説明

成形物をその型から取り外すための装置および方法

本発明は、型軸(X)にしたがって配向された外方成形面をそれぞれ有し、それぞれの軸(X)に対して平行に構成される型のそれぞれから、複数の成形物を取り外すための方法および装置に関する。この装置は、複数対のジョー(4、6)であって、各複数対のジョー(4、6)が、それぞれの型(12)に対応し、ジョー(4、6)が型(12)から離間される開位置とジョー(4、6)が型(12)に係合する閉位置との間での第1の相対移動によって、ならびに、対のジョー(4、6)が型軸(X)に沿って摺動的に変位されて、各成形物(10)を型(12)から取り外す、実質的に軸方向への第2の相対移動によって、それぞれの型(12)に対して移動可能である第1のジョー(4)および対向する第2のジョー(6)を含む、複数対のジョー(4、6)を備える。ジョー(4、6)は、第1の相対移動について、それぞれの型軸(X)に対してラジアル方向である平行方向に直線状に移動可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形物をその型から取り外すための装置および方法に関する。より詳細には、本発明は、各型の周囲に形成された成形物の取外しに関する。
より具体的には、本発明は、型軸にしたがって配向された外方成形面をそれぞれ有し、それぞれの軸に対して平行に構成される型のそれぞれから、複数の成形物を取り外すための装置において、複数対のジョーであって、各複数対のジョーが、それぞれの型に対応し、ジョーが型から離間される開位置とジョーが型または成形物に係合する閉位置との間での第1の相対移動によって、ならびに、対のジョーが型軸に沿って摺動的に変位されて、各成形物を軸方向に変位させ各成形物を型から取り外す、実質的に軸方向への第2の相対移動によって、それぞれの型に対して移動可能である第1のジョーおよび対向する第2のジョーを含む、複数対のジョーを備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、それぞれの型の周囲に成形された成形物は、一方の端部を中心として枢動し、他方の端部に1対の係合面を有する1対のアームを有する複数の鋏様クランプを備える取外し装置によって、それらの型から取り外される。開位置にあるとき、各鋏様クランプは、その係合面の間に、成形物の型に担持されたままの各成形物を受容することが可能である。次いで、各クランプのアームは、それらの枢支点を中心として相反方向に回転され、それにより係合面を成形物に接触させる。成形物が係合面によって係合されると、次いでクランプは、型から離れるように側方に移動されて、成形物を型から取り外す。
【0003】
代替の既知の方法は、同様の装置を使用するが、アームの係合面は、型に接触し、次いで、成形物がアームによって接触され型から押されるように、成形物の方に移動される。
しかし、成形物を取り外すための上述の従来の方法に関して多数の問題が存在する。特に、当技術において知られている鋏様クランプの枢動アームについては、型とのいかなる不整列によっても、成形物に損傷を与えるおそれがある。不整列の程度が比較的小さいものであっても、クランプは、取外し装置に進入していく際に、成形物に接触する可能性がある。これは、成形物に断裂を生じさせる可能性があり、または、成形物の壁部中に穴もしくは欠陥を生じさせる可能性がある。成形物の損傷を避けるために、型は、開状態のクランプに対して非常に正確に整列される必要がある。
【0004】
さらに、クランプが型または成形物に係合する力を制御することは、困難である。その結果、成形物に対する損傷を最小限に抑えて成形物を型から取り外すことが可能になるのを確実にするために、比較的大量の離型剤が必要となる。典型的には、離型剤は、成形前に型に塗布され、塗布量が、加工時間および最終製品の品質の両方に影響を与える可能性がある。
【0005】
さらに、成形物を取り外すために使用される従来の装置および方法は、比較的大きな力を生成する傾向があり、型から取り外される成形物が、非常に過酷な条件に置かれる可能性がある。これは、比較的頑強な材料から製造される物については問題とはならないが、比較的脆弱な材料から製造される物を取り外そうとする際には、既知の装置および方法によって容易に損傷を受けるため、問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題の中の少なくとも1つを解消するもしくは改善すること、および/または、成形物の型から成形物を取り外すことが可能な効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、ジョーが、第1の相対移動について、それぞれの型軸に対してラジアル方向である平行方向に直線状に移動可能であることを特徴とする、上述のタイプの装置を提供する。
【0008】
有利には、本発明の装置は、以下の任意の特徴の中の1つまたは複数を有してよい。
この装置は、第1のジョーを担持する第1のキャリアおよび第2のジョーを担持する第2のキャリアをさらに備え、第1および第2のキャリアは、それぞれの型について開位置と閉位置との間での第1の相対移動、ならびにその後の軸方向への第2の相対移動によってジョーを変位させるように、2つの連続的な直交方向にしたがって直線状に移動可能である。
【0009】
第1のジョーおよび第2のジョーのそれぞれが、それぞれのキャリアに対して、第1および第2のジョーの互いの方へのおよび互いから離れる方への第1の相対移動によって規定される方向に対応する第1の方向に移動することが可能となるように、第1のジョーはそれぞれ、第1のキャリアに摺動可能に結合され、第2のジョーはそれぞれ、第2のキャリアに摺動可能に結合される。
【0010】
第1のジョーおよび第2のジョーのそれぞれが、それぞれのキャリアに対して、型軸に対してならびに第1および第2のジョーの第1の相対移動により規定される方向に対して実質的に直交する第2の方向に移動可能であって、1対のジョーとそれぞれの型との間の不整列を補償するように、第1のジョーはそれぞれ、第1のキャリアに摺動可能に結合され、第2のジョーはそれぞれ、第2のキャリアに摺動可能に結合される。
【0011】
この装置は、第1および第2のジョーのそれぞれのキャリアに対する第1および第2のジョーの移動を制限するように構成される停止要素をさらに備える。
この装置は、ジョーとそれぞれのキャリアとの間にそれぞれが置かれ、第1および第2のジョーをそれらの閉位置に付勢するようにそれぞれが構成された、弾性変形可能部材をさらに備える。
【0012】
この装置は、開位置と閉位置都の間で各対のジョーを移動させることが可能な第1の駆動機構と、ジョーを軸方向に移動させることの可能な第2の駆動機構とをさらに備える。
【0013】
型は、一列に配置されて型平面を画成するものであり、第1の駆動機構は、ジョーを、型平面に対して直交する第1の面内で移動させ、第2の駆動機構は、ジョーを、型平面に対応する第2の面に沿って移動させる。
【0014】
第1の平面は、垂直面であり、第2の平面は水平面である。
各ジョーは、型または成形物に係合するために形状設定され構成された凹部を含む。
この装置は、型を、型に関連付けされる成形物と共に中に受容するように構成された型受容通路をさらに含む。
【0015】
型受容通路は、それぞれの対のジョーに型を整列させることが可能な整列要素を含む。
第1および第2の駆動機構はそれぞれ、電気式、機械式、気圧式および水圧式の中から個別に選択される駆動源を含む。
【0016】
第1および第2の駆動機構は、共通駆動源を共有する。
第1および/または第2の駆動源は、駆動シャフトを含む機械式駆動源である。
各対のジョーの対向するジョーがそれぞれのキャリアによって担持されることにより、ジョーを制御し、従来の取外し装置に関連する上述の問題に対応することがさらに容易になる。
【0017】
「駆動機構」という語句は、ジョーまたはジョーキャリアを移動させることが可能な単一のコンポーネントとして、あるいは所要の移動を実施するように協働する構成要素の組立体として理解すべきである。
【0018】
本発明の一実施形態においては、各対のジョーが、それぞれの成形物に係合する。成形物は、型の周囲に形成され、その型から剥がし取ることによって取り外し得る限りは、任意の形状および寸法のものであってよい。例えば、成形物の形状は、正四方形、三角形、円形などであってよい規則的な断面を有する管状のものであってよい。代替としては、この形状は、円錐形、裁頭円錐形または角錐形であってよい。
【0019】
2つの垂直な面内でのジョーの移動によって、各対のジョーは、それぞれの成形物に係合しまたは接触し、効率的な態様で成形物をその型から取り外すことが可能になる。
任意には、第1および第2の駆動機構は、ジョーが閉位置にある際に第2の駆動機構がジョーを移動させるように、制御される。
【0020】
第1および/または第2の駆動機構は、ジョーまたは各対のジョーに直接的に作用してよく、あるいはそれぞれのジョーキャリアを介してジョーまたは各対のジョーに作用してよい。したがって、第1の駆動機構は、各対のジョーを開位置から閉位置に、または閉位置から開位置に移動させるように、第1および/または第2のジョーキャリアに作用し得る。同様に、第2の駆動機構は、各対のジョーを第1の位置から第2の位置に、またはその逆に移動させるように、第1および/または第2のジョーキャリアに作用し得る。
【0021】
第1および第2のジョーがそれらのそれぞれのキャリアに摺動可能に結合されることによって、装置は、1対のジョーとそれぞれの型との間の不整列を小さく調節することが可能となる。したがって、型が、それぞれの対のジョーに正確に整列されない場合には、第1および第2のジョーがそれらのキャリアに摺動可能に結合されることにより提供される遊びの程度によって、成形物、型および/またはジョーに損傷を与えることなくこの不整列に対応することが可能となる。
【0022】
第1および第2のジョーのそれぞれのキャリアに対する第1および第2のジョーの移動を制止するための単一の停止要素が提供される実施形態においては、この停止要素は、ピンおよび孔タイプ構成によって形成されてよく、キャリアおよびジョーの一方が、ピンを備え、キャリアおよびジョーの他方が、孔を備え、孔の直径は、ピンの直径よりも大きく、ピンは、孔内で移動自在である。この構成においては、各ジョーにより提供される遊びの程度は、孔の直径とピンの直径との差によって規定される。当然、ピンおよび/または孔は、非円形断面を有してよい(例えば、孔の形状が長円形であってよい)。この場合には、遊びの程度(すなわち、ジョーがキャリアに対して移動可能な距離)は、移動方向へのピンと孔との直径の差によって規定されるが、ここで、直径は、孔の両側部間および/またはピンの両側部間の距離である。
【0023】
圧縮ばねなどの弾性変形部材を提供することは、これが、ジョーによって加えられる力を制御することを可能にするため、有利である。特に、ジョーが型または成形物に加える力は、それが弾性変形部材により及ぼされる復元力に相関するため、所定のものとなり得る。各ジョーにより加えられる力を制御することが可能となることにより、比較的脆弱な材料より製造される成形物がより穏当に取り扱われ、したがって成形物への損傷を低減させることが可能となる。さらに、そのような実施形態において使用する離型流体を減らすことが可能になり得る。
【0024】
第1のジョーキャリアは、すべての第1のジョーを担持する単一構成体であると好ましく、第2のジョーキャリアは、すべての第2のジョーを担持する単一構成体であると好ましい。
【0025】
第1および第2のジョーキャリアはそれぞれ、バーであってよく、ジョーは、その長手方向軸に沿ってバー内に形成される溝内に担持されてよい。
第1および第2のジョーキャリアはそれぞれ、バーの長手方向軸に沿って溝を含むバーを備えてよく、溝は、バーの対向壁によって画成され、各ジョーの一部分が、溝内に担持され、各ジョーは、貫通する孔を有し、それによって、各ジョーは、孔を貫通し溝の対向壁の少なくとも一方に固定されるピンにより各溝内に拘束される。孔の断面積は、ピンの断面積より大きなものであってよく、それにより、各ジョーは、例えば垂直面または水平面などの規定の面内である程度の遊びを有する(換言すれば、制約範囲内で移動することが可能である)。
【0026】
型または成形物に係合するように形状設定され構成されるジョーの凹部は、成形物が円形断面を有する場合には弧状のものであってよく、あるいは、非円形断面を有する型または成形物を受容するように角度設定されてよい。この凹部により、各ジョーは、型または成形物のより大きな表面積部分に係合することが可能となり、したがってジョーの係合力を拡散させて、取り外される成形物に対する圧力を低下させることが可能となる。
【0027】
この装置は、定置式のものであってよく、型が、成形工程の後に装置に移送されてよい。このような場合には、型は、単一の開口を介して型受容通路に進入しておよび型受容通路から退出してよく、あるいは、この通路は、型が装置に進入し得る第1の開口と、その型に関連付けされる成形物が取り外された後に型が装置から退出し得る第2の開口とを有するものであってよい。
【0028】
整列要素が、複数の型をそれぞれのジョーに整列させることが可能であってよい。各型がそれぞれの対のジョーに適切に整列されることによって、損耗と、型およびジョーの双方への損傷のリスクが低減される。また、これにより、成形物を型から取り外す際に成形物に損傷を与えるリスクが低減される。
【0029】
整列要素は、停止具を含んでよく、または型移送組立体の一部を形成してよく、型の移動は、各型のそれぞれの対のジョーへの各型の整列に作用するように制御される。したがって、整列要素は、型移送組立体内の制御要素またはプログラムであってよい。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、型軸にしたがって配向された外方成形面をそれぞれ有し、それぞれの軸に対して平行に構成される型のそれぞれから、複数の成形物を取り外す方法において、
一連の、
(i)第1のジョーおよび対向する第2のジョーをそれぞれが含む対のジョーのそれぞれに各型を整列させるステップと、
(ii)第1および第2のジョーが型から離間される開位置から、ジョーが型または成形物に係合する閉位置への第1の相対移動によって、各対の第1および第2のジョーを移動させるステップであって、対のジョーの第1の移動は、それぞれの型軸に対してラジアル方向である平行方向に直線状に行われるステップと、
(iii)各対のジョーが型軸に沿って摺動的に変位されて、各成形物を軸方向に変位させ各成形物を型から取り外す、実質的に軸方向への第2の相対移動によって、対のジョーを移動させるステップと
を含む方法が提供される。
【0031】
したがって、ステップ(iii)においては、各成形物は、それぞれの対のジョーによって係合されるか、あるいは対のジョーは、軸方向移動の際に成形物に接触させられ、それによって成形物は、その型から摺動されるまたは剥ぎ取られる。
【0032】
好ましくは、第1のジョーは、第1のキャリアによって担持され、第2のジョーは、第2のキャリアによって担持され、第1および第2のジョーの開位置から閉位置への第1の移動は、それぞれのキャリアの移動によって達成される。
【0033】
さらに好ましくは、第1のジョーは、第1のキャリアによって担持され、第2のジョーは、第2のキャリアによって担持され、各対のジョーの実質的に軸方向の第2の移動は、それぞれのキャリアの移動によって達成される。
【0034】
特に言及しない限り、上述の好ましいまたは任意の特徴は、相互に排他的なものとして意図されない。したがって、上述の2つ以上の個別の特徴を、本発明の第1または第2の態様に組み合わせることが可能である。
【0035】
本発明の一実施形態は、添付の図面を参照として、単なる例示として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】対のジョーが開状態にある、本発明による装置の概略斜視図である。
【図2】成形物の取外しの前に、開状態にある2対のジョーがそれぞれの型に整列されている状態を示す、型組立体を有する図1の装置の概略斜視図である。
【図3】2対のジョーが閉状態にある、図2の装置および型組立体の概略斜視図である。
【図4】2対のジョーが成形物の取外し工程において軸方向に移動されている、図2の装置および型組立体の概略斜視図である。
【図5】成形物の取外しの後に2対のジョーが開状態にある、図2の装置および型組立体の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下で具体的に説明される実施形態について、上、下、左、右、上方、下方などの方向に関する言及は、図中に示される実施形態の配向を参照とするものであり、限定的なものとして意図されない。
【0038】
図1は、本発明による取外し装置2の一部分を概略的に示す。この装置は、複数対の対向するジョーを含み、各ジョーは、第1のジョー4および第2のジョー6を備える。第1のジョー4はそれぞれ、第1のジョーキャリア14の溝18内に部分的に位置し、第2のジョー6はそれぞれ、第2のジョーキャリア15の溝20内に部分的に位置する。第1のジョーキャリア14の溝18は、第1のキャリア14の対向壁30、31によって画成され、第2のキャリア15の溝20は、対向壁要素によって同様に形成される。
【0039】
ジョー4、6はそれぞれ、対応する溝18、20内に位置する被保持部分34と、溝18、20の外方に延在する突出部分38とを含む。突出部分38は、型12または型12の上に担持される成形物10の一部分を受容するように寸法設定され構成される成形凹部40を含む。凹部40は、型12または成形物10に係合することが可能な係合面8を画成する。
【0040】
図2〜図5において確認できる通り、型12は、細長形状体であり、各型は、型軸Xにしたがって配向される外方成形面を有する。図示される例においては、型は、正四方形断面を有するが、いくつかの異なるタイプの断面、特に円断面を予期することが可能であることが理解されよう。型は、それらの軸Xが共通方向に対して平行となるように構成される。
【0041】
以下において、「軸」という語は、型軸Xに対応するこの共通方向を指す。「ラジアル方向」という語は、特定の型を参照として、この型の軸Xに垂直なものとして定義される。
【0042】
各第1のジョー4、6の被保持部分34は、被保持部分34を貫通して位置する孔24を貫通し、溝18、20の対向壁に固定されるピン22によって、対応する溝18、20内に固定される。孔24は、ピン22の直径よりも大きな直径を有し、それにより第1のジョー4のそれぞれに対して溝内でのある程度の遊びを提供する。換言すれば、ジョー4、6は、ピン22および孔24の直径の差によって規定される制約範囲内で移動することが可能である。溝18、20の内または外への各ジョー4、6の移動は、キャリア14内に形成される円筒形ボア28内に収容され、ジョー4、6から離れるように溝18、20から延在するコイルばね26によって制御される。ばね26は、一方の端部が円筒形ボア28の接触面に係合し、他方の端部がジョー4、6の被保持部分34に接触し、それによって第1のジョー4、6のそれぞれが対応する対向するジョーの方に押しやられるように、構成される。
【0043】
各第2のジョー6は、対応する第1のジョー4のミラーイメージとなるように構成される。
装置2は、型受容通路(図示せず)を含み、この通路は、型開口および型出口を含み、それらを介して型12は、装置2に進入しおよび装置2から退出する。図2、図3、図4および図5に図示される実施形態においては、複数の型12が、共通キャリア16の上に担持される。複数の型12および共通キャリア16により形成される型組立体は、図示される例においては、一列に配置されて型平面を画成し、キャリア16から同一距離に整列された自由端部を有する複数の同一の型を備える。
【0044】
装置の使用が、図2〜図5に示され、この実施形態のいくつかの要素は、明瞭化のために省略されている。
図2においては、この装置は、開始位置にあり、ジョー4、6は、開位置にあり、型12の上に担持されるそれぞれの成形物10が、ジョー4と6との間に位置する。型12は、共通キャリア16の移動を制御することにより、それらのそれぞれの対のジョー4、6に整列される。適切な制御機構は、当業者にはよく知られており、本明細書においては詳細には説明しない。
【0045】
図3においては、ジョー4、6は、直線状であり型軸Xに対してラジアル方向である第1の相対移動によって、各ジョーの係合面8が型12のそれぞれの部分に係合する閉位置(矢印Aにより示される)へと移動される。ジョー4、6は、図3においてギャップBにより示される、成形物10の近位端部から離間されたポイントで、型12に係合する。
【0046】
キャリア14、15により担持されるすべての対のジョー4、6が、この第1の閉移動において並行して同時に移動される。
ジョー4、6が閉位置に移動されると、ジョー4、6は、型12に接触し、次いでキャリアバー14、15(図3には図示しない)が、ピン22および孔24の直径の差により提供される遊びの程度を下回る小さな量だけ、互いの方にさらに押しやられる。これによって、各ばね26が圧縮され、ジョー4、6がばね26の復元力にほぼ等しい力を型12上に加える。
【0047】
ジョー4、6は、それぞれのキャリア14、15を駆動して互いの方向に移動させることによって、互いの方向に移動される。キャリア14、15を駆動してジョー4、6を閉じさせる(および開かせる)ための適切な駆動装置は、本明細書においては詳細には説明しない。
【0048】
図4においては、ジョー4、6は、閉位置に保たれている。ジョーキャリア14、15は、共通型キャリア16に対して側方に(矢印Cにより示される)移動するように駆動される。各対のジョー4、6が、型キャリア16に対して側方に押しやられると、ジョー4、6は、それぞれの成形物10の近位端部に接触する。ジョーの継続的な側方移動により、成形物10はそれぞれ、それらのそれぞれの型12から取り外される。1対のジョー4、6によって押されている各成形物10は、その型12から、それぞれの受容要素(図示せず)の中または上に射出される。
【0049】
代替の実施形態(図示せず)においては、ジョー4、6は、成形物10に直接的に係合してよい。
また、共通型キャリアに対してジョーキャリア14、15を移動させるための適切な駆動機構は、当業者にはよく知られており、本明細書においては詳細には説明しない。
【0050】
図5は、成形物10の取外し後の、ジョー4、6、および型12を図示する。ジョー4、6は、それらのそれぞれのキャリア14、15が互いから離れるように駆動されることによって、開位置(矢印Aにより示される)へと駆動される。図5において図示されるように、ジョー4、6が開かれると、ばね26は、それらのそれぞれのジョー4、6を互いの方向に押しやり、ばね26により引き起こされるこの移動は、ピン22が孔24の停止面に接触することによって停止される。
【0051】
成形物10の放出の後に、ジョーキャリア14、15は、図2に図示される開始位置に戻される。
上述の装置および方法は、カプセル製造工程において、2部タイプのカプセルの本体およびキャップなどの成形カプセルパーツをそれらの型から取り外すために特に適する。普通は、このようなカプセルは、製薬産業および栄養補助食品産業において使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型軸(X)にしたがって配向された外方成形面をそれぞれ有し、それぞれの軸(X)に対して平行に構成される型のそれぞれから、複数の成形物を取り外すための装置であって、該装置は
複数対のジョー(4、6)であって、各複数対のジョー(4、6)が、それぞれの型(12)に対応し、前記ジョー(4、6)が前記型(12)から離間される開位置と前記ジョー(4、6)が前記型(12)または前記成形物(10)に係合する閉位置との間での第1の相対移動によって、ならびに、前記対のジョー(4、6)が前記型軸(X)に沿って摺動的に変位されて、前記各成形物(10)を軸方向に変位させ前記各成形物(10)を前記型(12)から取り外す、実質的に軸方向への第2の相対移動によって、前記それぞれの型(12)に対して移動可能である第1のジョー(4)および対向する第2のジョー(6)を含む、複数対のジョー(4、6)を備え、
前記第1の相対移動について、前記ジョー(4、6)は、前記それぞれの型軸(X)に対してラジアル方向である平行方向に直線状に移動可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記第1のジョー(4)を担持する第1のキャリア(14)および前記第2のジョー(6)を担持する第2のキャリア(15)をさらに備え、前記第1のキャリア(14)および前記第2のキャリア(15)は、前記それぞれの型について前記開位置と前記閉位置との間での前記第1の相対移動、ならびに前記実質的に軸方向への第2の相対移動によって前記ジョー(4、6)を変位させるように、2つの連続的な直交方向にしたがって直線状に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のジョー(4)および前記第2のジョー(6)のそれぞれが、前記それぞれのキャリア(14、15)に対して、前記第1および前記第2のジョー(4、6)の互いの方へのおよび互いから離れる方への前記第1の相対移動によって規定される方向に対応する第1の方向に移動することが可能となるように、前記第1のジョー(4)はそれぞれ、前記第1のキャリア(14)に摺動可能に結合され、前記第2のジョー(6)はそれぞれ、前記第2のキャリア(16)に摺動可能に結合される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のジョー(4)および前記第2のジョー(6)のそれぞれが、前記それぞれのキャリア(14、15)に対して、前記型軸(X)に対してならびに前記第1および前記第2のジョー(4、6)の前記第1の相対移動により規定される前記方向に対して実質的に直交する第2の方向に移動可能であって、1対のジョー(4、6)と前記それぞれの型(12)との間の不整列を補償するように、前記第1のジョー(4)はそれぞれ、前記第1のキャリア(14)に摺動可能に結合され、前記第2のジョー(6)はそれぞれ、前記第2のキャリア(16)に摺動可能に結合される、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1および第2のジョー(4、6)のそれぞれのキャリア(14、15)に対する前記第1および第2のジョー(4、6)の移動を制限するように構成される停止要素(22、24、30、31)をさらに備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
ジョー(4、6)とそれぞれのキャリア(14、15)との間にそれぞれが置かれ、前記第1および第2のジョー(4、6)をそれらの閉位置に付勢するようにそれぞれが構成された、弾性変形可能部材(26)をさらに備える、請求項3から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記開位置と前記閉位置との間で各対の前記ジョー(4、6)を移動させることが可能な第1の駆動機構と、前記ジョー(4、6)を軸方向に移動させることの可能な第2の駆動機構とをさらに備えることを特徴とする、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記型(12)は、一列に配置されて型平面を画成するものであり、前記第1の駆動機構は、前記ジョー(4、6)を、前記型平面に対して直交する第1の面内で移動させ、前記第2の駆動機構は、前記ジョー(4、6)を、前記型平面に対応する第2の面に沿って移動させる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の平面は、垂直面であり、前記第2の平面は水平面である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
各ジョー(4、6)は、前記型(12)または成形物(10)に係合するために形状設定され構成された凹部(40)を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
型(12)を、前記型(12)に関連付けされる成形物(10)と共に中に受容するように構成された型受容通路をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記型受容通路は、それぞれの対のジョー(4、6)に前記型(12)を整列させることが可能な整列要素を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1および第2の駆動機構はそれぞれ、電気式、機械式、気圧式および水圧式の中から個別に選択される駆動源を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1および第2の駆動機構は、共通駆動源を共有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1および/または第2の駆動源は、駆動シャフトを含む機械式駆動源である、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
型軸(X)にしたがって配向された外方成形面をそれぞれ有し、それぞれの軸(X)に対して平行に構成される型のそれぞれから、複数の成形物を取り外す方法において、
一連の、
(i)第1のジョー(4)および対向する第2のジョー(6)をそれぞれが含む対のジョー(4、6)のそれぞれに各型を整列させるステップと、
(ii)前記第1および第2のジョーが前記型(12)から離間される開位置から、前記ジョー(4、6)が前記型(12)または成形物(10)に係合する閉位置への第1の相対移動によって、各対の前記第1および第2のジョー(4、6)を移動させるステップであって、前記対のジョーの前記第1の移動は、前記それぞれの型軸(X)に対してラジアル方向である平行方向に直線状に行われるステップと、
(iii)各対のジョー(4、6)が前記型軸(X)に沿って摺動的に変位されて、前記各成形物(10)を軸方向に変位させ前記各成形物(10)を前記型(12)から取り外す、実質的に軸方向への第2の相対移動によって、前記対のジョー(4、6)を移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1のジョー(4)は、第1のキャリア(14)によって担持され、前記第2のジョー(6)は、第2のキャリア(15)によって担持され、前記第1および第2のジョー(4、6)の前記開位置から前記閉位置への前記第1の移動は、前記それぞれのキャリア(14、15)の移動によって達成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のジョー(4)は、第1のキャリア(14)によって担持され、前記第2のジョー(6)は、第2のキャリア(15)によって担持され、各対のジョー(4、6)の前記実質的に軸方向の第2の移動は、前記それぞれのキャリア(14、15)の移動によって達成される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
カプセル製造工程における、それぞれの型から成形カプセルパーツを取り外すための、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置または請求項16から18のいずれか一項に記載の方法の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2009−545471(P2009−545471A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522362(P2009−522362)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002224
【国際公開番号】WO2008/015555
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】