説明

成形装置およびその異常表示方法

【課題】異常発生時にまず、成形装置の全体構成図およびセンサシンボルを表示し、次に異常が検出された一つの部分の写真と、その部分にあるすべての異常検出センサをそれぞれ示すセンサシンボルにて表示するが、成形装置の全体構造を示す表示画面の作成労力が大きな負担になっていたという問題があった。
【解決手段】成形するための複数の作動部のうち所望する作動部6,7のそれぞれに異常検出センサ65,66,80,81,82,83を設け、異常検出センサによって異常が検出されたとき、異常が検出された作動部およびその作動部に配設された異常検出センサを撮影した写真X,Yと、異常の内容を表示する領域114とを操作パネル110の画面111に表示する異常検出コントロール部100を具備した構成とした。これによって、成形装置の全体構造を示す表示画面の作成を排除した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出センサによる異常個所を写真画像で表示する成形装置およびその異常表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成形装置、特に吹込成形装置は、基本的に、熱可塑性樹脂を加熱溶融しスクリュを用いて連続的にダイから押し出す押出機、押し出されたパリソンを圧縮エアによって密閉金型内で膨張させるブロー装置、およびブロー成形品の取出装置を少なくとも備えている。さらにこれら作動部でのトラブルを検査するために異常検出センサをこれら作動部に設けている。通常、これら異常検出センサすべてを、成形装置全体を示す表示画面、すなわち操作パネル画面に表示することになる。異常発生時には、成形装置全体を示す表示画面に異常検出センサの個所が表示され、操作者がその異常内容を解消するよう対応することになる。
【0003】
しかしながら、この成形装置全体を示す表示画面は、その成形装置ごとに異なり、これら表示画面を作成するのは、多大な労力を要していた。
【0004】
そこで、たとえば、特許文献1に示されるような、異常検出センサの表示画面の改良方法が提案されている。
【0005】
以下、この方法を説明する。複数の動作部の各所にはそれぞれ異常検出センサが設けられ、異常発生時には第1階層の異常表示画面が表示されるとともに、第2階層の異常表示画面が表示される。第1階層の異常表示画面には、装置の全体構成図およびセンサシンボルが表示されるとともに、異常を検出したセンサに対応するセンサシンボルが点滅する。第2階層の異常表示画面には、異常が検出された一つの部分の写真と、その写真部分にあるすべての異常検出センサをそれぞれ示すセンサシンボルとが表示される。異常を検出したセンサに対応するセンサシンボルは、点滅表示される。
【特許文献1】特開2003−170489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の異常検出方法を備えた成形装置においても、成形装置の全体構成を示す表示画面を必要とし、その作成労力はやはり解消していないことになる。
【0007】
本発明は、このような従来の成形装置が有していた問題を解決しようとするものであり、異常発生時に異常が検出された作動部の写真および異常内容を含めた画面を操作パネルの画面に表示して、操作者に対し迅速な異常原因の究明とその対応時間の短縮を可能せしめる成形装置およびその異常検出方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、成形するための複数の作動部のうち所望する作動部のそれぞれに異常検出センサを少なくとも1個設け、上記異常検出センサによって異常が検出されたとき、該異常が検出された作動部および該作動部に配設された上記異常検出センサを撮影した写真と、上記異常の内容を表示する領域とを操作パネルの画面に表示する異常検出コントロール部を具備した成形装置である。
【0009】
本発明にかかる成形装置は、好ましくは吹込成形装置であるが、一般成形装置にも適用できることは勿論である。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、上記異常検出コントロール部が、上記写真および上記異常内容表示領域を表示した画面と、上記異常内容を解決するための手法フロー図を表示した画面とをリンクさせている構成としたものである。
【0011】
第3の課題解決手段は、上記異常検出コントロール部が、上記操作パネル画面に設けた別アングル写真切換ボタンの操作によって上記写真に代えて上記異常検出作動部のアングルを変えて撮影した写真に切換表示する構成としたものである。
【0012】
第4の課題解決手段は、上記異常検出コントロール部は、検出された異常の内容が複数あるとき、該複数の異常内容を異常内容の重大さを基準にして優先順位の高い異常内容から順に上記操作パネル画面の上記異常内容表示領域にて列挙する構成としたものである。
【0013】
第5の課題解決手段は、成形するための複数の作動部のうち所望する作動部のそれぞれに少なくとも1個設けた異常検出センサによってこれら作動部にて異常が発生したとき該異常を検出し、該異常が検出された作動部および該作動部に配設された上記異常検出センサを撮影した写真と、上記異常の内容の表示領域とを操作パネルの画面に表示する成形装置の異常表示方法である。
【0014】
第6の課題解決手段は、上記写真および上記異常内容表示領域を表示した画面に、上記異常内容を解決するための手法フロー図を表示する画面をリンクさせている成形装置の異常表示方法である。
【0015】
上記第1の課題解決手段による作用は、次の通りである。すなわち、異常検出センサによって異常が検出されたとき、該異常が検出された作動部と該作動部に配設された上記異常検出センサとの写真および上記異常内容が操作パネル画面の所定領域に表示され、成形装置の操作者が操作パネル画面にて異常個所および異常の内容を視覚的にすばやく、かつ客観的に判断でき、操作者に対し迅速な異常原因の究明とその対応時間の短縮とを可能せしめる。
【0016】
上記第2の課題解決手段による作用は、異常が表示された作動部の写真および異常の内容を表示する画面に該異常内容を解決するための手法フロー図をリンクさせているので、操作者が異常解決の方策を操作パネル画面にてすばやく、かつ的確に把握することができ、異常発生時の初動対応を迅速に行せしめるという効果を奏する。
【0017】
上記第3の課題解決手段による作用は、三次元表示した上記操作部の写真画面を操作パネル画面に表示するので、操作者が異常内容をより視覚的に把握しやすいという効果を奏する。
【0018】
上記第4の課題解決手段による作用は、検出された異常が複数あるとき、これら内容を異常内容の重大さの順に上記異常内容の画面領域にて列挙するので、操作者が重大な異常内容から優先的に解決すべき対応ができ、結果として全般的な異常内容の解決を効率よく行えるという効果を奏する。
【0019】
第5の課題解決手段による作用は、異常が検出された作動部と該作動部に配設された異常検出センサとの写真および上記異常内容を操作パネル画面に表示する成形装置の異常表示方法であるので、成形時中に成形装置の操作者が操作パネル画面にて異常個所とそれら異常の内容を視覚的にすばやく、かつ客観的に判断でき、操作者に対し迅速な異常原因の究明とその対応時間の短縮とを可能せしめる。
【0020】
第6の課題解決手段による作用は、上記写真および異常内容の画面に上記異常内容を解決するための手法フロー図を示す画面にリンクさせて表示する方法なので、成形時に操作者が異常内容の解決の方策を操作パネル画面にてすばやく、かつ的確に把握することができ、異常発生時の初動対応を迅速に行わせしめるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0021】
上述したように本発明の成形装置およびその異常表示方法は、異常検出センサによって異常が検出されたとき、該異常が検出された作動部と該作動部に配設された上記異常検出センサとの写真および上記異常の内容が操作パネル画面の所定領域に表示され、成形装置の操作者が操作パネル画面にて異常個所と異常の内容を視覚的にすばやく、かつ客観的に判断でき、操作者に対し迅速な異常原因の究明とその対応時間の短縮とを可能せしめるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施の形態である吹込成形装置は、図1および図3に示すように、成形するための作動部として、押出機1、クロスヘッド3、パリソン切断装置(図示略)、成形金型5、エア吹込装置6、型締装置7、成形金型移動装置8、および成形品取出装置9を具備している。
【0023】
押出機1は、樹脂組成物の投入用ホッパ11、および押出機内部に樹脂組成物の移送・混練・溶融・吐出を行うための図示を省略したスクリュを備えている。押出機1自体は、基台10上に設けられている。図中、14は押出機駆動モータである。
【0024】
クロスヘッド3は、図3に示すように多頭用のものであり、押出機1の先端に接続して配設して成る。押出機1にて溶融した樹脂組成物は、押出機1からクロスヘッド3に供給されて、図4に示すように、図中二点鎖線にて示した筒状パリソンpが成形されるようになっている。
【0025】
図示を省略したパリソン切断装置は、クロスヘッド3から垂下する筒状パリソンpの上部を切断するものであり、電熱カッタを有するカッタホルダを備えている。
【0026】
成形金型5は、図1、図2、図4および図6に示すように、一対の分割金型5a,5bからなり、これら分割金型には、筒状パリソンpを挿入させて、図3に示すような中空成形品Bに成形するためのキャビティ51を形成している。
【0027】
成形金型5は、付帯する金型移動用電動機を備えた成形金型移動装置8によって、多頭用クロスヘッド3,3の直下の位置およびエヤ吹込装置6の左右のエヤ吹込ノズル61,61の直下位置の間にて、水平方向に交互に往復動するようになっている。
【0028】
エア吹込装置6は、図3ないし図5に示すように、成形金型5の左右のキャビテイ51,51のそれぞれの上方にて、筒状パリソンp内に挿入して圧縮エアを吹込むエア吹込ノズル61、およびエア吹込ノズル61を上昇・下降させるエア吹込ノズル駆動装置62を備えている。エア吹込ノズル駆動装置62は、図示を省略した制御部に接続された可変速タイプの吹込装置駆動用の電動機を具備している。
【0029】
エア吹込ノズル61は、図示を省略したエア源から圧縮された吹込エアが供給されて、成形金型5の左右のキャビティ51内に供給された筒状のパリソンp内にエアを吹込むようになっている。
【0030】
型締装置7は、図1および図6に示すように、成形金型5の割型5a,5bを型締するものであり、これら割型5a,5bをそれぞれ装着するプラテン71,72と、プラテン72を支持するプラテン支持プレート73と、プラテン71と後方プレート74間にある後述する型締駆動機構などから構成されている。
【0031】
型締装置7自体は、成形装置本体ベース12上を、図1の紙面に対し直交する方向に移動できるようになっている。可動台13には、プラテン支持プレート73と後方プレート74とを締結する3本のタイバー75a,75b,75cが挿通されており、ブラケット84は、上方の2本のタイバー75a,75bを、図1の紙面に対し平行な方向へ挿通して水平に支持し、これらタイバー75a,75b,75cに、プラテン71のスライドカラー71a,71b,71cを挿通して、プラテン71をこれらタイバーの軸方向に移動自在に支持している。
【0032】
ブラケット84は、タイバー75a,75bに摺動可能に挿通されており、ブラケットの上面に起立した一対のプレート85a,85bが支承されている。プレート85bには、図示を省略した減速機と電動機15が取り付けられており、減速機の出力軸には回転ディスク86が連結されている。電動機15は、サーボモータなどの回転制御が容易なものである。
【0033】
型締装置7の型締駆動機構は、次に述べる構成からなる。すなわち、後方プレート74の上端部に設けたブラケット76を介して回動可能なリンクアーム77aの一端を回動可能に連結するとともに、このリンクアーム77aの他端は回転ディスク86に回動可能に連結されている。また、もう一方のリンクアーム77bの一端は、プラテン71の背面の上端部に設けたブラケット78に回転可能に連結され、リンクアーム77bの他端が回転ディスク86に回動可能に連結されている。回転ディスク86の回転に伴いリンクアーム77a,77bが動き、その動きに従ってプラテン71が3本のタイバー75a,75b,75cに沿って摺動移動し、後方プレート74とタイバー75a,75b,75cを介して割型5aが他方の割型5bに対し近接離反する。
【0034】
成形品取出装置9は、図2および図3に示すような構造を持つ。吹込成形の終了後、離反した割型5a,5bから、プラテン72側面から延びた製品ホルダ(図示略)によって図中二点鎖線にて示した中空成形品Bが挟まれ、成型品取出装置9がこれら中空成型品Bをさらに把持して吹込ラインから外し、製品出口へと移送するようになっている。
【0035】
かかる吹込成形装置は、さらに上述の各作動部での異常を検知するためのセンサを配設している。たとえば、エア吹込装置異常検出センサおよび型締装置異常検出センサを次に述べる。
【0036】
エア吹込装置異常検出センサは、図5に示すように、エア吹込装置6の左右のエア吹込ノズル61上方に位置する可動台63に設けた位置検知用プレート64を、打込上昇定点にて検知する近接センサ65と打込下降定点にて検知する近接センサ66とからなる。
【0037】
型締装置7における異常検出センサは、図6に示すように、回転ディスク86の中芯に、その中芯と一体的に回転可能に設けた開締検知用プレート79の型開定点位置から回転周方向にずれた異常型開位置検知用の近接センサ80と、プレート79の正常型締位置から回転周方向へずれた異常型締位置検知用の近接センサ81からなる。図中、近接センサ82は、プラテン71,72の正常な型開定点位置を検知するものであり、近接センサ83は、プラテン71,72の正常な型締定点位置を検知するものである。これら異常位置検知用の近接センサ80,81に、プレート79の端が近接したとき、金型5の割型5a,5bの型締・型開の異常が検知されるようになっている。また、型締完了時に近接センサ83がONしないとき、または型開完了時に近接センサ82がONしないときを、異常として検出する。
【0038】
次に、かかる吹込成形装置による作用およびこの吹込成形装置における異常内容表示方法の実施の形態を併せて述べる。
【0039】
かかる吹込成形装置による吹込成形は、樹脂を多頭用クロスヘッド3から垂下させて左右の筒状パリソンpを形成し、これらパリソンpを成形金型5のそれぞれのキャビテイ51,51に挿入し、ついでこれらパリソンpに対応するエア吹込ノズル61,61からパリソンp内にエアを吹込み、これらパリソンpを成形金型5のキャビテイ51に一致するまで膨出させる吹込成形によって、中空成形品Bであるボトルを成形する。そして金型5の割型5a,5bが互いに離反し、これら成形品Bが製品取出装置9の把持によって吹込ラインから外されて、製品出口へと移送される。
【0040】
かかる吹込成形装置において、上述の異常検出センサなどによって異常が検知された場合、図7に示したように、上述の異常検出センサ65,66,80,81を含めた異常検出センサ群90に接続した異常検出コントロール部100が反応して、異常内容表示回路101を作動させて、図8に示した操作パネル110の表示画面111に異常内容を表示させ、また異常警報ブザー102を作動させて警報を発生させるとともに、シグナルタワー103を作動させて、異常の種類に従い赤色または黄色のシグナルを点滅させる。同時にまた、警報の種類に応じて、成形機の自動即停止回路104を作動させて成形機の運転を即時停止させるか、または成形機のサイクル停止回路を作動させて成形機での成形サイクルのみを停止させる。さらにまた同時に、警報の種類に応じて、押出機駆動モータ停止回路106を作動させて押出機の駆動モータを停止させる。図7中、90a,90b,・・・,90n−1,90nは、他の異常検出センサを示す。ただし、nは2以上の正の整数を示す。
【0041】
図8に示した操作パネル110のタッチパネル方式の表示画面111に、図9に示したように、該当異常検出センサを含めた該当作動部の写真Xが写真表示領域113に表示され、異常の内容が画面右上の異常内容表示領域114に表示される。図8中、112は各種操作ボタンである。
【0042】
図9に示した写真Xは、エア吹込装置6の打込上昇定点近接センサ65,打込下降定点センサ66、位置検知用プレート64およびこれらの周りの機構部分を示す。図9に示した異常内容表示領域114に表示された異常内容は、打込上下動作異常である。
【0043】
この異常表示の画面への切換は、メインメニュ画面または各種サブメニュ画面から、異常検出コントロール部100の作動により直接行われる。
【0044】
異常の内容の表示領域114には、異常の内容が複数ある場合、これらが所定規則に従い列挙される。すなわち、異常検出コントロール部100が、これら複数の異常内容を異常内容の重大さを基準にして、優先順位の高い異常内容から順に異常内容表示領域114にて列挙表示する。たとえば、図9に示すように、この表示領域114の項目1,2,3,4の空欄部分に、かかる規則に従い異常の内容が表示されることになる。
【0045】
この場合、異常検出コントロール部100は、次の通り、図10に示したプログラムフローに従って作動する。すなわち、まずステップS100に示すように、異常内容が複数か否かを判断し、YesならステップS101に示すように、異常内容表示領域114に、上述の規則に従い複数の欄の上から順に列挙表示し、かつステップS102に示すように、最上の欄に記載したい異常内容に対応した作動部の写真Xを写真領域113に表示する。さらに上から2番目以降の欄に記載した異常の内容を操作者がタッチして指定したとき、ステップS103に示すように、その内容に対応した作動部の写真を写真領域113に表示する。
【0046】
ステップS100にてNoの場合、ステップS104に示すように、異常内容表示領域114の最上の欄に当該異常内容を表示し、かつこの異常内容に対応した作動部の写真Xを写真領域113に表示する。
【0047】
異常検出コントロール部100のプログラムは、図11に示したフローに従い、ステップS110に示すように、操作者が異常内容表示領域114に所望異常内容欄をタッチすると、ステップS111に示すように、当該異常内容の解決手法を示すフロー画面をリンク付けして表示する。
【0048】
たとえば異常の内容が図5に示した打込操作時のトラブルである打込上下動作異常であって打込上昇時に上昇定点センサがONしない場合、その解決手法を示すフロー画面は図12に示すようになる。すなわち、図中ステップS1に示すように、上昇定点センサがONしないと、成形機が自動的に即停止するとともに、押出機駆動モータ14も停止する。そして、ステップS2に示すように、打込上昇位置か否かを判断しYesなら、さらにステップS3に示すように、打込上昇定点検知用近接センサ65に位置検知用プレート64が到達しているか否かを判断し、ステップS2にてNoなら、ステップS4に示すように、図3に示したエア吹込ノズル駆動装置62のサーボモータ軸87とボールネジ88とのカップリング89に緩みがあるか否かを判断する。
【0049】
ステップS3にてYesなら、ステップS5に示すようにセンサ65をチェックし、必要ならこのセンサを交換する。ステップS3にてNoなら、ステップS6に示すようにセンサ65の位置調整を行う。
【0050】
ステップS4にてYesなら、ステップS7に示すように上述のカップリングの締付調整を行う。ステップS4にてNoなら、ステップS8に示すように、エア吹込ノズル駆動装置62のサーボモータのエンコーダ、このエンコーダからシーケンサへ連絡するエンコーダケーブル、およびシーケンサをチェックし、必要ならこれら部品を交換する。
【0051】
ステップS7およびステップS8の場合は、次にステップS9に示すように、エア吹込ノズル駆動装置62の再原点合わせを行う。
【0052】
ステップS5、S6,S9の工程での原因を排除したら、ステップS10に示すように、図示を省略したトラブルリセットキーを3秒以上、押し続ける。その結果、リセットが完了する。
【0053】
また、たとえば、警報異常の内容が図6に示した型締・型開動作時異常である場合、その解決手法を示すフロー画面は、図13および図14に示すようになる。
【0054】
型締動作異常の場合、すなわち型締・型開動作監視タイマが型締・型開動作時間以下の場合、図13に示すように、ステップS21に示すように成形機が自動的に即停止するとともに、押出機駆動モータ14も停止する。そしてステップS22に示すように、型締動作が作動するか否かを判断し、Yesなら、ステップS23に示すように監視タイマの設定値が速度設定値に対して妥当な値か否かを判断する。ステップS22にてNoなら、ステップS24に示すように図示を省略した型締のブレーカが入っているか否かを判断する。
【0055】
ステップS23にてYesなら、ステップS25に示すように金型が異物を挟み込んでいないかをチェックする。ステップS23にてNoなら、ステップS26に示すように監視タイマの設定値を妥当な値に設定し、ついでステップS36に示すようにトラブルリセットキーを3秒以上、押し続ける。これにより、ステップS37に示すようにリセットが完了する。
【0056】
ステップS25にてYesなら、ステップS29に示すように型締・型開動作が滑らか否かの判断を行う。ステップS25にてNoなら、ステップS30に示すように異物を除去し、ついでステップS36に示すようにトラブルリセットキーを3秒以上、押し続ける。これにより、ステップS37に示すようにリセットが完了する。
【0057】
ステップS29にてYesなら、再びステップS23に戻り、ステップS23,S25,S29での判断を繰り返し行う。ステップS29にてNoなら、型締装置7のグリスアップを行い、ついで上述のステップS36およびステップS37のようにしてリセットを完了させる。
【0058】
一方、ステップS24にてYesなら、ステップS27に示すように、電動機であるサーボモータ15を制御するサーボアンプ(図示略)の画面に状態表示があるか否かを判断する。ステップS27にてYesなら、ついでステップS31に示すようにサーボアンプの画面に警告表示がないか否かを判断する。ステップS27にてNoなら、ステップS32に示すようにサーボアンプを交換し、ついで上述のステップS36およびステップS37のようにしてリセットを完了する。
【0059】
ステップS31にてYesなら、ステップS34に示すように、操作電源を切りそして入れて、ステップS37に示すようにリセットを完了させる。ステップS31にてNoなら、ステップS35に示すようにサーボ異常の解決手法へ進む。
【0060】
型開定点異常の場合、その解決手法を示すフロー画面は図14に示すようになる。すなわち、図中ステップS41に示すように、型開定点センサがONしないと、成形機が自動的に即停止するとともに、押出機駆動モータ14も停止する。そしてステップS42に示すように型開位置か否かを判断し、Yesなら、さらにステップS43に示すように、型開定点検知用近接センサ82に型開締検知用プレート79が到達しているか否かを判断する。ステップS42にてNoなら、ステップS44に示すように、電動機15の軸と減速機の軸とのカップリングに緩みがあるか否かを判断する。
【0061】
ステップS43にてYesなら、ステップS45に示すようにセンサ82をチェックし、必要ならこのセンサを交換する。ステップS43にてNoなら、ステップS46に示すようにセンサ82の位置調整を行う。
【0062】
ステップS44にてYesなら、ステップS47に示すように上述のカップリングの締付調整を行う。ステップS44にてNoなら、ステップS48に示すように、電動機15のエンコーダ、このエンコーダからシーケンサへ連絡するエンコーダケーブル、およびシーケンサをチェックし、必要ならこれら部品を交換する。
【0063】
ステップS47およびステップS48の場合は、次にステップS49に示すように、型締装置7自体の再原点合わせを行う。
【0064】
ステップS45、S46,S49の工程での原因を排除したら、ステップS50に示すように、図示を省略したトラブルリセットキーを3秒以上、押し続ける。その結果、リセットが完了する。
【0065】
異常検出コントロール部100のプログラムはまた、図9に示した画面右下側の写真アングル切替ボタン115を操作者がタッチすると、異常の作動部を別の方面すなわち他アングルから撮影した写真画面Yを、たとえば図15に示すように表示する。かかる写真は、一方向からの写真画像だけでなく、同じ部位を他アングルから写した写真画像でもよい。要は、三次元的に異常部位を、より一層わかりやすく、成形装置の操作者が判断できる写真であればよい。
【0066】
かかるプログラムは、図16に示すフローにて処理することになる。すなわち、ステップS60にて写真アングル切換ボタン102がタッチされると、ステップS61に示すように、異常の作動部を他アングルから撮影した写真画面が表示される。さらに所望するなら、写真アングル切換ボタン102を繰り返しタッチすることにより、ステップS60ついでステップS61の操作が繰り返されて、同じ作動部の他のアングルの写真を表示することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施形態を示す成形装置の側面図
【図2】同成形装置の平面図
【図3】同成形装置の前方部の詳細を示す正面図
【図4】成形金型および型締装置を拡大して示した側面図
【図5】エア吹込装置における異常検出センサを示す斜視図
【図6】型締装置における異常検出センサを示す斜視図
【図7】異常検出センサと異常検出コントロール部と被コントロール部を示すブロック図
【図8】操作パネルを示す平面図
【図9】操作パネルでの異常内容を表示した表示画面を示す正面図
【図10】表示画面での複数の異常内容の切換を示す異常検出コントロール部のプログラムフロー図
【図11】異常検出コントロール部のプログラムによる異常内容表示画面から異常内容解決のフロー画面への切換を示すフロー図
【図12】打込上昇定点異常の解決フロー画面を表示する操作パネルの表示画面を示す正面図
【図13】型締動作異常の解決フロー画面を表示する操作パネルの表示画面を示す正面図
【図14】型開定点異常の解決フロー画面を表示する操作パネルの表示画面を示す正面図
【図15】図9に示した写真とは異なった別アングルの写真を撮影した異常内容を表示した表示画面を示す正面図
【図16】異常内容表示画面での別アングル写真の切換を示す異常検出コントロール部のプログラムフロー図
【符号の説明】
【0068】
1…押出機
2…クロスヘッド
5…成形金型
6…エア吹込装置
7…型締装置
8…成形金型移動装置
61…エア吹込ノズル
64…位置検知用プレート
65…打込上昇定点近接センサ
66…打込下降定点近接センサ
80…異常型開位置近接センサ
81…異常型締位置近接センサ
82…型開定点位置近接センサ
83…型締定点位置近接センサ
90…異常検出センサ群
100…異常検出コントロール部
110…操作パネル
111…表示画面
113…写真表示領域
114…異常内容表示領域
115…写真アングル切換ボタン
X…写真
Y…写真Xの作動部の別アングル写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形するための複数の作動部のうち所望する作動部のそれぞれに異常検出センサを少なくとも1個設け、前記異常検出センサによって異常が検出されたとき、該異常が検出された作動部および該作動部に配設された前記異常検出センサを撮影した写真と、前記異常の内容を表示する領域とを操作パネルの画面に表示する異常検出コントロール部を具備したことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記異常検出コントロール部が、前記写真および前記異常内容表示領域を表示した画面と、前記異常内容を解決するための手法フロー図を表示した画面とをリンクさせていることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
【請求項3】
前記異常検出コントロール部が、前記操作パネル画面に設けた別アングル写真切換ボタンの操作によって前記写真に代えて前記異常検出作動部のアングルを変えて撮影した写真に切換表示することを特徴とする請求項1または請求項2記載の成形装置。
【請求項4】
前記異常検出コントロール部は、検出された異常の内容が複数あるとき、該複数の異常内容を異常内容の重大さを基準にして優先順位の高い異常内容から順に前記操作パネル画面の前記異常内容表示領域にて列挙することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項記載の成形装置。
【請求項5】
成形するための複数の作動部のうち所望する作動部のそれぞれに少なくとも1個設けた異常検出センサによってこれら作動部にて異常が発生したとき該異常を検出し、該異常が検出された作動部および該作動部に配設された前記異常検出センサを撮影した写真と、前記異常の内容の表示領域とを操作パネルの画面に表示することを特徴とする成形装置の異常表示方法。
【請求項6】
前記写真および前記異常内容表示領域を表示した画面に、前記異常内容を解決するための手法フロー図を表示する画面をリンクさせていることを特徴とする請求項5記載の成形装置の異常表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図9】
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【図15】
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