説明

成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法

本発明は、前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化を誘導するAxl受容体チロシンキナーゼのリガンドに関するものである。また、本発明は、造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、前駆ナチュラルキラー細胞をAxl受容体チロシンキナーゼのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させることを特徴とする、成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化を誘導するAxl受容体チロシンキナーゼのリガンドに関するものである。また、本発明は、造血母細胞をインターロイキン(以下、ILと略する)-7、SCF(幹細胞因子)及びFlt3L(Fmsに類似するチロシンキナーゼ3リガンド)で処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、前駆ナチュラルキラー細胞をAxl受容体チロシンキナーゼのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させることを特徴とする、成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、前駆ナチュラルキラー細胞(precusor natural killer cell,pNK)から成熟ナチュラルキラー細胞(mature natural killer cell,mNK)への分化を誘導するAxl受容体チロシンキナーゼ(Axl Receptor tyrosine kinase、以下Axlと略称する)のリガンドに関するものである。
より詳しくは、本発明は、造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞(precursor Natural killer cell,pNK)で分化させ、前駆ナチュラルキラー細胞をAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞で分化させることを特徴とする、成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法に関するものである。
【0003】
現在の癌治療法である外科的手術療法、薬物療法、放射線治療法などは一時的に治療効果を現すことができるが、耐性、再発又は様々な不作用が発生する問題点があるため、多くの先進国では抗癌剤や診断試薬を開発するために免疫反応を調節することができる免疫治療法を利用しようとする試みが活発に進行されているが、癌の診断、予防及び治療法を効果的に開発することができる免疫細胞治療法の開発はまだ初期段階であると知られている。
【0004】
ナチュラルキラー細胞(Natural Killer cell,NK)は病院菌、癌、同種異系間(allogeneic)細胞などを除去する先天性免疫(innate immunity)に係り、TNF-α、インターフェロン(以下、IFNと略する)-γ、IL-12などのサイトカイン(cytokine)を分泌して適応性免疫(adaptive immunity)を媒介することから、癌に特異的な記憶形成を調節する機能を持っており、多くの癌でナチュラルキラー細胞の機能及び分化能力に欠陥があるものと報告されている。ナチュラルキラー細胞を用いた既存の癌治療法としはIL-2でナチュラルキラー細胞を活性化させて癌細胞に対する免疫反応を増進させる方法が利用されてきたが、このような方法は副作用と共に、個々人による治療効果の持続性、耐性及び治療効果の差が大きいなどという問題点を持っていることと知られている。ナチュラルキラー細胞の癌殺傷効果を高めるためには何よりも活性の高いナチュラルキラー細胞を大量に確保しなければならない。ナチュラルキラー細胞は癌や難治性ウィルス感染などの治療に応用する可能性があるため、実際臨床に使用することは100億個以上のナチュラルキラー細胞が必要であると言う。しかし、ナチュラルキラー細胞は増やすことが非常に難しい細胞で、これまで様々な方法で試みてきたが、IL-2やIL-15の場合は多くとも数10倍ほど増やすことが限界であったが、その後、他人の癌細胞を混合すると、数百倍に増加することが明らかになった。2005年に発表された最も新しいナチュラルキラー細胞の増殖方法は、二つの遺伝子を混合した他人の癌細胞を混合して培養すると1000倍になるとするが、また研究段階にある。少なくとも数百倍程度以上を増やすことは、他人の癌細胞とともに混合して培養することが基本である。他人の癌細胞と混合するか、または遺伝子を用いることなどはまだ解決されていない安全上の問題、倫理的な問題が残っている状況である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化を誘導して多量の成熟ナチュラルキラー細胞を提供することにある。
本発明の他の目的は、前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化を誘導する物質を提供することにある。
【0006】
本発明のまた他の目的は、成熟ナチュラルキラー細胞を低用量のIL-2で処理して活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を提供することにある。
本発明のまた他の目的は、本発明により分化され、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を用いた免疫細胞治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の技術的課題を達成するために、本発明者らは既存の殆どの研究で利用した成熟ナチュラルキラー細胞とは違い、造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化過程(図1)を研究し、その結果、分化を促進させる遺伝子であるAxlを見つけた。Axl(p140)はSky、Eyk科(family)に属するチロシンキナーゼで、Axl科にはRse(Sky、Brt、Tif、Dtk、Tyro3)、Mer(Eyk、Nyk、Tyro12)があり、Axl、Rse及びMerは殆どの組織で発現されるものと知られているが、その機能に対してはよく知られていない。AxlのリガンドとしてはGas6が知られており、これはビタミンK依存の細胞成長因子(vitamin K-dependent growth-potentiating factor)で、Axlの独特な構造上、細胞の移動、成長、分化に関与することと推論されている。Axlの発現は繊維芽細胞、骨髄の先祖細胞(myeloid progenigor)、大食細胞、神経組織、卵胞、骨格筋などで発現されたが、リンパ球では発現されないことと報告されている。たとえ、AxlとGas6の役割が抗原提示細胞の恒常性及び造血母細胞の成長を調節することと知られているが、AxlとGas6がナチュラルキラー細胞の発生及び機能を調節する役割があるということについて知られたことがない。本発明者らは前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞に分化するのにAxlが必須の役割をすることを発見し、ナチュラルキラー細胞への分化調節剤として作用するAxlの発見に基づいて、マウスの骨髄から造血母細胞を採取し、これら細胞からAxl抗体及び/又はGas6を用いて成熟ナチュラルキラー細胞に分化させるシステムを確立した。この後、そのような分化システムを改造変形させてヒトの抹消血液、骨髄又は臍帶血から採取した造血母細胞に適用することによって機能が増強された成熟ナチュラルキラー細胞を大量に生成することに成功した。
【0008】
このような成功によって、一つの観点で、本発明は造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化を誘導するAxlのリガンドを提供する。本願において用語“リガンド”とはAxlと結合し、その受容体が作用性反応を現れるようにするポリペプチド又は化合物を意味する。本発明に係るリガンドはAxlに対する抗体、Gas6 及びタンパク質S(protein S)を包含する。用語“分化”とは一般的に比較的単なる系が2以上の質的に異なる部分系に分離される現像である。即ち、構造や機能が特殊化する現像をいう。成熟ナチュラルキラー細胞において用語“成熟”とは、ナチュラルキラー細胞が細胞の固有機能を発揮することができる能力を持っていることを意味し、例えば、癌細胞を認知し、直接癌細胞を殺害することができる能力を持っていることを意味する。ナチュラルキラー細胞が成熟したかどうかは発現物質をマーカーにして確認することができるが、マウスやヒトの場合、よく明らかになっている。マウスのマーカーとしては、例えばNK1.1、CD122、LY49 科(Ly49A、Ly49C、Ly49D、Ly49E、Ly49F、Ly49G、Ly49H、Ly49I)、NKG2A/C/Eが含まれ、ヒトのマーカーとしては、例えばNKG2A、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、CD56、CD161が含まれる。このようなマーカーの機能は当該分野の専門家によく認知されている。
【0009】
他の観点として、本発明は、(i)造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、(ii)前駆ナチュラルキラー細胞をAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させて成熟ナチュラルキラー細胞を収得することを特徴とする、成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法を提供する。
一つの様態として、本発明は造血母細胞をヒトの骨髄、抹消血液または臍帶血から分離することを特徴とし、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を製造する方法を提供する。
【0010】
他の様態として、本発明はAxlのリガンドであって、Axlに対する抗体、ヒトのγ−カルボキシル化されたGas6及びこれらの二つの配合物からなるグループ中で選択されるものを使用することを特徴とし、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を製造する方法を提供する。
また他の様態として、本発明は、前駆ナチュラルキラー細胞をヒトの基質(stroma)細胞の存在下でリガンドで処理することを特徴とする、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法を提供する。
【0011】
また他の観点として、本発明は、(i)造血母細胞をIL-7、SCFびFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、(ii)前駆ナチュラルキラー細胞をAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化されて成熟ナチュラルキラー細胞を収得し、(iii)分化された成熟ナチュラルキラー細胞をIL-2で処理して活性化させることを特徴とする、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法を提供する。一つの様態として、本発明は分化された成熟ナチュラルキラー細胞を約8〜15ng/mlのIL-2で処理することを特徴とする、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法を提供する。
【0012】
また他の観点として、本発明は本発明の方法により製造された活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を含むことを特徴とする免疫細胞治療剤を提供する。本願において免疫細胞治療剤は、各種の抗癌剤又は免疫増強剤などとして使用され得ることを意味する。活性化された成熟ナチュラルキラー細胞において用語“活性化”とは、成熟ナチュラルキラー細胞がIL-2により刺戟を受けることによって実質的な細胞毒性の効能を発揮するということを意味する。
【0013】
また他の観点として、本発明は患者の血液及び/又は骨髄から造血母細胞を抽出し、造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、前駆ナチュラルキラー細胞を基質細胞の存在下でAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させ、分化された成熟ナチュラルキラー細胞をIL-2で処理して活性化させ、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を患者自身に注入することを特徴とする自己免疫細胞治療療法を提供する。本発明において“自家免疫細胞治療療法”とは、患者の体から免疫細胞を採取し、若しくは患者自身の造血母細胞を用いて試験管水準で免疫細胞に分化させた、即ち、体外における培養を通じて癌細胞のみを選択的に殺害することができる免疫細胞の数を増やし、または機能を強化させた後、再度体内に注入して癌を治療することを言う。
【0014】
また他の観点として、本発明は、ヒトの同種臍帶血、供与血液及び/又は骨髄から造血母細胞を抽出し、造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、前駆ナチュラルキラー細胞を基質細胞の存在下でAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させ、分化された成熟ナチュラルキラー細胞をIL-2で処理して活性化させ、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を患者に注入することを特徴とする同種免疫細胞治療療法を提供する。本発明において“同種免疫細胞治療療法”とは、胎児の臍帶血から成体幹細胞を用いて試験管水準で免疫細胞に分化させた、即ち、体外における培養を通じて癌細胞のみを選択的に殺害することができる免疫細胞の数を増やし、または機能を強化させた後、再度体内に注入して癌を治療することを言う。
【0015】
ナチュラルキラー細胞は、特定微生物の感染及び新生物の認識並びに破壊を含む多様な生物学的機能を有する先天的免疫系に関連する白血球リンパ球である(Moretta,A.,Bottino,C.,Mingari,M.C.,Biassoni,R.and Moretta,L.,Nat.Immunol.,3,6,2002)。これらの形態的特徴は、細胞質内に稠密にピンクー紫色の染色顆粒の存在に基づいて顆粒性大リンパ球(Large Granular Lymphocyte,LGL)−類似形態を現わす。これらは正常の抹消血リンパ球で約10〜20%、肝リンパ球で15〜25%、脾臓リンパ球で1〜5%を含む。休眠のナチュラルキラー細胞は、血中で循環するが、サイトカインによる活性化後、これらは病院体により感染された細胞又は悪性細胞を含む殆どの組織内に流出及び浸潤することができる(Colucci,F.,Di Santo,J.P.and Leibson,P.J.,Nat.Immunol.,3,807,2002; Kelly J.M.,Darcy P.K.,Markby J.L.,Godfrey D.I.,Takeda K.,Yagita H.,Smyth M.J.,Nat.Immunol.,3,83,2002; Shi F.D.,Wang H.B.,Li H.,Hong S.,Taniguchi M.,Link H.,Van Kaer L.,Ljunggren H.G.,Nat.Immunol.,1,245,2000; Korsgren M.,Persson C.G.,Sundler F.,Bjerke T.,Hansson T.,Chambers B.J.,Hong S.,Van Kaer L.,Ljunggren H.G.,Korsgren O.,J.Exp.Med.,189,553,1999)。一般的に、ナチュラルキラー細胞の表現型はCD56及びCD16(ヒト)、NKR-P1C(マウスでNK1.1、ヒトでCD161)、DX5、Ly49(マウス; これらは特定のマウスストレインに限定される)表面抗原の発現及びCD3の欠如を特徴とする。ヒトのナチュラルキラー細胞の殆ど(総ナチュラルキラー細胞のうち90%)は、CD56の低密度発現(CD56dimよりさらに細胞毒性を現わす)を現わし、高水準のFcγ受容体III(FcγRIII,CD16)を発現するのに対し、約10%のナチュラルキラー細胞は、CD56brightCD16dim又はCD56brightCD16-である(Schattner,A.and Duggan,D.B.,Arthritis Rheum.,27,1072,1984)。ナチュラルキラー細胞は、ウィルス−感染された細胞、腫瘍細胞及び一部の正常の同種細胞で事前の教育なしに活性化受容体とこれらのリガンド間の相互作用を通じた初期宿主方法で核心的な役割をする。
【0016】
ナチュラルキラー細胞は、主組織適合性複合体(Major Histocompatibility Complex,MHC)の部類I分子に対して特異的なナチュラルキラー細胞の抑制 受容体を通じた認識により正常細胞と主組織適合性複合体の部類I分子の発現がない細胞を区別する能力を持っている。ナチュラルキラー細胞の機能は、標的細胞で主組織適合性複合体の部類I又は主組織適合性複合体の部類I−連関された分子のようなリガンドと相互作用する活性化受容体と抑制受容体間の均衡により調節される(Rajaram,N.,Tatake,R.J.,Advani,S.H.and Gangal,S.G.,Br.J.Cancer,62,205,1990)。これら受容体は二つの構造的科に分類される:免疫グロブリン上位科[白血球抑制受容体、キラー細胞Ig−類似受容体(KIR、CD158)]及びC−類型のレクチン−類似科(NKG2D、CD94/NKG2,リンパ球抗原49(LY49))。ナチュラルキラー細胞は細胞−表現受容体とこれらのリガンド間の相互作用後、IFN-γ及び腫瘍怪死因子−αのような幾つかのサイトカインを生成する(Bryson,J.S.and Flanagan,D.L.,J.Hematother.Stem Cell Res,.9,307,2000)。
【0017】
ナチュラルキラー細胞の作用基の機能は、IL-2、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21及びI型IFN−αβを含むサイトカインと細胞表面受容体の差別的な介入と組合せて刺戟することができるのに対し、これらはIFN-γ、IL-5、IL-10、IL-13、IFN-α及び顆粒球−大食細胞コロニー刺戟因子(GM-CSF)のような免疫調節サイトカインだけでなく、ナチュラルキラー細胞の受容体とこれらのリガンド間の相互作用後に多いケモカイン(Kemokine)を生成する(Shi F.D.,Wang H.B.,Li H.,Hong S.,Taniguchi M.,Link H.,Van Kaer L.,Ljunggren H.G.,Nat.Immunol.,1,245,2000)。ヒトの場合、CD56brightナチュラルキラー細胞の下位セットはまたIFN-γ、腫瘍怪死因子−α、腫瘍怪死因子-β、IL-10及び顆粒球−大食細胞コロニー刺戟因子(Lian R.H.,Maeda M.,Lohwasser S.,Delcommenne M.,Nakano T.,Vance R.E.,Raulet D.H.,Takei F.,J.Immunol.,168,4980,2002)を含むいくつかのサイトカインを生成するが、CD56dimナチュラルキラー細胞の下位セットはこれらサイトカインを生成しない(Colucci,F.,Di Santo,J.P.and Leibson,P.J.,Nat.Immunol.,3,807,2002; Shi F.D.,Wang H.B.,Li H.,Hong S.,Taniguchi M.,Link H.,Van Kaer L.,Ljunggren H.G.,Nat.Immunol.,1,245,2000)。たとえ、未成熟のナチュラルキラー細胞がIL-5及びIL-13のようなTh2サイトカインを生成することができるとしても、Th2サイトカインを生成する能力は最終分化時に喪失される。その代わりに、成熟ナチュラルキラー細胞は、IFN-γを生成する能力を収得する(Van Beneden K.,Stevenaert F.,De Creus A.,Debacker V.,De Boever J.,Plum J.,Leclercq G.,J.Immunol.,166,4302,2001)。ナチュラルキラー細胞は、IL-15(Crosier,K.E.and Crosier,P.S.,Pathology,29,131,1997; Nakano,T.,Kawamoto,K.,Kishino,J.,Nomura,K.,Higashino,K.and Arita,H.,J.Biochem.,323,387,1997; Fridell,Y.W.,Villa,J.,Jr,Attar,E.C.and Liu,E.T.,J.Biol.Chem.,273,7123,1997)又はIL-2(Goruppi,S.,Ruaro,E.and Schneider,C.,Oncogene, 12,471,1996)により部分的に調節されるXCL1、CCL1、CCL3、CCL4、CCL5、CCL22、及びCXCL8(Lundwall,A.,Dackowski,W.,Cohen,E.,Shaffer,M.,Mahr,A.,Dahlback,B.,Stenclrclr,J.and Wydro,R.,Proc.Natl Acad.Sci.,83,6716,1986)を含む多いケモカインを分泌し、反応する。これらケモカインは2次リンパ球組織で感染及び新生細胞に対するナチュラルキラー細胞のホーミング(Homing)に重要な役割をし、その組織においてIFN-γの生成がT細胞反応を直接的に調節する役割をすることができる(Lundwall,A.,Dackowski,W.,Cohen,E.,Shaffer,M.,Mahr,A.,Dahlback,B.,Stenclrclr,J.and Wydro,R.,Proc.Natl Acad.Sci.,83,6716,1986)。休眠のCD56dim/CD16+ナチュラルキラー細胞の下位セットは、CXCR1、CXCR2、CXCR3及びCXCR4を発現するのに対し、CD56bright/CD16ナチュラルキラー細胞は高水準のCCR5及びCCR7を発現する。ナチュラルキラー細胞の細胞溶解活性は、CCL2、CCL3、CCL4、CCL5、CCL10及びCXC3L1により刺戟される。
【0018】
ナチュラルキラー細胞が癌細胞を殺害するメカニズムには次の二つがある。細胞受容体を用いる方法で、ナチュラルキラー細胞は細胞の表面に三つの種類の腫瘍怪死因子タンパク質を発現する。これはパスリガンド(FASL)、腫瘍怪死因子、そしてトレイル(TRAIL)で、癌細胞にあるこれら受容体と結合して癌細胞のアポトーシスを誘導することと知られている(Ashkenazi,A.,Nature Rev.Cancer.,2,420,2002)。ナチュラルキラー細胞が癌細胞を殺害する他の方法は、パーフォリン(Perforin)またはグランザイム(Granzyme)のような細胞質性顆粒物を通じたものである。この物質は癌細胞の細胞膜を穿って癌細胞を溶解され、結局には癌細胞を殺害する作用をするようになる(Trapani,J.A.,Davis,J.,Sutton,V.R.and Smyth,M.J.,Curr.Opin.Immunol.,12,323,2000)。
【0019】
ナチュラルキラー細胞が万能造血母細胞(血液細胞と免疫細胞を構成する根源となる細胞である)から由来することはよく知られているが、まだそれの発生過程についてはよく知られていない(Lian R.H.,Maeda M.,Lohwasser S.,Delcommenne M.,Nakano T.,Vance R.E.,Raulet D.H.,Takei F.,J.Immunol., 168,4980,2002)。造血母細胞は(ヒトではLin-CD34+、マウスではLin-c-kit+Sca2+)胎児の胸腺、胎児の肝、臍帶血、そして成体骨髄から誘導されることができ、これらはT細胞やナチュラルキラー細胞に分化することができる前駆物質で(Lian R.H.,Kumar V.,Semin.Immunol.,14,453,2002; Douagi I.,Colucci F.,Di Santo JP.,Cumano A.,Blood,99,473,2002)、試験管水準でIL-7、SCF、及びflt3Lと反応して培養すると、前駆ナチュラルキラー細胞に分化することができる能力を持つと知られている(Williams N.S.,Klem J.,Puzanov I.J.,Sivakumar P.V.,Bennett M.,Kumar V.,J.Immunol,.163,2648,1999)。ここで、分化は一般的に比較的単なる系が二つ以上の質的に異なる部分系に分離される現像である。即ち、構造や機能が特殊化する現像を言う。前駆ナチュラルキラー細胞は、造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への中間段階の細胞で、骨髄、胎児の胸腺、血液、脾臓、及び肝などにむらなく広がっている。しかし、これらはIFN-γを生産できないので、細胞溶解能力はない。本発明においては造血母細胞に対するマーカーをc-kit+Lin-(マウス)及びCD34+(ヒト)と定義した。
【0020】
前駆ナチュラルキラー細胞(ヒトではCD56-CD122+CD34+、マウスではCD122+ NK1.1-DX5-)は、IL-15を処理して培養させると、未成熟のナチュラルキラー細胞(ヒトではCD122+CD16l-CD56-KIR-、マウスではCD122+CD2+NK1.1+DX5+Ly49-)に分化することができる。前駆ナチュラルキラー細胞をIL-15が含まれた培地で持続的に培養すると、早熟な(pseudomature)細胞溶解性ナチュラルキラー(CD122+CD2+NK1.1+DX5+CD94/NKG2+ Ly49-)細胞に分化することができるが、これらは細胞溶解能力が殆どないものと知られている。基質細胞はいろいろな種類のサイトカインと発達過程中のナチュラルキラー細胞の表面受容体と直接的に反応することができる物質などを分泌する細胞である。基質細胞が分泌するこのような物質は、成熟ナチュラルキラー細胞の成熟過程に必須の要素で、成熟ナチュラルキラー細胞でLyS49+が発現されるようにする機能を有するものと報告されている(Iizuka K.,Chaplin D.D.,Wang Y.,Wu Q.,Pegg L.E.,Yokoyama W.M.,Fu Y.X.,Proc.Natl.Acad.Sci.,96,6336,1999; Briard D.,Brouty-Boye D.,Azzarone B.,Jasmin C.,J.Immunol.,168,4326,2002)。細胞溶解能を有するLy49+の成熟ナチュラルキラー細胞(ヒトではCD56+KIR+CD3-、マウスではCD122+CD2+NK1.1+DX5+CD94/NKG2+Ly49+CD3-)は、IL-15の存在下で前駆ナチュラルキラー細胞と基質細胞との共同培養を通じて分化させることができる(Williams N.S.,Klem J.,Puzanov I.J.,Sivakumar P.V.,Bennett M.,Kumar V.,J.Immunol,.163,2648,1999)。ナチュラルキラー細胞の発達段階中、初期の発達段階ではCD94、NKG2A、NKG2CとLy49Bが発現され、次の段階ではLy49G、Ly49CとLy49Iが発現され、最後の段階ではLy49A、D、E及びFが発現される(Williams N.S.,Kubota A.,Bennett M.,Kumar V.,Takei F.,Eur.J.Immunol., 30,2074,2000)。本発明においては、前駆ナチュラルキラー細胞に対するマーカーをCD122+NK1.1-(マウス)と定義した。
【0021】
前駆ナチュラルキラー細胞はPU.1、GATA3、Id2、及びEts-1のような伝写因子を発現する(Boggs S.S.,Trevisan M.,Patrene K.,Geogopoulos K.,Nat.Immunol., 16,137,1998)。伝写因子のikaros、PU.1(Colucci F.,Samson S.I.,DeKoter R.P.,Lantz O.,Singh H.,Di Santo J.P.,Blood,97,2625,2001)とId2(Ikawa T.,Fujimoto S.,Kawamoto H.,Katsura Y.,Yokota Y.,Proc.Natl.Acad.Sci,.98,5164,2001)を欠乏させたマウスで前駆ナチュラルキラー細胞数の減少が観察される。造血母細胞は、myb腫瘍遺伝子(oncogene)、c-myc、及びOct 2bのような伝写因子を発現する。これら因子は、前駆ナチュラルキラー細胞の増殖と発達に重要な役割をする(Bar-Ner M.,Messing L.T.,Segal S.,Immunobiology,185,150,1992; Melotti P.,Calabretta B.,Blood,87,2221,1996)。前駆ナチュラルキラー細胞においてFc受容体、腫瘍怪死因子受容体、IL-7受容体とケモカイン受容体、及びCD36のような免疫調節剤は、前駆ナチュラルキラー細胞の段階で重要な役割をすることと知られている。
【0022】
成熟ナチュラルキラー細胞においてRGS(Gタンパク質シグナル調節子、regulator of G protein signaling)、リンパ球特異タンパク質チロシンキナーゼとFyn 原腫瘍遺伝子のようなシグナル伝達分子は、ナチュラルキラー細胞の成熟に関与する物質として知られている(Ikawa T.,Fujimoto S.,Kawamoto H.,Katsura Y.,Yokota Y.,Proc.Natl.Acad.Sci,.98,5164,2001; Ogasawara K.,Hida S.,Azimi N.,Tagaya Y.,Sato T.,Yokochi-Fukuda T.,Waldmann T.A.,Taniguchi T.,Taki S.,Nature,391,700,1998)。成熟ナチュラルキラー細胞は癌細胞を認知し、癌細胞を直接殺害することができる能力を有する細胞を言う。成熟ナチュラルキラー細胞にIL-2を処理することによって、成熟ナチュラルキラー細胞の増殖と活性が誘導されることと知られている。受容体チロシンキナーゼは、細胞の増殖、細胞の発達、細胞の生存と細胞の移動に関する細胞の外部での刺戟を細胞内にシグナル伝達する膜を通して生じる(transmembrane)タンパク質で構成される(Ullrich,A.,Schlessinger,J.,Cell,61,203,1990; Fantl,W.J.,Johnson,D.E.,Williams,L.T.,Biochem.,62,453,1993; Heldin,C.,Cell,80,213,1995)。すべての受容体チロシンキナーゼは共通に細胞質キナーゼドメインを有しているが、ここに成長因子が結合するようになると、受容体チロシンキナーゼは活性化となる。本発明においては、成熟ナチュラルキラー細胞に対するマーカーを CD122+NK1.1+(マウス)、CD34+(ヒト)として定義し、成熟ナチュラルキラー細胞中でも、完全に成熟した細胞に対するマーカーとしては、Family Ly49A+、Ly49C+、Ly49D+、Ly49E+、Ly49F+、Ly49G+、Ly49H+、Ly49I+、NKG2A/C/E+ (マウス)、CD56+、NKG2A+、CD161+、NKP46+、NKP30+、NKP44+、NKG2D+ (ヒト)として定義した。
【0023】
受容体チロシンキナーゼの活性は、自己−燐酸化とチロシン燐酸化によりなされる。Axlは(ARK或いはUFOとTYRO7とも称される)一番初めて発見された受容体チロシンキナーゼの上科(superfamily)中の1つである。受容体チロシンキナーゼは次のような共通の構造を有する。二つの免疫グロブリンに関するドメイン、またここに連結されている二つのフィブロネクチンタイプのIII反復ドメイン(fibronectin type III repeat domain)、そして最後に細胞質内在の受容体チロシンキナーゼを含む細胞外ドメインで構成される(O'Bryan,J.P.,Frye,R.A.,Cogswell,P.C.,Neubauer,A.,Kitch、B.,Prokop,C., Espinosa,R.III,Lebeau,M.M.,Earp,H.S.,Liu,E.T.,Mol.Cell.Biol., 11,5016,1991)。Axlは、胸、骨格筋、心臓、造血組織、精巣、卵巣、また子宮内膜で発現される(Faust,M.,Ebensperger C.,Schulz,A.S.,Schleithoff,L.,Hameister,H.,Bartram、C.R.and Janssen,J.W.,Oncogene,7,1287,1992; Graham,D.K.,Bowman G.W.,Dawson,T.L.,Stanford W.L.,Earp,H.S.,and Snodgrass,H.R.,Oncogen,10,2349,1995; Neubauer,A.,Fiebeler,A.,Graham,D.K.,O'Bryan,J.P.,Schmidt,C.A.,Barckow,P.,Serke,S.,Siegert,W.,Snodgrass,H.R.,Huhn,D.,Blood,84,1931,1994; Berclaz,G.,Altermatt,H.J.,Rohrbach,V.,Kieffer,I.,Dreffer,E.and Andres,A.C.,Ann.Oncol.,12,819,2001; Wimmel,A.,Glitz,D.,Kraus,A.,Roeder,J.and Schuermann,M.,Eur.J.Cancer.,37,2264,2001; Sun,W.S.,Misao,R.,Iwagaki,S.,Fujimoto,J.and Tamaya,T.,Mol.Hum.Reprod.,8,552,2002)。Axlは、細胞外リガンド結合ドメインに関する細胞接着分子、二つの免疫グロブリンと等しいドメイン、また二つのフィブロネクチンタイプIIIドメインで構成された特徴を示している。最近の研究では、Axlが癌の形成、神経と造血組織の発達過程に関与するものと報告されている(Crosier,K.E.and Crosier,P.S.,Pathology,29,131,1997)。
【0024】
Gas6は、成長停止特異遺伝子6タンパク質で、ビタミンK依存性タンパク質科中の1つである。これら科はAxl、Sky(Rse、Brt、Tif、Dtk、Etk-2及びTyro3)とMer(c-Eyk、Nyk及びTyro12)とを含むAxl/sky科に対するリガンドとして知られている(Godowski,P.J.,Mark,M.R.,Chen,J.,Sadick,M.D.,Raab,H.and Hammonds R.G.,Cell,82,355,1995; Varnum,B.C.,Young,C.,Elliott,G.,Garcia,A.,Bartley,T.D.,Fridell,Y.W.,Hunt,R.W.,Trail,G.,Clogston,C.,Toso,R.J.,Nature,373,623,1995; Chen,J.,Carey,K.and Godowski,P.J.,Oncogene,14,2033,1997)。Gas6は、血液凝固調節に関連する血清タンパク質であるタンパク質Sと46%の同一のアミノ酸序列を有しており、構造もまた等しいものと知られている(Manconrftti,G.,Brancolini,C.,Avanzi,G.and Schneider,C.,Mol.Cell.Biol.,13,4976,1993)。Gas6は臓、睾丸、肺の内皮、子宮内膜で発現され、子宮内膜の癌でも多く発現される(Prieto,A.L.,Weber,J.L.,Tracy,S.,Heeb,M.J.and Lai,C.,Brain Res.,816,646,1999; Chan,M.C.W.,Mather,J.P.,Mccray,G.and Lee,W.M.,J.Androl.,21,291,2000; Wimmel,A.,Glitz,D.,Kraus,A.,Roeder,J.and Schuermann,M.,Eur.J.Cancer.,37,2264,2001)。
【0025】
Gas6が完璧な生物学的活性を持つためには、ビタミンK依存性γ−カルボキシル化がなされなければならない(Manconrftti,G.,Brancolini,C.,Avanzi,G.and Schneider,C.,Mol.Cell.Biol.,13,4976,1993; Lundwall,A.,Dackowski,W.,Cohen,E.,Shaffer,M.,Mahr,A.,Dahlback,B.,Stenclrclr,J.and Wydro,R.,Proc.Natl Acad.Sci.,83,6716,1986; Chen,J.,Carey,K.and Godowski,P.J.,Oncogene,14,2033,1997)。Gas6は、平滑筋細胞でトロンビンにより誘導される細胞成長に対する因子として作用する(Nakano,T.,Kawamoto,K.,Kishino,J.,Nomura,K.,Higashino,K.and Arita,H.,J.Biochem.,323,387,1997)。さらに、Gas6は血管の平滑筋細胞のAxl媒介による細胞の移動に関与する化学誘引分子として知られている(Davis,J.E.,Smyth,M.J.and Trapani,J.A.,Eur.J.Immunol.,31,39-47,2001)。また、Gas6は、血清欠乏によるNIH3T3細胞を細胞死から保護し、細胞の周期が続けて回転できるようにする役割をする(Goruppi,S.,Ruaro,E.and Schneider,C.,Oncogene,12,471,1996)。最近、Gas6は、哺乳類細胞でβ−カテニン(β-catenin)の安定化とT−細胞因子の伝写活性を誘導するものとしても知られている(Goruppi,S.,Chiaruttini,C.,Ruaro,M.E.,Varnum,B.and Schneider,C.,Mol.Cell.Biol.,21,902,2001)。
【0026】
タンパク質Sは、血液凝固を防ぐビタミン−K依存性血漿糖タンパク質で、凝固因子Va及びVIIIaの分解時に活性化されたタンパク質Cの補助因子として作用する。また、 タンパク質Sは、他の細胞類型でマイトジェンとして作用し、腫瘍形成性Axl科の一元であるTyro3のリガンドである(Wimmel A.et al.,Cancer 1999 Jul 1;86(1):43-9)。タンパク質SはGas6と同様にAxl/Sky科の一元を刺戟することと明らかになってきた。タンパク質SはGas6と等しい構造(アミノ末端Glaドメイン、4つのEGF-様ドメイン、また、シグナル伝達分子のようなGドメインで構成)を有しており、Axl/Sky上科を燐酸化させ得る機能を持っている(Evenas P.,et al.,Biol Chem.2000 Mar; 381(3):199-209)。
【0027】
タンパク質Sは、ヒトの血漿中に遊離されているタンパク質の形態で存在したり、C4bというタンパク質と結合した形態で存在する(Dahlback & Stenflo (1981) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78,2512-2516)。ヒトのタンパク質Sは簡単な精製方法で収得することができるが、例えば、クエン酸バリウム吸着、DEAE-Sephacelクロマトグラフィー及びBlue Sepharoseクロマトグラフィーなどが含まれる(Dahlback B.,Biochem.J.(1983) 209,837-846)。また、タンパク質Sは遺伝子組換えで製造することができる(Merel Van Wijnen,et al.,Biochem.J.330,389-396)。
【0028】
本発明において使用される組換えDNA方法は、一般的に文献[Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)] 及び/又は[Ausubel et al.,eds.,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishers Inc.and Wiley and Sons,N.Y.(1994)]に記述されたものである。例えば、下記で例示的に記述されたように、組換えの発現技術を通じてAxl又はGas6又はタンパク質Sを暗号化した核酸序列を適切なベクター(Vector)内に挿入させることによって、目的とするヌクレオチド序列を多量に生成することができる。その後、その序列を用いて検出探針又は増幅プライマーを生成することができる。または、Axl又はGas6又はタンパク質Sを暗号化したポリヌクレオチドを発現ベクター内に挿入し、生成された発現ベクターを適切な宿主内に導入して培養することによって、タンパク質を多量に生成することができる。核酸序列を収得する他の方法としては、PCR(重合酵素連鎖反応)である。逆伝写酵素を用いてポリ(A)+RNA又は全体RNAからcDNAを準備する。典型的にAxl又はGas6又はタンパク質Sのポリペプチドのアミノ酸序列を暗号化したcDNAの二つの個別領域に相補的な二つのプライマーをTaq重合酵素のような重合酵素と共にcDNAに添加し、重合酵素が二つのプライマーの間のcDNA領域を増幅する。Axl又はGas6又はタンパク質Sのポリペプチドのアミノ酸序列を暗号化する核酸分子は原核、酵母、昆虫(baculovirus systems)及び/又は真核宿主細胞で増幅/発現させることができる(Meth.Enz.vol.185 D.V.Goeddel ed.,Academic Press,Sna Diego Calif.,1990)。典型的に、発現ベクターはプラスミド維持及び外来のヌクレオチド序列のクローニング及び発現のための序列を含む。このような序列としてはプロモーター、 エンハンサー、複製源、伝写終結序列、分泌リーダー序列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化序列、発現されるポリペプチドの暗号化核酸を挿入するためのポリリンカー及び選別マーカーなどが含まれる。このようなフランキング序列は、当該分野の専門家にはよく知られており、容易に選別的に使用することができる。
【0029】
哺乳動物の細胞においてAxl又はGas6又はタンパク質SコーディングDNAの伝写のために適切なプロモーターの例としては、SV40 プロモーター(Subramani et al.,Mol.Cell Biol.1 (1981),854-864)、MT-1(metallothionein gene) プロモーター(Palmiter et al.,Science 222 (1983),809-814)、CMVプロモーター(Boshart et al.,Cell 41:521-530,1985)、又はアデノウィルス2メーザー後期プロモーター(Kaufman and Sharp,Mol.Cell.Biol,2:1304-1319,1982)である。昆虫の細胞において適合に用いられるプロモーターの例としては、ポリヘドリンプロモーター(米国特許第4,745,051号Vasuvedan et al.,FEBS Lett.311,(1992) 7-11)、P10プロモーター(J.M.Vlak et al.,J.Gen.Virology 69,1988,pp.765-776)、バキュロウィルス即時型(immediate early)遺伝子1プロモーター(米国特許第5,155,037号及び第5,162,222号)、又はバキュロウィルス39K遅延型(delayed-early)遺伝子プロモーター(米国特許第5,155,037号及び第5,162,222号)を挙げることができる。酵母宿主細胞に適合なプロモーターとしては、例えば、酵母Glycolysis遺伝子(Hitzeman et al.,J.Biol.Chem.255(1980),12073-12080; Alber and Kawasaki,J.Mol.Appl.Gen.1(1982),419-434)又はアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子[Young et al.,in Genetic Engineering of Microorganisms for Chemicals(Hollaender et al,eds.) Plenum Press,New York,1982]又はTPI1(米国特許第4,599,311号)又はADH2-4c(Russell et al.,Nature 304(1983),652-654)プロモーターが含まれる。真菌宿主細胞に適合なプロモーターとしては、ADH3プロモーター(McKnight et al.,The EMBO J.4(1985),2093-2099)又はtpiAプロモーターを挙げることができる。他の適切なプロモーターの例としては、A.oryzae TAKAアミラーゼ、Rhizomucor mieheiアスパラギン酸プロテイナーゼ、A.niger中性α−アミラーゼ、A.niger酸安定性α−アミラーゼ、A.niger又はA.awamoriグルコアミラーゼ(gluA)、Rhizomucor mieheiリパーゼ、A.oryzaeアルカリ性プロテアーゼ、A.oryzaeトリオースリン酸イソメラーゼ又はA.nidulansアセトアミダーゼコーディング遺伝子から由来されたものである。
【0030】
DNA序列は必要な場合、ヒトの成長ホルモンタミネータ(Palmiter et al.,Science 222,1983,pp.809-814)又はTPI1(Alber and Kawasaki,J.Mol.Appl.Gen.1,1982,pp.419-434)、又はADH3(McKnight et al.,The EMBO J.4,1985,pp.2093-2099)タミネータに作動的に連結されることができる。発現ベクターは、またプロモーターからの下流とDNA序列の挿入部位からの上流に1セットのRNAスプライス部位を含有することができる。望ましいRNAスプライス部位はアデノウィルス及び/又は免疫グロブリン遺伝子から収得することができる。また、発現ベクターには挿入部位の下流にポリアデニル化シグナルが含まれる。特に望ましいポリアデニル化シグナルはSV40からの初期又は後期ポリアデニル化シグナル、アデノウィルス5 Elb領域からのポリアデニル化シグナル又はヒトの成長ホルモン遺伝子のタミネータ(DeNoto et al.Nucl.Acids Res.9:3719-3730,1981)である。発現ベクターは、また、アデノウィルス2 tripartiteリーダーのような非暗号ウィルスリーダー序列をプロモーターとRNAスプライス部位との間に含み、SV40エンヘンサのようなエンヘンサ序列を含有することができる。
【0031】
本発明に係るタンパク質を宿主細胞の分泌経路に誘導するために、分泌シグナル序列(リーダー序列、prepro序列、又はpre序列としても知られている)が組換えベクターに提供されることができる。分泌シグナル序列はペプチド暗号化DNA序列に正確なリーディングフレームとして結合される。分泌シグナル序列はよくペプチド暗号化序列の5’に位置する。分泌シグナル序列はペプチドと正常に結合されるか、または他の分泌序列のコーディング遺伝子から由来されることができる。酵母細胞から分泌させるために、分泌シグナル序列は発現ポリペプチドを細胞の分泌経路に十分に誘導することだったら、如何なるシグナルペプチドもコーディングすることができる。 シグナルペプチドは天然シグナルペプチド又はこの機能上、一部であるか、合成ペプチドであることもある。適合なシグナルペプタイドは、α−因子シグナルペプタイド(米国特許第4,870,008号)、マウス唾液アミラーゼ(O.Hagenbuchle et al.,Nature 289,1981,pp.643-646)、変形されたカルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(L.A.Valls et al.,Cell 48,1987,pp.887-897)、酵母BAR1信号ペプチド(国際特許WO 87/02670)又は酵母アスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチド(M.Egel-Mitani et al.,Yeast 6,1990,pp.127-137)である。酵母において十分な分泌のために、リーダーペプチドコーディング序列がシグナル序列の下流と暗号化DNA序列の上流に挿入されることができる。リーダーペプチドの機能は、培養培地への分泌のために発現されたペプチドが小胞体(endoplasmic reticulum)からGolgi体及び分泌嚢に移動するようにする(即ち、細胞壁に沿って、又は細胞膜を経て細胞質周辺にタンパク質が分泌される)。リーダーペプチドは、酵母α−因子リーダー(米国特許第4,546,082号、米国特許第4,870,008号、EP123 294、EP123 544及びEP163 529)であることもある。対案として、リーダーペプチドは合成リーダーペプチドであることもあるし、例えば国際特許WO89/02463、又はWO92/11378に記述されたように作製することができる。真菌で用いるためのシグナルペプチドは便利にはアスペルギルス種アミラーゼ又はグルコアミラーゼコーディング遺伝子、Rhizomucor mieheiリパーゼ、又はプロテアーゼ又はHumicola lanuginosaリパーゼコーディング遺伝子から由来されることができる。昆虫で用いるためのシグナルペプチドは便利にはLepidopteran Manduca Sexta脂質動員ホルモン(adipokinetic hormone)前駆シグナルペプチド(米国特許第5,023,328号)のような昆虫遺伝子(国際特許WO90/05783)から由来されることができる。
【0032】
哺乳哺乳動物に、DNA序列を形質感染及び発現させる方法は、例えば、文献[Kaufman and Sharp,J.Mol.Biol.159(1982),601-621; Southern and Berg,J.Mol.Appl.Genet.1(1982),327-341; Loyter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79 (1982),422-426; Wigler et al.,Cell 14 (1978),725; Corsaro and Pearson,Somatic Cell Genetics 7(1981),603,Graham and van der Eb,Virology 52 (1973), 456;及びNeumann et al.,EMBO J.1(1982),841-845]に記述されている。クローニングされたDNA序列は、 培養された哺乳動物の細胞内に、例えば、カルシウムポスフェート−媒介された形質感染(Wigler et al.,Cell 14:725-732,1978; Corsaro and Pearson,Somatic Cell Genetics 7:603-616,1981; Graham and Van der Eb,Virology 52d:456-467,1973)、又は電気穿孔(Neumann et al.,EMBO J.1:841-845,1982)により導入される。外来DNAを発現する細胞を同定及び選別するために選別性表現型(選別マーカー)を提供する遺伝子は、一般的に当該遺伝子またはcDNAと共に細胞内に導入される。望ましい選別マーカーとしてはネオマイシン、ハイグロマイシン及びメトトレキサートのような薬物に対する耐性を提供する遺伝子が含まれる。選別マーカーは増幅可能な選別マーカーであることもある。望ましい増幅性選別マーカーは、ジヒドロ葉酸還元酸素(DHFR)序列である。選別マーカーは別途のプラスミドに該当遺伝子と共に細胞内に導入されるか、または同一のプラスミドに導入されることができる。同一のプラスミドである場合、選別マーカーと該当遺伝子は他のプロモーターまたは同一のプロモーターの調節下にあることができるが、後者の配列はジシストロニック(dicistronic)なメッセージを生成する。このような類型の作製物は公知となっている(米国特許第4,713,339号)。また、伝達体DNAとして知られている追加のDNAを細胞内に導入される混合物に追加することが有利であることもある。
【0033】
細胞がDNAを吸収した後、適切な成長培地で典型的に1〜2日間成長させて該当遺伝子の発現を開始する。用語“適切な成長培地”は細胞の成長及び該当タンパク質の発現に必要な栄養素及びその他の成分を含有した培地を意味する。一般的に培地は炭素源、窒素源、必須アミノ酸、必須糖、ビタミン、塩、燐脂質、タンパク質及び成長因子を含む。ガンマ−カルボキシル化タンパク質の生成のために、培地はビタミンK、望ましくは約0.1mug/ml〜約5mug/mlの濃度で含有する。その次に、薬物選別を適用して選別マーカーを安定した模様に発現する細胞の成長を選別する。増幅性選別マーカーによって形質感染された細胞の場合、薬物の濃度を増加させてクローニングされた序列の増加された複製数を選別することができ、それによって、発現水準が増加される。続いて、安定して形質感染された細胞のクローンを該当タンパク質の発現に対してスクリーニングする。
【0034】
該当ペプチドのコーディングDNA序列が導入される宿主細胞は、転写後、変形ペプチドを生成することができる細胞ならばどのようなものであっても可能であり、酵母、真菌及び高等真核細胞が含まれる。本発明に用いられる哺乳動物の細胞株の例としては、COS-1(ATCC CRL 1650)、ベビーハムスター腎(BHK)及び293(ATCC CRL 1573; Graham et al.,J.Gen.Virol.36:59-72,1977)細胞株を挙げることができる。望ましいBHK細胞株はtk-ts13 BHK細胞株(ATCC CRL 10314)である(Waechter and Baserga,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:1106-1110,1982)。また、他の細胞株が用いられることができるが、ラットHepI(ラット肝腫瘍; ATCC CRL 1600)、ラットHepII(ラット肝腫瘍; ATCC CRL 1548)、TCMK(ATCC CCL 139)、ヒトの肺(ATCC HB 8065)、NCTC 1469(ATCC CCL 9.1)、CHO(ATCC CCL 61)及びDUKX細胞(Urlaub and Chasin,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220,1980)が含まれる。適合の酵母の例としては、Saccharomyces種またはSchizosaccharomyces種の細胞、特にSaccharomyces cerevisiaeまたはSaccharomyces kluyveriが含まれる。酵母細胞を異種DNAに形質転換させ、それから異種ポリペプチドを生成する方法は、米国特許第4,599,311号、第4,870,008号、第5,037,743号及び第4,845,075号に記述されている。形質転換細胞は、選別マーカー、通常に薬物耐性または特定の栄養素、例えばロイシンの不在下で成長する能力により決定された表現型により選別される。酵母に望ましいベクターは米国特許第4,931,373号に記述されたPOT1ベクターである。他の糸状型真菌細胞の例としてはアスペルギルス種、ニューロスポラ種、Fusarium種、またはTrichoderma種、特にA.oryzae、A.nidulansまたはA.nigerのストレインである。アスペルギルス種をタンパク質発現のために用いたことが、例えば、EP 272 277及びEP 238 023、EP 184 438に記述にされている。F.oxysporumの形質転換は、例えば、文献[Malardier et al.,1989,Gene 78: 147-156]に記述されているように実施することができる。Trichoderma種の形質転換はEP 244 234に記述されているように実施することができる。糸状型真菌が宿主細胞として用いられるときに便利にはDNA作製物を宿主染色体に統合させて組換え宿主細胞を収得することができる。このような統合は、一般的にDNA序列が細胞に安定して維持されるため、長所にみなされる。宿主の染色体へのDNA作製物の統合は通常の方法、例えば、同種または異種の組換えにより実施されることができる。昆虫細胞の形質転換及び異種ポリペプチドの生成は米国特許第4,745,051号、第4,879,236号、第5,155,037号及び第5,162,222号並びにEP 397,485に記述されているように実施することができる。宿主として用いられる昆虫細胞株は、適合にはSpodoptera frugiperda細胞またはTrichoplusia ni細胞のようなLepidoptera細胞株であることもある(米国特許第5,077,214号)。培養の条件は、適合には国際特許 WO89/01029またはWO89/01028に記述されていることと同一であることもある。
【0035】
上記の形質転換又は形質感染の宿主細胞は、タンパク質の発現を許容する条件下で適合の栄養培地で培養した後、生成されたタンパク質の全体または一部を培養物から回収することができる。細胞を培養するために用いられる培地は、宿主細胞を成長させるのに適した通常の培地、例えば、適切な補充剤を含有する最小または複合の培地であることもある。適合の培地は、製造メーカーから入手可能であるか、または公知となっていることにより製造することができる(例:ATCCのカタログ)。続けて、細胞により生成されたタンパク質は培養培地から通常の手続により回収することができる。通常の手続は、宿主細胞を遠心分離または濾過により培地から分離し、上澄液又は濾過液のタンパク質水性成分を塩(例:硫酸アンモニウム)により沈澱させ、いくつかのクロマトグラフィー工程(例:イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)により精製するものなどを含む。
本発明により用いられるAxl抗体は、ポリクローナル(polyclonal)又はモノクローナル(monoclonal)のどれでも可能であることもある。Axl抗体はSanta Cruz Biotechから購入することができる。また、本発明において用いられる抗体は公知の方法により製造することができる。
【0036】
ポリクローナル抗体は、抗原と補助制を動物に数回皮下又は腹腔内注射して 収得する。免疫化する種で免疫源性のタンパク質(例:スカシ貝ヘモシアニン、血清誘導化剤(例:マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスクシンイミド、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2など)に関連抗原を結合させるのに有用することができる。動物は抗原、免疫源性結合体又は誘導体に対して、例えば、100mug又は5mugのタンパク質又は結合体(それぞれウサギ又はマウスの場合)を3回容量のフロイント完全賦形剤と配合し、溶液をいろいろな部位に経皮注射することによって免疫化する。1ケ月後、動物をフロイント完全賦形剤のうち、ペプチド又は結合体の最初量の1/5〜1/10でいろいろな部位に皮下注射接種する。7〜14日後、動物から採血し、血清を抗体力価に対して検定する。力価の高低まで動物を接種する。望ましくは動物を同一の抗原の結合体で接種するが、他のタンパク質及び/又は他の架橋試薬と結合させることもある。また、結合体はタンパク質融合物で、組換え細胞培養で作ることができる。また、Alumのような凝固剤が免疫反応を増強させるのに適切に用いられる。
【0037】
モノクローナル抗体は、実質的に均質な抗体の群から収得される。即ち、その群を含む各々の抗体は少量で存在することができる可能な自然発生突然変異を除いて同一である。従って、変形モノクローナルは、各々抗体の混合物でないもので、抗体の特性を指す。例えば、モノクローナル抗体は、文献[Kohler et al., Nature, 256:495(1975)]に記述されたハイブリドーマ方法を使用して製造したり、組換えDNA方法(米国特許第4,816,567号)で製造することができる。ハイブリドーマ方法において、マウス又は他の適切な宿主動物(例:ハムスター)が上記のように免疫化され、免疫化のために用いられたタンパク質と特異的に結合する抗体を生成したり、生成することができるリンパ球を誘導する。他の方法として、リンパ球を試験管で免疫化することができる。その後、リンパ球をポリエチレングリコールのような適切な融合剤を用いて骨髄種細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59 103(Academic Press, 1986)。これにより製造されたハイブリドーマ細胞を望ましくは非融合の母骨髄種細胞の成長又は生存を抑制する1つ以上の物質を含有する適合の培養培地で成長させる。例えば、母骨髄種細胞がヒポキサンチン−グアニンフォスフォリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)がなければ、ハイブリドの培養培地は典型的にヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含むはずである。
【0038】
これら物質は、HGPRT−欠乏細胞の成長を抑制する。望ましい骨髄種細胞は効率的に融合し、選択された抗体−生成細胞により抗体の安定した高水準の抗体生成を支持し、HATのような培地に敏感である。これらの中で、望ましい骨髄種 細胞株はマウスの骨髄種細胞株、例えば、米国California San Diego所在のSalk Institute Cell Distribution Centerから入手することができるMOPC-21及びPMC-11 マウス腫瘍及び米国ATCCから入手可能なSP-2、又はX63-Ag8-653細胞である。ヒトの骨髄種及びマウス−ヒトの異種骨髄種の細胞株がまたヒトのモノクローナル抗体の生成のために用いられることができる[Kozbor, J. Immunol., 133:3001(1984); and Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51 63(Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)]。ハイブリドーマ細胞が成長する培養培地を抗原に対するモノクローナル抗体の生成に対して検定する。望ましくは、ハイブリドーマ細胞により生成されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又は試験管結合検定(例:放射能免疫検定又は酵素−連結免疫吸着検定)により決定される。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、文献[Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)]のScatchard分析で決定することができる。目的とする特異性、親和性及び/又は活性を持つ抗体を生成するハイブリドーマ細胞を同定した後、制限希釈手続によりアクローニングしてクローンを得て、標準方法[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59 103 (Academic Press, 1986)]で成長させる。この目的に適した培養培地としては、例えば、D-MEMまたはRPMI-640培地が含まれる。また、ハイブリドーマ細胞は動物に複数腫瘍として生体内で成長させることができる。アクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は培養培地、複数液又は血清から、例えば、タンパク質A-Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又は親和性クロマトグラフィーのような通常の抗体精製手続により分離される。
【0039】
造血母細胞は、自体再生能があり、個人の一生の間に受任された前駆細胞の起源である。原始だけでなく、より受任された造血母細胞の一般的な特徴は、抗-CD34モノクローナル抗体を用いたFACS[フローサイトメトリー(Fluorescence Activated Cell Sorting)]分析により検出されることができるCD34抗原の発現である。造血母細胞は骨髄、末梢血液、臍帯血などから由来する。臍帯血は最も豊富な造血母細胞の根源として知られている。分娩後、直接胎盤から収得した臍帯血は造血母細胞が豊富で、骨髄及び末梢血路から得た細胞より高い増殖能を持つ。顆粒球−コロニー刺戟因子のような造血成長因子の注入はCD34(+)細胞の稼働化を相当に促進することができる(Beyer J et al., Hematopoietic rescue after high-dose chemotherapy using autologous peripheral-blood progenitor cells or bone marrow: a randomized comparison. J Clin Oncol 1995;13:1328-1335; and Smith TJ et al., Economic analysis of a randomized clinical trial to compare filgrastim-mobilized peripheral-blood progenitor-cell trnasplantation and autologous bone marrow transplantation in patients with Hodgkin's and non-Hodgkin's lymphoma. J Clin Oncol 1997;15:5〜10)。顆粒球−コロニー刺戟因子は、造血母細胞の採取期間の間に一日300〜960ugの用量で皮下投与される。造血母細胞を分離したり精製するのに用いられる戦略は多くある。この中で蛍光標識物質(Preffer FI, et al., Lineage-negative side-population(SP) cells with restricted hematopoietic capacity circulate in normal human adult blood: immunophenotypic and functional characterization. STEM CELLS 2002; 20:417427)又は免疫磁気技術(Przyborski SA. Isolation of human embryonal carcinoma stem cells by immunomagnetic sorting. Stem Cells 2001; 19:500504)を利用して特定の細胞表面マーカーによって細胞を分類する方法もあるし、または培養プラスチックで幹細胞の差等平板効率を活用して細胞を分離したり(Friedenstein AJ, et al., Fibroblast precursors in normal and irradiated mouse hematopoietic organs. Exp Hematol 1976; 4:267274)、コラム−分離技術を利用して細胞を分離することができる(Huss R. Isolation of primary and immortalized CD34 hematopoietic and Mesenchymal stem cells from various sources. STEMCELLS 2000; 18:19)。
【0040】
成熟ナチュラルキラー細胞を活性化するために、IL-2を用いることはよく知られている。IL-2の処理方法は2種類が提示されている。一番目の方法で、IL-2を直接患者に投与し、投与されたIL-2によって生体内でナチュラルキラー細胞が増殖され、活性化させることがあり、二番目の方法で、患者から採血し、血液から成熟ナチュラルキラー細胞を分離してIL-2で刺戟させて活性化した後、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を再度患者に投与する方法がある。これらは全てIL-2でナチュラルキラー細胞を活性化させ、活性化されたナチュラルキラー細胞を用いて癌細胞を破壊することを目的としている。しかし、このような方法は、高濃度(約150ng/ml)のIL-2が用いられ、これによる副作用が問題点として台頭されている。副作用としては強い毒性、発熱と肺浮腫、そしてショックの誘発があり、このような効果は、IL-2がTリンパ球にとって腫瘍怪死因子やIFN-γのような他のサイトカインの生産を刺戟し、これらサイトカインが血管内皮と他の細胞に作用するからである。このような問題点を解決するために、IL-2を少ない濃度で使用することに対する研究が遂行中にあるが、まだ満足するほどの結果については報告されたことがない[M. J. Smyth, Y. Hayakawa, K. Takeda, H. Yagita, Nat Rev Cancer. 2,850, 2002; M. A. Caligiuri,et al., J. Exp. Med. 171, 1509, 1990]。
【0041】
本発明によれば、本発明の分化された成熟ナチュラルキラー細胞を約8〜15ng/mlの低用量IL-2で処理しても、成熟ナチュラルキラー細胞を十分に刺戟、活性化することができることが明らかである。望ましいIL-2の使用量は約10 ng/mlである。IL-2のそのような低用量は、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞が毒性を誘発しないことと見える。細胞の保存は、いくつの方法が使用されているが、最もよく知られていることは超低温保存(cryopreservation)である。また、HypoThermosolTM(BioLife Solutions Inc.)系列及びDMSO溶液(dimethyl sulfoxide)を使用することができる。本発明の追加の観点で、ナチュラルキラー細胞は患者に投与前後に超低温保存されることができる。超低温保存の代表的な方法が米国特許第60168991号に記述されている。小規模の超低温保温の場合、細胞は事前冷蔵された5%のヒトの血清アルブミン(HAS)中で200×106/mlで再懸濁することができる。続いて、上記のHAS溶液中で20%ジメチルスルホキシド(DMSO)の等量を滴加する。混合物を超低温バイアルに1ml/バイアルの量で分取し、超低温チャンバー(NalgeneTM)中、-80℃で一晩中凍結させる。大規模の超低温保存の場合、細胞はAIM Vに600×106/mlで再懸濁することができる。その後、等量の20% AIM Vを漸増的に添加する。混合物は、速度制御凍結システム(FormaTM)を利用して20ml/vialで凍結容器(Cryocyte、Baxter)で凍結させる。活性化された成熟ナチュラルキラー細胞の細胞毒性の有効量は試験管及び生体内の用途だけでなく、これらキラー細胞の究極的な標的になる細胞の量及び類型により多様化することができる。
【0042】
ここで、細胞毒性有効量は成熟ナチュラルキラー細胞が癌細胞を殺傷することができる(薬理作用を起こすことができる)薬物の分量として定義する。また、有効量は患者の健康状態及び重症によって変わることができるため、専門医がすべての変数を適切に考慮して決定しなければならない。一般的に、成人の癌患者に対する投与量は回当り106 〜1012個の細胞、望ましくは、回当り108 〜1011個の細胞、より望ましくは回当り109〜1011個の細胞である。本発明の方法により増殖された成熟ナチュラルキラー細胞は、薬剤学的に許容される担体(例:塩水溶液)と共に治療のために患者に皮下、筋肉内、静脈内、硬膜内投与することができる。多様な生体材料(細胞伝達体)の使用はナチュラルキラー細胞が首(target)部位に伝えられる効率とナチュラルキラー細胞による癌殺傷能力の効率を高めることができる。細胞伝達体としては、多糖類系列のメチルセルロース(M. C. Tate, D. A. Shear、S. W. Hoffman, D. G. Stein, M. C. LaPlaca, Biomaterials 22, 1113, 2001)、キトサン(Suh JKF, Matthew HWT. Biomaterials, 21, 2589, 2000; Lahiji A, Sohrabi A, Hungerford DS, et al., J Biomed Mater Res, 51, 586, 2000)、N-イソプロピルアクリルアミド(isopropylacrylamide)共重合体系列のP(NIPAM-co-AA)(Y. H. Bae, B. Vernon, C. K. Han, S. W. Kim, J. Control. Release 53, 249, 1998 H. Gappa, M. Baudys、J. J. Koh, S. W. Kim, Y. H. Bae, Tissue Eng. 7, 35, 2001)などがあり、この他にも、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(D, L-乳酸-co-グリコール酸)(B. Jeong, K. M. Lee, A. Gutowska, Y. H. An, Biomacromolecules 3, 865, 2002)、P(PF-co-EG)(Suggs LJ, Mikos AG. Cell Trans, 8, 345, 1999)、PEO/PEG(Mann BK, Gobin AS, Tsai AT, Schmedlen RH, West JL., Biomaterials, 22, 3045, 2001 Bryant SJ, Anseth KS. Biomaterials, 22, 619, 2001)、PVA (Chih-Ta Lee, Po-Han Kung and Yu-Der Lee, Carbohydrate Polymers, 61, 348, 2005)、コラーゲン(Lee CR, Grodzinsky AJ, Spector M., Biomaterials 22, 3145, 2001)、アルギン酸塩(Bouhadir KH, Lee KY, Alsberg E, Damm KL, Anderson KW, Mooney DJ. Biotech Prog 17, 945, 2001 Smidsrd O, Skjak-Braek G., Trends Biotech, 8, 71, 1990)などが組織工学において細胞治療に関する細胞伝達体として使用されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明は、上記の図面を参照して下記の実施例で例示しようとする。しかし、これらの実施例が本発明を限定することと解釈してはならない。
【実施例1】
【0044】
マウスのナチュラルキラー細胞の分化段階別に発現される特定遺伝子の発掘
(A)マウスの骨髄(Bone marrow, BM)から造血母細胞の分離方法とナチュラルキラー細胞の分化方法
8〜12週齢のマウス(C57BL/6、Korea Reasearch Bioscience and Biotechnologyから購入して無菌状態で動物管理指針に基づいて管理した。)の全体骨を分離して骨髄細胞を得た後、細胞溶解緩衝液(0.2% NaCl, 1.6% NaCl)で赤血球を除去し、細胞を氷中の2.4G2の上澄液と10分間反応させ、2mM EDTAが含まれた燐酸塩緩衝溶液(buffer A)で洗浄した。緩衝溶液Aに細胞を懸濁させ(1×108/500μl)、 ビオチン(biotin)が付けられた抗体カクテル(Mac-1、Gr-1, B220, NK 1. 1, CD2, TER-119, Pharmingen)を加え、4℃で10分間反応させた後、細胞を緩衝溶液Aで洗浄し、1×108細胞に900μlの緩衝溶液Aと100μlのStreptavidin Microbeads (Miltenyi Biotec)を加えて4℃で15分間反応させた。細胞を洗浄した後、MACS(Magnetic Cell Sorting)緩衝溶液(2mM EDTAと0.5% BSAが含まれた燐酸塩緩衝溶液)に懸濁させ、ナイロンメッシュ(70μm)で濾過して準備した。磁気カラム(CS column, Miltenyi Biotech)をスーパーMACSに装置し、磁気ビーズが標識された細胞を通過させてMACS緩衝溶液でカラムを十分に洗浄した後、カラムを通過した液を遠心分離してLin-細胞を得た。Lin-細胞(1×107)にFITCが付いている抗-c-kit(Pharmingen)を加え、4℃で10分間反応させた後、洗浄し、抗-FITCマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)と再度4℃で15分間反応させて500μlのMACS緩衝溶液で懸濁し、磁気場内でMSカラムに通過させた。カラムを十分に洗浄し、1mlのMACS緩衝溶液に押し出してc-kit+の細胞を得て造血母細胞として用いた。このように分離された造血母細胞を前駆ナチュラルキラー細胞に分化させるために、SCF(30ng/ml, Biosource)、IL-7(0.5 ng/ml, PeproTech)、Flt3l(50ng/ml, PeproTech)、インドメタシン(2μg/ml, Sigma)、ゲンタマイシン(2μg/ml, Sigma)が含まれたRPMI(Gibco)培地で3日ごとに培地の半分を新たに取り替えながら、1×106/mlの濃度で24ウェル培養容器(24well plate)で培養した。6日間これらのサイトカインを添加して培養した後、CD122-FITC抗体とmultisortマイクロビーズを添加させて反応させ、MACSを行うことによりCD122+の前駆ナチュラルキラー細胞を得た。前駆ナチュラルキラー細胞を成熟ナチュラルキラー細胞に分化させるために、再度6日間IL-15(20ng/ml)、インドメタシン(2μg/ml)、ゲンタマイシン(2μg/ml)が添加されたRPMI培地を利用して二つの方法で分化させたが、基質細胞(ATCC)と共同培養して成熟ナチュラルキラー細胞(mature NK-2)に分化させる方法と共同培養せずに未成熟ナチュラルキラー細胞(mature NK-1)に分化させる方法を行い、これら細胞を収穫してナチュラルキラー細胞の表面分子の発現を分析した(図1)。
【0045】
(B)マウスの造血母細胞及び成熟ナチュラルキラー細胞への分化段階別に分離された細胞の純度
8匹の8〜12週齢されたマウス(C57BL/6)から実施例1(A)に提示された方法を利用して2×108個の全体骨髄細胞を得た後、4×106個のLin-、c-kit+の造血母細胞を分離した。これら造血母細胞からCD122+の前駆ナチュラルキラー細胞を得て、これら細胞をIL-15の存在下で基質細胞と共同培養(+OP9)するか、又は前駆ナチュラルキラー細胞を単独培養(-OP9)した後、二つの成熟ナチュラルキラー細胞を分離し、これら各分化段階別細胞の純度(purity)を次のような方法を通じて確認した。造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞まで分化段階別細胞の特性をさまざまな細胞表面の分子に対する抗体を用いて免疫染色するために、1×106細胞に調整して染色緩衝溶液(20mM HEPES、3%牛胎児血清、0.1% NaN3が含まれた燐酸塩緩衝溶液、pH 7.4)で1回洗浄した。これをFITC(fluorescein isothiocyanate, fluoresceinが付いているイソチオシアン酸塩)又はPE(phycoerythrin、紅藻素)蛍光物質が結合されたナチュラルキラー細胞の分化段階別マーカー(細胞標識者など)、 即ち、c-kit(Pharmingen)、Lineage(Pharmingen)、NK1.1(Pharmingen)、CD122(Pharmingen)などの抗体を細胞試料に加えて0℃で30分間反応させ、染色緩衝溶液で2回洗浄した後、FACS(BD/Aria)で分析した。造血母細胞はc-kitと Lineage(Pharmingen)マーカーを用い(c-kit+Lin-)、前駆ナチュラルキラー細胞(CD122+NK1.1-)と成熟ナチュラルキラー細胞(CD122+NK1.1+)はCD122(Pharmingen)とNK1.1(Pharmingen)抗体を用いてFACSで分析した。造血母細胞は96%、前駆ナチュラルキラー細胞は95%、成熟ナチュラルキラー細胞(-OP9)は94%、そして成熟ナチュラルキラー細胞(+OP9)は96%の収率で収得されることを確認した(図2)。
【0046】
(C)マウスのナチュラルキラー細胞で特異発現する遺伝子の確認
上記にて得た細胞を用いてナチュラルキラー細胞から特異的に発現する遺伝子であるCD122とパーフォリンの発現を逆転写重合酵素連鎖反応(Reverse transcriptase-polymerase chain reaction)を通じて確認した。逆転写重合酵素連鎖反応は、次のような方法で行った。それぞれの細胞から全体RNAを得るために、2×106のLK1細胞を燐酸塩緩衝溶液で1回洗浄した後、RNA分離溶液(RNAzol B,TEL-TEST)500μlを各試料に入れて柔らかくピペッティングして細胞を破り、50μlのクロロホルムを入れて十分に混ぜた後、氷で5分間放置した。これを12,000rpm、15分間4℃で遠心分離した後、上澄液を取り、同量のイソプロピルアルコールを入れ、氷で20分間放置した。再度12,000rpm、20分間4℃で遠心分離した後、沈澱物を80%エタンオールで洗浄し、乾燥させた後に0.1%二炭酸ジエチルが含まれた水を20μl入れて十分に溶かした。このように得た RNAからMMLV 逆転写酵素(Roche)で一本鎖cDNAを合成し、それぞれの遺伝子の特異的なプライマーCD122、5'-gtcgacgctcctctcagctgtgatggctaccata-3'と5'-ggatcccagaagacgtctacgggcctcaaattccaa-3'、パーフォリン、5'-gtcacgtcgaagtacttggtg-3'と 5'-aaccagccacatagcacacat-3'、β-アクチン、5'-gtggggcgccccaggcacca-3'と5'-ctccttaatgtcacgcacgatttc-3'を用いて逆転写重合酵素連鎖反応を次のように行った。5×反応緩衝溶液(Roche)5μl、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、TTP 各5μM、Roche)2μl、3'プライマー1μl(20pmol)、蒸溜水1μl、全体細胞RNA 10μl、逆転写酵素1μl(200U)混合物(総量20μl)を42℃で30分間反応させた後、90℃で5分間反応を停止させた。このように得た反応物に次のような試料を混ぜて重合酵素連鎖反応を行った。上記の反応物20μl、重合酵素連鎖反応10×緩衝溶液(Roche)8μl、5'プライマー1μl(20pmol)、3'プライマー1μl(20pmol)、蒸溜水69μl、Taq重合酵素(Takara)1μl(2.5U)の反応物(総量100μl)を95℃で5分間放置して他の酵素活性を阻害させた後、95℃で1分30秒、55℃で1分、72℃で2分間繰り返しサイクルを30回余り行い、最後に95℃で1分30秒、55℃で1分、72℃で5分間 反応を行った。このように得た反応物中から10μlを取って1%アガロースゲルで30分間100Vで電気泳動した。分析の結果、各分化段階別細胞は既存の研究で知られたCD122とパーフォリンの発現様態と一致することを確認した。CD122は、前駆ナチュラルキラー細胞より成熟ナチュラルキラー細胞で発現程度が大きく、基質細胞と共同培養した場合にさらに多くの発現が観察された。パーフォリンは成熟ナチュラルキラー細胞で発現され、基質細胞と共同培養したときに発現が増加することを観察した(図3)。
【0047】
(D)マウスの基質細胞と共同培養の有無による成熟ナチュラルキラー細胞の分化度測定
上記から得た成熟ナチュラルキラー細胞(-OP9と+OP9)を用いて成熟ナチュラルキラー細胞の表面分子(NK1.1とLy49)の発現をNK1.1とLy49抗体(Pharmingen)を用いて(B)で行ったFACS分析を通じて比較してみた。前駆ナチュラルキラー細胞をIL-15の存在下で基質細胞と共同培養しない細胞に比べて、基質細胞と共同培養して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞はNK1.1とLy49細胞の表面分子を発現し、基質細胞はナチュラルキラー細胞の最終分化に必須の役割及び特異性があることを確認した。基質細胞と共同培養して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞においてLy49A+NK1.1+を特徴とする細胞は1.2%、Ly49C/I+NK1.1+を特徴とする細胞は25%、Ly49D+NK1.1+を特徴とする細胞は2.1%、Ly49G2+NK1.1+を特徴とする細胞は30%の確率で収得され、基質細胞と共同培養しない場合は、上記の特徴を有する細胞は収得されなかった(図4)。
【0048】
(E)SAGEを通したマウスの成熟ナチュラルキラー細胞の分化誘導物質の発掘
分離した造血母細胞、前駆ナチュラルキラー細胞、並びに二つの成熟ナチュラルキラー細胞からそれぞれの分化段階によって特異的に発現される遺伝子を発掘するために、SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)を行った(図5)。各分化段階別細胞である造血母細胞、前駆ナチュラルキラー細胞、及び二つの成熟ナチュラルキラー細胞から(C)と同一の方法で全体RNAを分離し、それぞれのRNA5μgをoligo(dT)25ビーズ(Dynal A.S.)と反応させてmRNAを分離した。分離したmRNAと5'にビオチンが付いており、3‘位置にオリゴ(dT)を含んだプライマーを用いてcDNA合成キット(Life Technology)でcDNAを合成した。cDNAと反応したSAGE tagは、T4DNA連結酵素を用いて連結させ、この反応物は制限酵素sphI(Roche)で処理したpZero-1ベクター(Invitrogen)にT4DNA連結酵素(Roche)を用いて挿入した。M13FプライマーとM13Rプライマーを用いて(C)で実施した重合酵素連鎖反応を行って反応物を得た。この反応物はBig-DyeシーケンシングキットとABI1377シーケンサー(Perkin-Elmer Applied Biosystems)で塩基序列分析を行った。TagシーケンスはSAGE300ソフトウェアを用いて抽出した。レファレンスSAGE-tagデータベースはGenBankにある既に知られたマウスの発現シーケンスで構成されたもので、これらシーケンスは各転写物のオリエンテーション、polu(A)シグナル(AATAAAEHはTTAAA)、poly(A)tail、そしてシーケンスの末端にCATG切断サイトを含んでいる。コンピュータプログラム、GIST(Gene Identification and Sequence Topography)を利用してSAGE tagと参照SAGEデータベースを用いて分析した。その結果、前駆ナチュラルキラー細胞でのみ発現し、他の分化段階では発現しない遺伝子中Axl遺伝子がこれら細胞にのみ多くの数で、そして特異的に発現していることが分かった(表1)。データの統計分析に対する留意確率(p-value)はpaired Student t testソフトウェアプログラムを利用して分析し(実施例のすべてのデータ適用)、SAGE tagの発現に対する評価はv2、Audic及びClaverie方法(http://telethon.bio.unipd.it/bioinfo/IDEG6_ form)を用いて分析した。
【表1】

【0049】
前駆ナチュラルキラー細胞において、これら遺伝子の発現が実際にSAGE結果と一致するかを(C)で実施した逆転写重合酵素連鎖反応から考察した結果、SAGE tagの数とAxlの発現様態が一致することが確認された。即ち、Axlが前駆ナチュラルキラー細胞で発現量が増加されていることを観察した(図6)。
【実施例2】
【0050】
Axlポリクローナル抗体がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす影響
(A)Axlポリクローナル抗体による成熟ナチュラルキラー細胞の特異受容体の発現: 基質細胞と共同培養
マウスの造血母細胞からナチュラルキラー細胞への分化過程のうち、前駆ナチュラルキラー細胞に(7日目)1μgのAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.,sc-1096)を処理し、前述した方法と同一に再度6日間IL-15(40ng/ml)などが添加された条件下で基質細胞と共同培養を行って成熟ナチュラルキラー細胞に分化させた後、分化程度をNK1.1抗体とナチュラルキラー細胞に特異的な受容体に対する抗体(Ly49G2、Ly49A、Ly49C/F/I、Pharmingen)で染色した後、実施例1(B)と同じ方法でFACS分析した結果、ヤギ抗体(goat Ig、R&D)を処理した対照群とこれを処理しない対照群(実施例1(B)の方法で得た)比べてAxlポリクローナル抗体を処理した細胞でLy49A+NK1.1+を特徴とする細胞は1.2%で3.2%、Ly49C/I+NK1.1+を特徴とする細胞は1%で3.5%、Ly49G+NK1.1+を特徴とする細胞は1.2%で 3.2%に、完全に成熟ナチュラルキラー細胞への分化伝導が約2倍増加してAxlポリクローナル抗体がナチュラルキラー細胞の分化に影響を及ぼすということを確認した(図7)。
【0051】
(B)Axlポリクローナル抗体による成熟ナチュラルキラー細胞の特異遺伝子の発現: 基質細胞と共同培養
(A)と同一の条件のナチュラルキラー細胞からナチュラルキラー細胞に関連する遺伝子(IFN-γ、5'-agcggctgactgaactcagattg-3'と5'-gcacagttttcagctctatagg-3'; IL-15Ra、5'-ccaacatggcctcgccgcagct-3'と5'-ttgtagagaaagcttctggctc-3'IL-18、5'-aggtacaaccgcagtaatacgg-3'と5'-agtgaacattacagatttatccc-3'そしてパーフォリン、5'-gtcacgtcgaagtacttggtg-3'と5'-aaccagccacatagcacacat-3')の発現を実施例1(C)で実施した逆転写重合酵素連鎖反応を通じて分析した。その結果、ヤギ抗体で処理した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した細胞で上記の遺伝子の発現が増加されることを観察し、Axlポリクローナル抗体により完全に成熟ナチュラルキラー細胞の分化伝導が増加することを確認した(図8)。
【0052】
(C)Axlポリクローナル抗体による成熟ナチュラルキラー細胞の特異受容体の発現: 基質細胞なしに培養
また他の条件下でAxlポリクローナル抗体による成熟ナチュラルキラー細胞への分化効果を確認するために、前駆ナチュラルキラー細胞を基質細胞と共同培養を行わず、より少ない濃度のIL-15(25ng/ml)とAxlポリクローナル抗体(500ng/ml)を直接処理するとともに、培養用器に付けて固定させた後、成熟ナチュラルキラー細胞への分化程度をNK1.1抗体とナチュラルキラー細胞に特異的な受容体に対する抗体(Ly49G2、Ly49A、Ly49C/F/I、NKG2A/C/E)で染色した後、実施例1(B)と同じ方法でFACS分析して測定してみた結果、基質細胞がない状態でも、Axlポリクローナル抗体を処理しなかった時に比べて処理した細胞でナチュラルキラー細胞への分化誘導が、Ly49A+NK1.1+を特徴とする細胞は8.4%で9.8%と9.3%、Ly49C/F/I+NK1.1+を特徴とする細胞は2.5%で4%と5.3%、NKG2A/C/E+NK1.1+を特徴とする細胞は9.3%で18%と16%に増加することを観察した(図9)。
【0053】
(D)Axlポリクローナル抗体による成熟ナチュラルキラー細胞の特異遺伝子の発現: 基質細胞なしに培養
実施例2(C)と同一の条件のナチュラルキラー細胞からナチュラルキラー細胞と関連する遺伝子(CD122、パーフォリン、及びグランザイムB)の発現を実施例1(C)で実施した逆転写重合酵素連鎖反応を通じて分析した。その 結果、対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した細胞で上記の遺伝子の発現が増加されることを観察し、基質細胞がない状態でも、Axlポリクローナル抗体により完全な成熟ナチュラルキラー細胞の分化伝導が増加することを確認した(図10)。
【実施例3】
【0054】
Axlポリクローナル抗体がナチュラルキラー細胞のIFN-γの生成に及ぼす影響
実施例1(B)で得た前駆ナチュラルキラー細胞にAxlポリクローナル抗体(500ng/ml)、IL-15(10ng/ml)と基質細胞と共同培養して成熟ナチュラルキラー細胞を確保した後、ヒトのIL-2(10ng/ml、R&D)を処理して成熟ナチュラルキラー細胞を活性化させた。24時間後にIFN-γELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)キット(BD Pharmingen)を用いてIFN-γの生成量を測定した結果、対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した実験群でIFN-γの生成量が増加したことを観察した(図11)。
【実施例4】
【0055】
Axlポリクローナル抗体が前駆ナチュラルキラー細胞の増殖に及ぼす影響
基質細胞を1×104で96ウェルマイクロ培養用器に平板培養し、一日過ぎた後に、実施例1(B)で得た前駆ナチュラルキラー細胞をウェル当たり2.5×104細胞になるように分株した。IL-15(25ng/ml)を全て含んだ状態でヤギ抗体、Axlポリクローナル抗体(a-Axl)、並びにAxl-Igをそれぞれ500ng/ml処理し、48時間後に前駆ナチュラルキラー細胞の増殖程度をMTS検証(CellTiter 96 Aqueous Assay、Promega、Madison、WI)を通じて分析した。MTS検証はテトラゾリウム(tetrazolium)化合物[3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxy-phenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium、inner salt; MTS]と電子-カップリング(electron-coupling)試薬であるフェナジンメトサルフェート(phenazine methosulfate、PMS)を用いた発色分析法で細胞培養時期の最終日に0.025mlのMTS/PMS混合液を各ウェルに添加して30分間反応させた後、ELISAリーダー(Molecular Devices Co., Sunnyvale,CA,U.S.A.)を用いて495nmの波長で吸光度を測定して分析した。対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した場合、前駆ナチュラルキラー細胞の増殖が2倍程度増加したことを観察し、Axl-Igを処理した場合、前駆ナチュラルキラー細胞の増殖が減少することとみてAxlポリクローナル抗体によるAxlシグナルの伝達が前駆ナチュラルキラー細胞の増殖に重要に作用することを観察した(図12)。
【実施例5】
【0056】
Axlとこのリガンド Gas6の相互作用がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果
Gas6とAxlとの結合によるシグナル伝達がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす影響を観察さうるために、マウス組換えGas6(500ng/ml、R&D)を分化過程の中に処理した結果、ナチュラルキラー細胞の分化には大きい影響を及ぼされないことと示され(図13)、Gas6が生物学的活性を示すためにはガンマ-カルボキシル化の過程が必要なことに判断され、以後の実験では基質細胞で発現されるGas6を利用した。Gas6が前駆ナチュラルキラー細胞で発現されるAxlのリガンドとして作用することを抑制するために、ワルファリン(Sigma)を用いてAxlを通したシグナル伝達に及ぼす影響を調べた。造血母細胞を前駆ナチュラルキラー細胞に分化させた後、IL-15(25ng/ml)とワルファリンを1μg/ml、2.5μg/ml、5μg/mlの濃度でそれぞれ処理し、7日間基質細胞(2×104)と共同培養した後、前駆ナチュラルキラー細胞が成熟ナチュラルキラー細胞に分化される程度を実施例1(B)で実施した流速細胞蛍光分析機で分析した。その結果、NK1.1、NKG2A/C/E及びLy49C/F/H/Iのナチュラルキラー細胞から特異的に発現される水溶体も濃度依存的に減少(NK1.1+NKG2A/C/E+は 25%、16%、16%、8.8%の傾向、NK1.1+Ly49C/F/H/I+は2.3%、1.9%、1.6%、0.5%の傾向)されることと示された(図14)。この結果からAxlとそのリガンドであるGas6の相互作用は、前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞に分化するにあたって重要な役割をすることを確認した。
【実施例6】
【0057】
マウスGas6の発現ベクター及びレトロウイルスベクターの製造
活性を持っているGas6を得るために、マウス基質細胞から分離したRNAとGas6 プライマー(5'-ggcctcgagcatgccgccaccgcccgggc-3'と5'-ggcgaattccggtctagggggtggcatgc- 3')で実施例1(C)で言及した逆転写重合酵素連鎖反応を行ってGas6 cDNA(100ng)を増幅した後、制限酵素EcoRI(1U、Roche)で処理したpCR4-TOPO(50ng、Invitrogen)にクローニングした(図15)。クローニングされたクローンのうち、塩基序列を分析した結果、参照塩基序列(gene ID; AK086187)と同一のクローンのcDNAをマウスGas6発現ベクターの製造及びレトロウイルスベクターの製造に使用した。レトロウイルス ベクター pLXSN(Invitrogen)をEcoRI(1U)で処理した後、pCR4-Gas6 #8にEcoRI(1U)の制限酵素を処理して(50ng)分離したマウスGas6 cDNA(100ng)を添加し、T4 DNA連結酵素(1U、Roche)で連結して組換えされたpLXSN-Gas6を製造し(図16、左側)、pcDNA3.1(+)をEcoRI(1U)とCIP(子牛の腸アルカラインホスファターゼ)酵素(1U)で処理した後、pCR4-Gas6 #8にEcoRI(1U)の制限酵素を処理して分離したマウスGas6 cDNA(100ng)を添加し、T4 DNA連結酵素(1U)で連結して組換えされたpcDNA3.1-Gas6を製造した(図16、右側)。製造されたこれら発現ベクターでマウスGas6 cDNAのウイルス及びCMVプロモーターに対する方向は制限酵素 XhoI(1U、Roche)を用いてそれぞれ確認し、プロモーターに対して正方向と逆方向のクローンをそれぞれpLXSN-Gas6/F、pLXSN-Gas6/R、そして、pcDNA3.1-Gas6/F、pcDNA3.1-Gas6/Rと命名した(図17)。
【実施例7】
【0058】
マウスGas6形質感染体の製造
Gas6遺伝子を発現しないNIH3T3細胞株(ATCC)にpcDNA3.1(+)、pcDNA3.1-Gas6/F、pcDNA3.1-Gas6/Rをそれぞれリポフェクトアミン試薬(Invitrogen)を用いて形質感染させ、G418抗生剤を含む培地で形質感染体をそれぞれ選別した後、制限希釈法でマウスGas6遺伝子を過剰に発現するクローンを得た。一方、マウスGas6発現レトロウイルスを製造するために、Gas6レトロウイルスベクターpLXSN-Gas6/F、pLXSN-Gas6/Rを、ウイルス構造物を形成させることができる細胞株のPT67に形質感染させ、G418含有培地で選別して制限希釈法を行った後、それぞれのクローンで生成されたレトロウイルスの感染細胞株NIH3T3細胞でGas6の発現程度をGas6プライマー(5'-ggcctcgagcatgccgccaccgcccgggc-3'と 5'-ggcgaattccggtctagggggtggcatgc-3')を用いて実施例1(C)と同一の方法の逆転写重合酵素連鎖反応(A)とウェスタンブロット(Western blot)(B)で確認した(図18)。ウェスタンブロットは次のような方法で行った。細胞の培養用器から細胞を除去した後、細胞溶解緩衝溶液(lysis buffer、20mM HEPES pH 7.9、100mM KCL、300mM NaCl、10mM EDTA、0.5% Nonidet P-40、1mM Na3VO4、1mM PMSF、100 mg/ml aprotinin、及び1mg/ml leupeptin)で細胞を溶解させて氷中30分間放置した。タンパク質の濃度はBradford試薬(Bio-Rad、Hercules、CA)を用いて測定した。同量のタンパク質溶解物を10% SDS-PAGEに電気泳動した後、PVDFメンブレイン(Millipore、Marlborough、MA,U.S.A.)に電気泳動したタンパク質を移動させた。PVDFメンブレインをブロッキング緩衝溶液(PBS中1% BSA及び5%)で4℃で一晩中反応させ、TBST(50mM Tris、pH 7.4、150mM NaCl、0.05% Tween20)で3回洗浄した。タンパク質を含んでいるPVDFメンブレインをヤギの抗マウスGas6抗体(Santa Cruz)で常温で2時間1次反応した後、HRPが接合された抗ヤギIgG (Santa Cruz)で常温で1時間2次反応した。上記のメンブレインをTBSで3回洗浄した後、ECLシステム(Amersham-Pharmacia Biotech、Arlington Heights、IL,U.S.A.)を用いてシグナルを検出した。
【実施例8】
【0059】
マウスGas6がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果
マウスの骨髄から得たLin-、c-kit+である造血母細胞をSCF(30ng/ml)、IL-7(0.5 ng/ml)、Flt3L(50ng/ml)、インドメタシン(2μg/ml)、ゲンタマイシン(2μg/ml)が含まれたRPMI培地に1×106/mlの濃度で24ウェル培養用器で培養した。37℃、5% CO2で6日間培養して得た前駆ナチュラルキラー細胞にIL-15(20ng/ml)と共にマウスGas6の形質感染体を24時間培養した後、2,000rpmで10分間遠心分離し、回収した培養上澄液試料とマウスGas6及びAxlポリクローナル抗体を6日間さらに培養して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させた。これら細胞を収得して実施例1(B)で使用したFACS分析を利用してナチュラルキラー細胞の表面分子の発現を分析した。このとき、各段階別細胞の純度はFACS分析を用いて観察した結果、全て約95%以上であった。マウスGas6の形質感染体から分泌されるマウスGas6が前駆ナチュラルキラー細胞で発現されるAxlと結合して成熟ナチュラルキラー細胞に分化するのに影響を及ぼすのかを観察するために、前駆ナチュラルキラー細胞を正常のNIH3T3細胞の対照群とベクターを形質感染させた対照群、そしてマウスGas6を過剰発現する形質感染体とそれぞれ共同培養又はこれらの培養上澄液によるナチュラルキラー細胞の分化能力を分析した。その結果、マウスGas6の形質感染体と共同培養した前駆ナチュラルキラー細胞は対照群に比べて成熟ナチュラルキラー細胞に分化が促進されることを確認した(約14%で47%に増加)(図19)。なお、Gas6を過剰発現させた形質感染体(5×103)の培養上澄液(1:20で希釈する)を分化中に処理したとき、成熟ナチュラルキラー細胞から特異的に発現される遺伝子の発現を実施例1(C)と同一の方法で確認してみた結果、対照群に比べてGas6を過剰発現させた形質感染体(5×103)の培養上澄液を処理した細胞でパーフォリン、IL-18、IFN-γなどの遺伝子の発現が増加したことを確認した(図20)。従って、造血母細胞からナチュラルキラー細胞への分化過程中にAxlはGas6との結合によるシグナル伝達を通じてナチュラルキラー細胞の分化に大きい影響を及ぼしていることを確認した。
【実施例9】
【0060】
Gas6がナチュラルキラー細胞のIFN-γの生成に及ぼす影響
実施例1(B)から得た前駆ナチュラルキラー細胞をIL-15(10ng/ml)及び基質細胞と共同培養し、ここにGas6抗体(500ng/ml)、Axl-Ig(500ng/ml)及びワルファリン (500ng/ml)をそれぞれ処理した。ここにGas6の形質感染体の培養上澄液を1:20で希釈して処理したもの(実験群)又はベクターのみ取り込んだ形質感染体の培養上澄液を1:20で希釈して処理したもの(対照群)から成熟ナチュラルキラー細胞を確保した後、ヒトのIL-2(10ng/ml、R&D)を処理した。24時間後、IFN-γELISAキット(BD Pharmingen)を用いてIFN-γの生成量を測定した結果、Gas6の形質感染体の培養上澄液を1:20で希釈して処理した実験群でIFN-γの生成量が増加したことを観察した。実験群において何も処理をしない群でよりGas6抗体(500ng/ml)、Axl-Ig(500ng/ml)及びワルファリン(500ng/ml)を処理した群でIFN-γの生成量が減少することを観察し、Gas6のシグナルはAxlにより伝えられ、ナチュラルキラー細胞の活性に関与することを確認した(図21)。
【実施例10】
【0061】
Gas6が前駆ナチュラルキラー細胞の増殖に及ぼす影響
基質細胞を1×104で96ウェルマイクロ培養用器に平面培養し、一日過ぎた後、実施例1(B)から得た前駆ナチュラルキラー細胞をウェル当り2.51×104細胞になるように分株した。IL-15(25ng/ml)を全て含んだ状態でAxl-IgとGas6抗体(a-Gas6)をそれぞれ500ng/ml処理した後、実施例8から得たGas6の培養上澄液を添加し、48時間後、前駆ナチュラルキラー細胞の増殖程度を実施例4と同一の方法のMTS検証を通じて分析した。ベクターのみを形質感染させた細胞の培養上澄液を処理した対照群に比べてGas6が過発現された形質感染細胞の培養上澄液を処理した実験群で前駆ナチュラルキラー細胞の増殖が増加することを観察し、Axl-IgとGas6抗体により前駆ナチュラルキラー細胞の増殖が減少することを見て、AxlとGas6の相互作用により前駆ナチュラルキラー細胞の増殖が誘導されることを確認した(図22)。
【実施例11】
【0062】
マウスAxl発現システムの構築
Axlが高く発現されるマウスRAW264.7大食細胞株から分離した全体RNAとAxl プライマー(配列(sense); 5'-ggtgcccatcaacttcggaa、逆配列(antisense); 5'-ggatgtcccaggtggaagatt)で実施例1(C)と同一の逆転写重合酵素連鎖反応を行って2,750 bpのマウスAxl cDNA(100ng)を制限酵素EcoRI(1U)で処理したpCR4-TOPO(50ng)にクローニングした(図23)。また、レトロウイルスベクターpLXSNをEcoRI(1U)とCIP酵素(1U)で処理した後、pCR4-Axl #4にEcoR I制限酵素を処理して分離したAxl cDNA(100ng)を添加し、T4 DNA連結酵素(1U)で連結して組換えされたpLXSN-Axlを製造した。レトロウイルスベクターでGas6 cDNAのプロモーターに対する方向はクローニング部位の下位にあるプライマーとAxlのプライマーを用いた重合酵素連鎖反応と塩基序列を分析して確認し、プロモーターに正方向と逆方向のクローンをそれぞれpLXSN-Axl/F及びpLXSN-Axl/Rと命名した。
【実施例12】
【0063】
マウスAxl-IgGの融合タンパク質(fusion protein)の製造
Gas6発現レトロウイルスの製造と同一の方法でPT67細胞株を形質感染させ、 Axl-IgG融合タンパク質の発現細胞株を製造するために、マウスIgG1 Fc (constant fragment)部位の5'にBamHIリンカーを、3'にXho Iリンカーを添加して実施例1(C)と同一の方法で重合酵素連鎖反応で増幅し、pCR4-TOPOにクローニング(pCR4-Fc)した。また、Axl遺伝子の細胞外ドメイン(extracellular domain、ECD)の3'にBamHIリンカーを添加して増幅した後、pCR4-TOPOにクローニング(pCR4-Axl/ECD)した。そして、pCR4-Fcに Xho I(1U)とBamHI(1U、Roche)を処理して約820 bpのFc部分を分離し、pCR4-Axl/ECDにEcoRI(1U)とBamHI(1U)を処理して約1350bpのAxl/ECD(100ng)をpcDNA3.1(50ng)EcoRI-XhoI部位にFcとAxl/ECDの切片をクローニングし、BamHI(1U)及びBamHI(1U)/XhoI(1U)の制限酵素でDNAクローンを製作した(図24)。最終的にpcDNA3.1/Axl-Fcプラスミドを293T細胞に形質感染してG418含有培地で形質感染体を選別し、制限希釈法でAxl-IgG融合タンパク質を過量に発現するクローンを得た。
【実施例13】
【0064】
マウスAxl-IgG融合タンパク質がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果
Axlのシグナル伝達を遮断した時、ナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす影響を観察するために、分化させた前駆ナチュラルキラー細胞を7日間基質細胞(2×104)と共同培養する間、IL-15(25ng/ml)とAxl-Igを処理した後、前駆ナチュラルキラー細胞が成熟ナチュラルキラー細胞に分化される程度をNK1.1とNKG2A/C/E、Ly49G2抗体で染色した後、FACS分析した。その結果、AxlとそのリガンドであるGas6の作用をAxl-Igで遮断するとき、成熟ナチュラルキラー細胞のマーカーであるNK1.1とNKG2A/C/E、Ly49G2の陽性である細胞が減少することによって、Axl-Gas6が前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に重要な役割をすることを観察した(図25)。
【実施例14】
【0065】
Axl発現抑制によるナチュラルキラー細胞の分化
ナチュラルキラー細胞でAxlを除去するためにレンティウイルスベクターを使用した(図26)。
(1)siRNAの製作
Axlの機能を持つ部位を選択的にブロッキングしてAxl遺伝子の機能を除去するために、Axl遺伝子の標的塩基序列として次のようにオリゴヌクレオシドを デザインした。gtctcccgtacttcctgga(#1)、ctcacccactg caacctgc(#2)及びagacctacacagtttcctc(#3)の三つを選定した後、それぞれの塩基序列がsenseプライマーとして5'部位にaaag突出(overhangs)塩基序列を含むプライマーと、それに相補的な塩基序列のantisenseプライマーにaaaaを5'部位に添付してオリゴマーを製作した。これらそれぞれのオリゴマーを95℃で加熱冷却(annealing)して二本準備し、二重プロモーターpFIV-H1/U6 siRNA-GFP発現ベクターは BbsI(Roche)で分解した後、精製してクローニングした(図27)。クローニングを行った後、形質転換して得たクローンの中でsiRNAを含んでいるクローンを探すために、U6重合酵素連鎖反応プライマーとanti-sense siRNAオリゴヌクレオシドを用いて重合酵素連鎖反応を行い、siRNAが含まれているクローンから約100bpで重合酵素連鎖反応の産物を確認した(図28)。
【0066】
(2)レンティウィルスsiRNAの発現システムの確立
ナチュラルキラー細胞に感染されることができるレンティウィルスを作るために 、siRNAを発現するレンティウィルスベクターとヘルパーベクターであるVSVG、RSV-REV、pMDL g/pRREを使用した。ウイルス構造物を形成することができる細胞株の293T細胞(ATCC)を10cm2培養皿に約5×105 cell加え、約24時間後に 上記で準備したベクターをそれぞれ1.5μgずつリポフェクトアミンを用いて形質感染した後、約4時間後に新たなDMEM培地に取り替え、37℃、CO2培養器で培養した。約48時間後、培地を3000rpmで5分間遠心分離して細胞の残骸物を除去した後、培養上澄液をMillex-HV 0.45um PVDF濾過機で濾過して保管した。このように得た培養上澄液でウイルスの生産を確認するために、293T細胞を1×105細胞ずつ6ウェル培養用器に加えた後、24時間が過ぎればウイルス粒子を10%牛胎児血清が 含まれているDEME培地と1:1に混ぜて293T細胞に処理した。このとき、細胞膜に ウイルスギャップシード(capsid)が結合する程度を増加させるために、ポリブレン(polybrene)を8μg/mlの濃度で添加した。ウイルスに24時間感染させた後、10%牛胎児血清が含まれているDMEM培地に取り替え、再度48時間培養して 蛍光顕微鏡と実施例1(B)で実施したFACS分析を行った。これを通じて GFPが標識されているpFIV発現ベクターが効率的に形質導入されたことを確認した(図29)。
【0067】
(3)造血母細胞からナチュラルキラー細胞への分化過程のうち、レンティウィルスの感染
マウスの骨髄細胞から造血母細胞を分離して約1×106細胞当りウイルス粒子を添加し、24時間感染させてIL-7(0.5ng/ml)、FLT3L(50ng/ml)及びSCF(30ng/ml)を添加した培地で約6日間培養した後、前駆ナチュラルキラー細胞を収得し、実施例1(B)で行ったFACS分析を通じて形質導入の有無を確認した結果、レンティウィルスが十分に感染されてGFPの発現が増加され、 Axlの抑制によるナチュラルキラー細胞の分化も抑制されたことと分かった(図30、図31)。
【実施例15】
【0068】
動物の癌モデルにおいてナチュラルキラー細胞による癌形成抑制能の糾明
動物の癌モデルを確立するために、C57BL/6由来の癌細胞であるB16F10黒色種 細胞を7〜8週齢のC57BL/6マウスに5×104数で静脈注射した翌日、対照群抗体(1μg/ml)とヒトのIL-2(10ng/ml、Sigma)又はAxlポリクローナル抗体(1μg/ml)とIL-2(10ng/ml)を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞をそれぞれ1×106数で静脈注射し、2週間後、肺でこれらB16F10 黒色種 細胞の数を測定して転移能及び坑癌効果を分析した。その結果、Axlポリクローナル抗体で刺戟された成熟ナチュラルキラー細胞を注射した肺の組織で観察された癌細胞のコロニー数は対照群抗体で処理された成熟ナチュラルキラー細胞を注射したマウスに比べて減少(約4〜10倍)されたが、Axl-Igを処理した成熟ナチュラルキラー細胞を注射した肺の組織でコロニー数は顕著に増加してAxlがナチュラルキラー細胞を活性化させて癌細胞の形成だけでなく転移能も調節することができることを確認した(図32)。
【実施例16】
【0069】
動物の癌モデルでナチュラルキラー細胞による癌細胞殺傷能の糾明
ナチュラルキラー細胞による癌細胞殺傷能力を比較するために、実施例15のマウスの脾臟から細胞を分離して48時間ヒトのIL-2(10ng/ml)で刺戟し、51Cr(100uci)で2時間標識したYAC-1 細胞を1:100、1:50及び1:25の割合で混ぜて反応させ、4時間後、培養上澄液に分泌された51Crの量を測定した結果、癌対照群は約30%程度の癌細胞殺傷能に比べて対照群抗体を処理して分化させたナチュラルキラー細胞を注射した実験群の場合は58%、Axlポリクローナル抗体を処理して分化させたナチュラルキラー細胞を処理した実験群は癌細胞殺傷能が約75%で、対照群に比べて顕著に高い癌細胞殺傷能を示すことを確認した(図33)。
【実施例17】
【0070】
動物の癌モデルから癌が誘導されたマウスのナチュラルキラー細胞による生存率の分析
C57BL/6由来の癌細胞であるB16F10の黒色種細胞を7〜8週齢のC57BL/6マウスに5×104数で皮下注射して癌を誘導した。マウスの一番目の群は癌を誘導したマウスに何にも処理せず、二番目の群には対照群抗体(1μg/ml)とヒトのIL-2(10ng/ml、R&D)で処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を、三番目の群には対照群抗体(1μg/ml)とヒトのIL-2(10ng/ml、R&D)で処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞と樹脂状細胞を、四番目の群にはAxlポリクローナル抗体(1μg/ml)とIL-2(10ng/ml)で処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞をそれぞれ5×106数で皮下注射した。その結果、各群のマウス生存日はそれぞれ21日、15日、36日及び47日でAxlポリクローナル抗体(1μg/ml)とIL-2(10ng/ml)で処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入したとき、マウスの生存日が最も長かった。樹脂状細胞を注入した場合よりマウスの生存日が最も長いことから癌治療に分化させた成熟ナチュラルキラー細胞がさらに効果的であることを確認することができた(図34)。
【実施例18】
【0071】
ヒトのAxl大腸菌発現ベクターの製造
実施例1(C)と同一の方法でAxlが発現される細胞株HUVEC(Human Umbilical Vein Endothelial Cell、ATCC)から全体RNAを分離し、Axlプライマー(sense; 5'-cca tat gga aag tcc ctt cgt ggg caa c、antisense; 5'-cct cga gca cca gct ggt gga ctg gct g)を用いて逆転写重合酵素連鎖反応を行って信号伝達シーケンスが除去された細胞外ドメイン(Extra Cellular Domain、ECD)に該当するhAxl cDNA 切片を増幅して1214 bpのcDNAを得た。Axl cDNA(100ng)切片がC-末端に(his)6が標的されるようにpET29a(50ng)の制限酵素NdeI(1U、Roche)とXhoI(1U)部位にT4 DNA連結酵素(1U)を用いてクローニングした。ここで得られたクローンは pET-hAxl/ECDと命名した(図35)。
【実施例19】
【0072】
ヒトのAxl抗原の製造
Axl-(his)6のタンパク質を発現させるために、E.coli BL21(DE3)にpGEX-4T-3-Axl/F及びpGEX-4T-3-Axl/Rをそれぞれ形質転換させた。ここで得た形質転換されたコロニーをカラマイシン(kanamycin)が含まれた培養液(LB broth,Gibco)に接種した後、0.5mM IPTG(Sigma)を添加して25℃培養器で4時間培養した。浮遊状態のバクテリアを6,000rpmで10分間遠心分離した後、バクテリアを回収して1X PBSで懸濁した。これを氷に放置した後、超音波機(Sonicator)を用いてバクテリアを完全に分解させた後、12,000rpmで30分間遠心分離してバクテリアの残骸物から上層液を分離した。バクテリア溶解物(上層液)に存在する水溶性及び不溶性hAxl/ECDから融合タンパク質を精製するために、バクテリア溶解物をHiTrapTM chelating HP(Amersham pharmacia)を用いてAxl-(his)6融合タンパク質を確保した。
【実施例20】
【0073】
ヒトのAxlタンパク質特異的ポリクローナル抗体の製造
ヒトの組換えAxl抗原をE.coliから収得した後に、抗ウサギのヒトのAxlを得るための抗原として使用した。抗原特異的ポリクローナル抗体を生成するために 、1mg/mlの濃度で燐酸緩衝溶液中に溶解された精製されたヒトのAxlタンパク質 300μgを同量のフロインド免疫補強剤で乳化させた後、10週のウサギに1回免疫注射した。1回接種後、1回と同量の抗原がフロインド免疫補強剤で乳化されたものを2週間、1週間、1週間の間隔で2、3、4回筋肉注射した。4番目の筋肉注射を行った7日後、心臓穿孔法で血液を採取した。採取した血液を常温で30分間、そして4℃で一夜間放置して完全凝固させた後、2,500rpmで30分遠心分離して上澄液を取ることによって血清を得た。血清を1X PBSで5倍希釈してタンパク質Aコラムで精製した。
【実施例21】
【0074】
ヒトのAxl特異的モノクローナル抗体の製造
精製されたヒトのAxl 25μg/100μlを同量のフロインド免疫補強剤で乳化させた後、生後6〜8週のBALB/cマウスに2週間の間隔で3回腹腔内注入した。最後の注入後、抗Axlに対する抗体の生成をELISA分析法で確認し、2週後に25μgのヒトのAxlで最後に免疫させた後、5日後マウスから脾臓細胞を抽出し、Sp2/0 骨髄種細胞と10:1の割合で混合し、この混合液を50%ポリエチレングリコール1500 溶液に3分間放置させて細胞融合を実施した。これを1,200rpmで8分間遠心分離して細胞沈殿物を得た後、10%牛胎児血清を含有するHAT RPMI-1640 培地にml当り3.5×106細胞となるように浮遊させ、96ウェル培養用器にウェル当り0.1mlずつ分株して37℃、5% CO2培養器で培養した。3日後、10%牛胎児血清含有HAT RPMI-1640培地をウェル当り0.1mlずつ添加し、4日ごとに培地の半分程度を新鮮な培地に切り換えた。培養された培養液に対するELISAを行って抗体力価の高いウェルの細胞を回収して制限希釈法で培養した。培養液に0.5細胞/ウェル/96ウェル培養用器で準備してELISAを行い、抗原特異的で、且つ活性度(activity)が高いハイブリドーマを選別した。HAT選択培養の後、ハイブリドーマ細胞の抗体生産の可否について酵素免疫測定法で確認した。即ち、上記で免疫に用いたヒトのAxlを0.01 M炭酸塩一重炭酸塩緩衝液(pH 9.6)で0.1μg/mlに希釈してウェルごとに50μlずつ入れ、4℃で一夜間コーティングした。その後、PBST(phosphate buffer saline、137mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM KH2PO4、0.15% Tween20)で4回洗浄し、0.1%アルブミンで37℃で30分間ブロッキングさせた。細胞の培養上澄液はウェルごとに50μlずつ入れ、室温で2時間反応させた後、PBSTで4回洗浄した。ビオチンが付いている2次抗体である抗マウスの免疫グロブリン抗体を1μg/mlになるように0.1%BSA-PBSTで希釈した後、ウェルごとに50μlずつ入れ、37℃で1時間反応させた。再度、PBSTで4回洗浄した後、ストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Streptavidin-Horseradish Peroxidase)を 0.1% BSA-PBSTで1000倍希釈してウェルごとに50μlずつ入れ、37℃で30分間反応させた後に、再度PBSTで4回洗浄した。酵素反応のための基質としてティエムビー(Tetramethylbenzidine,TMB)溶液をウェルごとに50μlずつ入れて室温で 反応させた後に、2N硫酸で反応を停止させ、450nmの波長でELISA読出機で吸光度を測定した。反人間Axl抗体の生成を確認して陽性を示すウェルで得た細胞は制限希釈法でウェル当り0.3細胞となるように3回サブクローニング(subcloning)して培養することによって、モノクローナル化して反人間Axlモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを得た。ハイブリドーマの培養上澄液から反人間Axlモノクローナル抗体を得るために、GCコラムを用いて抗体を分離し、透析して反人間Axlモノクローナル抗体を得た。
【実施例22】
【0075】
ヒトのGas6発現ベクターの製造
実施例1(C)と同一の方法でGas6が発現されるヒトの細胞株HUVEC(American Type Culture Collection)から全体RNAを分離し、Gas6プライマー(sense;5'-ggcccgtggccccttcgctct、antisense; ggcctaggctgcggcgggct)を用いて逆転写重合酵素連鎖反応を行って2041bpのcDNAを増幅してPCRクローニングベクターにクローニングして塩基序列を分析した。分析したヒトのGas6 cDNAをEcoRI(1U)で切断して分離した。pcDNA3.1 ベクターをEcoRIの制限酵素(1U)で処理してヒトのGas6 cDNA(100ng)をpcDNA3.1 ベクター(50ng)にT4 DNA連結酵素(1U)を用いてクローニングしてヒトのGas6発現ベクターpchGas6を製造した(図36)。
【実施例23】
【0076】
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6の製造
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を得るために、ヒトのGas6発現ベクターpchGas6をヒトの293(ATCC)細胞にリポフェクトアミン試薬(Invitrogen、Carlslbad,CA,U.S.A.)を用いて形質感染し、0.75mg/ml G418(Gibco)抗生剤含有培地で形質感染体をそれぞれ選別した後、制限分析法でヒトのGas6遺伝子を過剰に発現するクローンを確保した。ヒトのGas6が形質転換された293細胞は培養上澄液にガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を過量分泌するようになり、これを実施例8と同一の方法でウェスタンブラットを行ってヒトのGas6遺伝子を過剰に発現するクローンであることを確認した。ヒトのナチュラルキラー細胞の分化誘導にヒトのGas6が形質転換された293細胞の培養上澄液を1:20で希釈使用し、この培養上澄液に含まれているガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6の機能を確認した。
【実施例24】
【0077】
実施例24.Axlポリクローナル抗体(Santa cruz)を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A)ヒトの臍帯血由来の造血母細胞からナチュラルキラー細胞の分化
臍帯血から次の方法を用いて造血母細胞を分離した。50mlチューブにヒトの臍帯血を25mlずつ分けて入れた後(1パック=100ml)、1X PBSを同量(25ml)入れ、徐々に混合した。新しい50mlチューブにPicollを20mlずつ分けて入れた後、ヒトの臍帯血と1XPBSを1:1で混ぜたものを層が壊されないように入れて50mlまで 満たした。2000rpm、25℃で20分間遠心分離(ブレーキを入れない状態)した。遠心分離が終れば一番上層である黄色の上層(血清)部分と下の澄んだ部分の間にある白く見える層(細胞層=約10ml)のみ別に得て1XPBS 20mlが入っている50mlチューブに移した後、2000rpm、25℃で10分間遠心分離した。下に沈んであるペレット(Pellet)が確認されれば上澄液を捨ててペレットを手でたたいて解いた後、 ACK緩衝溶液(0.15M NH4Cl、1mM KHCO3、0.1mM EDTA(disodium salt)、pH 7.2)を10ml程度入れて混ぜた後、37℃で10分間放置した。2500rpmで4℃、10分間遠心分離した後、上澄液を捨てて、チューブを手で打ってペレットを解した。MACS 緩衝溶液(2mM EDTAと0.5%BSAを1XPBSに溶かした後に濾過する)を約2ml入れてピペットで浮遊させ、新たな50mlチューブに得られた濾過機で濾過した後、細胞が入れているチューブに再度MACS緩衝溶液を10ml程度入れて洗浄し、濾過機で濾過する作業を繰り返して50mlを満たした。
【0078】
得られた50mlチューブ中に入れている細胞を細胞数測定器(HEMOCYTOMETER,MARIENFELD)を用いて細胞数を測定した。2000rpmで4℃で10分間遠心分離した後、細胞数を測定して得た結果と比較して1×108を一回の反応で計算して反応数に合うようにMACS緩衝溶液を1mlずつ入れてペレットを解いた後、反応数に合うように用意した1.5mlチューブに分けて入れた。1700rpm、3分ずつ遠心分離した後、上澄液を捨てて緩衝溶液を用いてペレットを解く方法でペレットを洗浄することを3回繰り返した。最後には500μl MACS緩衝溶液を入れ、ペレットを解いた後、各1.5mlチューブ別にCD34+micro bead-25μlとブロッキング試薬-25μlをそれぞれ入れて混ぜた。4℃で30分間反応した後、チューブを上下に5分ごとに10回裏返した。30分が過ぎれば1700rpmで3分間遠心分離し、上澄液を捨てる洗浄を3回繰り返し、最後にMACS緩衝溶液500μlを入れた後、ペレットを解いた。MACSコラムをMACSに設置した後、MACS緩衝溶液3mlで洗浄した。緩衝溶液が完全に下がる前にペレットを解いたものを用心深く入れ、ペレットがすべて下がると再度MACS緩衝溶液を5ml下がり、再度MACS緩衝溶液2mlをコラムに入れて再度取り出した。
【0079】
コラムをMACSから分離した後、MACS緩衝溶液5mlを入れ、ピストンで15mlチューブに押し、再度MACS緩衝溶液5mlを入れて押した後、細胞数を測定して24ウェル培養用器に造血母細胞培養液[ヒトのSCF-30ng/ml(Pepro Tech)、ヒトのFLT3L50ng/ml(Pepro Tech)、ヒトのIL-7 10ng/ml(Pepro Tech)]1mlにウェル当り1×106細胞/mlずつ分株した後、37℃、5% CO2培養器で培養した。分離したヒトの造血母細胞から前駆ナチュラルキラー細胞に分化させるために、分離されたCD34+細胞をヒトのSCF(30ng/ml)、Flt-3L(50ng/ml)、IL-7(10ng/ml)を含有するMyeloCult H5100(Gibco)培地に1×106/mlの濃度で懸濁させ、24ウェル培養用器で培養した。3日ごとに半分の培地を新鮮な培地に換えながら継代培養した。この細胞を14日間培養してヒトの前駆ナチュラルキラー細胞を得た。ヒトの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞に分化させるために、培養14日後、生成された前駆ナチュラルキラー細胞をヒトのIL-15(20ng/ml、Pepro Tech)を含有するMyeloCult培地(Gibco)に臍帯血から分離した基質細胞(分離方法: 臍帯血から造血母細胞を分離した後、CD34-細胞を10%RPMI培地に平面培養し、2時間5%(CO2)培養器で2時間培養した。培養液に浮かんでいる細胞のみを10%RPMI培地を用いて新たな培養用器に平面培養した。4日、7日後、培養液を交替した後、8日目になる日に培地を除去し、1XPBS 3mlを入れて培養器で5分間放置した。トリプシン-EDTA 1mlを1分間処理した後、10% RPMI培地を用いて細胞を洗浄した。遠心分離して細胞を集めた後、基質細胞を24ウェル当り4×104ずつ平面培養した)と共同培養して成熟ナチュラルキラー細胞を収得した。分化させた成熟のナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A(Pharmingen)、CD161(Pharmingen)、NKP46(Pharmingen)、NKP30(Pharmingen)、NKP44(Pharmingen)、NKG2D(Pharmingen)、及びCD56(Pharmingen)を使用した。CD56+NKG2A+、CD56++CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞は、isotype対照群に比べてCD56+NKG2A+(8.8)、CD56+CD161+(35)、CD56+NKP46+(6.2)、CD56+NKP30+(4.6)、CD56+NKP44+(24)、及びCD56+NKG2D+(13)の程度に分化されることを確認した(図37)。
【0080】
ここで得られた細胞を用いて分化された成熟ナチュラルキラー細胞で特異的に発現する遺伝子であるパーフォリンとグランザイムの発現を逆転写重合酵素連鎖反応(RT-PCR)を通じて確認した(図38)。逆転写重合酵素連鎖反応は実施例1(C)と同じ方法を使用した。
分化して得られたナチュラルキラー細胞による癌細胞殺傷能力を比較するために、62時間ヒトのIL-2(1、5、10ng/ml)でそれぞれ刺戟し、51Cr(50uci)で2時間標識したK562血液癌細胞(ATCC)と10:1、5:1、2.5:1の比率で混ぜて反応させ、4時間後、培養上澄液に分泌された51Crの量を測定した結果、分化させて得た成熟ナチュラルキラー細胞を多量混ぜるほど癌細胞殺傷能が高くなることを確認した(図39)。
【0081】
(B)基質細胞なしにヒトの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化
(A)と同一の条件下でヒトの基質細胞を使用しないでヒトの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞に分化させてCD56(Pharmingen)を含んだ成熟ナチュラルキラー細胞表面分子の発現を実施例1(B)と同一の方法でFACS分析してみた結果 、これらの発現程度がヒトの基質細胞を共同培養して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときより顕著に低いことを確認した。これを通じてヒトの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化誘導にヒトの基質細胞が必ず必要であることを確認した。
【0082】
(C)Axlポリクローナル抗体(Santa cruz)を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わり、Axlポリクローナル抗体1μg/ml(Santa Cruz)を添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A(Pharmingen)、CD161(Pharmingen)、NKP46(Pharmingen)、NKP30(Pharmingen)、NKP44 (Pharmingen)、NKG2D(Pharmingen)、及びCD56(Pharmingen)を使用した。CD56+NKG2A+、CD56++CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞は、ヤギ抗体で処理した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた(図40)。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axl抗体(Santa Cruz)をIL-15(Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axl抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例25】
【0083】
ヒトのAxlポリクローナル抗体を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例19で得たヒトのAxlポリクローナル抗体1μg/mlを添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヤギ抗体で処理した対照群に比べてヒトのAxlポリクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体を用いて成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体をIL-15(Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例26】
【0084】
ヒトのAxlモノクローナル抗体を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例21で得たヒトのAxlモノクローナル抗体1μg/mlを添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヤギ抗体で処理した対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体を用いて成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlモノクローナル抗体をIL-15 (Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axlモノクローナル抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例27】
【0085】
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの臍帯血由来 の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例23で得たGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈処理して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はベクターのみ形質感染させた培養上澄液を処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。ヒトのAxlポリクローナル抗体又はAxlモノクローナル抗体を用いて成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
【0086】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞をガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理して分化率を確認した。その結果、ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例28】
【0087】
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)1μg/mlと実施例22で得たGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とAxlポリクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率を見せた。
【0088】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例29】
【0089】
ヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例20で得たAxlポリクローナル抗体1μg/mlと実施例22で得たガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlポリクローナル抗体のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とAxlポリクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を同時に処理して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
【0090】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例30】
【0091】
ヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの臍帯血由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例24(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例21で得たAxlモノクローナル抗体1μg/mlと実施例22で得たガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。人に対する成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlモノクローナル抗体のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とAxlモノクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を同時に処理して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたとき、等しい結果を得た。
【0092】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と 1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例31】
【0093】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞でAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、5週齢の雄ヌードマウス(Nude Balb/c mouse、免疫機能が欠乏された遺伝子変形マウス、オリエントバイオ)を用いて坑癌活性を測定してみた。ヌードマウスは、無菌施設が備えられている動物室で動物管理指針に基づいて管理した。ヒト由来の癌細胞(胃癌細胞、KCLB No.00638; 子宮癌細胞、KCLB No.10002; 乳癌細胞、KCLB No.30022;心臓癌細胞、KCLB No.30044; 黒色種癌細胞、KCLB No.30068; 肺癌細胞、KCLB No.30053; 卵巣癌細胞、KCLB No.30077を含むいろいろな種類)を10%牛胎児血清が含まれたRPMI 1640細胞培養液(Gibco)を用いて37℃、CO2培養器で培養した。培養した癌細胞を1XPBSで洗浄した後、トリプシン-EDTA(Gibco)を処理して癌細胞を回収した。細胞からトリプシン-EDTAを除去し、1XPBSで細胞を浮遊させ、108細胞/0.1μlとなるように細胞数を測定して準備した。108個の癌細胞をヌードマウスの皮下にインシュリン注射器(Pharmingen)を利用して注入し、直径約0.8mmになるまで1週程度癌細胞を育てた。形成された癌組織にAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞(1×106)をヒトのIL-2(10ng/ml)で活性化させた後、癌組織に注入した。時間別に癌組織の体積を測定して観察した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。
【実施例32】
【0094】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からヒトのAxlポリクローナル抗体により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlポリクローナル抗体を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてヒトのAxlポリクローナル抗体を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例33】
【0095】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からヒトのAxlモノクローナル抗体により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlモノクローナル抗体を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例34】
【0096】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ベクターを形質感染させた培養上澄液を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、Axlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例35】
【0097】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。
【実施例36】
【0098】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヒトのAxlポリクローナル抗体のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を使用して得た成熟のされたナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例37】
【0099】
動物の癌モデルにおいてヒトの臍帯血由来の造血母細胞からヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヒトのAxlモノクローナル抗体のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を使用して得た成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例38】
【0100】
Axlポリクローナル抗体(Santa cruz)を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A)ヒトの骨髄由来の造血母細胞からナチュラルキラー細胞の分化
ヒトの骨髄から造血母細胞の分離のために、50mlチューブにヒトの骨髄を25mlずつ分けて入れた後、実施例24(A)と同一の方法で造血母細胞と前駆ナチュラルキラー細胞を分離して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させた。ここで使用したヒトの基質細胞はヒトの骨髄から分離し、骨髄から基質細胞の分離方法は実施例24(A)の臍帯血から基質細胞の分離方法と同一の方法を用いた。
【0101】
(B)Axlポリクローナル抗体(Santa cruz)を用いた成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、Axlポリクローナル抗体1Μg/ml(Santa Cruz)を添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヤギ抗体で処理した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)をIL-15(Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例39】
【0102】
ヒトのAxlポリクローナル抗体を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例20で得たAxlポリクローナル抗体1μg/mlを添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヤギ抗体で処理した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体を使用して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
【0103】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体をIL-15(Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例40】
【0104】
ヒトのAxlモノクローナル抗体を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例20で得たヒトのAxlモノクローナル抗体1μg/mlを添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヤギ抗体で処理した対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体を使用して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
【0105】
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlモノクローナル抗体をIL-15(Pepro Tech)とともに1:1の割合で1μg/mlの量で処理して分化率を確認した。その結果、Axlモノクローナル抗体を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例41】
【0106】
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例23で得たGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈処理して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はベクターのみ形質感染させた培養上澄液を処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合、約2〜3倍増加された分化率を見せた。ヒトのAxlポリクローナル抗体又はAxlモノクローナル抗体を使用して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞をガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理して分化率を確認した。その結果、ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を単独で処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例42】
【0107】
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)1μg/mlと実施例22で得たGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とAxlポリクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率を見せた。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例43】
【0108】
ヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例19で得たAxlポリクローナル抗体1μg/mlと実施例23で得たガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlポリクローナル抗体のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とヒトのAxlポリクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率を見せた。購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を同時に処理して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと示された。
【実施例44】
【0109】
ヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いたヒトの骨髄由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
実施例38(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例38(A)と同一の条件下でIL-15で処理する代わりに、実施例21で得たヒトのAxlモノクローナル抗体1μg/mlと実施例22で得たガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を1:20で希釈して同時に処理した。14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはNKG2A、CD161、NKP46、NKP30、NKP44、NKG2D、及びCD56を使用した。CD56+NKG2A+、CD56+CD161+、CD56+NKP46+、CD56+NKP30+、CD56+NKP44+、及びCD56+NKG2D+を特徴とする細胞はヒトのGas6を形質感染させた培養上澄液のみ処理した対照群とAxlモノクローナル抗体のみ処理した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6とヒトのAxlモノクローナル抗体を同時に処理した場合、若干増加された分化率をせた。購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を使用して成熟ナチュラルキラー細胞を分化させたときと等しい結果を得た。
更に、同一の条件下で前駆ナチュラルキラー細胞を、Axlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6をIL-15(Pepro Tech)とともに処理(抗体と1:1の比率)して分化率を確認した。その結果、Axlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理した場合に比べて若干増加された分化率を見せることと分かった。
【実施例45】
【0110】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。
【実施例46】
【0111】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からヒトのAxlポリクローナル抗体により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlポリクローナル抗体を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてヒトのAxlポリクローナル抗体を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例47】
【0112】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からヒトのAxlモノクローナル抗体により分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlモノクローナル抗体を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヤギ抗体を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例48】
【0113】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させた成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ベクターを形質感染させた培養上澄液を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した対照群に比べてガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の顕著な減少が観察された。癌組織体積の減少において、Axlポリクローナル抗体を使用して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例49】
【0114】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてAxlポリクローナル抗体(Santa Cruz)とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。
【実施例50】
【0115】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヒトのAxlポリクローナル抗体のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてヒトのAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を使用して得た成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例51】
【0116】
動物の癌モデルにおいてヒトの骨髄由来の造血母細胞からヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6より分化誘導された成熟ナチュラルキラー細胞による坑癌活性の糾明
ヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を用いて分化させたヒトの成熟ナチュラルキラー細胞によりヒトの癌細胞が死滅されるのかを観察してみるために、実施例31と同一の方法で実験した結果、ヒトのAxlモノクローナル抗体のみ処理して分化させた対照群とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6のみ処理して分化させた対照群に比べてヒトのAxlモノクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を同時に処理して分化させた成熟ナチュラルキラー細胞を注入した群で癌組織体積の減少率が若干増加することを観察した。癌組織体積の減少において、購入したAxlポリクローナル抗体とガンマ-カルボキシル化されたヒトのGas6を形質感染させて得た培養上澄液を使用して得た成熟ナチュラルキラー細胞を使用したときと等しい結果を得た。
【実施例52】
【0117】
Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いたヒトの末梢血液由来の造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A) ヒトの末梢血液由来の造血母細胞からナチュラルキラー細胞の分化
末梢血から次の方法を用いて造血母細胞を分離した。50mlチューブにヒトの末梢血を25mlずつ分けた入れた後、実施例24(A)と同じ方法で造血母細胞と前駆ナチュラルキラー細胞を分離して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させた。ここで使用したヒトの基質細胞はヒトの末梢血から分離し、末梢血において基質細胞の分離方法は実施例24(A)の臍帯血で基質細胞の分離方法と同じ方法を利用した。
【0118】
(B)Axlポリクローナル抗体(Santa Cruz)を用いた成熟ナチュラルキラー細胞の分化
(A)で得た前駆ナチュラルキラー細胞を実施例24(A)と同一の条件でAxlポリクローナル抗体1μg/ml(Santa Cruz)を添加して14日間分化させた後、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞を実施例1(B)と同じ方法でFACS分析してその分化程度を確認した。ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞マーカーとしてはCD56を使用した。CD56+を特徴とする細胞はヤギ抗体を処理した対照群に比べてAxlポリクローナル抗体を処理した場合、約2〜3倍増加した分化率を見せた(図41)。
【産業上の利用可能性】
【0119】
臨床
遠隔転移された大腸癌患者2人、肺転移により再発された乳癌患者1人、非ホジキンリンパ腫患者1人及び急性リンパ性白血病患者を対象にして、各患者は個別的な適切なプロトコルによって化学療法を受けた後、10日目、顆粒球−コロニー刺戟因子を600〜900ug/dの皮下容量で注射した。白血球(WBC)が回復すれば (>1×109/血液リットル)直ちにCD34+PBSCを毎日モニタリングした。20×106CD34+細胞/血液リットルであるときに採血した。CD34+細胞の絶対数は、FACScan分析機(Becton Dickinson/Aria)と適切なイソタイプ一致の陰性対照群を用いて評価した。患者から採血した末梢血を実施例23で記述した方法により造血母細胞を分離し、成熟ナチュラルキラー細胞に分化させた後、分化された成熟ナチュラルキラー細胞をIL-2(10ng/ml)で処理して活性化させ、患者に注射することにより自家治療を受けた。症例の数は少ないが、患者全ての腫瘍が縮小する明確な治療効果を示した。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、公知の通りに、マウスの骨髄から造血母細胞の分離と成熟ナチュラルキラー細胞への分化誘導過程を図式化したものである(BM: 骨髄; HSC: 造血母細胞; pNK: 前駆ナチュラルキラー細胞; mNK: 成熟ナチュラルキラー細胞)。
【図2】図2は、公知の方法により、マウス骨髄から分離された造血母細胞から成熟ナチュラルキラー細胞に分化させる時に分化段階別に細胞の純度をFACS分析した結果である。
【図3】図3は、マウスの骨髄から分離された造血母細胞、公知の方法により分離された造血母細胞から分化された前駆ナチュラルキラー細胞及び収得した前駆ナチュラルキラー細胞からOP9基質細胞の有無下で培養されて分化された成熟ナチュラルキラー細胞における特異的な遺伝子発現をRT-PCR後に電気泳動分析した結果である。
【図4】図4は、マウスの前駆ナチュラルキラー細胞を基質細胞(細胞名OP9)の共同培養有無による成熟ナチュラルキラー細胞への最終分化程度をFACS分析した結果である。
【図5】図5は、SAGEにより造血母細胞が成熟ナチュラルキラー細胞に分化する時に分化段階別に各々の細胞で発現される特異遺伝子の発掘のための模式図である。
【図6】図6は、マウスの造血母細胞が成熟ナチュラルキラー細胞に分化する時に分化段階別に各々の細胞で発現されるAxlに対する電気泳動結果とSAGE結果を比較したことで、両結果の一致性を示す。
【図7】図7は、本発明によりAxlポリクローナル抗体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すFACS分析結果である。
【図8】図8は、本発明によりAxlポリクローナル抗体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すRT-PCR後の電気泳動結果である。
【図9】図9は、本発明により基質細胞と共同培養なしに低濃度のIL-15とAxlポリクローナル抗体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すFACS分析結果である。
【図10】図10は、本発明により基質細胞と共同培養なしに低濃度のIL-15とAxlポリクローナル抗体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すRT-PCR後の電気泳動結果である。
【図11】図11は、本発明によりAxlポリクローナル抗体が成熟ナチュラルキラー細胞のIFN-Γの生成に及ぼす影響を分析した結果である。
【図12】図12は、本発明によりAxlポリクローナル抗体が前駆ナチュラルキラー細胞の増殖に及ぼす影響を分析した結果である。
【図13】図13は、マウスの組換えGas6がマウスのナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果を分析した結果である。
【図14】図14は、ワルファリンがマウスのナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果を分析した結果である。
【図15】図15は、マウスGas6 cDNAをクローニングした本発明の組換えベクターを分析した結果である。
【図16】図16は、本発明の組換えマウスGas6発現ベクターの製造結果を分析したものである。
【図17】図17-a及び17-bは、本発明のマウスGas6 cDNAのクローニングと発現ベクターの製作結果を分析したのである。
【図18】図18は、本発明のマウスGas6形質感染体でGas6発現を分析した結果である。
【図19】図19は、本発明によりマウスGas6形質感染体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すFACS分析結果である。
【図20】図20は、本発明によりマウスGas6形質感染体がマウスの前駆ナチュラルキラー細胞から成熟ナチュラルキラー細胞への分化に及ぼす効果を示すRT-PCR後の電気泳動結果である。
【図21】図21は、本発明によりマウスGas6形質感染体が成熟ナチュラルキラー細胞のIFN-γの生成に及ぼす影響を分析した結果である。
【図22】図22は、本発明によりマウスネイティブGas6が前駆ナチュラルキラー細胞の増殖に及ぼす影響を分析した結果である。
【図23】図23は、本発明のマウスAxl cDNAクローニング及びレトロウイルスベクター(pLXSN)にクロニングされたAxl cDNAの方向を分析した結果である。
【図24】図24は、本発明のマウスAxl-Fc発現ベクターの製作結果を分析したものである。
【図25】図25は、本発明のマウスAxl-Fc融合タンパク質がナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果を分析した結果である。
【図26】図26は、自己−不活性レンティ(Self-inactivating Lenti)ウイルスに基づいた本発明に用いたベクターシステムを図式化したものである。
【図27】図27は、本発明に用いた二重プロモーターsiRNAカセットとsiRNA鋳型オリゴマーの構成を図式化したものである。
【図28】図28は、本発明のAxl siRNAをクローニングした結果を分析したものである。
【図29】図29は、293T細胞でpFIV-U6/H1-GFPウイルスの感染程度を分析した結果である。
【図30】図30は、マウスの造血母細胞と前駆ナチュラルキラー細胞でpFIV-U6/H1-GFPウイルスの感染程度を分析した結果である。
【図31】図31は、本発明のAxl siRNAがマウスのナチュラルキラー細胞の分化に及ぼす効果を分析した結果である。
【図32】図32は、本発明によりAxlポリクローナル抗体を用いて分化させたナチュラルキラー細胞の坑癌活性能力を動物実験を通じて分析した結果である。
【図33】図33は、本発明によりAxlポリクローナル抗体を用いて分化させたナチュラルキラー細胞の癌細胞殺傷能力を細胞実験を通じて分析した結果である。
【図34】図34は、本発明によりAxlポリクローナル抗体を用いて分化させたナチュラルキラー細胞を癌が誘導されたマウスに注入したとき、マウスの生存率を動物実験を通じて分析した結果である。
【図35】図35は、ヒトのAxlを発現する本発明の組換え発現ベクターpET-hAxl/ECDである。
【図36】図36は、ヒトのGas6を発現する本発明の組換え発現ベクターphGas6である。
【図37】図37は、ヒトの臍帯血から分離した造血母細胞をSCF、Flt3-L及びIL-7を用いて前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、これら細胞をIL-15で処理して分化された成熟ナチュラルキラー細胞のFACS分析結果である。
【図38】図38は、ヒトの臍帯血から分離した造血母細胞をSCF、Flt3-L及びIL-7を用いて前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、これら細胞をIL-15で処理して分化された成熟ナチュラルキラー細胞のパーフォリンとグランザイムの発現を分析したもので、RT-PCR後の電気泳動した結果である。
【図39】図39は、ヒトの臍帯血から分離した造血母細胞をSCF、Flt3-L及びIL-7を用いて前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、これら細胞をIL-15で処理して分化された成熟ナチュラルキラー細胞の癌細胞殺傷能力を細胞実験を通じて分析した結果である。
【図40】図40は、本発明によりヒトの臍帯血から分離した造血母細胞を前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、これら細胞をヒトのAxlポリクローナル抗体で処理して分化された成熟ナチュラルキラー細胞のFACS分析結果である。
【図41】図41は、本発明によりヒトの末梢血から分離した造血母細胞を前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、これら細胞をAxlポリクローナル抗体で処理して分化された成熟ナチュラルキラー細胞のFACS分析結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆ナチュラルキラー細胞(pNK)から成熟ナチュラルキラー細胞(mNK)への分化を誘導するのに使われるAxlのリガンド。
【請求項2】
Axlに対する抗体である第1項記載のリガンド。
【請求項3】
ガンマ-カルボキシル化されたGas6タンパク質である第1項記載のリガンド。
【請求項4】
(i)造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞(pNH)に分化させ、(ii)前駆ナチュラルキラー細胞(pNK)をAxlのリガンドで処理して成熟ナチュラルキラー細胞(mNK)に分化させて成熟ナチュラルキラー細胞を収得することを特徴とする、ヒトの成熟ナチュラルキラー細胞(mNK)の製造方法。
【請求項5】
造血母細胞がヒトの骨髄、末梢血液及び臍帯血からなるグループ中から選択されたいずれかの一つから由来されたものである第4項記載のヒトの成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法。
【請求項6】
AxlのリガンドがAxlタンパク質に対する抗体、ガンマ-カルボキシル化されたGas6タンパク質及びこれら二つの配合物からなるグループ中から選択されたものである第5項記載のヒトの成熟ナチュラルキラー細胞の方法。
【請求項7】
前駆ナチュラルキラー細胞をヒトの基質細胞の存在下、リガンドで処理する第6項記載のヒトの成熟ナチュラルキラー細胞の方法。
【請求項8】
(i)造血母細胞をIL-7、SCF及びFlt3Lで処理して前駆ナチュラルキラー細胞に分化させ、(ii)前駆ナチュラルキラー細胞をAxl抗体で処理して成熟ナチュラルキラー細胞に分化させて成熟ナチュラルキラー細胞を収得し、(iii)分化された成熟ナチュラルキラー細胞をIL-2で処理して活性化させることを特徴とする、活性化された成熟ナチュラルキラー細胞の製造方法。
【請求項9】
IL-2の処理量が8〜15ng/mlである第8項記載の方法。
【請求項10】
第8項により製造された活性化された成熟ナチュラルキラー細胞を含むことを特徴とする免疫細胞治療剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公表番号】特表2009−507827(P2009−507827A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529925(P2008−529925)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003627
【国際公開番号】WO2007/032634
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(308026861)インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティー (9)
【出願人】(308026883)グッド セル ライフ,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】