説明

成膜方法

【課題】赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイを作製する場合において、各色のEL層のパターン形成の精度を向上させることが可能な発光装置の作製方法及び蒸着用基板を提供する。
【解決手段】開口部を有する反射層と、反射層上に形成され、反射層の開口部と重なる位置に開口部を有する断熱層と、反射層の開口部及び断熱層の開口部を覆って断熱層上に形成された光吸収層と、光吸収層上に形成された材料層と、が設けられている第1の基板を用いる。第1の基板の一方の面と第2の基板の被成膜面を近接させた状態で、第1の基板の他方の面側から光を照射する。照射された光は、反射層の開口部と重なる位置にある光吸収層に吸収され、蒸着材料を加熱する。加熱された蒸着材料は、第2の基板に蒸着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその作製方法に関する。また、基板上に成膜可能な材料の成
膜に用いられる蒸着用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物は無機化合物に比べて、多様な構造をとることができ、適切な分子設計によ
り様々な機能を有する材料を合成できる可能性がある。これらの利点から、近年、機能性
有機材料を用いたフォトエレクトロニクスやエレクトロニクスに注目が集まっている。
【0003】
例えば、有機化合物を機能性有機材料として用いたエレクトロニクスデバイスの例とし
て、太陽電池や発光素子、有機トランジスタ等が挙げられる。これらは有機化合物の電気
物性および光物性を利用したデバイスであり、特に発光素子はめざましい発展を見せてい
る。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間に、エレクトロルミネッセンス(Electro
Luminescence、以下ELとも記す)層を挟んで電圧を印加することにより
、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔がEL層の発光中心で再結合し
て分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して
発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちら
の励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
発光素子を構成するEL層は、少なくとも発光層を有する。また、EL層は、発光層の
他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを有する積層構造とするこ
ともできる。
【0006】
また、EL層を形成するEL材料は低分子系(モノマー系)材料と高分子系(ポリマー
系)材料に大別される。一般に、低分子系材料は蒸着装置を用いて成膜され、高分子系材
料はインクジェット法などを用いて成膜されることが多い。従来の蒸着装置は基板ホルダ
に基板を設置し、EL材料、つまり蒸着材料を封入したルツボ(または蒸着ボート)と、
ルツボ内のEL材料を加熱するヒーターと、昇華するEL材料の拡散を防止するシャッタ
ーとを有している。そして、ヒーターにより加熱されたEL材料が昇華し、基板に成膜さ
れる。このとき、均一に成膜を行うために、被成膜基板を回転させ、さらに、300mm
×360mmの大きさの基板でも、基板とルツボとの間の距離は1m程度離す必要がある

【0007】
上記の方法で、赤、緑、青の発光色を用いてフルカラーのフラットパネルディスプレイ
を作製することを考えた場合、基板と蒸発源との間に、基板と接してメタルマスクが設置
され、このマスクを介して塗り分けが実現される。しかし、この方法は、成膜精度がそれ
ほど高くないため、異なる画素間の間隔を広く設計し、画素間に設けられる絶縁物からな
る隔壁(バンク)の幅を広くする必要がある。このため、高精細の表示装置への適用が困
難になっている。
【0008】
また、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネルディスプレイとして、
より高精細化や高開口率化や高信頼性の要求が高まっている。こうした要求は、発光装置
の高精細化(画素数の増大)及び小型化に伴う各表示画素ピッチの微細化を進める上で大
きな課題となっている。また、同時に生産性の向上や低コスト化の要求も高まっている。
【0009】
そこで、レーザ熱転写により、発光素子のEL層を形成する方法が提案されている(特
許文献1参照)。特許文献1では、支持基板上に、低反射層と高反射層から構成される光
熱変換層と、転写層を有する転写用基板について記載されている。このような転写用基板
にレーザ光(レーザビームとも表記する)を照射することにより、低反射層上に位置する
転写層を素子作成用基板に転写することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−309995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来の光熱変換層を有する転写用基板では、光熱変換層において光から
変換された熱が、膜厚方向だけでなく、光熱変換層の面方向へも伝導してしまう。光熱変
換層の面方向への熱伝導が起こると、転写層において転写される領域が広がってしまうと
いう問題がある。また、光熱変換層を高反射層と低反射層により形成した場合でも、高反
射層においてもある程度の熱の吸収が考えられるため、照射するレーザ光の熱量が大きい
ときに、低反射層上の転写層だけでなく、高反射層上の転写層も転写されてしまう可能性
がある。
【0012】
本発明は、上記問題を鑑み、赤、緑、青の発光色を用いるフルカラーのフラットパネル
ディスプレイを作製する場合において、各色のEL層のパターン形成の精度を向上させる
ことが可能な発光装置の作製方法及び蒸着用基板を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発光装置の作製方法の一は、開口部を有する反射層と、反射層上に形成され、
反射層の開口部と重なる位置に開口部を有する断熱層と、反射層の開口部及び断熱層の開
口部を覆って、断熱層上に形成された光吸収層と、光吸収層上に形成された材料層と、を
有する第1の基板の一方の面と、第2の基板の被成膜面と、を対向させて配置し、第1の
基板の他方の面側から光の照射を行い、第2の基板の被成膜面の、反射層の開口部及び断
熱層の開口部と重なる領域にEL層を形成するものである。
【0014】
また、本発明の発光装置の作製方法の一は開口部を有する反射層と、反射層の開口部を
覆って、反射層上に形成された光吸収層と、光吸収層上に形成され、反射層の開口部と重
なる位置に開口部を有する断熱層と、断熱層の開口部を覆って、断熱層上に形成された材
料層と、を有する第1の基板の一方の面と、第2の基板の被成膜面と、を対向させて配置
し、第1の基板の他方の面側から光の照射を行い、第2の基板の被成膜面の、反射層の開
口部及び断熱層の開口部と重なる領域にEL層を形成するものである。
【0015】
また、上記本発明の発光装置の作製方法において、断熱層は、光吸収層及び反射層より
も熱伝導率の低い材料で形成されており、反射層と重なる領域の材料層が加熱されるのを
抑制する。
【0016】
また、上記の本発明の発光装置の作製方法において、蒸着材料を蒸着させる第2の基板
として、第1の電極が設けられた第2の基板を用い、第2の基板の第1の電極上に蒸着材
料を付着させた後、第2の基板に第2の電極を形成してもよい。
【0017】
本発明の蒸着用基板の一は、基板表面に形成された開口部を有する反射層と、反射層上
に形成され、反射層の開口部と重なる位置に開口部を有する断熱層と、反射層の開口部及
び断熱層の開口部を覆って、断熱層上に形成された光吸収層と、光吸収層上に形成された
材料層と、を有する。
【0018】
また、本発明の蒸着用基板の一は、基板表面に形成された開口部を有する反射層と、反
射層の開口部を覆って、反射層上に形成された光吸収層と、光吸収層上に形成され、反射
層の開口部と重なる位置に開口部を有する断熱層と、断熱層の開口部を覆って、断熱層上
に形成された材料層と、を有する。
【0019】
また、上記本発明の蒸着用基板において、断熱層は、反射層及び光吸収層よりも熱伝導
率が低い材料で形成されている。
【0020】
なお、本明細書において、反射層、光吸収層、断熱層または材料層を形成する一方の面
を基板表面、また、それに対向する他方の面を基板裏面と表記する。
【発明の効果】
【0021】
本発明を適用することにより、発光素子を構成する蒸着材料を含む層を容易に形成する
ことができ、発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。
【0022】
また、本発明を適用することにより、蒸着材料を含む層を精度良く所望の形状に形成す
ることができる。よって、発光装置の高精細化(画素数の増大)及び小型化に伴う各表示
画素ピッチの微細化を進めることできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図2】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図3】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図4】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図5】本発明に係る成膜工程を説明する図。
【図6】成膜装置の例を示す図。
【図7】成膜装置の例を示す図。
【図8】成膜装置の例を示す図。
【図9】発光素子の例を示す図。
【図10】発光素子の例を示す図。
【図11】パッシブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の例。
【図12】パッシブマトリクス型発光装置の斜視図の一例。
【図13】パッシブマトリクス型発光装置の上面図の一例。
【図14】アクティブマトリクス型発光装置の上面図および断面図の一例。
【図15】電子機器の例を示す図。
【図16】電子機器の例を示す図。
【図17】成膜装置の例を示す図。
【図18】成膜装置の例を示す図。
【図19】本発明に係る成膜工程の断面を示す模式図。
【図20】比較例の成膜工程の断面を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態および実施例について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発
明は以下の説明に限定されず、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなく、その形
態及び詳細を様々に変更しうることは、当業者であれば容易に可能である。したがって、
本発明は以下に示す実施の形態および実施例の記載内容に限定して解釈されるものではな
い。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で
共通して用いる場合がある。
【0025】
(実施の形態1)
本発明に係る発光装置の作製方法および蒸着用基板を、図1を用いて説明する。
【0026】
図1(A)は本発明に係る蒸着用基板の一例である。図1(A)において、支持基板で
ある第1の基板101上に反射層103が形成されている。反射層103は開口部を有し
ている。また、反射層103上に、断熱層107が形成されており、断熱層107は、反
射層103の有する開口部と重なる位置に開口部が形成されている。また、断熱層107
上に光吸収層105が形成されている。図1においては、光吸収層105は第1の基板1
01の全面を覆うように形成されている。また、光吸収層105上には、蒸着材料を含む
材料層109が形成されている。
【0027】
なお、本明細書において「重なる」とは、蒸着用基板を構成する要素(例えば、反射層
や光吸収層など)同士が直接接して重なり合う場合だけでなく、間に別の層を介して重な
り合う場合も含むものとする。
【0028】
図1(A)に示した本発明に係る蒸着用基板の作製方法、及びその蒸着用基板を用いた
発光装置の作製方法を説明する。
【0029】
はじめに、第1の基板101上に反射層103を成膜した後、反射層に開口部を形成す
る。第1の基板101は、反射層、光吸収層、断熱層などの支持基板であり、発光装置の
作製工程において、材料層を被成膜基板に蒸着するために照射する光を透過する基板であ
る。よって、第1の基板101は光の透過率が高い基板であることが好ましい。具体的に
は、材料層を蒸着するためにランプ光やレーザ光を用いる場合、第1の基板101として
、それらの光を透過する基板を用いることが好ましい。第1の基板101としては、例え
ば、ガラス基板、石英基板、無機材料を含むプラスチック基板などを用いることができる

【0030】
反射層103は、発光装置の作製工程において、第1の基板に照射する光を反射して、
反射層103と重なる領域に形成された材料層109に、昇華に必要な熱を与えないよう
に遮断する層である。反射層は、照射される光に対して、反射率が85%以上、さらに好
ましくは、反射率が90%以上の高い反射率を有する材料で形成されていることが好まし
い。例えば、800nm乃至2500nmの赤外領域の光を照射する場合、反射層の材料
として、アルミニウム、銀、金、白金、銅、アルミニウムを含む合金、または銀を含む合
金などを用いることができる。特に、アルミニウム−チタン合金、アルミニウム−ネオジ
ム合金、銀−ネオジム合金は、赤外領域の光(波長800nm以上)に対して高い反射率
を有しているため、反射層として好適に用いることができる。例えば、アルミニウム−チ
タン合金膜は、膜厚が400nmの場合、赤外領域(波長800nm以上2500nm以
下)にわたって、85%以上の反射率を示し、特に、波長が900nm以上2500nm
以下の範囲については90%以上の反射率を示す。なお、第1の基板101に照射する光
の波長により、反射層103に好適な材料の種類は変化する。また、反射層は一層に限ら
ず複数の層により構成されていてもよい。
【0031】
反射層103は、種々の方法を用いて形成することができる。例えば、スパッタリング
法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法などにより形成することができる。また、反射層の膜
厚は、材料により異なるが、概ね100nm以上2μm以下であることが好ましい。10
0nm以上であることにより、照射した光が反射層を透過することを抑制することができ
る。
【0032】
また、反射層103に開口部を形成する際には種々な方法を用いることができるが、ド
ライエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、開口部
の側壁が鋭くなり、微細なパターンを成膜することができる。
【0033】
本実施の形態においては、反射層103として膜厚100nm以上500nm以下のア
ルミニウム膜を形成する。アルミニウム膜は、膜厚100nm以上500nm以下におい
て、赤外領域(波長800nm以上2500nm以下)にわたって、85%以上の反射率
を示し、特に、波長が900nm以上2500nm以下の範囲については90%以上の反
射率を示す。また、膜厚100nm以上500nm以下のアルミニウム膜は、赤外領域(
波長800nm以上2500nm以下)にわたって、透過率が0%であるため反射層とし
て好適に用いることができる。
【0034】
次いで、反射層103上に、断熱層107を形成する。断熱層107は、発光装置の作
製工程において、反射層103と重なる領域に位置する材料層109が加熱され、昇華す
るのを抑制するための層である。断熱層107としては、例えば、酸化チタン、酸化珪素
、酸化窒化珪素、酸化ジルコニウム、炭化チタン等を好ましく用いることができる。ただ
し断熱層107は、反射層103及び光吸収層105に用いた材料よりも熱伝導率の低い
材料を用いる。なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも
酸素の含有量が多い物質である。
【0035】
断熱層107は、様々な方法を用いて形成することができる。例えば、スパッタリング
法、電子ビーム蒸着法、真空蒸着法、またはCVD法などにより形成することができる。
また、断熱層の膜厚は、材料により異なるが、10nm以上2μm以下、好ましくは10
0nm以上600nm以下とすることができる。断熱層107を10nm以上2μm以下
の膜厚とすることにより、反射層103が加熱された場合でも、反射層103の上に位置
する材料層に熱が伝導するのを遮断する効果を有する。
【0036】
また、断熱層107は、反射層103の開口部と重なる領域に開口部が形成されている
。断熱層107のパターンを形成する際には、種々の方法を用いることができるが、ドラ
イエッチングを用いることが好ましい。ドライエッチングを用いることにより、パターン
形成された断熱層107の側壁が鋭くなり、微細なパターンを成膜することができる。
【0037】
なお、断熱層107と、反射層103のパターン形成を一度のエッチング工程によって
行うと、断熱層107と反射層103に設けられる開口部の側壁をそろえることができ、
より微細なパターンを成膜することができるため好ましい。
【0038】
次いで、断熱層107上に光吸収層105を形成する。光吸収層105は発光装置の作
製工程において、材料層109を加熱するために照射する光を吸収して熱へと変換する層
である。光吸収層は、照射される光に対して、70%以下の低い反射率を有し、また、高
い吸収率を有する材料で形成されていることが好ましい。また、光吸収層は、それ自体が
熱によって変化しないように、耐熱性に優れた材料で形成されていることが好ましい。光
吸収層105に好適な材料の種類は、材料層を加熱するために照射する光の波長により変
化する。例えば、波長800nmの光に対しては、モリブデン、窒化タンタル、チタン、
タングステンなどを用いることが好ましい。また、波長1300nmの光に対しては、窒
化タンタル、チタンなどを用いることが好ましい。
【0039】
また、モリブデン膜およびタングステン膜は、例えば、膜厚400nmとした場合、波
長800nm以上900nm以下の光に対しては、反射率が60%以下であるため、光吸
収層として好適に用いることができる。また、波長2000nm〜2500nmの光に対
しては、反射率が85%以上であるため、反射層として用いることができる。
【0040】
光吸収層105は、種々の方法を用いて形成することができる。例えば、スパッタリン
グ法で、モリブデン、タンタル、チタン、タングステンなどのターゲット、またはこれら
の合金を用いたターゲットを用い、光吸収層105を形成することができる。また、光吸
収層は一層に限らず複数の層により構成されていてもよい。
【0041】
光吸収層の膜厚は、照射される光が透過しない膜厚であることが好ましい。材料によっ
て異なるが、100nm以上2μm以下の膜厚であることが好ましい。特に、光吸収層1
05の膜厚を200nm以上600nm以下とすることで、照射される光を効率良く吸収
して発熱させることができる。
【0042】
なお、光吸収層105は、材料層109に含まれる蒸着材料が昇華温度まで加熱される
のであれば、照射する光の一部が透過してもよい。ただし、一部が透過する場合には、光
が照射しても分解しない材料を、材料層109に用いることが好ましい。
【0043】
なお、反射層と光吸収層の反射率は差が大きいほど好ましい。具体的には、照射する光
の波長に対して、反射率の差が25%以上、より好ましくは30%以上であることが好ま
しい。
【0044】
本実施の形態においては、光吸収層として膜厚200nm以上600nm以下のチタン
膜を形成するものとする。チタン膜は、膜厚が200nm以上600nm以下の範囲にお
いて、赤外領域の波長800nm以上2500nm以下に渡って、67%以下の反射率を
示す。特に、波長が800nm以上1250nm以下の波長領域については60%以下の
反射率を示す。また、300nm以上2500nm以下の波長領域において、ほぼ光を透
過しない。さらに、膜厚200nm以上600nm以下のチタン膜は、吸収率が30%以
上であり、光吸収層として好適に用いることができる。
【0045】
次いで、光吸収層105上に、蒸着材料を含む材料層109を形成する。材料層109
は昇華により第2の基板に転写される層である。蒸着材料としては、種々の材料が挙げら
れる。また、材料層109は複数の蒸着材料を含んでいてもよい。また、材料層109は
、単層でもよいし、複数の層が積層されていてもよい。蒸着材料を含む層を複数積層する
ことにより、共蒸着することが可能である。なお、蒸着材料を含む層を複数積層する場合
には、第1の基板側に分解温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが好まし
い。または、第1の基板側に蒸着温度が低い蒸着材料を含むように積層されていることが
好ましい。このような構成とすることにより、蒸着材料を含む複数の層を効率良く昇華さ
せることができ、蒸着することができる。なお、本明細書において「蒸着温度」とは、材
料が昇華する温度を示す。また、「分解温度」とは、熱の作用によって、材料を示す化学
式の少なくとも一部に変化が起こる温度を示す。
【0046】
材料層109は、種々の方法により形成される。例えば、乾式法である真空蒸着法、ス
パッタリング法等を用いることができる。また、湿式法であるスピンコート法、スプレー
コート法、インクジェット法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコ
ート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、又は印刷法等を用いるこ
とができる。これら湿式法を用いて材料層109を形成するには、所望の蒸着材料を溶媒
に溶解あるいは分散させ、溶液あるいは分散液を調整すればよい。溶媒は、蒸着材料を溶
解あるいは分散させることができ、且つ蒸着材料と反応しないものであれば特に限定され
ない。例えば、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロ
エタン、或いはクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、
ジエチルケトン、n−プロピルメチルケトン、或いはシクロヘキサノンなどのケトン系溶
媒、ベンゼン、トルエン、或いはキシレンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸n−プ
ロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、或いは炭酸ジエチ
ルなどのエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、或いはジオキサンなどのエーテル系溶媒
、ジメチルホルムアミド、或いはジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルス
ルホキシド、ヘキサン、又は水等を用いることができる。また、これらの溶媒複数種を混
合して用いてもよい。湿式法を用いることにより、材料の利用効率を高めることができ、
発光装置を作製するコストを低減することができる。
【0047】
なお、後の工程で被成膜基板である第2の基板111上に形成されるEL層117の膜
厚は、支持基板である第1の基板上に形成された材料層109に依存する。そのため、材
料層の膜厚を制御することにより、容易に被成膜基板である第2の基板111上に形成さ
れるEL層117の膜厚を制御することができる。なお、EL層の膜厚および均一性が保
たれるのであれば、材料層は必ずしも均一の層である必要はない。例えば、微細な島状に
形成されていてもよいし、凹凸を有する層状に形成されていてもよい。
【0048】
なお、蒸着材料としては、有機化合物、無機化合物、又は、無機化合物を含有する有機
化合物にかかわらず、種々の材料を用いることができる。特に、有機化合物は無機化合物
に比べ、蒸着温度が低い材料が多いため、光の照射により蒸着することが容易であり、本
発明の発光装置の作製方法に好適である。例えば、有機化合物としては、発光装置に用い
られる発光材料、キャリア輸送材料などが挙げられる。また、無機化合物としては、発光
装置のキャリア輸送層やキャリア注入層、電極などに用いられる金属酸化物、金属窒化物
、ハロゲン化金属、金属単体などがあげられる。
【0049】
次に、図1(B)に示すように、第1の基板101において、反射層103、断熱層1
07、光吸収層105および材料層109が形成された面に対向する位置に、被成膜基板
である第2の基板111を配置する。第2の基板111は、蒸着処理により所望の層が成
膜される被成膜基板である。
【0050】
第1の基板101と第2の基板111とを至近距離、具体的には第1の基板101に設
けられた蒸着材料の層の表面と第2の基板111との距離dは、0mm以上2mm以下、
好ましくは0mm以上0.05mm以下、さらに好ましくは0mm以上0.03mm以下
となるように近づけて近接させる。距離dを上記の範囲程度まで小さくすることで、蒸着
材料の利用効率を向上させることができる。また、被成膜基板に形成されるEL層117
のパターン形成の精度を向上させることができる。
【0051】
なお、距離dは、支持基板上に形成された材料層109の表面と、被成膜基板の表面と
の距離で定義する。また、被成膜基板上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電
層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されている場合、距離dは、支持基板上の材料
層109の表面と、被成膜基板上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、支
持基板上に形成された材料層或いは被成膜基板上に形成された層の表面に凹凸を有する場
合は、距離dは、支持基板上の材料層109の表面と、被成膜基板或いは被成膜基板上に
形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。
【0052】
材料の利用効率を向上させるため、また、パターン形成の精度を向上させるために、第
1の基板と第2の基板の基板間の距離は狭いほうが好ましいが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0053】
図1において、第2の基板111は、第1の電極層113を有している。第1の電極層
113の端部は絶縁物115で覆われていることが好ましい。本実施の形態において、第
1の電極層は、発光素子の陽極あるいは陰極となる電極を示している。
【0054】
第1の基板101及び第2の基板111を配置した後、図1(C)に示すように、第1
の基板101の裏面、すなわち材料層が形成された面と対向する面から光を照射する。照
射された光は、反射層103が形成された領域においては反射し、反射層103に設けら
れた開口部においては、透過して、開口部と重なる領域の光吸収層105において吸収さ
れる。吸収された光が熱エネルギーへと変換されることで、当該領域の光吸収層105と
接する材料層109が加熱され、昇華される。昇華した蒸着材料は第1の電極層上に蒸着
され、これによってEL層117が成膜される。
【0055】
なお、第1の基板101に光を照射した際に、光吸収層105で発生した熱が面方向に
伝導して、光吸収層105に接する反射層103が加熱されることがある。また、反射率
が85%以上の材料を用いて反射層103を形成したとしても、照射する光の熱量によっ
ては、ある程度の熱の吸収が考えられる。しかしながら、本発明に係る蒸着用基板は、反
射層103と材料層109との間に、熱伝導率の低い材料によって形成された断熱層10
7が設けられているため、反射層103が加熱された場合であっても、断熱層107にお
いて材料層109への熱の伝導を遮断することができる。これによって、選択的に、開口
部と重なる領域の材料層109を昇華させて、被成膜基板上に所望のパターンを有するE
L層117を形成することができる。
【0056】
照射する光の光源としては、種々の光源を用いることができる。
【0057】
例えば、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハロゲンランプ、タ
ングステンランプのような発熱灯を光源として用いることができる。また、これらの光源
をフラッシュランプ(例えばキセノンフラッシュランプ、クリプトンフラッシュランプな
ど)として用いても良い。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒乃至10ミリ秒)で
非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため、第1の基板の面積
にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光させる時間の長さを変
えることによって第1の基板101の加熱の制御もできる。また、フラッシュランプは寿
命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑えることができ
る。
【0058】
また、光源としてレーザ発振装置を用いてもよい。レーザ光としては、例えば、Arレ
ーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レーザ、単結晶のYAG、YVO、フォ
ルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミッ
ク)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd
、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているも
のを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti
:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レーザのうち一種または複数種から発振
されるものを用いることができる。また、レーザ媒体が固体である固体レーザを用いると
、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利点や、出力が比較的に安定している利
点を有している。
【0059】
なお、照射する光としては、赤外光(波長800nm以上)であることが好ましい。赤
外光であることにより、光吸収層105における熱変換が効率よく行われ、蒸着材料を効
率よく昇華させることができる。
【0060】
本発明の発光装置の作製方法においては、蒸着用基板に形成された材料層のうち光吸収
層に接する領域を選択的に加熱するため、材料層全面を加熱する場合と比較して、光を照
射する時間は比較的短くてよい。例えば、ハロゲンランプを光源として用いた場合、50
0℃〜800℃を7〜15秒間程度保持することで、材料層のうち開口部と重なる領域を
昇華して、被成膜基板へと蒸着することができる。
【0061】
また、成膜は減圧雰囲気で行われることが好ましい。減圧雰囲気は、成膜室内を真空排
気手段により真空度が5×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa
程度の範囲になるように真空排気することで得られる。
【0062】
なお、本実施の形態では、被成膜基板である第2の基板が、支持基板である第1の基板
の下方に位置する場合を図示したが、本発明はこれに限定されない。基板の設置する向き
は適宜設定することができる。
【0063】
図2(A)に、距離dが0mmの場合、つまり、第2の基板111上に形成された絶縁
物115と、第1の基板101上に形成された材料層109とが接する場合を示す。この
ように距離dを小さくすることで、材料の利用効率を向上させることができる。また、被
成膜基板に形成される層のパターン形成の精度を向上させることができる。なお、被成膜
基板の表面に凹凸がない場合には、被成膜基板である第2の基板111と支持基板である
第1の基板101との距離dは0mmより大きいことが好ましい。
【0064】
また本発明の実施の形態は、図1に示した構成に限られない。例えば、図2(B)に示
すように、光吸収層105を第1の基板101の全面に形成した後に、光吸収層105を
パターン形成して、反射層103及び断熱層107の開口部を覆うように島状にパターン
形成してもよい。図2(B)に示すように、光吸収層105を島状にパターン形成した場
合、全面に光吸収層を形成する場合に比べ、光吸収層内を面方向に熱が伝導することを防
止することができるため、より微細なEL層のパターン形成が可能となり、高精細な発光
装置を実現することができる。
【0065】
本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、支持基板に形成した材料層の膜厚によっ
て、蒸着処理により被成膜基板に成膜されるEL層の膜厚を制御することができる。つま
り、支持基板に形成した材料層をそのまま蒸着すればよいため、膜厚モニターが不要であ
る。よって、膜厚モニターを利用した蒸着速度の調節を使用者が行う必要がなく、成膜工
程を全自動化することが可能である。そのため、生産性の向上を図ることができる。
【0066】
また、本発明に係る発光装置に適用する成膜方法は、材料層が複数の蒸着材料を含む場
合、材料層と同じ蒸着材料を略同じ重量比で含有するEL層を被成膜基板に成膜すること
ができる。このように、本発明に係る成膜方法は、蒸着温度の異なる複数の蒸着材料を用
いて成膜する場合、共蒸着のようにそれぞれ蒸着レートを制御する必要がない。そのため
、蒸着レート等の複雑な制御を行うことなく、所望の異なる蒸着材料を含む層を容易に精
度良く成膜することができる。
【0067】
また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の
製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得
ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ発振装置だけ
でなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。また、光
源として、ランプヒーター等を用いることにより、大面積を一括して成膜することが可能
となるため、タクト時間を短縮することができる。よって、発光装置の作製コストを削減
することができる。
【0068】
また、本発明に係る成膜方法は、所望の蒸着材料を無駄にすることなく、被成膜基板に
成膜することが可能である。よって、蒸着材料の利用効率が向上し、コスト削減を図るこ
とができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテ
ナンスを簡便にすることができる。
【0069】
よって、本発明を適用することで、所望の異なる蒸着材料を含む層の成膜が容易になり
、当該異なる蒸着材料を含む層を用いた発光装置等の製造における生産性を向上させるこ
とが可能となる。
【0070】
また、本発明に係る蒸着用基板を用いることにより、蒸着材料の利用効率良く成膜する
ことが可能となり、コスト削減を図ることができる。また、本発明の蒸着用基板を用いる
ことにより、精度良く、所望の形状の膜を形成することが可能となる。
【0071】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0072】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる構成を有する本発明に係る蒸着用基板に
ついて説明する。なお、本実施の形態に示す蒸着用基板において、特に記載がない場合に
は、上記実施の形態と同様の材料及び作製方法によって形成するものとする。
【0073】
図3(A)は本発明に係る蒸着用基板の一例である。図3(A)において、支持基板で
ある第1の基板101上に、開口部を有する反射層103が形成されている。また、反射
層103の開口部を覆うように、第1の基板101全面に光吸収層105が形成されてい
る。光吸収層105上には断熱層107が形成されており、反射層103の有する開口部
と重なる位置に開口部が形成されている。断熱層107を介して光吸収層105上には、
断熱層107の開口部を覆うように蒸着材料を含む材料層109が形成されている。
【0074】
図3(B)に示すように、第1の基板101の、反射層103、断熱層107、光吸収
層105および材料層109が形成された面に対向する位置に、被成膜基板である第2の
基板111を配置する。第2の基板111は、蒸着処理により所望の層が成膜される被成
膜基板である。
【0075】
第2の基板111は、第1の電極層113を有している。第1の電極層113の端部は
絶縁物115で覆われていることが好ましい。本実施の形態において、第1の電極層は、
発光素子の陽極あるいは陰極となる電極を示している。
【0076】
第1の基板101及び第2の基板111を配置した後、図3(B)に示すように、第1
の基板101の裏面、すなわち材料層が形成された面と対向する面から光を照射する。照
射された光は、反射層103が形成された領域においては反射し、反射層103に設けら
れた開口部においては、透過して、開口部と重なる領域、すなわち第1の基板と接する領
域の光吸収層105において吸収される。光吸収層において吸収された光は、熱エネルギ
ーへと変換され、光吸収層105と接する領域の材料層109を加熱し、昇華させる。昇
華した蒸着材料は第1の電極層上に蒸着され、これによってEL層117が成膜される。
【0077】
なお、第1の基板101に光を照射した際に、光吸収層105で発生した熱が面方向に
伝導して、反射層103及び反射層103と重なる領域の光吸収層105が加熱されるこ
とがある。また、反射率の85%以上の材料を用いて反射層103を形成したとしても、
照射する光の熱量によっては、ある程度の熱の吸収が考えられる。しかしながら、本発明
に係る蒸着用基板は、反射層103と材料層109との間に、熱伝導率の低い材料によっ
て形成された断熱層107が設けられているため、反射層103及び反射層と重なる領域
の光吸収層105が加熱された場合であっても、断熱層107において材料層109への
熱の伝導を遮断することができる。これによって、反射層103と重なる領域の材料層1
09が加熱されるのを抑制し、選択的に、開口部と重なる領域の材料層109を昇華させ
て、被成膜基板上に所望のパターンを有するEL層117を形成することができる。
【0078】
また、上述したように、被成膜基板上にEL層を形成する際には、蒸着用基板である第
1の基板と被成膜基板である第2の基板間の距離dは、短くすることが望ましい。ただし
、光を吸収して発熱する光吸収層と第2の基板の表面とが近接しすぎると、光吸収層から
の輻射熱によって第2の基板における成膜領域が加熱され、成膜されたEL層が分解また
は結晶化してしまうことがある。したがって、距離dが0.03mm以下、例えば第1の
基板の最表面と第2の基板の最表面が接している場合でも、開口部と重なる領域の光吸収
層表面と、第2の基板における成膜領域表面との距離は、1μm以上10μm以下である
ことが望ましい。
【0079】
本実施の形態で示す蒸着用基板では、光吸収層の上部に断熱層が形成されており、該断
熱層の膜厚を制御することで、第1の基板と第2の基板間の距離dを近接させたまま、光
吸収層と第2の基板における成膜領域表面の距離を制御することができ、EL層のパター
ン精度を向上させることができる。
【0080】
また本発明の実施の形態は、図3(A)に示した構成に限られず、例えば、図3(C)
に示すように、光吸収層105を第1の基板101の全面に形成した後に、光吸収層10
5をエッチングして、反射層103の開口部を覆うように島状にパターン形成してもよい
。パターン形成した光吸収層105上に断熱層107を第1の基板101の全面に形成し
た後、断熱層107をパターン形成する。その後、断熱層107上に材料層109を形成
することで図3(C)に示した蒸着用基板を得ることができる。図3(C)に示すように
、光吸収層105を島状にパターン形成した場合、全面に光吸収層を形成する場合に比べ
、光吸収層と断熱層の接触面積が少ないため、光吸収層からの熱伝導をより抑制すること
ができる。したがって、照射された光のエネルギーを有効に利用することが可能となるた
め、照射時間を短縮することができる。また、全面に光吸収層を形成する場合に比べ、光
吸収層の面方向への熱伝導を防止することができるため、より微細なEL層のパターン形
成が可能となり、高精細な発光装置を実現することができる。
【0081】
本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も
簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ること
ができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ発振装置だけでなく
、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。また、光源とし
て、ランプヒーター等を用いることにより、大面積を一括して成膜することが可能となる
ため、タクト時間を短縮することができる。よって、発光装置の作製コストを削減するこ
とができる。
【0082】
また、本発明に係る成膜方法は、所望の蒸着材料を無駄にすることなく、被成膜基板に
成膜することが可能である。よって、蒸着材料の利用効率が向上し、コスト削減を図るこ
とができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置のメンテ
ナンスを簡便にすることができる。
【0083】
よって、本発明を適用することで、所望の異なる蒸着材料を含む層の成膜が容易になり
、当該異なる蒸着材料を含む層を用いた発光装置等の製造における生産性を向上させるこ
とが可能となる。
【0084】
また、本発明に係る蒸着用基板を用いることにより、蒸着材料の利用効率良く成膜する
ことが可能となり、コスト削減を図ることができる。また、本発明の蒸着用基板を用いる
ことにより、精度良く、所望の形状の膜を形成することが可能となる。
【0085】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0086】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した蒸着用基板を用いてフルカラー表示装置
を作製する方法について説明する。
【0087】
実施の形態1及び2では、1回の成膜工程で、隣り合う第1の電極層113のそれぞれ
に成膜する例を示しているが、フルカラー表示装置を作製する場合には、複数回の成膜工
程に分けて、発光色の異なる発光層をそれぞれ異なる領域に形成する。
【0088】
フルカラー表示可能な発光装置の作製例を以下に説明する。ここでは、3色の発光層を
用いる発光装置の例を示す。
【0089】
図1(A)、図2(B)、図3(A)または図3(C)のいずれかに示す蒸着用基板を
3枚用意する。それぞれの蒸着用基板には、それぞれ異なる蒸着材料を含む材料層を形成
する。具体的には、赤色発光層用の材料層を設けた第1の蒸着用基板と、緑色発光層用の
材料層を設けた第2の蒸着用基板と、青色発光層用の材料層を設けた第3の蒸着用基板と
を用意する。
【0090】
また、第1の電極層が設けられた被成膜基板を1枚用意する。なお、隣り合う第1の電
極層同士が短絡しないように、第1の電極層の端部を覆う隔壁となる絶縁物を設けること
が好ましい。発光領域となる領域は、第1の電極層の一部、即ち絶縁物と重ならずに露呈
している領域に相当する。
【0091】
そして、被成膜基板と第1の蒸着用基板とを重ね、位置合わせをする。よって、被成膜
基板には、位置合わせ用のマーカを設けることが好ましい。また、第1の蒸着用基板にも
位置合わせ用のマーカを設けることが好ましい。なお、第1の蒸着用基板には、光吸収層
及び赤色発光層用の材料層が設けられているため、位置合わせのマーカ周辺の光吸収層及
び赤色発光層用の材料層は予め除去しておくことが好ましい。
【0092】
そして、第1の蒸着用基板の裏面側から光を照射する。照射された光を、反射層の開口
部上に位置する光吸収層が吸収することで、当該領域の光吸収層が発熱し、その光吸収層
と接している赤色発光層用の材料層が昇華して、被成膜基板に設けられている第1の電極
層上に1回目の成膜が行われる。1回目の成膜を終えたら、第1の蒸着用基板は、被成膜
基板と離れた場所へ移動させる。
【0093】
本発明に係る蒸着用基板は、光吸収層に接して断熱層が形成されているため、光吸収層
において変換された熱が光吸収層の面方向に伝導した場合においても、反射層の上部に位
置する材料層が加熱されるのを防ぐことができる。これによって、被成膜基板上に、精度
良くEL層を形成することができる。
【0094】
次いで、被成膜基板と第2の蒸着用基板とを重ね、位置合わせをする。第2の蒸着用基
板には、1回目の成膜時で使用した第1の蒸着用基板とは1画素分ずらして反射層の開口
部が形成されている。
【0095】
そして、第2の蒸着用基板の裏面側から光を照射する。照射された光を、反射層の開口
部上に位置する光吸収層が吸収することで、当該領域の光吸収層が発熱し、その光吸収層
と接している緑色発光層用の材料層が昇華して、被成膜基板に設けられている第1の電極
層上に2回目の成膜が行われる。2回目の成膜を終えたら、第2の蒸着用基板は、被成膜
基板と離れた場所へ移動させる。
【0096】
次いで、被成膜基板と第3の蒸着用基板とを重ね、位置合わせをする。第3の蒸着用基
板には、1回目の成膜時で使用した第1の蒸着用基板とは2画素分ずらして反射層の開口
部が形成されている。
【0097】
そして、第3の蒸着用基板の裏面側から光を照射して3回目の成膜を行う。この3回目
の成膜を行う直前の様子が図4(A)の上面図に相当する。反射層411は開口部412
を有している。また、開口部412に対応する領域に光吸収層が形成されている。また、
被成膜基板における開口部412に対応する領域は、第1の電極層が絶縁物413で覆わ
れておらず露出している領域である。なお、図4(A)中に点線で示した領域の下方には
、既に1回目で成膜された第1の膜(R)421と2回目で成膜された第2の膜(G)4
22が位置している。
【0098】
そして、3回目の成膜により、第3の膜(B)423が形成される(図4(B))。照
射された光が反射層の開口部を通過し、開口部に対応する領域に形成された光吸収層にお
いて吸収されると、当該領域の光吸収層が発熱する。これによって、開口部に対応する領
域に形成された光吸収層と接している青色発光層用の材料層が昇華し、被成膜基板に設け
られている第1の電極層上に3回目の成膜が行われる。3回目の成膜を終えたら、第3の
蒸着用基板は、被成膜基板と離れた場所へ移動させる。
【0099】
こうして、第1の膜(R)421、第2の膜(G)422、第3の膜(B)423を一
定の間隔をあけて選択的に形成する。そして、これらの膜上に第2の電極層を形成し、発
光素子を形成する。
【0100】
以上の工程でフルカラー表示装置を作製することができる。
【0101】
図4では、蒸着用基板に形成された反射層の開口部412の形状を矩形とした例を示し
たが、特にこの形状に限定されず、ストライプ状の開口部としても良い。ストライプ状の
開口部とした場合、同じ発光色となる発光領域の間にも成膜が行われるが、絶縁物413
の上に形成されるため、絶縁物413と重なる部分は発光領域とはならない。
【0102】
また、画素の配列も特に限定されず、図5(B)に示すように、1つの画素形状を多角
形、例えば六角形としてもよく、第1の膜(R)441、第2の膜(G)442、第3の
膜(B)443を配置してフルカラー表示装置を実現してもよい。図5(B)に示す多角
形の画素を形成するために、図5(A)に示す多角形の開口部432を有する反射層43
1、反射層431上に設けられた断熱層、および開口部432に対応する領域に設けられ
た光吸収層を有する蒸着用基板を用いて、成膜すればよい。
【0103】
本発明を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することができ、当
該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、本発明を適用することで、発光
層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細なパター
ン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を適用す
ることにより、光源として、レーザ発振装置だけでなく、安価ではあるが熱量の大きなラ
ンプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減することが
できる。
【0104】
また、本発明を適用することにより、ホスト材料にドーパント材料が分散された発光層
を形成する場合、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ドー
パント材料の添加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得ら
れやすくなる。また、蒸着材料の利用効率も向上させることができるため、コスト削減を
図ることもできる。
【0105】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0106】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明に係る発光装置の作製を可能とする成膜装置の例について説
明する。本実施の形態に係る成膜装置の断面の模式図を図6、図7に示す。
【0107】
図6(A)において、成膜室801は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁802
、及び第2のゲート弁803によって他の処理室と連結している。また、成膜室801内
には、第1の基板支持手段804である基板支持機構と、第2の基板支持手段805であ
る被成膜基板支持機構と、光源810を少なくとも有している。
【0108】
まず、他の成膜室において、上記実施の形態で示した構成で、反射層、光吸収層及び断
熱層を形成した第1の基板807上に、材料層808を形成する。本実施の形態において
、支持基板である第1の基板807は図1に示した第1の基板101に相当し、材料層8
08は材料層109に相当する。なお、図示していないが、第1の基板807と、材料層
808との間には、上記実施の形態で示した構成で、反射層、光吸収層及び断熱層が形成
されている。本実施の形態では、第1の基板807として、銅を主材料とした四角平板状
の基板を用いる。また、材料層808としては、蒸着可能である材料を用いる。
【0109】
なお、第1の基板807としては、被成膜基板と面積が同じ、若しくはそれより大きい
面積を有していれば特に形状は限定されない。また、材料層808の形成方法は乾式法や
湿式法を用いることができ、特に湿式法であることが好ましい。例えば、スピンコート法
、印刷法、またはインクジェット法などを用いることができる。
【0110】
次いで、他の成膜室から第1の基板807を成膜室801に搬送し、基板支持機構にセ
ットする。また、第1の基板807における材料層808の形成されている面と、被成膜
基板である第2の基板809の被成膜面とが、対向するように、第1の基板807を基板
支持機構に固定する。
【0111】
第2の基板支持手段805を移動させて、第1の基板807と第2の基板809の基板
間隔が距離dとなるように近づける。なお、距離dは、第1の基板807上に形成された
材料層808の表面と、第2の基板809の表面との距離で定義する。また、第2の基板
809上に何らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層
等)が形成されている場合、距離dは、第1の基板807上の材料層808の表面と、第
2の基板809上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板809
或いは第2の基板809上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1
の基板807上の材料層808の表面と、第2の基板809或いは第2の基板809上に
形成された層の最表面との間の最も短い距離で定義する。ここでは、距離dを2mmとす
る。また、第2の基板809が石英基板のように硬く、ほとんど変形(反り、撓みなど)
しない材料であれば、距離dは0mmを下限として近づけることができる。また、図6で
は基板間隔の制御は、基板支持機構を固定し、被成膜基板支持機構を移動させる例を示し
ているが、基板支持機構を移動させ、被成膜基板支持機構を固定する構成としてもよい。
また、基板支持機構と被成膜基板支持機構の両方を移動させても良い。なお、図6(A)
では、第2の基板支持手段805を移動させて、第1の基板と第2の基板を近づけて距離
dとした段階の断面を示している。
【0112】
また、基板支持機構及び被成膜基板支持機構は、上下方向だけでなく、水平方向にも移
動させる機構としてもよく、精密な位置合わせを行う構成としてもよい。また、精密な位
置合わせや距離dの測定を行うため、成膜室801にCCDなどのアライメント機構を設
けてもよい。また、成膜室801内を測定する温度センサや、湿度センサなどを設けても
よい。
【0113】
光源810から光を支持基板に照射する。これにより、短時間に支持基板上の材料層8
08を加熱して昇華させ、対向して配置された第2の基板809の被成膜面(即ち、下面
)に蒸着材料が成膜される。図6(A)に示す成膜装置において、蒸着源である材料層8
08をそのまま蒸着すれば良いため、膜厚モニターを設置しなくとも、第2の基板に膜厚
均一性の高い成膜を行うことができる。また、従来の蒸着装置は、基板を回転させていた
が、図6(A)に示す成膜装置は、被成膜基板を停止して成膜するため、割れやすい大面
積のガラス基板への成膜に適している。また、図6(A)に示す成膜装置は、成膜中、支
持基板も停止して成膜する。
【0114】
なお、均一な加熱が行われるように、光源810と支持基板は広い面積で対向すること
が好ましい。
【0115】
また、待機時の光源からの支持基板上の材料層808への熱の影響を緩和するため、待
機時(蒸着処理前)は光源810と第1の基板807(支持基板)との間に断熱化のため
の開閉式のシャッターを設けてもよい。
【0116】
また、光源810は、短時間に均一な加熱を行える加熱手段であればよい。例えば、レ
ーザ発振器やランプを用いればよい。
【0117】
例えば、レーザ光としては、Arレーザ、Krレーザ、エキシマレーザなどの気体レー
ザ、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、G
dVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO
GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのう
ち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザ、ガラスレーザ、ルビーレー
ザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、銅蒸気レーザまたは金蒸気レ
ーザのうち一種または複数種から発振されるものを用いることができる。また、レーザ媒
体が固体である固体レーザを用いると、メンテナンスフリーの状態を長く保てるという利
点や、出力が比較的に安定している利点を有している。
【0118】
例えば、ランプとしては、キセノンランプ、メタルハライドランプのような放電灯、ハ
ロゲンランプ、タングステンランプのような発熱灯を光源として用いることができる。ま
た、これらの光源をフラッシュランプ(例えば、キセノンフラッシュランプ、クリプトン
フラッシュランプなど)として用いてもよい。フラッシュランプは短時間(0.1ミリ秒
乃至10ミリ秒)で非常に強度の高い光を繰り返し、大面積に照射することができるため
、第1の基板の面積にかかわらず、効率よく均一に加熱することができる。また、発光さ
せる時間の長さを変えることによって第1の基板の加熱の制御もできる。また、フラッシ
ュランプは寿命が長く、発光待機時の消費電力が低いため、ランニングコストを低く抑え
ることができる。また、フラッシュランプを用いることにより、急加熱が容易となり、ヒ
ーターを用いた場合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、さらなる成膜装
置の小型化が図れる。
【0119】
また、図6(A)では、光源810を成膜室801内に設置する例を示しているが、成
膜室の内壁の一部を透光性部材として、成膜室の外側に光源810を配置してもよい。成
膜室801の外側に光源810を配置すると、光源810のライトバルブの交換などのメ
ンテナンスを簡便なものとすることができる。
【0120】
また、図6(B)は、第2の基板809の温度を調節する機構を備えた成膜装置の例を
示す。図6(B)において、図6(A)と共通の部分の符号は省略する。図6(B)では
、第2の基板支持手段805に熱媒体を流すチューブ811が設けられている。チューブ
811に、熱媒体として冷媒を流すことによりにより、第2の基板支持手段805は、コ
ールドプレートとすることができる。なお、チューブ811は、第2の基板支持手段80
5の上下移動に追随できるような仕組みとなっている。熱媒体としては、例えば、水やシ
リコンオイルなどを用いることができる。なお、ここでは冷媒ガスや、液体の冷媒を流す
チューブを用いた例を示したが、冷却する手段として、ペルチェ素子などを第2の基板支
持手段805に設けてもよい。また、冷却する手段ではなく、加熱する手段を設けてもよ
い。例えば、加熱するための熱媒体をチューブ811に流してもよい。
【0121】
異なる材料層を積層する場合に、図6(B)の成膜装置は有用である。例えば、第2の
基板に既に第1のEL層が設けられている場合、その上に第1のEL層よりも蒸着温度が
高い蒸着材料からなる第2のEL層を積層することができる。図6(A)においては、第
2の基板と第1の基板が近接するため、第2の基板に予め成膜されている第1のEL層が
、昇華してしまう恐れがある。そこで、図6(B)の成膜装置とすると、冷却機構によっ
て第2の基板に予め成膜されている第1のEL層の昇華を抑えつつ、第2のEL層を積層
することができる。
【0122】
また、冷却機構だけでなく、第2の基板支持手段805にヒーターなどの加熱手段を設
けてもよい。第2の基板の温度を調節する機構(加熱または冷却)を設けることで、基板
の反りなどを抑えることができる。
【0123】
なお、図6(A)および(B)には、被成膜基板の成膜面が下方となるフェイスダウン
方式の成膜装置の例を示したが、図7(A)に示すようにフェイスアップ方式の成膜装置
を適用することもできる。
【0124】
図7(A)において、成膜室901は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁902
、及び第2のゲート弁903によって他の処理室と連結している。また、成膜室901内
には、第2の基板支持手段905である被成膜基板支持機構と、第1の基板支持手段90
4である基板支持機構と、光源910を少なくとも有している。
【0125】
成膜の手順は、まず、他の成膜室において、上記実施の形態で示した構成で、反射層、
光吸収層及び断熱層を形成した第1の基板907上に材料層908を形成する。本実施の
形態において、支持基板である第1の基板907は図1に示した第1の基板101に相当
する。なお、図示していないが、第1の基板907と、材料層908との間には、上記実
施の形態で示した構成で、反射層、光吸収層及び断熱層が形成されている。第1の基板9
07としては、被成膜基板と面積が同じ、若しくはそれより大きい面積を有していれば特
に形状は限定されない。また、材料層908は材料層109に相当し、蒸着可能であり、
蒸着温度の異なる複数の材料を含有する。材料層908の形成方法は乾式法や湿式法を用
いることができ、特に湿式法であることが好ましい。例えば、スピンコート法、印刷法、
またはインクジェット法などを用いることができる。
【0126】
次いで、他の成膜室から第1の基板907を成膜室901に搬送し、基板支持機構にセ
ットする。また、第1の基板907における材料層908の形成されている面と、第2の
基板909の被成膜面とが、対向するように被成膜基板支持機構に第2の基板を固定する
。また、図7(A)に示すように、この構成は、基板の成膜面が上方となるからフェイス
アップ方式の例を示している。フェイスアップ方式の場合、撓みやすい大面積のガラス基
板をフラットな台に載せる、或いは複数のピンで支持することで基板のたわみをなくし、
基板全面において均一な膜厚が得られる成膜装置とすることができる。
【0127】
第2の基板支持手段905を移動させて、第1の基板907と第2の基板909を近づ
けて距離dとする。なお、距離dは、第1の基板907に形成された材料層908の表面
と、第2の基板909の表面との距離で定義する。また、第2の基板909上に何らかの
層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成されてい
る場合、距離dは、第1の基板907の材料層908の表面と、第2の基板909上に形
成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板909或いは第2の基板90
9に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板907上の材料層
908の表面と、第2の基板909或いは第2の基板909上に形成された層の最表面と
の間の最も短い距離で定義する。また、基板支持機構を固定し、被成膜基板支持機構を移
動させる例を示したが、基板支持機構を移動させ、被成膜基板支持機構を固定する構成と
してもよい。また、基板支持機構と被成膜基板支持機構の両方を移動させて距離dを調節
しても良い。
【0128】
図7(A)に示すように基板距離dを保持した状態で、光源910から支持基板に光を
照射する。なお、均一な加熱が行われるように、光源910と支持基板は広い面積で対向
することが好ましい。
【0129】
光源910から光を支持基板に照射することにより、短時間に支持基板上の材料層90
8を加熱して昇華させ、対向して配置された第2の基板909の被成膜面(即ち、上面)
に蒸着材料が成膜される。このようにすることで、従来の大容量のチャンバーである蒸着
装置に比べチャンバー容量を大幅に小さい小型の成膜装置を実現できる。
【0130】
また、光源は特に限定されず、短時間に均一な加熱を行える加熱手段であればよい。例
えば、レーザやランプを用いればよい。図7(A)に示す例では、光源910では第2の
基板の上方に固定して設けられており、光源910が点灯した直後に第2の基板909の
上面に成膜が行われる。
【0131】
なお、図6(A)乃至(B)及び図7(A)は基板横置き方式の成膜装置の例を示した
が、図7(B)に示すように基板縦置き方式の成膜装置を適用することもできる。
【0132】
図7(B)において、成膜室951は、真空チャンバーである。また、成膜室951内
には、第1の基板支持手段954である基板支持機構と、第2の基板支持手段955であ
る被成膜基板支持機構と、光源960と、を少なくとも有している。
【0133】
成膜室951は、図示しないが、被成膜基板が縦置きで搬送される第1の搬送室と連結
している。また、図示しないが、支持基板が縦置きで搬送される第2の搬送室と連結して
いる。また、本明細書では、基板面が水平面に対して垂直に近い角度(70度乃至110
度の範囲)にすることを基板の縦置きと呼ぶ。大面積のガラス基板などは撓みが生じやす
いため、縦置きで搬送することが好ましい。
【0134】
また、光源960は、レーザ発振装置よりもランプを用いて加熱するほうが、大面積の
ガラス基板に適している。
【0135】
成膜の手順は、まず、他の成膜室において、上記実施の形態で示した構成で、反射層、
光吸収層及び断熱層を形成した第1の基板957の光吸収層を覆うように材料層958を
形成する。なお、第1の基板957は、図1に示した第1の基板101に相当し、材料層
958は材料層109に相当する。
【0136】
次に、他の成膜室から第1の基板957を成膜室951に搬送し、基板支持機構にセッ
トする。また、第1の基板957における材料層958の形成されている面と、第2の基
板959の被成膜面とが、対向するように基板支持機構に第1の基板957を固定する。
なお、図示しないが、第1の基板957と材料層958との間には、上記実施の形態で示
した構成で、反射層、光吸収層及び断熱層が形成されている。
【0137】
次に、基板距離dを保持した状態で、光源960から光を照射して支持基板を急速に加
熱する。支持基板を急速に加熱すると、間接的な熱伝導により短時間に支持基板上の材料
層958を加熱して昇華させ、対向して配置された被成膜基板である第2の基板959の
被成膜面に蒸着材料が成膜される。このようにすることで、従来の大容量のチャンバーで
ある蒸着装置に比べチャンバー容量を大幅に小さい小型の成膜装置を実現できる。
【0138】
また、本実施の形態に示した成膜装置を複数設け、マルチチャンバー型の製造装置にす
ることができる。勿論、他の成膜方法の成膜装置との組み合わせも可能である。また、本
実施の形態に示した成膜装置を直列に複数並べて、インライン型の製造装置にすることも
できる。
【0139】
このような成膜装置を用い、本発明に係る発光装置を作製することが可能である。本発
明は、蒸着源を湿式法で容易に準備できる。また、蒸着源をそのまま蒸着すればよいため
、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、スループットの向上
を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置
のメンテナンスを簡便にすることができる。
【0140】
また、本発明を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することがで
き、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、本発明を適用することで
、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細な
パターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を
適用することにより、光源として、レーザ発振装置だけでなく、安価ではあるが熱量の大
きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減する
ことができる。
【0141】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0142】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明に係る発光装置の作製を可能とする成膜装置の例について説
明する。
【0143】
図8はレーザを用いた成膜装置の一例を示す斜視図である。射出されるレーザ光はレー
ザ発振装置1103(YAGレーザ装置、エキシマレーザ装置など)から出力され、ビー
ム形状を矩形状とするための第1の光学系1104と、整形するための第2の光学系11
05と、平行光線にするための第3の光学系1106とを通過し、反射ミラー1107で
光路が蒸着用基板1110に対して垂直となる方向に曲げられる。その後、蒸着用基板に
レーザビームを照射する。
【0144】
開口部を有する反射層1111は、レーザ光が照射されても耐えうる材料を用いる。
【0145】
また、蒸着用基板に照射されるレーザスポットの形状は、矩形状または線状とすること
が好ましく、具体的には、短辺が1mm〜5mm、且つ長辺が10mm〜50mmの矩形
状とすればよい。また、大面積基板を用いる場合には、処理時間を短縮するため、レーザ
スポットの長辺を20cm〜100cmとすることが好ましい。また、図8に示すレーザ
発振装置及び光学系を複数設置して大面積の基板を短時間に処理してもよい。具体的には
、複数のレーザ発振装置からレーザビームをそれぞれ照射して基板1枚における処理面積
を分担してもよい。
【0146】
なお、図8は一例であり、レーザ光の光路に配置する各光学系や電気光学素子の位置関
係は特に限定されない。例えば、レーザ発振装置1103を蒸着用基板1110の上方に
配置し、レーザ発振装置1103から射出するレーザ光が蒸着用基板1110の主平面に
垂直な方向となるように配置すれば、反射ミラーを用いずともよい。また、光学系は、集
光レンズ、ビームエキスパンダ、ホモジナイザ、または偏光子などを用いればよく、これ
らを組み合わせてもよい。また、光学系としてスリットを組み合わせてもよい。
【0147】
被照射面上でレーザビームの照射領域を2次元的に、適宜、走査させることによって、
基板の広い面積に照射を行う。走査するために、レーザビームの照射領域と基板とを相対
的に移動させる。ここでは、基板を保持している基板ステージ1109をXY方向に移動
させる移動手段(図示しない)で走査を行う。
【0148】
また、制御装置1117は、基板ステージ1109をXY方向に移動させる移動手段も
制御できるように連動させることが好ましい。さらに、制御装置1117は、レーザ発振
装置1103も制御できるように連動させることが好ましい。さらに、制御装置1117
は、位置マーカを認識するための撮像素子1108を有する位置アライメント機構と連動
させることが好ましい。
【0149】
位置アライメント機構は、蒸着用基板1110と、被成膜基板1100の位置合わせを
行う。
【0150】
また、レーザビームが照射される蒸着用基板1110としては、上記実施の形態1で示
した蒸着用基板を用いる。蒸着用基板1110には、反射層1111、断熱層1115、
光吸収層1114、材料層1116が順に積層されており、これらが積層された面が被成
膜基板1100と対向するように配置されている。光吸収層1114は、耐熱性金属を用
いることが好ましく、例えばタングステンやタンタルなどを用いる。
【0151】
また、蒸着用基板1110と被成膜基板1100との距離dを、0mm以上2mm以下
、好ましくは0mm以上0.05mm以下、さらに好ましくは0mm以上0.03mm以
下となるように近づけて対向させる。また、被成膜基板1100に隔壁となる絶縁物が設
けられている場合には、絶縁物と材料層1116を接触させて配置してもよい。
【0152】
図8に示す製造装置を用いて成膜を行う場合には、少なくとも蒸着用基板1110と被
成膜基板1100を真空チャンバー内に配置する。また、図8に示す構成を全て真空チャ
ンバー内に設置してもよい。
【0153】
また、図8に示す製造装置は、被成膜基板1100の成膜面が上を向いた、所謂フェイス
アップ方式の成膜装置の例を示しているが、フェイスダウン方式の成膜装置とすることも
できる。また、被成膜基板1100が大面積基板である場合、基板の自重により基板の中
心が撓んでしまうことを抑えるために、被成膜基板1100の主平面を水平面に対して垂
直に立てる、所謂縦置き方式の装置とすることもできる。
【0154】
また、被成膜基板1100を冷却する冷却手段をさらに設けることで、プラスチック基板
などの可撓性基板を被成膜基板1100に用いることができる。
【0155】
また、本実施の形態に示した成膜装置を複数設け、マルチチャンバー型の製造装置にする
ことができる。勿論、他の成膜方法の成膜装置との組み合わせも可能である。また、本実
施の形態に示した成膜装置を直列に複数並べて、インライン型の製造装置にすることもで
きる。
【0156】
このような成膜装置を用い、本発明に係る発光装置を作製することが可能である。本発
明は、蒸着源を湿式法で容易に準備できる。また、蒸着源をそのまま蒸着すればよいため
、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、スループットの向上
を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも防止でき、成膜装置
のメンテナンスを簡便にすることができる。
【0157】
また、本発明を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することがで
き、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、本発明を適用することで
、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細な
パターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。
【0158】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0159】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明を適用して、発光素子および発光装置を作製する方法につい
て説明する。
【0160】
例えば、図9(A)、(B)に示す発光素子を作製することができる。図9(A)に示
す発光素子は、基板300上に第1の電極層302、発光層304として機能するEL層
308、第2の電極層306が順に積層して設けられている。第1の電極層302及び第
2の電極層306のいずれか一方は陽極として機能し、他方は陰極として機能する。陽極
から注入される正孔及び陰極から注入される電子が発光層304で再結合して、発光を得
ることができる。本実施の形態において、第1の電極層302は陽極として機能する電極
であり、第2の電極層306は陰極として機能する電極であるとする。
【0161】
また、図9(B)に示す発光素子は、上述の図9(A)に示す構成に加えて、正孔注入
層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層が設けられている。正孔輸送層は、陽極と発
光層の間に設けられる。また、正孔注入層は陽極と発光層との間、或いは陽極と正孔輸送
層との間に設けられる。一方、電子輸送層は、陰極と発光層との間に設けられ、電子注入
層は陰極と発光層との間、或いは陰極と電子輸送層との間に設けられる。なお、正孔注入
層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層は全ての層を設ける必要はなく、適宜求める
機能等に応じて選択して設ければよい。図9(B)では、基板300上に、陽極として機
能する第1の電極層302、正孔注入層322、正孔輸送層324、発光層304、電子
輸送層326、電子注入層328、及び陰極として機能する第2の電極層306が順に積
層して設けられているものとする。
【0162】
基板300は、絶縁表面を有する基板または絶縁基板を適用する。具体的には、アルミ
ノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスのような電
子工業用に使われる各種ガラス基板、石英基板、セラミック基板又はサファイヤ基板等を
用いることができる。
【0163】
第1の電極層302又は第2の電極層306は、様々な金属、合金、電気伝導性化合物
、およびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、酸化インジウム−酸化スズ
(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化
インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO:Indium Zinc
Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZO)等
が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル
−ゲル法などを応用して作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZ
O)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いてス
パッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含
有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.5
〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング法
により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、
タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(C
o)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン
)等が挙げられる。また、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、アルミニウムを含む合金
(例えばAlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の小さい材料である、元素
周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs
)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウ
ム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(例えばアルミニウム、マグ
ネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムの合金)、ユーロピウム(Eu)、イッ
テルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等を用いることもできる。ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成する
ことができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング
法により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などによ
り成膜することも可能である。また、第1の電極層302および第2の電極層306は、
単層膜に限らず、積層膜で形成することもできる。
【0164】
なお、発光層304で発光する光を外部に取り出すため、第1の電極層302又は第2
の電極層306のいずれか一方或いは両方を、発光層における発光を通過させるように形
成する。例えば、インジウム錫酸化物等の透光性を有する導電材料を用いて形成するか、
或いは、銀、アルミニウム等を数nm乃至数十nmの厚さとなるように形成する。また、
膜厚を薄くした銀、アルミニウムなどの金属薄膜と、ITO膜等の透光性を有する導電材
料を用いた薄膜との積層構造とすることもできる。なお、第1の電極層302又は第2の
電極層306は、種々の方法を用いて形成すればよい。
【0165】
本実施の形態において、発光層304、正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸
送層326又は電子注入層328は、上記実施の形態1で示した成膜方法を適用して形成
することができる。
【0166】
例えば、図9(A)に示す発光素子を形成する場合、開口部を有する反射層と、反射層
上に設けられた光吸収層と、光吸収層を介して反射層上に設けられた断熱層と、発光層を
形成する蒸着源となる材料層とを有する蒸着用基板を、第1の電極層302を設けた基板
300に近接させて配置する。光を照射することにより、蒸着用基板に形成された材料層
を加熱して昇華させ、基板300上に発光層304を形成する。そして、発光層304上
に第2の電極層306を形成する。
【0167】
発光層304としては種々の材料を用いることができる。例えば、蛍光を発光する蛍光
性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0168】
発光層に用いることのできる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として
、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム
(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4
’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリ
ナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニ
ル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF
ppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−
N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))
などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−
N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピ
リジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pp
y)(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジ
ウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(
ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(b
zq)(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,
4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルア
セトナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロ
フェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:I
r(p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C
2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac)
)などが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト
−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキ
ノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq
(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2
’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)ア
セチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソ
キノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(p
iq)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフ
ェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac
))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポル
フィリン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリ
ス(アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb
(acac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナ
ト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Ph
en))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モ
ノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))
等の希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であ
るため、燐光性化合物として用いることができる。
【0169】
発光層に用いることのできる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として
、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフ
ェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾー
ル−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称
:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(
略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2
−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PC
ABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリ
フェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス
(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニ
ル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1
’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]
−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−ト
リフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また
、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イ
ル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色
系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセ
ン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N
’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン
−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0170】
また、発光層304として、発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト
材料)に分散させた構成を用いることもできる。発光性の高い物質(ドーパント材料)を
他の物質(ホスト材料)に分散させた構成を用いることにより、発光層の結晶化を抑制す
ることができる。また、発光性の高い物質の濃度が高いことによる濃度消光を抑制するこ
とができる。
【0171】
発光性の高い物質を分散させる物質としては、発光性の高い物質が蛍光性化合物の場合
には、蛍光性化合物よりも一重項励起エネルギー(基底状態と一重項励起状態とのエネル
ギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。また、発光性の高い物質が燐光性化合物
の場合には、燐光性化合物よりも三重項励起エネルギー(基底状態と三重項励起状態との
エネルギー差)が大きい物質を用いることが好ましい。
【0172】
発光層に用いるホスト材料としては、例えば4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−
N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミ
ニウム(III)(略称:Alq)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレ
ン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、ビス(2
−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略
称:BAlq)などの他、4,4’−ジ(9−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP
)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−B
uDNA)、9−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−10−フェニルアントラセン
(略称:CzPA)などが挙げられる。
【0173】
また、ドーパント材料としては、上述した燐光性化合物や蛍光性化合物を用いることが
できる。
【0174】
発光層として、発光性の高い物質(ドーパント材料)を他の物質(ホスト材料)に分散
させた構成を用いる場合には、蒸着源となる材料層として、ホスト材料とゲスト材料とを
混合した層を形成すればよい。または、蒸着源となる材料層として、ホスト材料を含む層
とドーパント材料を含む層とが積層した構成としてもよい。このような構成の蒸着源を用
いて発光層を形成することにより、発光層304は発光材料を分散させる物質(ホスト材
料)と発光性の高い物質(ドーパント材料)とを含み、発光材料を分散させる物質(ホス
ト材料)に発光性の高い物質(ドーパント材料)が分散された構成となる。なお、発光層
として、2種類以上のホスト材料とドーパント材料を用いてもよいし、2種類以上のドー
パント材料とホスト材料を用いてもよい。また、2種類以上のホスト材料及び2種類以上
のドーパント材料を用いてもよい。
【0175】
また、図9(B)に示す各種機能層が積層した発光素子を形成する場合は、反射層、光
吸収層及び断熱層を有する支持基板上に材料層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近
接させて配置し、支持基板上に形成された材料層を加熱して昇華させ、被成膜基板上に機
能層を形成する手順を繰り返せばよい。例えば、支持基板上に正孔注入層を形成する蒸着
源となる材料層を形成し、当該支持基板を被成膜基板に近接させて配置した後、支持基板
上に形成された材料層を加熱して昇華させ、被成膜基板上に正孔注入層322を形成する
。被成膜基板はここでは基板300であり、予め第1の電極層302が設けられている。
続けて、支持基板上に正孔輸送層を形成する蒸着源となる材料層を形成し、当該支持基板
を被成膜基板に近接させて配置した後、支持基板上に形成された材料層を加熱して昇華さ
せ、被成膜基板上の正孔注入層322上に正孔輸送層324を形成する。この後、同様に
発光層304、電子輸送層326、電子注入層328を順に積層して形成した後、第2の
電極層306を形成する。
【0176】
正孔注入層322、正孔輸送層324、電子輸送層326又は電子注入層328は、種
々のEL材料を用いて形成すればよい。各層を形成する材料は1種類としてもよいし、複
数種類の複合材料としてもよい。複合材料を用いて形成する場合は、上述したように、複
数の蒸着材料を含む材料層を形成すればよい。または、蒸着材料を含む複数の層を積層し
て材料層を形成すればよい。1種類の材料を用いて形成する場合も、上記実施の形態1で
示した成膜方法を適用することができる。また、正孔注入層322、正孔輸送層324、
電子輸送層326又は電子注入層328は、それぞれ単層構造としてもよいし、積層構造
としてもよい。例えば、正孔輸送層324を、第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層か
らなる積層構造としてもよい。また、電極層についても実施の形態1で示した成膜方法を
適用することができる。
【0177】
例えば、正孔注入層322としては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウ
ム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタ
ロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニ
ン系の化合物、或いはポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンス
ルホン酸)(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層を形成することが
できる。
【0178】
また、正孔注入層322として、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質を含む
層を用いることができる。正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、
キャリア密度が高く、正孔注入性に優れている。また、正孔輸送性の高い物質と電子受容
性を示す物質とを含む層を、陽極として機能する電極に接する正孔注入層として用いるこ
とにより、陽極として機能する電極材料の仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金
、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることができる。
【0179】
正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質を含む層は、例えば、正孔輸送性の高い
物質を含む層と電子受容性を示す物質を含む層を積層したものを蒸着源として用いること
により形成することができる。
【0180】
正孔注入層に用いる電子受容性を示す物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−
2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等
を挙げることができる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また元素周期表に
おける第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化
バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステ
ン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モ
リブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0181】
正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾー
ル誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)な
ど、種々の化合物を用いることができる。なお、正孔注入層に用いる正孔輸送性の高い物
質としては、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい
。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい
。以下では、正孔注入層に用いることのできる正孔の輸送性の高い物質を具体的に列挙す
る。
【0182】
例えば、正孔注入層に用いることのできる芳香族アミン化合物としては、例えば、4,
4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)
やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェ
ニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジ
フェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス
[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MT
DATA)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N
―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)等を用いることができる。また、N,
N’−ビス(4−メチルフェニル)(p−トリル)−N,N’−ジフェニル−p−フェニ
レンジアミン(略称:DTDPPA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフ
ェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−
{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェ
ニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェ
ニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)等を挙げる
ことができる。
【0183】
正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、具体的には、3−[N
−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカル
バゾール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−
3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2
)、3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ
]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等を挙げることができる。
【0184】
また、正孔注入層に用いることのできるカルバゾール誘導体としては、4,4’−ジ(
N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3,5−トリス[4−(N−カル
バゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−[4−(10−フェニル−9−
アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、1,4−ビス[4−
(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼン等を用いる
ことができる。
【0185】
また、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素としては、例えば、2−ter
t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2
−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3
,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−
9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,
10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアント
ラセン(略称:DPAnth)、2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuA
nth)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA
)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アント
ラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,
7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テト
ラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10
,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフ
ェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペン
タフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレ
ン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン等が挙げられる
。また、この他、ペンタセン、コロネン等も用いることができる。このように、1×10
−6cm/Vs以上の正孔移動度を有し、炭素数14〜42である芳香族炭化水素を用
いることがより好ましい。
【0186】
なお、正孔注入層に用いることのできる芳香族炭化水素は、ビニル骨格を有していても
よい。ビニル基を有している芳香族炭化水素としては、例えば、4,4’−ビス(2,2
−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2
−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等が挙げられる。
【0187】
これら正孔輸送性の高い物質を含む層と、電子受容性を示す物質を含む層を積層した蒸
着源を用いることで、正孔注入層を形成することができる。電子受容性を示す物質として
金属酸化物を用いた場合には、第1の基板上に正孔輸送性の高い物質を含む層を形成した
後、金属酸化物を含む層を形成することが好ましい。金属酸化物は、正孔輸送性の高い物
質よりも分解温度または蒸着温度が高い場合が多いためである。このような構成の蒸着源
とすることにより、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物とを効率良く昇華させることがで
きる。また、蒸着して形成した膜において局所的な濃度の偏りを抑制することができる。
また、正孔輸送性の高い物質と金属酸化物の両方を溶解させるまたは分散させる溶媒は種
類が少なく、混合溶液を形成しにくい。よって、湿式法を用いて混合層を直接形成するこ
とは困難である。しかし、本発明の成膜方法を用いることにより、正孔輸送性の高い物質
と金属酸化物とを含む混合層を容易に形成することができる。
【0188】
また、正孔輸送性の高い物質と電子受容性を示す物質とを含む層は、正孔注入性だけで
なく、正孔輸送性も優れているため、上述した正孔注入層を正孔輸送層として用いてもよ
い。
【0189】
また、正孔輸送層324は、正孔輸送性の高い物質を含む層であり、正孔輸送性の高い
物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]
ビフェニル(略称:NPBまたはα−NPD)やN,N’−ビス(3−メチルフェニル)
−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TP
D)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略
称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェ
ニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(スピ
ロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:B
SPB)などの芳香族アミン化合物等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に
10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸
送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物
質を含む層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとし
てもよい。
【0190】
電子輸送層326は、電子輸送性の高い物質を含む層であり、例えば、トリス(8−キ
ノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)
アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)
ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニ
ルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリ
ン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。また、この他ビス[2−(2−ヒドロ
キシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2
−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキ
サゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体なども用いることができる。さらに、
金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)
−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−ter
t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:O
XD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフ
ェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)バソフェナントロリン(略称
:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)なども用いることができる。ここに
述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、
正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電子輸送層として用いて
も構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物質からなる層が二層以
上積層したものとしてもよい。
【0191】
また、電子注入層328としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(Cs
F)、フッ化カルシウム(CaF)等のようなアルカリ金属化合物、又はアルカリ土類
金属化合物を用いることができる。さらに、電子輸送性を有する物質とアルカリ金属又は
アルカリ土類金属が組み合わされた層も使用できる。例えばAlq中にマグネシウム(M
g)を含有させたものを用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を有
する物質とアルカリ金属又はアルカリ土類金属を組み合わせた層を用いることは、第2の
電極層306からの電子注入が効率良く起こるためより好ましい。
【0192】
なお、EL層308は、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物
質または正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポ
ーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、発光層とを適宜組み合
わせて構成すればよい。
【0193】
発光は、第1の電極層302または第2の電極層306のいずれか一方または両方を通
って外部に取り出される。従って、第1の電極層302または第2の電極層306のいず
れか一方または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極層302のみが透光性を
有する電極である場合、光は第1の電極層302を通って基板300側から取り出される
。また、第2の電極層306のみが透光性を有する電極である場合、光は第2の電極層3
06を通って基板300と逆側から取り出される。第1の電極層302および第2の電極
層306がいずれも透光性を有する電極である場合、光は第1の電極層302および第2
の電極層306を通って、基板300側および基板300側と逆側の両方から取り出され
る。
【0194】
なお、図9では、陽極として機能する第1の電極層302を基板300側に設けた構成
について示したが、図10(A)に示すように、基板300上に、陰極として機能する第
2の電極層306、EL層308、陽極として機能する第1の電極層302とが順に積層
された構成としてもよい。また、図10(B)に示すように、基板300上に、陰極とし
て機能する第2の電極層306、電子注入層328、電子輸送層326、発光層304、
正孔輸送層324、正孔注入層322、陽極として機能する第1の電極層302とが順に
積層された構成としても良い。
【0195】
また、EL層の形成方法としては、実施の形態1又は2で示した成膜方法を用いていれ
ばよく、他の成膜方法と組み合わせてもよい。また、各電極または各層ごとに異なる成膜
方法を用いて形成しても構わない。乾式法としては、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、ス
パッタリング法などが挙げられる。また、湿式法としては、インクジェット法またはスピ
ンコート法などが挙げられる。
【0196】
以上で、発光素子を作製することができる。本実施の形態に係る発光素子は、本発明を
適用することで、発光層をはじめとする各種機能層を容易に形成することができる。そし
て、このような発光素子を適用して、発光装置を作製することができる。例えば、本発明
を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の例を図11、図12、及び図13
を用いて説明する。
【0197】
パッシブマトリクス型(単純マトリクス型ともいう)発光装置は、ストライプ状(帯状
)に並列された複数の陽極と、ストライプ状に並列された複数の陰極とが互いに直交する
ように設けられており、その交差部に発光層が挟まれた構造となっている。従って、選択
された(電圧が印加された)陽極と選択された陰極との交点にあたる画素が点灯すること
になる。
【0198】
図11(A)は、封止前における画素部の上面図を示す図であり、図11(A)中の鎖
線A−A’で切断した断面図が図11(B)であり、鎖線B−B’で切断した断面図が図
11(C)である。
【0199】
基板1501上には、下地絶縁層として絶縁層1504を形成する。なお、下地絶縁層
が必要でなければ特に形成しなくともよい。絶縁層1504上には、ストライプ状に複数
の第1の電極層1513が等間隔で配置されている。また、第1の電極層1513上には
、各画素に対応する開口部を有する隔壁1514が設けられ、開口部を有する隔壁151
4は絶縁材料(感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、
ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはSOG膜(例えば、ア
ルキル基を含む酸化珪素膜))で構成されている。なお、各画素に対応する開口部が発光
領域1521となる。
【0200】
開口部を有する隔壁1514上に、第1の電極層1513と交差する互いに平行な複数
の逆テーパ状の隔壁1522が設けられる。逆テーパ状の隔壁1522はフォトリソグラ
フィ法に従い、未露光部分がパターンとして残るポジ型感光性樹脂を用い、パターンの下
部がより多くエッチングされるように露光量または現像時間を調節することによって形成
する。
【0201】
また、平行な複数の逆テーパ状の隔壁1522を形成した直後における斜視図を図12
に示す。なお、図11と同一の部分には同一の符号を用いている。
【0202】
開口部を有する隔壁1514及び逆テーパ状の隔壁1522を合わせた高さは、発光層
を含むEL層及び第2の電極層となる導電層の膜厚より大きくなるように設定する。図1
2に示す構成を有する基板に対して発光層を含むEL層と、導電層とを積層形成すると、
図11に示すように複数の領域に分離された、発光層を含むEL層1515R、EL層1
515G、EL層1515Bと、第2の電極層1516とが形成される。なお、複数に分
離された領域は、それぞれ電気的に独立している。第2の電極層1516は、第1の電極
層1513と交差する方向に伸長する互いに平行なストライプ状の電極である。なお、逆
テーパ状の隔壁1522上にも発光層を含むEL層及び導電層が形成されるが、発光層を
含むEL層1515R、1515G、1515B及び第2の電極層1516とは分断され
ている。なお、本実施の形態において、EL層とは少なくとも発光層を含む層であって、
該発光層の他に正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、又は電子注入層等を含んでいても
よい。
【0203】
ここでは、発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bを選択的に形成し
、3種類(R、G、B)の発光が得られるフルカラー表示可能な発光装置を形成する例を
示している。発光層を含むEL層1515R、1515G、1515Bはそれぞれ互いに
平行なストライプパターンで形成されている。これらのEL層を形成するには、上記実施
の形態1および実施の形態2に示す成膜方法を適用すればよい。例えば、赤色の発光が得
られる発光層の蒸着源を形成した第1の支持基板、緑色の発光が得られる発光層の蒸着源
を形成した第2の支持基板、青色の発光が得られる発光層の蒸着源を形成した第3の支持
基板をそれぞれ準備する。また、被成膜基板として第1の電極層1513が設けられた基
板を準備する。そして、第1支持基板、第2支持基板、又は第3支持基板を、被成膜基板
と適宜対向して配置し、支持基板に形成された蒸着源を加熱して昇華させ、被成膜基板に
発光層を含むEL層を形成する。
【0204】
また、必要であれば、封止缶や封止のためのガラス基板などの封止材を用いて封止する
。ここでは、封止基板としてガラス基板を用い、シール材などの接着材を用いて基板と封
止基板とを貼り合わせ、シール材などの接着材で囲まれた空間を密閉なものとしている。
密閉された空間には、充填材や、乾燥した不活性ガスを充填する。また、発光装置の信頼
性を向上させるために、基板と封止材との間に乾燥材などを封入してもよい。乾燥材によ
って微量な水分が除去され、十分乾燥される。また、乾燥材としては、酸化カルシウムや
酸化バリウムなどのようなアルカリ土類金属の酸化物のような化学吸着によって水分を吸
収する物質を用いることが可能である。なお、他の乾燥材として、ゼオライトやシリカゲ
ル等の物理吸着によって水分を吸着する物質を用いてもよい。
【0205】
ただし、発光素子を覆って接する封止材が設けられ、十分に外気と遮断されている場合
には、乾燥材は、特に設けなくともよい。
【0206】
次いで、FPCなどを実装した発光モジュールの上面図を図13に示す。
【0207】
なお、本明細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは
光源(照明装置含む)を指す。また、発光装置にコネクター、例えばFPC(Flexi
ble printed circuit)もしくはTAB(Tape Automat
ed Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Packa
ge)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設け
られたモジュール、または発光素子が形成された基板にCOG(Chip On Gla
ss)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むも
のとする。
【0208】
図13に示すように画像表示を構成する画素部は、走査線群とデータ線群が互いに直交
するように交差している。
【0209】
図11における第1の電極層1513が図13の走査線1603に相当し、第2の電極
層1516がデータ線1602に相当し、逆テーパ状の隔壁1522が隔壁1604に相
当し、基板1501が基板1601に相当する。データ線1602と走査線1603の間
には発光層を含むEL層が挟まれており、領域1605で示される交差部が画素1つ分と
なる。
【0210】
なお、走査線1603は配線端で接続配線1608と電気的に接続され、接続配線16
08が入力端子1607を介してFPC1609bに接続される。また、データ線は入力
端子1606を介してFPC1609aに接続される。
【0211】
また、必要であれば、射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板
(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また
、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を
拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0212】
以上でパッシブマトリクス型の発光装置を作製できる。本発明を適用することで、発光
素子を構成するEL層を容易に形成することができ、当該発光素子を有する発光装置の製
造も簡便になる。また、ホスト材料にドーパント材料が分散された発光層を形成する場合
、共蒸着を適用する場合と比べ複雑な制御を必要としない。さらに、ドーパント材料の添
加量等も制御し易いため、容易に精度良く成膜でき、所望の発光色も得られやすくなる。
また、蒸着材料の利用効率も向上させることができるため、コスト削減を図ることもでき
る。
【0213】
また、本発明を適用することで、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の
製造も簡便となる。また、微細なパターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得
ることができる。また、本発明を適用することにより、光源として、レーザ発振装置だけ
でなく、安価ではあるが熱量の大きなランプヒーター等を用いることができる。よって、
発光装置の作製コストを削減することができる。
【0214】
また、図13では、駆動回路を基板上に設けていない例を示したが、本発明は特に限定
されず、基板に駆動回路を有するICチップを実装させてもよい。
【0215】
ICチップを実装させる場合、画素部の周辺(外側)の領域に、画素部へ各信号を伝送
する駆動回路が形成されたデータ線側IC、走査線側ICをCOG方式によりそれぞれ実
装する。COG方式以外の実装技術としてTCPやワイヤボンディング方式を用いて実装
してもよい。TCPはTABテープにICを実装したものであり、TABテープを素子形
成基板上の配線に接続してICを実装する。データ線側IC、および走査線側ICは、シ
リコン基板を用いたものであってもよいし、ガラス基板、石英基板もしくはプラスチック
基板上にTFTで駆動回路を形成したものであってもよい。また、片側に一つのICを設
けた例を説明しているが、片側に複数個に分割して設けても構わない。
【0216】
次に、本発明を適用して作製したアクティブマトリクス型の発光装置の例について、図
14を用いて説明する。なお、図14(A)は発光装置を示す上面図であり、図14(B
)は図14(A)を鎖線A−A’で切断した断面図である。本実施の形態に係るアクティ
ブマトリクス型の発光装置は、素子基板1710上に設けられた画素部1702と、駆動
回路部(ソース側駆動回路)1701と、駆動回路部(ゲート側駆動回路)1703と、
を有する。画素部1702、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703は、シール材
1705によって、素子基板1710と封止基板1704との間に封止されている。
【0217】
また、素子基板1710上には、駆動回路部1701、及び駆動回路部1703に外部
からの信号(例えば、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、又はリセット信号等)
や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線1708が設けられる。こ
こでは、外部入力端子としてFPC(フレキシブルプリントサーキット)1709を設け
る例を示している。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリ
ント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、
発光装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むも
のとする。
【0218】
次に、断面構造について図14(B)を用いて説明する。素子基板1710上には駆動
回路部及び画素部が形成されているが、ここでは、ソース側駆動回路である駆動回路部1
701と、画素部1702が示されている。
【0219】
駆動回路部1701はnチャネル型TFT1723とpチャネル型TFT1724とを
組み合わせたCMOS回路が形成される例を示している。なお、駆動回路部を形成する回
路は、種々のCMOS回路、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また
、本実施の形態では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示すが、必ずしも
その必要はなく、基板上ではなく外部に駆動回路を形成することもできる。
【0220】
また、画素部1702はスイッチング用TFT1711と、電流制御用TFT1712
と当該電流制御用TFT1712の配線(ソース電極又はドレイン電極)に電気的に接続
された第1の電極層1713とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極層
1713の端部を覆って絶縁物1714が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性ア
クリル樹脂を用いることにより形成する。
【0221】
また、上層に積層形成される膜の被覆性を良好なものとするため、絶縁物1714の上
端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。例えば、絶
縁物1714の材料としてポジ型の感光性アクリル樹脂を用いた場合、絶縁物1714の
上端部に曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また
、絶縁物1714として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或
いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができ、有機
化合物に限らず無機化合物、例えば、酸化珪素、酸化窒化珪素等、の両者を使用すること
ができる。
【0222】
第1の電極層1713上には、発光層を含むEL層1700及び第2の電極層1716
が積層形成されている。第1の電極層1713は上述の第1の電極層302に相当し、第
2の電極層1716は第2の電極層306に相当する。なお、第1の電極層1713をI
TO膜とし、第1の電極層1713と接続する電流制御用TFT1712の配線として窒
化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層膜、或いは窒化チタン膜、アルミニ
ウムを主成分とする膜、窒化チタン膜との積層膜を適用すると、配線としての抵抗も低く
、ITO膜との良好なオーミックコンタクトがとれる。なお、ここでは図示しないが、第
2の電極層1716は外部入力端子であるFPC1709に電気的に接続されている。
【0223】
EL層1700は、少なくとも発光層が設けられており、発光層の他に正孔注入層、正
孔輸送層、電子輸送層又は電子注入層を適宜設ける構成とする。第1の電極層1713、
EL層1700及び第2の電極層1716との積層構造で、発光素子1715が形成され
ている。
【0224】
また、図14(B)に示す断面図では発光素子1715を1つのみ図示しているが、画
素部1702において、複数の発光素子がマトリクス状に配置されているものとする。画
素部1702には、3種類(R、G、B)の発光が得られる発光素子をそれぞれ選択的に
形成し、フルカラー表示可能な発光装置を形成することができる。また、カラーフィルタ
と組み合わせることによってフルカラー表示可能な発光装置としてもよい。
【0225】
さらにシール材1705で封止基板1704を素子基板1710と貼り合わせることに
より、素子基板1710、封止基板1704、およびシール材1705で囲まれた空間1
707に発光素子1715が備えられた構造になっている。なお、空間1707には、不
活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1705で充填される構
成も含むものとする。
【0226】
なお、シール材1705にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材
料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板17
04に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−R
einforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエス
テルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0227】
以上のようにして、本発明を適用して発光装置を得ることができる。アクティブマトリ
クス型の発光装置は、TFTを作製するため、1枚あたりの製造コストが高くなりやすい
が、本発明を適用することで、発光素子を形成する際の材料のロスを大幅に削減すること
が可能である。よって、コスト削減を図ることができる。
【0228】
また、本発明を適用することで、発光素子を構成するEL層を容易に形成することがで
き、当該発光素子を有する発光装置の製造も簡便になる。また、本発明を適用することで
、発光層のパターン形成が容易となるため、発光装置の製造も簡便となる。また、微細な
パターン形成が可能となるため、高精細な発光装置を得ることができる。また、本発明を
適用することにより、光源として、レーザ発振装置だけでなく、安価ではあるが熱量の大
きなランプヒーター等を用いることができる。よって、発光装置の作製コストを削減する
ことができる。
【0229】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【0230】
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明を適用して作製した発光装置を用いて完成させた様々な電子
機器について、図15、図16を用いて説明する。
【0231】
本発明に係る発光装置を適用した電子機器として、テレビジョン、ビデオカメラ等のカ
メラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビ
ゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型
コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、スマート
フォン、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的に
はデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示
装置を備えた装置)、照明器具などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図15、
図16に示す。
【0232】
図15(A)は表示装置であり、筐体8001、支持台8002、表示部8003、ス
ピーカー部8004、ビデオ入力端子8005等を含む。本発明を用いて形成される発光
装置をその表示部8003に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナ
ルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる
。本発明を適用することで、発光層を形成する際のパターン形成の精度が高くなるため、
特性の優れた発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することでスループット
を向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表
示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ
、安価な表示装置を提供することができる。
【0233】
図15(B)はコンピュータであり、本体8101、筐体8102、表示部8103、
キーボード8104、外部接続ポート8105、ポインティングデバイス8106等を含
む。本発明の蒸着用基板を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部81
03に用いることにより作製される。本発明を適用することで、発光層を形成する際のパ
ターン形成の精度が高くなるため、特性の優れた発光装置を得ることができる。また、本
発明を適用することでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を
向上させることができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、
製造コストの低減を図ることができ、安価なコンピュータを提供することができる。
【0234】
図15(C)はビデオカメラであり、本体8201、表示部8202、筐体8203、
外部接続ポート8204、リモコン受信部8205、受像部8206、バッテリー820
7、音声入力部8208、操作キー8209、接眼部8210等を含む。本発明の蒸着用
基板を用いて形成された発光素子を有する発光装置をその表示部8202に用いることに
より作製される。本発明を適用することで、発光層を形成する際のパターン形成の精度が
高くなるため、特性の優れた発光装置を得ることができる。また、本発明を適用すること
でスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させることがで
きる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を
図ることができ、安価なビデオカメラを提供することができる。
【0235】
図15(D)は卓上照明器具であり、照明部8301、傘8302、可変アーム830
3、支柱8304、台8305、電源8306を含む。本発明の蒸着用基板を用いて形成
された発光素子を有する発光装置を照明部8301に用いることにより作製される。なお
、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。本発明
を適用することで、発光層を形成する際のパターン形成の精度が高くなるため、特性の優
れた発光装置を得ることができる。また、本発明を適用することでスループットを向上で
きるため、発光装置の製造における生産性を向上させることができる。また、発光装置の
製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な
卓上照明器具を提供することができる。
【0236】
ここで、図15(E)は携帯電話であり、本体8401、筐体8402、表示部840
3、音声入力部8404、音声出力部8405、操作キー8406、外部接続ポート84
07、アンテナ8408等を含む。本発明の蒸着用基板を用いて形成された発光素子を有
する発光装置をその表示部8403に用いることにより作製される。本発明を適用するこ
とで、発光層を形成する際のパターン形成の精度が高くなるため、特性の優れた発光装置
を得ることができる。また、本発明を適用することでスループットを向上できるため、表
示装置の製造における生産性を向上させることができる。また、表示装置の製造における
材料のロスを削減できるため、製造コストの低減を図ることができ、安価な携帯電話を提
供することができる。
【0237】
また、図16は本発明を適用した携帯電話8500の構成の別の一例であり、図16(
A)が正面図、図16(B)が背面図、図16(C)が展開図である。携帯電話8500
は、電話と携帯情報端末の双方の機能を備えており、コンピュータを内蔵し、音声通話以
外にも様々なデータ処理が可能な所謂スマートフォンである。
【0238】
携帯電話8500は、筐体8501及び8502二つの筐体で構成されている。筐体8
501には、表示部8511、スピーカー8512、マイクロフォン8513、操作キー
8514、ポインティングデバイス8515、カメラ用レンズ8516、外部接続端子8
517等を備え、筐体8502には、キーボード8521、外部メモリスロット8522
、カメラ用レンズ8523、ライト8524、イヤホン端子8518等を備えている。ま
た、アンテナは筐体8501内部に内蔵されている。携帯電話8500は、本発明の蒸着
用基板を用いて形成された発光素子を有する発光装置を表示部8511に用いている。
【0239】
また、上記構成に加えて、非接触ICチップ、小型記録装置等を内蔵していてもよい。
【0240】
表示部8511には、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。表示部8511と
同一面上にカメラ用レンズ8516を備えているため、テレビ電話が可能である。また、
表示部8511をファインダーとしカメラ用レンズ8523及びライト8524で静止画
及び動画の撮影が可能である。スピーカー8512及びマイクロフォン8513は音声通
話に限らず、テレビ電話、録音、再生等が可能である。操作キー8514では、電話の発
着信、電子メール等の簡単な情報入力、画面のスクロール、カーソル移動等が可能である
。更に、重なり合った筐体8501と筐体8502(図16(A))は、スライドし図1
6(C)のように展開し、携帯情報端末として使用できる。この場合、キーボード852
1、ポインティングデバイス8515を用い円滑な操作が可能である。外部接続端子85
17はACアダプタ及びUSBケーブル等の各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパ
ーソナルコンピュータ等とのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット852
2に記録媒体を挿入しより大量のデータ保存及び移動に対応できる。
【0241】
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能等を備えたものであっても
よい。
【0242】
携帯電話8500に、本発明を適用することで、発光層を形成する際のパターン形成の
精度が高くなるため、特性の優れた発光装置を得ることができる。また、本発明を適用す
ることでスループットを向上できるため、表示装置の製造における生産性を向上させるこ
とができる。また、表示装置の製造における材料のロスを削減できるため、製造コストの
低減を図ることができ、安価な携帯電話を提供することができる。
【0243】
以上のようにして、本発明に係る発光装置を適用して電子機器や照明器具を得ることが
できる。本発明に係る発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用
することが可能である。
【0244】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができ
る。
【実施例1】
【0245】
本実施例では、本発明に係る発光装置の作製を可能とする成膜装置の一例について図1
7および図18を用いて説明する。なお、図17(A)は成膜装置の断面図、図17(B
)は成膜装置の上面図である。
【0246】
図17において、成膜室501は、真空チャンバーであり、第1のゲート弁502、及
び第2のゲート弁503によって他の処理室と連結している。また、成膜室501内には
、第1の基板支持手段である基板支持機構513と、第2の基板支持手段である被成膜基
板支持機構505と、光源としてハロゲンランプ510を有している。ハロゲンランプは
、急速加熱が可能であり、また、発光させる時間の長さを変化させることにより、第1の
基板の加熱の制御が可能である。また、急速加熱が可能であるため、ヒーターを用いた場
合の上下機構やシャッター等を簡略化できる。従って、さらなる成膜装置の小型化が図れ
る。
【0247】
まず、他の成膜室において、支持基板である第1の基板507上に材料層508を形成
する。本実施例では、第1の基板507として、チタン膜を成膜したガラス基板を用いる
。チタンは、光源であるハロゲンランプの発光波長である1100nm〜1200nm付
近の光を効率良く吸収することができるため、チタン膜上に形成した材料層508を効率
良く加熱することができる。また、材料層508としては、蒸着可能な材料を用いる。な
お、本実施例では、第1の基板として、被成膜基板と面積が同じ基板を用いる。また、本
実施例では、材料層508は、湿式法を用いて形成する。
【0248】
図17(A)において点線で示したように、他の成膜室から第1の基板507を成膜室
501に搬送し、基板支持機構にセットする。搬送する際には、可動手段515によりリ
フレクタシャッター504を開け、そこから基板支持機構513にセットする。また、第
1の基板507における材料層508の形成されている面と、被成膜基板である第2の基
板509の被成膜面とが、対向するように、第1の基板507を基板支持機構513に固
定する。
【0249】
なお、成膜室501内は、真空排気しておくことが好ましい。具体的には、真空度が5
×10−3Pa以下、好ましくは10−4Pa乃至10−6Pa程度の範囲まで真空排気
する。成膜室に連結して設けられる真空排気手段は、大気圧から1Pa程度をオイルフリ
ーのドライポンプで真空排気し、それ以上の圧力は磁気浮上型のターボ分子ポンプまたは
複合分子ポンプにより真空排気する。このようにすることで、排気手段から主に油などの
有機物による汚染を防止している。内壁面は、電解研磨により鏡面処理し、表面積を減ら
してガス放出を防いでいる。
【0250】
第2の基板509は、固定手段517により、被成膜基板支持機構505に固定される
。被成膜基板支持機構505の内部には熱媒体を流すチューブ511が設けられている。
熱媒体を流すチューブ511により、被成膜基板支持機構505は、適切な温度を保つこ
とができる。例えば、冷水を流すことにより被成膜基板を冷やしてもいいし、温水を流す
ことにより、被成膜基板を加熱してもよい。
【0251】
次に、図18に示すように、第1の基板507と第2の基板509の基板間隔が距離d
となるように近づける。なお、距離dは、第1の基板507上に形成された材料層508
の表面と、第2の基板509の表面との距離で定義する。また、第2の基板509上に何
らかの層(例えば、電極として機能する導電層や隔壁として機能する絶縁層等)が形成さ
れている場合、距離dは、第1の基板507上の材料層508の表面と、第2の基板50
9上に形成された層の表面との距離で定義する。ただし、第2の基板509或いは第2の
基板509上に形成された層の表面に凹凸を有する場合は、距離dは、第1の基板507
上の材料層508の表面と、第2の基板509或いは第2の基板509上に形成された層
の最表面との間の最も短い距離で定義する。本実施例では、距離dを0.05mmとする

【0252】
また、本実施例で示す成膜装置では、基板間隔の制御は、被成膜基板支持機構505が
上下すること、および基板支持機構513である基板リフトピンが第1の基板507を持
ち上げて上下することより行う。可動手段514により、石英で形成された基板リフトピ
ンが上下し、第1の基板507を持ち上げる。
【0253】
なお、本実施例では、待機時の光源による支持基板上の材料層508への熱の影響を緩
和するため、待機時(蒸着処理前)は光源であるハロゲンランプ510と第1の基板50
7(支持基板)との距離を50mmとしている。
【0254】
基板間隔を距離dに保持した状態で、ハロゲンランプ510により加熱処理を行う。ま
ず、予備加熱として、ランプヒーターの出力を15秒間60℃に保つ。予備加熱を行うこ
とにより、ハロゲンランプの出力が安定する。その後、加熱処理を行う。加熱処理は、5
00℃〜800℃を7〜15秒間程度保持する。加熱処理に要する時間は蒸着材料により
異なるため、適宜設定する。なお、ハロゲンランプ510からの光が散乱して成膜室全体
が加熱されないように、リフレクタ516およびリフレクタシャッター504が設けられ
ている。
【0255】
ハロゲンランプ510からの光を第1の基板507上に形成されているチタン膜が吸収
し、加熱されることにより、チタン膜上の材料層508が加熱され昇華し、対向して配置
された第2の基板509の被成膜面(すなわち、下面)に蒸着材料が成膜される。図17
および図18に示す成膜装置において、予め第1の基板507に材料層508が均一な膜
厚で得られていれば、膜厚モニターを設置しなくとも、第2の基板に膜厚均一性の高い成
膜を行うことができる。また、従来の蒸着装置は、基板を回転させていたが、図17およ
び図18に示す成膜装置は、被成膜基板を固定して成膜するため、割れやすい大面積のガ
ラス基板への成膜に適している。また、図17および図18に示す成膜装置は、成膜中、
支持基板も停止して成膜する。
【0256】
本実施例で示した成膜装置を用いることにより、本発明に係る発光装置を作製すること
が可能である。本発明は、蒸着源を湿式法で容易に準備できる。また、蒸着源をそのまま
蒸着すればよいため、膜厚モニターを不要にできる。よって、成膜工程を全自動化でき、
スループットの向上を図ることができる。また、成膜室内壁に蒸着材料が付着することも
防止でき、成膜装置のメンテナンスを簡便にすることができる。
【実施例2】
【0257】
本実施例では、本発明の蒸着用基板を用いて形成したEL層の一例について説明する。
【0258】
図19(A)に本実施例に用いる蒸着用基板を示す。本実施例の蒸着用基板は、第1の
基板101として、ガラス基板を用いる。また、反射層103として、膜厚300nmの
アルミニウム膜を形成し、断熱層107として膜厚200nmの酸化チタン膜を形成する
。なお、反射層103及び断熱層107は、3mm×9mmの大きさの開口部を有してい
る。断熱層107上には、第1の基板101の全面を覆うように、光吸収層105として
機能する、膜厚200nmのチタン膜を形成する。また、光吸収層105上には、材料層
109としてNPBが膜厚50nmで成膜されている。
【0259】
次いで、図19(B)に示すように、第1の基板101の材料層109が形成された面
が、被成膜基板である第2の基板121と対向する位置に配置する。第1の基板101と
被成膜基板の距離dは50μmとする。
【0260】
次いで、第1の基板の裏面からランプヒーターを用いて赤外光を照射して、第2の基板
121上にEL層127を形成する。照射時間は7秒とする。
【0261】
本発明に係る蒸着用基板は、反射層103と重なる領域に断熱層107を設けることで
、光吸収層105を面方向へ伝導した熱による材料層109の昇華領域の拡大を抑制する
ことができる。本実施例において、蒸着用基板に設けられた反射層103及び断熱層10
7の開口部は3mm×9mmの大きさであったのに対し、材料層109における昇華領域
の大きさも同様に3mm×9mmであり、被成膜基板に形成されるEL層の大きさは、4
mm×12mmであった。
【0262】
また、比較のために、図20(A)に図示するように、断熱層を有さない構成の蒸着用
基板を用いて被成膜基板にEL層を形成する。図20(A)に示した蒸着用基板は、第1
の基板201として用いられるガラス基板上に、反射層203として、膜厚300nmの
アルミニウム膜が形成されている。反射層203は、3mm×9mmの大きさの開口部を
有している。反射層203上には、光吸収層205として膜厚200nmのチタン膜が形
成されており、光吸収層205上に材料層209としてNPBが膜厚50nmで成膜され
ている。
【0263】
次いで、図20(B)に示すように、第1の基板201の材料層209が形成された面
が、被成膜基板である第2の基板211と対向する位置に配置する。第1の基板201と
被成膜基板の距離dは50μmとする。
【0264】
次いで、第1の基板の裏面からランプヒーターを用いて赤外光を照射して、第2の基板
211上にEL層217を形成する。照射時間は7秒とする。
【0265】
図20(B)において、反射層203の開口部を通過した光は、光吸収層205におい
て吸収され熱へと変換される。光吸収層205において変換された熱は、光吸収層205
を膜厚方向へ伝導して開口部と重なる領域の材料層209を加熱すると共に、光吸収層2
05を面方向へ伝導して、反射層203を加熱する。これによって、材料層209の昇華
領域が拡大される。なお、図20(B)において、点線の矢印は、光吸収層205におけ
る熱伝導の方向を示す。図20(A)に図示する比較例の構成の蒸着用基板を用いた場合
、蒸着用基板に設けられた反射層の開口部は3mm×9mmの大きさであったのに対し、
材料層における昇華領域の大きさは、6mm×10mmであり、被成膜基板に形成される
EL層の大きさは、8mm×16mm以上であった。
【0266】
以上より、本発明に係る蒸着用基板を用いてEL層を形成することで、光吸収層を面方
向へ伝導した熱による昇華領域の拡大を断熱層によって抑制することができるため、EL
層を精度良くパターン形成できることが示された。
【符号の説明】
【0267】
101 基板
103 反射層
105 光吸収層
107 断熱層
109 材料層
111 基板
113 電極層
115 絶縁物
117 EL層
121 基板
127 EL層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する反射層と、
前記反射層上に形成され、前記反射層の開口部と重なる位置に開口部を有する断熱層と、
前記反射層の開口部及び前記断熱層の開口部を覆って、前記断熱層上に形成された光吸収層と、
前記光吸収層上に形成された材料層と、を有する第1の基板の一方の面と、
第2の基板の被成膜面と、を対向させて配置し、
前記第1の基板の他方の面側から光の照射を行い、
前記第2の基板の被成膜面の、前記反射層の開口部及び前記断熱層の開口部と重なる領域にEL層を形成することを特徴とする発光装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−33752(P2013−33752A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224673(P2012−224673)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2008−271536(P2008−271536)の分割
【原出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】