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムの基本プログラムへの挿入が操作パネルの操作によって可能となり、極めて簡単にプログラムを変更することができる。また、挿入された付加プログラムの挿入解除も操作パネルの操作によって可能であるので、一旦変更したプログラムを他のプログラムに変更したり、元の基本プログラムに戻すことも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1において、成形機5の固定ダイプレート51と可動ダイプレート52に金型53が取り付けられている。そして、成形機5に成形品取出機4が搭載されている。成形品取出機4の走行軸部材41は固定ダイプレート51の上に取り付けられており、金型53の開閉方向に直行する方向に伸びている。走行軸部材41上に水平軸部材42が走行軸部材41に沿って移動可能に配置されており、また、垂直方向のアーム43が水平軸部材42に上下動可能かつ金型53の開閉方向に移動可能に配置されている。アーム43の下端部がチャック部44であり、チャック部44に金型53の対応したチャック板(図示せず)が取り付けられる。チャック板には成形品を取出すのに必要な吸盤チャックやランナーチャックなどが取り付けられている。走行軸部材41と水平軸部材42およびアーム43は図示しないステッピングモータやサーボモータなどによって駆動される。
【0009】
成形品取出機4は、図1に示したもの以外に、チャック部44を成形機5の縦方向(金型開閉と同一方向)および上下方向に移動して成形品を成形機5の縦方向端部である可動ダイプレート52側または固定ダイプレート51側へ取り出すタイプのものであってもよい。
【0010】
アーム43の動作は、制御装置本体1および制御装置本体1に信号ケーブル線で接続されたタッチパネルタイプの操作パネル2からなる制御装置により制御される。つまり、制御装置本体1のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令によりアーム43、すなわちチャック部44に取り付けられたチャック板の動作が実行される。
【0011】
図2はチャック板の基本的な動作線図であり、図3はそのプログラムを記述したステップ表である。図2の(1)、(2)などの数字は動作のステップを示すが、この数字は図3のStep1、Step2などに対応する。ステップ1で待機位置にあるチャック板は金型53が開くとステップ2でアーム43が上下軸方向に下降してチャック板が金型の間に入り、ステップ3でアーム43が水平軸方向に移動し、チャック板の吸盤チャックが製品(成形品)に当接するとステップ4で吸盤チャックの真空検知がONになり、製品をチャックする。吸盤チャックが製品をチャックすると、ステップ5で型内上昇位置まで水平軸方向に移動し、ステップ6で上下軸方向に上昇して待機位置に移動する。そして、ステップ7で製品排出位置まで移動し、ステップ8で下降して製品排出位置に移動し、ステップ9で吸盤チャックの真空検知がOFFになり、製品を排出する。続いてステップ10で上下軸方向に上昇し、ステップ11で待機位置に移動して1サイクルが完了する。この基本的なサイクルは制御装置本体1のCPU内のROMに格納された基本プログラムの指令により実行される。そして、CPUから生産終了指令が出力されるまで自動的に繰り返し実行される。
【0012】
ここで、CPU内のROMには前述のアーム43の基本動作を指令する基本プログラム以外に、基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラム(図面においてはMyProと表示している。)が格納されており、操作パネル2の画面3を操作することによって任意の付加プログラムを基本プログラムに挿入することができる。つまり、付加プログラムを基本プログラムに挿入することにより新たなプログラムが完成し、この新たなプログラムの指令によりアーム43は基本動作のステップとステップの間に新たに別の動作が加わったサイクルを実行することができる。
【0013】
また、挿入した付加プログラムを挿入解除することも操作パネル2の操作によって可能であり、したがって、基本プログラムに戻すことが可能であり、更には複数の付加プログラムを挿入したプログラムからいずれかの付加プログラムを挿入解除したり、挿入解除した後に別の付加プログラムを挿入するなどして別の新たなプログラムを作成することも可能である。
【0014】
図4は、図2の基本動作を指令する基本プログラムに付加プログラムを挿入して新たなプログラの指令で実行させる動作線図であり、図5は新たなプログラムを記述したステップ表である。これは製品を排出位置に一旦排出して冷却させ、別の位置にある冷却済みの製品をチャックして次工程に排出するようにプログラムを変更した例である。すなわち、図2の基本動作のステップ8とステップ9の間に付加プログラム1(MyPro1)から付加プログラム8(MyPro8)の8つの付加プログラムを挿入し、基本動作のステップ8とステップ9の間でステップ9−1からステップ9−8の新たな動作を実行するものである。
なお、この例では基本動作のステップ8とステップ9の間のみに付加プログラムを挿入したが、基本動作の他のステップとステップの間にも同時に付加プログラムを挿入することも可能である。
【0015】
この新たな動作を説明すると、ステップ1からステップ8までは図2の基本動作と同じであるが、ステップ9−1で吸盤チャックの真空検知がOFFして製品を排出して冷却させる。次に、ステップ9−2でタイマーの完了を待ってからステップ9−3でアーム43は走行軸方向に移動して冷却済みの製品が置かれた上方に移動し、ステップ9−4で上下軸方向に下降し、吸盤チャックが冷却済みの製品に当接するとステップ9−5で吸盤チャックの真空検知がONし、冷却済みの製品をチャックする。そして、ステップ9−6でチャックした冷却済みの製品を任意の位置まで上昇させ、ステップ9−7で次工程の排出位置に移動し、ステップ9−8で下降して次工程の排出位置に接近する。次に、吸盤チャックの真空検知がOFFして製品を排出する。ステップ10から待機位置に戻るステップ12までは基本動作のステップ9からステップ11と同じである。
【0016】
次に図6から図11に示す操作パネル2の画面3に基づいて基本プログラムに付加プログラムを挿入する操作、および挿入した付加プログラムを挿入解除する操作を説明する。電源スイッチを入れると図6のメインメニュー画面が表示され、この画面の確認運転ボタン301をタッチすると図7の確認運転画面に変わる。図7の確認運転画面の確認運転1サイクルボタン320をタッチすると1サイクル運転が実行され、正常終了する。そして、基本プログラムに付加プログラムを挿入するときはこの画面のMyPro教示ボタン302をタッチし、パスワードを入力する。これにより図8の動作画面に変わり、この動作画面には、図2に示す基本動作の各ステップが表示されている。図4に示す例で基本動作のステップ8とステップ9の間に付加プログラムを挿入するときは動作画面のStep8の表示303をタッチすると、図9に示すMyPro動作設定画面に変わる。ここに挿入する付加プログラムは基本動作のステップ8に続く新たなステップ9の動作を設定するものであるので画面の右上にStep9と表示される。そして、先ずMyPro1の表示304をタッチし、タイマーボタン305、位置ボタン306、入力ボタン307、出力ボタン308のいずれかをタッチして付加プログラム1(MyPro1)の動作設定を行う。
【0017】
タイマーボタン305は、動作中のステップから次のステップへ移行するまでの待ち時間を設定するものであり、位置ボタン306は、付加プログラムによる動作中の成形品取出機のアームの各軸、つまり上下軸、水平軸、走行軸を設定した位置に移動させるものであり、入力ボタン307は、付加プログラムによる動作中のチャック板が製品をチャックしたことを知らせる検知センサーなどのON/OFF信号などの外部装置からの入力信号のON/OFFの設定を行うものであり、出力ボタン308は、逆に外部装置への出力信号のON/OFFの設定を行うものである。そして、MyPro1は吸着式、電光式、機械式などの製品チャックの信号検知OFFの信号を出力するものであるので出力ボタン308をタッチするが、出力ボタン308をタッチすると信号が入力される外部装置が表示された画面に変わるので吸盤チャックを選定する。次にMyPro2の表示311をタッチし、MyPro2の動作設定を行うが、MyPro2はタイマー完了の待ち時間であるので、タイマーボタン305をタッチし、次の画面からタイマー時間を選定する。このようにMyPro1からMyPro8までを順次表示させて動作設定を行う。また設定を行ったMyPro1からMyPro8のいずれかのMyProを削除するときは、そのMyProを表示して不使用ボタン309をタッチすると、そのMyProは不使用と上書きされ、そのMyProの動作を不使用に設定する方法と、削除ボタン321をタッチして、そのMyProを削除する方法のどちらかを採用する。削除ボタン321をタッチすると、そのMyProは削除され、削除されたMyPro以降の番号が1つづつ繰り上がる。
【0018】
MyPro1からMyPro8での動作設定が完了すると、不使用/使用ボタン310を「使用」にして前画面ボタン312をタッチすると、図10に示すMyPro動作が有効であることを示す動作画面に変わり、ここでステップ9がMyPro動作によるものであることが確認できる。なお、動作設定したMyPro1からMyPro8が不要であると判断したときは、不使用/使用ボタン310を「不使用」にして前画面ボタン312をタッチすると、図8の画面に変わり、MyPro動作が無効であることが確認できる。また、以前にステップ9と異なるステップにMyPro動作が設定されているときは、不使用/使用ボタン310を「不使用」にして前画面ボタン312をタッチしても、以前に設定してあるMyPro動作は有効であることが表示される。
【0019】
次に、図10の画面の前画面ボタン313、又は図8の画面の前画面ボタン314をタッチすると、図11の確認運転画面に変わり、確認運転1サイクルボタン315をタッチすると1サイクル運転が実行され、1サイクルの各ステップが画面の左中央に自動的に順次表示される。1ステップごとに動作を確認したいときはステップ送りボタン316をタッチし、ステップ+ボタン317ないしステップ−ボタン318をタッチすると1ステップごとに順送り、または逆送りすることができる。また、挿入した全てのMyPro動作を削除するときは、図10の画面のMyPro全不使用ボタン319をタッチすればよく、これにより、基本プログラムに挿入した付加プログラムの挿入が解除され、基本プログラムに戻る。
このように、操作パネル2の画面3を操作することにより、容易に基本プログラムに付加プログラムを挿入して新たなプログラムにすることができ、また、付加プログラムの挿入を解除することにより、基本プログラムに戻したり、別の新たなプログラムにすることかできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】成形機、成形品取出機、制御装置の説明図である。
【図2】基本プログラムによる動作線図である。
【図3】基本プログラムを記述したステップ表である。
【図4】基本プログラムに付加プログラムを挿入した新たなプログラムによる動作線図である。
【図5】新たなプログラムを記述したステップ表である。
【図6】操作パネルの画面の説明図である。
【図7】操作パネルの画面の説明図である。
【図8】操作パネルの画面の説明図である。
【図9】操作パネルの画面の説明図である。
【図10】操作パネルの画面の説明図である。
【図11】操作パネルの画面の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 制御装置本体
2 操作パネル
3 操作パネルの画面
4 成形品取出機
5 成形機
53 金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて成形品取出機のアームが所定の動作を行い、その動作の各ステップが制御装置の操作パネルに表示される成形品取出機の制御装置において、
前記CPU内のROMには、アームに取り付けられたチャック板が待機位置から移動して金型の成形品を取出し、排出位置に移動して成形品を排出し、待機位置に戻る基本動作を指令する基本プログラムの他に、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムが格納され、
前記操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能であり、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能なことを特徴とする成形品取出機の制御装置。
【請求項1】
制御装置のCPU内のROMに格納されたプログラムの指令に基づいて成形品取出機のアームが所定の動作を行い、その動作の各ステップが制御装置の操作パネルに表示される成形品取出機の制御装置において、
前記CPU内のROMには、アームに取り付けられたチャック板が待機位置から移動して金型の成形品を取出し、排出位置に移動して成形品を排出し、待機位置に戻る基本動作を指令する基本プログラムの他に、アームのこの基本動作以外の動作を指令する多数の付加プログラムが格納され、
前記操作パネルの操作によって、アームの基本動作の各ステップの間で新たな動作を行うよう指令する付加プログラムを基本プログラムに挿入可能であり、また、挿入された付加プログラムを挿入解除可能なことを特徴とする成形品取出機の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−83399(P2007−83399A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−271265(P2005−271265)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002314)セーラー万年筆株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000002314)セーラー万年筆株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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