説明

成形品画像処理検査装置

【課題】複数個所の検査と、0.1mm位の異物とか欠けの検査がより簡単に且つ安価になる画像検査装置を提供する。
【解決手段】ロボット1のハンド部3がワーク4を把持。ハンド部3の構造としては把持した状態の繰り返し位置ずれを少なくする把持子14を持つ。さらに当該位置ずれを少なくするためにロボット1が把持したワーク4をレーザセンサ11又はカメラ5にかざしワーク4の位置を、予め当該ワーク4の良品をレーザセンサ11又はカメラ5にかざしたデータと比較する。このデータを基にワーク4を、ロボット1が座標変換プログラムにより位置修正する。そしてワーク4をカメラ5にかざしトリガ信号をだして撮像する。予め当該ワークの良品を登録した画像と比較して画像検査し良品であれば良品シューター9位置にワーク4を開放し、不良品であれば不良品シューター10位置に開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック成形品画像処理検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状の検査装置その1
カメラをコンベア上方向に設置してコンベアに載って移動するワークが一定の位置に来たところでカメラへのトリガ信号により撮像し、その画像と予め記憶してある良品の画像との比較により良否の判別をする装置
【0003】
現状の検査装置その2
カメラをコンベア上方向に設置してコンベアに載って移動するワークが一定の位置に来たところで位置決めシリンダ等によりワークを位置決めし、位置のずれが無いようにしてからカメラへのトリガ信号により撮像し、その画像とあらかじめ記憶してある良品の画像との比較により良否の判別をする装置
【0004】
現状の検査装置その3
カメラをコンベア上方向に設置してコンベア上に載って移動するワークが一定の位置に来たところでカメラへのトリガ信号を出し、ワークを回転させて連続写真を取り、その画像とあらかじめ記憶してある良品の画像との比較により良否の判別をする装置
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設定の困難度合、
ワークの良否を判別するにはいろいろな角度で複数回撮像する必要があり、そのためにはカメラを複数台設置の位置を工夫しなければならない。又、それぞれのカメラでの不良品の検知に適したそれぞれの照明装置が必要になり、照明装置種類の選定には高度な知識が必要になっている。カメラレンズ選定、不良個所の検知をするためのアルゴリズムの設定をしなければならない。アルゴリズムも画像検査装置メーカーで不良個所の種類により、それに適したソフトが研究されている。アルゴリズムの種類の一部をのせると、位置補正、閾値設定、膨張、収縮、と数えきれない。照明の種類の一部をのせてみると、ドーム照明、バー照明、LED照明、赤色、青色、白色と数え切れない。
この中でどの種類のアルゴリズムを使って設定するかは、高度な知識と経験が必要になる。
その上照明との組み合わせ条件が加わりその設定が一層難しくなっている。
現場でカメラの位置、外乱光の影響、照明の位置の変化により不良品の検知が出来なくなるため設定のやり直しになり現場での苦労が絶えない現状である。
【0006】
写真角度
ワークの良否を判別するには不良の種類、場所によりいろいろな角度で写真をとる必要がある。上から、横から、斜めから、下からとカメラを複数台設置の位置を工夫しなければならない。
【0007】
良否判別精度
不良の種類の一部をのせてみると、異物、色むら、印刷かすれ、字の欠け、ワークの欠け、ウエルド、気泡等である。高精度な画像検査手段としては、異物の大きさ0.1mm以上を不良品として検知したい場合、カメラと照明とワークとの位置関係が、0.1mm以下の位置ずれになるように正確な位置決め装置が必要となる。しかし、いろいろな角度から検査したい場合は、位置決め装置が何台も必要となり複雑になり、検査時間がかかりすぎる問題がある。
0.1mm以上位置ずれしていてもカメラの画像処理ソフトの機能に画像位置補正の機能があり、すでに記憶している画像の特長を探し出し位置ずれを自動的に補正して比較する方法が一般的に実施されているが、正確に位置決めする方法より画像検査精度が落ちる。
その原因は、カメラの位置補正により画像はソフト的に補正してもワークと照明とカメラとの位置関係がずれているため影のでき方、光の反射具合、ワーク形状の歪具合が変わり検査精度が落ちる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の問題を解決するために、本発明は、多関節ロボット1のハンド部3の先端に繰り返し位置決め精度の高いハンド部把持子14を持ち、当該ハンド部把持子14によりワーク4を把持し、且つ当該ハンド部把持子14で把持した当該ワーク4をレーザ11、カメラ5等の位置・距離測定装置で、当該ワーク4の把持位置誤差を測定し、その誤差のデータにより多関節ロボット1の座標変換プログラムを使い位置補正をして把持位置の補正をすることで、カメラ5と照明6と当該ワーク4との相対位置を予め画像記憶した位置関係と同じ位置にし、当該ワーク4を画像検査のカメラ5にかざす際、当該ワーク4に当たる照明角度が同じになることにより画像検査精度を上げることができて、人間の目による検査より早く正確に当該ワークの検査をすることができることを特徴とする画像検査装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
ロボット1がワーク4を把持して、当該ワークの複数面を多関節ロボットの教示により自在に様々な角度から画像検査のカメラにかざし撮像することにより、人間の目による検査より早く正確に当該ワークの検査をすることができる。
【0010】
ロボット1がワーク4を把持してカメラ前にかざすためワーク4とカメラ5との角度を自在にセット出来て画像を見ながら教示できるため微調節が容易になる。
【0011】
ロボット1がワーク4を把持した時のつかみ誤差が出て、画像処理ソフトの位置補正により、画像を補正して検査した場合はカメラ5とワーク4の位置関係補正はできても、照明6との位置関係が変化しているため、照明の当たり方が変わり検査結果が不安定になり検査精度が下がる。そのためロボット1のハンド部把持子14が繰返し位置決め精度の高い形状にすることにより、カメラ5と照明6とワーク4の位置関係が同じになることにより、画像処理ソフトの位置補正をあてにしないで検査ができるため精度が上がる。
【0012】
照明の種類、照度をワーク4の不良個所検出種類により照明装置に信号を出して最も適した選択に自動切り替えできる。
【0013】
ワーク4を把持するハンド部把持子14を交換し、ロボットプログラムをワークの種類ごとに作成しロボット位置を教示することにより、何種類ものワークを画像検査することが可能になる。
【0014】
0011項のハンド部把持子14が繰返し位置決め精度の高い形状にしても把持した時のつかみ誤差が出る場合には、本検査装置内に組み込まれているレーザセンサ11により、把持している状態の直線的、回転的な位置ずれを計測し、そのデータによりロボットの座標変換プログラムを使い位置補正をして把持位置の補正をすることで、記憶したワークとカメラと照明の位置と同じ位置にかざすことができるため、画像ソフトの位置補正と異なり、画像検査精度を上げることが可能になる。
【0015】
レーザセンサ11の代わりに画像検査装置のカメラ5で撮像してワーク4の位置データを取込み、そのデータによりロボットの座標変換プログラムを使い位置補正をして把持位置の補正をすることで、記憶したワークとカメラと照明の位置と同じ位置にかざすことができる。このように位置・距離測定装置は、レーザセンサとか画像検査装置とかが考えられるが、ワークにより適した装置、方法で問題無い。
【0016】
6軸多関節ロボットの高速パラレルリンクロボットを使用できるため高速に検査することができ、射出成形機の成形サイクル内で成形品検査が終了となり、もし不良が発生した場合、早い対応がとれるためコストダウンできる。
【発明を実施するための最良形態】
【0017】
本発明の一実施例を図1,2,3に示す。カメラ5が2台、レーザセンサ11が1台、仮置き台部13が1台の組み合わせが、ワーク4の6面検査をする最短時間検査の最良形態になる。
【実施例】
【0018】
図1、2、3に示す一実施例を説明すると、フレーム部12の中に往復運動部7を設置し、往復運動部7の上に受台部8を設置し、受台部8にはワーク4を受けるジグが取り付けてある。射出成形機から取出機で取出したワーク4を受台部8に開放する。
【0019】
往復移動部7によりロボット1の下まで受台部8が移動して、ロボット1がワーク4を順次把持して取出し、カメラ5に把持したワークの検査したい面を順次かざして検査する。
【0020】
検査方法は、予めマスターとなる良品ワークの検査したい正面とか斜め面を順次カメラ5にかざして、その画像を記憶しておく必要がある。次に検査するワークを同様に順次カメラ5にかざして良品記憶ワーク画像と検査ワーク画像の違いにより良否判別をする。
【0021】
良否判別信号により、良品信号が出た場合は、ロボット1が良品シュータ9上に移動して把持しているワークを解放する。不良品信号が出た場合は、不良品シュータ10上に移動して把持しているワークを解放する。
【0022】
ワーク4の全面を検査したい場合、ロボット1のハンド部把持子14によりワーク4を把持のため、その把持している場所はカメラ5で検査できないので、順次検査の途中、仮置き台部13に一旦ワーク4を解放して、別の面を把持し直し把持していた場所をカメラ5にかざして検査することにより全面検査可能になる。
【0023】
図4、5、6は、ワーク4の6面を順次検査する一実施例である。ハンド部把持子14でワーク4を把持している。一対のカメラ5と照明6が対向しているため、ワーク4の裏表2面を同時に検査可能になる。
【0024】
図6の検査で、把持している場所以外はカメラ5でみえるため検査可能になるが、把持している場所はカメラ5で見えないため0022項の方法で把持し直し検査する。
【0025】
この場合、把持しているハンド部把持子14の材質を透明なアクリル樹脂等にすれば、アクリル樹脂等を透過してワーク4が見えるため検査可能になり、仮置きしない分、検査時間のサイクルを短くできる。
【0026】
図7A,7Bはハンド部把持子14によりワーク4を把持している状態図である。ワークの把持する場所の凹凸形状にピッタリ合うようにハンド部把持子14が加工されている。これにより把持した時の繰返し位置決め精度が安定するようになる。図8A,8Bはハンド部把持子14が開いている状態図である。
【0027】
図9は、把持シリンダ部2とハンド部3の一実施例平面図である。図10は、把持シリンダ部2とハンド部3の一実施例正面図である。図11は、把持シリンダ部2とハンド部3の一実施例側面図である。図11のハンド部把持子14は取り換えが簡単にできるような構造になっている。又、このハンド部把持子14を透明なアクリル樹脂等にすれば、アクリル樹脂を透過してワーク4が見えるため把持している場所でも検査可能になる。
【0028】
予め良品のマスターワークを把持してカメラ5にかざし画像登録した把持位置に限りなく把持したワークの把持位置を近付ける程画像検査精度が上がる。しかし、実際把持した状態でのワークの位置は少しずれが出ることによりワークに対して照明の角度が変わるため画像が変わり検査結果が不良になってしまう。画像検査装置の位置補正ソフトでカメラと画像を位置補正して画像検査できたとしても実際カメラとワークの相対位置はずれているため照明の当たる位置などの影響を無くすことができない。
【0029】
図12から図16はレーザセンサ11による把持したワーク4の位置補正の方法を説明した一実施例図面である。図12はレーザ11の測定範囲内にロボット1でワーク4を移動し、この位置のレーザ値を計測する。この位置を仮にZ1ポイントとする。次は図13のようにワーク4をZマイナス方向に移動してレーザ値を計測する。この位置を仮にZ2ポイントとする。Z1ポイントとZ2ポイントの距離を図13でAとする。
Z1ポイントとZ2ポイントのレーザ値の差をBとする。このデータによりワーク4の傾きをθとするとTANθ=B/Aになる。
【0030】
予め良品のマスターワークを把持し、0029項と同じようにレーザで計測したデータとの傾き差分角度を、ロボットのツール座標で修正後、ユーザー座標に変換し傾きを補正してから、図14のようにワーク4を90度回転し、水平にする。そしてワーク4の天面とレーザ11までの距離を計測する。この位置を仮にX3ポイントとする。
【0031】
予め良品のマスターワークを把持し0030項と同じようにレーザで計測したデータとX3ポイントとのZ方向天面距離差分Cを、ロボットのツール座標で修正し、図15のようにワーク4を−90度回転し、垂直にする。そしてワーク4の垂直面とレーザ11までの距離を再度Z1ポイントで計測する。
【0032】
予め良品のマスターワークを把持し0031項と同じようにレーザで計測したデータと再度Z1ポイントとのX方向距離差分Dを、ロボットのツール座標で補正する。これにより傾きθはロボットのユーザー座標の補正、Z方向とX方向はロボットのツール座標の補正となる。補正後の位置は予め良品のマスターワークを把持した位置と同じ位置になり図16に表す。
【0033】
この後の動作で、ワーク4をカメラ5に順次かざす位置を、ロボットのユーザー座標補正とツール座標補正により、ワーク4、カメラ5、照明6の相対位置が予め良品のマスターワークを把持したワークの位置と同じにできる。
【0034】
画像による高精度成形品画像処理検査装置としては、カメラの位置補正により検査する方法のみよりも、ワーク4、カメラ5、照明6の相対位置がロボットにより補正できるレーザ、画像装置等の位置・距離測定装置を使う方が、画像による高精度成形品検査には適していることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明の一実施例を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例を示す側面図である。
【図4】ワークの1,3面撮像位置形態図である。
【図5】ワークの2,4面撮像位置形態図である。
【図6】ワークの5,6面撮像位置形態図である。
【図7A】本発明のハンド部把持子閉の一実施例を示す形態平面図である。
【図7B】本発明のハンド部把持子閉の一実施例を示す形態正面図である。
【図8A】本発明のハンド部把持子開の一実施例を示す形態平面図である。
【図8B】本発明のハンド部把持子開の一実施例を示す形態正面図である。
【図9】本発明の把持シリンダ部一実施例を示す平面図である。
【図10】本発明の把持シリンダ部一実施例を示す正面図である。
【図11】本発明の把持シリンダ部一実施例を示す側面図である。
【図12】レーザZ1ポイント計測図
【図13】レーザZ2ポイント計測図
【図14】レーザX3ポイント計測図
【図15】レーザ再度Z1ポイント計測図
【図16】座標補正後のワーク位置図
【符号の説明】
【0036】
1 多関節パラレルリンクロボット
2 把持シリンダ部
3 ハンド部
4 ワーク
5 カメラ部
6 照明部
7 往復移動部
8 置き台部
9 良品シュータ
10 不良品シュータ
11 レーザセンサ
12 フレーム部
13 仮置き台部
14 ハンド部把持子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多関節ロボットのハンド先端に繰り返し位置決め精度の高い把持子を持ち、当該把持子によりワークを把持し、カメラと照明と当該ワークとの相対位置を予め画像記憶した位置関係と同じ把持位置にし、当該ワークの複数面を多関節ロボットの教示により自在に様々な角度から画像検査のカメラにかざし撮像することにより、人間の目による検査より早く正確に当該ワークの検査をすることを目的とした画像処理検査装置。
【請求項2】
請求項1の画像検査装置で、当該把持子で把持した当該ワークをレーザ、画像装置等の位置・距離測定装置により、当該ワークの予め画像記憶した位置関係との把持位置誤差を測定し、その誤差のデータにより多関節ロボットの座標変換プログラムを使い位置補正をして把持位置の補正をすることで、カメラと照明と当該ワークとの相対位置を予め画像記憶した位置関係と同じ把持位置にし、当該ワークを画像検査のカメラにかざす際、当該ワークに当たる照明角度が同じになることにより、画像検査精度を上げることを目的とした画像処理検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−24852(P2013−24852A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175378(P2011−175378)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(595080119)株式会社ムラマツ (1)
【Fターム(参考)】